LGエナジーがいすゞに1兆ウォン規模の電池供給報道、パナソニックの隙を突く

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韓国メディアは2022年7月5日(現地時間)、韓国バッテリー最大手のLG Energy Solution(LGエナジーソリューション)がいすゞ自動車の小型トラックに対し、4年間で1兆ウォン(約1046億円)を超える規模のバッテリー供給契約を結んだと一斉に報じた。韓国では、LGエナジーソリューションがパナソニックのお膝元の日本で受注したとして沸いている。LGエナジーソリューションは生産設備を積極的に拡大するものの、桁違いの投資を続ける中国勢の背中は遠い。中国勢とのシェアの差は、逆に広がりつつある。

テスラに集中するパナソニックを横目に日本市場攻略

 いすゞ自動車の小型トラック「エルフ」は、同社小型トラックの旗艦だ。現在、同社は電気自動車(EV)の実証実験を進めており、2022年にも市場投入を目指している。韓国メディアは、パナソニックが米Tesla(テスラ)向けの生産に集中するのを横目に、LGエナジーソリューションが日本市場をうまく狙って成果をあげたと分析する。

 LGエナジーソリューションは、日本市場を着々と攻略している。2022年1月にはホンダと合弁で最大40GWh規模の新たな北米バッテリー工場を新設すると報じられた。日産自動車のEV「アリア」にパウチ型バッテリーを供給するという報道もあった。



 LGエナジーソリューションはEVスタートアップにも供給先を広げている。2022年7月11日には、同社がインドの自動車大手Mahindra & Mahindra(マヒンドラ・アンド・マヒンドラ、以下マヒンドラ)の小型EV「XUV400」にバッテリーを供給すると報じられた。

 LGエナジーソリューションの親会社である韓国LG Chem(LG化学)は2018年2月にマヒンドラとの協業を発表している。NCM(ニッケル・コバルト・マンガン)バッテリーによる高密度エネルギーのバッテリー開発とリチウムイオンバッテリーモジュールの開発という内容だ。今回のバッテリー供給報道はその成果だろう。

 マヒンドラはEVのラインアップ強化のため91億米ドル(約1兆2500億円)の資金を調達する。同社はEV向けバッテリーの内製化は考えていないと公表しており、LGエナジーソリューションの供給規模は拡大する可能性が高い。人口14億人のインド市場開拓の足がかりができたことは、LGエナジーソリューションにとって大きい。

 LGエナジーソリューションは生産設備も積極的に拡大する。

 2022年6月13日にLGエナジーソリューションは、韓国・梧倉(オチャン)1工場に4GWh規模の円筒型バッテリー生産ラインを増設すると発表した。同工場において9GWh規模の新たなフォームファクター(形状)を採用した円筒型バッテリー生産ラインも新設する。7300億ウォン(約770億円)を投資し、2023年下半期から量産を開始する計画だ。

 2022年3月に同社は、米アリゾナ州に1兆7000億ウォン(約1780億円)を投資し、11GWh規模の円筒型バッテリー工場を新設することも発表している。主力とする円筒型バッテリーを採用する自動車メーカーが増えており、今がチャンスとばかりに生産設備を広げている。

趙 章恩(ITジャーナリスト)

 

(NIKKEI TECH)

2022. 7.

-Original column

https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/01231/00064/

サムスンがTSMC追撃へ、切り札の「GAA」3nm世代の量産開始

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韓国Samsung Electronics(サムスン電子)は2022年6月30日(現地時間)、次世代トランジスタである「GAA(Gate-All-Around)」技術による3nm(ナノメートル)世代プロセスの先端半導体量産を開始したと発表した。3nm世代プロセスの半導体量産は、半導体ファウンドリー世界トップの台湾TSMC(台湾積体電路製造)に先行し、世界初だ。

 3nm世代プロセスの半導体の最初の顧客は、ビットコイン採掘用のASICを設計するファブレスメーカーである中国・上海磐矽半導体(PanSemi)と報道されている。ビットコインの採掘には、演算処理が速く、エネルギー効率の高いハードウエアが必要だ。そのため採掘業者は、それぞれ採掘に適したASICを委託生産している。GAA技術は、既存のFinFET技術による半導体と比べて消費電力を抑えられ、性能向上できる。そのため3nm世代プロセスは、まずはビットコイン採掘用ASICに適しているというわけだ。

