サムスンとLGがCESで「ホームAI」競演、新ハードは鳴りを潜める

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世界最大級のテクノロジー見本市「CES 2025」(2025年1月7~10日、米ラスベガス)において、韓国企業はスタートアップを含め1031社が出展した。韓国の出展企業数は2022年には502社だったが、その後過去最多を更新し2025年の今回には1000社を突破した。

 技術・デザイン性・革新性などの観点から優れたデジタル技術やテクノロジー製品を表彰する「CES イノベーションアワード 2025」には、世界中の約3400社が応募し345社が受賞したが、このうち韓国企業は156社だった。しかも、最優秀賞であるベスト・オブ・イノベーションアワードでは19社の製品のうち、7社が韓国企業だった。AI、ヘルスケア、スマートシティー、セキュリティーなど多様な分野で受賞した。

 CESを主催している米国よりもCESに熱心なのではないかというほど、韓国は企業の出展数も参加者も多い。CESは韓国で誰もが知るイベントであり国内イベントのような感覚である。財閥系大手企業の最高経営責任者(CEO)がCESで一堂に会し、自治体の首長も数多く参加していた。CES 2025には動画・写真共有サイトで活動する韓国のYouTuber(ユーチューバー)、Instagrammer(インスタグラマー)らなどインフルエンサーもメディアとして参加し、展示やキーノートをくまなく紹介して盛り上げた。CES 2025のメイン展示場といえる、ラスベガスコンベンションセンターのセントラル中央ロビーにはクリエイタースペースが設けられ、インフルエンサーが出展企業にインタビューしたり、休憩したりできるようなっていた。韓国地上波放送局の複数のバラエティー番組がタレントを連れてCES 2025に参加、韓国Samsung Electronics(サムスン電子)や韓国LG Electronics(LG電子)のブースを体験したり、塩分を制限して調理しても塩味を強く感じられるというキリンホールディングスが開発した「エレキソルト スプーン」で料理の味見をしたりする場面を撮影していた。

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趙 章恩=(ITジャーナリスト) 

(NIKKEI TECH) 

2025. 1. 

-Original column

サムスンとLGがCESで「ホームAI」競演、新ハードは鳴りを潜める | 日経クロステック(xTECH)

大統領弾劾騒動の影響、世界最大規模目指す半導体クラスターはどうなる?

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非常戒厳令に続く大統領弾劾の訴追案可決で、韓国は半導体をはじめ各種産業支援法の議論がストップした状態が続いている。2025年1月20日には、半導体・電気自動車(EV)などに対する支援策を廃止するとの観測も出ている、米国の第2期トランプ政権がスタートする。こうしたなか、韓国企業の多くが非常経営事態だとしてリスクを最小限にするための対応戦略に悩んでいる。

 Samsung Electronics(サムスン電子)は2024年12月17日から19日まで、海外支社も含め役員約300人が集まって新しい目標を立てるグローバル戦略会議を開催した。LG Electronics(LG電子)も海外支社の役員を呼んで会議を行うようだ。

 韓国企業はドル高による財務リスク点検、資金調達計画の再検討、非常戒厳令と大統領弾劾による政治不安で韓国内の生産工場が止まってしまうのではないかと懸念した海外取引先に対する企業イメージ回復など、様々な対応に追われている。

 財界団体は国会議長に対し、半導体と人工知能(AI)産業を支援する法律の制定を急ぐよう求めた。財界団体は2016年に起きた大統領弾劾はちょうど半導体のスーパーサイクル(需要急拡大期)が始まった時期であったために経済的打撃はなかったが、今回は韓国の経済成長率が下落する中で発生しただけに、国会は産業支援策の議論を止めてはならないと強調した。経済協力開発機構(OECD)は韓国の経済成長率を2024年9月に2.5%と予想したが、同12月には2.3%に下落した。2025年の見通しも2.2%から2.1%へ下方修正した。

 韓国メディアは連日、政治不安に半導体業界が足を引っ張られていると報じている。例えば、「日本政府はラピダスに9200億円の補助金を出し2025年度に新たに2000億円を出資する計画であり、米国政府は米半導体大手のMicron Technology(マイクロン・テクノロジー)に61億6500万ドル(約9400億円)の補助金支給を決定した」と報道する一方、「韓国政府はサムスン電子とSK Hynix(SKハイニックス)に対し、補助金を提供する法的根拠がないとして何もしていない。国会でようやく議論が始まったが、弾劾の影響でどうなるか不透明だ」と批判している。

 韓国半導体産業協会(Korea Semiconductor Industry Association、KSIA)は「国会での議論が止まり、法制化が遅れると企業は何もできない。その分、韓国企業の競争力は落ちてしまう」として、国会に対して早期に半導体関連法の議論を再開するよう求めた。

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趙 章恩=(ITジャーナリスト) 

(NIKKEI TECH) 

2024. 12. 

