日本の「韓国企業に学べ」ブーム、韓国の反応は・・・

3月上旬、朝鮮日報をはじめとする総合日刊紙は、日本経済新聞が「世界に躍進する韓国企業に学ぼう」というタイトルの社説を掲載したことを大々的に報道した。日経新聞に限らず、日本では最近、韓国企業や韓国の国際競争力を取り上げるメディアが目立つ。以前は「韓国が強いのはウォン安だから」と書いていた日本のマスコミが、バンクーバー五輪前後からしきりに韓国を持ち上げるようになったことに、韓国では「急にどうしたの?」というのが正直な反応だ。(趙章恩)





ニューヨークのタイムズスクエアに掲示された韓国サムスン電子の3Dテレビの広告


■韓国のネットにあふれる戸惑いの声


 韓国は元々人口が少なく内需が小さいことから、輸出に依存せざるを得ない経済である。大企業に限らず中小企業もベンチャーも、海外に進出しないと生き残れないという危機感を持っている。何十年もかけて海外進出の実績を積み上げてきた韓国にしてみれば、今になって突然「世界市場で躍進する韓国」と日本からいわれる理由が分からない。


 日経新聞の社説について韓国内のネット上の反応は、「日本が突然韓国を持ち上げるのは裏があるに違いない」「韓国は日本の部品を組み立てているだけで、国際競争力は日本の方が断然あるのにどうして?」「メダルが取れなかったからこんな反応を見せるのかな?」などと戸惑う声が多かった。韓国企業も、日本メディアの突然の韓国礼賛により、日本勢から警戒されることを恐れている。



■前門の日本、後門の中国に強い危機感と恐怖


 韓国のパワーの源は、一つにはこの「危機感の強さ」にあるのではないだろうか。携帯電話や液晶テレビの世界市場で韓国企業はシェアを高めているが、それには日本の部品なくして成立しない。世界の電子産業の中核に日本企業がいるのは明らかだ。目の前には技術競争で誰にも負けない日本という高い壁があり、後ろには恐ろしいほど早いスピードで追いかけてくる中国がいる。この一時も気を緩められない危機感と恐怖が韓国を奮い立たせている。


 特に1997年に韓国が国際通貨基金(IMF)から融資を受けた経済危機以降、韓国の企業は人材を育てる場ではなく、人材を競争させてしっかりと報酬を払う場に変わり始めた。組織よりも個々人の実力が評価され、国籍や性別年齢に関係なく、成果を上げた人にインセンティブを払う。


 企業の中でも危機感と恐怖は続く。韓国は正社員であろうが契約社員であろうが、会社の実績に貢献できない人は即解雇される。生き残るためには常に社員個人もイノベーションを高め続けないといけない。


 韓国語の「ハミョンデンダ(成せば成る)」は、徴兵で軍隊に行って仕込まれる言葉だといわれる。軍隊では上官の命令は絶対で、どんなことを命じられても言い訳をせずに「今すぐやります」と答え、「ハミョンデンダ」精神で戦うことが求められる。韓国人はもともと、危機感をバネにする力が強いのだろう。



■本音で批判し合えるパートナーになるべき


 もともと韓国人は日本人に比べれば前に出るのが好きだ。学校でも家でも「人に迷惑かけるな」ではなく、「負けるな」「リーダーになれ」「自分の意見をはっきり言え」と教え込まれる。不満があれば正面でぶつかり、後腐れなく仲直りするのも特徴といえば特徴だ。


 韓国では以前から「反日」ではなく、日本を超える経済大国、文化大国になる「克日」をすべきだとされてきた。日本を追い越すキャッチアップ戦略は、今もまだ進行中である。日本が急に「韓国はすごい」「韓国を学ぼう」と言い出すよりも、「韓国と一緒に手を組んで世界市場を攻めてみよう」と言ってくれる方がうれしい。


 世界のどの国もそうだが、韓国と日本は特に相互依存の関係が強い。韓国に「紙一枚も二人で持てば軽くなる」ということわざがあるが、韓国の「ハミョンデンダ」精神と、日本の「職人気質」が一つになれば、怖いものはないだろう。お互いを敬遠する仲ではなく、本音で批判し合えるパートナーになれれば、世界を動かす存在になれるに違いない。


– 趙 章恩  

NIKKEI NET  
インターネット:連載・コラム  
[2010年3月18日]
Original Source (NIKKEI NET)
http://it.nikkei.co.jp/internet/column/korea.aspx?n=MMIT13000018032010

韓国ではキム・ヨナ選手が火を付けたTwitterブーム

世界で利用が急増し、つぶやきで情報が駆け巡るミニブログ「Twitter(ツイッター)」現象は韓国でも例外ではない。2月9日午後6時に首都圏で起きた震度3の地震も、テレビやネットのニュースより先にTwitterで情報が広がった。(趙章恩)

 地震観測が始まった1978年以降、ソウルを中心とする韓国首都圏で揺れが感知されたのは3度しかない。震度3は初めてのことで、「これは本当に地震なのか?寝ぼけているのか?」といったTwitterの書き込みが約10分間で2000件ほどに達した。その後テレビのニュース速報で地震が報道された。


 日本でもニセ首相が登場したように、韓国でもTwitter上にニセ大統領が出現した。韓国企業が運営するウェブサイトは住民登録番号の入力が必要でなりすましは罰金刑になるが、Twitterは海外サービスであるため処罰の対象にならない。ニセ大統領もハプニングとして終わった。ネット実名制の枠外でコミュニケーションができるのもTwitter人気の一つの側面である。


