モバイルネットが不人気の韓国 政府主導の活性化策が始動






韓国サムスン電子のスマートフォン「OMNIA」シリーズ


韓国政府は今年、3月と9月の2回にわたってモバイルインターネットを活性化させるための国家戦略を発表した。「モバイルインターネット活性化計画」と「モバイルインターネット活性化推進計画」がそれである。


 韓国は日本と同じく1999年、モバイルインターネットサービスを始めた。ところが、その普及度合いでは日本に大きく水をあけられている。


 旧メリルリンチがまとめた「Global Wireless Matrix」(09年第1四半期)は韓国に衝撃を与えた。日米韓の通信キャリアのARPU(一人当たり月額利用料)に占めるデータ通信の割合を07年と08年で比較したところ、韓国だけが減っていた。08年の韓国キャリアのデータ通信ARPU比率は17%で、日本の41%はもちろん、北米の25.5%、ドイツの25.3%も下回った。



■世界の潮流から取り残される?


 韓国でモバイルインターネットが普及しない理由について、キャリアや専門家は、有線ブロードバンドインフラが早期に発達しすぎたためと見ている。パソコンからインターネットを利用する習慣が根付いた半面、有線ブロードバンドに比べて速度が遅く画面も小さいモバイルインターネットは多くの人から敬遠された。その結果、世界のモバイルコンテンツ市場が年平均30%以上成長しているのに対し、韓国ではゲームを除けば06年から足踏み状態となっている。


 さらにメリルリンチの調査によると、韓国のモバイルインターネット料金は対象15カ国の中でもっとも高いという。日本は携帯電話利用者の4割がパケット定額制に加入しているが、韓国ではまだ10%にも満たない。プランの仕組みも日本のような使い放題ではなく、1GBまでいくら、5GBまでいくら、といった定量制になっている。


 この報告書が引き金になり、韓国政府はキャリアに対して命令に近いかたちで料金値下げを要求し始めた。日本でも一時期「パケ死」という言葉があったが、韓国ではいまだに100~300円のコンテンツをダウンロードするのにその倍以上のパケット通信料がかかる。世界の携帯電話人口が40億人を超え、インターネット接続端末がパソコンからスマートフォンへ移行するなかで、政府には「韓国だけが世界に取り残されるかもしれない」という危機感がある。



■日本を参考にデータARPUを40%に引き上げ


 3月にまとめたモバイルインターネット活性化計画は、日本を優秀事例として参考にし、使い放題のパケット定額導入などによるデータ通信料金引き下げ、キャリアとコンテンツプロバイダーの不公正契約改善を通じたモバイルコンテンツ流通の環境改善、ユーザー中心のサービス環境造成などの施策を盛り込んだ。


 具体的には、13年までに携帯キャリアのデータ通信ARPUの割合を40%まで引き上げ、モバイルコンテンツの市場規模を1兆ウォン(約830億円)から3兆ウォンへ拡大するという。さらにキャリアとコンテンツプロバイダーによる収益配分ガイドラインの策定、排他的行為の禁止、ネットワーク開放もこの計画の重要な部分である。


 これまでは料金回収手数料の基準がなく、キャリアの言い値が手数料だった。このため、コンテンツプロバイダーがキャリアに支払う手数料は30~40%に上ることもある。さらに、勝手サイトが存在できないように、キャリアは契約した公式サイトやポータルサイトだけにアクセスできるようネットワークを閉鎖している。政府はこれらの不公正な取引を改善すれば目標達成は可能で、コンテンツ産業の海外進出も活発になると見込んでいる。


 モバイルインターネット活性化計画の策定には、放送通信部だけでなく文化部、行政安全部も参加している。ネットワークとコンテンツ、セキュリティー面の支援を一体で推進していくという考えからだ。モバイルインターネットを活性化させることで、「モバイル電子政府」の早期提供につなげるとともに、セキュリティー対策も固定通信と携帯電話の融合を見据えて検討しようとしている。





LGテレコムの料金プラン「OZ」のプロモーション風景


■SKテレコム、KTの動向がカギに


 通信キャリアのなかでは、加入者シェア最下位のLGテレコムが値下げに積極的だった。08年に「OZ」というブランドで開始した料金プランは月6000ウォン(約500円)で1GBまで利用できる。他のキャリアに比べると4分の1ほどの水準である。LGテレコムはネットワークも開放し、ポータルサイトやコミュニティーサイトなどに携帯電話から自由にアクセスできるようにした。


 このLGテレコムの攻勢と政府の圧力で、携帯シェア1位、2位のSKテレコム、KTがどこまで料金制度の見直しに動くかが今後のポイントだ。


 韓国の通信業界はKTとKTF、SKテレコムとSKブロードバンド、LGテレコムとLG DACOMが統合するなど、有無線通信会社の再編が進んだ。これにより現在は、携帯電話、ブロードバンド、無線LAN、IPTV、VoIP、固定電話といった通信サービスを同じ会社で複数加入すると基本料金が50%まで安くなるといった「バンドル割引」競争が激しくなっている。


 11年には固定で1Gbps、モバイルでは100Mbpsの速度でネットにつながる4Gの標準化が予定されている。韓国の携帯電話ベンダー、サムスン電子とLGエレクトロニクスはすでにスマートフォンのラインアップを重視している。行政はもちろん、金融、ヘルスケア、教育などあらゆる産業もモバイルインターネットによるサービス展開を見込んでいる。


 政府の圧力による値下げが最善の解決策とは思えないが、お膳立てはそろった。韓国が過去の「ブロードバンド大国」「IT強国」で終わってしまわないために、安く速く安心できるモバイルインターネットの登場が待ち望まれる。


– 趙 章恩  

NIKKEI NET  
インターネット:連載・コラム  
[2009年10月28日]
Original Source (NIKKEI NET)
[
http://it.nikkei.co.jp/internet/column/korea.aspx?n=MMIT13000028102009

