AIで物流を一新した韓国クーパンが日本へやって来る

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韓国クーパンが日本進出へ AIフル活用で物流革新のスゴさ=趙章恩

 韓国ネット通販大手のクーパンが今年6月から、日本でテスト事業を始めている。クーパンは商品を注文後、遅くとも翌日には届く「ロケット配送」のサービスで韓国で急成長し、ソフトバンクグループ(SBG)のファンドからの出資も受け、今年3月には米ニューヨーク証券取引所にも上場した。初の海外進出国として選んだ日本で今後、EC(電子商取引)に旋風を巻き起こす可能性もある。

 クーパンは6月1日から東京都品川区中延地区限定で生鮮食品と生活用品、約320種類の通販テスト事業を始めた。注文が入ると、デリバリーサービスのようにアプリで集めた配達員が短時間で配達する。午前9時から午後11時まで利用でき、手数料は1件当たり200円。クーパンは今年4月、シンガポールにも現地法人を設立したが、海外でサービスを行うのは日本が初めてとなる。

 韓国で2014年に始まったロケット配送は、午前9時までに注文するとその日の午後までに、夕方注文すると翌日までに商品が届くサービスで、生鮮食品は午前0時までに注文すれば翌朝午前7時までに届ける。一度に1万9800ウォン(約2000円)以上(食品は1万5000ウォン以上)を注文するか、月2900ウォンの有料会員「ロケットワウ」に加入すると利用できる。

 昨年10~12月にクーパンで買い物をした人は1485万人にのぼり、人口の3分の1に当たる。韓国統計庁の「20年eコマース市場シェア」によると、クーパンの年間取引額は22兆ウォン(約2兆2000億円)と市場シェアで2位(13%)を占め、トップのNAVER(年間取引額28兆ウォン、市場シェア18%)を猛追する。韓国では、クーパンは近所のスーパーのように気軽に利用できるサービスとして定着している。

SBGの投資が支え

 クーパン創業者の韓国系米国人キム・ボムソク氏が言うように、ロケット配送の競争力はAI(人工知能)にある。クーパンがAIにより売れ筋商品を分析して直接仕入れ、全国に170近くある物流センターに配置。注文が入ると最も近い物流センターから自社の配送員が届けること…

残り1696文字(全文2596文字)

週刊エコノミスト

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趙 章恩(ITジャーナリスト)

 

週刊エコノミスト

2021. 7.

-Original column

https://weekly-economist.mainichi.jp/articles/20210713/se1/00m/020/055000c

韓国はすでに消費回復の動き 若者中心に高まる消費意欲

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韓国 若者リードで消費回復へ=趙章恩

 韓国銀行が発表した2021年5月の消費者心理指数は105・2で、18年6月(106・3)以来の最高水準を記録した。指数が100を超えると今後の景気を楽観視しているという意味になる。

 韓国政府はワクチン接種完了者を対象にしたマスクなしでの外出を認め、コロナ陽性者数が少ない国同士で協定を結び出入国の際の隔離を免除し観光客を受け入れる「トラベルバブル制度」による海外団体旅行を許可する…

残り316文字(全文526文字)

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趙 章恩(ITジャーナリスト)

 

週刊エコノミスト

2021. 6.

-Original column

https://weekly-economist.mainichi.jp/articles/20210706/se1/00m/020/064000c

韓国 米動画配信社の法人税2.1億円

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 フェイスブックコリアなどの外資系インターネット企業が、韓国内での利益を初めて公開した。法律改定により、売り上げまたは資本金が500億ウォン(約49億円)以上の有限会社は外部監査を経て監査報告書を公開しないといけなくなったためだ。注目されたのが、動画サービスの中でもっとも利用者が多い米動画配信大手ネットフリックスの韓国法人だ。同社の20年売上高は前年比124%増の4154・5億ウォンで、韓国で納めた法人税は…

残り308文字(全文513文字)

週刊エコノミスト

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趙 章恩(ITジャーナリスト)

 

週刊エコノミスト

2021. 5.