 韓国でTwitterが知られるようになったのは、フィギュアスケートのキム・ヨナ選手が使い始めた2009年5月だった。09年1月にはまだ1万人ほどだったユーザー数が、5月には58万人に増えたほどだ。頻繁に更新しているわけではないが、キム・ヨナ選手のフォロワーになるため加入が急増し、10年2月下旬時点で9万3279人のフォロワーが登録されている。ファンたちは彼女が残す「この週末は食べ過ぎてしまった~~」といった日常の一言に熱狂したり大騒ぎしたりしている。


 2月24日、バンクーバー冬季五輪フィギュア女子ショートプログラム(SP)の競技中は、芸能人や国会議員までが「演技に感動」「泣いた」といった感想をつぶやき、実況中継のようににぎわった。




ツイッターのSKテレコムのページ


■「海外サービスの墓場」で異例の成長


 韓国では「Cyworld」というソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)がもっとも人気だったが、04年を境に衰退していった。写真を載せてアバターをドレスアップし、友人に毎日挨拶しなくてはならないといった付き合いに疲れてしまったからだ。


 米国などのSNSも流行っていない。韓国は「海外ネットサービスの墓場」と言われるほど、国内ネット企業が強い。GoogleもMyspaceもFacebookも利用が伸びず、Myspaceは結局韓国から撤退した。ところが、Twitterだけは特別で、韓国向けに特別なサービスをしているわけでもないのに、ユーザーは増え続けている。


 通信事業者をはじめ企業も広報活動の一つとしてTwitterでユーザーの不満や質問を受け付けている。企業にもTwitterは特別という意識があるようで、通常のコールセンターや窓口では相手にされないような些細なことでも、Twitterに書き込めば素早く対応してくれると好評だ。




選挙管理委員会のサイト画面

■選挙への利用で論戦

韓国では今年6月に地方選挙が行われる。政治家にとってもTwitterはブログと並ぶ必須アイテムで、日ごろからネットユーザーを味方につけようと必死になっている。ところが、選挙管理委員会は、Twitterを選挙の事前活動に利用してはならないとの告知を出した。Twitterは電子メールと同様、書き込んだ内容がフォロワーに送信されるため事前選挙運動に当たるという理由で、「候補者として登録した者であり、選挙運動期間中であれば自由にTwitterに書き込んでフォロワーに送信できるが、フォロワーはそれを他のユーザーに再送信してはならない」という。

 選挙管理委員会の判断は電子的手段を使った事前選挙運動全般に当てはまるもので、「Twitterだからダメ」というものではない。しかし、Twitterに熱心な野党議員らは反発し、「Twitter自由法」というものを主張し始めた。野党側は、07年の大統領選で動画投稿サイトを使った選挙運動が規制されたことなども引き合いに出し、「選挙管理委員会は社会の流れを理解していない」と主張している。




 韓国でも地方選は投票率が低迷する傾向にある。「若い世代の選挙への関心を高めるのにTwitterは有効」という野党の意見にも一理はあるが、Twitterだけを特別扱いするのは難しい。そもそも「ネットだから特別」「過去にないサービスだから特別」といった考えがもう古いのではないか。表現の自由や選挙の公正といった原点に返って、冷静な議論を望みたい。




– 趙 章恩  

NIKKEI NET  
インターネット:連載・コラム  
[2010年3月2日]
Original Source (NIKKEI NET)
http://it.nikkei.co.jp/internet/column/korea.aspx?n=MMIT13000001032010

アンドロイド端末発売で韓国もスマートフォン時代

韓国最大手の携帯電話事業者SKテレコムは2月10日、米グーグルの携帯OS「Android(アンドロイド)」を採用した米モトローラ製端末「Motoroi」を発売した。韓国スマートフォン市場は、アップルの「iPhone」とマイクロソフトの携帯OS「Windows Mobile」を搭載する韓国サムスン電子の「OMNIA」シリーズが競い合っているが、アンドロイド携帯が加わることで、一段と選択肢が広がってきた。(趙章恩)

 韓国では昨年11月に通信トップのKTがiPhoneを発売し、スマートフォンへの関心がにわかに高まった。そのiPhoneの勢いを止めようと、SKテレコムはアンドロイドのキャッチフレーズとして「オープンとシェア」「利便性と拡張性」を掲げ、「Androboi」というキャラクターを登場させたキャンペーン広告も大々的に展開している。





韓国SKテレコムが発売した米モトローラ製のアンドロイド端末「Motoroi」


■韓国版ワンセグも視聴可能


 モトローラ製端末のMotoroiは、iPhoneより大きい3.7インチのタッチパネル液晶に800万画素カメラ(iPhoneは300万画素)を搭載する。また、iPhoneが対応していない韓国版ワンセグの地上波DMBも受信可能なほか、FMラジオ機能が付き、バッテリーも着脱交換できるようにしている。


 ユーザーの関心は高く、ネット上でユーザーが教え合う「知識検索」やブログでは、「どっちを買うべきか」の議論が盛んだ。「Motoroiの方が画面が明るく、マルチタスクでワンセグもあるからお勧め」という意見もあるが、今のところは「タッチ方式の便利さや使いやすさではiPhoneが上」という評価の方が多い。


 これには韓国では国産ポータルサイトの「NAVER」「DAUM」が強く、グーグルの人気が今ひとつという事情も働いているようだ。アンドロイドはグーグルの機能をスマートフォンから利用できることがセールスポイントだが、これがまだ十分に訴求力を発揮していない。アプリケーションの数もアップルのアプリ販売ストア「APP Store」に比べて圧倒的に少なく、3月からはグーグルの「Android Market」に加えて、SKテレコムのアプリストア「T Store」も使えるようにする。





■サムスンもアンドロイドで巻き返し


 それでも韓国では、携帯電話業界だけでなくコンテンツやeコマース業界までがアンドロイドに注目している。それはMotoroiを皮切りに、アンドロイド携帯が一気に増える見通しだからだ。


