アップルのラッキーバッグで燃えた1日、日本と比べて中身は… [2013年2月4日]

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2013年1月31日、アップルのラッキーバッグ(福袋)に韓国のTwitterユーザーが燃えた。1月8日にはスターバックスのラッキーバッグで燃えていたので、韓国人って結構福袋好きなのかもしれない。スターバックスのラッキーバッグは4万5000ウォン(約3800円)。タンブラーのサイズ別に3個、飲み物チケット(どのメニューもトールサイズで注文できる)7枚、キーホルダーのようなノベルティ、ダイアリー手帳などが入っていて、かなりお得だった。

 2007年から始まったスターバックスのラッキーバッグは韓国ではほぼ初めての福袋。最近は「ラッキーバッグ」という名前で福袋がかなり広がり、在庫処理用によく使われている。韓国では、福袋は日本が元祖で、江戸時代に始まったものとして知られている。


 今度はアップルのラッキーバッグだ。1月31日午後12時から販売開始するラッキーバッグ目当てに、ソウル市内明洞と江南にあるアップルのリセラー「Frisbee」前には久々に徹夜組が登場し、早朝からテレビのニュース番組が取材に来るほどの大騒ぎとなった。このラッキーバッグ、韓国のリセラー側が店舗オープン4周年記念イベントとして企画したものである。正規Apple Storeの福袋は世界中で日本にしかないようだ。






ラッキーバッグ販売告知ポスター。リセラーの4周年記念イベントとしてラッキーバッグが販売された



 韓国のラッキーバッグは3万ウォン(約2500円)で、中身はアップルのアクセサリーやバッグ、ヘッドフォンがメインだという。MacBook AirやiPad miniも入っているといううわさがTwitterで広がり、この騒ぎになったのだ。30日まで羅老号ロケットの打ち上げ成功で盛り上がっていたTwitterは、31日にはもうすっかりアップルのラッキーバッグに何が入っていたのかに話題が移った。スターバックスのラッキーバッグは外れなし、どれもお得だったのでアップルもそうだろうと期待した。


 アップルのラッキーバッグは先着500人限定で、受け付けで番号が書いてあるUSBをくじ引きし、USBに書いてある番号のラッキーバッグを買うという仕組み。徹夜で早く並んだ人がいいものをもらえるというわけでもなかった。どのラッキーバッグにしようかな~と重さを量ったり、触ってみたりする楽しみはなく、本当にラッキーなのかどうか運試しのような福袋だった。


ラッキーバッグは家に帰って開けるのかと思ったら、その場で店員と一緒に福袋をオープンして中身を確認し、MacBook air やiPad miniに当たったのは誰かを公開した。MacBook Airに当たった人は感激でぶるぶる震えながらテレビのニュースに出た。

 「アップルの在庫処分品をお金払って買う人がいるなんて」と冷ややかなつぶやきも多いが、徹夜組は「ラッキーバッグ=おみくじのようなもので、どきどきする」と楽しそうだ。


 しかし袋を開けてみると、MacBook AirやiPad miniに当たったという人は500人の中に2~3人。アクセサリーやバッグが当たったという人すらあまり見かけない。ほとんどがApple Storeで使える3万ウォン分のプリペイドカードとボールペンという残念な中身だった。


 「3万ウォンの福袋に3万ウォン分しか入っていないなんてひどい…」、「アップルのラッキーバッグなのに、スタークラフトゲームCD(Blizzard社のネットワークゲーム)が入っているとは、どういうこと?」と怒りのつぶやきをFrisbeeのTwitter宛に残す人もいた。韓国のTwitterでは、日本のアップルのラッキーバッグが話題だ。3万3000円と値段は韓国の10倍以上するが、ちゃんとアップルの製品が7万円分以上は入っていたとかで、「さすが福袋の元祖の国は違うね!」と羨ましがっている。


 アップルのラッキーバッグ、一晩の思い出で終わるかと思ったら、韓国のマスコミは、福袋マーケティングは良くないという方向へ話を持っていき始めた。経済的に不安なほど人は運に任せようとする傾向があるので、福袋が人気なのは社会や経済が不安だからなんだとか。福袋マーケティングは一獲千金を狙うギャンブルに近いので青少年に悪いという話まで出始めた。そこまで深刻に考えなくてもいいんじゃないかな~。




趙 章恩=(ITジャーナリスト)

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ユーザー団結でスマホ通信料を安く~“組合”入って基本料大幅値下げ [2013年1月25日]

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消費者が団結してキャリアと交渉してケータイ料金を値下げしよう、という動きが韓国で本格化している。2013年1月8日、「全国通信消費者協同組合」は記者会見を行い、キャリアの基本料が月1万1000ウォン(約930円)のところ、協同組合の料金制度に加入すると基本料が70%引きの月3300ウォン(約280円)になると発表した。

