金好きなお国柄? サムスンが韓国でシニア向けスマホ「GALAXY Golden」発売 [2013年8月23日]

韓国サムスン電子がガラケー(従来型携帯電話)のようなデザインのフォルダー(折りたたみ)型LTE対応スマートフォンを発売した。シニア層をターゲットにしたスマートフォンということで、その名もずばり「GALAXY Golden」。

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韓国サムスン電子が発売したシニア層向けスマホ「GALAXY Golden」。

 「シルバー」ではなく「ゴールド」なのが韓国らしい。ちなみに、中国人の金好きは有名だが、韓国も負けないほど金好きで、貯金の代わりに金を購入する投資が流行っている。

 端末は全体がゴールドというわけではなく、黒を基調にふちがゴールドなのだが、高級感たっぷりのデザインに仕上がっている。韓国のスマートフォンユーザーの間ではかなり話題を呼び、シニア層をターゲットにしているにもかかわらず、珍しい端末好きの20~30代の若者にも売れているようだ。ブログでは「お父さんにプレゼントしたい」「持っているだけで金持ちに見えそう」という書き込みも増えている。

3.7型タッチディスプレイを2つ搭載

 GALAXY Golden は、3.7型のデュアルタッチパネルで、フォルダーの両面にディスプレイがついている。フォルダーを閉じたまま普通のスマートフォンのようにタッチして使い、フォルダーを開くとガラケーのように使える。

 サイズは幅118×奥行き59.5×高さ15.8mm。女性の手の大きさでも使いやすく、片手にすっぽり入る。重さは179gある。タッチパネルが両面に付いているせいか、若干分厚く、重く感じる。800万・190万画素カメラ、FMラジオ受信機能も付いて端末出荷価格は約7万2000円だ。

 タッチパネルで文字を入力するのが苦になるシニア向けに、メールやSMS(ショート・メッセージ・サービス)を利用する時は使い慣れたガラケーのように、キーパッドでボタン操作できるようにした。無料通話・SNS・マップ・電子書籍などスマートフォンで人気のアプリも使える。キーパッドでKAKAOやLINEを使えると、もっと早く楽に文字を入力できそうだ。

端末のどこに耳を当てても声が聞こえる

 GALAXY Goldenのタッチパネルのホーム画面も、シニア向けにシンプルにした。体重管理や万歩計機能があるサムスン独自のヘルスケアアプリ「Sヘルス」、名刺をカメラで撮影するとアドレス帳に電話番号やメールアドレスなどを自動保存できる名刺認識アプリをプリインストール。最新のスマートフォン「GALAXY S4」で使える機能はおおむねGALAXY Goldenでも使える。

 通話の際にはフォルダーを開かず、端末のどこに耳に当てても声が聞こえるというのも面白い。インターネットも使うが、音声通話の方が多いという人にはぴったりのスマートフォンだ。サムスンは「消費者の個性とニーズを反映してスマートフォンのラインアップを強化していく」とコメントした。

中国では富裕層向けに発売済み

 実はこのスマートフォン、一足先に昨年末中国で発売されている。ジャッキー・チェンがCMに出演し、中国の富裕層が好きな金色スマートフォンとして話題になった。端末価格は約15万円と韓国の2倍だったにもかかわらず、「今までで一番使いやすいスマートフォンだ」として富裕層のビジネスマンに売れた。

 サムスンのGALAXYシリーズはピンク、パープル、ブルーなどもともとカラーバリエーションが豊富だ。一方、米アップルが近々発売すると噂されるスマートフォンの新機種“iPhone 5S”で、従来機のホワイト、ブラック以外に「シャンパンゴールド」をラインアップするようだ。サムスンはアップルに対して先手を打ってゴールドのスマートフォンを発売したという報道もある。金好きな中国市場を狙ってiPhoneもゴールドを出すというのだ。

 米ストラテジー・アナリスティクスによると、2013年4~6月の世界LTEスマートフォン市場シェアはサムスンが47.0%(販売数2720万台)で1位だった。2位はアップルで23.5%、3位はソニーで6.2%だ。シニア層や富裕層、新興国市場も巻き込んで、スマートフォン市場の競争がますます盛り上がってきた。

趙 章恩=(ITジャーナリスト)

日経パソコン
 

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韓国LGが激戦区米国で新スマホ「G2」発表、アップルとサムスンの牙城に切り込む [2013年8月9日]

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韓国では「LTE」よりも2倍速いモバイル通信である「LTE-A」対応のスマートフォンが増えている。サムスン電子の「
GALAXY S4」に続いて、LG電子も「G2」という名前のスマートフォンを公開した(関連記事)。パンテックも「VEGA LTE-A」を発売した。

 LGはG2のプレス向け製品公開イベントを2013年8月7日米ニューヨークで開催した。サムスンはいつも新しいスマートフォンの公開イベントを欧米で行っている。LGもスマートフォンの激戦区である米国でスマートフォン公開イベントを開催することで、世界市場を攻めるという意思をはっきりと表明した。
 


2013年8月7日に米ニューヨークで開催された韓国LG電子の新型スマートフォン「G2」公開イベントの様子

「G2」の外観。5.2型フルHDディスプレイを搭載し、細いエッジ幅も特徴的

 それほどG2はLGの野心作、自信作ということだ。G2は8月8日から韓国で発売し、その後世界130キャリアから販売する計画である。

5.2型フルHDの画質、24ビット192KHzの高音質

 LGは記者会見で「G2は史上最高の自信作」であると強調した。

 5.2インチのフルHDのIPSディスプレイにLTE-A、2.26GHzのクアルコム製スナップドラゴン800プロセッサー、外側1300万画素カメラには手振れ補正機能も搭載した。内側カメラは210万画素。カメラのレンズは指で触っても指紋が付きにくくした。

 何といってもG2の自慢は音質にある。24ビット192KHzのハイファイサウンドで、スタジオ録音の原音を再生できるレベルだという。CD(16ビット、44.1KHz)の音質をはるかに超えている。もちろん通話品質も良くなった。バンドルイヤホンも2万円はする高級イヤホンと差がない着用感と音質で差異化した。