-Original column

https://weekly-economist.mainichi.jp/articles/20210525/se1/00m/020/064000c

韓国 配送ロボットの普及に本腰=趙章恩

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韓国政府は3月4日、ソウル市と水原(スウォン)市の一部地域で実証実験中の屋外自動配送ロボットの利用拡大や、ドローンの配送地域拡大などの方策についてまとめた「デジタル流通競争力強化方案」を発表した。

 同方案では、2021年内に自動配送ロボットの歩道走行を許可し、22年までにドローン配送の実証サービスを1000回以上実施する方針だ。配送に必要な流通データは、誰でも利活用できるようオープン・プラットフォーム化する。

 政府の後押しもあってか、同月19日には現代自動車、起亜と、韓国最大のフードデリバリーアプリを運営するウーワ・ブラザーズが、決済機能を搭載した自動配送ロボットの共同開発を発表。現代自動車、起亜がロボット本体、ウーワ・ブラザーズが制御システムを開発する。

残り186文字(全文519文字)

週刊エコノミスト

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趙 章恩(ITジャーナリスト)

 

週刊エコノミスト

2021. 4.

-Original column

https://weekly-economist.mainichi.jp/articles/20210413/se1/00m/020/069000c

「愛の不時着」に続き、韓国初の宇宙SF映画にも資金 NETFLIXが韓国に大金を投じる理由

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韓国初の宇宙SF映画「スンリ号(スペース・スイーパー)」が、動画配信サイトのネットフリックスで独占公開。

26カ国で最も視聴回数の多い外国映画を記録し、話題になっている。

韓国ではコンピューターグラフィックス技術の高さに驚いたというファンが多く、海外では宇宙のゴミを拾う清掃船を背景にした家族愛という点が評価されていた。

スンリ号は製作費240億ウォン(約23億円)の大作だが、封切りを2度延期した末に、ネットフリックスが310億ウォンで購入。

中国を除く世界配給をネットフリックスが担当する。

ネットフリックスが韓国に投資した金額は2015年から20年まで7億ドル、20年9月には、サービス運営とは別に韓国でのオリジナルコンテンツ制作をサポートする法人も設立している。

分析会社WISEAPPによると、韓国内のネットフリックス決済額は19年の2483億ウォンから、20年には5173億ウォンと108%増加した。

ネットフリックスに販売することで制作側は安定した利益を確保できるが、韓国映画プロデューサー組合からは、「韓国の制作会社はネットフリックスの下請けになるかもしれない」と強すぎる影響力を懸念する声も出ている。

(趙章恩・ソウル在住ジャーナリスト)

(本誌初出 韓国 韓国映画、ネット配信で世界的ヒット=趙章恩 20210309)

 

週刊エコノミスト

2021. 3.

-Original column

https://weekly-economist.mainichi.jp/articles/20210309/se1/00m/020/062000c

熱愛発覚後も人気冷めぬ『愛の不時着』カップル、“大人の恋愛”に称賛

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 日本でも『愛の不時着展』が開催されるなど、引き続き話題を集めている韓国ドラマ『愛の不時着』。年明け早々飛び込んできたのが、このドラマで主演を務めたヒョンビン(38才)とソン・イェジン(38才)の熱愛ニュース。世界中のドラマ視聴者が2人の恋の行方を見守っていただけに、報道から約1か月経った今も韓国のSNSやテレビを賑わし続け、2人の好感度がさらに上昇する人気ぶりだという。ソウル在住のKDDI総合研究所特別研究員・趙章恩さんがリポートする。

 * * *
 ヒョンビンとソン・イェジン、同い年のスターカップルの誕生に、韓国のSNSでは「お似合いカップル!」「やっと2人が熱愛を認めて嬉しい」といった祝福の声で溢れている。筆者も、2人の事務所が発表した熱愛を認めるコメントを読むうち、ドラマのクライマックス、スイスの草原で2人が見つめ合い微笑むシーンを思い出し「なんて素敵なカップルなんだろう」と嬉しい気持ちだ。熱愛報道後、Netflixでは再びドラマの人気が急上昇し、アジア各国で総合ランキング上位になった。

 ヒョンビンとソン・イェジンの熱愛報道は今回で4度目。1度目は2018年9月に映画『ザ・ネゴシエーション』で共演した後、2度目は2019年1月に米ロサンゼルスのスーパーで2人が一緒に買い物している写真がSNSに投稿されたとき、3度目は2020年1月の『愛の不時着』放送開始時だ。度々熱愛が取り沙汰されては、これまで双方とも否定してきたが、4度目となる今回、満を持して交際を認めたのだ。

 2020年1月に熱愛が取り沙汰されたときは、韓国では結婚説や破局説などさまざまな情報が拡散し、ワイドショーやSNSなどではしばらくの間この話題で持ち切りだった。今回も交際を認めたことで、韓国放送局KBSの芸能番組では、「結婚しそうなスターカップル1位」として2人の特集が組まれるなど前回を上回るお祝いムード。スターの熱愛が発覚すると、ファンが離れたり人気が落ちるのが普通だが、2人の場合はそれをものともせず、今回の交際宣言で逆に好感度を上げている印象だ。