 協同組合の回線はKTのMVNOであるエバーグリーンモバイルのもの。エバーグリーンの料金制度の中の一つに「協同組合料金」がある。組合加入費1万ウォン(約840円)を納めて会員になってから、料金制に加入する。KTやSKT、LGU+から協同組合に乗り換えるような仕組みになる。通話は10秒18ウォン、SMS送信は15ウォンとキャリアの料金に比べ30%ほど安い。データ通信は500MB分が1万ウォンで、街中や地下鉄の中ではKTのWi-Fiを無料で使える。携帯電話の端末はSIMを差し替えるだけなので、本人の端末をそのまま使うか、組合のWebサイトから中古端末を購入する。キズのほとんどないきれいなAクラス中古だけを販売していて、Galaxy Sが13万ウォン(約1万1000円)、S2は24万ウォン(約2万円)と新品の4分の1ほどの値段だ。


 「KTのMVNOなので音質もデータ通信も安定している、しかも安い」、が売りの協同組合だが、キャリアとの契約期間がまだ残っている人は対象外。契約期間が終わり、“自由の身”になった人だけが加入できる。1月20日までに1万8000人が組合員になった。


 協同組合は事務手数料(韓国では加入費という)も無料だ。キャリア3社は新規加入やキャリアを乗り換えると、通常2万4000ウォン(約2000円。LGU+のみ3万ウォン)の事務手数料を徴収する。


 協同組合というと韓国でも生協ぐらいしかなじみがない。全国通信消費者協同組合は2010年から組合設立準備を始めた。韓国の協同組合基本法が2012年12月に改訂し、発起人5人以上であれば誰でも自由に協同組合を設立できるようにしたことで(保険、金融、医療を除く)、2012年12月、正式に仁川市に設立届けを提出した。


 MVNOの中には、基本料無料、通話150分、300分あたりいくらという協同組合よりも安い料金制度のところもある。しかし共同組合は消費者団体であり、携帯電話料金構造や端末の流通が「消費者に有利になるようにするための存在」というところが違う。


 協同組合側は、「消費者はキャリアの利益のために存在するのではない。キャリアは過度なマーケティング費用を使い、その分通信費を高くして消費者に負担させている。合理的な通信料金で、消費者には家計の負担なく携帯電話を使えるようにし、キャリアは適正な利益を上げるべき」と主張する。

携帯電話普及率が人口の107%を超えている中、家計の通信費負担は月15万ウォン(約1万2600円)を超えた。家計消費の6%が通信費である。OECD加盟国の平均は2.7%なので、家計消費に占める通信費の割合が韓国では高すぎるともいえる。

 日本円で6~8万円はする高いスマートフォンも、家計を圧迫している。安いスマートフォンを使いたくても売っていない。だからといってフィーチャーフォンを使うのは不便なので、高くてもスマートフォンを買うしかない。協同組合は、組合員の共同購入という形でスマートフォンを安く販売することも計画している。今後は月1万ウォンで使える固定ブロードバンドも発売する予定だ。
 







放送通信委員会が提供する携帯電話料金制度案内ページ。「スマートチョイス」という名前で、自分の通話パターンを入力すると、キャリア3社の中からおすすめの料金制度を案内する



 携帯電話通信費値下げは国民的関心事である。新しく大統領に就任する朴勤槿氏は、キャリアの事務手数料廃止を検討している。無料の公共Wi-Fiを増設して、データ通信費も節約できるようにする。キャリアはもちろん反対している。事務手数料がなくなると、キャリア3社合わせて年間3000億ウォン(約250億円)近い売り上げが消えてしまうからだ。キャリアは、「通信費は高くない。端末分割払い料金が含まれるから高く見えるだけ」と主張する。


 筆者はまだ契約期間が終わらずKTに縛られた身であるが、満了したら協同組合に加入したくなった。全国通信消費者協同組合の登場は、携帯電話の流通/構造や料金体系を大きく変えられるのか、楽しみだ。






趙 章恩=(ITジャーナリスト)

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2013年はPhone+Tablet の「Pablet」に注目 [2013年1月18日]

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米ラスベガスで毎年1月に開催される恒例の家電トレードショー「CES」は韓国でも大きな話題だった。

 2013 International CESでは、サムスンとLGの55型Curved OLED TV、サムスンの110型UHD TVが注目を浴びた。会場にはサムスンとLGの役員らも駆け付け、どちらも「2015年、家電世界市場シェア1位を達成する」と自信満々のところを見せた。







2013 International CESでのサムスンのブース。UHD TVの展示コーナーで(サムスン提供)



 Curved OLED TVは曲がっているディスプレイ。Curved OLED TVは平面よりも立体感があるので、パノラマ効果で映画館にいるような気分にさせてくれるだけでなく、目の疲労も減るという。しかし平面の55型OLEDTVでも1100万ウォン(約90万円)はするので、Curved OLED TVはとんでもなく高い値段がつきそうだ。そのせいで量産は難しいのではないかと見られている。あくまでも、うちはこんな技術を持っていますよ~と自慢しただけで、実際に売り出されるわけではないようだ。さらに、サムスンは薄いプラスチックで割れないフレキシブルディスプレイ「YOUM」を、LGは折りたたみディスプレイを公開した。


