多様性を認め、事実を伝える報道が大事



前回から続く

 韓国では今、会社でも、地下鉄の中でも、道端でも、ネットでも、「スーパースターK」の話ばかりをしている。誰がスーパースターに選ばれるのか?

 「スーパースターK」が放映される金曜の夜になると、Twitterに一斉にコメントが上がり盛り上がる。「○○の歌が良かった」。ポータルサイトは、スーパースターK 関連記事だけを集めたコーナーまでつくっている。さらに、新聞やネット新聞にも毎日のようにスーパースターKのニュースが登場している。

 「スーパースターK」のオーディションは2010年3月から始まり、9月末時点でファイナル4人にまでスーパースターの候補者が絞り込まれた。誰が選ばれてもおかしくないという段階なので、なおさら「誰がスーパースターになるのか」おせっかいが止まらないのだ。

 4人の候補者はそれぞれ過去があり、苦労の末にここまでたどり着いたというストーリーを持っている人ばかりである。番組の趣旨が、歌が上手い人がスーパースターに選ばれ歌手デビューするというものだからだろう。お金があるかどうか、お父さんの職業は何か、良い大学を卒業しているかどうか、はもちろん、性別も年齢も関係ない。

努力を公正に評価する姿勢が評価されているのかも

 スーパースターKは1回ののど自慢で選ばれるオーディションではない。他人の生活を垂れ流しにするリアリティー番組と同じで、数カ月かけてオーディションと合宿の様子を放映している。

 参加者はいろいろだ――自分が優勝するためにあの手この手で他人を落とそうとする人、地道に練習する人、不遇な家庭で育ち歌だけが生きる希望という人、歌が好きでしょうがない人など。歌唱力だけでなく、人間性も試される。制作陣は、すべてを明らかにした上で、なるべく「公正」に優勝者を選ぶとしている。このオーディションに国民の視線がくぎ付けなのは、「公正」にステップアップしていく出場者に自分を投影して見ている人が多いからかもしれない。現実の世の中は、努力するだけでは報われないことが多い。

 ただし、スーパースターKにも問題がある。審査員の態度がなってない、「公正」な審査になってないという批判も多い。番組の掲示板、ブログ、Twitterでは、応援のコメントだけでなく、なんで自分が応援している人ではなくあんな人が選ばれたのか、歌の実力ではなく、けっきょ顔の良しあしで選んでいるではないかという抗議もある。「私だったらAさんよりBさんを選ぶ」といったネットユーザーによる審査も過熱している。

 コメントを寄せるのは視聴者だけではない。制作陣やオーディションに出演した人、その家族や知人までもが参加しての大騒ぎとなっている。

 加えて、オーディションで生き残るためにはネット投票も重要な点数となるため(100点満点の70点は視聴者投票)、お気に入りの出場者を応援するため投票を促す書き込みもSNS上で急増している。

辛辣なコメントが魅力の一つ

 オーディション番組がここまで話題になるもう一つの理由は、人を踏みつける楽しさがあるから、と分析する人も少なくない。

 韓国にもコメンテーターが登場して意見を言う日本のワイドショーのような番組がある。しかし、コメンテーターが辛口のコメントをすることはまずない。政治や時事問題の話はほとんどせず、ほのぼのしたネタが中心だ。

 しかしオーディション番組ではうって変わって、審査員のみんながこれでもか~というほど辛辣なコメントをする。御曹司だの、名門大学に通う学生だの、親戚に有名な歌手が居る、だのと自信満々に自分が一番!と乗り込んできた出場者たちを次々に不合格させていく。だから面白い、という人もいるほどだ。




>>次ページ 報道番組を中止してオーディション番組に入れ替える動きも   

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By 趙 章恩

2010年10月13日


-Original column
http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20101007/216545/?P=2

2010/10/28 16:08 2010/10/28 16:08
北朝鮮が労働党創建65周年の記念式典に海外メディアを招待した。北朝鮮を訪問する外国人には監視が付き、通信も自由にできないことで有名である。しかし、今回は変化があったようだ。平壌のプレスルームでは自由にインターネットが使え、一部記者はTwitterで北朝鮮の様子や写真を投稿してつぶやいた。もちろん、取材チームごとにガイドという名目で監視人が付き添い、北朝鮮側の日程に沿って軍のパレードを取材させている。だとしても、北朝鮮とTwitterってなんだか不思議な組み合わせなので、韓国では大変な話題になったものだ。

 Twitterといえば韓国でもスマートフォンの普及と並んで利用者が急増し、今では中学生や主婦もメール代わりにTwitterでつぶやいているほどポピュラーなものになってきた。

 リサーチ会社のTNSが世界46カ国5万人を対象に調査した結果、モバイルユーザーがソーシャルネットワークサイトに使う時間は週3.1時間で、週2.2時間のEメールよりも多かったという。

 芸能人、政治家、スポーツ選手、小説家、ブロガーなど、Twitterでたくさんフォローされていて影響力を持っている人ほど「マーケティング力」があるとしてもてはやされる時代になってきた。一般人であってもフォローされる数が多いと業界のパーティーに招待されたり、商品が無料でもらえたりする機会も多くなる。

 韓国では、Facebookは海外向け、Cyworld(老舗の韓国版ソーシャルネットワーク)とMetoday(韓国のNAVERが運営するTwitterのようなサービス)は韓国向け、Twitterは多国語(韓国語、英語、日本語、中国語などごっちゃ混ぜでつぶやく人が増えている)で、と分けてつぶやく人も多い。最近は一度つぶやけばすべてのソーシャルサイトに掲載できる連携サイトまで登場したほどである。ポータルサイトでは検索結果にTwitterのようなつぶやきサイトも含めるところも増えている。Cyworldは個人と個人企業とがつながる「ソーシャルコマース」を始めるという。