-Original column

https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/01231/00122

– 회장 소개 –

조장은(趙章恩)

添付画像

IT 평론가·Web 프로듀서

한국 서울 출생. 일본에서 초중고등학교를 졸업, 귀국해 이화여대 졸업. 도쿄 대학 대학원 학제 정보학 학부 석사. 동대학 박사 수료. KDDI 총연구소 특별연구원, NPO 아시아 IT 비즈니스 연구회 고문. 한·일 정부기관의 위탁조사(디지털 콘텐츠 동향·전자 정부 동향·IT 정책 동향) 및 한일 IT 시찰 기획 전문의 ‘J&J NETWORK’의 공동 대표. 2000년 4월 창립된 한일 인터넷 비즈니스 실무자 단체 ‘KJIBC(Korea Japan Internet Business Community)’ 회장. CES 이노베이션 어워즈 2026 심사위원. 한일 IT 정보 전문가로서, 강연이나 세미나, 포럼에 강사로 참가. 「NIKKEI NET(닛케이 신문)」나 「닛케이 PC(닛케이 BP)」, 「닛케이 일렉트로닉스」, 「BCN」, 「석간 후지」, 「서일본 신문」, 「일본 디지털 콘텐츠 백서」, 한국의 「중앙일보」, 「한국 콘텐츠 진흥원」, 「한국 정보 통신 기획 평가원」, 월간지 「Media Future」등 일간지나 잡지에 다수 기고.

저서

『일본 인터넷 수익모델을 벗겨라』(한국、더난출판, 2001/02/28)

『韓国インターネットの技を盗め』(일본、아스키 출판,2001/07/01)

『디지털컨텐츠백서 2006 ~ 』 (일본、재단법인 디지털컨텐츠협회 발행)해외동향(한국)집필

『メディア・ローカリズム―地域ニュース・地域情報をどう支えるのか』(일본、중앙경제사,2019/10/12) 脇浜 紀子 (저, 편집), 菅谷 実 (저, 편집)

– 第2部 海外における地域メディアの現状と課題

– 韓国:有料放送市場とケーブルテレビ地域情報の価値 집필

『情報通信産業の構造変容: 次世代移動ネットワークがもたらすイノベーション』(일본、白桃書房 , 2022/9/30) 菅谷 実 (편집), 山田 徳彦 (편집)

– 第2部 5Gモバイルのもたらすデジタル社会

– 韓国の5G政策と社会 집필

연재중 칼럼 및 기사

韓国ハイテク最新動向, 일본, 니케이 XTECH

ワールドウオッチ, 일본, 주간 이코노미스트

趙章恩のKoreaメディアWatch, 일본, 월간 뉴미디어

Global Watch, 일본, 니케이 Robotics

日本と韓国の交差点 , 일본, 니케이 BP

趙 章恩「Korea on the Web」 , 일본, 니케이 BP

일본 콘텐츠 산업 동향, 한국, 콘텐츠진흥원

OECD의 인공지능권고안 주도를 위한 일본의 전략, 한국, 정보통신기획평가원

Fair Contribution in Korea: Netflix vs SK Broadband(ISP), IGF(Internet Governance Forum), United Nations

메일 주소<kjibcmail@gmail.com>


6時間で解除された韓国の非常戒厳、ウォン安や議会混乱が半導体産業直撃

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韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は2024年12月3日の22時25分ごろ、1979年以来となる「非常戒厳」を宣言した。尹大統領は「北朝鮮共産勢力の脅威から自由大韓民国を守護し、韓国国民の自由と幸福を略奪している破廉恥な従北反国家勢力を一挙に排除、自由憲政秩序を守るために非常戒厳を宣布する」とした。大統領が非常戒厳を宣言すると政治活動や報道、出版など、民主主義国家では当たり前の活動の多くが制限される。

