「おまけ」に弱い韓国ユーザー(下) [2007年10月24日]

韓国のオンラインショッピングや量販店、ディスカウントショップのパソコン売場に行くと、ノートパソコン単体で販売するのはあまり目にしない。日本ではほとんどがオプションになっている、専用バッグ、マウス、キーボード、液晶保護シールなどをセットにした「パッケージ」として販売されている。

 ウォン高の影響から東芝や富士通のノートパソコンが三星電子やLG電子よりも安く買えるようになってからは、韓国メーカーはますますパッケージ販売に精を出している。パッケージにしてしまえばパソコンの値段に少しプラスするだけで周辺機器が付いてくるのでお得感があるからだ。2007年に入ってからは、ノートパソコンをデスクトップのモニターのように使える設置台と無線キーボード、マウスをパッケージにしたり、デジカメやUSBメモリー、ナビゲーション、複合機までもパッケージにしたりして売り出している。


 韓国ではパソコンに限らず、何にでも「おまけ」が付かないと売れない。


 雑誌の付録が豪華なのは周知の通り。女性ファッション誌には毎月、化粧品やポーチ、醤油、お酢、タオル、ネックレスなど「こんな物までくれるのか!」というほど付録が付いてくる。本屋さんの入口にはその月の雑誌付録が雑誌よりも前面にディスプレイされ、「今月は何をもらおうかな~」と付録を見て雑誌を選ぶ。


 スーパーに行けば加工食品や調味料、洗剤、シャンプーといった生活用品にも新製品のサンプルや自社製品のミニチュアがおまけとしてガムテープでぐるぐる巻きにしてある。今日なんて、牛乳やヨーグルトに本体とは違う味のミニチュア版が、オレンジジュースにはウェットティッシュが、インスタントコーヒーにはガラスの小皿4枚が付いていた。洗濯機にはミキサーが、テレビには食器洗い機がおまけとして付いてくる。「どうせならおまけが付いている方を選んでしまおう」というのは、子供や主婦に限った話しではないようだ。


 どこよりもパッケージ販売に積極的なのは三星電子だ。2004年から、カルティエに似たゴージャスなデザインが売りの革製品ファッションブランド「ルイカトズ」と提携している。ルイカトズは、三星電子のノートパソコンを購入した人だけが買える専用バッグを発売している。豊富なカラーとデザインを備えたノートパソコンやUMPCの専用バッグをパッケージで販売して女性ユーザーから大好評を得ている。バッグとノートパソコンが登場するファッションショーまで開催したほどだ。


 ちなみにノートパソコンの外観の色は、以前はシンプルなブラックやシルバーが主流だったが、最近は光沢のあるワインカラーやラメ入り、イラスト入りなどが登場して大学生や女性に大人気。メガネをかけてキャリアウーマンっぽく自分を演出するように、おしゃれの一部としておしゃれな外観のノートパソコンを、カラフルな専用バッグに入れて持ち歩く傾向も見られる。




 ノートパソコンの販売台数が増えてから、ノートパソコンを持ち歩かずにデスクトップの代わりに使っているユーザー用に、バッグの代わりに周辺機器が付いてくるパッケージが増えてきた。何よりも人気なのはノートパソコンを縦に立ててモニターのように使うための、設置台の機能を兼ねる発熱抑止用クーリングスタンドと、無線ルーターがセットになったパッケージだ。


 東芝は90万ウォン前後(約12万円)のノートパソコンを購入すると無線ルーターと、ワイヤレスキーボード、ワイヤレスマウスをパッケージで提供し、大ヒットを記録した。富士通は同じ値段でマイクロソフトのワイヤレスキーボードとワイヤレスマウスと設置台を、LG電子は設置台型のドッキングステーションを提供して売り上げを伸ばした。


 オンラインショッピングモールの担当者の話によると、「パッケージの構成によって、同じ値段で同じモデルのノートでも売り上げに20%ほども差が生じる」と口をそろえる。新しいデザインのノートパソコンを次々と発売している三星電子は「パソコンの性能はどこも似たり寄ったりなので、これからはどんなアクセサリーをパッケージにするか、イラストやカラーといったデザインをどのようにするか、といったことが売り上げを左右するのではないか」と予想した。




 パッケージの他にも、パソコンメーカーとその他企業がタッグを組んだ共同の販促も増えている。例えば2007年10月からは三星電子と移動通信キャリアのSKT、インテルの3社による共同マーケティングが始まった。SKTの下り7.2MbpsのHSDPAサービスに三星電子の量販店で加入すると、モバイルWiMaxの一部である高速無線通信技術「Wibro」とHSDPA(High Speed Downlink Packet Access)の両方が使える約2万円相当のUSB型モデムを無料でもらえる。また、WibroとHSDPAを使えるモデムが内蔵された三星電子のノートパソコンを三星電子の量販店で購入すると、8万ウォンが現金でキャッシュバッグされるというものだ。


 ネットのノートパソコン同好会やショッピングモールのコミュニティには、パッケージ販売に含まれるアクセサリーの値段を調べて、どのブランドがどれぐらいお得なのかを分析して価格比較表を掲載するユーザーもいる。ノートパソコンのように高い買い物は細かく比べて買うのはもっともなこと。だが、思い切って一目で気に入ったものを買うのが意外といい買い物だったりもする。韓国製のノートパソコンは日本でも問題なく使えるので、韓国のお土産にブランドバッグ付き韓国語OSのノートパソコン、なんていうのも悪くないかもよ。