キャリアのKTが始めた「ソーシャルハブ」を利用すると、同じ写真やつぶやきを同時に複数のSNSに登録できる。いちいち訪問して書き込む必要がなくなるので便利


つぶやきは気軽にできるが…

 あるテレビ番組がソーシャルメディアからその人をどこまで把握できるか実験してみたところ、Twitterとブログを30分ほど見ただけで、名前、年齢、誕生日、配偶者の名前と年齢、自宅住所、職業、会社名、家族構成、子どもの名前と年齢と学校名、オンラインショッピングで何を注文して、いつどこで誰と会ったのか、趣味は何で、どこに旅行に行ってきたのかなど、かなりの個人情報を特定してしまったことがある。

 ユーザーが増えつぶやきも増えた分、Twitterからその人の個人情報を入手して悪用するケースも出ている。韓国では犯罪捜査のために容疑者の名義で加入しているコミュニティサイトやオンラインゲーム、EメールなどのIDを追跡し、いつどこでログインしたのかなどを分析して足跡を追うことが多い。

 検索技術は日々進化していて、数え切れないほどの検索結果から相関関係を分析してその人が欲しがっている情報に限りなく近くまとめて出すことができるようになった。

 ソーシャルメディアの利用が盛んなアメリカも同じような状況らしく、CNNもオンライン上の書き込みをちゃんと管理しないと求職や銀行の貸出、離婚訴訟などで不利になることもあると報道したほどだ。企業の採用担当者や法律事務所では証拠集めのためにあの手この手でソーシャルメディアを検索しているのに対し、つぶやくユーザーは無防備にも個人情報を丸投げにしているように見える。もっと自分の情報を自分でコントロールする必要があるのではないだろうか。

 韓国のソーシャルメディアサイトの場合は、友達をランク付けして閲覧できる情報をコントロールできる。誰でも見てかまわない内容と個人的な内容を区別しながらうまく自己アピールして人脈を作れるようにもなっている。また国民総背番号の国らしく、個人情報を守るため、自分の住民登録番号がどのサイトの会員登録に使われているのかチェックするサービスも政府が提供している。それでも何気なくソーシャルメディアに書き込んだ一言が問題になることは少なくない。

 一番いいのは慎重に、神経質になってつぶやくことより、データマイニングで個人情報を抽出される不安から開放されることなのだけど。しかしこのような情報抽出は犯罪防止に役立っているのだ。

(次回に続く)


趙 章恩=ITジャーナリスト)

日経パソコン
2010年10月14日

-Original column
http://pc.nikkeibp.co.jp/article/column/20101014/1027953/
2010/10/26 16:17 2010/10/26 16:17

学縁、地縁が要らない、お金持ちになれる!?



いつからだろう。韓国は子供も大人も芸能人になりたくてしょうがない国になってしまった。2010年5月、小学生に将来の夢を聞いたところ、1位は歌手や俳優といった芸能人だったそうだ。親が子供にさせたい職業も芸能人が多いというから驚きだ。

 小学生向け学習サイトが全国の小学生6397人を対象にアンケート調査した結果、20.5%は芸能人、20.1%が医者や弁護士といった専門職、14.8%が先生、11.4%が芸術家、9.1%がスポーツ選手と答えた。

 日本の子供のようにケーキ屋さんとか、電車の運転手さんとかが全くないことも面白い。日本では将来なりたい職業が「ない」子ども増えていることが問題になっているようだ(ベネッセ教育研究開発センター第2回子ども生活実態基本調査)それに比べ、はっきりとした夢を持っている子供が多いことは良いことなのかもしれないが、なんだかすっきりしない。

 私が子供のころは、男子は大統領、女子は医者とか判事とか、そんな夢を持っていた。このごろは、なんでこんなにも芸能人になりたがる子供が多いんだろう。

子供も、親も、プロダクションも一生懸命

 そういえばこの前、小学校の学芸会を見てびっくりしてしまった。子供らしい童謡や演劇なんてなく、ほとんどがアイドルのモノマネで、小学校低学年の子供たちが腰振りダンスでセクシーさを競い合っていた。見ているこちらの方が恥ずかしくて耐えられない。

 なのに、誇らしく「うちの子はダンスがうまいから、今度オーディション受けさせるのよ」と喜ぶ親を見て何も言えなかった。子供は子供らしく外で遊んで~、なんて考える人はもう居ないかもしれない。子供の才能を早く見つけて、英才教育でさらに磨いてあげるのが親の役割なのだから。

 子供を芸能人にするため、猛烈ママになる人も増えている。赤ん坊のころから演技学校に通わせ、プロダクションのオーディションを片っ端から受けさせまくる。歌やダンスのうまい子供は小学校低学年から芸能プロダクションの「練習生」に登録され育てられる。プロダクションは、子供たちに10年近くトレーニングをさせ、テレビ映りを良くするため整形手術や歯の矯正もさせる。もちろん、練習生同士も競争させてだんだん落としていく。こうして生き残った子供たちが、今アジアで大活躍している韓国のアイドルたちだ。

 ハリウッドをはじめ世界どこでもそうだろうけど、芸能人は特権層である。韓国で芸能人といえば、有名で、ちやほやされ、高額ギャラを得てお金持ちになれ、良いことばかり、と思われているのかも。以前紹介したように徴兵も免除される。裏ではどんなことがあろうと、一般人には、芸能人はそれほど苦労もせず裕福な生活ができる職業に見える。