匿名がもたらす快感、口コミでユーザーを集めたチャットサービス

オープンから1カ月、口コミだけで1日の訪問者数が8万人、同時接続1万5千人のチャットサイトが登場した。韓国政府が進めている実名確認に逆らい、会員登録や本人確認など一切なく、匿名でチャットができる「GAGAライブ」というサイトである。

 しかもランダムチャットといって、同じ時間に接続した人同士がランダムに2人だけで1対1で会話できるようになっている。どんな人とつながるか全く分からない、自分も相手も匿名のままチャットを楽しめるところが人気を集めている要因だ。


 使い方はとてもシンプルで、サイトにアクセスして「ランダムチャット実行」のボタンをクリックするだけ。自分が書き込む文章の前には「あなた」、相手の文章の前には「知らない誰か」としか表示されない。


 これはなんと、お医者さんが趣味で開発したものだそうだ。徹底した匿名ぶりや使い方は、英語サイトの「omegle」に似た仕組み。パソコン通信のようなシンプルなウィンドウの中で文字を書き込みチャットする。


 Flashで動作しているので、HTMLソースを自分のブログやSNSなど、どんなサイトにも貼り付けてチャットができる。平日の昼でも5000千人以上が同時接続しているのをみると、みんなこっそりブログなどに貼り付けてやっているのかもしれない。


 今までのチャットサイトは、実名確認をして会員登録し、カテゴリーを選択し、チャット部屋を作って相手を待つか、チャット部屋の名前を見て面白そうなところに入る。チャット=出会い系、援助交際の温床という悪いイメージがつけられたため、基本的に性別やIDが公開される。住む地域や年齢まで公開しないといけないサイトも多い。

しかし「GAGAライブ」は匿名なのでどんな会話をしても大丈夫、相手がどんな人なのか探るのが面白い、別人になりすまして会話をするスリルがある、といったブログやSNSサイトの書き込みがきっかけとなり、全く宣伝もしなかったのにいつの間にか1日8万人が訪問するサイトに成長してしまった。


 ランダムチャットが話題になったのはもう一つ芸能人や有名人が出没するという噂からだった。ある有名人が、「ランダムチャットで色んな人と他愛のない会話を楽しむとすごく癒される」と発言したことや、チャットを終えて挨拶をしようとしたら歌手の○○だと言ってきたので「嘘つけ!」と言ってやったが、他の人のブログでもその人とチャットをしたという書き込みがあったのでびっくりした、などの証言がコミュニティサイトなどに書き込まれえいる。好きな芸能人に会えるかもしれない、というドキドキ感からか、20歳代女性の利用が増加しているという。女性ユーザーの多いチャットサイトには自然と男性も集まる。ユーザーが増えていくのは


 チャットの内容は色々。意味不明の言葉を残してすぐ出て行く人もいれば、しりとりをしたがる人もいる。就活に悩む大学生がいたり、いきなり数学の問題を解いてほしいと頼んでくる高校生がいたりする。自称ソウル大生に科学の試験問題の解き方を教えてもらったというチャットのキャプチャーは話題になった。


 全く知らない人だからこそ、自分の秘密を打ち明けたり、誰かの悪口を聞いてもらったりしてすっきりするという、毒を排出できる爽快感もある。何でもネットで完結させ、恋人との別れも携帯メールで済ませてしまうというこの頃。そういう世の中だからこそ、PC通信や文通の時代を懐かしみ、ランダムチャットにはまる人も増えているようにみえる。


 ランダムの残念な点は、気が合う人同士が出会い会話が進む中、事情があって途中で切れてしまうともう最後。同じ人にまた巡り会える可能性が非常に少ないということだ。チャットサイトにある掲示板には、「×月×日×時に出会ったあの人を探しています」という書き込みが絶えない。これもランダムチャットの妙味といえるかもしれない。



(趙 章恩=ITジャーナリスト)

日経パソコン
2009年10月22日

-Original column
http://pc.nikkeibp.co.jp/article/column/20091022/1019779/

ミュージシャンに甘くささやき、1位の座を獲得したYouTubeの戦略

 ポータルサイトはNAVER・DAUM・NATE、オンラインゲームはNCソフト・NEXON・Hangame・Netmarble・NEOWIZ、動画はPandoraTV・MGOON・TVPot、というようにブロードバンドが普及してから今日まで、どの分野でも韓国系のサイトが圧倒的なシェアを誇っている。GoogleやYahoo!が韓国では、苦戦しているというのは有名な話である。


 そんな韓国で異変が起きた。韓国のPandoraTVを押しのけ2009年9月、ついにYouTubeが動画サイト月間訪問者数1位になったのだ。韓国に進出して既に1年8カ月が経過している。


 これは実名制度のおかげともいえる。本人確認のために住民登録番号や個人情報を書き込ませることにYouTubeが反対し、韓国のネットユーザーの多くが実名制度を実施するサイトを捨ててYouTubeに引っ越してきたのだ。本人確認をしないことから、GoogleやGmailの利用も少しずつではあるが増えている。


 韓国インターネット振興院の調査によると、3歳以上のネットユーザーの77.2%が1日1回以上ネットを使い(主にパソコン)、48.3%が週14時間以上ネットを使っているという(週平均利用時間は13.9時間)。GoogleはYouTubeを前面に出して、ネット利用時間が長く動画投稿に熱心な韓国のネットユーザーとのつながりを確固たるものにしたいようだ。


 今まで海外サイトが人気のなかった理由は、韓国ネットユーザーのコロコロ変わる趣向についていけなかったからである。本社の認証を得てサイトをリニューアルした頃にはもうブームは終わってしまう。かゆいところに手が届くというか、瞬時に今流行っていることをキャッチしてメニュー化し反映させられる韓国系サイトに当然、利用者が集まる。


