電子ブック市場の救世主となるか、サムスン電子と最大手書店がタイアップ

韓国に電子ブックが登場して早くも10年が経った。その間、元祖電子ブックサイトは利用者がなく倒産し、電子ブックリーダー機も中小企業から発売された1機種だけ。自治体の電子図書館の一環としてパソコンから利用する電子ブックサイトや携帯電話向けの小説・漫画コンテンツサービスとして、いくつかは生き残ったところはあるが、利用者は当初の期待に及ばない。

 何よりも利用方法が不便であった。パソコンから電子ブックを見るにもサイトごとに色んな専用ビューアーをインストールさせられた。コンテンツも少なくベストセラーの電子ブック化も遅かった。


 そこへ登場したのがサムスン電子と韓国最大手書店「教保文庫」である。電子ブックに最適化された端末「SNE-50K」の発売と同時に、本より60%安い値段で2500冊の電子ブックをダウンロードできる「デジタル教保文庫」をオープンした。年末まで1万冊、毎年1000冊ずつアップデートしていく計画だ。教保文庫オンライン事業本部側は、「新製品の発売により電子ブックユーザーが増え、韓国の電子ブック市場は2006年の2100億ウォンから2010年に1兆600億ウォン、2012年には2兆3800億ウォンへ成長する見込み」だと語る。サムスン電子と教保文庫の組み合わせに刺激されたオンライン書店とリーダー機を製造する中小企業のタイアップも急速に進んでいる。




サムスン電子は、韓国最大手書店と組んで電子ブック市場を開拓していく

「パピルス」というプロジェクト名で今年3月より期待を集めたサムスン電子の電子ブックリーダー機SNE-50Kを見ると、Amazonの端末「Kindle」より、小さく安くすることを目標にしたようだ。画面の大きさはポケットサイズの5型で、厚さは9mm、重さは片手で長時間持っても苦にならない200g、メモリは専用ファイルに変換すると400冊を保存できる512MB、電子ペーパーを採用しているので外光が反射して画面が見辛いといったこともない。電力消耗も少なく、5秒ごとにページをめくったとすると4230ページまで連続利用できるという。

 電子手帳機能を備えるので、スケジューラーとして使える。ファイルをBMP形式に変えて表示する機能もある。リーダー機としては初めて専用ペンで紙に文字を書くように手書きしたメモを保存する機能がつく。だが、本を読みながら線を引いたり、付箋を貼ったりはできない。無線LAN機能がないため、パソコンに接続してコンテンツをダウンロードする必要がある点は不便。端末価格は33万9000ウォン(約2万6000円)である。端末は教保文庫のオフライン店舗またはWEBサイトから購入できる。


 サムスン電子は「電子ブック市場は、まだ初期段階なので目の前の利益よりも、先行者利益を狙っている」、「2010年には無線LAN機能を備えた、もっと便利な端末を発売する」としている。

携帯電話にもファイルビューアーや、電子ブックを読む機能はついているし、ネットブックを持ち歩きながら利用することもできるので、純粋に読書のため新しい専用端末を買う人はどれぐらいいるのだろうか。SNE-50Kは電子ブックの可読性を高めるかもしれない。しかし、専用の端末まで買って読みたいと思うほどの魅力を電子ブックに感じるわけではないので、端末の良さよりも電子ブックって何がいいの? というところから攻めないといけないかもしれない。


 アメリカでの傾向を見ると、Amazonがほとんどのベストセラーを電子ブックで販売したり、端末のKindleが80万台以上売れたり、スマートフォンから電子ブックを利用する人が増えたり、Googleが全世界の図書館の本を集めてデジタル図書館を作ったりと、紙の本より電子ブックが読まれる時代になってきたともいえる。その一方、韓国では出版社や作家らが電子ブックの流通構造がはっきりせず、精算も曖昧だった点を挙げてあまり乗り気でないところがある。