 韓国は1997年の通貨危機(注:韓国では「IMF経済危機」と呼ぶ)を乗り越えたのはいいものの、その後からは、「助け合う」という美徳が少しずつ薄れてしまい、何よりも学縁、地縁、そして「自分」を最優先しないと生きていけない競争社会になってしまった感じがする。生きるためには「みんなで仲良く譲り合う」ことができないのだ。「少しぐらいなら、他人に迷惑かけてもかまわない」、「目立ちたい」という考えが、韓国をここまでも競争好きな社会にしてしまったのかもしれない。もちろん韓国は昔から縁故社会ではあったが…。

 そんな中、芸能人は学縁や地縁などのバッググラウンドがない人でも、体一つで成功できる最後の希望として映っているのかもしれない。





>>次ページ ケーブルテレビのオーディション番組が大人気を博す 

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By 趙 章恩

2010年10月6日


-Original column
http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20101005/216507/

2010/10/24 16:07 2010/10/24 16:07

 サムスンの場合、世界市場で戦っているだけに、政府の支援に頼らずどんどん先にビジネスを進めている。スマートTVも例外ではない。

 同社は世界109カ国向け(2010年9月14日時点)にSamsung Appsというアプリケーションストアを運営している。テレビ販売では世界市場で5年連続1位のサムスンであるが、これからはソフトウエア、コンテンツの時代だとして最も積極的にアプリケーションやOSに投資している。スマートフォンではグーグルのAndroidを採用。独自のモバイルOS「BADA」を搭載した「WAVE」というスマートフォンもあるし、テレビでは自社のOSで自社のアプリを流通させたいとしている。




サムスンのスマートTV向けアプリケーションはこうなる

サムスンは2007年から「インターネットTV」といって、リモコンとキーボードを使って検索できたり、ポータルサイトを利用できたりするテレビを販売していたが、「インターネットTV」の場合は決まったサイトにしかアクセスできないようになっていたせいか、それほど話題になることはなかった。

 同社は地道に取り組みを続けている。2010年3月、スマートTVで使えるアプリケーションコンテストを実施した。サムスンの説明によるとこれは世界初のコンテストなのだとか。公募の結果、多言語童話、カラオケ、テレビの画面から新聞を新聞の形のまま読めるTペーパー、学習関連コンテンツなど、家族向けアプリが選ばれた。160件の応募があり、一般ユーザー2500人が投票に参加して人気順位を決めた。これからはコンバージョンスアプリケーションとして、一度購入したら端末を選ばず使えるアプリケーションを流通させるとしている。この9月からはアメリカでスマートTV向けアプリケーションコンテストを開催している。





サムスンのブースに展示されたスマートTV(IFA2010の会場で)

先日ドイツで開催された家電展示会IFAで、サムスンは「2011年に発売するほとんどのテレビに3DとスマートTV機能を搭載する」とした。2010年発売するTVの場合は、半分ほどにスマートTV機能が搭載されるという。どんなテレビだろうと、「テレビ=サムスン」にすると自信満々である。ブロガーからはリモコンやUIがちょっと…と突っ込まれたりしたが、これぐらい強気でないと世界で戦えないだろう。

スマートフォンに出遅れた責任を取らされたのか、LG電子はCEOが創業者の孫に入れ替わった。LGもスマートTVには積極的で、2010年末に今までのインターネットTVとは全く違う新製品を披露するとしている。韓国ケーブル放送チャンネル大手事業者であり、映画制作もしているCJグループと提携し、LGのスマートTV専用サービスとして韓国政府が考えているスマートTV戦略は「韓流」。アジアで人気の高い「韓流ドラマ」を目玉にすれば韓国のスマートTVは売れるのではないかという考えだ。韓流コンテンツの多言語翻訳支援、中小企業のスマートTV向けアプリケーション開発支援といった政策も発表された。

 韓国では難視聴地域が多いことから、全世帯の約84%がケーブルテレビまたはIPTVに加入している。地上波放送を見るためには有料放送に加入しなくてはならなかったため、加入するのがもったいないと考える家庭は少ない。スマートTVの本体そのものが高くなければ、地デジ対策を兼ねて、3Dでアプリケーションをたくさん利用できるスマートTVに乗り換える人も少なくないだろう。

 スマートTVは家電メーカーがあって、地上波放送局やIPTV・ケーブルチャンネル事業者があって、という産業構造を変えることになる。家電メーカーがコンテンツも提供し、インターネット事業者がテレビも作る。

 韓国では既に放送局が自社番組のDVD販売をあきらめ、動画をIPTVやスマートフォン向けに提供するようになった。違法にコピーされず少額でも確実に課金できるからだ。これからはスマートTV向けアプリに変わるだろう。アメリカでもグーグルTVやアップルTVが放送を変え、コンテンツ流通方式を変え、人々の生活を変えると既存の業界プレーヤーに恐れられているようだ。

 テレビなんてコンセントを差し込めば観られるもの、と言えるのも後残りわずかかもしれない。日本も家電メーカーやキャリアなど、スマートTVを準備し始めていると聞く。スマートTVになって便利になるのはいいけど、お金を払わないと砂嵐以外何も観られなくなるのではないか、それがちょっと怖い。


趙 章恩=ITジャーナリスト)