 YouTubeは韓国のかゆいところはどこかを探した。答えは、海外進出である。

少ない人口を相手する内需だけでは食べていけない。何でも海外進出して市場を拡大させないといけない。YouTubeは、「YouTube Music Day」を開催し、韓国のミュージシャンが海外進出できるよう支援する計画を発表した。

 30社ほどの韓国アルバム制作会社が集まった中、YouTubeの動画がきっかけとなってスターになったギターリストや歌手の事例が発表され、音楽マーケティングのトレンド、動画広告やアルバム販売による収益配分システムが紹介された。お金がかかるマーケティングができない新人や韓国ではあまり注目されないインディー系には嬉しい話である。


 フィンガープリンティングを利用して著作権のある音源や動画の場合は即時見つけて削除するか広告を付けて収益を分けることができる、再編集されたものでも見つけられる、といった著作権保護に関する説明もされた。


 YouTubeユーザーの20%が音楽目当てで、YouTubeの滞在時間も1日平均28.1分という数字も公開された。18~24歳の間では、世界で有名な音楽専門チャンネル「MTV」よりも YouTubeの方が利用されている、音楽チャンネルだけで4万4千件あり、音楽カテゴリーは13もある、YouTubeを使えば世界とつながる無限の可能性がある、という説明が続いた。


 世界中でオーディション動画を集めて行われたYouTubeオーケストラ、世界のユーザーが「Stand By Me」を歌う動画を投稿し、それをミックスして一つの歌にした「Stand By Me, Playing For Change, Song Around the World」など、YouTubeと音楽はとても密接な関係にあるのは確かだ。


 当たり前なことではあるが、YouTubeは世界中のミュージシャン達に甘く囁きかけていることだろう。それでも各種規制によりネットのガラパゴスが懸念されている韓国で、YouTubeをきっかけに海外とつながりを持つことがネットサービスや音楽産業の新しい風になってくれることを期待したい。


(趙 章恩=ITジャーナリスト)

日経パソコン
2009年10月14日

-Original column
http://pc.nikkeibp.co.jp/article/column/20091014/1019478/

「ネットチラシ」に押される韓国ブログジャーナリズムの現状





建設会社が実施している「スーパーブロガーフェスティバル」の告知画面。本社移転地であり新規マンション分譲地である仁川ソンド新都市について、自分のブログに書き込んで宣伝すると、訪問者数などに応じてノートパソコンやデジカメなどが当たる




米連邦取引委員会(FTC)は10月5日、広告における商品の推奨方法などのガイドライン「Guides Concerning the Use of Endorsements and Testimonials in Advertising」の改訂版を12月から導入すると発表した。今回は韓国でも問題になっている口コミマーケティングの過熱する現状を取り上げたい。)

 米国の新ガイドラインは、ブログやウェブサイトに製品・サービスのレビューやコメントを書き込む際に、企業から商品や報酬を受け取っていれば、こうした広告主との関係を明記することを義務付けるというものだ。実際の製品の性能とレビュー内容が違ったり、有名芸能人がテレビのトークショーやソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)などで商品やサービスを宣伝したりする行為も規制の対象になる。


 狙いは、いわゆるネット上の「口コミ」と企業の広告・宣伝活動の線引きを明確化することにある。このガイドラインが改訂されるのは1980年以来初めてで、オンラインマーケティングの透明性と信頼性を確保し、消費者の被害を最小限にするための措置としている。



■政府系機関もブロガー活用






中小企業振興公団のブロガー募集の画面。中小企業の商品を贈呈しブログにレビューを書かせる




 米国と同様、韓国でも有料の広告よりSNSやブログを使った「つながり」を重視するマーケティングが効果を上げる時代になり、企業のブログマーケティングが激化している。しかし、現状ではいくつかのレビューサイトが企業の協賛による商品の口コミであることを明記している程度で、口コミ広告に関するガイドラインや規定はなく、ブログやSNS運営会社の共通したルールもない。


そのため、商品のサンプルを提供して口コミを書かせるというレベルにとどまらず、企業と有名ブロガーが組んで自社製品をお勧め商品として「共同購入」させるといった手法も広がっている。料理ブログで訪問者数を集めた主婦が企業からコンサルティング料をもらって自分のブログに調理家電や食材のレビューを書き込むケースもある。

 口コミに貢献しそうなブロガーを選んで海外旅行に招待したり金銭を提供したりする企業も多い。特に中小企業にとっては、ブログマーケティングは重要な販路となっている。政府機関である中小企業振興公団までが中小企業の製品を宣伝するため、ブロガーを集め始めたほどだ。


 しかし、これらのブログには「報酬をもらった」とは書いていない。あくまでも「自分で買って使ってみるととてもよかった」という内容になっている。韓国でも専業ブロガーが増えて、1日訪問者数が3万~4万人を超えるブログも多い。ブログを上手く利用して訪問者数を集めれば会社員よりもいい収入を得られるから、ブロガー自身も報酬を得ていることを積極的に公表しなくなる。





■ブログジャーナリズムの歩み


 韓国のブログは、新しい代案ジャーナリズム、市民の情報源として脚光を浴びてきた。韓国インターネット振興院の調査(09年7月)によると、ネットユーザーの59.7%は他の人のブログを定期的に見ており、44.6%が自分のブログを持って投稿していると答えた。20代の74.8%、6~19歳の56.4%は自分のブログを持っているという。


 韓国で人気のブログはポータルサイト「NAVER」のブログサービスである。NAVERは検索シェアが66.5%(2009年9月)と検索サイトとして圧倒的優位を占めるだけにブログも検索でヒットしやすく訪問者数も増えるからである。


 ネットユーザーが毎日目を通すポータルサイトのニュースには、伝統メディアの記事とブロガーの転載記事が混在している。世帯の新聞購読率が3割しかない韓国では、地下鉄の無料新聞とNAVERや「DAUM」といったポータルが主なニュース源となっている。