 1月23日、熱愛を認めてから初めて、ヒョンビンがファンの前に姿を現した。韓国エンターテインメントマネジメント協会が主催した「2020 APAN STAR AWARDS」で、『愛の不時着』での演技や視聴率、知名度、好感度などが認められ大賞を受賞したのだ。受賞の感想を述べる際、ソン・イェジンのことはあえて触れないまま終わるだろうと予想していたファンが多かったが、ヒョンビンはそれを気持ちよく裏切った。

 ヒョンビンは、『愛の不時着』を視聴した全世界のファンや監督、俳優らに感謝の言葉を述べた後、「ジョンヒョク(ヒョン・ビン)にとってはあまりにも最高のパートナーだったユン・セリ(ソン・イェジン)。イェジンさんが上手に創り上げたユン・セリというキャラクターのおかげで、リ・ジョンヒョクはよりかっこよく息ができました。この場を借りて本当にありがとうと言いたいです」と、淡泊ながらもソン・イェジンの演技を称えるコメントで愛情を表現した。

ありきたりの「サランヘヨ(愛しています)」ではなく、恋人であり役者としてのソン・イェジンの実力を認め尊重するコメントで締めくくったことがかっこよすぎると、韓国メディアやSNSでは称賛の嵐である。このコメントの中に、2人の関係が表れているのではないだろうか。お互いの仕事ぶりを認め相手を思い配慮する大人の恋愛が垣間見えたことで、2人の好感度はますます上昇した。

 2021年は、ソン・イェジンの俳優デビュー20周年でもある。1月11日のソン・イェジンの誕生日には、誕生日とデビュー20周年のお祝いに熱愛報道まで重なり、ファンの愛情が爆発した。ソン・イェジンのインスタグラムには、広いリビングをぎっしり埋め尽くしたファンからの花束やケーキなどの写真が投稿され、ソウルの商業施設「COEXMALL」の大型スクリーンには、ファンによる大々的なお祝い広告も掲載された。ソン・イェジンがいつも寄付している児童施設や病院などにもファンからの寄付が集まるなど、彼女の人気ぶりが改めてうかがえた。

 この20年間、ソン・イェジンと共演者の熱愛報道は何度かあったが、交際を認めたのはヒョンビンが初めて。かつてソン・イェジンがバラエティー番組に出演した際、「(恋人を明かして堂々と交際する)「公開恋愛」をする芸能人が増えているが、自分は負担が大きいのでしたくない」と話していただけに今回交際を認めたのは意外だったが、それだけ2人の思いが真剣ということなのだろう。

 韓国では、2022年に2人は結婚するのではないかと報じるメディアもあった。ヒョンビンは2011年のインタビューで、「芸能人の生活は不規則なのでこの職業を好きになってくれる人はいても隣で理解してくれる人はいないようだ」と話したことがある。また不思議なことに、ソン・イェジンも2011年、「俳優という職業は私の生活の延長線上にある。それを理解して配慮してくれる人がいい」とインタビューで話していた。2人は交際を始めて以降、ヒョンビンの海外の長期滞在など頻繁に会えていたわけではないようだが、それでも2人の絆はとても強いという。お互いを理解してくれる相手に出会ったからかもしれない。

【趙章恩】
ジャーナリスト。KDDI総合研究所特別研究員。東京大学大学院学際情報学修士(社会情報学)、東京大学大学院学際情報学府博士課程単位取得退学。韓国・アジアのIT・メディア事情を日本と比較しながら分かりやすく解説している。趣味はドラマ視聴とロケ地めぐり。

NEWSポストセブン》

2021. 1.

-Original column

https://www.news-postseven.com/archives/20210108_1626954.html?DETAIL

BTSのグラミー賞に期待高まる アジア最大級音楽祭で8冠

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 新型コロナウイルスの感染拡大で大きな打撃を受けながらも、巣ごもり需要をいち早く取り込み大躍進した韓国のエンタメ業界。特に、人気アイドルグループ「BTS(防弾少年団)」は米ビルボードのシングルチャートで全米1位を獲得するなど、世界的なヒットを記録した事は記憶に新しい。そんな中、アジア最大級の音楽祭「MAMA2020(Mnet ASIAN MUSIC AWARDS)」が12月6日開催された。ソウル在住のKDDI総合研究所特別研究員・趙章恩さんがレポートする。

