韓国の放送業界でAI活用が当たり前に、番組制作の時間もコストも大幅削減

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本記事はロボットとAI技術の専門誌『日経Robotics』のデジタル版です

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 米OpenAI(オープンAI)が2024年2月に動画生成AI「Sora」を公開して以降、韓国では映像産業や放送業界でのAI活用が増えている。Soraが生成した動画に衝撃を受けたようで、自国のインフラやデータなどでAIを生み出すことができる能力、いわゆる「Sovereign AI」を確保すべきだという声も大きくなっている。

 韓国でも動画生成AIは開発されており、そのAIを用いてテレビ向けCMの背景や登場人物を生成する事例などがある。例えば、大手通信会社である韓国LG U+(LGユープラス)は、通信キャリアから「Growth Leading AX Company」(AIトランスフォーメーションで顧客の成長をリードする会社)になるとして、自社開発した大規模言語モデル(LLM)「ixi」の性能をアピールすること兼ねてCMを生成した。ixiで20万フレームを超える映像を生成し、編集もAIで行った。人が3Dアニメーションを制作する場合と比べて、時間と費用を半分以下に減らしたという。

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趙 章恩=(ITジャーナリスト)  

《日経Robo》 2024. 6.  

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韓国の放送業界でAI活用が当たり前に、番組制作の時間もコストも大幅削減 | 日経Robotics(日経ロボティクス) (nikkei.com)

オンデバイスAI家電で競うSamsungとLG、搭載するAIチップも自社開発へ

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 米Open AIの「GPT」や米Google(グーグル)の「Gemini」のように、クラウドコンピューティング基盤を前提としたAI(クラウドAI)の世界的な競争が広がる中、半導体や家電、スマートフォンなどハードウエアに強い韓国企業は、インターネットに接続しなくてもデバイスの中でAI機能を利用できるオンデバイスAIに力を入れている。

 韓国ではSamsung Electronics(サムスン電子)とLG Electronicsをはじめ、AIモビリティ会社を目指す韓国Hyundai Motor(現代自動車)、韓国語と韓国文化に特化した大規模言語モデル(LLM:Large Language Model)を開発するキャリア3社とスタートアップ、DX(Digital Transformation)を超えた「AX(AI Transformation)」を目指す中堅企業など、ほとんどの企業が「AIカンパニー」であることを強調している。

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趙 章恩=(ITジャーナリスト)  

《日経Robo》 2024. 5.  

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LGがAI物流ロボットを米展示会で公開、新興企業への投資や共同研究も拡大へ

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 韓国LG Electronicsは、米アトランタで2024年3月に開催された「MODEX 2024」に初参加した。MODEXは物流分野の展示会として米国最大級で、今年の来場者数は4万8000人を超えた。LG Electronicsはフルフィルメント(受注から商品のピックアップ・検査・梱包・配送・在庫管理まで物流の全過程を1カ所で行う統合物流センター)やスマートファクトリーに向けたソリューションを多数公開。AI物流ロボット「LG CLOi CarryBot」、移動マニピュレータの「Mobile Manipulator」、物流ロボットのプラットフォーム「Flex-RPS(Robotic Production System)」、自律搬送ロボット「低床型AMR(Autonomous Mobile Robot)」などを展示した。

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趙 章恩=(ITジャーナリスト)  

《日経Robo》 2024. 4.  

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LGがAI物流ロボットを米展示会で公開、新興企業への投資や共同研究も拡大へ | 日経Robotics(日経ロボティクス) (nikkei.com)

総選挙控える韓国でフェイク動画騒動、取り締まりや自主規制の強化で即対応

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 2024年4月に総選挙を控える韓国では、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領のディープフェイク動画が登場したとして、政府機関やポータルサイトが一斉に対策を発表するなど騒ぎになった。

 事の発端は、韓国警察が「TikTok」や「Instagram」で尹大統領のディープフェイク動画を発見したとして、放送通信審議委員会に対して掲載物の削除と当該物への利用者アクセスを遮断するように同年2月22日に要請したことだった。同委員会は放送と情報通信による健全な文化醸成と正しい利用環境の構築を進めるための機構である。警察の要請を受け、大統領のディープフェイクは社会秩序を混乱させるとして、「情報通信網利用促進及び情報保護等に関する法律」に沿って緊急審議を行うとした。

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趙 章恩=(ITジャーナリスト)  

《日経Robo》 2024. 3.  