ポータルサイト「DAUM」のメーン画面ではニュースの下に編集者が選んだブログの見出しが掲載される



NAVERやDAUMでは、編集者が選んだその日の面白いブログが上位に掲載される。ポータル側に選ばれた記事は「今日のニュース」としてメーン画面で紹介され、プロ記者の記事と変わらない扱いをされる。

 特にDAUMはブロガーニュースを既存メディアのニュースと同等に扱い、ブロガーの地位を高めるのに貢献した。一時期のインターネット新聞のように、ブログは身近で信頼できる媒体として認識されるようになった。また、NAVERはパワーブロガーを選定して、特別なコーナーを作っている。


 プロ記者が書けなかったニュースの裏を伝えるブログジャーナリズムは、こうしたポータルの手助けを得てインターネット新聞の市民記者制度よりも活発に動き始めた。最近はITや自動車、政治、映画など特定のジャンルに関して数人が同じブログに記事を書くチームブログも増えている。伝統的なメディアを補完するメディアとして、レベルの高い記事も見られるようになった。





■このままでは「ネットチラシ」に


 誰に指図されることなく自由に書けるのがブログジャーナリズムの武器だが、企業マーケティングに利用されればそうはいかなくなる。商品や金銭をもらう代わりに、企業の要求を汲み取って書く。短所を指摘して、書き直しを要求されたブロガーもいる。これが正当なレビューやブログマーケティングといえるだろうか。


 もちろん消費者は賢い。それが広告なのか、本当の口コミなのかはすぐ区別できる。しかし、SNSやブログがこれだけの支持を集めたのは「双方向」や「共感」「親密なつながり」を持っているからだ。口コミが口コミを生み、企業と消費者のコミュニケーションも行ったり来たりする双方向だからこそ信頼されてきたが、その信頼が壊れようとしている。


 これはブログに限ったことではない。テレビドラマなどでも最近はPPL(プロダクト・プレイスメント)と呼ばれる間接広告が溢れている。ドラマのなかでスポンサー企業の商品がさりげなく使われるといったパターンだが、あらゆるところに広告が入り込んでいる状況である。


 ブロガーのなかには、より良質な記事を書くには取材費用が必要で、企業の協賛に頼らざるを得ないと主張する人もいる。しかし、企業の悪いところは悪いと批判し、製品の改良などにも貢献してきた初期のブロガーはいなくなり、企業の要求に沿って、何でもべた褒めするブロガーばかりが増えている。これは結局企業のためにもならないだろう。


 私はレビューや口コミもブログジャーナリズムに含まれると考えている。しかしこのままでは「ネットチラシ」ばかりが増えてやがて使い物にならなくなるだろう。


 ニュースと読者ではなく、広告と消費者しか残っていないと批判されるなか、ブログをネットチラシにしてしまうのか、それとも代案ジャーナリズムとして成長させるのかは結局ブロガー次第だ。しかし、ポータルサイトがごっそり利益を上げる広告システムではなく、ブロガーに利益が落ちる仕組みが導入されない限り、この問題は変わらないかもしれない。


– 趙 章恩  

NIKKEI NET  
インターネット:連載・コラム  
[2009年10月15日]
Original Source (NIKKEI NET)
http://it.nikkei.co.jp/internet/column/korea.aspx?n=MMIT13000015102009

新世代BB研究会「世界のモバイル・ブロードバンドサービスの最新事情」開催案内

KDDI総研特別研究員2人による講演となります。


http://www.bba.or.jp/bba/




新世代BB研究会通信プラットフォームWG 第6回講演会
「世界のモバイル・ブロードバンドサービスの最新事情」


<10/20 15:30 東京 鉄鋼会館>



新世代通信プラットフォーム研究会では、固定と移動の融合、垂直統合から水平連携へのビジネスモデルの変革など、通信とそれを取り巻くプラットフォームの変革をテーマに、次世代のモバイル・ブロードバンドの在り方やコンテンツビジネスの方向性を探求してきました。今回は、世界でモバイル・ブロードバンド事情の取材にあたる2名のジャーナリストにご登壇頂き、韓国・中国を中心に世界のモバイル・ブロードバンドサービスの最新事情についてご紹介いただきます。


 


講演「韓国の最新モバイル・ブロードバンド事情」 


ITジャーナリスト 東京大学大学院 学際情報学府 趙 章恩 氏



choh.jpg 韓国は、GSM市場が存在せず国内独自サービスを展開してきたという点でわが国に類似した市場環境を持った国でした。しかし、その後の日本と韓国が取った戦略は大きく異なっております。国内での成長を重視し、垂直統合型のビジネスモデルを推し進めてきた日本と、世界市場制覇を目指し水平分業型のビジネスモデルで競争を活性化させてきた韓国とではその成果に対照的なものがあります。こうした日韓の市場と戦略の違いや最新の動向について、韓国のICT事情に詳しいITジャーナリスト・趙 章恩氏に、韓国国内における最新のモバイル・ブロードバンド事情を解説いただきます。


 


講演 「第三世代携帯電話が本格スタートした中国から見た世界の通信サービス動向」


香港在住携帯電話研究家/ジャーナリスト 山根 康宏 氏



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また、中国では今年の5月より、すべての移動体通信事業者において第三世代携帯電話サービスがスタートしました。成長期にある中国の携帯電話市場に向け、世界のメーカーやベンダーが中国の携帯電話市場動向を注視しているところです。9月16日から北京で開催される中国最大級の通信関連イベント「P&T/Wireless & Networks Comm China 2009」をはじめ、世界の通信関連イベント・展示会を取材するジャーナリスト・山根 康宏氏より、中国と世界の通信サービス最新事情について解説いただきます。


 


 