(趙 章恩=ITジャーナリスト)

日経パソコン
2007年10月24日 

-Original column
http://pc.nikkeibp.co.jp/article/NPC/20071017/284773/

ウォン高?個人主義?ノートPCの需要が急増(上) [2007年10月17日]

今回は、今週と来週の2回にわたり、韓国のノートパソコン事情をご紹介しよう。

 韓国では首都圏に人口の2分の1が住んでいるが、一戸建てよりも4人家族を基準に平均42坪4LDKほどの高層マンションを好む傾向が強い。この広々とした住居環境のおかげで置く場所に困らないことや、オンラインゲームやEラーニングを使う子供のために高性能なパソコンが必要になることから、小さいノートパソコンよりは22~24型の大型LCDモニターが付いたデスクトップパソコンを購入する人が圧倒的に多かった。しかも、全国郵便局や市役所、区役所など街中に無料でインターネットを使えるパソコンがある。日本のように、ノートパソコンを持ち歩きながら無線LANを使ってインターネットにアクセスする、なんて光景にはあまり目にかかることがなかった。


 韓国でノートパソコンは高級品で、経済的にゆとりがある人でないと手が出せなかった。同じ仕様のノートパソコンなら日本で買ったほうが3~4割ほど安いため、安いパックツアーで福岡や大阪、東京へノートパソコンを買いに行く人も少なくない。日本で買ってきたノートパソコンのOSを韓国語のものに入れ替え、電気街の竜山で流通されている。例えば日本でヒューレット・パッカード(HP)が発売している約7万5000円のモデルとほぼ同じ仕様で、しかも同じメーカーのHPから発売されているノートパソコンなのに、韓国では1万5000円ほど高く販売されていた。


 それが2006年あたりから、デスクトップとノートパソコンの販売割合の差がだいぶ縮まってきた。ウォン高の影響で日本製ノートパソコンの値段が安くなり、それに伴い韓国メーカーも値下げを行っていることや、デスクトップと比べてそん色ない機能、性能向上などが影響したことが背景にある。2006年からは100万ウォン(約13万円)以下でも買えるノートパソコンが登場。今なら、15型液晶、Core Duo T2350、メモリー512MB、HDD 80GBという程度の仕様の韓国の中小メーカーが発売するノートパソコンなら8万円以下で買えてしまう。しかし、それでもまだデスクトップとの価格差は3~4倍もある。


 ただし、ノートパソコンが売れるようになったのは、安価になってきたからというだけではなく、ユーザーの使い方が変わってきたからかもしれないと考えている。


 韓国のネットユーザーはオンラインゲームばかりしているようなイメージが強いが、近ごろはそうでもない。各種アンケート調査によると、大学生や一人暮らしのサラリーマンの間では、テレビ、DVDプレーヤー、オーディオ、固定電話などは一切買わず、代わりに小型ノートパソコンを1台購入するだけで済ませているという人が多くなっているという。PDAやPMP(Portable Multimedia Player)、携帯型ゲーム機の代わりに、その小型ノートパソコンに、動画やFlashで作られたゲームをダウンロードしておいて、出勤時間に電車の中で利用する人が増えているというのだ。


 大学でもそうだ。Eラーニングを受講するという目的もあるが、紙のノートではなくノートパソコンに講義内容を筆記したり、教授の授業内容をデジカメで画撮影してノートパソコンに保存し、何度も繰り返し見ながら試験勉強をしたりと、就職難により大学での成績が書類選考の重要な判断材料となっている競争社会で生き残るための道具としてうまく活用されている。

調査会社の韓国IDCの資料によると、韓国内でのノートパソコンの販売量は2006年末時点で116万8000台(デスクトップは313万9000台)。2005年の89万7000台より29.9%も増加し、初めて100万台を突破した。2006年10~12月のノートパソコン販売量は28万台で、個人向けパソコン販売量105万3000台のうち、26.6%を占めた。2006年の年間パソコン販売量から見ると、ノートパソコンのシェアは27.1%で、2005年の23.9%より3.2%増加した数字となっている。2011年にはノートパソコンが194万台、デスクトップが331万台販売され、ノートパソコンがパソコン販売全体の37%を占めると予想されている。売り上げベースではデスクトップ本体2兆3000億ウォンにせまる2兆2000億ウォンに成長すると見込まれている。

 一方、同じIDCの資料でメーカー別のシェアを見ると、人気があるのは12型液晶を備える小型のノートパソコン。中国産や東芝など安さを武器にしているメーカーもよく売れてはいるが、アフターサービスやパッケージ販売による効果の大きさから、三星電子の「SENSE」シリーズとLG電子の「Xノート」シリーズの占める割合が大きく、2社のシェアは2007年1~3月が46.3%、4~6月が60.6%と大幅に増えている。(「パッケージ販売」については次回紹介)


 7型ディスプレイ以下のUMPC(Ultra Mobile PC)も徐々に売れてきている。三星電子のWindows Vista搭載、最大8時間30分まで連続使用できる「Q1ウルトラ」は、月に2000台ほど売れるベストセラーになった。これは予想をはるかに超える売れ行きだという。「Q1ウルトラ」は、CPUの動作クロックが800MHz、液晶の解像度が1024×600、メモリー1GB、HDD 60GBなどの性能を誇っており“第2世代のUMPC”と宣伝している。