日経パソコン
2010年10月6日

-Original column
http://pc.nikkeibp.co.jp/article/column/20101001/1027749/

2010/10/18 08:39 2010/10/18 08:39
スマートフォンブームについていくのもやっとなのに、タブレットPCが出てきたと思ったら今度はスマートTVなのだそうだ。そう言えば、グーグルTVやアップルTVが始まるというニュースもよく耳にするようになった。

 検索やメール確認といったインターネットサービスが使えるテレビもあるし、動画が観られるIPTVもある。テレビのリモコンでほかの家電を動かしたり、照明を点けたり消したりできるホームネットワークに対応したものもある。ちょっと前までもメガネをかけて立体映像が観られる3DテレビのCMばっかり流れていた。こんなにテレビの種類が多いのに、まだ新しいテレビが登場する余地があったのね。

 スマートTVは簡単にいうと、スマートフォンで利用できるアプリケーションをテレビからも同じように使えて、インターネットも使えるテレビ。動画(VOD)、ゲーム、検索、音楽、生活情報など、いろんなコンテンツをより便利に使えるというもの。インターネットにつながるテレビなんてずっと前からあったけど、テレビごとに決まったサイトしか利用できないようになっていた。スマートTVは、iPhoneやAndroidのアプリケーションのように、数え切れないほどのアプリケーションをテレビからも使えるというのが新しい機能といえる。韓国や日本にいながらアプリを使って海外のテレビも自由に観られる時代になるのだ。

 2012年には一般家庭にもスマートTVを普及させて、世界のどこよりも早くスマートTV大国になるのだと、韓国政府はさまざまな戦略を打ち出し始めた。ついこの間までもスマートフォンを世界どこよりも早く普及させるための戦略がどんどん発表されていたのに…。とにかく「スマート」という言葉が入るものは何でも集中投資の対象になっているので、スマートヘルスケア、スマート教育、スマート国防、スマート電子政府などなど、「デジタル」、「電子」といった言葉の代わりに「スマート」が付けられるようになったほどである。

 韓国の経済産業省にあたる知識経済部は、2010年9月「スマートTV産業懇談会」を開催した。韓国が世界シェア1位を占める「テレビ」の輸出をさらに確固たるものにしようと、スマートTVでも世界をリードできる戦略を議論するためである。テレビを製造するメーカーだけでなく、放送事業者、コンテンツ事業者、ネットワーク事業者を集め、お互いがうまく融合して新しいビジネスモデルをつくれるよう、国家戦略を樹立しようということで、話し合いが始まった。

 韓国はいつも、ハードウエアは強いけどコンテンツやソフトウエアは弱い、というのが問題であり課題である。スマートTVでも、ハードウエアはうまくつくれるので世界で優位に立てるかも知れないが、核となるサービスのアプリケーションをどうするのか、という疑問がある。

 スマートTVの時代になれば、テレビコンテンツのグローバル化による放送産業構造の変化に対応できる制度、法律改定も必要になるので、中央省庁である「放送通信委員会」の中に「スマートTV専担班」を設立・運営するという。グローバル競争力確保、新市場創出、技術力強化、インフラ構築、中小企業や個人デベロッパー支援をテーマに、細部の課題をリストアップしている。懇談会で事業者から政府にリクエストがあった支援が必要な分野としては、アプリケーション確保、海外市場創出、アプリケーションを流通させるためのプラットフォーム開発、使いやすいUI開発、標準化・特許支援、ネットワーク高度化、人材養成システム、法制度改善などが挙げられている。

 次回はサムスンのスマートフォン戦略を見ていく


趙 章恩=ITジャーナリスト)

日経パソコン
2010年9月30日

-Original column
http://pc.nikkeibp.co.jp/article/column/20100930/1027711/

2010/10/14 08:37 2010/10/14 08:37
日本でもTwitterやUstreamを使って政策や仕事内容を国民に知ってもらうとする政府広報活動が行われている一方、韓国でも政府省庁や地方自治体のブログやTwitterが話題になっている。

 政府機関がソーシャルメディアに登場するようになったのは既に5~6年ほど前。ブログが登場し、Cyworldというソーシャルネットワークが大ブームだった2004年、政府機関がCyworldにHompy(ミニホームページ)やアバターを作って親近感を持ってもらおうとしたのが始まりだったように覚えている。

 スマートフォンの普及で、24時間絶えずTwitterのようなつぶやきサイトやマイクロブログ(モバイル端末から利用するブログ)に書き込みする若い世代が増えたせいか、このごろは韓国の政府機関も公式サイトのほかにブログも当然運営し、Twitterとの連動も重視するようになった。TwitterやソーシャルネットワークサイトのIDをブログのIDとしても使えるようにしているので、ユーザーが何かTwitterに書き込むと、自動的にブログのコメントとして登録される。

 政府機関の公式サイトはまず訪問者数が少ない。何か調べようというはっきりとした目的がない限り、政府のサイトなんて滅多にアクセスしないだろう。ところがブログやTwitterの場合、自然と訪問者数が増える。韓国ではポータルサイトが運営するブログを利用する人が圧倒的に多いので、ポータルサイトの中の検索結果やランダムリンクなどで政府ブログの存在を知る人も多い。

 公式サイトの場合は誰が訪問したのかIPアドレスから分析するしかないが、ブログだとどんな人が訪問したのか足跡が残り、また気軽にコメントを残してくれる。ブログやTwitterでは実名確認をしなくても、本人の顔写真や年齢や職業や日常を公開しているので、どういう人がどんなコメントを残してくれたのか分かる。