ユーザーインタフェースに一工夫

 G2のキャッチフレーズは「Learning From You」。顧客こそがイノベーションの源で、ユーザーの意見を最大限に反映したスマホだという。「G2を使うことでユーザーは日常の中で、感動と楽しさを味わえる」との説明だ。ただし、米アップルのiPhone 5や、サムスンのGALAXY S4もCMで確か同じことを言っていたような……。

 それはともかく、G2の面白いのは、電源ボタンとボリューム調整ボタンが全て端末の後面にあることだ。これはスマートフォンユーザーの行動を観察した結果生まれた変化で、端末を握りしめたまま楽に人差し指でタッチできるようにするためだという。端末の前面にあったボタンはディスプレイに電源が入ると使えるソフトキーに変えた。

 ディスプレイは5.2インチと大きいが、横幅は2.7インチなので、女性でも握りやすくなった。5インチ以上のスマートフォンだと大きすぎてうまく握れず、通話する度に手が疲れたが、これなら大丈夫だ。

「ノックオン」「電池長持ち」など新機能多数

 もう1つ、「ノックオン機能」も面白い。iPhoneなら端末前面にあるボタンを押してディスプレイの電源を入れるが、G2はディスプレイの上を2回ノックして電源を入れたり消したりする。

 パソコンのログオン機能のように、1つのスマートフォンで複数のユーザー向けの画面を設定できるのも特徴だ。子供がスマートフォンで遊ぶ時はカメラと写真アルバム、学習アプリだけ使えるようにできる。安心して親のスマートフォンを子供のおもちゃとして使わせることができる。

 スマートフォンのヘビーユーザーにとって嬉しいのは、何といってもバッテリー長持ち機能だろう。G2はGRAM(Graphic RAM)を適用して、同じ画面をずっと見ている時はCPUを休ませる。この手法で使用可能時間を10%以上伸ばした。バッテリーは「Stepped Battery」というもので、従来のバッテリーに小さいバッテリーをくっつけている。バッテリーとカバーの間の隙間を埋める形で小さいバッテリーをもう1個増やし、さらに使用時間を伸ばしている。

iPhone 5とGALAXY S4の牙城を崩せるか?

 G2発売前から、韓国のスマートフォンユーザーの間で「LGがすごいスマホを発売するらしい」と噂が絶えなかった。韓国のスマートフォン市場はiPhone 5とGALAXY S4ががっちり握っているので、もっと他に選択肢が欲しいと願うユーザーが多かった。

 しかし、実際にG2が発表発表されると、「G2の性能はすごいし、斬新な機能が盛りだくさんなので使ってみたい。けれど今使っているスマホも悪くないし、LTE-Aにしなくてもインターネット速度が遅いと感じないし、悩ましい」という意見が多い。

 G2の端末価格は9万円ほどもする。キャリアから乗り換え補助金が出たとしても、6~7万円は払わないと入手できない。スマートフォン新機種の性能が良すぎて、逆にそこまでいらないから端末価格を安くしてほしいという意見も増えている。

 LGは、G2を世界市場で1000万台以上販売し、フィーチャーフォン時代の栄光を取り戻すのが目標だ。サムスン、アップルに続く世界3位のスマートフォンメーカーの地位を固めることを目指している。G2の投入でその目標に近づけるだろうか。

趙 章恩=(ITジャーナリスト)

日経パソコン
 

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スマホが売れない? 次の市場「スマートウオッチ」狙うサムスンとLG [2013年8月2日]

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スマートフォン市場に異変が起きている。

 このところ、韓国サムスン電子(スマートフォン世界シェア1位)の「GALAXY S4」や、米アップル(シェア2位)の「iPhone 5」のようなハイエンドスマートフォンの需要が減り、出荷台数も営業利益も減るだろうと予測する証券市場関係者のリポートが相次いでいる。これらの市場関係者は、ハイエンドではなく、300ドル以下のリーズナブルな端末の方が売れる時代になると見ている。

 実際に2013年7月末に各社が発表した4~6月の業績を見ると、韓国のサムスンとLG電子(世界シェア3位)、アップルの3社ともに、スマートフォン出荷台数の多さに比べて利益水準はそれほど高くない。サムスンの場合、ITモバイル部門の売上は前期に比べ8%増加しているが、営業利益は前期に比べ3%減っている。

 サムスンは「スマートフォンの売上高は伸びている。パソコンとネットワーク事業の実績が落ち込んでいること、新製品研究開発・流通投資の拡大により、前期比営業利益は小幅減少した」と説明した。

 LGも4~6月に出荷台数は伸びたが、平均販売単価が落ちたことで前期比売上も営業利益も落ち込んでいる。アップルも4~6月に3120万台ものiPhoneを販売したものの、純利益は前期比22%減少した。既にスマートフォンの普及率が高くなったことで、欧米市場での販売が落ち込み、途上国向けの安い端末しか売れないのでスマートフォンの利益は減少すると証券会社らは予測している。

アップルだけではなく韓国2強もスマートウオッチの商標出願

 そのせいか、アップルに続いてサムスンとLGもスマートフォンの次のハイエンド市場として、腕時計型デバイスの「スマートウオッチ」に力を入れている。

 サムスンのスマートウオッチは「Samsung Gear」という名前になりそうだ。サムスンは韓国と米の当局に「Samsung Gear」を商標登録した。登録した内容を見ると、Samsung Gearは、「PCやスマートフォン・家電とデータのやりとりができる、健康状態記録のための多機能ソフトウエア、デジタルカメラ、GPS位置確認システム装置、音響と映像の記録・再生・転送装置、TV受信機、コードレスヘッドセット」などの機能が搭載されるようだ。

サムスンは既に開発完了か?