 * * *
 2020年の韓国のエンタメ業界は、2月に映画『パラサイト 半地下の家族』が第92回アカデミー賞で4部門を受賞した事から始まり、『愛の不時着』をはじめとした韓国ドラマが日本で大ブームとなったり、BTSが「Billboard Hot 100」1位を獲得し、第63回グラミー賞にもノミネートされるなど、映画やドラマ、音楽など韓国発のエンタメコンテンツが海外で愛された1年となった。

 米TIME誌は、BTSを「世界で最もビッグなバンド」とし、「今年のエンターテイナー(Entertainer of the Year)」に選定。BTSの躍進を受けて、韓国メディアは2021年1月に開催されるグラミー賞で、BTSが最優秀ポップ・パフォーマンス賞(グループ/デュオ部門)を受賞するのではないかと大いに期待している。

 そんな中、韓国では音楽や映画、ドラマ、ゲームなどエンタメ業界の1年を締めくくる授賞式が相次いで開催されている。特に注目度が高いのが、12月6日オンラインで開催された年末恒例の音楽アワード「MAMA2020(Mnet ASIAN MUSIC AWARDS)」だ。MAMAは、「音楽でひとつになるアジア最大級の音楽授賞式」をキャッチフレーズに、韓国や日本、ベトナム、香港などで毎年開催・放送されてきた。今年はコロナ禍ということもあってか、MAMAの開催中、アメリカや日本、ブラジル、イギリスなど世界68地域でTwitterリアルタイムトレンド1位を獲得するほど視聴者が多かったようだ。

 授賞式では、アーティスト賞、歌賞、アルバム賞など、BTSが計8部門を受賞。大賞4部門を2年連続で総なめにした。今年の活躍ぶりを見れば当然の結果だろう。そのほか、女性グループ賞は日本でも人気が高い韓国ガールズグループ「BLACK PINK」が、インスパイアード・アチーブメント賞はBoAが受賞した。

 BTSメンバーの末っ子ジョングクは授賞式で、「私たちに熱情、覇気、毒気(必死になるという意味)しかなかった時代があったが、ARMY(BTSファンの呼称)の皆さんが真心と愛情を教えてくれた」とコメント。BTSとARMYの絆は有名だが、マンネ(末っ子)の口から「ファンから愛を学んだ」という言葉が出てきたのは、ARMYにとってはこの上ない喜びだったのではないだろうか。

MAMAは、どのアーティストがどの賞を受賞するかよりも、どれだけすごいパフォーマンスを見せたか、どんな仕掛けでファンを楽しませたか、という事の方が話題になる印象がある。今年は特にオンラインでの配信だったこともあり、韓国で「実感コンテンツ」と呼ばれるAR・VRなどの仮想現実や拡張現実を駆使した仕掛けが多かった。舞台上だけでなく客席まで使い、先端技術で実際の映像とグラフィック映像を合成し、現場で見るよりもさらに色鮮やかで華やかな演出を行った。

 BTSは「ボリュメトリックキャプチャ」というXR技術(ARやVRの総称)を使い、肩の手術のため活動を休止しているSUGAを登場させた。実際に舞台上にいるのは6人のみだが、新曲『Life Goes On』が始まりSUGAのパートになると、他のメンバーと同様画面に溶け込むようにSUGAが登場し、メンバー7人全員が揃うという仕掛けを施した。あらかじめ専用スタジオでSUGAを4K画質のカメラで360度撮影し、高画質の3次元デジタルデータで再現したという。まるで本当にSUGAが同じ空間にいるような精巧な仮想現実だった。米ビルボードでチャート1位を獲得した『Dynamite』でも曲の後半、AR技術でメンバーの後ろで花火が打ち上げられ、フィナーレでは花火がDYNAMITEの文字に変わる、という演出が施されていた。

 MAMAの目玉はBTSだけではない。デビュー20周年を迎えたBoAの特別ステージも素晴らしかった。BTSより先に韓国初の賞を数多く獲得した先駆者であるBoAは、韓国人なら誰もが口ずさめるのではないかというほどヒットした曲『No.1』と、韓国ボーイズグループ「SHINee」のテミンと難易度の高いダンスを披露した『Only One』、新曲『Better』の3曲を披露。全てかっこよく、デビューから今までを短く編集した映像で『Better』が流れ始めた時は、「20年間あっという間だったな~」という感慨深い気持ちになった。