 政府ブログの運営は、最初はαブロガーとして知名度の高い人にコラムを書かせることでクリック数を伸ばし、かわいい連載マンガと懸賞イベントで定期訪問者数も伸ばす、といったところだが、ブログ記者やサポーターという肩書きで大学生を採用して、政府政策を宣伝するための分かりやすく面白い記事も書かせている。こうした政府の努力はもちろん、若い世代にアピールするため。

 中央省庁の中でも堅そうなイメージのある企画財政部、統計庁、保健福祉部、放送通信委員会、国防部、兵務庁、国軍、国会、大統領官邸などなど、ブログとTwitterを持っていない省庁はないほど。しかも面白いのは、国会Twitter、企画財政部ブログという名前ではなく、企画財政部は「ブルーマーブル」(億万長者になるのを競うボードゲームの名前)、保健福祉部は「タスアリ」(暖かいという意味)、国会は「丸い屋根」といった具合でかわいい名前を付けているのだ。背景画面にもパステルカラーのイラストを使ったり、人気マンガのキャラクターを登場させたり、気を使っている。

 最初政府ブログにアクセスしたときには、「一体ここは誰のブログだろう?」とさっぱり理解できないこともあったが、政府ブログの連載マンガが意外と面白くてついつい訪問してしまう。中でも国防部のブログ「同苦同楽」は、2009年の「大韓民国ブログアワード」で公共部門1位に選ばれたほど人気を集めている。





韓国国防部のブログ「同苦同楽」


国防部、陸軍、兵務庁などがブログを運営する目的の1つは、徴兵制を怖がる最近の若者に、約2年の軍生活を通じて、人間として大きく成長できると思わせる(!)ためなのかもしれない。軍に入ってみたら資格もたくさん取れていいことだらけ、軍で芽生えた友情は一生もの、といった内容のWebマンガがずらりと並んでいる。このマンガがあまりにも面白く、しかもかわいいので、「軍に入っていろいろ経験してこそ大人よね~」なんてついつい「お気に入り」に追加してしまった。

 Twitterでは軍生活のエピソードを描いたこのマンガにリンクして、「私が軍にいたころは~」と始まる徴兵自慢話のネタにもなっている。兵務庁のブログには、徴兵で軍に入隊した人気芸能人の軍生活の写真も掲載されているので、ファンにとってはありがたいブログなのだ。

 韓国では就職が厳しく失業率も高いだけに、労働部のブログも人気が高い。大学生向けに労働基準や勤労者の権利などを分かりやすく解説するため、人気ドラマのストーリーを事例にして解説したりもする。アルバイトをするときに確認すべきことだとか、給料をもらえなかったときにはどこに相談すればいいのかといった基本的なことから、まじめな国家政策に至るまで、文字よりもマンガと写真をいっぱい掲載している。

 しかもこのブログの運営者は人気コミックマンガの主人公という設定。中小企業に勤める営業マンたちの苦労と人情と友情をテーマにしたマンガの世界そのままをブログに生かしている。

 就職活動中のブロガーの投稿も多く、海外でのワーキングホリデー体験談、アルバイト体験談などが盛りだくさん。クイズ形式の懸賞イベントもよく開催されている。2010年9月には米スタンフォード大学で行われたという5ドルプロジェクトの韓国版コンテストを行っていた(これは、5ドルを投資して、4週間後、社会的価値のあるビジネスとして誰が最も高い収益を上げられるのかを競うコンテスト。実際にスタンフォード大学で優勝したチームは5ドルで650ドルを稼いだという。そのビジネスモデルとは、学生の前でプレゼンする3分間をある企業に売り、その企業の求人広告をプレゼンの代わりにすることで広告料として650ドル稼いだ、というものだった。頭いい!)。

 このようにTwitterと連動させてみたり、イベントを開いてみたり、若い人が喜んで使ってくれる機能は何だろうと四苦八苦した甲斐があったのか、政府ブログは平均1日4000~5000人ほどが訪問していて、Twitterのフォロー数もぐんぐん伸びている。韓国の人口は日本の約3分の1なので、1日これだけの人が訪問するというのはけっこうな数字なのである。

 訪問者数が伸びて国家政策の宣伝につながり何かいいことがあったのかというと、まだそれは分からない。でも政府のやることに興味を持ち、一言二言つぶやき始めた人が増えているのは確かだ。




趙 章恩=ITジャーナリスト)

日経パソコン
2010年9月22日

-Original column
http://pc.nikkeibp.co.jp/article/column/20100922/1027580/

2010/10/11 08:36 2010/10/11 08:36

(前編「アーリーアダプターは飛びつくか」はこちら

 韓国は2008年3月より1年以上の約定加入を条件に端末購入補助金をもらって安く携帯電話が買える制度が復活した。日本が奨励金制度をやめたのとはちょうど逆のことが始まったのである。2008年約定で加入したユーザーは新しい端末に乗り換えたくてもできなかったが、キャリアの約款が改定され、約定終了まで6カ月以下の場合は、同じキャリア間で約定を承継して端末を買い換えるようにした。約定が終わるまであと6カ月というユーザーは違約金を払うことなく、同じキャリアの別の端末と料金設定に乗り換えられるので、スマートフォンの加入もぐんぐん伸びるだろうというのがキャリアの予測である。

 2010年末には約843万人が“約定奴隷”から解放されるので、年末年始の商戦ではiPhone 4をはじめとする「スマートフォン+国産タブレットPC」の販促競争がピークになると見込まれている。