 韓国マスコミは、「サムスンは既にSamsung Gearの開発を完了し、インドで製品テストをしているのではないか」「2013年9月にドイツで開催される世界家電展示会(IFA)で初めてGearを公開するのではないか」と見ている。そうなれば、アップルよりも先にサムスンがスマートウオッチを発売する可能性も高くなる。サムスンはIFAで「怪物」と噂される超ハイエンドスマートフォン「Galaxy Note 3」を披露する予定でもある。

 LGは韓国の特許庁に「G Watch」「G Glass」というブランドを商標登録出願した。名前からしてウエアラブルデバイスなのは間違いないだろう。LGは、「商標登録出願しただけでどのようなものになるかはまだ決まっていない」と説明した。

韓国ネットユーザーもアップルに熱視線

 日本でもソニーがスマートウオッチを発売して話題になっているが、韓国ネットユーザーの間でもスマートウオッチは話題の中心になっている。韓国でも本命はやはりアップルの「iWatch」(関連記事)。その理由はデザインにある。

 アップルなら普通の時計と変わらないかっこいいデザインのスマートウオッチを作りそうだという期待が高まっている。サムスンかアップルか、どっちのスマートウオッチにするかは、性能だけでなくデザインにかかっている。防水機能があってディスプレイがきれいな方を選ぶという意見も多い。

 アップルのスマートウオッチも10月には公開されるのではないかと見られる。年末商戦期には、スマートウオッチ競争が本格的に始まりそうだ。

趙 章恩=(ITジャーナリスト)

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韓国電機大手のサムスンとLG、ハードの次はソフト人材確保で激しい競争 [2013年7月26日]

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韓国では、ディスプレイの大きさ、3Dテレビの技術、冷蔵庫の容量の大きさ、スマートフォンのデザインなどあらゆる分野で、サムスン電子とLG電子が競争し続けている。今度はソフトウエア開発人材確保を巡り、新たな競争が激化している。

サムスン電子は「分離融合」型のソフト技術者育てる

 一歩先にソフトウエア開発人材確保に乗り出したのはサムスンである。これからもハードウエアを売り続けるためにはソフトも一緒に開発しなければならないとして、ソフト人材教育に力を入れ始めた。

 2013年からは文系人材を採用してソフトウエア開発を任せると発表した。まさに「文理融合」、文系と工学系の両方の考え方ができる人に育てるということだ。従来のサムスンの新入社員は8割が理系・工学系だった。

 文系出身でソフトウエア開発職になるためには、採用試験に合格して内定をもらい、その後「サムスン・コンバージェンス・ソフトウエア・アカデミー」で6カ月間960時間のソフトウエア開発教育を履修しなければならない。修了しなければ採用はなかったことになる。まずは今年200人を採用し、徐々に拡大していくとしている。2013年度の新入社員は全9000人を採用する予定である。

技術そのものに加えて「感性」を重視

 実験的ともいえる「文系人材をソフト開発者に育てる」という採用方式は、未来を考えてのことである。サムスンは、これからは技術そのものの競争よりも、人間の感性や感情に訴えられるように技術・サービスを組み合わせられる力、「融合」力の競争になると見ている。故スティーブ・ジョブズ氏のような、哲学を専攻した開発者、人間と文化を理解できる文理融合人材こそが、未来をリードすると強調する。

 サムスンは今年から5年間、小中高校生4万人、大学生1万人を募集してソフト開発教育を実施する計画も持っている。大学生の場合は、コンピュータサイエンスなど工学専攻者と、文系学生などコンピュータ非専攻者に分けて教育を行う。学生の頃からサムスン向けの人材になるよう教育して、その後に採用しようという考えだ。

LG電子は「コーディング専門家認証」制度

 LG電子もソフトウエア人材を大事にしている。2012年からは社員を対象にした「ソフトウエアコーディング専門家認証」を設けて、プログラミング言語でソースコードを作成する能力の優れた社員を専門家として認証している。

 この専門家に選ばれると、社内講師となってセミナーをするなど他の社員のお手本として活躍することになる。インセンティブ(報奨金)がもらえるのはもちろん、海外カンファレンスへの参加や、研究委員として昇格できるチャンスも与えられる。

長時間労働・低賃金から脱却できるか?

 韓国政府も2013年末までにソフトウエアセキュリティ専門家200人を養成する計画を発表した。相次ぐサイバー攻撃・ハッキング事件に歯止めをかけるため、政府Webサイトのセキュリティ脆弱性を把握し、防御できる人材を育てるのが目的だ。

 ソフトウエアセキュリティ専門家は、6年以上の開発経験と、3年以上のセキュリティ診断経験があり、韓国インターネット振興院の専門家養成課程を履修する。要件を満たすと、安全行政部(省)から資格証をもらえる。

 韓国では長時間労働、低賃金で、定年退職も早いのがソフト開発者のよくある姿だった。ところが最近は大手企業がこぞって「これからはソフトウエアが競争力を左右する」として、開発者を大事にする意向をアピールしている。ソフトウエア開発人材確保競争が開発者の待遇改善につながるとことを期待したい。

趙 章恩=(ITジャーナリスト)

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韓国の夏休み商戦、LTE-Aと屋外で動画を楽しめる超小型プロジェクターが人気 [2013年7月19日]

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 ここ数年、韓国では夏の休暇の過ごし方として、海外旅行とキャンプが流行っている。海外旅行は格安航空が増えたことで、国内旅行にちょっとお金を足しただけで東南アジアに行けるようになったからだ。格安航空の影響で、以前は8月に集中していた夏の休暇が、5~9月に分散したほどだ。去年までも7月からキャリアの定額制データローミングのCMが増えていたが、最近は年中海外でもデータ通信を安く使える料金制があると宣伝している。

 国内旅行は森や川でテントを張って寝るキャンプが大人気だ。ソウル市内にまでキャンプ場ができたほどである。ホテルの庭に高級テントを張って「キャンプっぽい」雰囲気を楽しみ、夜はホテルの部屋で寝るというパッケージ商品も人気が高い。

キャリア・電機メーカーが旅行者のニーズに対応

 キャンプ好きな人が増えたことを背景に、韓国の通信事業者(キャリア)はこの夏、「野外で映画を楽しめる」LTE高速通信サービスと、超小型プロジェクターのプロモーションを始めた。