通信をめぐる世界の最新事情を、ジャーナIMG_0730_2.JPGリストによる客観的視点からご説明いただき、理解を深めていただく内容としております。世界のモバイル・ブロードバンド事情に関心をお持ちの、多くの皆様のご来場を心よりお待ちいたします。


BBA新世代BB研究会通信プラットフォームWGリーダー


/武蔵野学院大学 准教授 木暮 祐一


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<開催概要>
■日時: 2009年10月20日(火)15:30開始 (15:00開場)
■会場: 鉄鋼会館 東京都中央区日本橋茅場町3-2-10 TEL. 0120-404855
東京メトロ八丁堀駅A5番出口より徒歩5分
東京メトロ茅場町駅1番または12番出口より徒歩5分
■主催: 一般社団法人ブロードバンド推進協議会
■定員: 100名
■参加費:BBA会員 無料 ・ 一般 5,000円(税込) (懇親会参加費を含む)
■対象: 通信・情報関係者、その他


<プログラム>
15:00 開場 15:30 開始


15:35 趣旨説明「わが国の通信サービスが抱える課題」
BBA 新世代ブロードバンド研究会 WGリーダー
武蔵野学院大学 国際コミュニケーション学部 准教授 木暮 祐一


16:00 講演 「第三世代携帯電話が本格スタートした中国から見た
世界の通信サービス動向」
香港在住携帯電話研究家/ジャーナリスト 山根 康宏 氏


16:50 休憩


17:00 講演「韓国の最新モバイル・ブロードバンド事情」
ITジャーナリスト
東京大学大学院 学際情報学府 趙 章恩 氏


17:50 終了
18:00 懇親会


★登壇者都合により山根氏と趙氏の講演順が変更になりました。(10/8)★


 


■ご参考 (講演者プロフィール)



ITジャーナリスト 趙 章恩(チョウ チャンウン) 氏


高校卒業まで東京で育ち、韓国の梨花女子大学卒業後はソウルに在住。現在、東京大学大学院学際情報学府修士課程在学中。日本経済新聞、西日本新聞、日経NET、日経パソコン、日経エレクトロニクス、BCN、夕刊フジ、RBBTodayなどに記事を執筆。韓国情報通信部や傘下機関・IT企業の対日戦略リサーチ&コンサルティング、日韓IT視察を企画運営するJ&JNETWORKの代表、株式会社ロッテのインターネット事業部顧問として韓国文化ポータルサイト「ニッコリア」企画を担当。日本とのITビジネス交流を図る非営利団体JIBC(Japan Internet Buisiness Community)の会長も兼務。日韓両国で生活した経験を活かし、韓日のIT事情を比較解説する。著書に『韓国インターネットの技を盗め』(アスキー刊)、『日本インターネットの収益モデルを脱がせ』(韓国ドナン出版)などがある。
http://www.kjibc.org/


 


携帯電話研究家/ジャーナリスト 山根 康宏氏


1998年から香港に在住、アジアを中心に世界の携帯電話動向をウォッチ。フリーランスの携帯電話研究家及びライターとして、消費者の立場から各種メディアに世界の携帯電話事情をレポートすると共に、海外における携帯電話サービスの市場調査等も行っている。著書に『ケータイ海外利用ハンドブック』(技術評論社)、『3G&GSMケータイ活用事典』(共著・ソフトバンククリエイティブ)、『iPhoneが日本に上陸する日』(技術評論社)などがある。
http://www.yamane.hk/

[東京留学生活] この頃の韓国IT政策

IT KOREA 5大 未来戦略


モバイルインターネット活性化戦略


デジタル放送通信コンテンツ振興政策


電波振興基本計画


IT特別補佐官任命


などなど


最近韓国政府は次々に大きなIT政策を発表しています。


政府の発表って、これから何をする、いくら投資するということばかりで、それでいくら投資して何がよくなったのかについては静かに流してしまうような気がします。。。。違う?


2009年度のデジタルコンテンツ白書(日本の)に韓国コンテンツ事情を紹介してます。


Wibro(モバイルWiMAX)については日経エレクトロニクスも見てください。


6ヶ月もだらだらと書き続けているKRIレポート、いいかげん完成させないと!ファイア~


– BY  趙章恩

Link
http://www.kddi-ri.jp/blog/cho/?p=164

Windows 7への期待からパソコン関連株が急騰! 一方でユーザーの反応は?

Windows Vistaの互換性問題で一騒ぎあった韓国では、ユーザーの多くが未だに2001年発売のWindows XPを使っている。Vistaが搭載された最新パソコンを買って、わざわざダウングレードしているほどだ。

 しかし今度は違う。Windows 7は最初から「XPとの互換性ばっちり!」を謳い文句にしているせいか、正式販売前なのに体験版を試したユーザーの意見を投稿できるサポーターサイトが登場した。5万8800人以上が加入している「Windows 7サポーターズカフェ」には、Windows 7をインストールしたパソコンの画面キャプチャーや、XP/Vistaとの違いを比べる動画、Windows 7を最適に利用できるパソコンの組み立て情報などが投稿されている。このようにユーザーの満足度はかなり高い。


 株価も動いている。パソコンのアップグレード需要を見込み、パソコン部品製造会社やLCD関連会社の株価が急騰しているのだ。Windows 7はメモリが1GB程度でも快適に動くというので、パソコンの買い替え需要よりアップグレードが多いと見込まれている。


 また省エネ機能でVistaに比べ電気を節約できるため、バッテリーが15%ほど長持ちするという話しもある。Windows 7効果で、ノートパソコンやネットブックの売り上げが今まで以上に増加するのではないかとも見られている。