三星電子の「Q1ウルトラ」

 パソコンメーカーはそれぞれ2007年下半期からは高級仕様のノートパソコンをより安く販売するという戦略を打ち出している。プラットフォームにCentrino Duo(開発コード名Santa Rosa)を搭載し、液晶は横長12型。それに、既存DVDの2倍ほど鮮明に再生できるHD-DVD、地上波DMB(韓国式ワンセグ)受信機能、重さ1Kg程度、バッテリー駆動時間が12時間以上といった、AV機能が強化され、携帯性に優れた機種が、17万円前後で販売されている。


 とまあ、韓国ではノートパソコンが絶好調なわけだが、次回は、三星電子とLG電子が12型ノートで大きくシェアを稼いだ仕掛けである「パッケージ販売」を紹介する。

(趙 章恩=ITジャーナリスト)

日経パソコン
2007年10月17日 

-Original column
http://pc.nikkeibp.co.jp/article/NPC/20071016/284735/

韓国の大学生の15.7%が「悪プル」を残した経験あり、その対処方法は [2008年10月22日]

この頃、韓国ではまたネットでの悪質なコメントの書き込みに耐え切れず、芸能人が自殺する事件が続いた。悪プル(悪質なコメント)は主にインターネットポータルサイトのニュースコーナーに掲載される記事の下に付けられる。1カ月300億ページビューを超えるインターネットポータルサイトには全国の新聞と放送局のニュースが提供され、全ての記事の下にはコメントを付けられるようになっている。コメントを書き込むにはもちろん実名で会員登録をしないといけないが、画面には実名ではなくIDで表示されるため、ユーザー同士においては匿名と変わらない。

 実名で会員登録までして、他人を攻撃する悪質な書き込みを書きたくなるだろうか。ある就職サイトが大学生1476人を対象にアンケート調査した結果によると、15.7%が悪プルを書いたことがあると答えた。その理由は40.7%が「深刻な問題になるとは思わなかったから」、35.9%が「実名で会員登録してもIDでコメントを残せるので匿名性が守られるから」。3%が「面白いから」と答えた。


 性別では男性の23.2%、女性の8.8%が経験ありということで、男性の方が他人を攻撃する書き込みを残しているという調査結果となった。悪プルへの対処方法としては、47.1%が処罰は規制よりインターネット内での自浄が大事と答え、18.8%は実名制度を強化するべき、13.5%は強力な処罰をするべきと答えた。その他には悪プルを残さないようにする個人の努力が大事、インターネット利用教育実施、正しいインターネット文化定着のためのキャンペーン実施などの答えがあった。


 一方で「芸能人の相次ぐ自殺の原因は悪プルにある」という質問には90%がそうだと答えていることから、他人の悪プルは問題でも自分の悪プルは問題にならないと考える面もあるようだ。

韓国のオンラインコミュニティサイトやポータルサイトでは、悪プルの逆「善プル」を書き込もうというキャンペーンが行われている。他人を攻撃する書き込みではなく、励まし、褒めあうコメントを残しましょうというキャンペーンだが、幼稚園で教えるようなことを大々的にキャンペーンしなければならないほど、ネット文化が廃退してしまったのかと思うと悲しくなる。


 韓国ではネット人口の裾(すそ)が広がったことから、小学生による悪プル問題も深刻な状態である。悪プルを数万件も書き込んだ人を警察のサイバー捜査隊が追跡して捕まえてみたら小学校3年生だったとか、小学校の夏休み、冬休みの間は悪プルの数が10倍以上増えるとか、子供たちが大人の真似をして、何の罪悪感もなく悪プルを書き込んでいるのが社会問題でもある。


 小学生向けのネチケット教育や善プルキャンペーンはもう何年も前から大々的に行われているが、効果はそれほど高くないようだ。日本でもプロフや学校裏サイトなど、小中学生が被害者でもあり加害者でもあるネット問題が起きていて、芸能人の自殺はなくても高校生がネットでの悪質な書き込みに耐え切れず自殺する事件は起きている。どうすればネットを平和に維持できるのだろうか。


 韓国では悪プルや名誉毀損と思われる書き込みを見つけるとポータル側に簡単に届け出ができる。ポータル側は届け出があったコメントや書き込みはまずブラインドにして見えなくし、内部審議によって削除している。情報通信網法により、「情報の削除要請があったにも関わらず権利の侵害を判断するのが難しく利害当事者の争いが予想される場合は、該当情報に対するアクセスを臨時的に遮断する処置ができる」とされているからだ。


 コメントの場合は、削除されて当然としか思えない誹謗中傷の内容がほとんどなので特に問題になることはないが、ブログやコミュニティの書き込みとなると判断は難しく、届け出があったとはいえポータル側が勝手に判断して掲示物を削除していいのかと反論する人も後を絶たない。ポータル側も判断が難しい内容については政府省庁の放送通信委員会に問い合わせをするが、上半期だけで5万件近い届け出があっただけに、手に負えずどんどん削除するしかないのが現実だ。


 しかし、同じような内容でもポータルサイト1位のNAVERは積極的に削除するが、2位のDAUMはあまり削除しないといった差もある。書き込みが明白に誰かを攻撃する内容であっても、法律機関でもないポータル側が削除すべき内容と判断していいのだろうかという疑問もある。ここで必ず登場するのが「表現の自由」だ。