 韓国のマスコミ報道によると、サムスンとLGは当初、Curved OLED TVを展示する予定はなかったという。ソニーが展示会開幕前日に56型4K OLED TVを公開、サムスンとLGは負けるものかと展示品目になかったCurved OLED TVを引っ張り出して展示をしたそうだ。大型展示会にはいつもVIPだけに公開する新技術や万が一のために持っていく新製品があるそうで、Curved OLED TVもその1つだったとか。ソニーの56型4Kというのは、サムスンとLGが発表した55型フルHD OLED TVよりもサイズが1インチ大きく画質は4倍もきれいなんだとか。


 2013 International CESにはサムスンとLGだけ参加したわけではない。現代自動車や中小企業も展示に参加した。韓国のモニュエル社は、「タッチテーブルPC」で、中小企業としては初めて「Best of Innovation Award」を受賞した。テーブルとタブレットPCが1つになったもので、タブレットPCを使って注文、NFCカード決済、コンテンツ利用、ネット検索などを利用できる。保険代理店、自動車代理店、カフェ、レストランなどBtoB向けに販売している。








中小企業としては初めてBest of Innovation Awardを受賞したモニュエル社のタッチテーブルPC(モニュエル社ホームページより)






趙 章恩=(ITジャーナリスト)

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LINEとカカオトークに負けるか! キャリア3社、合同サービス開始の本気 [2013年1月11日]

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韓国のキャリア3社、KT、SKテレコム、LGU+は、2012年12月26日より合同で「JOYN」という統合メッセージサービス(RCS:Rich Communication Suite)を始めた。

 JOYNは、加入者同士でチャット、LTE基盤音声通話(VoLTE)、テレビ電話を利用できるアプリである。グループチャットに加え、位置情報、映像、写真が共有できる。スマートフォンとPCの両方から使えるので、外回り中に会社からスマートフォンやタブレットPC宛に大容量(100MBまで可能)のファイルを送ってもらうとか、スマートフォンで撮影した動画をPCに送信して一緒に見ながら通話するといった機能はとても便利だ。しかし、ここまではLINE、カカオトークと同じサービスで、JOYNに乗り換える必要性が全く見えない。


 違いがあるとすれば、既存のアプリ経由の音声通話は音質が不安定で、通話の途中で切れたり時々つながらなかったりすることがあるが、JOYNはキャリアが提供するアプリなので、いつでも安定的に高音質で通話ができることだろうか。また、韓国のユーザーは「知らない人を友達として推薦されるのは不愉快」という人が多いので、JOYNはあえて友達をおすすめしないことにした。セキュリティとプライバシーを守りながら利用できるメッセージアプリ兼SNSを目指している。
 






キャリア3社合同でサービスを開始した「JOYN」の利用イメージ。LINEとカカオトークに対抗するためだが、無料でない限り勝ち目はないとみられている



 しかしLINEとカカオトークは無料で利用できるが、JOYNは2013年5月までの6カ月間のお試し期間だけ無料で、その後は有料になる。定額ではなく、メッセージ送信1件ごとにいくら、といった課金にしようとしている。JOYNがどんなに音質がきれいで便利だろうが、「有料ならいらない」というユーザーがほとんど。ネットでは評判がよろしくない。


 さらに、キャリア3社がLINEとカカオトークに対抗するためJOYNを始めたというニュースのコメントには、「やっと軌道に乗ったベンチャー企業のアプリを大手企業が乗っ取ろうとしている。JOYNは新しいサービスというより中小企業つぶしにすぎない」、「大手企業は大手らしくもっと技術開発に投資して、新しいことをすればいいのに。キャリアがどんなことをしても、無料のLINEとカカオには勝てない」と批判的な意見が多数書き込まれている。


キャリアのSMS送受信量は2010年の1人当たり月平均603件から、2012年上半期には347件にまで減った。日本と同様、韓国は違うキャリアに加入している人でも、メールではなく携帯電話番号宛にSMSを送受信できる。SMS送信は1件(80バイト)20ウォン(約1.6円)、受信は無料だ。SMSは短文をチャットのように送り合うので、中高生向けのSMSは月1000件定額料金なんていうプランもあるほどだ。それでも1000件をあっという間に使い終え、追加決済する中高生が多く、「SMS利用件数を追加できない料金制度」というのまで登場した。これほど頻繁に利用しているSMSなので、1回20ウォンと激安でも、月平均603件も送れば結構な料金になる。そのため韓国ではスマートフォンに加入したら、真っ先にカカオトークをインストールし、無料SMSとチャット、音声通話を利用するようになった。当然のことだが、カカオトークにユーザーが流れた分、キャリアは重要な収益源を失ってしまった。