 サムスン電子は、モニターを取り外してタブレットとしても使えるLTE対応Windows 8パソコン「ATIV Tab LTE」「ATIV Pro」の体験イベントを本社ショールームや代理店などで開催している。LTEを使えるATIVノートパソコンがあれば、アウトドアでも高速モバイル通信で仕事をさくさくこなし、映画やドラマ再放送など映像コンテンツもスムーズに楽しめると、宣伝している。

 
サムスン電子のLTE対応Windows 8パソコン「ATIV」。

 ATIVを買って、韓国大手キャリアSKテレコムのLTEデータシェア料金に加入すれば、1台分の料金で、スマートフォンとノートパソコンの2台からLTEを使える。LTE端末別にデータ料金を払う必要がないため、LTEノートパソコンも売れるようになった。

2013年6月末から始まったLTE-Aサービス

 SKテレコムは、2013年6月末からLTE-Aを商用化した。LTE-Aは800Mhzと1.8GHzの2つの周波数帯域を同時に使う「キャリアアグリゲーション技術」を使うことで、既存LTEの2倍に当たる最大150Mbpsの高速通信を可能にした。SNSを使ったビデオ通話、映像ストリーミングもすいすい利用できる。

 SKテレコムによると、LTE-Aを商用化してから2週間でLTEからLTE-Aに乗り換えたユーザーが15万人を超えた。新規加入者、機種変更加入者の約30%がLTE-Aを選択しているという。SKテレコムは音声通話もCDMAではなくLTE回線を使えるようにしている。音声通話をLTE回線に変えると音質がきれいになり、電話がつながるまでにかかる時間も断然短くなるという。

 LTE-A加入者だけが使えるFull HDストリーミングサービスや、同時に4人でテレビ電話ができるグループビデオ通話サービスも始めた。高速無線通信回線が登場したおかげで、モバイルデバイス向け映像コンテンツサービスも人気を集め、スマートフォン向け小型プロジェクターの需要が増え始めた。

超小型プロジェクターも人気

 スマートフォンに取り付けて使う2万円ぐらいの4.5cm×4.5cmサイズの超小型プロジェクター「スマートビーム」も人気商品である。キャンプ場で、家族みんなが集まって大画面で映画を楽しむための必需品だ。
 

 
SKテレコムの「スマートビーム」はスマートフォンに取り付けて使う超小型プロジェクター。キャンプに行く人が増えていることから、野外劇場風に映画を楽しむ用途を訴求している。LTEの普及で映画をストリーミングでもすいすい利用できるようになった。

 スマートビームはアシアナ航空の機内免税品としても販売されているほど人気だという。プロジェクターというと会社用、学校用というイメージがあるが、韓国では「ベッドに寝転がって天井に映画を映せるところがいい」と、個人用プロジェクターに興味を持つ人が増えている。他方で、自宅ではテレビもパソコンも使わずスマートフォンですべてを済ます人も増えているため、ホームシアターの代わりにスマートビームを買うの人も増えてくるかもしれない。

 SKテレコムはソウルの真ん中を流れる川、漢江(ハンガン)沿いの公園でスマートビームをレンタルできるイベントを開催する予定である。真夏になると少しでも涼しい場所を求めて漢江公園にテントを持ってきて寝泊りする人もいる。特に今年は電力不足で厳しい節電を強いられているので、エアコンをつけられず、漢江にやってくる家族が増える見込み。スマートビームをレンタルして、ちょっとしたキャンプ気分で家族だけの野外映画を楽しめるイベントになりそうだ。

趙 章恩=(ITジャーナリスト)

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「韓国スマートヘルスケア最前線」Samsungの腕時計型端末「GALAXY Gear」、韓国ではヘルスケア機能に注目

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GALAXY Gearは、腕時計型の端末。スマートフォンやタブレット端末と連動して日常生活をより便利にするというもの。カラー・バリエーションも豊富だ。2013年9月中旬以降、世界140カ国で販売する予定である。

 今回公開した“バージョン1”は、米Apple社よりも先に腕時計型端末を公開する目的が強かったようだ。機能とデザインを補い、2014年1月に米国ラスベガスで開催される展示会「CES」において“バージョン2”を公開するという噂が絶えない。

 GALAXY Gearは、音声認識による電話やメール、スケジュール・天気確認、アラーム設定といった基本機能はもちろん、同端末でメールのタイトルを読んでスマートフォンを取り出すと、何の操作をしなくてもすぐ該当するメールの本文がスマートフォンの画面に登場するといった「スマートリレー」機能も搭載している。スマートフォンをどこに置いたのか忘れてしまった場合、GALAXY Gearを使ってスマートフォンに音を鳴らすなどして探せる機能もある。

 GALAXY Gearの画面は1.63型と小さいが、「Super AMOLED」のためか画質がきれいで文字も見やすい。190万画素のカメラ付きなので、風景や時刻表などを撮影してメモ代わりにもできるのは便利だ。動画も10秒間撮影できる。

 カメラで写真を撮って電源ボタンを3回押すと、あらかじめ設定しておいた緊急連絡先に位置情報と一緒に写真を送信し、緊急事態であることを知らせることもできる。高齢者や子供に買ってあげたい端末と言える。

 Samsung Electronics社は、GALAXY Gear向けに「Line」や「Kakao」といったSNSを始め、70種類ほどのアプリケーション(以下、アプリ)を用意していると発表した。基本的には10種類ほどプリインストールして、その他は「Samsung apps」という同社が運営するアプリ・マーケットから好きなアプリをダウンロードする格好になる。米国で人気のフィットネス・アプリ「RunKeeper」「MyFitnessPal」も使えるという。GPSを使って、自分のランニングやウォーキング、サイクリング、ハイキング、マウンテンバイキングなどを追跡・記録することができるアプリだ。

専用のヘルスケア・アプリの開発も進む

 韓国ではGALAXY Gearを使ったヘルスケアに注目が集まっている。GALAXY Gearは動きを感知するセンサを搭載しているので、Samsung Electronics社がスマートフォン「GALAXY 4」向けに提供しているヘルスケア・アプリ「Sヘルス」や胸に付けるバンドと連動した心拍計、体重計と連動したダイエット管理といった機能も一通り利用できるように準備しているという。前述したスマートリレー機能を使って、GALAXY GearとGALAXYスマートフォンのアプリが連動するので、より楽にヘルスケア機能を利用できるようになりそうだ。