 SKテレコムは10年に15機種のスマートフォン発売を予定しており、そのうち12~13機種がアンドロイド携帯になるという。KTも10年にアンドロイドを含む10機種のスマートフォンを投入する方針。サムスン電子も3月にアンドロイド携帯を発売する。韓国ではOMNIAシリーズでiPhoneと人気を二分しているが、世界のスマートフォン市場ではまだサムスン電子らしいといえる実績がない。そのため、自社OSである「BADA」とアンドロイドで巻き返しを図ろうとしている。


 韓国のスマートフォン累計販売台数は全機種を合わせて100万台前後。そのうち、iPhoneが約3分の1程度とみられる。しかし、SKテレコムは10年に200万台、KTは180万台のスマートフォンを販売する目標を立てており、実現すれば加入者の約10%に当たる500万台前後に膨らむ。シェア争いはまだ始まったばかりだ。


 ソウルの街中を歩くとスマートフォンを持っていない人はいないように見えるほどだ。iPhoneをきっかけにスマートフォンブームが巻き起こったおかげで、韓国は長年の課題だったモバイルインターネット利用率も大幅増加した。その急速な変化は、1998年のブロードバンドブームのように、韓国の産業構造や社会を大きく変えるうねりとなって広がろうとしている。



– 趙 章恩  

NIKKEI NET  
インターネット:連載・コラム  
[2010年2月22日]
Original Source (NIKKEI NET)
http://it.nikkei.co.jp/internet/column/korea.aspx?n=MMIT13000022022010

セミナー体質


12日セミナーに来てくださった皆様ありがとうございます。


久しぶりに人前で話しができたのでストレス解消になりました。^-^


いや~これってセミナー体質?


 


続きはKRIセミナーで、と勝手に考えてます。


 


セミナーの後でメールもたくさんいただきました。返事書いてます。


しかし、資料をファイルでくれ、というリクエストにはお応えできないのです。。。。

IPTV登場で苦戦のケーブルテレビ、苦肉の策で作った番組が大ヒット

今、韓国ではバンクーバーオリンピックに出場中の女子フィギュアの金妍児(キム・ヨナ)選手の華麗な滑りに釘付けだ。多くの家庭で、たくさんの人たちがテレビにかじりついていることだろう。そのテレビについて話をする。

 韓国のケーブルテレビ加入率は全世帯の約85%に達する。なぜこんなに高いのかというと、韓国は難視聴地域が多く、ケーブルテレビに加入しないと地上波テレビが観られないという特殊な事情があるからだ。日本のように、テレビの線を壁にある穴に差し込むだけで鮮明に地上波テレビが楽しめる環境がうらやましい。


 そういう事情で、ほとんどのマンションが管理費にケーブルテレビ視聴料を上乗せする。電気代にはKBS(NHKのような公営放送)の視聴料が含まれる。「うちはテレビ観ませんから払いません」なんてことが通用しないのだ。


 ケーブルテレビは地域別独占事業であり、地上波放送受信という役目から安定した市場を維持できると思われていた。しかし、2008年11月、地上波放送のリアルタイム再送信(リアルタイム放映とも。地上波テレビで流れる画面をそのままIPTVでも観られる。韓国ではOnairといって、地上波放送局のWEBサイトからもテレビで流れている画面をCMまでそのままネットで視聴できる。もちろん無料)を含むIPTV(インターネットに接続したテレビで多チャンネル放送やビデオ・オン・デマンド配信を受信する)がケーブルテレビに取って代わりはじめた。


 地上波テレビを観るためにケーブルテレビを申し込んでいた人たちが、同じ料金だったらデジタル放送が観られて、ネットと連動する検索や生活情報、ビデオ・オン・デマンド(VOD)で最新映画まで視聴できるIPTVの方がお得であるとして、今、通信事業者が提供するIPTVサービスにどんどん移行している。


 韓国のケーブルテレビ会社ももちろんブロードバンド、インターネット電話とトリプルサービスを提供している。通信会社より料金は安いが、速度が安定しないのでケーブルテレビのインターネットサービス利用者はだんだん減っている。その点、通信事業者が提供するブロードバンドにIPTVを利用する方がインターネットの速度も安定するし、加えて同じ会社の複数のサービスを利用することになるのでバンドル割引として料金を割引してもらえる。


 地上波放送のリアルタイム再送信を含むIPTVが登場する前までは、放送と通信の融合によって通信事業者と地上波放送局が競合相手になると思われたが、蓋を開けたら実際は、「地上波放送+α」という似たようなサービスを提供する通信事業者とケーブルテレビ会社が熾烈な競争を繰り広げているわけだ。


 ケーブルテレビ会社もデジタル化を急ぎ、IPTVと変わらないサービスを提供するよう努力しているが、通信事業者の大々的なマーケティング、家族割り、長期加入割引、インターネット+無線LAN+携帯電話+インターネット電話といった通信サービスのバンドル割引で基本料が最大50%まで安くなるキャンペーンには勝てず、ケーブルテレビ加入世帯は減少するばかり。放送関連シンクタンクであるメディア未来研究所は、IPTV契約数は2009年の280万件から2014年末493万9000件へ増加、ケーブルテレビは逆に1185万8000件から2014年末には987万6000人へ減少すると予測した。その代わり、IPTVと同じようなサービスを提供できるデジタルケーブルテレビへとサービスが順調に移行すれば、デジタルケーブルテレビの契約数は2009年末の324万件から2014年末571万1000件へと伸びて、IPTVより人気を集めるとも見ている。ケーブルテレビとIPTVのコンテンツ競争により、有料放送市場自体は成長を続け、2009年末の2051万件から2014年の2341万1000件へと伸び続けるとも予測する。