 これは今制定されようとしている「サイバー侮辱罪」にもつながることだ。今までは親告罪だった悪プルや名誉毀損に当たる書き込みを、警察や検察が非親告罪で捜査できるようにするという法律だが、何を根拠にして侮辱かどうかを決めるのか、本当に客観的に判断できるのか、政府の痛いところを突いただけで侮辱罪で逮捕されるのではないか、色んな疑問が解決されないまま法律だけが制定されようとしている。


 ネットは韓国人にとってとても重要な情報源であり、コミュニケーション手段でもある。韓国政府機関の調査でも、10~30代は既存のマスコミよりネットに掲載される情報を信用すると答えた人の方が多い。悪プルが問題ではあるが、ニュースコーナーのコメントを利用してニュースの裏側を伝える人もいるし、記者に反論したり答えたり、討論が繰り広げられることもある。コメントの書き込みそのものを禁止するようなことにならず、悪プルだけ防止するには、時間がかかっても自浄されるまで待つしかないのだろうか。


(趙 章恩=ITジャーナリスト)

日経パソコン
2008年10月22日 

-Original column
http://pc.nikkeibp.co.jp/article/column/20081022/1009013/

韓国 三星電子の携帯電話 ギネスブックに掲載(2007年10月8日 掲載)

薄さとで世界一を


 


  


【ソウル】三星電子の携電話端末プレミアムラインアップ「ウルトラエディション5.9」「ウルトラエディション8.4」「1000素カメラ付き携」の3種が、2008年版ギネスブックに新しく載された。



 079月に
行された「2008年版ギネスブック」に、世界で最も薄い携電話(world slimmest phone)部門に5.9mmの極薄端末「ウルトラエディション5.9」(SGHU100)が載った。三星電子を代表する機種でもある極薄端末の「ウルトラエディション5.9」は高素カメラとBluetoothなど先端機能をすべて搭載しながら、ハドウェア設計技術である「SSMT」を使して5.9mmという驚くべき薄さを現した。携電話端末の素材にはマグネシウムとガラス化プラスチックを使い、薄くても丈夫なところが特長だ。ギネスブックは製品の薄さを調するために物と同じ厚さの側面写真載した。


 


 これとともに「1000素カメラ付き携」(SCHB600)が世界最高素携電話部門に、「ウルトラエディション8.4」(SGHZ370)が世界で最も薄い3G電話にそれぞれ載された。


 


 三星電子の携電話端末は以前にもギネスブックに載ったことがある。99年に開された世界初のモバイルテレビ付き携電話(SCHM220)は01年の世界最小テレビ携電話部門に選ばれ、ギネスブックに紹介された。これを含めると三星電子の携電話端末は合計4種がギネスブックに登載されている。


 


 三星電子の係者は「極薄デザインや高素カメラフォンは、世界の携電話業界のメガトレンドである」としたうえで、「薄さを競う部門で三星の携電話端末がギネスブックに記されたのは世界携電話市場のトレンドを主導する社の技術が優れていることの証しである」と、嬉しさをせない子である。



趙章恩(チョウ
チャンウン=ITジャナリスト)


 


 BCN This Week 2007年10月8 vol.1206 載]  Link


 


 

韓国 通信大手のKT(2007年10月1日 掲載)

にせ子社の取り締り開始


詐欺まがいのビジネスに頭痛める


 


 


【ソウル】韓最大の情報通信業者であるKTKoreanTelecom)は、子社と混同させる目的でわざと社名にKTや韓通信をつけた建設社やベンチャして取り締りを開始、一部業者を相手には訴訟まで起こして勝訴していることがわかった。



 KTには連日、「KT××社はKTの子
社ですか?」という問い合わせがひっきりなしに寄せられる。「KTにだまされた」と訴えられ、裁判所に出向くとKTとは全く係ない社が勝手にKTや韓通信を連想させる社名で詐欺事件を起こすといったことがえ、頭をませていた。


 


 つい最近は、「KTがフィリピンにマンションを分すると告チラシが入ってきたが、本ですか?」という電話まであったそうだ。日本でいえばNTTとは全く係ない「NTT建設」や「NTT通信」「NTTバイオ」といった社が立し、NTTの子社のふりをして詐欺を起こしたり、績を伸ばしているということになる。


 


 KTが不動産事業と海外事業を新たに始めてから、ますますこの分野でKTに似た社名をつける社がえ、消費者に誤解を招いている。


 


 KTは自社のホムペジに「KT系列社は以下の10社しかありません」という告知まで出している。20079月現在、KTの子社と系列社はKTFKTHKTネットワクス(KTレンタル含む)、KTリンコス、KTパワテル、KTサブマリン、KTFTKTコマス、KTFエムハウスの10社だけだ。


 


 特にやっかいなのは、KTの社ベンチャとして立ち上がったものの、今では全く無係な「韓通信ドムドットコム」の社名だ。KTは社名をえるよう「商不正使用禁止仮分訴訟および不正競禁止などにする訴訟」を起こして勝訴しているが、相手はまだじていない。韓通信ドムドットコムは一般消費者にKTや電話局と名り、ハングルドメインを無理やり販し、不な利益を上げていた。


 


 KTはまた「これ以外にもKTのブランド値が高まるにつれ、KTのロゴを用したりKT社と名る事例が一層加している。被害がないよう注意していただきたい」を呼びかけている。


 