 韓国では健康な人をより健康にする「ウエルネス市場」が注目を浴びている。実際、さまざまな病の原因になるとされる肥満を予防するため、男女老若がダイエットに励んでいる。ダイエット食品やフィットネスジム、合宿型断食、針や漢方薬で脂肪を減らす韓方エステなど、方法は数えきれないほどある。韓国メディアの報道によると、韓国のダイエット市場規模は年間2兆ウォン(約2000億円)前後だという。人口約5000万人の国でダイエットだけに年間2000億円も使っているとは相当な市場規模である。最近はスマートフォンの普及にともない、無料あるいは数百円程度で利用できるフィットネス・アプリや、血圧や血糖値、食事内容を記録すると生活アドバイスがもらえるヘルスケア・アプリが人気を集めている。

 腕に着けるGALAXY Gearは、スマートフォンよりも細かく正確に生体情報をチェックでき、個人の健康状態に合わせてどうすれば肥満を予防できるのかより的確にアドバイスできる可能性がある。内蔵する動作感知センサをうまく活用したヘルスケア・アプリも開発が進んでいるため、GALAXY Gearのヘルスケア機能に対する期待は高まるばかりである。

 GALAXY Gearの最大の弱点は、電池の持ちがよくないことである。仕様としては充電して25時間は連続使用できると書いてあるが、実際にあれこれ機能をフルに使うと電池はすぐ消耗してしまう。そのため、韓国では端末を着用したまま充電する技術や大きくて薄くて腕の曲線に合わせて曲がるフレキシブル・ディスプレイ技術が、今後ウエアラブル端末を利用したヘルスケア・サービス市場の重要な鍵になると見ている。



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By 趙章恩の「韓国スマートヘルスケア最前線」
日経デジタルヘルス
 2013年9月3
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避暑地として人気の釜山・海雲台、「ビッグデータ」で現実的な観光政策を立案 [2013年7月12日]

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海水浴場沿いに高級ホテルが並ぶ釜山の海雲台(ヘウンデ)は、韓国で人気がある避暑地の1つである。夏になると、長さ1.5km、幅30mの海雲台海水浴場に1日70万人以上の人々が集まり、足の踏み場もなくなる。海水浴場が開場する6月から9月までは韓国じゅうで最も人が集まる場所なので、ビールや食品、家電、化粧品、オンラインゲームなど各種メーカーのイベントも、夏場はソウルよりも海雲台で開催することが多いほどだ。

 海雲台は「スマートシティー」あるいは「スマートビーチ」としても有名だ。海水浴場の入り口にはデジタルサイネージの観光案内スクリーンがある。タッチ式でメニューを選んで観光情報やグルメ情報などを検索できる。もちろん、日本語でも利用できる。


 デジタルサイネージにはカメラが付いていて、海を背景に記念写真や動画を撮影して、自分のメールアドレスにも送信できる。海水浴場周辺のお店ではスマートフォンの電子マネー決済(NFC決済)が使えるので、スマートフォンさえあれば現金はいらない。迷子防止用の位置情報確認腕輪も無料で利用できる。保護者のスマートフォンから子供の位置を確認できるのだ。


“地の利”生かし「ビッグデータ」分析


 釜山市海雲台区役所は、海水浴場や周辺のホテル、レストランを利用する観光客の利便性を高めるために、「ビッグデータ分析チーム」を設置した。韓国の地方自治体の中では初めてチームを設置し、政策立案に役立てている。


 海雲台区役所は2012年夏に、SNSでつぶやかれた海雲台関連の口コミを分析した。その結果、区役所や市が実施していた観光キャンペーンと、実際に観光客が欲しがっていた情報に食い違いがあることを発見した。


 例えば、市や区役所は釜山の名物であるパジョンや豚のクッパといった伝統食を観光客向けに宣伝していた。ところが、つぶやかれた口コミを分析したところ、観光客が釜山で食べたがっていたのは、全国どこにでもある刺身、チゲ、寿司だった。立派なレストランよりは屋台で食事をしたい、夜はクラブに行って踊りたいといった意見が多いという事実も発見した。このようにビッグデータ分析をうまく活用すれば、観光客が関心を持たない情報についてPRするような観光Webサイトに無駄な予算を使わなくて済む。


 宿泊に関しては、市や区役所はホテルやモーテルを観光客向けに紹介していたが、それよりも「ゲストハウス」の方が人気だった。ゲストハウスは2段ベッドに共用のバスルームとキッチンがある格安の宿泊施設である。海雲台に関する英語のつぶやきは、夏よりも釜山国際映画祭が行われる10月の方が多い、ということも分かった。釜山国際映画祭のレッドカーペットにK-POPアイドル誰が来るのかといったことが話題になっていた。



一部の声しか反映しない「卓上行政」から脱却


 初歩的なビッグデータ分析ではあるが、SNSのつぶやき分析結果を基に、2013年の夏は海鮮チゲや刺身のおいしい食堂を観光客向けに紹介できるよう準備している。従来の観光政策は、何人かのモニターを集めてグループインタビューをしたり、Web調査を実施したりする程度だったので、実際に海雲台を訪問した観光客の意見を広く反映した政策とは言えなかった。何をしても「卓上行政」だと批判する声もあった。


 ビッグデータ分析を導入し、膨大なデータから現場の意見をくみ取ることで施設を改善し、的確な情報を提供によって観光客を増やすのが海雲台区役所の狙いである。データを基に政策を立案すれば、観光客だけではなく、施設で働く地元の人々の満足度も上がるというわけだ。


防犯カメラの映像を分析し交通改善


 海雲台区役所は観光政策以外の分野でも、20代向け雇用増加や、防災といった目的でビッグデータを駆使している。交通の改善にもビッグデータを活用。区内にある防犯カメラの映像を分析して、駐車違反や違法駐車が多い地域と時間帯を割り出し、駐車場を増やすか交通システムを見直す計画だ。区役所は、防犯カメラを取り締まり目的で使うよりも、住民・観光客にとって不便にならないようにするためのツールとして使う方針を掲げる。そのためにもビッグデータ分析が必要だと見ている。