 サムスン電子は2020年7月に開催した展示会で、初めて3nm世代プロセスのウエハーを一般公開した。2022年5月にバイデン米大統領が同社の韓国・平沢(ピョンテク)半導体工場を訪問した際にも、3nm世代プロセス半導体の試作品を披露したという。また同社はかねてから「2022年4〜6月の間に世界初の3nm世代プロセスの半導体量産を開始する」と宣言していた。その言葉どおり、滑り込みで量産開始し、有言実行となった。

 今回のサムスン電子の3nmプロセス世代半導体の量産開始について韓国内では、TSMCを追撃するチャンスをつくったとして高く評価されている。TSMCは2022年末に3nm世代プロセスの半導体量産を始める予定だ。だがこれは次世代のGAAベースではなく、既存のFinFET技術ベースである。GAA技術についてTSMCは、2025年の量産を予定する2nm世代プロセスから導入するという。

 台湾の調査会社TrendForce(トレンドフォース)によると、2022年1~3月期の世界ファウンドリー市場のシェアはTSMCが53.6%で1位であり、サムスン電子は16.3%で2位につけた。韓国内では、3nm世代プロセス半導体を皮切りに、サムスン電子とTSMCのシェアの差が縮まると期待する。サムスン電子は2021年に約100社だったファウンドリーの顧客を、2026年に300社以上へと増やす目標も掲げている。

電力消費を45%削減、性能を23%向上

 サムスン電子が3nm世代プロセスで導入したGAAは、半導体を構成するトランジスタにおいて電流が流れるチャネル4面をゲート(Gate)で囲む技術である。チャネル3面を囲むこれまでのFinFET技術と比べて、チップ面積を削減でき、消費電力も抑えられるという。

 同社によると、今回量産を開始したGAAベースの3nm世代プロセス半導体は、同社のFinFETベースの5nm世代プロセス半導体と比べて、電力消費を45%削減し、性能を23%向上、チップ面積を16%縮小したという。2023年に予定している第2世代のGAAにおいては、電力消費を50%削減、性能を30%向上、チップ面積は35%まで縮小できるとする。

 GAAは、半導体チップのサイズがどんどん小さくなり、既存のFinFETベースでは電力制御に限界が出てきたことで考案された技術だ。サムスン電子は、今回のGAAベースの3nm世代プロセスにおいて、チャネルを薄く広いナノシート(Nanosheet)型にした独自技術「MBCFET(Multi-Bridge Channel Field Effect Transistor)」を採用したという。この技術は、ナノシートの幅を調整しながらチャネルの大きさを変更できる。これによって電流をより細密に調節できることから、高性能かつ低消費電力の半導体設計に適している。

 サムスン電子は、TSMCを猛追するかのようにファウンドリー設備にも投資する。2022年下半期には平沢半導体工場の第3ラインが稼働する。米国テキサス州テイラー市にも、2024年下半期稼働を目標に170億ドル(約2兆360億円)を投資し、新たなファウンドリーを建設する。

 さらに同社は2022年6月、韓国・器興(ギフン)半導体工場内に新しい半導体研究開発センターを建設した。半導体研究所の新設は2014年に韓国・華城(ファソン)工場デバイスソリューションリサーチを設置して以来、8年ぶりとなる。研究員と設備が増えたことで研究スペースが足りなくなり、遊休敷地に研究所を建てることになったという。2021年に末立ち上げた次世代プロセス開発チームを中心に採用を増やし、3D(3次元)メモリーや6憶画素イメージセンサーなどの研究も進めるようだ。


趙 章恩(ITジャーナリスト)

 

(NIKKEI TECH)

2022. 7.