 非常戒厳宣言のニュースが報じられてからすぐ、戒厳軍が国会に進入しようとするのを防ぐため数千人の市民らが国会議事堂に集まった。誰かが動員したわけではなく、独裁政権と軍事政権で戒厳を経験した世代や教科書で歴史を学んだ世代が国会議事堂に集まった。国会議員らは塀を超えて国会議事堂に入り、国会議事堂の中では夜勤中だった議員の秘書らが国会本会場前でスクラムを組み、窓ガラスを割って国会に進入した戒厳軍と対峙した。

 韓国の憲法第77条1項には「大統領は、戦時・事変またはこれに準ずる国家非常事態において、兵力をもって軍事上の必要に応じる、または公共の安寧秩序を維持する必要がある場合、法律の定めるところにより戒厳を宣布できる」としている。同5項は、「国会が在籍議員過半数の賛成で戒厳の解除を要求した場合、大統領はこれを解除しなければならない」としている。戒厳軍が国会を封鎖しようとする中、12月4日午前1時ごろ300人の国会議員のうち190人が国会に集まり全員賛成で非常戒厳解除決議案が可決した。同日午前4時20分ごろ、尹大統領は「国会の要求を受け入れ戒厳を解除する」と発表した。

 わずか約6時間でしかも深夜のうちに非常戒厳は解除されたために、一般市民の生活に大きな変化はなかった。非常戒厳宣言を知らず朝ニュースを見てびっくりしたという人も多かった。学校はいつも通り授業を行い、証券取引所もいつも通り開場し、年末のコンサートやイベントも予定通り行われた。国際信用評価会社スタンダード&プアーズ(S&P)は、非常戒厳が迅速に解除されたことから韓国の国家信用等級に実質的影響がないと評価した。

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趙 章恩=(ITジャーナリスト) 

(NIKKEI TECH) 

2024. 12. 

-Original column 

6時間で解除された韓国の非常戒厳、ウォン安や議会混乱が半導体産業直撃 | 日経クロステック(xTECH)

サムスン電子が次世代半導体開発施設に2兆円投資、背景に競合企業の影あり

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 2024年11月23日、米Bloomberg TVは米NVIDIA(エヌビディア)が韓国Samsung Electronics(サムスン電子)のAI(人工知能)チップ向けメモリー半導体「HBM3E」の8層と12層の認証と導入を急いでいると報道した。HBM3Eは同社の第5世代HBM(High Bandwidth Memory、広帯域幅メモリー)で、DRAMのダイを垂直に積み上げて、全体のデータ転送速度を高速・広帯域化するメモリー技術である。

 現在NVIDIAのAIチップに搭載するHBMの大半は、韓国SK hynix(SKハイニックス)が納品している。その影響から2024年7~9月期の営業利益はサムスン電子半導体部門が3兆8600億ウォン(約4250億円)であるのに対し、SKハイニックスが7兆300億ウォン(約7730億円)と大きな差が生まれた。韓国内ではメモリー半導体の世界首位の座はサムスン電子からSKハイニックスに移行したと見られている。

 NVIDIA はHBMの確保を安定化するために、HBMを量産しているSKハイニックス、サムスン電子、米Micron Technology(マイクロン・テクノロジー)の3社すべてと取引すると明らかにしている。しかし、韓国内ではサムスン電子のHBMはNVIDIAに納品するためのテストになかなか合格せず、技術に問題があるのではないかとの噂が出て、一時、サムスン電子の株価が下落し、危機説が出たこともある。

 それがBloomberg TVの報道でテストに合格して納品間近ということが分かり、サムスン電子の業績も改善すると期待されている。サムスン電子は2024年10月31日に行った業績発表の場で、第6世代HBMである「HBM4」は2025年下半期の量産を目標に開発しているとした。しかし韓国内外の評価を見ると、HBMでサムスン電子がSKハイニックスの技術に追い付くのはまだ時間がかかりそうだ。

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趙 章恩=(ITジャーナリスト) 

(NIKKEI TECH) 

2024. 12. 

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トランプ氏当選で半導体産業はどうなる、韓国内で議論白熱

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2025年に向けた米大統領選挙でドナルド・トランプ氏が当選した。韓国内では半導体産業を巡りこれからどのような戦略をとるべきか、大きな話題になっている。Samsung Electronics(サムスン電子)とSK hynix(SKハイニックス)は2022年に米バイデン政権が定めたCHIPS法(CHIPS and Science Act)に基づく補助金を前提に米国内に半導体工場を建設しているが、トランプ次期米大統領はCHIPS法に対し何度も否定的な意見を述べてきたからだ。トランプ氏は、選挙運動中も米国の人気ポッドキャスト『The Joe Rogan Experience(ジョー・ローガン・エクスペリエンス)』に出演し、「関税を引き上げれば海外企業は自発的に米国に半導体工場を作る」として補助金を支給する必要がないという意見を述べている。