視聴者に選択の幅が広がり競争は激化



 韓国の地上波アナログ放送終了は2012年12月31日(日本は2011年7月24日)。IPTVかケーブルテレビに加入していれば、アナログ放送終了後もテレビを買い換えることなく地上波デジタルテレビを受信できる。地上波デジタル放送が始まれば、IPTVやケーブルテレビどちらでもネット連動コンテンツやVODサービスを利用できるようになる。そうなると利用者にとっては(1)ケーブルテレビまたはIPTVを契約し続けて有料放送として地上波デジタル放送を見るか、(2)地上波デジタル放送を無料で観る代わりデジタルテレビに買い換える、あるいはデジタルコンバーター(アナログをデジタルに変換してくれる装置)を買うか、の選択になる(図1)。韓国政府はデジタルテレビ購入補助金や無料でコンバーター配布、普及することも検討しているため、ケーブルテレビとIPTVにとっては、加入者を奪われないために、独自のコンテンツを育てられるかどうかが何よりも重要である。




図1 韓国ケーブルテレビ(CATV)会社と通信事業者のサービス状況と利用者の選択肢

ケーブルテレビはIPTVの豊富なVODに負けない面白い番組を増やそうと、地上波放送の再放送ばかりだった編成から、独自制作の番組を増やしている。一時は、視聴率稼ぎのために水着姿の女性と男性が合コンするという番組を作ったり、彼氏の浮気現場に女性が乗り込むという番組を作ったり、騒ぎを起こしてでも注目を集めようとしていた。


 こういった番組の制作業者が、放送通信委員会の審議で何度も処分されたのと、それほど視聴率が稼げないことが判明してからは、地域ニュース、生活情報番組といった健全な番組をはじめ、ドラマにリアリティ番組、お笑いなど、家族向け番組を制作するようになった。


 中でも絶大な人気を誇るのが、ケーブル会社の一つであるTVNの「男女生活探求」。同じシチュエーションで、男女の考え方や行動がどのように違うのかをコミカルに演じたドラマ仕立ての番組。誰が見ても共感度100%、これって私の話? とびっくりしてしまう内容ばかりである。しかも地上波放送では禁じられているパロディやスラングもケーブルテレビでは大目にみてもらえるので、さらに面白く仕上がっている。最近は「親子生活探求」、「サラリーマン生活探求」も登場した。ネットの動画投稿サイトにはこれを真似た「00生活探求」という動画があふれている。地上波放送の番組やCMでもこのフォーマットを真似るほど有名になった。


 もう一つのケーブルテレビ会社、MNETの「スーパースターKを探せ」も2009年韓国をにぎわせた。文字通りスーパースターを探すオーディション番組で、米人気番組「アメリカン・アイドル」の韓国版。有名歌手やプロデューサーが審査員となって、時には参加者の歌に感動して涙を流し、時には辛らつに批判するのもアメリカン・アイドルと同じだった。全国から71万3500人が参加し、オーディション期間だけで7カ月、最終的に一人が選ばれた。


 最後は視聴者投票によって脱落者が決まる仕組みを採用した。勝者一人だけでなく、脱落者の中から歌手デビューを果たした人が何人もいる。韓国の小学生の将来なりたい職業1位は「芸能人」だけあって、オーディション番組の注目度は地上波放送に負けないほど。連日オーディションの状況が新聞にフィーチャーされたほどである。ケーブルテレビ専用番組の視聴率は1%を超えれば大ヒットと言われているが、「スーパースターKを探せ」は8.2%という驚異的な数字をたたき出した。


 ケーブルテレビやIPTVのコンテンツ競争は視聴者にとってうれしいことである。ネット時代といってもやっぱり面白いのは手間ひまかけて作ったテレビ番組。これからは3Dテレビやモバイルテレビの時代が来るというだけに、どんなテレビ番組が登場するのか楽しみである。

(趙 章恩=ITジャーナリスト)

日経パソコン
2010年2月25日

-Original column
http://pc.nikkeibp.co.jp/article/column/20100224/1023185/

「米アップル vs サムスン 韓国企業のスマートフォン・電子Book世界戦略と激動の韓国通信市場」


講演時間が1時間と短いので、話したい内容を削るのが大変です。。。



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★ 韓国ITビジネステーマ部会  趙章恩氏セミナー

「米アップル vs サムスン

     韓国企業のスマートフォン・電子Book世界戦略と激動の韓国通信市場」

 3月12日(金) 夜 東京・大崎 主催:NPO法人アジアITビジネス研究会

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 輸出依存経済の韓国では、長年携帯電話端末・半導体・ディスプレーが3大IT輸出品目として経済を支えてきました。サムスンやLGの携帯電話端末は世界市場シェアを伸ばし、日本でも発売されるようになりました。

 韓国企業は、内需が狭いため、大手企業も中小企業も狙うのは「輸出」、世界市場をターゲットにビジネスを繰り広げ、内需も世界市場の一部にすぎないと考えています。

 しかし、2009年10月、iPhoneの発売は、韓国中を興奮させ、反省させました。

端末、ネットワーク、モバイルサービスにおいて、あらゆる企業が世界戦略の見直しを始め、さらに強く、世界市場を狙っています。

 勢いよく突進し続ける韓国企業の原動力をお話していただきます。

 

■ テーマ

韓国企業のスマートフォン・電子Book世界戦略と激動の韓国通信市場

 

■ 内容

<スマートフォン動向>

– iPhoneショック、韓国モバイル産業の現状と世界市場シェア推移

– 世界市場向け携帯電話・スマートフォン端末動向(サムスン/LG/Android)

– キャリアとサムスンのアプリストア競争

– 一夜にして億万長者、アプリ販売成功神話

– デベロッパー確保のためのあの手この手

– 連日発表されるモバイルビジネス活性化に向けた政府支援

– Wibro輸出で広がる4G世界戦略とモバイルエンベデッド

 