 海雲台区役所は、釜山市にあるビッグデータ処理プラットフォーム研究センターと協力して分析を行っている。まず区役所の職員らが政府機関のデータ、区が実施したアンケート調査結果、過去の政策、区のWebサイトに寄せられた苦情や意見、SNS上のデータなどを集める。研究センターが分析ツールを作成し、これらのデータを解析する。区役所によると、個人を識別できないようにしてデータを分析するなど、個人情報保護には配慮しているという。


中央政府もビッグデータ政策推進へ


 韓国では地方自治体だけではなく、中央政府もビッグデータ分析に熱心である。データを分析することでいち早く国家的課題を見つけて解決するために、「国家未来戦略センター」という名前のビッグデータ分析センターを設立する予定だ。


 データを活用した新産業活性化のため、まずは政府の公共データを、極秘事項を除いては基本的に誰でも利用できるように開放。民間のデータ流通も促進できるよう制度を改善する。データ分析に長けた「データサイエンティスト」を育成し、分析を体験できる「ビッグデータ分析・活用センター」も年内にオープンする予定である。



趙 章恩=(ITジャーナリスト)

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モバイルゲームを売るにはSNSが必須? 開発者は韓国でKakao、日本でLINEと組む [2013年7月5日]

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韓国では、2012年下半期に中高年までを“ゲーム地獄”に引きずり込んだ国民的人気モバイルゲーム「Anipang」(
関連記事)が成功してから、SNG(Social Network Game)ではない単独ゲーム、つまりSNSとつながっていないモバイルゲームは売れなくなってしまった。アプリストアの人気上位は全てKakaoTalk(カカオトーク)とつながっているモバイルゲームで、大手ゲーム会社のアプリよりもアイデアで勝負するベンチャー会社のゲームアプリが躍進している。2013年6月時点で170を超えるゲームが「ooo(ゲーム名) for Kakao」の名前でアプリストアに登録されている。

 韓国では、単独のモバイルゲームや、「モバゲー」のような(SNSよりもゲームを中心とした)ポータルサイトが提供するゲームよりも、SNGが圧倒的に人気を集めている。それは、SNSが今までゲームに全く興味がなかった人までも顧客にできるプラットフォームだからである。


NHNハンゲームも韓国ではKakaoと組む


 実は、韓国のKakaoTalkでヒットしたモバイルゲームは、日本ではKakaoTalkではなくLINE(ライン)に乗り換えてリリースされることが多い。同じゲームを韓国語バージョンはKakao向けに、日本語バージョンはLINE向けに提供していることがよくある。韓国でSNSといえばKakaoTalkの存在感が大きいが、日本ではLINEを超えるSNSはないからだ。


 KakaoTalkとLINEはSNS事業では全世界で激しく競り合っている(関連記事)。ところが、LINEの親会社である韓国NHNは、韓国内ではKakao向けゲーム「チームナイン for Kakao」を提供するなど、ゲームの供給先としてKakaoを活用している。










NHNハンゲームがKakaoTalk向けに新しく始めた野球ゲーム「チームナイン for Kakao」


 KakaoTalk(KAKAO)とLINE(NHN)は共に韓国資本の企業が開発したSNSだが、海外利用者数が多いことから、韓国モバイルゲームの海外進出プラットフォームになるのではないかと期待されている。現時点でKakaoTalkのユーザーは全世界で約1億人、LINEは1億8000万人に上る。


中高年がソーシャルゲームを楽しむように


 韓国インターネット振興院が発表した「2012年スマートフォン利用実態調査」によると、スマートフォンユーザーの79.7%はKakaoTalkやLINEといったソーシャルネットワークサイトを経由したSNGを利用したことがあると答えた。SNGの利用経験者は10~30歳代は90%以上、40歳代77.2%、50歳代で54.3%と中年層の間でも着実にユーザーを獲得しているのが特徴だ。


 SNS上の友達から「面白いゲームがあるからやってみて」とメッセージをもらいゲームをダウンロードするのが最初のきっかけになっている。広告よりも、友達に勧められる方がダウンロードしてみようという気持ちになるからだ。また、「主にダウンロードするアプリ」についても79.7%がゲームと答えているほど、モバイルゲームは韓国のアプリストアで圧倒的な人気を集めている。


若年層よりも30歳代以上が有料アイテム購入多い


 2013年7月3日ソウルで開催されたゲームテクノロジーセミナーでは、KakaoTalkやSNG開発会社によるモバイルゲームの展望に関する発表が人気を集めた。スマートフォンのゲームアプリの主なユーザーは10~20歳代と思われがちだった。だが韓国で人気のSNGは、ダウンロード数は20歳代の方が多くても、有料アイテムを購入するユーザーはほとんど30歳代以上だという。


 2013年上半期の売上高を比較すると、いち早くKakaoTalk向けにゲームアプリを提供したベンチャーが既存の大手モバイルゲーム会社を追い越した。ゲーム会社が次々にKakaoTalkと手を結んだことで、SNGの種類も豊富になった。


 現状では、まだ「Anipang」「ウィンドランナー」「アイラブコーヒー」のように、中高年層のゲームになじみの薄い人でもすぐに遊び方を理解できるカジュアルゲームの方がユーザー数は多い。だが、この夏からはロールプレイングやシューティングなど本格的なゲームが多数登場している。パソコン用ゲームと比べても遜色ないほどグラフィックも高品質になっている。さらに、数人が同時にアクセスしてチームを作って敵を倒すゲームになっているので、SNS上の友達と一緒に遊ぶのにぴったりである。


大画面スマホや高速回線普及も追い風に


 最近のスマートフォンは画面が5インチぐらいあり、高性能プロセッサーを搭載して、バッテリーもかなり長持ちするようになった。しかも7月から韓国のキャリアはLTEより2倍、3Gより10倍速い150Mbpsの「LTE-Advanced」を商用化する。「ネットワークが遅いためにスマホでゲームを楽しめない」ということも少なくなりそうだ。