-Original column

https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/01231/00063/

「2022韓日経済交流支援Business Conference」主催:駐広島大韓民国総領事館

<<からのお知らせ>>


駐広島大韓民国総領事館では7月20日に「2022韓日経済交流支援Business

 Conference」を開催いたします。

詳細についてはこちらから


日  時:2022年7月20日(水)10:30~12:00

場  所:リーガロイヤルホテル広島 4F「ロイヤルホールⅢ」

主  催:駐広島大韓民国総領事館

参加締切:7月8日(金)

参 加 費:無料

新政権発足後最初のICT政策はAI半導体育成、科学技術情報通信部の長官に半導体専門家が就任

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韓国では2022年5月10日、新しい大統領が就任し、5月11日には科学技術情報通信部(部は省に当たる)の長官に新たにLee Jong-ho氏が就任した。Lee長官は米Intel社や韓国Samsung Electronics社も導入した半導体トランジスタ構造「3D Bulk FinFET」を世界で初めて開発し特許登録したことで著名な人物である。Lee長官は5月24日、就任後初の現場訪問としてAI半導体をファブレスで手掛けるスタートアップ、FuriosaAI社を選択した。

 章恩(ITジャナリスト)

 

《日Robo》

2022. 6.

 

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https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/mag/rob/18/00006/00103/

SK Telecomはロボットビジョンの会社に出資、次期大統領はロボット・AI支援を拡充

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2022年4月20~22日、韓国最大規模のICT展示会「WIS(World IT Show)2022」がソウルCOEXで開催された。科学技術情報通信部(部は省に当たる)主催で「Innovation for Tomorrow」をテーマに358社が出展した。韓国政府は4月18日よりマスク着用以外のソーシャルディスタンスを確保するための規制を全て解除した。

 しかし韓国では在宅勤務やデリバリーサービスなど非接触型社会の便利さに慣れてしまい、新型コロナウイルス(COVID-19)以前の生活には戻れないという声の方が多い。韓国のSamsung Electronics社、LG Electronics社、キャリアのKT社とSK Telecom社など大手企業も非接触型社会を支えるロボットとメタバース事業を強化しているからか、WIS 2022の展示も非接触型社会をより便利にするロボットやAIサービスが主流だった。

 章恩(ITジャナリスト)

 

《日Robo》

2022. 5.

 

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https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/mag/rob/18/00006/00101/


NAVERがロボットフレンドリービルを建設、内部では配送ロボなど100台以上稼働へ

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韓国ではコロナ禍を受けた非接触型社会の定着により、人々はサービスロボットのある生活にも慣れてきた。スマートフォンで注文しロボットが配膳するレストランや配達ロボット、カフェのバリスタロボット、ショッピングモールで検温と消毒をする防疫ロボットなどをよく見かける。レストラン向け配膳ロボットのレンタル料は価格競争が始まった。

 韓国産業通商資源部(部は省)は2022年3月より公共機関と製造現場のデジタルトランスフォーメーションのためのロボット普及事業に2440億ウォンを投資している。2022年は製造・航空・造船・バイオ化学のロボット活用標準工程モデル開発、ロボットデータベース統合管理システム運営、中古ロボット再生のためのロボットリファービッシュセンターオープン、国民の生活レベルを上げるためのAI・5Gサービスロボットテスト事業支援を実施する。

 韓国最大手通信キャリアのKT社は2022年3月30日、MWC 2022で公開したAI防疫ロボットを発売した(図1)。KT社はキャリアでありながら新規事業としてロボットを選択した。キャリアとして長年研究開発してきたAI・ビッグデータ・クラウドコンピューティングの集大成がロボットだとして、顧客の悩みを解決しデジタルトランスフォーメーションをサポートするロボット本体とロボットサービスプラットフォームに力を入れている。90年代後半、全国にブロードバンド回線工事をし、世界最速でインターネットを普及させたようにこれからはロボットサービスプラットフォームを普及させるという。

 章恩(ITジャナリスト)

 

《日Robo》

2022. 4.