 Windows 7の機能の中で、もっとも期待されているのはiPhoneに実装されているようなマルチタッチである。NAVERの知識検索(ユーザー同士の質問と答え)では、「タッチ機能を使うにはどうしたらしいのか」「どんなモニターがいいのか」「どんなノートパソコンがいいのか」といった質問が登場している。タッチ機能を使うためには、タッチパネル対応のモニターに買い換えなくてはならない。パソコン販売会社のサムスン電子やサムボコンピューターも、タッチ機能を生かしたノートパソコンやモニターに力を入れている。韓国ヒューレット・パッカード(HP)は、タッチパネルを備えたノートPCを大幅値下げした。パソコンの使い方にも変化があらわれるとなれば、ゲームやソフトもタッチ方式中心のものに変わるだろう。


 10月7日には、ついにWindows 7の価格が発表された。韓国マイクロソフトのネット販売サイト「マイクロソフトストア」での正規価格は、Home Premiumが27万9000ウォン(約2万円、日本価格は通常版2万4800円)、Ultimateは38万9000ウォン(約2万9000円、日本価格は通常版3万8800円)。通常版を購入するとタッチマウスや8GBのメモリを先着777人に進呈するイベントも開始している。


 VistaやXPからのアップグレードはHome Premiumが15万8000ウォン、Ultimateが29万5000ウォンと日本に比べて若干安くなっているが、やはり韓国の所得水準を考慮すると個人が買うには高すぎる。


 韓国では政府の徹底した知的財産権の取り締まりにより、違法コピーは減っている。これは取り締まりの影響だけでなく、ソフトウエア業界が個人向けに値下げをした結果でもある。無料で使えるソフトも増えている中、個人としては手が出ない高すぎる料金設定では違法を量産するばかりという判断から、払える範囲内の料金設定でユーザーを犯罪者にさせないよう動いている。韓国MSも大学生に限定してアップグレード料金を値下げすることを検討しているという。


 Windows 7のおかげで久々に活気が出てきたパソコン市場であるが、一方では「OSなんて、もう関係ない」という意見がある。「これからはOSより、もっとスピーディーにインターネットにアクセスできるWeb環境の方が重要」と見ているユーザーも少なくない。GoogleやNAVERのようなポータルサイトにさえアクセスできれば、資料の検索・作成・共有やコンテンツ利用など、必要なことは一通りできるからだ。


 日本も韓国も久々のユーザーの興味を引くため、何かと「Windows 7」をひっぱりだしている。OSなんてXPで十分、と思いながらもパソコン売り場の前を素通りできない今日この頃。秋の食欲と物欲、どっちも抑えられない!



(趙 章恩=ITジャーナリスト)

日経パソコン
[2009年10月7日]

-Original column

http://pc.nikkeibp.co.jp/article/column/20091007/1019230/

iPhoneの販売認可でモバイルコンテンツ市場が激化

前回書いたように、韓国でもiPhoneの販売がようやく認可された。サムスン電子やLG電子の新機種もスマートフォンを中心にラインアップが揃えられている。携帯電話端末の出荷数は減ってもスマートフォンだけは2桁パーセント増の成長を続けている。

 iPhoneが発売される2009年11月の直前10月に、サムスン電子は「OMNIA2」を発売する。2008年末に発売されてから人気絶好調のOMNIAの次のモデルで、3.7型の有機ELと800MHz動作のCPUが特徴だ。サムスン電子は有機EL搭載端末の好調により2009年8月、韓国携帯電話端末の市場シェア55%を達成した。スマートフォン市場でもシェア1位としてiPhoneと真っ向から勝負することになる。



iPhoneに先駆け2009年10月にサムスン電子が発売するスマートフォン「OMNIA2」


モバイルインターネットが使い放題のパケット定額制が始まって間もない韓国では、携帯電話から無線LANを利用できるようにするスマートフォンの登場により、有線ブロードバンドや2Gから一気に、料金が安くて速度が速い4GのWibro(モバイルWiMAX)または無線LANに乗り換えるユーザーが増えると予測されている。


 韓国放送通信委員会の調査によると、2008年末時点でもデータ通信定額制加入者の割合は10.9%、キャリアの売上対比データ通信売上の割合は17.4%に過ぎない。データ通信の割合は日本が41%、オーストラリア32.4%、イギリス27.8%、中国27.2%、米25.5%で、韓国は携帯電話から音声通話ばかりの基本的な使い方しかしていないことが分かる。理由は所得に比べ高すぎる料金のせいである。キャリアのデータ通信ではなく無線LANを利用できるiPhoneやスマートフォンの登場で、やっと移動しながら自由にネットが使えるようになった。

さらに、使いやすくなったモバイルインターネットを背景に、キャリアごとのアプリ販売サイトの競争も激しくなっている。


 韓国の最大シェアを誇るキャリアSKテレコムは、アップルと同じ仕組みのアプリ販売サイト「T STORE」をオープンした。コンテンツ会社や個人が開発したアプリをアプリ販売サイトを通じて販売できる。既に6500件ほどのコンテンツを確保している。サムスン電子もイギリスで始めたアプリ販売サイトをヨーロッパ、欧米、韓国でも始めようとしている。


 KTは11月より個人も参加できるオープンな「SHOW APP STORE」をオープンする。コンテンツ購入額よりダウンロードのために発生するデータ通信費用の方が高いという既存の不満を改善するため、無線LANやデータ通信料金の割引も始める。今までは携帯電話から1MBのゲームを2本ダウンロードするとデータ通信料金が7100ウォンもかかっていたが、これからは1000ウォン未満にするという。KTのアプリ販売サイトは携帯電話に限らず、IPTVやVoIPからも購入して使えるようにするなどデバイスを拡大していく。


 SKテレコムがアプリケーション2本当たり10万ウォン、超過分は1件当たり6万ウォンを要求しているのに対し、KTは登録費用1000ウォンで無制限アプリを登録できるようにした。1本当たり3万ウォンを超えた時点で売上の70%を開発者が30%をKTが取る。