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AI時代の到来を実感させたCES、熱意あふれる韓国スタートアップに存在感 |

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 どこを見てもAI、AI、AI─。米ラスベガスで2024年1月に開催された世界最大のテクノロジー見本市「CES 2024」では、何よりもAIが目立った。CESは大きく家電、ヘルスケア、モビリティー、スタートアップと展示場が分かれていたがAI活用をアピールするブースが多く、全体的にAIの展示会という印象を受けた。なぜAIを使うのか、どのようなデータを学習させたのか、目標や実行戦略は何かといったことを具体的に紹介するブースが多かった。家電、食品、建設、農業、広告制作、モビリティーなど幅広い分野でAI活用の展示があり、AIがないと何も始まらないAI時代になったことを実感した展示会だった。

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趙 章恩=(ITジャーナリスト)  

《日経Robo》 2024. 2.  

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AI時代の到来を実感させたCES、熱意あふれる韓国スタートアップに存在感 | 日経Robotics(日経ロボティクス) (nikkei.com) 

新イメージセンサでソニー追うSamsung、ロボ産業への戦略投資で政府も後押し

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 韓国Samsung Electronics社は2023年12月19日、ロボットやAR(拡張現実)対応のゴーグル型ヘッドマウントディスプレー「Apple Vision Pro」のようなXR(クロスリアリティー)向けデバイスの目の役割をする2つのイメージセンサ「ISOCELL Vizion 63D」と「同Vizion 931」を公開した(図1)。同社のイメージセンサであるISOCELL Vizionシリーズの最新モデルである。

図1 「ISOCELL Vizion 63D」(左)と「同931」(右)

図1 「ISOCELL Vizion 63D」(左)と「同931」(右)

(写真:韓国Samsung Electronics社)

 ISOCELL Vizion 63Dは、配送ロボットやドローンといった屋外で移動するロボットなどの目となるIndirect Time of Flight(iToF)型距離画像センサを業界で初めて信号処理部とワンチップ化した。

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趙 章恩=(ITジャーナリスト)  

《日経Robo》 2024. 1.  

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生成AI「Samsung Gauss」がついに公開、新型GalaxyにオンデバイスAIとして搭載へ

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 韓国のSamsung Electronics社とSamsung Advanced Institute of Technology社、Samsung Research社が2023年11月7~8日にフォーラム「Samsung AI Forum 2023」を水原(スウォン)市とソウル市で開催した(図1)。第7回となる今回の目玉は、何と言ってもSamsung Research社が自社開発した生成AI「Samsung Gauss」である。同社はSamsung Electronics社の家電やスマートフォン、ノートパソコンなどの先行研究開発を担う組織である。「Samsungグループも米OpenAI社のChatGPTのような生成AIを発表するだろう」といった声が2023年5月ごろから聞かれていたが、ついに同フォーラムでお披露目された。

図1 「Samsung AI Forum 2023」の様子

図1 「Samsung AI Forum 2023」の様子

(写真:Samsung Electronics社)

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趙 章恩=(ITジャーナリスト)  

《日経Robo》 2023. 12.  

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生成AI「Samsung Gauss」がついに公開、新型GalaxyにオンデバイスAIとして搭載へ | 日経Robotics(日経ロボティクス) (nikkei.com)

Hyundai同士でロボット開発競争へ、重工業グループと自動車グループが火花

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 2023年10月26日、世界最大級のテクノロジー展示会「CES」を主管する米Consumer Technology Association(CTA)はソウル市内でメディア発表会を開催し、韓国HD Hyundai社のCEOであるChung Ki-sun氏がCES 2024で基調講演をすると発表した。CTAは「HD Hyundai社は未来を見据えた画期的なイノベーションで持続可能な未来のために貢献していることから、講演者として招待した」と説明した。化石燃料を使う重工業と建設事業において、AIやロボットを導入したりデータを活用したりすることでサステナビリティを意識したイノベーションに取り組んできたと高く評価したようだ。HD Hyundai社側は基調講演でロボットや環境にやさしい船舶、建設技術など持続可能な未来のための「Tech First戦略」を共有するという。同社は造船、エネルギー、産業機械を手掛けるグループ会社で、傘下にHD Hyundai Robotics社がある。

