スペックダウン問題に揺れる韓国携帯電話市場
Blog : Info-Tech @ 2008/09/12 07:55
例えば、LG電子の「Viewtyフォン」は、ヨーロッパではDiVXと呼ばれる圧縮映像コーデックを内蔵して動画再生機能を強化し、大型3インチ液晶で色々な映像を楽しめる機能が話題となった。現に、5週間で30万台以上が売れたヒット商品だ。しかし韓国では動画再生機能もなくなりFMラジオもなくなり地上波DMB(ワンセグ)も搭載されず、500万画素という高画素カメラだけが売りの端末になってしまった。
2007年夏の戦略モデルだったサムスン電子の「ミニスカートフォン」もしかり。ヨーロッパではウルトラエディション?として320万画素カメラを内蔵し高級オーディオ機器メーカーのバング・アンド・オルフセンのアイスパワーアンプが搭載していた。それが、韓国で発売された時はカメラは200万画素、バング・アンド・オルフセンのアンプも使われていない平凡な端末になっていた。中には、海外向けは厚みが12.1mmなのに韓国では12.9mmと少し分厚くなったことを指摘するユーザーもいたほどだ。
米モトローラの音楽携帯「Z6m」もUSBでつなげて音楽ファイルを端末に保存して再生できる機能を持っていたが、韓国ではモトローラはSKテレコムの加入者専用となっているため、SKテレコムの音楽サービス「Melon」に加入して専用ドライバーとプログラムをインストールしないと音楽再生機能が利用できないようにした。この対応は無料ファイルを利用されるよりコンテンツの売上を伸ばしたいからだろうから、キャリアの立場からすれば当然。かもしれないが、端末に元々付いていた機能までなくしてしまうことはないのにというのがユーザーの率直な感想だ。
かといって、韓国での携帯電話端末の価格が安いかというとそうではない。韓国国内の新規端末の価格は60~80万ウォン(約6万2千~8万5千円)。先に紹介したViewtyフォンは韓国で73万ウォン前後で販売されたが、ヨーロッパでは550ユーロ(約76万ウォン)、ミニスカートフォンは韓国で55万ウォン前後、ヨーロッパでは400ユーロ(約51万ウォン)と、機能は韓国の方が断然少ないのに価格はヨーロッパとたいして変わらないか韓国の方が高いくらいだ。この状況をメーカーやキャリアはどう説明するのか。
機能が削られていることについて、メーカーはあくまでもスペックダウンではなくスペック変更であるとしている。その証拠に、Viewtyは動画再生機能の代わりに電子辞書を搭載、ミニスカートフォンはGPS機能とデータ速度をアップしたという。モバイル同好会の掲示板には「海外でヒットしたあのモデルが韓国でも販売されることになったと宣伝しておきながら、スペックダウンしたことを隠すことが何度もあった。他の機能に置き換えたというが2、3の機能が削除されて電子辞書ひとつ、GPSひとつが追加されただけで端末の価格は変わらないのは納得いかない。ユーザーが望む機能は何か考えて現地化してほしい」といった書き込みが後を絶たず、スペックダウンしておきながら端末価格はもっと高くするのはやめてほしいとネット署名運動も起こっている。韓国市場の内需より海外市場の方が断然マーケットが大きいので海外に力を入れるしかないのは分かるが、韓国の携帯電話市場はサムスン電子、LG電子、パンテックと韓国産端末ばかりで海外の端末はモトローラとカシオのCanUぐらいしか販売されていない。韓国の携帯ユーザーはいやでも国産端末を買うしかないのだ。
海外にばかり目を取られ内需は後回しにされているという不満からか、同じスペックで値段は安い海外メーカーの端末を買いたがるユーザーも増えてきた。欧米の端末はキーパッドが使いづらいという不評からモトローラ以外は韓国市場に根付けなかったが、2008年夏には台湾HTCのスマートフォンがSKテレコムから発売される予定だ。iPhoneに匹敵するほど高性能なのに値段は安いということで発売前から期待を集めている。ブラックベリーやノキアも入ってくる予定だ。韓国メーカーも日本進出もいいが、お膝元の韓国市場にも少しは気を使ってほしいものだ。
(趙 章恩=ITジャーナリスト)
日経パソコン
2008年6月11日
-Original column
http://pc.nikkeibp.co.jp/article/column/20080611/1004680/
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