 ポータルサイトのNAVERとDAUMもマップサービスやブログサービスの競争から、スマートフォン向けモバイルサービス対決への移行している。Web画面そのままモバイルでも表示するのではなく、スマートフォンの画面サイズやボタンを使って操作しやすく、ネットワークが遅い無線インターネットでも無理なく使えるようカスタマイズする競争が始まったのだ。どんなデバイスからも自社のサービスを利用させるための競争が本格的に始まった。


DAUMはWebメール市場シェアが38%と1999年オープン以来、不動の1位をキープしている。これをモバイルでも持続させようとしている。NAVERは増え続けているブログとマップユーザーをモバイルでも囲い込むためのカスタマイズに熱心である。ポータルサイト側はWEBメールやSNS、ブログ、マップ、ナビゲーションをスマートフォンから利用しやすいようにすることから発展し、SNS専用携帯電話端末の発売までも企画している。スマートフォンや携帯端末からどれほど便利に利用できるかによって、1位NAVER、2位DAUM、3位NATEというポータルサイトの順位が入れ替わることも予想される。


 既存音声通話より30%以上料金が安いモバイルVoIPも期待されている。NAVERとNATEはWibroや無線LANにアクセスできる端末からはメッセンジャー機能を利用して加入者間テレビ電話を無料で使えたり、インターネット電話として携帯電話や固定電話にかけられたりするサービスを拡大している。


 日本よりだいぶ遅れて火がついた韓国モバイルコンテンツサービス市場は、iPhoneをきっかけにスマートフォンの競争が激化し、Wibro・無線LANとアプリ販売サイトの組み合わせで利用が加速している。3Gまでは世界市場より遅れたが、4Gからはブロードバンド普及当時のように世界を驚かせたいという韓国政府の狙い通りになってほしいものだ。




(趙 章恩=ITジャーナリスト)

日経パソコン
2009年9月30日

-Original column
http://pc.nikkeibp.co.jp/article/column/20090928/1018999/

韓国の改正著作権法「3アウト」制の波紋 

韓国の改正著作権法「3アウト」制の波紋 






 韓国で7月23日に施行された改正著作権法には、「3アウト」制度と呼ばれる罰則規定がある。デジタルコンテンツの違法配布などで3回著作権法違反に問われたユーザーは利用していたサイトから6カ月間強制脱退させられ、3回以上の罰金刑となったウェブサイトは6カ月の営業停止になるという内容だ。(趙章恩)


 3アウト制度はそもそも、「ヘビーアップローダー」と呼ばれる著作権法違反の常習犯をネットから追い出すのが目的とされた。



■発売前の新曲まで違法アップロード


 ファイル共有(P2P)やストレージサービスを提供する一部のウェブサイトは、ヘビーアップローダーに映画や音楽、ゲームなどのファイルをアップロードさせ、一般ユーザーに10MB当たり数円ほどの料金で販売している。ヘビーアップローダーの中には業界の関係者もいるようで、劇場公開されて間もない新作映画やアルバム発売前の新曲がストレージサービスに登場することもある。


 P2Pやストレージサービスはヘビーアップローダーを確保するため、契約金や数百万円のリベートを渡すところもあるという。これらを利用すれば公式サイトでダウンロード購入する料金の10分の1以下でファイルが手に入るため、著作権侵害とは知りながらも、若年層を中心にユーザーが増えていった。


 3アウト制度はこうした違法ビジネスを抑止するうえで一定の効果を上げつつあるが、思わぬ余波も広げている。



■相次ぐ訴訟で自殺事件も


 1つは告訴ラッシュだ。著作権者らから委託を受けた法律事務所が、アルバイトを雇ってネット中を検索し、違法ファイルを見つけて手あたり次第訴訟を起こしだした。


 韓国のブログでは、ドラマのハイライト場面を編集した動画投稿やモノマネ、芸能人の写真を使ったパロディーなどが盛んに行われていた。放送局側もドラマの宣伝になるとして、ドラマの映像を動画サイトに丸ごとアップロードするようなことをしない限り、黙認していた。


 しかし法律事務所のアルバイトの目にひっかかると、そうもいかなくなる。彼らは実績に応じて収入を得ているからだ。訴訟が相次ぐなか、裁判を起こされたくなければ和解金を払えという法律事務所からの要求に怯えて高校生が自殺する事件も起きた。


 ポータルサイトやコミュニティーサイトも、営業停止を避けるために投稿内容の事前チェックと削除を強化している。ユーザーが映画やテレビ番組の批評を書くための“引用”としてキャプチャー画面を掲載したり、私的鑑賞のために動画にリンクを付けたりするケースはよくある。しかし、サイト側は少しでも違反のリスクがあるものは削除しようとするため、ユーザーとトラブルになるケースも少なくない。


 取り締まりを避けるために自らブログの掲示物を削除するユーザーも増えてきた。韓国の「2ちゃんねる」にあたる掲示板「DCinside」では、掲示物が大量に削除されている。今では著作権法とは関係なく、ネットに何かを書き込んだり投稿したりすること自体を恐れるようなムードも出てきた。



■抗議のために国会議員の違反を告発


 こうしたなか、動画投稿サイトのヘビーユーザーやマスコミ並みに影響力を持つパワーブロガー(アルファブロガー)が中心となり、抗議の動きも起こり始めた。


 ブロガーらは国会議員のブログをターゲットにし、著作権侵害を見つけて攻撃している。出典を明記せず他のブログからコピーしてきた文章や、著作権者の許諾なく利用している風景写真などを次々に告発し、「法律を作る人間すら守っていないのに、一般ユーザーだけを厳しく取り締まっている」と批判している。


 ポータルサイト「NAVER」では、5歳の子供が歌謡曲を約53秒歌った動画を巡り訴訟が起きた。NAVERは韓国音楽著作権者協会からの削除要請を受けて、この動画を外部ユーザーが視聴できないようにしたが、投稿したブロガーは「娘が歌う姿があまりにもかわいいのでブログに載せただけだ」として、市民団体とともにフェアユースの範囲を明確にするよう訴えた。