 HD Hyundai Robotics社は1984年にHD Hyundai社のロボット部門として発足した。現在、韓国最大のロボットメーカーで、韓国の産業用ロボット市場でシェア1位である。HD Hyundai社はグループの未来を支えるコア事業として知能型ロボティクスを選定し、HD Hyundai Robotics社に投資を続けている。HD Hyundai Robotics社は韓国で最大手の通信キャリアKT社からも2020年に500億ウォンの投資を受けた。

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趙 章恩=(ITジャーナリスト)  

《日経Robo》 2023. 11.  

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Hyundai同士でロボット開発競争へ、重工業グループと自動車グループが火花 | 日経Robotics(日経ロボティクス) (nikkei.com)

生成AI活用を加速させるSamsung 全家電に導入へ、顧客の業務効率化も支援

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 2023年9月1~5日にドイツ・ベルリンで開催された欧州最大の家電見本市「IFA 2023」で、韓国Samsung Electronics社は米国の安全規格「UL規格」を取得したAI搭載家電を数多く展示した。また、家電に生成AIを導入する計画も発表した。

 まずAI搭載家電として紹介したのは、同社の高級家電「BESPOKE」シリーズである。冷蔵庫などにはエネルギー消費量を削減する「AI Energy Mode」、洗濯機には洗濯物の重さや汚れ具合を検知し最適な洗剤量を自動投入する「AI Wash」、オーブンには調理する料理をリモートでモニタリングする「AI Pro Cooking」などのAI機能を搭載した(図1)。

図1 複数のAI搭載家電を紹介

図1 複数のAI搭載家電を紹介

(写真:Samsung Electronics社)

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趙 章恩=(ITジャーナリスト)  

《日経Robo》 2023. 10.  

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韓国語・韓国文化に特化した大規模言語モデル、ChatGPTと差異化図る開発競争が激化

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 経済協力開発機構(OECD)のWebサイトでも紹介されている、英ニュースメディアTortoise Media社が2023年6月に発表した「The Global AI Index」1)で韓国は6位となった(図1)。AIに関するこのランキングはAIインフラ、運営環境、研究開発、政府政策、商用化などを点数化したもので、上位5カ国は米国、中国、シンガポール、英国、カナダだった。韓国の科学技術情報通信部(部は省に当たる)によると、自国語の大規模言語モデル(LLM)を保有するのは米国、中国、イスラエル、韓国ぐらいで、これも順位に影響したと見ている。

図1 韓国が6位にランクインした「The Global AI Index」

図1 韓国が6位にランクインした「The Global AI Index」

(画像:Tortoise Media社のWebサイトをキャプチャー)

 米OpenAI社の生成AIであるChatGPTが公開されてから、韓国では企業が業務効率化のために社内でChatGPTを導入する事例が増えている。その中でChatGPTに対抗すべく、韓国企業による韓国語と韓国文化に特化した生成AIやLLMの開発競争が始まった。インターネットサービス大手のNAVER社やKakao社、通信キャリアのKT社やSK Telecom社だけでなく財閥大手のLGグループ、SamsungグループもLLMを自社開発している。

 韓国政府も2023年4月、大統領直属組織であるデジタルプラットフォーム政府委員会が「超巨大AI競争力強化方案」を発表、2023年末までに3901億ウォンを投資してデータやソフトウエア、コンピューティング資源を拡充することを決めた。韓国語LLMを法律相談、診療所見作成支援、統計データ検索、韓国語教育といった公共のサービスに導入し、専門分野AIと韓国語使用AIプラットフォームの競争力を高めることを狙う。

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趙 章恩=(ITジャーナリスト)  

《日経Robo》 2023. 9.  

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韓国語・韓国文化に特化した大規模言語モデル、ChatGPTと差異化図る開発競争が激化 | 日経Robotics(日経ロボティクス) (nikkei.com)