 BoAといえば、2002年3月にリリースした日本でのファーストアルバム『LISTEN TO MY HEART』で、韓国人で初めてオリコン週間アルバムランキング1位を獲得し、セカンドアルバム『VALENTI』も発売初日に100万枚を超える大ヒットを記録した日本でも馴染み深いアーティスト。最近は日本での露出は減っているが、今は所属事務所であるSMエンターテインメントの取締役を務めながら曲作りも続けている。

 コロナの影響で全てのイベントがオンラインでの開催となってから、テレビやスマホ越しにしかアーティストに会えない1年だったが、韓国エンタメ業界はコロナ禍ならではの試みでファンを沸かせている。MAMAは公式YouTubeからも観られる。最新技術を駆使した超豪華K-POPスターたちのパフォーマンスをぜひその目で確認して欲しい。

【趙章恩】
ジャーナリスト。KDDI総合研究所特別研究員。東京大学大学院学際情報学修士(社会情報学)、東京大学大学院学際情報学府博士課程単位取得退学。韓国・アジアのIT・メディア事情を日本と比較しながら分かりやすく解説している。趣味はドラマ視聴とロケ地めぐり。

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2020. 12.

-Original column

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次にヒットする韓国ドラマの新潮流は「ファンタジー系」

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新型コロナウイルスの感染拡大で大打撃を受けたエンタメ業界。多くの人々が自粛生活を余儀なくされたことで、コンサートや映画など接触型のエンタメは壊滅的な影響を受けたが、ネットの動画配信など、「巣ごもり需要」を取り込む新たな動きが目立った年でもあった。その恩恵を最も受けたのが、韓国のエンタメ業界ではないだろうか。特に、『愛の不時着』など韓国ドラマの世界的ブームは記憶に新しい。ソウル在住のKDDI総合研究所特別研究員・趙章恩さんが、今年1年の振り返りと、来年日本で話題になりそうな韓国ドラマを紹介する。

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 コロナ一色となった2020年、韓国のエンタメ業界は無観客コンサートのネット配信や動画サイトでの新作映画の封切り、テレビ会議システムを使ったファンミーティングなど、「巣ごもり消費」をいち早く取り込もうとさまざまな手を打った。

 この1年でNetflixなどの動画配信サイトの利用者は大幅に伸びており、韓国言論振興財団の調査によると、2019年の47.1%から2020年には66.2%に増加。特に60代以上の増加率は大きく、2019年の17.7%から2020年には39.3%と2倍以上に伸びた。コロナ禍を背景に、動画配信サイトでドラマを観る人が増えたことや、幅広いジャンルのドラマが配信されたことなどが主な要因だろう。韓国でヒットしたドラマが日本でもヒットし、韓国人が面白いと思うドラマが日本人にも受け入れられたことで、韓国の視聴数がさらに伸びるという好循環が生まれていたように思う。

 Netflixが12月14日「note」に公開した記事によると、今年配信した作品の中で「最も多い日数総合TOP10(日本)入りした作品」1位は『愛の不時着』。続いて2位に『梨泰院クラス』、6位『サイコだけど大丈夫』、8位『青春の記録』、9位『キム秘書はいったい、なぜ?』と、半分を韓国ドラマが占めた。さらに同社は、「配信直後から日本で最も勢いのあった韓国ドラマTOP10」も公開。1位はこれぞ“王道のラブコメ”と言える『キム秘書はいったい、なぜ?』。2位は『私のIDはカンナム美人』、3位『青春の記録』、4位『梨泰院クラス』、5位『サイコだけど大丈夫』だった。

 一方、日本で人気になる韓国ドラマは、主にNetflixで配信されるものが中心のためこのようなランキングになるが、韓国で今年人気だったドラマは日本とは大きく異なる。韓国メディアのジョイニュース24が今年10月に集計した「2020年最高のドラマ」によると、1位『賢い医師生活』、2位『夫婦の世界』、3位『キングダム シーズン2』、4位『秘密の森 シーズン2』、5位『愛の不時着』、6位『サイコだけど大丈夫』となった。1位の『賢い医師生活』はNetflixで日本でも観られるが、日本ではそれほど話題になっておらず、日本で人気の『愛の不時着』、『サイコだけど大丈夫』は同ランキングでは5位以下だったのが興味深い。