<電子Book・タブレット動向>

– サムスンから中小企業まで、電子Book端末ラインアップ

– 悪名高きアクプルが良品を作る

– 世界で戦うための仕掛け

– 改定著作権法とモバイルコンテンツビジネス

– M2M、コンテンツ自動販売機、新たな技術で世界を動かす

 

■講師プロフィール

趙章恩(チョウ・チャンウン)氏(韓国ITジャーナリスト)

 

韓国ソウル生まれ。日本で高校を卒業、韓国に帰国し梨花女子大学卒業。NPOアジアITビジネス研究会顧問、韓日政府機関の委託調査(デジタルコンテンツ動向・電子政府動向・IT政策動向)、韓国IT視察コーディネート(NTTドコモNTTデータ、各地商工会議所、経済産業省など)を行っている「J&J NETWORK」の共同代表。2000年4月創立された、韓日インターネットビジネス実務者団体「KJIBC(Korea Japan Internet Business Community)」会長。KDDI総研特別研究員。 韓国IT情報専門家として、数々の講演やセミナー、フォーラムに講師として参加。日刊紙や雑誌の寄稿も多く、「NIKKEI NET(日経新聞)」や「日経パソコン(日経BP)」、「BCN」、「夕刊フジ」、「西日本新聞」、「デジタルコンテンツ白書」、韓国の「中央日報」や月刊誌「Media Future」等に寄稿。韓国と日本のネット事情を比較しながら、韓国IT分野の話題を分かりやすく提供している。

 

【連載中のコラム】

連載日経オンライン IT先進国韓国の素顔


日経PCオンライン Korea On The Web


 

以上

 

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■実施要綱

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日 時:3月12日(金) 19:00?20:30(18:30受付開始)

会 場:東京都南部労政会館 第5会議室

品川区大崎1-11-1ゲートシティ大崎ウェストタワー2F)

最寄駅:大崎(JR山手線/埼京線/りんかい線/湘南新宿ライン)より徒歩5分


主催:NPO法人アジアITビジネス研究会 http://www.asia-itbiz.com/

定 員:60名(申込先着順)

参加費:1,000円(当日、会場受付にてお支払いください)

 

※お申し込み/お問い合わせ先

氏名と所属先、部署・役職、ご連絡先を明記の上、事務局・田所まで

メール info@asia-itbiz.com でお申込ください。事前申込必須です。

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脱獄アプリ続々、iPhoneの3G経由ネット電話禁止で高まるユーザーの不満

米AT&Tは2009年10月、iPhoneから3Gネットワークを経由したインターネット電話利用を許可する方針を発表した。iPhoneから無線LAN経由でSkypeなどを使いインターネット電話を利用できるだけでなく、移動通信事業者の3Gネットワーク経由でも使えるようになったことで、AT&T加入者は携帯電話・スマートフォンから自由に料金の安い音声通話を利用できるようになったのだ。

 移動通信事業者が提供するサービスに限らず、どんなサービスにもつながるようにしないといけないというFCC(米連邦通信委員会)が標榜する「ネットワーク中立性」に従うものである。このニュースは日本でも話題になった。


 この動きが意味するところは大きい。無線LANが使えない地域はあっても、携帯電話のデータ通信が使えない地域はほとんどないので、移動通信事業者のネットワークが開放されれば、移動しながらどこでもインターネット電話が使えるようになる。インターネット電話は加入者間の無料通話が目玉でもあるので、iPhone加入者どうしの無料通話はもちろん、家庭のインターネット電話との無料通話もできるようになる。国際電話も断然安くなるし、国際ローミングもいらなくなる。国際ローミングは、電話をかける方も受け取る方も電話代を払わなくてはならないので、負担が大きかった。


 移動通信事業者からすれば、モバイルインターネット電話を使わせることにより、重要な収益源である音声通話収入が大きく減るのは明らかだ。今後の見込みにしろ、モバイル端末と無線LANによる4Gネットワークが結びつくことで、どんな端末からもモバイルインターネット電話が使えるようになり、音声からの収益がますます減ることは間違いない。逆にネットワークを開放しても基本料は取れるので、市場先行効果を狙い加入者をたくさん確保した方が安定した成長ができるかもしれない。


 韓国で大人気のiPhoneからモバイルインターネット電話はできるのか? 3Gネットワークを使う通話で言えば「ノー」である。日本のiPhoneは無線LAN経由ではインターネット電話(Skypeなど)が使えても3Gネットワークからは禁止されている。同様に、韓国のiPhoneを提供するKTも、無線LANを経由したインターネット電話は利用できても3Gネットワークからは利用できないようにしている。



音声利用が多い韓国ユーザー



 ところが、いわゆる「脱獄(jailbreak)」として、3Gネットワークを無線LANとして誤認識させるアプリをダウンロードし、インターネット電話を使うユーザーが増えている。


 韓国KTのiPhone料金は2年約定の基本料に応じて無料通話150~800分、データ通信100MB~3GB、SMS200~300件+無線LANの利用が無料となっている。首都圏ではどこでもKTの無線LANを利用できるので、データ通信を利用しなくても済んでしまう。結果、毎月の無料データ通信分を全部消費しきれない。そのため「脱獄」して3Gネットワークからインターネット電話を使うことでデータ通信を消費するのが裏技として広がっている。そのほかに、3Gネットワーク経由でインスタントメッセンジャーの音声チャット機能を使った通話もできたが、これは2010年2月時点で3Gネットワーク経由でのアクセスが禁じられている。