 KTの名前で一般消費者や企業を混させ不な利益をあげようとする業者をこれ以上放置できないとし、CI(企業イメジ統合)用申告センタを開設した。企業名とロゴが用された事例を調査し、KTに深刻な影響をえると判された場合には積極的に対応する方針で臨んでいる。



趙章恩(チョウ
チャンウン=ITジャナリスト)


 


 BCN This Week 2007年10月1 vol.1205 載]  Link


 


 

三星電子と三星カード マイレージ割引で販売促進 (2007年10月22日 掲載)

三星電子と三星カド マイレジ割引で販促進


 


 


の家電販促動向


家族5人が加できる制度に


 


 


【ソウル】三星電子は三星カドと提携し、新たな販促進策を開始した。三星電子の量販店である「デジタルプラザ」をはじめ、デパト、ディスカウントショップなどで三星電子の製品とあわせて結婚引っ越しブロドバンド通信加入といった提携企業の商品やサビスを購入し三星カドで決すると、最大120万ウォン(約16万円)まで割引する「ファミリブ」イベントがそれだ。10月1日から施している。


 


 「ファミリブ」イベントは三星系列社の提携マケティングからさらに一踏み出したもので、結婚引っ越しブロドバンド通信の各業界を代表する企業が加した韓最大規模の共同マケティングとして注目されている。韓では類をみない多業種間マケティングコンバジェンスプログラムでもある。


 


 このイベントは、三星電子製品を100万ウォン以上購入して三星カドで決すると、まず最大70万ウォンが割引される。割引された金額は家族全員の三星カドの利用額にじてたまるマイレジで返すればよい。例えば三星電子の冷庫が200万ウォンだとすると、70万ウォンは後でマイレジによって返すればいいので、購入代金として口座から引き落とされるのは130万ウォンになる。割引額が50万ウォン以上の場合は5年以、それを下回る額なら3年以にマイレジで返しなければならない。返月決まった分が差し引かれ、マイレジが足りないとその分が月請求されるシステムだ。


 


 さらにKT(韓通信)のブロドバンド加入、衛星放送のスカイライフ加入、ハンセムインテリアの家具やシステムキッチン、ロッテ光の新婚旅行パッケジツア、デュオウェディングの結婚式場やドレスレンタル、カドランドの結婚式招待、トンイン引っ越しセンタ、不動産サブなどの提携パトナ社の製品ビスを一つでも同時に購入すれば最高50万ウォンまで追加割引される。これも同じようにカドのマイレジで返すればいい。そうするとファミリブ制度を利用して合計120万ウォンの割引が適用されることになる。


 


 ファミリブで割引された金額は最大家族5人までファミリし、家族みんなが三星カドを利用してマイレジをためて返できる。


 


 韓はクレジットカド社で、バス地下タクシなどの交通料金もクレジットカドをかざしてまとめて後い、コンビニやショップでは1000ウォン(約130円)以上であればどこでもカドが使えるので、マイレジをためるのは難しくない。またカドのマイレジ積立率は加盟店によって0.8-5%と違うため、マイレジをよりたくさんためられる店を探して集中的に利用する手もある。


 


 三星電子は2006年1月から三星カドと提携し、マイレ先行割引制度を運していたが、1人のカド使用額によってマイレジで返するのは難しいというクレムがあったことから、家族5人が加できる制度にアップグレドさせたという。


 


 三星電子国内営業事業部は、「このようなコンバジェンスプログラムは、消費者には割引で負担をくし、提携企業には安定的に顧客を誘致できるWin-Winマケティングだ」とし、韓の消費景活性化にも大きく寄するのではないかと期待している。



趙章恩(チョウ
チャンウン=ITジャナリスト)


 


 BCN This Week 2007年10月22日 vol.1208 載] Link


 


 

韓国 携帯電話キャリア(2007年10月15日 掲載)

通話料値下げ競に走る


代わりに基本料大幅値上げ


 


 


【ソウル】携電話における奨励金支給が解禁され、新規加入者向けの激安端末販が繰りげられている韓で、今度は加入者間通話料割引競が始まろうとしている。



 韓
の最大手キャリアSKテレコムは10月1日から、基本料を値上げする代わりに加入者間通話料を50%安くする料金制を導入することにした。これにKTFとLGテレコムも同じような料金制度を準備している。加入者間通話料割引は同じキャリアに加入している電話同士の通話料を割り引くもので、日本のソフトバンクの料金制度「ホワイトプラン」をモデルにしている。


 


 SKテレコムは月2500ウォン(約300円)を追加すると加入者間通話料が50%安くなる。KTFは月2000ウォンを追加すると加入者間通話料を60-70%安くする制度を2008年1月から導入することを討している。KTFの役員は「SKテレコムとの料金差別化のために加入者通話料割引幅を大きくし、通話料そのものを引き下げる案を討している」と話し、携電話加入者らがSKテレコムの加入者間通話料割引にどんな反をみせるかを把握しながら決めたいとしている。LGテレコムは月2000-3000ウォンを追加すれば加入者間通話料を無料にすることを討している。同社の係者は「SKテレコムの移動電話料金調整に対応し、基本料を値上げする代わりに加入者間通話料を無料にするなど、多な料金体系を討している」と語る。


 