次に「来る」のはファンタジー系ドラマ

 韓国ドラマといえば、ラブコメや時代劇、ほのぼの系ホームドラマ、マクチャンドラマ(ドロドロの愛憎劇)などが定番。特にラブコメ率は高く、医療ドラマかなと思ったらラブコメ、サスペンスドラマかなと思ったらラブコメというほど、これまでどんなドラマにも「ラブライン」と呼ばれる、登場人物が恋に落ち結ばれるまでの駆け引きを無理やり入れることが多かった。しかしここ数年韓国では、「ラブラインの無いドラマ」という宣伝文句が登場するほど、ラブコメ以外のドラマのニーズが強くなっており、これが日本と韓国の人気ランキングに差が生まれる一つの理由ではないかと思う。

 今韓国で人気急上昇中なのが、これまであまり無かった「ファンタジー系」ドラマだ。現在放送中の『驚異的なソムン』(ソムンは「噂」の意、主人公の名前でもある)は、韓国ウェブコミック配信サイト「DAUM WEBTOON」で連載されたマンガが原作のスリラー×ファンタジードラマ。人に取り憑き殺人を犯す悪霊と、悪霊を退治する「カウンター」と呼ばれるヒーローたちの物語で、カウンターは、普段は「クッス(韓国式そうめん)食堂で働いているが、悪霊を感知すると客を放置して出動、それぞれが持つ驚異的な能力で悪霊をやっつけ人々を救う。1話、2話と回を重ねる度に注目を集め、12月13日放送された6話の視聴率は全国平均7.7%、最高視聴率8.3%と高視聴率を記録。ケーブルテレビドラマの歴代視聴率TOP5に入りそうな勢いである。

『驚異的なソムン』は、『愛の不時着』を制作した「スタジオドラゴン」の作品。大手制作会社の作品にも関わらず、この頃韓国ドラマでよく見られるスポンサーの商品を無理やりドラマの中に登場させて視聴者の失笑を買う、といったことが無いのも好感を得ている要因だろう。これまでの韓国ドラマでは、突然スーツのポケットから真空パックキムチを取り出して主人公に差し出し、キムチをクローズアップするといったあからさまなシーンも度々見られたが、こんなことをされるとそれまでの感動が台無しだ。制作やスポンサー側も、そうした姑息な描写が逆効果であることを意識し始めているのかもしれない。

『驚異的なソムン』は、ケーブルテレビの放送に加え、韓国のNetflixでも配信されている。SNSでの評判を見ると、好きな時間に観られるNetflixで観る人がかなりいるようで、Netflix韓国版の「総合TOP10」1位になるほど大人気だ。近々日本でも配信されれば、来年話題さらう人気ドラマとなるのではないだろうか。

【趙章恩】
ジャーナリスト。KDDI総合研究所特別研究員。東京大学大学院学際情報学修士(社会情報学)、東京大学大学院学際情報学府博士課程単位取得退学。韓国・アジアのIT・メディア事情を日本と比較しながら分かりやすく解説している。趣味はドラマ視聴とロケ地めぐり。

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2020. 12.

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BTSの急成長支える「ARMY」パワー 進化するファンとの関係

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 韓国の人気アイドルグループ「BTS(防弾少年団)」のシングル『Dynamite』が11月24日(現地時間)、音楽界の最高栄誉とされる「グラミー賞」にノミネートされ大きな話題になっている。アジア出身の歌手がノミネートされたのは初めてで、SNSでは世界中のBTSファン「ARMY」の歓喜の声で溢れた。BTSは、10月にも米ビルボードのシングルチャートで1位を獲得したばかり。ソウル在住のKDDI総合研究所特別研究員・趙章恩さんは、「BTSの大ヒットは、ARMYたちの尋常ではない努力の賜物」と話す。

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 コロナ禍でエンタメ業界全体が落ち込むなか、この1年で異例の急成長を遂げたBTS。公式YouTubeに頻繁に動画をアップしたり、大々的なオンラインコンサートを実施するなど、自宅にいながらBTSを楽しめるよう工夫した運営側の活動もあるが、BTS人気をここまで押し上げたのは、紛れもなくARMYたちの働きによるところが大きい。

 その働きは、例えばBTSがデビューして間もない頃は、話題になるよう新曲を発表したら、24時間眠らずに新曲動画を繰り返し再生する(再生回数を稼ぐため)、BTSの歌詞をARMYが世界各国の言葉に翻訳し解説を付けてSNSで紹介する、BTSの活動でメンバーのためにならないことや、社会的に納得のいかないことなどがあれば改めるよう所属事務所に直談判したり抗議活動をする、「BTSをもっと知ってほしい」という思いから地下鉄や電車にARMYたち自ら広告を出す、BTSの活動に関する論文を書く…など挙げ始めたらキリがない。