 ユーザーらは「料金に含まれている3Gネットワークを利用しているだけなのになぜ禁止するのか」と早速反発している。3Gを無線LANに誤認識させるとはいっても、基本料内で使っているのでKTに損害を与えたわけではなく、これは違法ではないという主張だ。KTは「脱獄」できないようにするというが、この手のアプリは続々登場しているので、いたちごっこになる可能性が高いのではないだろうか。これではユーザーの反感を買うだけだ。AT&Tがネットワークを開放しているだけに、なぜいまさら閉鎖的な運営をしようとしているのかと非難も多い。


 日本の移動通信事業者のARPU(1契約当たりの平均収入)は平均的に音声6・データ通信4ぐらいであるが、韓国は音声8・データ通信2、音声通信の収入が圧倒的に多い。日本では定額料金制などで一時期ARPUが減ったものの、最近はデータ通信分が伸びたことでARPUも伸びている。しかし韓国では長年“勝手サイト”にアクセスできないようネットワークを閉鎖的に運営した結果、音声通話だけ伸びてデータ通信分が停滞または減少するという、世界の流れに逆行する現象が起きた。音声への要求は依然高いのだ。



Android搭載端末登場で状況は変わるか?



 KTは無線LAN、3G、Wibro(モバイルWiMAX)の3つのモバイル高速ネットワークを使える端末を発売している。モバイルインターネット移動通信最大手のSKテレコムは2Gでも無線LANを使えるようにすると発表した。無線LANとWibroのスポットも今の5倍ほどに拡大する予定だ。


 KTもSKテレコムも、FMC(有無線融合サービス)として、端末1台で携帯電話としてもインターネット電話としても使えることをしきりに宣伝している。自社のインターネット電話サービスがあるので、自前のネットワークを使って外部のインターネット電話を利用されては困るということなのだろうか。


 しかし3Gネットワークからのインターネット電話利用を禁止するとしても、携帯電話からインターネット電話を利用する時代に変わっていくことは間違いないだろう。締め付けを厳しくしてユーザーの反感を買うよりは、自由にして加入者確保と同時にモバイルインターネット電話の使い勝手向上を各事業者に工夫してもらいたいのだが、今のところ、目先の利益を優先したいようだ。


 2010年2月10日、KTのiPhoneに対抗してSKテレコムからモトローラのAndroid搭載端末が発売された。この端末からはGoogle Voice(米Googleが提供する音声通信管理サービス)を利用できるので、インターネット電話をどうするか、議論はまだ続きそうだ。



(趙 章恩=ITジャーナリスト)

日経パソコン
2010年2月18日

-Original column
http://pc.nikkeibp.co.jp/article/column/20100217/1023008/

エコ政策が引き金、加熱する「自転車」と「ナビ市場」

韓国政府は「緑色成長」をキャッチフレーズに、2009年より、二酸化炭素排出節減、省エネ製品販売、生態系回復のための街並み整備といったエコな国策事業を打ち出している。中でも注目を浴びているのが「自転車」政策である。

 日本に来る韓国人が驚く光景の一つが、駅前にびっしり停められた自転車。歩行者は自動車よりも自転車に気をつけないといけないほど、どこに行っても自転車に乗っている人が多いことに驚く。自転車の前と後ろに子供を乗せる親子の3人乗りを見かけると、記念写真を撮ってブログに載せるほどめずらしがる。


 韓国でも自転車に乗る人は多いが、休日の運動やレジャーとして川沿いを走るか、または配達や仕事のために乗るのがほとんど。バスが1時間に1台しか来ない、なんていう田舎でもない限り、日常的に自転車を利用する人はあまり見かけない。見かけたとしても、プロのサイクリング選手のような服装に立派な自転車に乗った同好会の人ぐらいだろう。ソウルの都心で通学や通勤のために自転車を利用する人は珍しく、テレビや新聞に「自転車で通勤する○○さん」のような見出しでインタビューが掲載されるほどである。


 韓国の道路は車優先で、地下道や陸橋も多く、自転車で移動するのは難しい。歩道もでこぼこしているので危ない。私も駅まで自転車を利用しようとチャレンジしたが、2分で歩道のブロックとブロックの間に挟まり自転車ごと転倒してからギブアップ、その後すぐ盗難にあったので、ソウルで自転車に乗れたのはたった2分しかない。


 それが、政府の「緑色成長」政策により、歩行者優先で横断歩道が造られ、「自転車用」と呼べる道路がやっと整備されるようになった。


 韓国政府は2018年まで1兆2456億ウォン(約1000億円)をかけて3114キロの自転車道路ネットワークを構築するとしている。そうなればソウルの北側から釜山まで自転車で全国を一周できるようになる。有名観光地に自転車レンタルショップを置いて、車での移動を減らす計画も併せて実施されている。新羅時代の首都であり街中に遺跡が点在する慶州では、自転車で観光地を一周できるよう、自転車道路と自転車レンタルが充実してきている。レンタカーのように、駅前で自転車を借りて、好きな場所で返せるのでとても楽だ。チェジュでもレンタカーより自転車・徒歩観光が脚光を浴びている。


増える自転車人口、スマートフォンがナビをサポート



 「緑色成長」事業は川の復元や道路整備など建設分野に偏りすぎていることが、今まで、何度も指摘されてはいる。自転車道路にしても、自動車の代わりに自転車を利用してエコな生活をしましょうという目標のはずが、新しい自転車道路は川沿いや海沿いに造られ“観光用道路”造りになってしまった。都心の自転車道路は長期的な都市計画より、とにかく1日でも早く「自転車道路」と書かれた“結果物”を残すことに執着したため安全への配慮が欠けている。自動車道路の幅を通常より狭くして、両端に石でブロックを立て自転車道路にしているので、自動車も自転車もはらはら。地下鉄駅前には駐輪場もたくさんできたが、韓国は自転車の登録管理が行われていないため盗難が多く(名義登録がないので、盗んだ自転車はいくらでも転売できる)、ちゃんと預かってくれる保管所を求める声が大きい。