 

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https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/mag/rob/18/00006/00099/

MWCで韓国勢はAI・ロボット・メタバースなど注力、SKはAI半導体企業のSAPEONを米国に設立

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2022年2月28日~3月3日、世界最大級のモバイル関連の展示会「MWC Barcelona 2022」が「Connectivity Unleashed」をテーマにリアルイベントとしてスペイン・バルセロナで開催された。韓国からはSamsung Electronics社、通信キャリア3社(SK Telecom社・KT社・LG Uplus社)、中小企業53社、スタートアップ51社が出展した。

 Samsung Electronics社はスマートフォンやスマートウオッチなどGalaxyブランドのデバイスによるコネクティビティを体験できるようにした。韓国で2月25日に発売したスマートフォンの新しいフラッグシップモデル「Galaxy S22」シリーズ、2月27日に発売したタブレットPC「Galaxy Book」シリーズを中心に、デバイスに搭載したAI機能を強調した。Galaxy S22は4nm世代の技術で製造したSoCを搭載したことでAIに関わるNPU(Neural Processing Unit)の機能を向上。カメラもAIソフトウエアの機能向上でよりよくなった。

 章恩(ITジャナリスト)

 

《日Robo》

2022.3 .

 

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https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/mag/rob/18/00006/00097/

CESでSamsungやLGが最新ロボットを出展、メタバースと組み合わせた提案も

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 米国ラスベガスで2022年1月に開かれた世界最大級の家電IT見本市「CES 2022」では米国の次に出展企業が多かった韓国。1973年に当時の金星(現LG Electronics社)が白黒テレビを展示したのが韓国企業による初めてのCES参加。約50年後の2022年は史上最多の502社が参加した。CES Innovation Awardsの632件のうち139件を韓国企業が受賞し、受賞最多国にもなった。

  ただし、良いニュースばかりではなかった。CES 2022に参加した韓国企業の社員らが米国で新型コロナウイルス(COVID-19)陽性となり通常の航空便に搭乗できなくなる事態も発生した。社員らをチャーター機で帰国させたSamsung Electronics社は「韓国技術の優秀性を広く知らせるため(参加の)決断をしたが、感染者が出てしまい申し訳ない」と韓国メディア経由で謝罪までしたほど、COVID-19の影響を受けた展示会になってしまった。


 章恩(ITジャナリスト)

 

《日Robo》

2022. 2.

 

-Original column

https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/mag/rob/18/00006/00095/

Samsungが組織改編でロボット事業チーム新設、NAVERは5Gロボットフレンドリービルが完成目前

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 2021年12月12日、Samsung Electronics社が大々的な組織改編を発表した。消費者家電、IT・モバイル・映像ディスプレー・医療機器・ネットワーク事業部門をDX(Device eXperience)部門に統合。2021年初めに消費者家電事業部門の傘下に新設した「ロボット事業化タスクフォース」を「ロボット事業チーム」に格上げし、DX部門長直属組織にした。

 Samsung Electronic社によると、組織改編の狙いはユーザーにとって最大の価値を提供すること。コロナ禍以降重視されるようになったユーザー一人ひとりの趣向とライフスタイルを繊細に反映しながら、デバイス同士が滑らかにつながる技術を確保することを重視し、身の回りにSamsung Electronics社のデバイスが増えるほど日常が楽で豊かになるよう、組織の境界を越えた技術融合とシナジー効果を出すことだという。「New Samsung」、「One Samsung」をキャッチフレーズに、Samsung製デバイスのエコシステムを拡大するビジネスモデルを積極的に育成すると意気込む。

 章恩(ITジャナリスト)

 

《日Robo》

2022. 1.

 

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https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/mag/rob/18/00006/00093/

韓国の半導体人材10万人育成方針に教育界が異論、画一化への懸念

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韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が公約した、半導体人材を10万人育成する方針を巡って、韓国内が揺れている。産業界が賛同する一方、教育界からは異議を唱える声が噴出しているからだ。なぜ教育界が反発するのか。そこには韓国における大学の首都圏一極集中や、教育画一化への懸念など、さまざまな問題が横たわっている。


 複数の韓国メディアによると尹大統領は2022年6月7日(現地時間)、日本の文部科学省に相当する韓国・教育部(部は省に当たる)の次官に対し、半導体人材10万人育成の達成に向けて韓国の首都圏にある大学の半導体学科の定員を増やすよう求めた。しかし次官は「地域で均等な発展を目指すために、同大学の入学定員を制限している」と説明。それに対し尹大統領は「国の未来がかかっている」と、次官の説明を一蹴したという。尹大統領の方針を受けて早速に教育部は、同大学の半導体学科の定員を増やす方向で動き始めた。