 キャリアとしては、今のところアプリケーションと通常より3倍ほど高いスマートフォン専用料金制度からしか利益が取れないような状況なので、スマートフォンは使い方が難しいと敬遠するお年寄りや幼児向けにタブレットPCを販売してアプリケーション利用を伸ばそうとしている。3D、ドラマ、趣味講座、教育コンテンツを中心に動画を確保するとよく宣伝している。

 また最近すごく目に付くのは、キャリアのWi-FiスポットCMである。KTとSKテレコムは「うちの方が断然Wi-Fiスポットが多い、しかも安い」、「うちはWi-Fiフリースポットも多い、容量制限なく使い放題」といった具合に、お互いをけなし攻撃するようなCMまで登場しているのだ。KTはWi-FiのCMだけでも違う内容で10本以上制作し、同時多発的にテレビに流している。KTの加入者は地下鉄でもデパートでも映画館でも、どこでもWi-Fiが使えるけど、ほかのキャリアに加入するとすごく不便ですよ、といった内容だ。LGU+(LGUプラス、LGテレコムから社名変更) も「100Mbpsの速度を出すWi-Fiはうちだけ」とCMをじゃんじゃん流している。




KTの加入者は地下鉄、デパート、ファミレス、映画館など主な施設でWi-Fiを使えるようになった

スマートフォンやタブレットPCを使わせるためには、3Gのネットワークも必要だが、やはり、より速度が速く容量を気にせず使えるWi-Fiがどこでも使える環境でないといけない(韓国では3Gでアクセスすると料金に応じて500MBまで、1GBまでと使える容量に制限がある。2010年8月から、やっと日本のように無制限使い放題のパケット定額制度をSKテレコムが始めた)。

 カフェやレストラン、ショッピングセンターなどでも店内をWi-Fiフリースポットにするところが増えている。コーヒー1杯頼んで何時間もWi-Fiを使う人もいるため、テーブルの回転率が落ちるからとあえてWi-Fiスポットにしないところもあるが、Wi-Fiが使えないと不便だからとお客さんが来ない問題もあったのだ。

 韓国よりも先にスマートフォンやWi-Fiが普及したアメリカでは、シリコンバレーを中心に延々とカフェに居座る客が増えすぎてWi-Fi提供を中止、または決まった時間だけ提供、または1人1時間と制限するカフェも出ているという。韓国ではカフェのフランチャイズごとに、無料でWi-Fiを提供した場合としなかった場合の売り上げや利益の相違を比べる調査が行われているほど、みんなの関心事になっている。

 アメリカの市場調査会社であるJiWireの報告書によれば、2010年4~6月の世界のWi-Fiスポットを調べたところ、世界全体でもっともWi-Fiスポットが多いのはアメリカで7万6216カ所だった。同国の全Wi-Fiスポットのうち、無料で使えるフリースポットは55.1%を占めている。スマートフォンやタブレットPCの普及で、お店で自由にネットを使えるようWi-Fiを提供するところが多いからだそうだ。韓国は1万2818カ所に過ぎなかったが、2010年末までにはKTが4万、SKテレコムが1万5000、LGU+が1万1000のスポットを構築するとしているので、この小さい国にアメリカ並みの数のWi-Fiスポットが作られることになる。

 インフラだけでなく、より使いやすいスマートフォンとタブレットPCを開発しようと、キャリアとメーカー、政府のシンクタンクが参加し、「感性ICT」を研究する協会も立ち上げた。人体の脈、脳波、表情、生活習慣などを読み取って、端末が反応しUIを自動的に切り替えてくれるといったことを「感性ICT」というのだそう。

 スマートフォンとタブレットPCを使ったモバイルライフを楽しむための下準備は着々と進められている。後はiPadとGalaxy Tabが発売されて、ユーザーの手に渡されるのみ。私はメールだけチェックすれば済む会社重役でもないし、文字を打ち込む仕事が多いのでノートパソコンの方が便利なのだが、それでもタブレットPCは気になる。アーリーアダプターにあこがれる自慢したがりの1人だからかな?



趙 章恩=ITジャーナリスト)

日経パソコン
2010年9月16日

-Original column
http://pc.nikkeibp.co.jp/article/column/20100909/1027378/
2010/10/08 02:49 2010/10/08 02:49
2010年9月3日、ドイツで開催されたヨーロッパ最大規模の家電展示会「IFA2010」でサムスン電子が初のタブレットパソコンである「Galaxy Tab」を公開した。サムスンが「2010年末までに世界市場で100万台以上売りたい」とする自信満々の端末である。

 iPhoneキラーとして大ヒットが期待される「Galaxy Tab」は、日本でも発売予定の「Galaxy S」3個分ほどの大きさ(7型)。iPadに対抗してスーツのポケットにも入るほど小さく軽く、携帯性と移動性を優先する。カメラ付きでテレビ電話や音声通話もできるスマートフォンのようなパソコンであることを強調している。




サムスン初のタブレットパソコン「Galaxy Tab」

WebサイトのデザインにFlashを使うのが大好きな韓国では、iPhoneやiPadではサイトが表示されなかったり、ログインできなかったりという問題があったが、「Galaxy Tab」にはFlash表示機能があるので、どんなサイトでもすいすい見られるようになった。地上派DMB(ワンセグ)でテレビも見られるので、会社でも「昨日あのドラマ見た~?」が挨拶代わりのドラマ好きの韓国人にはぴったりかもしれない。