 韓国ではLINEよりカカオトークの方が、圧倒的に加入者が多い。スマートフォン加入者のほぼ全員にあたる3500万人あまりが利用しているほどだ。カカオトークは韓国初の無料メッセージ+無料通話アプリである。海外のユーザーを合わせると、7000万人近くがカカオトークをインストールしている。海外にいる家族や友人と国際電話の代わりにカカオトークを利用する人がとても多い。カカオトークを経由したメッセージ送信は1日30億件を超えるという。カカオトークはメッセージアプリとしての機能だけでなく、モバイルプラットフォームとして、面白いゲームもたくさん提供している。国民的人気を誇るパズルゲームの「Anipang」(参照記事)も、カカオトークと連動したソーシャルネットワークゲームである。


 キャリア3社がJOYNを始めたのは、SMS収益を取り戻したいこともあるが、モバイルプラットフォームとしての役割をカカオトークに奪われるかもしれない恐怖からだというのが業界の定説だ。キャリアはコンテンツプロバイダーとユーザーをつなげ、決済代行を行うプラットフォームだった。しかしスマートフォンが登場してからは、アプリストアがプラットフォームの役割を担う。さらに、最近はカカオトーク、Twitter、FacebookのようなメッセージアプリとSNS、サムスン電子やLG電子のようなメーカーまでもがアプリストアを作り、ユーザーとコンテンツをつなげる役割をしている。


 キャリアはモバイル産業の主役から、ネットワークを提供するだけの脇役に転落するかもしれない瀬戸際なのだ。キャリア3社のJOYNはLINEとカカオトークに奪われたプラットフォームの役割を取り戻せるだろうか。2013年は「キャリアの役割」が問われる1年になりそうだ。






趙 章恩=(ITジャーナリスト)

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SNS選挙運動効果なし? ネット世論と投票結果に差:大統領選 [2012年12月28日]

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2012年12月19日に行われた第18代目大統領選挙は、スマートフォンが普及してから初めて行われる大統領選挙でもあり、モバイル/SNSで燃えた選挙だった。

 ポータルサイトのNAVERによると、大統領選挙特集ページの1日平均ページビューは、パソコン向けページが6300万件、モバイルページはPCの3倍ほど多い2億件を突破した。モバイルページの1日当たりのページビューは4月の総選挙の時よりも多く、最高記録を更新した。


 ポータルサイトのDAUMもモバイルページの利用の方が多かった。選挙特集ページの選挙当日ページビューはPC向けページが1億3000万件、モバイルページが2億1300万件だった。モバイルページのアクセスは前月比3倍も伸びた。特に政治討論ができるネット掲示板は、スマートフォンモバイルからの書き込みと閲覧の方が多かったほどである。
 







NAVERのモバイル向け大統領選挙運動特集ページ。2012年の大統領選挙はPCよりモバイルページのページビューの方が圧倒的に多かった



 NAVERとDAUMは、大統領選挙はオフライン選挙運動からオンライン選挙運動へ、さらにモバイル選挙運動に変わったと評価した。その理由はやはりスマートフォンの普及と選挙法の改訂にある。SNS選挙運動が合法となり、誰でも自由にTwitterやFacebookから「私は○○の理由で○○候補を支持します。あなたも投票してね」と選挙運動ができるようになった。またネット上の掲示板に書き込む際には、国民IDである住民登録番号を入力して本人確認をするインターネット実名制度というのがあったが、それも廃止されたため、匿名でも自由に選挙や政治についてつぶやけるようになった。以前は選挙陣営の担当者、政党担当者、候補本人以外の一般人が選挙に関してネットに書き込むと、すぐ選挙法違反だとして本人を突き止めて捜査をするので、怖くて何も書けないというほどだった。今回の大統領選挙では表現の自由が最大限守られた。


 SNSで自由に発言してもよくなったことで、ポータルサイトのニュースをSNSにリンクして意見をつぶやいたり、自分が支持する候補の情報をRTしたり、友達に教えてあげたり、選挙に関して積極的に意見をいう20~30代がとても多かった。Twitterでも、韓国ではLINEよりユーザーが多いカカオトークでも、タイムラインから大統領選挙の話題が消えることがなかったほど盛り上がった。韓国のリサーチ会社DMCの調査によると、有権者の40.4%が「大統領選挙関連ニュースや公約などの情報をスマートフォンから得た」と答えた。


スマートフォンの普及がSNS選挙運動を後押し


 韓国のスマートフォン利用者動向を見ると、全体の普及率は約65%、50~60代のスマートフォン利用率も25%ほどある。スマートフォンは若い人の専有物とはいえないほど広く使われるようになった。スマートフォンの高い普及率は、SNS選挙運動、モバイル選挙運動が盛り上がった理由のひとつである。