 同大学は、首都圏への一極集中を避けるため、1982年に制定された首都圏整備計画法に基づいて定員を制限している。過去に何度も先端産業の人材不足を解消するために、半導体学科などの定員を増やす議論があった。しかし韓国では急速に少子化が進み、首都圏の大学定員を増やすと地方大学に学生が来なくなるという懸念から、これまで規制緩和には至っていない。

学生に大人気の「契約学科」、企業が学生の生活費まで支給

 韓国の大学では、企業が大学運営の参画し、場合によっては学生の生活費支援や就職を保証する「契約学科」と呼ばれる仕組みが急速に広がっている。企業にとっては、求める人材を学生時代から育て、即戦力として採用できるメリットがある。尹大統領による半導体学科の定員増方針は、契約学科の定員数を増やすことにもつながり、産業界からは歓迎の声が聞こえる。

 韓国の大学で半導体学科が創設されたのは2006年、韓国成均館(ソンギュングァン)大学校が開設した半導体システム工学科がその始まりだ。成均館大学校はソウル市に本部を置く私立大学であり、1996年から韓国Samsung(サムスン)グループが大学運営に参加している。

 サムスングループは1996年から2015年までの20年間、半導体やディスプレー、医療分野の人材育成のため、成均館大学校に対して1兆5000億ウォン(約1570億円)を支援。この時、成均館大学校に新設された学科の一つである半導体システム工学科が、契約学科の先駆けである。

 契約学科は、企業が学科運営費の50%以上を負担する条件で新設できる。成均館大学校の半導体システム工学科は学生に対する手厚い待遇で有名だ。

 大学時代の4年間にわたって奨学金と生活費(学業奨励金)を支給するほか、1年生の夏休みに無料で海外研修も実施する。一方で、2年生の終わりになると、サムスングループの入社試験(職務適性検査)や面接などを受けることになる。合格すると卒業後に、サムスングループへと入社できる契約を結べる。

 優秀な成績を収めた学生は、サムスングループの支援を得て、大学院へと進学する道も開ける。同学科の大学院は、Samsung Electronics(サムスン電子)に長年在籍した研究員や米国から招聘(しょうへい)した教授などが講義し、厳しく指導する。

 サムスングループは延世(ヨンセ)大学校でも契約学科の運営を始めた。さらに浦項工科大学校(POSTECH)や国立の韓国科学技術院(KAIST:Korea Advanced Institute of Science and Technology)でも契約学科をつくる計画だ。

 ここにきてサムスングループに続き、韓国の大手企業がこぞって契約学科の新設に乗り出している。

 サムスン電子と並ぶ半導体大手の韓国SK Hynix(SKハイニックス)は、高麗(コリョ)大学校と漢陽(ハンヤン)大学校に半導体工学科の契約学科をつくる契約を結んだ。

 韓国LG Energy Solution(LGエナジーソリューション)と韓国SK on、韓国Samsung SDI(サムスンSDI)という韓国の大手バッテリー3社も、2021年から契約学科の運営を始めている。韓国Hyundai Motor(現代自動車)や韓国LG Display(LGディスプレー)といった企業も同様だ。

 学生の就職難が課題になっている韓国では、奨学金がもらえて就職も保障されている契約学科は大人気であり、成績優秀者が集まるようになっている。

 ただし2022年入学の半導体関連の契約学科定員数は約150人。2021年に契約を結んだ大学があるため、2023年入学の定員数は約360人に増える見込みだが、狭き門であることに変わりはない。

 企業にとっても半導体業界の慢性的な人材不足を解消するためには、現在の契約学科数の定員では到底足りないという認識だ。韓国半導体産業協会は、サムスン電⼦とSKハイニックスの⼤規模な⽣産設備拡⼤の推移からして、年間3000⼈の人材が不足すると見込んだ。


 章恩(ITジャナリスト)

 

(NIKKEI TECH)

2022.6 .

-Original column

https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/01231/00062/