 通話料が安くなれば加入者にとっても有利なのではないかと思われるが、基本料金を大幅に値上げすることで結局のところキャリアの益がえるだけだと市体は反している。ソウルYMCAは「移動通信キャリア3社を料金談合疑惑で公正取引委員に告する計だ」とじた。


 


 SKテレコムは、加入者2146万人のうち過半1160万人が加入者間通話料金制度に加入すると予想している。だが問題は、消費者が感する割引果がさほど大きくないということだ。YMCAがさまざまな況を勘案して分析してみた結果、質料金引き下げ果は2.66%前後で、最大5%にもならないと推定されている。


 


 加入者間通話料割引は98年からあった制度だが、移動通信サビス市場がSKテレコムに偏りすぎているため規制しなくてはならないとして、情報通信部が02年に全面的に禁止させていた。これをまたSKテレコムの要求で解禁するのは情報通信部の中立性も問われるところだ。



趙章恩(チョウ
チャンウン=ITジャナリスト)


 


BCN This Week 2007年10月15日 vol.1207 載]  Link 


 

疑惑の三星電子、著作権押さえて携帯音楽コンテンツに本腰 [2007年11月8日]

大統領選挙まであと1カ月と迫っている韓国で、選挙よりもビッグなニュースが報道されて大変なことになっている。

 それは、三星グループの元法務担当役員だった弁護士の「衝撃告白」。巷の噂を立証するもので、三星が検察や政府機関、政治家など全方位にワイロを渡していただけでなく、会社が損をしても李会長の一人息子に経営権が渡るよう、他人の名義を利用して株購入資金のための莫大な隠し資金を作っているというものだった。


 記者会見で弁護士は自分の手でワイロを渡したこともあり、隠し資金作りのために自分の名義を貸してあげたため通帳には50億ウォンがある、市庁駅付近にある三星本館の27階には隠し資金を管理する秘密の部屋があり、デパートの紙袋には1億ウォン、書類封筒には500万ウォンという具合に現金や商品券が山積みになっていると告白。「三星と僕は共犯です」としている。三星を辞めて2年も経った今になって告白した背景をあやしげに思う人もいるが、新聞やテレビでは三星の話ばかりが連日続いている。


 市民団体は早速、三星の李会長をはじめ役員らを告訴。しかし、検察はワイロをもらったとする検事の名簿を証拠として提出しない限り捜査にとりかからないと発表した。三星側は事実とはまったく違うと言いながらもこの弁護士を訴えるわけでもなく、疑惑は膨らむばかりだ。


 とまあ、前置きが長くなってしまったが、今日は三星電子の携帯向け音楽配信サービスの話である。


 三星電子が、デジタルアルバムの制作、オンラインゲームの配給、独立映画の制作支援などコンテンツ業に手を広げている。三星電子は通信事業者のSKテレコムおよびKTFとデジタルシングルアルバムを共同制作し、SKテレコムとKTF向けの三星電子製の携帯電話端末にその音楽ファイルやプロモーションビデオの一部をプリインストール。試聴してからダウンロード購入できる「Try&Buy」プロジェクトを開始し、2008年にはサービスを提供すると発表した。製作した音楽ファイルの著作権は3社が共同で所有する。2008年上半期に販売される三星電子の携帯電話「Anycall」には3~4曲ほど共同制作されたデジタルシングルの一部がプリインストールされる。


 音楽がプリインストールされるのはいいが、音楽の流行はよくて3カ月くらい。一方で携帯電話は2~3年は流通する。このため、新曲がインストールされた最新端末を買う人でない限り、音楽をダウンロードして購入する人はいないのではないか、という意見もある。三星電子はまず15曲ほど製作し、反応をみてサービスを継続するかどうかを決めようとしているので、まだ本格的に音楽製作と流通に乗り出したとは言い難いが、興味を持っているのは確かだ。

韓国では通信事業者がコンテンツ・プロバイダーを子会社化してモバイル音楽サービスを独占しているため、三星電子は通信事業者と手を組むことになった。ベンダーと通信事業者が一緒に音楽サービスに乗り出すのはこれが初めてで、モバイルコンテンツの利用を促進させるのに効果的ではないかとみられている。というのも、韓国のモバイルインターネット利用率は4割程度しかない。その4割というのも6カ月の間に1回でも携帯電話からインターネットにアクセスしたことがある人の割合なので、モバイルインターネットやコンテンツに関してはまだ日本の半分ほどしか市場がないのが現状なのだ。

 そうは言っても、ライバルであるアップルの「iPhone」と「iTunes」の関係を見れば、携帯電話市場において音楽コンテンツは欠かせない。携帯電話市場で優位な位置を占めようするならば、手を出さないわけにはいかないコンテンツだ。ただ、三星電子は韓国のナップスターと言われる音楽配信サービス「ソリバダ」とも提携したことがあるのだが、著作権違反の訴訟が長引いてしまい、これといったビジネスは何もできなかったという苦い経験がある。こうしたことから、音楽ファイルの流通だけではなく、著作権を得られる製作フェーズから自分の手できっちりやってしまおうと考えたようだ。


 携帯電話に音楽をプリインストールしておくのには理由がある。10月に、未成年者が好奇心から携帯電話からコンテンツをダウンロードし、数百万ウォンものデータ通信料が発生したのは、通信事業者が料金制度について十分説明しなかったからとし、通信事業者に対して全額払い戻すよう求める判決が出た。通信事業者は、データ通信料の告知義務はコンテンツ・プロバイダーにあると抵抗したが、通信事業者の責任がより重いとし、成人でも説明不十分で1カ月に数百万ウォンものデータ通信料が発生した場合は50%を返してもらえることになった。このような事情もあり、三星電子とSKテレコム、KTFは、プリインストール済みのシングルを試聴させて、気に入って購入したいユーザーには、料金のことを十分理解させてからダウンロードさせるようにしたわけだ。