 大統領候補はSNSの公式IDを通じて公約を発表し、その日のスケジュールを公開した。候補らは動画投稿も積極的で、街角演説をリアルタイムで中継したり、候補の1日のスケジュールをずっと追いかけるストリーミング放送を流したり、いつでもどこでも候補の情報をスマートフォンから手に入れられるようにした。SNSでは有権者からの質問や声援に答え、フレンドリーなイメージを作ろうとがんばった。


 各政党の選挙対策本部は、SNS専門チームを結成し、SNSでデマが広がらないよう対応した。SNS競争が激化しすぎて、与党のセヌリ党と野党の民主統合党は、違法なSNS選挙運動をしているとお互いを攻撃した。アルバイトを大量に雇い、Twitterやネットの掲示板にお互いの候補の悪口を書き込んで落選させようとしたというのだ。SNSの世論操作はなかなか証拠がつかめないため、うやむやになってしまったが、大統領候補らのSNSのフォロワー数やつぶやき内容をめぐる神経戦もすごかった。


 盛り上がったSNSだったが、選挙結果にどう反映したのか。米ツイッターが韓国の大統領選挙関連つぶやきを分析したところ、Twitterの中では改革勢力の候補が圧倒的に支持されていた。米の大統領選挙では、Twitterでオバマ大統領に関するつぶやきの方が多く人気で、実際にオバマ大統領は再選に成功した。


 ところが、韓国はTwitterで支持された候補は落選し、人口ボリュームの最も多い50代以上が支持する保守派候補が当選した。SNS選挙運動がどんなに盛り上がろうと、高齢化には勝てなかったようである。SNS選挙運動によって選挙への関心は高まり、投票率は伸びたものの、SNSで人気の候補が当選するには至らなかった。


 2002年と2012年を比べると、この10年で20~30代の有権者数は10%減り、50代以上の有権者数は10%以上増えた。SNSよりはテレビ討論、街角演説、紙の新聞記事を信頼する高齢者が選択した候補が大統領になったことで、SNS選挙運動は意味がないのではないかという分析まであった。しかし今は過渡期で、韓国のスマートフォン普及率が90%近くなる5年後の大統領選挙では、手軽で瞬時に情報が広がるSNS選挙運動が何よりも影響を与えるのではないか、という見方もある。


 今回の選挙結果はシニアの勝利に見えるが、スマートフォンに慣れている40代が50代になる5年後、10年後には、街角演説がなくなりSNS選挙運動が当たり前になるのではないだろうか。






趙 章恩=(ITジャーナリスト)

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サムスンとアップル、意外な展開を見せる特許戦争 [2012年12月25日]

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2012年8月にアップルの勝利で終わったように見えたサムスン電子とアップルの米カルフォルニア州における連邦地方裁判所での特許訴訟だが、その後意外な展開を見せている。

 8月当時、米の陪審員はアップルが主張する7件の特許侵害の内6件をサムスン電子が侵害したと認めた。賠償額は10億4900万ドル。「サムスン電子が、アップルの特許であることを知りながら故意に侵害した」として賠償額をもっと増やすべきだという話もあり、サムスン電子絶体絶命のピンチ!と注目を浴びた。


 アップルは同裁判所に、サムスン電子のスマートフォンとタブレットPCを米国内で永久に販売できないようにする販売禁止可処分申請をしたが、これは棄却された。さらに、米の特許庁(USPTO)がアップルだけの技術と主張していた「Pinch to zoom」と「Bounce back」を次々に「特許ではない」と判断したことから、訴訟の争点は端末のデザインのみとなっている。Pinch to zoomは指2本でタッチして画面を大きくしたり小さくしたりする技術、Bounce backは画面をタッチして下に思いっきり下げると画面が弾けるようにして元に戻る技術だ。


 韓国のマスコミが12月20日付で一斉に報道した内容を見ると、米特許庁は10月にBounce backを、12月にPinch to zoomの特許を再審し、「既に先行技術が存在する」という理由で特許暫定無効の判定を下した。アップルのiPhoneが発売される前から、タッチスクリーン製品は指2本タッチして画面を大きくしたり小さくしたりする機能があったということである。


 指で2回連続タッチすると画面が大きくなったり小さくなったりする「Tab to Zoom」も、同裁判所が特許を認めるにはあいまいなところがあると指摘しているので、特許が無効になる可能性もある。


 アップルが特許侵害を理由にサムスン電子を訴えたが、それが実は特許ではなかったとなると、裁判の判決も変わる。同裁判所の陪審員が認めた侵害は、iPhoneのデザイン特許だけ残った。これによりサムスン電子の賠償金も調整される見込みである。とはいっても、欧米はデザイン特許をもっと重要視しているので、賠償額はそれほど変わらないだろうという分析もある。サムスン電子の訴訟関係者は「陪審員の評決に対する我々の再審査要請は適切であった」と喜んでいる様子だ。





趙 章恩=(ITジャーナリスト)