 それでも自転車人口は増えるばかり。クレジットカード会社2社の最近の調べでは、2009年自転車購入件数は前年比で30%以上増加した。ディスカウントショップやネットショッピングでも自転車販売が2倍近く増加し、政府政策に合わせて自転車で買い物に来ると50ウォン(約4円)ずつグリーンマイレージをためてくれる大型スーパーも登場した。2009年夏には韓国で初めて、個人向け自転車保険も登場した。自転車によって発生した事故や怪我の被害に対応している。


 今の日本がランニングブームだとすると、韓国は自転車ブームという感じで、関連用品やサービスが続々登場している。中でも人気を集めているのが自転車ナビゲーション。自転車に取り付けられる専用のナビゲーション端末も発売されているが、手軽にスマートフォンとGPSを利用したナビゲーションアプリの利用する人をよく見かける。


 スマートフォンを使って音楽を聴きながら交通状況を確認、自転車道路を利用して走る。経路案内、位置確認、周辺情報案内、カロリー消費量はもちろん、自転車で移動した経路を記録し、写真と走った感想を書き込んで、ほかのユーザーと共有できる。自転車を媒介にしたSNSといった感じで、「一緒に自転車で走りませんか」という地域ごとの友達募集書き込みも増えてきた。自転車ナビゲーションアプリの利用は無料で、App Storeのダウンロードランキング上位をキープしている。自転車だけでなく徒歩ナビ、自動車ナビにも切り替えられるので、ナビゲーションを購入せずスマートフォンで済ませられる。スマートフォンの画面サイズはどんどん大きくなっているので、画面が見苦しいということもなく、使い勝手がよくなりつつある。


 ポータルサイトもモバイルマップサービスや、出先で利用したくなる位置情報基盤サービス、地域情報検索サービスを強化しているため、政府政策と並んで自転車ナビ市場は今後どんどん大きくなると見込まれる。



(趙 章恩=ITジャーナリスト)

日経パソコン
2010年2月12日

-Original column
http://pc.nikkeibp.co.jp/article/column/20100212/1022836/

2G対応スマートフォン魅力向上でWi-Fi競争が激烈に

韓国の移動通信事業者であるKTとSKテレコムは第3世代(3G)に限らず、第2世代(2G)対応スマートフォンからも無線LANを利用して自由にインターネットにアクセスできるようにすると発表した。

 SKテレコムは、米グーグルが開発した携帯電話向けOS「Android」を搭載するモトローラのスマートフォンを2G向けにも発売するとしている。中国で2008年12月に発売されたXT800と同じモデルで、3.7型WVGAタッチスクリーン、Android 2.0、GPS、500万画素カメラ、LEDフラッシュ、Wi-Fi機能を搭載する。これに地上波DMB(韓国のワンセグ)が追加される予定。KTも3G対応スマートフォン10種のほかに、無線LANを利用できる2Gスマートフォンを15種発売するとしている。


 データ通信サービスを利用する3Gは「高仕様」、音声通話中心の2Gは「低仕様」、という区別はなくなってきている。2Gでもタッチスクリーン、大画面、高画素カメラを搭載する“プレミアム携帯電話”としてスマートフォンが人気だ。代表的な機種はサムスンのHapticシリーズである。


 韓国では3Gに機種変更すると電話番号を変えないといけない理由から(局番は011、017、016、018、019から010へ、3桁+4桁の電話番号が4桁+4桁になる)、2Gに固執するユーザーが根強くいる。2G対応の高仕様・高価格端末は3Gに比べ奨励金が少ないので端末価格は高くなってしまうが、それでも番号を変えたくないユーザーに受け入れられている。



問題はWi-Fi接続の未整備



 3Gのスマートフォンに限らず、2G端末からも無線LANが利用できるようになったことで、通信事業者の間では端末やコンテンツ競争以上に、「無線LANサービスエリア競争」が始まっている。


 韓国の通信事業者は家庭向け有線ブロードバンドとW-CDMAにばかり集中していたため、屋外の無線LANのアクセスポイントは増えるどころか減少していた。2004年まで首都圏のどこでもKTの無線LAN電波が届いたが、加入者の伸び悩みを理由にだんだんとアクセスポイントが減り、2008年ころになるとすっかり自宅でしか使えない無線LANサービスになってしまった。そのため、街中でノートパソコンやiPodからインターネットにアクセスしたい場合は、パスワードを設定していない誰かの無線LANモデムに接続するしかなかった。


 無線LANスポットが少ない分、無線LAN対応の良しあしがスマートフォンの選択条件の大きな一つ。KTが独占販売するiPhoneに加入すればKTの無線LANを利用できる(無料)。一方、SKテレコムのOMNIA2(サムスンのスマートフォン)に加入すると利用できる無線LANスポットがKTより少ない。スマートフォンは移動通信事業者3社から発売されているため、無線LANのスポットが多く使えるスマートフォンが当然便利である。



KTは「ただ乗りやめて」



 KTは現在1万3000ある無線LANスポットを2010年内に2万7000に増やす計画だ。SKテレコムはカフェやレストランなどを中心にフリースポットを増やす方針である。同社は無線LANスポットを持っていないため、提携先の無線LANモデムをフリースポットにしてもらうことで、スマートフォンやノートパソコンを使う人は誰でも無料でインターネットにアクセスできるようにするという。


 一方、ほかの通信事業者より早くインターネット電話サービスを始めたLGテレコム。約200万世帯がLG系列のブロードバンドと無線LANを使ったインターネット電話サービスを利用している。加入者宅にある無線LANモデムにパスワードを設定しない方法でフリースポットとして利用できるのではないかという話もあったが、個人が利用料を支払う無線LANを、スマートフォンへのサービスのために通信事業者がフリースポットにしてしまっていいのか、議論がある。接続速度が落ちるだけでなく、同じネットワーク上に知らない人がつながることでデータハッキングの可能性もある。