 韓国コンテンツ振興院によると、韓国のスマートフォン向けゲーム市場規模は2012年約820億円で前年比28%ほど成長している。2013年も20%以上成長する見込みである。




趙 章恩=(ITジャーナリスト)

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スマート教育はロボットを活用する時代へ、韓国2大キャリアが子供向けロボットで競う [2013年6月28日]

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韓国は、教育分野でのIT活用、スマート教育に熱心な国だ(
関連記事)。2013年6月18日~20日、韓国・ソウル市にある展示場COEXで、スマート技術と教育の融合をテーマにした「スマートラーニングコリア」展示会が行われた。一般向けではなく、ビジネス・バイヤー向けの展示会ではあったが、スマート教育を実践している小中学校の教師が参加するセミナーや模擬授業もあり、教師と企業が一緒になって教育の未来を考える展示会だった。

 展示ブースの中で目立ったのは、大手通信事業者(キャリア)であるSKテレコムとKTの2社が、幼児向け教育ロボットを目玉にしたことである。


 SKテレコムは「アルバート」という名前のロボットにスマートフォンを装着して使う方式である。ロボットとスマートフォンの他に、専用のお店ごっこゲームボード、英単語カード、英語絵本などを展示した。









ソウル市の展示会でSKテレコムが展示した幼児向け教育ロボット「アルバート」



 英語絵本は電子ペンでなぞると英語を読み上げる。ペン先に付いているカメラで自分の顔を撮影してアプリに連動させると、ロボットの画面には絵本の主人公が自分の顔になって登場。子供が楽しく英語を勉強できるようにしている。英語絵本は600種類を販売。英単語カードをロボットにかざすと読み上げ、韓国語で意味を教えてくれる。


Bluetoothサイコロでお店ごっこ


 「お店ごっこゲームボード」はロボットがお客、子供が店員になる。Bluetooth付きサイコロを投げると、サイコロの数字をロボットが認識して、その数だけボード上のマスを進められる。


 マスには魚、野菜、文房具、セール会場といった文字が書いてある。ロボットは該当マスに書いてあるカテゴリーの中から商品を選んで「○○をください」と子供に示す。子供は商品が書いてあるカードをロボットにかざす。ロボットはBluetoothでカードの情報を認識し、ロボットの画面(スマートフォンの部分)にカードに書いてある商品が登場する。


 さらに、画面にはロボットがお金を差し出す場面が登場し、ロボットは「おつりください」と言う。子供は専用の紙幣をロボットにかざし、おつりを渡す。ちゃんと計算しておつりを渡すことで算数の勉強につながり、遊びながら学習効果もあるということだ。


 スマートフォンにゲームコントローラーをダウンロードすることもできる。スマートフォンをリモコンにしてロボットを動かしてボールを入れるサッカーゲームで遊ぶ、といった使い方になる。今までロボットというと大きくて銀色に光る巨体をイメージさせたが、SKテレコムの教育ロボットは手のひらサイズでとても小さく簡素なものだった。


 スマートフォンが画面になるので、ロボットとゲームボード、絵本や電子ペンまで一式全てをそろえても2万円もかからないお手頃価格である。スマートフォンを取り付けて使う仕組みなので、ロボット自体を買い替えなくてもスマートフォンにアプリをインストールするだけで幅広い機能を使える。



KTは歌って踊れるロボットを展示


 もう一方のKTは、2012年から発売している水色のロボット「Kibot2」を展示した。7インチの画面が付き、30cmぐらいの高さで、頭の後ろに投影のための“ビーム”が付いている。ロボットにアプリをダウンロードしたら、ビームを使って壁一面にアプリ画面を映し出し、親と子供が一緒に歌ったり踊ったり絵本を読んだりできる。英語や韓国語の文字を指でなぞりながら筆順を練習するアプリもある。筆順通りに書かないと次に進まない。









KTが展示した教育ロボット「Kibot2」



 ロボットの頭や足をなでると画面が笑顔になり、放置すると眠そうな顔になる。専用のカードをロボットにかざすだけで親の携帯電話につながる仕組みもあるので、防犯カメラとしても使える。Kibot2は一括払いだと7万円、KTのインターネットユーザーの場合は2年契約で月1500円ぐらいの利用料をネット料金に上乗せする。KTは、Kibot2用学習アプリ開発者を育成するための教育プログラムも運営している。


キャリアは音声通話収入を補う狙い


 スマートフォンが登場してから減り続ける音声通話収入を補う狙いもあって、SKテレコムとKTは「スマート教育」に力を入れている。2015年からは韓国全土の学校で「デジタル教科書」を使えるようになる。このため、親は子供が小学校に入る前にデジタル教科書に備えたいとして、タブレットを購入して学習アプリを利用させるケースが増えている。


 KTが無料提供している「オーレ幼稚園」「オーレ小学校」は算数・国語・社会などの学習効果があるクイズとゲームを提供するアプリ。初めてスマートフォンやタブレットを使う子供向けのアプリになっている。学習レベルを分析して、それに合わせてより難易度の高い学習アプリを勧めてくれる。「子供に学習アプリを使わせてみたいけど何から始めたらいいのか分からない」という親に好評だ。


 対するSKテレコムは有名予備校と提携し、中高生向けの本格的な受験勉強アプリを有料サービスとして提供している。大人向けの英語学習アプリにも力を入れる。展示会で紹介していたのが「Tムービーイングリッシュ」。最新映画を観ながら英会話を学習できるというものだ。スマートフォンで映画を再生すると、右側の透明なスクリーン上に英語字幕と韓国語字幕が登場する。もう一度見たい場面を繰り返したり、分からない単語をクリックすると詳細な意味が出てきたり、字幕を消して映画だけ見たりできる機能もある。映画ごとに覚えておくといい英語表現をまとめて解説する機能も学習の助けになりそうだ。


 SKテレコムは、現行の「アルバート」よりさらにかわいくて使い勝手が良いという新たな子供向けロボット開発も進めているという。2012年下期には「キッズタブレット」と呼ぶ幼児向け7インチタブレットの広告が目立ったが、今年の展示会ではロボットを前面に打ち出している。