 韓国ではSKテレコムより9月中には発売される予定で、スマートフォンよりは高い。ただし約定加入すれば補助金がもらえるのでそれほど負担にならないという。

 「よりパソコンに近い」のがiPadで、より「スマートフォンに近い」のが「Galaxy Tab」と国内では説明している。アップルに比べてアプリケーションが少ない、バッテリーの持ちがiPadより短いといった点もあるが、ビジネス用途にタブレットPCを使う人も増えていることから、やはり携帯性の高い7型の需要が伸びるのでは?という見方もある。


 「Galaxy Tab」が公開されたことで、ついにサムスンとアップルの真剣勝負が始まったと世界的に注目を集めているようだ。年末商戦に向けてHPやDell、グーグルもタブレットPCを発売するとしているので、「アップル対その他大勢」の競争になる可能性もある。





IFA2010で公開されたGalaxy Tab


 「Galaxy Tab」は韓国でも今年の春から「S-Pad」というプロジェクトで期待を集めていたタブレットPCだけに、マスコミでは大々的に「Galaxy Tab」の機能を動画で見せ、どれぐらい売れるだろうかと人々の予測が飛び交っている。携帯電話、MP3プレーヤー、テレビ、パソコンなどを開発してきた総合メーカーとして、ユーザーのメディア利用形態のパターンや近年の変化を熟知するサムスンの自信作であることからも注目せずにはいられない。同社はさらに、2011年からは多様なサイズのタブレットPCを発売するとしている。

 先にサムスンとKTの国産タブレットPCを売ってしまおうという戦略なのだろうか、韓国ではまだiPadの正式発売が決まらない。ネットでは「Galaxy Tabもいいけど、それより早くiPad発売して! iPadと比べようがない!」、「なんで韓国だけiPad発売してくれないの?」という不満を書き込む人がどんどん増えている。KTのタブレットPC以外は発売も未定でニュースや宣伝ばかりなので、アーリーアダプター(誰よりも早く新製品を使いたがる人)で自慢したがりの韓国人はいらいらしている。


 韓国のデジタルデイリーに面白い記事があった。台湾の携帯端末メーカーであるHTCの製品修理を担当するTGSという会社が2010年8月、利用者1008人を対象にタブレットPCについてアンケート調査を行ったところ、「タブレットPCはスマートフォンのように売れると思いますか?」という質問に対して64.3%が「そう思わない」と否定的な見方を示したことである。

「売れる」と答えた人は28.2%、「分からない」と答えた人は7.5%だった。「タブレットPCを買いたいですか?」という質問に対しても「はい」は43.8%、「スマートフォンだけで十分」という人が37.1%だった。「購入しない」と答えた人は19.1%だった。「現在のスマートフォンに満足していますか?」という質問には67.3%が「満足」と答えている。

 韓国の家庭内パソコン普及率は9割ほどで、会社でも社員1人パソコン1台が当たり前、学校でも先生1人パソコン1台どころか2台ぐらいは置いてある。そのせいか、あとはスマートフォンで十分と考えるユーザーが多く、タブレットPCが売れるようになるまでには時間がかかりそうだ。

 2009年11月、世界より2年半遅れてiPhoneが韓国で発売されたとき、スマートフォンは2010年末まで多くて100万台ほど売れるだろうと予測されていたが、既に400万台規模の市場に成長した。タブレットPCも発売直後からあっという間に普及するのではないかと期待されていただけに、ユーザーのこのような反応は意外だった。

 タブレットPC記事に対するコメントなどを見ていると、インターネットを使いたい、映画が見たい、電子書籍が読みたい、という理由でタブレットPCを購入するよりも、新しい端末を体験してみたいから、世界でブームになっているから、といった理由の方が多いように感じた。(後編に続く)


趙 章恩=ITジャーナリスト)

日経パソコン
2010年9月9日

-Original column
http://pc.nikkeibp.co.jp/article/column/20100909/1027377/

2010/10/06 06:41 2010/10/06 06:41
「イジェナルババミスター イルミモヤミスター、ジージージージーベイベーベイベーベイベー」。しまった、また口ずさんでしまった。テレビでもネットでも街中でも、洗脳されるほど聞いてしまったせいだろうか。この歳になってもアイドルの歌がすんなり歌えてしまう。

 60万人に及ぶ韓国国軍の希望とロマンと呼ばれる女神さま、「少女時代」がついに日本にやってきた。彼女たちだけではない。「カーラ」や「ブラウンアイドガールズ」、「フォーミニッツ」など、韓国で大人気の女性アイドルグループが次々日本デビューを果たしている。

 韓国のメディアも、「女性アイドルたちが日本を魅了した」と連日報道している。「ライブに2万人が集まった」。「海外アーティストのアルバム売上順位で記録を更新した」。「バラエティー番組に出演したこんな発言をした」。などなど、日本におけるすべての活動が報道されていると感じられるほどだ。「本当に人気がある」ことの証拠として、レコード店の陳列やライブ会場の写真がネットに投稿されている。日本に住んでいる韓国人が中心となって投稿しているようだ。

軍での慰問公演の数は人気のバロメータ

 韓国のアイドルの人気順位は、アルバムや曲がダウンロード販売された数の順位だけでなく、軍の慰問公演にどれぐらい呼ばれるかも重要な要素だ。慰問公演の回数が多いほど、国民的人気を誇るアイドルであると言える。人気が高いのはやはりセクシーな踊りを売りにする女性歌手。ここ最近は「少女時代」が人気ナンバーワンなのだそう。韓国軍の最終兵器は軍人の士気を最高潮にしてくれる「少女時代」ではないかと思ってしまうほどすごい。ネットに投稿された慰問公演の動画を見ていると、少女時代の歌声が「うお~」という軍人たちの歓声にかき消されて全く聞こえない!