 KTの無線LANに加入するカフェやレストランが、モデムにパスワードを設定しないことでフリースポットとして無線LANを使えるようにすると、当然、KTの無線LAN加入者数は伸びていかない。自社の投資にSKテレコムやLGテレコムが便乗することになるため、KTは、「ただ乗りするなんて許せない」、「セキュリティのためにも家庭や企業の無線LANモデムにパスワードを設定してほしい」と訴える。


 スマートフォンのほかにも無線LANを利用できる電子ブックリーダーが次々に発売され、iPadのようなタブレット、無線LANを利用するモバイルVoIPも続々登場している。韓国通信事業者による、無線LANのアクセススポット数増加やサービス向上競争の激化は免れず、4G商用化まで続くとみられる。



(趙 章恩=ITジャーナリスト)

日経パソコン
2010年2月4日

-Original column
http://pc.nikkeibp.co.jp/article/column/20100204/1022688/

困ったら「118」へ――ネット利用何でも相談電話が開始

韓国政府機関の一つであるインターネット振興院が、インターネットのことなら何でも相談できるコールセンター「118」を2010年1月に開設した。局番なしで「118」に電話すれば、スパムメールやウイルス、個人情報盗用、ハッキングなどの被害相談はもちろん、パソコンの電源の入れ方、ウェブサイトにアクセスする方法、会員登録方法といった基本的な利用方法から実名制度の仕組みとは何か、という情報に関することまで、何でも相談できる。通話料のみで利用料はない。

 スパムメールやウイルス・ハッキングなどによる被害を警察に届けるべきなのか、判断するための相談窓口にもなる。


 韓国のインターネット利用者は人口の8割を超えており、乳児と超高齢者以外の国民のほとんどが利用している計算だ。インターネットは韓国人にとって最も身近で重要なメディアであり、コミュニケーションツールでもある。そのためインターネットを介したトラブルが増え、実名制度による本人確認もややこしくなっている。トラブルや被害にあったとき、まずどこへ相談すればいいのか、ぱっと思い浮かぶ相談窓口はこれまでなかった。


 今まではインターネット利用に関する相談窓口は、犯罪ならサイバー捜査隊、セキュリティなら韓国情報保護振興院、利用方法なら各サイト、ネットワークのことは通信会社、パソコンのことは製造会社と、ばらばらだった。118はこれらすべての窓口を統合。365日24時間対応で、国民の利便性向上を図る。


 韓国インターネット振興院によると、118のようなコールセンターは世界初という。火事は119、犯罪は112(韓国の110番は行政苦情窓口)といったように、「インターネットは118」と覚えてもらいたいと話す。特に子供やお年寄りの利用を見込み、118を覚えてもらうためのキャンペーンも実施している。


 118に期待されているのは、インターネット利用者のセキュリティ意識向上である。インターネットを始めたばかりの子供やお年寄りに利用方法を説明すると同時に、このような初心者がセキュリティ対策の重要性を認識し、ウイルス退治プログラムを使ったり、個人情報をしっかり管理したりするよう啓蒙する役を担う。


 韓国ではセキュリティ対策をしていないパソコンが多く、それを踏み台にしたDDoS攻撃(複数のコンピューターから大量のパケットを送りつけるなどして、特定のコンピューターを利用不可能な状態に追い込むこと)も頻繁に起きている。スパムメールや偽ウイルス退治ソフトによって感染し、ゾンビーパソコンとなって、ユーザーは知らないうちに攻撃に加担することになる。


 韓国では2003年1月と2009年7月、全国でインターネットが利用できなくなるほどのDDoS攻撃を受けた。DDoS攻撃による企業のシステム・ネットワーク復旧費用、サイトへのアクセス不能に起因したサービス提供停止による被害額は、年間約300億円前後と言われている。


 2009年にはメッセンジャーをハッキングした振り込み詐欺が多発した。ある端末から送付されるメッセンジャーをハッキングして、その端末所有者が登録する友人らに「お金を貸してほしい」と本人になりすましてメッセージを送り、振り込ませる手法だった。オンラインゲームやSNSでも、ハッキングによるサイバーマネー盗難が増えている。このような被害があったときに、警察よりも早く実情を把握して、適切な対処を促すのが118である。


 iPhoneをきっかけにスマートフォンの利用が急増していることから、2010年、118にはスマートフォンからインターネット利用の問い合わせが増えることが予想される。


 スマートフォンから主に利用する無線LANの場合、面倒という理由でモデムにパスワードを設定しない家庭が多い。誰でも自由に電波を拾って使えるのでハッキングの危険性が指摘されているが、街中ではフリースポットがなくても、こうした無線LAN電波をいくらでも拾える状態だ。スマートフォンからこのようなパスワード設定なしの無線LANを利用した場合、ハッキングされる可能性もある。スマートフォンや携帯電話を狙ったウイルスの中には、有料サイトに勝手にアクセスして料金を発生するように動作するものがあるので、注意が必要だ。


 スマートフォン向けのウイルス退治ソフトの開発は活発で、すでに、スマートフォンからのインターネットバンキングに対応したセキュリティソフトを銀行が提供し始めている。ただ、こういう情報を利用者が知らなければソフトは当然使われず、開発する意味もなくなる。


 インターネット何でも相談窓口「118」は、韓国のインターネット利用をより便利にし、人々のセキュリティ意識を高められるだろうか。「世界初のサービスとして、他の国からも注目されるようになる」(インターネット振興院)か、今後の活動が注目される。

(趙 章恩=ITジャーナリスト)

日経パソコン
2010年1月28日

-Original column
http://pc.nikkeibp.co.jp/article/column/20100128/1022529/