 こうした背景には、3アウト制度の取り締まり基準があいまいな実態がある。政府は「非営利目的のパロディーや引用は許容される」としているが、グーグルの「アドセンス」やアフィリエイト広告を使っているブログは営利目的なのか非営利目的なのかなどは必ずしも明確ではない。サイト運営会社も「ケースバイケースで著作権者に確認するしかない」とするだけだ。



■ネットの健全化へ課題山積


 ネット上の著作権侵害が減れば、コンテンツの生産・流通やネットサービスの健全な発展につながるのは間違いないが、そうなるためにはまだ課題が残っている。フェアユースの範囲、引用やパロディーと著作権侵害の線引き、3アウト制度により営業停止された掲示板を合法的に利用していた他のユーザーの権利保護など、さまざまな問題をこれから一つずつ解決していかなくてはならない。


 著作権を守るのは当たり前のことだが、ユーザーを萎縮させてネットから遠ざけては元も子もない。韓国のネットが「ガラパゴス」にならないよう、だれにでも理解できる基準を提示しながら取り締まりを透明化していくことが求められている。

– 趙 章恩  

NIKKEI NET  
インターネット:連載・コラム  
[2009年9月30日]
Original Source (NIKKEI NET)
http://it.nikkei.co.jp/internet/column/korea.aspx?n=MMIT13000029092009

ついにiPhoneの販売を認可、その狙いは?

ソウル市内ではWibro携帯またはスマートフォンと無線LANを利用してSkypeにアクセスし、料金の安いモバイルVoIPを利用したり、ノートパソコンを持ち歩かずスマートフォンでメールやファイルを確認したりする人をよく見かけるようになった。有線ブロードバンドに集中していたネットサービスも、この秋からは一斉に「スマートフォン」をテーマに動き出している。

 韓国政府が力を入れているモバイルインターネット活性化戦略は、まずもっともユーザーの不満の大きい、モバイルインターネット利用料金から手を入れようとしている。そのために選んだ競争戦略の一つがiPhoneの韓国内発売である。iPhoneがヒットすれば、スマートフォン向けサービスも活性化され、自然とモバイルインターネット料金値下げ競争につながるため、さらにモバイルインターネット利用者が増加すると見ているのだ。


 韓国でiPhoneが発売されなかった理由の一つはWIPIという韓国だけのミドルウェアを全ての携帯電話に搭載しなくてはならないという規定問題。これは2009年の4月に解決された。


 その次は位置情報法の適用問題。放送通信委員会はiPhoneを韓国で発売するには、アップルが位置情報事業者として許可を受けなくてはならないとした。紛失端末探しやマップなど位置情報を収集してサービスを提供する場合は、プライバシー保護と個人情報に関する法的責任所在を明確にするため、放送通信委員会より許可を受けなければならない。これも2009年9月に解決した。


 iPhoneを発売するKTが位置情報事業者及び位置基盤サービス事業者として認可を受けているので、iPhoneの位置情報サービスをKTのサービスとして約款に含める場合、アップルは許可を受けなくても位置情報サービスを提供できると判断した。KTが責任を取ることで、個人を識別できない方向案内や地図サービスはiPhoneから利用できるようになった。その代わり、個人情報を必要とする紛失端末探し(Find my iPhone)サービスは韓国で提供されない。


 放送通信委員会はこれから、個人のプライバシーを侵害する恐れがないサービスに対しては規制を緩和する方針である。位置情報法も改定し、個人を識別できない位置情報を収集する場合は事業者許可対象から除外する。


 海外企業の韓国進出を妨げ、モバイルインターネットサービスを井の中の蛙にさせていた各種規制がiPhoneをきっかけに一つ一つ解決され始めている。2008年から「今度こそは大丈夫」「春には発売される」「夏には発売される」と期待を集めてきたiPhone。紆余曲折の末に、やっと韓国でもiPhoneが利用できるようになったのだ。


 韓国のiPhoneは、電話・ブロードバンドサービスの最大手でもあるKTより発売される。KTは移動通信キャリアで子会社のKTFと2009年6月に合併している。移動通信キャリア最大手のSKテレコムもiPhoneを逃すまいと交渉を進めている。


 これからはキャリアとアップルの交渉次第であるが、あまりにも韓国のキャリアが熱心なため、アップルが無理な要求を次々に投げかけていて、その負担は結局ユーザーに回るという報道もあった。


 KTの場合、11月に発売を予定していて、端末価格はKTがユーザーに端末購入補助金を支払う形で「iPhone 3G」が12万~13万ウォン(約1万円前後)、「iPhone 3GS」が24万ウォン(約1万8000円)と、サムスン電子やLG電子のスマートフォンに比べ3分の1ほどの値段を予定している。米国や日本と同じくモバイルインターネット使い放題料金制が適用され、2年縛りを条件に安く買えるようになるが、iPhoneの端末価格は韓国の携帯電話市場に大きな影響を与えること間違いない。


 月々の支払額は、KTの場合2年縛りで月4万~5万ウォン(約3000~4000円)の料金を予定している。KTの携帯電話ARPUが平均3万2000ウォンなので、これよりは1万ウォン以上高くなる。KTはiPhoneに限らず、スマートフォン向けの料金制度を新しく導入し、モバイルインターネットの活性化を促進していくとしている。


 ユーザーの間では激安料金(月約750円)で勝負しているシェア最下位のキャリアであるLGテレコムのモバイルインターネット使い放題料金制度が好評である。高くても話題性のあるiPhoneを使うか、実利を選ぶか。新しい物好きで自慢したがりの国民性からすると、iPhoneがヒットすること間違いないように見える。

(趙 章恩=ITジャーナリスト)

日経パソコン
2009年9月25日

-Original column
http://pc.nikkeibp.co.jp/article/column/20090925/1018898/