国策として「スマート教育」推進


 今回のスマートラーニングコリア展示会の内容は盛りだくさんだった。英語・算数といった科目別学習アプリ、スマート教室内で3D映像やAR(拡張現実)を使う模擬授業、紙の教材を手軽にアプリに変換できるツール、デジタル教科書を教師がカスタマイズして使えるようにするツール、学習履歴管理・学習レベル分析といったソリューションに至るまで、びっしりとブースに並んでいた。


 韓国新政権のICT(情報通信技術)政策はソフトウェア・コンテンツ産業育成、クリエイティブな人材養成、ベンチャー投資活性化に重点を置いており、スマート教育関連ベンチャー投資も積極的に行うとしている。政府が営業担当者になりスマート教育関連端末とシステムを輸出することも盛んに推進する方針だ。次回のスマート教育関連展示会は9月にソウル市で開催される。





趙 章恩=(ITジャーナリスト)

日経パソコン
 

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Microsoft、Googleに続いてFacebook首脳が韓国訪問、ザッカーバーグCEOとサムスン電子の7時間に及ぶ会議の内容は? [2013年6月24日]

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2013年6月17日の夜、米Facebookのマーク・ザッカーバーグCEOが韓国を訪問した。ソウルの金浦空港には、あのザッカーバーグCEOを一目見ようと一般人も集まり、K-POPアイドルの出待ちのような状態になった。


 韓国でのザッカーバーグCEOに対するイメージは、「プログラミングの天才」「ハーバード大学中退でFacebookを設立した秀才CEO」「Facebookを大手企業に売らなかったプライドの高いCEO」「最年少大富豪」といったもので、憧れの存在である。


 ザッカーバーグCEOは18日の午前、朴槿恵(パク・クネ)大統領と面談し、午後にはサムスン電子本社で7時間に及ぶ会議をしてから帰国した。大統領官邸によると、朴大統領とザッカーバーグCEOは、Facebookをプラットフォームにして新しいビジネスができるようにし、韓国政府が力を入れているベンチャー起業促進と、ベンチャーのグローバル進出をサポートする、といった話を交わしたという。


スマホ分野でのサムスンとの関係強化が狙いか?


 サムスン本社を訪問した時には、最新型スマートフォンの「GALAXY S4」(関連記事)を握りしめてやってきた。サムスンのイ・ジェヨン副会長、携帯電話事業部門シン・ジョンギュン社長、イ・ドンジュ副社長など、モバイルビジネス関連の役員とミーティングし、社内レストランで食事もともにした。サムスン会長の長男であるイ・ジェヨン副会長はFacebookに会員登録していないそうで、ザッカーバーグ氏に会ってみてどうだったかと質問する記者らに「FacebookのID持ってないのかってザッカーバーグに怒られた」なんていうエピソードを披露した。


 今回の訪問にはザッカーバーグCEOの他にFacebookのダン・ローズ副社長、スマートフォン向け「Facebook Home」を担当するプロダクトマネージメントディレクターのアダム・モセリ氏、モバイルパートナシップ部門副社長のボーン・スミス氏、同部門ディレクターのアロン・バースタイン氏も一緒だった。このことから、サムスンのスマートフォンにFacebook Homeを搭載して、両社がモバイル広告事業で手を結ぶぼうとしているのではないかと見られた。


 Facebookは台湾HTCと、いわゆるFacebook Phoneの「HTC First」を発売したことがある。あまり売れなかったどころか、発売中止になるかもしれないという噂が流れるほど、失敗作だと酷評された。Facebookはサムスンと手を結んで、Facebook Phoneを復活させたがっているのか。




 


サムスンはFacebook Phoneには慎重姿勢


 サムスン側は、「Facebook側とIT産業について多様な意見を交換し、パートナーシップについて話し合いをした」とコメントしながらも、Facebook Phoneについては「また今度話しましょう」というだけだった。


 2013年に入ってから、米Google共同創業者のラリー・ペイジCEO、米Microsoft創業者のビル・ゲイツ氏も韓国を訪問した。ザッカーバーグ氏と同じように朴大統領と面談し、サムスンの役員らともミーティングしている。


 この2人は朴大統領と、大統領のキャッチフレーズである「創造経済」(クリエイティブな発想が国家競争力につながるとしてソフトウエア産業とベンチャー活性化に重点を置く政策)について語った。サムスンとはスマートフォンのOSについて協議している。


 韓国マスコミは、GoogleやMicrosoft、Facebookは「サムスンが世界最大のスマートフォンメーカーであるために、仲が良いことをアピールするため韓国に来たのではないか」と分析した。


AndroidとTizen、Windowsを巡る思惑が交錯


 サムスンはGoogleのAndroid OSを搭載したスマートフォン「GALAXY Sシリーズ」を世界中でヒットさせた。一方で、米Intelや日本のNTTドコモと共同で「Tizen(タイゼン)」というLinuxベースのOS開発を支援していることから、「サムスンにとっての脱・Androidの日が近づいた」と騒がれている。


 一方のMicrosoftとサムスンのパートナーシップも揺らいでいる。サムスンが販売しているパソコンは全てMicrosoftのWindowsベースのものだが、Windows 8搭載ノートパソコンの売れ行きはぱっとしない。「Windows大好き」の韓国人でさえ、自宅用にはおしゃれで高画質の米Apple製のMacを購入する人が増えている。


 サムスンはGALAXY Sシリーズの前に、「Omnia(オムニア)」というWindowsベースのスマートフォンを販売したことがある。世界的にパソコンからタブレットへ重点を移すパソコンメーカーが増えている中で、Microsoftもまだサムスンとは仲良しパートナーであり、Windowsベースのスマートフォンに注力する可能性もある、ということをアピールしたかったのではないかと見られている。


 サムスンは最近、ソフトウエア人材の確保に乗り出していて、ハードウエアの製造だけではなく、「中身」も作れる企業になろうとしている。韓国ではサムスンとグローバルIT企業との提携だけでなく、サムスン自身がこれからどのように変身するかも注目されている。




趙 章恩=(ITジャーナリスト)

日経パソコン
 

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