 プロモーター的な役割を担うこともある。10月に開催されたオンラインコンサート『BTS MAP OF THE SOUL ON:E』のチケット販売の際は、チケットの種類が多いうえ、運営側の説明が分かりにくかったことから大混乱が生じたが、ARMYの1人が「どのデバイスからどんな映像をどのように見たいか」でチケットを選択できるよう一目でわかる表を作りSNSで公開、運営側がその表を公式サイトなどに転載して案内し直したことがあった。

また、10月はメンバーのジミンの誕生月だったため、中国のARMYがソウル中区役所と協力し、「明洞ジミンテーマ通り」と題した盛大な誕生祭を実施。ソウル中心地の明洞のあちこちにジミンの写真や看板が登場し、メインストリートの入口には「ジミン楽園へようこそ」と書かれた大型のLEDゲートも設置された。休業中のお店の大型看板がジミンの写真に代わっていたり、レストランやカフェの中を覗くとひょっこりジミンの等身大サイズの立て看板が見えたりして、ARMYではない私でも宝探しのようで楽しい気持ちになった。目玉は明洞芸術劇場前に設置された、スノードームにすっぽり入ったジミンのオブジェだ。夜になると灯りがともり幻想的な雰囲気になるので、明洞の観光スポットの一部としてずっと置いて欲しかったくらいだ。

 韓国では、こうしたARMYパワーに注目する記事が増えている。「歴史上最も強力な“ファンダム(熱心なファン集団)”」、「ARMYは全世代、全世界に存在する」とし、ARMYのような自主的に動くファンは他のアーティストには無い現象であり、その存在自体も単なる狂信的なファンのものとは性質が異なることなどを伝えた。

 ARMYたちの“規格外”の活動には、海外メディアも注目している。英ロイター通信や米ブルームバーグ、米ワシントンポストは、BTSが6月、人種差別の撤廃などを訴える「Black Lives Matter」運動に100万ドルを寄付したところ、ARMYもこれに呼応し同額の100万ドルを集めたことなどに触れ、SNS上の繋がりやハッシュタグを使い、社会問題に積極的に声を上げ行動するこれまでにない部類のファンであることを詳しく報じた。アジア人であるBTSも差別の対象になる可能性があるため、「人種差別問題には積極的に対応する」という米国ARMYたちの声も紹介していた。

 2020年に3周年を迎えたユニセフとBTSが行っている児童・青少年に対する暴力根絶運動「LOVE MYSELF(私自身をまず愛そう)」でも、SNSなどでのARMYの活動により寄付金額は2020年10月末に32億ウォン(約3億円)を突破した。

 アイドルとファンの先例の無い新たな関係性を築くARMYの活躍から目が離せない。

【趙章恩】
ジャーナリスト。KDDI総合研究所特別研究員。東京大学大学院学際情報学修士(社会情報学)、東京大学大学院学際情報学府博士課程単位取得退学。韓国・アジアのIT・メディア事情を日本と比較しながら分かりやすく解説している。趣味はドラマ視聴とロケ地めぐり。

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2020. 11.

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https://www.news-postseven.com/archives/20201129_1616739.html?DETAIL

グラミー賞にも期待 BTS新譜は“爆発の年”締めくくる作品

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米ビルボードチャートで韓国アーティストとして初の1位を獲得するなど、今人気絶頂のアイドルグループ「BTS(防弾少年団)」。彼らの最新アルバム『BE (Deluxe Edition)』が11月20日、世界同時リリースされるとあって、音楽特番などが増える年末年始に向けてさらに注目が集まっている。この1年のBTSの活躍について、ソウル在住のKDDI総合研究所特別研究員・趙章恩さんが解説する。

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 BTSの最新アルバム『BE (Deluxe Edition)』は、音楽だけでなく、コンセプトからデザイン、構成、ミュージックビデオ(MV)に至るまで、メンバーが制作全般に参加するなど、これまでに無い力の入れようとなっている。初回の特典も太っ腹で、韓国で初回限定版としてCDとセットで販売されるのは、92ページのフォトブックに32ページのメイキングブック、フォトブックサイズの額縁、ポスター、フォトカードなど、全部で重さ1kgの超豪華版。これで3万9400ウォン(約3700円)はお買い得だ。前回のアルバム『Map Of The Soul : 7』同様、予約販売サイトによっても異なるオリジナル特典が用意されているというから、どこで買おうか悩んでしまう。