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モトローラ撤退で韓国スマホはサムスン、LGの寡占が進む [2012年12月14日]

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モトローラ・モビリティが、韓国市場から2013年2月に撤退すると発表した。モトローラは2011年発売したスマートフォン「ATRIX」と「RAZR」を最後に、新規端末を発売しなかった。モトローラ韓国支社の社員は約500人いるが、ほぼ全員が再就職先のないまま解雇される形となった。

 Yahoo! Koreaの撤退と並んで、韓国のネットユーザーはモトローラの韓国撤退を残念がっている。Yahoo! Koreaが韓国のインターネット黎明期を支えたポータルサイトとしてネットユーザーの思い出に残っているように、モトローラも韓国初の携帯電話として、たくさんの思い出を残したからだ。











モトローラ・モビリティの韓国語サイト



 モトローラは1988年、韓国初の携帯電話を発売した。電話というより凶器のような物体で、大きなアンテナが差し込まれた四角い箱の形をしていた。重さ1kg、長さ30cm、バッテリーは30分も持たなかった。それでも自動車1台が買える値段だったので、80年代まで携帯電話を持っているのは新聞記者や政治家、起業家といった一部の人に過ぎなかった。


 その後はモトローラのポケベルが流行った。国産のポケベルもあったが、GalaxyよりやっぱりiPhoneの方がかっこいいという人がいるように、当時もモトローラのデザインが優れている(といってもどれも黒くて四角だった)という理由でよく売れた。


 1996年以降、個人が安い値段で携帯電話を利用できるようになってからは、韓国でモトローラのフォルダー式携帯電話「StarTAC」が一世を風靡(ふうび)した。88gという驚異的な軽さで、ポケットに入れても邪魔にならない初めての携帯電話が出たとして話題を集めた。StarTACは当時130万ウォン(約10.5万円)もしたのに130万台が売れた。1996年の物価はまだ電車賃の基本料金が500ウォンほどで今の半額だった時代である。2012年の物価でいうと200万ウォン(約15万円)はする携帯電話だった。


 StarTACを持っているのはお金持ちということでもあり、持っているだけで女性にもてるほどであった。2012年夏に大ヒットしたドラマ「応答せよ1997」でも、1997年、ソウルから釜山にやってきた転校生の携帯電話がStarTACで、それをきっかけに御曹司だということがばれ、女子の間で噂(うわさ)になるという場面があった。現代のビジネスパーソンがiPadやタブレットPCを持ち歩くように、90年代後半はモトローラのStarTACができるビジネスパーソンの象徴だった。






趙 章恩=(ITジャーナリスト)

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サムスンの太っ腹キャンペーン、タブレットPCお絵かき大会が熱い [2012年12月10日]

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2012年サムスン電子の年末一押しデバイスは、スマートフォンだとGALAXY Note2、タブレットPCだとGALAXY Note10.1だ。この2つのデバイスの特徴はSペンという感度の高い電子ペンがセットになっていて、手書きや絵を描くのに非常に向いている点である。しかし、Sペンのすごい技術を難しい用語を混ぜて説明されても、一般ユーザーは「あ、そうですか」としか反応のしようがない。


 サムスン電子をはじめ韓国ベンダーは、販促やCMではデバイスの優れた技術を紹介しない。それよりも先に、なぜこのデバイスを買うに値するのか、このデバイスを持っているとこんなに楽しくて便利なことができると使い道を紹介する。その次に他社との差別点として技術の話が始まる。


 サムスンが考えたのが、ドラマの主人公にSペンを使わせてその機能を宣伝させるという方法である。2012年にヒットしたドラマの主人公のほとんどがサムスンのスマートフォンを使った。GALAXY NoteのSペンで絵を描いて好きな人に送ったり、Sペンで日記を書いたりと、いろいろな使い方を見せてくれた。


 この冬は幼児から小学生を対象にGALAXY Note10.1を使ったお絵かき大会を開催する。2012年11月20日~2013年2月15日のおよそ3カ月にわたる大規模な予選を通過して選ばれた101人は2013年2月23日、ソウル市中心部のセジョン文化会館(コンサートや演劇などを上演する大型劇場)に集まり本決戦を行う。入選した作品はセジョン文化会館に展示される。


 大賞の景品は、園児だと保護者と一緒に行けるヨーロッパ美術館ツアー、小学生だと海外英語キャンプ参加ツアーである。大賞から銅賞まではGALAXY Note10.1も1台ずつもらえる。101人の1人に選ばれさえすれば、図書券や美術用品セットがもらえるので、かなり太っ腹なイベントである。


 予選の参加方法は、GALAXY Note10.1からサムスン専用のアプリケーションSノートを立ち上げて、Sペンを使って絵を描く。それを保存して応募掲示板に載せるだけで、子ども1人が何枚応募してもいいそうだ。ただし「大会のテーマに合っている絵」、「子どもが描いた絵」である必要がある。絵のテーマは、園児向けは「私がしたい楽しい遊び」、小学生は「最も楽しかった思い出」である。