 しかし、サムスン電子が電子ブック市場に参入したというニュースは、出版業界の認識までも変えられそうだ。大手企業が参入するというのは市場性が認められたという証拠でもあるので、今までは違った流通やサービスを期待している。


 サムスン電子は、Amazonと競争するため北米市場がターゲットで、韓国をテストベッドにするため先に発売したのかもしれない。それでも、消えかけていた韓国電子ブック市場に新しい風を入れてくれたのは確かだ。機能が豊富すぎるサムスン電子の携帯電話が、リーダー機普及の足をすくう可能性もあるが、サンプルを手にした記者らの反応もよかった。電子ブック市場の未来は、意外に明るいかもしれない。

(趙 章恩=ITジャーナリスト)

日経パソコン
2009年7月30日

-Original column
http://pc.nikkeibp.co.jp/article/column/20090729/1017397/

国会大乱闘の韓国「メディア法」可決 これで何が起きるのか

全国言論労働組合のストライキ、地上波放送局MBCの番組制作中断、そして7月22日の国会大乱闘の原因となった韓国「メディア法」公布案が7月28日に議決された。これと前後して、ストライキを主導して改正反対集会を開いた言論組合の委員長が逮捕され、番組制作中断に参加したプロデューサーなど組合員に対する捜査も始まった。




国会内でもみ合う韓国の与野党議員=7月22日〔AP Photo〕



 メディア法改正案は22日、与党ハンナラ党が国会本会議で強行採決に踏み切り、賛成多数で可決された。法案に反対していた野党議員は採決を阻止しようと与党の議員と衝突し、その乱闘劇はメディアを通じ日本はもちろん世界に知れ渡った。なぜ、このような事態になってしまったのか。



■軍事政権の名残を改めるはずが・・・


 メディア法は「放送法」「新聞法」「IPTV法」のメディア関連3法の総称で、今回の改正は、(1)新聞とニュース通信社の相互兼営禁止条項を廃止する、(2)新聞社と大手企業(財閥グループ・通信会社など)による放送局への資本参加を10%まで認める、(3)新聞社と大手企業による「報道チャンネル」「総合編成チャンネル」への出資を30%まで認める――が主な内容である。これにより、メディア業界の縦割りをなくし、新規事業者と既存事業者との競争を促進することで市場や雇用を拡大するのが法改正の趣旨とされている。


 韓国では軍事政権下の1980年、「放送の公営化」を名目に放送局の統合が行われた。新聞・大手企業の放送参加は禁止され、当時の民放は全てKBSとMBCの2局に統合された。KBSは公営放送でありながらMBCの株式の7割を握る不思議な支配構造で、韓国では1991年に開局したSBSが唯一の民放である。


 李明博(イミョンバク)政権の政府・与党は、この軍事政権の名残であるメディア法の改正により、「地上波放送局を中心とするメディア市場独占をなくし、新聞社・放送局のグローバル競争力を高める」と説明する。政府は、2012年末のアナログ放送停波を特別法で明記しており、地上デジタル放送時代の競争力あるメディア企業をつくり出し、コンテンツを多様化させるために必要な改正と主張する。


 これに対し、反対する世論は、「政権と仲のいい財閥に放送を渡し、メディア業界を掌握して国民の目と耳と口を封じ込めようとしている」と批判する。野党民主党も「イミョンバク大統領寄りの新聞社に放送局を支配させようと狙っている」と依然反対しており、与野党対立の溝は深まるばかりだ。



■大きすぎる地上波放送局の影響力


 メディア法改正が韓国内でこれほど波紋をもたらした背景には、地上波放送局3社の影響力の大きさがある。


 韓国言論財団の「2008言論受容者意識調査」によると、影響を受ける媒体として地上波放送を選んだ人は57%で、新聞の8.2%、インターネットポータルサイトの21.4%を圧倒する。日本のビデオリサーチにあたるTNSメディアコリアの調査では、地上波放送の総合ニュースといえる夜9時のニュース平均視聴率はいまだに30%を超えている。