 三星電子の携帯電話のCMソングはメガヒットを記録したことがある。果たしてどんな曲を提供してくれるのだろうか。三星電子の音楽携帯が出るまで機種変更せずに待ってみようかな。

(趙 章恩=ITジャーナリスト)

日経パソコン      
Link

DS Liteが発売8カ月で58万台突破。でもこれって多いの? [2007年11月1日]

韓国では、ゲームとはお金をかけずにできる娯楽という認識を持っているため、ゲーム機を買うなんて子供が駄々をこねるから仕方なく買うもの、あるいはお金持ちの単なる道楽だと思われていた。実際、パソコンとネットさえつながっていれば無料で楽しめるカジュアルFLASHゲームやネットワーク対戦ゲームがゲーム市場の大半を占めているし、PS2/3、PSPもXboxもパッとしない状態だ。このように韓国のテレビゲーム機市場なんてないに等しい中で、パソコンを使ったゲームさえも市場規模は頭打ち状態。しかもギャンブルゲームの取り締りが厳しくなってからオンラインゲーマーの溜まり場だったPCバン(日本のネットカフェのようなもの)も傾き始めている。


そこにDS Liteが登場し、あれよあれよという間に本体が58万台、タイトルは120万個以上も売れたのだからみんな驚くのも無理はない。金額ベースでは本体が870億ウォン(日本円で約113億円)、タイトル470億ウォン(日本円で約61億円)で合計1340億ウォン規模、ゲーム機市場で1000億ウォンを超える売り上げを記録するのは韓国では初めてだろう。


DS Liteの本体価格は一台15万ウォン(約1万9300円)、タイトルの価格は1本3万3000ウォン(約4200円)と、Play StationやXboxと比べて手が出ない値段でもないし、いつでも携帯できるので「これ知ってる?」と見せびらかして自慢できるところもよく売れる理由だ。


そういえばこのごろ「DS Lite買って!買って!」とねだる旦那さんをなだめるのに一苦労したと愚痴る人がやけに多い。それに、今までオンラインゲームなんて一度もしたことがなさそうな40~50代のサラリーマンがお昼休みの街角や電車の中で左手にはニンテンドーDS Liteを、右手にはタッチペンを握って夢中になって足し算をしたり、図を描いたりしている姿を見かける。改めてDS Liteって流行っているな~と感心してしまう。


身の回り以外のところにもDS Lite人気をうかがい知れる話題がある。


今年からFTTHの普及に熱を上げている韓国のインターネット接続事業者。その中でもLGパワーコムは「今、FTTHに申し込むとDS Liteを差し上げます」というキャンペーンを実施し、予想を超える加入者を獲得できたそうだ。これを見た韓国HanaroTelecomは、PS3を安く販売する代わりにセットトップボックスとして使わせるインターネットTVパッケージを販売開始したが、DS Liteの人気にはかなわないようだ。


ソウル市の支援を受けるベンチャー企業「ノルラム」はPMP(Portable Multimedia Player)で3Dゲームとコンテンツを利用できる3Dエンジンを開発した。PMPは動画再生、MP3再生、電子辞書、ナビゲーション、FLASHゲームなどを利用できる端末。しかし、DS Liteがあまりにも人気を得たので、ゲーム機能が重要だと考えたわけだ。


DS Liteの人気タイトルは日本とほぼ同じ。韓国でも今までにないジャンル、「脳を鍛える大人のDSトレーニング」(脳トレ)の韓国語版ソフトを前面に押し出して、注目されるようになった。韓国ニンテンドーは、日本とまったく同じように脳トレがはじき出した脳年齢58歳という結果に有名芸能人が呆然とするテレビCMを流している。CMの効果はてきめんで、痴呆症予防のため親にプレゼントするなどで脳トレの人気は爆発(といってもまだ20万本しか売れてないが)。相乗効果か、連想ゲーム、早読み、同じ図を探せといった内容の「家族みんなの脳を若くする」というテレビ番組がどんどん増えている。一種の社会現象に発展している。


脳トレのほか、「Newスーパーマリオブラザーズ」「えいご漬け」「nintendogs」「マリオカートDS」の5本が人気だ。このほかにも、韓国ニンテンドーは40社以上の韓国ゲーム開発会社をサポートし、ニンテンドーDS向けのタイトルの翻訳と新企画を進めている。ゲームソフト企業のスタジオナインが開発した「韓国人の常識力DS」というタイトルも2007年10月26日に販売を開始した。無線通信でクイズ大会も開催できるという。日本で400万本以上も売れたタイトル「おいでよ どうぶつの森」も2008年に登場予定だ。


2008年には、日本で大人気のゲーム機「Wii」も韓国での発売が予定されている。これもまた面白そうなゲーム機だ。はてさて、韓国内での反応はどうなるのだろうか。


(趙 章恩=ITジャーナリスト)