GALAXY Note10.1お絵描き大会のための訪問美術教室。講師が子供の人数分のGALAXY Note10.1を持ってきて、Sペンを使って絵を描く方法を教えてくれる。ギャラリーはここで見られる



 Sノートのお絵かき機能はさまざまだ。いろんな色を背景に描いてから黒で塗りつぶし、消しゴムで画を描くスクラッチ風、水彩画風、ドローイング風、写真と組み合わせたコラージュ風、パステル画風、ポップアート風など。


 子どもが投稿した絵を見ていると、タブレットPCで書いたとは思えないほど色鮮やかで、生き生きしている。この中から101人を選び、セジョン文化会館でGALAXY Note10.1を使ったお絵かき本大会が開催されるというわけだ。101人の子どもがずらりとタブレットPCとSペンを握ってお絵かきしている光景を想像すると、うわ~なかなかの壮観じゃないか。


 GALAXY Note10.1を持っていないから大会に参加できない、という子どものために、「訪問美術教室」も開催している。講師がGALAXY Note10.1を持って保育園、幼稚園、学校を訪問してSノートとSペンで画を描く基礎を教えてくれる。そこで描いた絵を大会用に応募してもいい。


 この大会はサムスン電子の「How To Live Creative」キャンペーンの一環。GALAXY Noteを使った楽しい体験イベントはまだまだ続く予定である。






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趙 章恩=(ITジャーナリスト)

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総スマホ時代に話題を呼ぶ“コンビニプリペイド携帯” [2012年11月30日]

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韓国のセブン-イレブンは2012年11月29日、プリペイド携帯電話の販売を始めた。コンビニで携帯電話本体とSIMを販売するのは国内で初めてである。まずはソウル市中心部にあるセブン-イレブン20店舗で開始、12月6日より全国7000店舗で販売する。ネットでも販売する。

 販売する端末は中小メーカーが手掛ける「プリピア」というバータイプのフィーチャーフォン。端末価格8万4900ウォン(約6500円)に1万ウォン(約760円)分の電話料を含む。これはスマートフォンの10分の1の値段である。SIMと回線はMVNOのSKTelinkが提供する。同社はSKテレコムの子会社で、国際電話、市外電話サービスを提供する通信事業者。2012年6月よりMVNOサービスを開始した。
 










韓国のセブン-イレブンが販売するプリペイド携帯電話端末「プリピア」



 携帯電話を購入してもすぐ使えず、犯罪に悪用されるのを防止するため、SKTelinkのWebサイトまたはコールセンターで本人確認を行ってから電話番号をもらう。それから端末に同封されているSIMを端末に差し込んで使用開始となる。本人名義のクレジットカードまたは携帯電話を持っている人だけが対象なので、未成年者と外国人の名義では購入できない。親が買って子どもに使わせることはできる。1人4回線まで申し込める。


 料金制度はいろいろあるが、基本料金なしで通話料10秒当たり36ウォン(約2.9円)、SMS1件20ウォン(約1.5円)、使った分だけをチャージした金額から差し引く料金制が注目されている。クレジットカード、振り込み、固定電話料金の合算請求などで入金する。

プリペイド携帯の販売についてセブン-イレブンは、「仕事用とプライベート用に電話番号を2つ使いたいが、最近はスマートフォンしか売っておらず費用の負担が大きすぎることから諦めていた人や、音声通話とSMSしか使わないお年寄り、ネットにつながらない携帯電話を子どもに持たせたい親、スマートフォンを紛失して一時的に新しい携帯電話が必要な人をターゲットにしている」と説明した。

 安いフィーチャーフォンとはいえ、テレビ電話用の30万画素カメラ、MP3プレーヤー、ラジオ、SDメモリーカード、Bluetoothに対応する。コンビニで販売する、手軽で激安なMVNOであるが、問題はアフターサービス。端末メーカーであるプリピアのサービスセンターが全国に1つしかないため、端末に不具合が生じてもサービスを受けられないのではないかと心配するユーザーもいる。


 セブン-イレブンのプリペイド端末は、韓国初のW-CDMAとGSMのデュアルSIMで、韓国のSIMと海外のSIMの2枚を差し込んで使えば、韓国では韓国の携帯電話番号を、海外では海外の携帯電話番号を使える。海外出張が頻繁なビジネスパーソンは、現地で電話を使うと受信するだけでも非常に高いローミング代を払わないといけなかったが、現地のプリペイドSIMを端末に差し込んで使えるので電話代を節約できる。


 セブン-イレブンを第1弾として、大型スーパーのHomeplusやEmartもKT、SKテレコムと提携して激安MVNO端末の販売を準備中だ。2012年12月中には販売を開始する予定。オンラインショッピングモールもMVNO携帯電話販売の特設ページを作るほど力を入れる。