 アルバムの発売に先立って、11月1日から公式SNSで新アルバムのコンセプトフォトも公開。1日目はメンバー全員、2日目はV、3日目はジミン、4日はRMとリレー形式で公開し、指折り数えて発売を待つ「ARMY(BTSファンの名称)」の心を離さない仕掛けを用意した。どの写真も美しい作品に仕上がっており、メンバーがそれぞれ録音したオーディオガイドも付いている。どんなコンセプトの写真なのか、自分らしさを表現するためどこにこだわったのか、本人が解説してくれるのだ。

 アルバムとは別に、年末恒例の「シーズングリーティング(略してシグ)」も予約販売を開始した。K-POPアイドルらが毎年発売する「シグ」はカレンダーやダイアリー、フォトブック、メイキングDVDなどで構成されたグッズのことで、「BTS 2021 SEASON’S GREETINGS」は90年代を彷彿とさせるレトロコンセプトで制作された。メイキングDVDの一部が先行公開されたが、BTSメンバー自らが考えたという自身の“サブキャラ”の説明がとにかく笑える。今韓国のバラエティー番組では、芸能人らがサブキャラを作り本人でないふりをして登場するのが流行っている。BTSもその流行りにのってARMYを楽しませようとしているのだ。

 BTSが最新アルバムやシグに力を入れるのは、もちろんアルバムを売るためということもあるが、2020年という年の締めくくりとして、特別な思い入れもあるからではないだろうか。2020年は、多くの人にとってコロナで全てが思い通りにいかない年であったが、コロナ禍にデビュー7周年を迎えたBTSと、彼らを支えるARMYにとっては、最も団結した1年であり、これ以上ない飛躍の年となったからだ.

今年2月、2年3か月ぶりにリリースしたアルバム『MAP OF THE SOUL : 7』は米ビルボードのアルバムチャートで1位を獲得し、全世界で417万枚のセールスを記録。8月に発表した新曲『Dynamite』でも、米ビルボードシングルチャート「Hot100」で初登場1位を獲得し、3週連続で首位をキープ。不動の人気を獲得した。

 9月から10月にかけても、毎日のように『Dynamite』のパフォーマンス動画を公開。米国の有名番組が企画した動画だったため米国のテレビやラジオで放送され、その後YouTubeにも毎日アップされた。同じ曲なのに、パフォーマンス毎に新しいBTSが見られるため、ARMYたちは毎日その動画を心待ちにした。おかげで世界中のARMYが家にいながらBTSにどっぷりハマることが出来た。

 10月10日から2日間にわたり開催したオンラインコンサート『BTS MAP OF THE SOUL ON:E』も凄かった。所属事務所によると、世界191か国99万3000人がチケットを購入する異例の盛況ぶりで、全員が最も安いチケット(4万9500ウォン)を購入したとしても売上は491億ウォン(46億円)超えと、凄まじい売上を叩き出した。コンサートの内容も、4つのセットにAR(拡張現実)を駆使したダイナミックな舞台演出や、6つのアングルを選択できるマルチビューに対応するなど、リアルのコンサートと遜色ない、配信だからこそ楽しめる仕掛けが多数施されていた。

 曲名通り、“ダイナマイト”が爆発したかのような1年を駆け抜けたBTS。ARMYも、PCやスマホの画面などからYouTubeやSNSで追いかけ続け、自宅にいながらまるで全てのライブに参加したかのような疲労感と達成感を味わえた、といった声が多く見られた。それほど応援に没頭し、団結していたのだろう。応援するだけでも大変だが、メンバーはいつ練習していたのか、彼らの体力にも感服する。

 新アルバム『BE (Deluxe Edition)』のリリースから3日後の11月23日(日本時間)にも、米国の栄誉ある音楽賞の一つであるアメリカン・ミュージック・アワードで、収録曲『Life Goes On』を世界初披露する予定だ。また、1月にはグラミー賞も控えている。米ビルボードでシングルチャート1位を獲得した際、メンバーのSUGAは「グラミー賞を受賞し、BTSの単独公演をしたい」と抱負を語っていた。コロナ禍を共に乗り越え、数々の記録を打ち立ててきたメンバーとARMYに、グラミー賞受賞という喜びを味わって欲しいものだ。

【趙章恩】
ジャーナリスト。KDDI総合研究所特別研究員。東京大学大学院学際情報学修士(社会情報学)、東京大学大学院学際情報学府博士課程単位取得退学。韓国・アジアのIT・メディア事情を日本と比較しながら分かりやすく解説している。趣味はドラマ視聴とロケ地めぐり。

NEWSポストセブン》

2020. 11.

-Original column

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