日経パソコン  
Link

初めてマイケータイを持ったのは小学校6年生の時–韓国の若者ケータイライフ報告書

 韓国の10~20代の携帯電話利用に関する面白い報告書が発表された。MokeyというモバイルCP(Contents Provider)が自社のポータルサイト宣伝のために提供したプレスリリースなのだが、10~20代の会員1万1500人が参加したそれなりの母数を持つアンケート調査の結果が示されている。生まれて初めて携帯電話を買った年齢、その理由、誰が選んだのか、中古端末なのか新品なのか、機種変更サイクルなど、既存の報告書や白書にはなかった内容まで含まれており、なかなか興味深い。


 この報告書によると、韓国の10~20代が始めて携帯電話を買ったのは小学校6年生の時(41.7%)または中学入学の時(41.7%)であるという。小学校卒業や中学入学祝いに携帯電話を買ってもらうことが多いようだ。調査時点の年齢が若ければ若いほど携帯電話を買ってもらった時期も早く、調査時点で10~15歳は小学生の時、16~24歳は中学生の時に購入している。性別では女性が男性より早い時期に携帯電話を所有している。これは、子供の安全のために携帯電話を買い与えるからではないかと考えられる。


 生まれて初めての携帯電話は新規端末が86.7%、中古端末が13.3%で、100%新規というわけではなかった。端末の選択は保護者に任せたと答えた人が46.1%だが、年齢が上がるにつれ、自分で選ぶようになっている。19歳以上の人も32.6%は親が選んでくれると答えているのを見ると、携帯電話の選択に親の影響がないわけではないが、それでも保護者向けのマーケティングよりは実際に携帯電話を使う子供たちに向けた広告やマーケティングが必要であるともいえるだろう。


 携帯電話を購入した理由は「みんな持っているから」と答えた人が56.3%ともっとも多く、「必要だったから」は22.5%だった。そのほかに「プレゼントされたから」18%、「携帯電話の価格が安かったから」3.2%と答えた人もいた。年齢が若いほど周りがみんな持っているから私もほしい、という理由で携帯電話を購入していた。

携帯電話を購入した場所は「携帯電話専門売り場」、代理店や販売店が85.2%と圧倒的に多く、量販店は4%、インターネットは3.2%に過ぎなかった。韓国には携帯電話代理店と販売店があり、代理店はキャリア別に分かれていて料金収納や修理などの相談窓口にもなっている。販売店はキャリア3社の端末を全て扱っていて、屋台のように駅前や銀行の前、繁華街の道端でも販売している。端末だけ販売するのではなく、ちゃんとキャリアの新規加入や機種変更もしてくれる。購入場所は年齢が若いほどディスカウントショップ・量販店で購入する割合が高かった。量販店の方がゆっくり説明を聞きやすく、保護者といっしょにショッピングに出かけたついでに買ってもらうということも想像できる。


 初めて購入した端末をどれほどの期間使用したのか、2台目を購入したのはいつかについては、1年~1年6カ月未満が19.1%ともっとも多く、3~6カ月17.6%、9カ月~1年未満17%の順だった。中古端末を購入した人ほど次の端末に買い換えるまでの期間が短く、59.1%が1年未満だった。


 年齢が若いほど最新端末を購入するというイメージがあるが、初めての携帯電話は親と一緒に選ぶので無難なものになる。2台目からようやく自分が好きな端末を選ぶ傾向があるといえそうだ。子供の携帯電話は音声通話ができて、安否の確認さえできればいいと思う親が多いのも確かで、そんな家庭では、子供にはあえて中古端末を買い与えているのだろう。


 今後については、韓国の携帯電話端末の選び方には変化が起こりそうだ。


 韓国では今年からやっと日本と同じく携帯電話からURLを入力して自由にインターネットにアクセスできるようになった。パケット定額制度も始まった。今までパケット代が高い、公式サイトしかアクセスできない、といった理由から携帯電話からはネットを使わない人が多かった。モバイルインターネットが使われるようになってきて、携帯電話に望まれる機能はワンセグやテレビ受信から、液晶画面が大きくネットが使いやすい、ということに注目する点が切り替わってきている。韓国でも勝手サイトを利用できるようになっただけに、年齢が若いほどネットが使いやすい端末を選ぶのではないか、韓国でもiPhone 3Gが人気を集める端末の基準になるのではないかといわれている。


 韓国では国策として開発された標準プラットフォームの搭載義務化問題により、iPhone 3Gはまだ販売されていない。その間にiPhoneによく似たサムスン電子のスマートフォンがどんどん売れているのはその証左だ。


 日本では、子供に携帯電話を持たせることで、学校裏サイトやプロフサイトによって色んな犯罪に巻き込まれることが問題になっている。韓国はまだモバイルインターネットが普及されていないからいいものの、日本のようにならないとは言い難い。しかし、安全を確保するという点で、子供に携帯を持たせる意義は大きい。たとえば、韓国では友達が誘拐されそうになったところ、その場面を携帯電話のカメラで動画撮影し、「今おじさんの動画を撮ってお母さんに送信したから、捕まるのは時間の問題だよ」と脅して友達を助けた小学校5年生の女の子の話が話題になったこともある。この頃の小学生は大人が思うより賢い。


 小学生の時から携帯電話に慣れてしまった子供たちは、大人になったらどんな端末を選ぶのだろうか。楽しみだ。


(趙 章恩=ITジャーナリスト)

日経パソコン
2008年10月16日 

-Original column

http://pc.nikkeibp.co.jp/article/column/20081016/1008866/