 長引く不景気の影響なのか、携帯電話も高額なスマートフォンと激安フィーチャーフォンの二極化が進んでいる。MVNOはスマホとフィーチャーフォンの2台使いを狙うというが、ソウル市内は無料で使える公共Wi-Fiが整っているので、MVNOのフィーチャーフォンとタブレットPCのWi-Fiモデルだけでも十分“スマートライフ”を楽しめそうだ。年末にはGalaxyスマホの半額以下という価格の中国産スマホが韓国でも発売されるというので、それもユーザーは期待している。


趙 章恩=(ITジャーナリスト)

日経パソコン
 

-Original column
http://pc.nikkeibp.co.jp/article/column/20121130/1072422/

サムスン製以外のスマホが欲しい! 韓国iPhone 5いよいよ12月に発売 [2012年11月26日]

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 韓国のスマホユーザーが首を長くして待っていたiPhone 5がいよいよ12月上旬に発売されることが決まった。インターネットニュースの「iPhone 5来月発売有力」という短い記事にはコメントが700件以上も書き込まれた。
 










韓国のAppleストアのページ「iPhone 5 もうすぐやってきます」と書いてある



 「iPhone 5の発売が遅れたのはサムスンのせいだ」、「アップルは既に次の新機種を準備しているので韓国で在庫処分するつもりなのだろう。サムスンのせいだ」、「iPhone 5待ちきれずGalaxy Note2を2年契約で購入してしまった。2年後また会おうねiPhone。みんなサムスンのせいだ」、と恨む書き込みから、「iPhone 5ブラック64GB LTEこそ本物のスマホ、待ち遠しい!」、「iPhone 5が発売されればサムスンやLGがシェアを取られないためにスマホの値段を下げるだろうから、そのときGalaxy Note2かOptimusに機種変更しようかな~」と楽しみにしている書き込みまでいろいろあった。コメント欄でユーザー同士がiPhone 5を買うべきかどうか真剣に討論しているのをみると、iPhone 5が韓国のスマホユーザーの物欲に大きな影響を与えるのは間違いなさそうだ。


 iPhone 5はKTとSKテレコムのキャリア2社から発売される。KTもSKテレコムも史上最大の補償販売(iPhone4Sのユーザーが、契約期間が終わる前に購入しても端末価格を安くするマーケティング)をすると宣伝している。


 今まではKTの単独販売だったが、キャリア2社が競争することによって、同じiPhone 5でもネットワークの速さなどで選べるようになった。KTは1つのアクセスポイントに512人まで同時接続可能で既存のWi-Fiより7倍速い68Mbpsの「プレミアムWi-Fi」を、SKテレコムは2つの周波数を使う75MbpsのLTEマルチキャリアとスマホ1台がWi-Fi2チャンネルを使うことで速度が2倍速くなる「Smart Channel Bonding」を始めた。


4度目の正直?


 iPhone 5がいよいよ発売されるというニュースは、これが4度目である。韓国でスマートフォンを発売するためには、電波法により国立電波研究院で電波認証を受けないといけない。電波の混乱や障害を防止し、韓国の電波環境と放送通信インフラを保護するためである。韓国に端末を持ち込んでテストし、合格してから発売日が決まる。


 アップルは9月19日、10月10日の2度も電波認証を受けては取り消しを繰り返した。理由はSKテレコムの周波数を間違えて申し込んだというのだが、あまりにも初歩的なミスなので、韓国における発売日を遅らせるためにわざと間違えたのではないか、という説が有力だった。サムスンとの訴訟で韓国でのイメージが悪くなり、発売を見合わせているというのだ。実際はサムスンとの訴訟よりも、中国工場のストライキにより生産が追い付かず、米国でも3週間待ち状態だったので、供給不足から韓国での発売を遅らせようとした、という説に落ち着いた。iPhone 5は10月31日にやっと電波認証を終え、発売日を調整してきた。


 韓国のスマホユーザーは、iPhone 5に続いてLG電子がグーグルに納品した「Nexus 4」も韓国で発売してくれたらと願っている。Nexus 4は欧米のGoogle Playストアで、発売開始30分で売り切れたという話題のスマホである。LG電子がグループ会社の技術を集めて作ったという自信作「Optimus G」と変わらない仕様なのに値段は半額。Optimus Gの韓国での出荷価格は約7万3000円だが、Nexus 4は8GBモデルが約2万4000円、16GBモデルが約2万8000円に過ぎない。


 海外で人気のモデルを韓国でも同じ時期に使えるといいのに。韓国でサムスンのシェアが圧倒的に高いのは、ほかに選択の余地がないという事情もあるからかもしれない。海外メーカーのスマホを韓国でもっと販売してほしいものだ。



趙 章恩=(ITジャーナリスト)

日経パソコン
 

-Original column
http://pc.nikkeibp.co.jp/article/column/20121124/1071662/