 国軍放送の広報大使にも、男性芸能人ではなく女性アイドルグループ「Fx」が選ばれた。「少女時代」の妹分として結成されたグループだ。1年間、国軍放送への出演、キャンペーン、慰問公演をする。男性アイドルは徴兵で軍とかかわるいっぽう、女性アイドルもこうした形で軍と密接な関係にある。

男性アイドルにとって徴兵は「アイドルの終わり」を意味する

 最近の若手スターの中には、「徴兵のことであれこれ言われたくない」と、厳しい海軍や空軍にわざと志願する人もいる。本人は苦労するし、除隊後も人気が続くかどうか不安はあるだろう。だが、株は上がる。自分の子供を軍に行かせたお母さんたちの支持率が高くなれば、視聴率を取れるタレントになれるかもしれない。

 いっぽうで年々増えているのは、不祥事を起こし、「自粛」のために入隊するケースである。麻薬、飲酒運転、傷害事件などの問題を起こし、“みそぎ”のために軍に入る。そして、事件が忘れられたころに除隊して芸能界に復帰する。

 「芸能人」の場合、入隊してからも「芸能兵士」として芸能活動を続けられる道がある軍の広報映画に出演したり、国軍が放送するFMラジオ番組のパーソナリティを務めたり(国軍放送のラジオは誰でも聞ける)、慰問イベントの司会をしたり。それでも人気が落ちるのを恐れて、法律違反を犯してでも徴兵を免除されたがる。

 男性アイドルの場合、徴兵の通知は「もうアイドルではなくなる」という通知にも等しい。徴兵をきっかけにグループ解散もよくある話しだ。小学校5~6年生のときにオーディションで選ばれ、練習生として5~6年ほど苦労してやっとデビュー……と思ったら、3~4年たった全盛期に徴兵の通知が届く。除隊後もアイドルで居られる保障はない。

 最近は「軍必ドル(徴兵を済ませたアイドル)」といって、除隊してからデビューする実力派もいるが、美少年というよりお笑い系アイドルとして人気を得ている。


>>次ページ アイドルのマネジメント会社にとっても徴兵は大問題 

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By 趙 章恩

2010年9月24日


-Original column
http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20100928/216412/

2010/10/04 11:37 2010/10/04 11:37

■月刊Journalism

【10月号のご案内】
Journalism10月号特集は「大学とジャーナリスト教育」

特集は「大学とジャーナリスト教育」。メディア激変期のジャーナリスト教育のあり方を問い直す。慶應・上智・早稲田教授座談会「今、大学は何を教えるべきか?」、「慶大メディアコムの成果と課題」、「現役記者が大学で教える調査報道の方法」、「米国大学のオンライン・ジャーナリスト教育」ほか。「新聞記者のための動画撮影講座」なども掲載。

2010年10月号の内容(目次)




特集 大学とジャーナリスト教育
◎[慶應・上智・早稲田教授座談会]
メディアは揺らぎ、学生は変わる 今、大学は何を教えるべきか?
大石 裕(慶應義塾大学教授)・音 好宏(上智大学教授)・瀬川 至朗(早稲田大学大学院教授)/司会 野村 彰男(朝日新聞社ジャーナリスト学校長))
◎就職と研究の両立をめざす慶應「メディアコム」の教育内容
大石 裕(慶應義塾大学メディア・コミュニケーション研究所所長)
◎大学と記者のコラボで調査報道 早大大学院ジャーナリズムコース
澤 康臣(共同通信外信部記者)
◎「科学技術コミュニケーター」の役割 北大CoSTEPの成果と今後
杉山 滋郎(北海道大学理学研究院教授)
◎ビジネス教育の手法から見えた、新たなジャーナリスト教育の方向
藤代 裕之(ジャーナリスト/学習院大学非常勤講師)
◎世界中いつ、どこでも学べる 白熱のオンライン・ジャーナリズム講座
[ミズーリ大学とポインター・インスティテュートの場合]
松下 佳世(朝日新聞社ジャーナリスト学校主任研究員)
[新聞記者のための動画撮影講座]第1回〈企画から撮影〉
新聞記事をウェブ・ニュース映像にする
奥村 信幸(立命館大学産業社会学部准教授)
海外メディア報告
T・G・I・F! 韓国はいまスマートフォン革命まっただ中
趙 章恩(ITジャーナリスト)
メディア・リポート
※アサヒ・コムで記事がお読みいただけます。記事一覧はこちら>>
新聞
報道から一歩踏み出す「新聞力」が世の中を変える
服部 孝司(神戸新聞社取締役地域事業本部長)
放送
映画「ザ・コーヴ」は文化衝突の問題なのか?
金平 茂紀(TBSテレビ執行役員=報道局担当)
ネット
ヤフーとグーグルの提携で懸念される情報への自由なアクセス
藤代 裕之(ジャーナリスト/学習院大学非常勤講師)
出版
不況とデジタル時代の中で元気な「最寄りの書店」の共通点
星野 渉(文化通信社取締役編集長/東洋大学非常勤講師)
カラーグラビア
カンザスシティのホームレス・シェルター
山口 元(写真家)
ジャーナリズムの名言
別府 三奈子
[朝日新聞全国世論調査詳報]
◎2010年8月名古屋市民意識調査
◎2010年8月定例RDD調査


Link
http://www.asahi.com/shimbun/jschool/report/1010.html
2010/10/01 22:49 2010/10/01 22:49