 現在、米Intel(インテル)は米国内半導体工場建設に1000億米ドルを投資し、85億米ドルの補助金と110億米ドル規模の融資と税額控除を受け取ることになっている。台湾積体電路製造(TSMC)は2030年までに650億米ドルを半導体工場建設に投資する代わりに66億米ドルの補助金を、サムスン電子は同約450億米ドルを投資する代わりに64億米ドルの補助金を、SKハイニックスは同約38億米ドルを投資する代わりに4.5億米ドルの補助金と5億米ドルの融資を受けることにした。ただし、現時点で補助金は支給されていない。サムスン電子の場合、補助金の支給が遅れたことで、米テキサス州テイラーに建設中の工場の稼働開始時期を延期したという噂もある。

 2024年11月15日(現地時間)にはTSMCが一足先に米商務省と補助金支給に関する拘束力のある合意をした。TSMCは中国の顧客には7nm世代以降のAIチップを供給しないことを決めたという。韓国内ではサムスン電子とSKハイニックスはどうなるのか焦る雰囲気があったが、バイデン米大統領はトランプ次期大統領が2025年1月20日に就任する前にCHIPS法に基づき補助金を支給する契約締結を急いでいるという報道もあり、韓国勢も補助金を受け取るとみられている。CHIPS法が無効になった場合、もっとも打撃を受けるのはIntelだからだ。

 しかし問題はタイミングである。手続きが長引き、必要な時に補助金が支給されない、または補助金の規模が縮小した場合、半導体工場建設スケジュールがこじれてしまう。サムスン電子とSKハイニックスは既に米国工場建設に莫大な金額を投資している。補助金はどうなるのか不確実性が高くなったことで株価も揺れている。

 トランプ次期米大統領は「アメリカ・ファースト(米国第一主義)」を掲げ、輸入品に一律10~20%の追加関税、中国からの輸入に対しては一律60%の追加関税を導入する方針を示している。韓国は米国政府との交渉により、今まで韓米FTA(自由貿易協定)や輸出量クオーター制を利用して自動車輸出や鉄鋼輸出において、関税を回避してきた。トランプ次期米大統領は選挙運動中の10月に開催された「The Economic Club of Chicago」での対談で「辞書の中でもっとも美しい言葉は『関税』だ」と発言し、同盟国に対しても関税を引き上げる姿勢を見せている。関税を上げると消費価格が上がり、インフレを生ずる懸念があるが、それでも関税を上げれば海外企業が米国内で生産を始めるので米国の製造業が生き返ると主張した。

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趙 章恩=(ITジャーナリスト) 

(NIKKEI TECH) 

2024. 11. 

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トランプ氏当選で半導体産業はどうなる、韓国内で議論白熱 | 日経クロステック(xTECH)

韓国で「国家AI委員会」が9月に発足、LG電子はスマートファクトリー事業を強化

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本記事はロボットとAI技術の専門誌『日経Robotics』のデジタル版です

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韓国政府は2024年9月26日、大統領が委員長となる「国家AI委員会」を発足した(図1)。Yoon Suk Yeol(ユン・ソンニョル)大統領は第1回目の会議において、「AI G3(世界トップ3)へ跳躍するために、官民が1つのチームとなって総力戦を繰り広げる」「(国家AI委員会は)我が国の未来の命運がかかったAIトランスフォーメーションを導き、韓国をAI G3強国に跳躍させる牽引車になる」と宣言した。

図1 「国家AI委員会」の第1回会議の様子

図1 「国家AI委員会」の第1回会議の様子

韓国政府は2024年9月、大統領が委員長を務める「国家AI委員会」を発足した。産官学の約40人が委員として参加し、製造業をはじめとした全産業の競争力を高めるためのAI政策を審議し、調整する。(写真:韓国大統領室)

 大統領自らが「総力戦」「国の命運」と発言したことからも、デジタル覇権への競争で生き残るためにはAIのリーダーシップを握ることが重要であり、経済と安全保障の死活問題だと韓国政府が認識していると分かる。生成AIの技術が急速に発展し、AIが全産業で幅広く使われて経済への波及力も大きくなっている。韓国政府は、国の競争力を変えるAIと半導体への支援を強化している。

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趙 章恩=(ITジャーナリスト)  

《日経Robo》 2024. 10.  

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韓国で「国家AI委員会」が9月に発足、LG電子はスマートファクトリー事業を強化 | 日経Robotics(日経ロボティクス)

産学官連携でAIの世界トップ3を目指す韓国、Samsungは英AIスタートアップを買収

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 AIの覇権争いがますます激しくなっている。米国と中国だけでなく欧州やアフリカ、中東などで自国のインフラ、データ、人材によって自国語の言語モデルとAIインフラを構築する「Sovereign AI」に力を入れるようになった。世界各国がAI競争力を確保しようとする中、韓国も官民でAI投資と人材確保に総力を挙げている。

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 2024年8月16日に就任した科学技術情報通信部(部は省に当たる)のYoo Sang-Im長官は同年8月23日、就任後初の公開イベント「デジタルイノベーション人材との対話」を大韓商工会議所で開催した。全国42大学が産学官連携で設立したAI大学院、AI融合革新大学院、AI半導体大学院、融合セキュリティ大学院、メタバース大学院から100人の学生が参加し、研究者として政府にどのような支援を望んでいるかといったことを話した。

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趙 章恩=(ITジャーナリスト)  

《日経Robo》 2024. 9.  

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パリ五輪でAIを宣伝するSamsung、HyundaiやLGも自社技術をアピール

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2024年7月、フランス・パリで「第33回オリンピック競技大会」が始まった。韓国ではオリンピックやパラリンピックをきっかけに自社のAIやロボットの性能を宣伝する企業が増えている。

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 IOC(国際オリンピック委員会)の最高位スポンサーである「TOP(The Olympic Partner)」は15社が契約しているが、韓国企業はSamsung Electronics(サムスン電子)だけだ。同社は、1998年の長野冬季五輪よりモバイル分野の公式パートナーとして活躍している。ブランドコンサルティング大手の米Interbrandによると、Samsung Electronicsのブランド価値は2000年の約53億米ドルから2023年の約914億米ドル(世界5位)へと高まっている。

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趙 章恩=(ITジャーナリスト)  

《日経Robo》 2024. 8.  

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パリ五輪でAIを宣伝するSamsung、HyundaiやLGも自社技術をアピール | 日経Robotics(日経ロボティクス)

政府機関で活用広がる公務員ロボット、民間では「ロボットフレンドリー」なビルが増加

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2024年6月26日、韓国では「公務員ロボットが階段から墜落、仕事のストレスのせいか」「公務員ロボットが飛び降り、まじめでいいロボットだったのになぜ」というニュースが話題になった。自治体の亀尾(クミ)市庁で働いていたロボットが階段から転げ落ち、深刻なダメージを負って作動しなくなる事故があったのだ(図1)。

図1 亀尾市庁の公務員ロボット

図1 亀尾市庁の公務員ロボット

市庁内を移動して書類や郵便物を運んでいた。窓口周辺で市のニュースを宣伝する業務も担当したという。2024年6月、自ら階段から転げ落ちるという事故が発生し、大きな話題となった。(写真:亀尾市庁)

 目撃者によると、いつもエレベータを使って決まった経路を移動するようにプログラミングされているロボットが、なぜか2階の階段前でぐるぐる回った後、階段に向けて突進したという。韓国ではちょうど、激務と窓口業務のストレスに耐えられずに辞めていく若手公務員が急増し、公務員の待遇を見直すべきだという世論が沸き起こっていた。「ロボットも公務員は嫌だったのかもしれない」と主なメディアが一斉に報道したことで話題になった。

 亀尾市庁によると、公務員ロボットはメーカーが回収し、原因を調査する予定だという。ロボットのメーカーは米国シリコンバレーのBear Robotics。亀尾市庁は、Bear Roboticsがロボットを亀尾市で生産していることから選定したという。レンタル料は月200万ウォンで、「給料200万ウォンの公務員ロボット」とも呼ばれていた。日本ではソフトバンクロボティクスがBear Robotics製の配膳・運搬ロボットを販売している。

 公務員ロボットは2023年8月、亀尾市庁がAI行政をサポートするため導入した。公務員証を首にかけ、午前9時から午後6時まで市庁の1階から4階までを移動しながら書類や郵便物を運んでいた。本体のディスプレーを使い、1階の窓口周辺で市のニュースを宣伝する業務も担当する。亀尾市ではロボット主務管(韓国の公務員の役職の一つ)として親しまれていた。

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趙 章恩=(ITジャーナリスト)  

《日経Robo》 2024. 7.  

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