 新聞は、地下鉄駅で配布される無料新聞やインターネットの影響で自宅での購読率が激減している。インターネット新聞やブログニュースが発達した韓国だが、「地上波放送をコントロールできるものは世論をコントロールできる」とまでいわれるほどなのだ。


 そう考えると、放送市場を開放して新しい放送局をつくるべきという政府の主張も一理あるようにみえるが、韓国の歴史を振り返れば、結局は放送市場までが大手企業の利害で動かされたり、今まで以上に政府寄りの意見を放送したり事実を歪曲したりするといった懸念は抱かざるを得ない。



■MBC民営化は簡単に進まず


 では、放送局は今後どのように変わっていく可能性があるのか。


 KBSは現在、公営放送でありながら収入の6割を広告に依存している。これを「受信料8割、広告2割」にして、視聴率を意識せず質の高い番組を制作するという方針を打ち出しているが、そのために受信料を値上げするという案は視聴者に納得されないだろう。


 一方、MBCは公営放送のような株主構造でありながら広告収入に依存する民放として運営されてきた。これを変えるため、新聞社や大手企業の出資を受けて完全な民営化に踏み切ることになるといわれているが、それがストライキの原因でもあり、メディア法が改正されたからといってそう簡単にはいかないはずだ。


 今回のメディア法改正で、新聞と大手企業の参入が許可されることになった報道チャンネルとは、全放送時間の8割以上がニュースで編成されるケーブルテレビ・衛星放送向けチャンネルを指す。韓国では1993年に許可を得たYTNが唯一の報道チャンネルである。


 また総合編成チャンネルとは、ケーブルテレビ・衛星放送向けに報道、娯楽、スポーツなどどんなジャンルの番組でも放送できるチャンネルである。地上波放送の場合は放送時間が1日19時間と決まっているが、総合編成チャンネルは24時間放送が可能で、中間広告(番組の途中に入る広告)も許可されている。


 韓国では全世帯の約89%がケーブルテレビ・衛星放送を通じて地上波放送を受信している。そのため、報道チャンネルや総合編成チャンネルも地上波放送に負けない視聴世帯を抱えていることになる。新規参入が進んでチャンネルが増えれば、コンテンツ流通が拡大し、地上波放送局に牛耳られていたドラマをはじめとする番組制作や契約関係にも変化が現れるものと期待されている。



■メディア淘汰や独占加速の可能性も


 しかし、新規参入どころか、逆にメディアの淘汰や特定企業による支配の強化につながる可能性もある。韓国の放送広告は、これまですべて韓国放送広告公社という組織が審議し、各放送局に分配する仕組みがとられてきた。この公社が解散し、10年からは放送局が自ら広告を受注することになるからだ。


 テレビ広告はすでに数年前から市場環境が厳しく、新規参入でチャンネルが増えれば奪い合いはさらに激しくなる。クロスメディア広告も重視されるようになるだろう。地上波放送やIPTV、ケーブルテレビなど複数のメディアを持たない企業は広告競争で生き残れず、中小規模のケーブルチャンネルや地方民放がつぶれるのは時間の問題となる可能性が高い。


 そうなれば新規事業者の参入による市場活性化どころか、大手企業にメディア市場を差し出すことになってしまう。韓国の財閥グループはそれぞれ傘下に広告制作だけを担当する広告代理店を抱える。これが広告制作から広告営業までをカバーすることになれば、大手企業のメディアへの影響力はおのずと強くなるだろう。


 縦割りをなくせば、競争が促進して市場も雇用も拡大するとバラ色の未来を描いているが、放送、メディアというのはそうすぐに結果が出る市場ではないはずだ。地上デジタル放送への移行後も含め、この先10年、20年後のことまで見通した法改正でない限り、グローバル競争力を育てるどころか、海外メディア企業に市場を飲み込まれるだけの結果になるかもしれない。


 世界中の笑いものになった国会大乱闘までして成立させたメディア法改正であるが、一般視聴者にとっては何のメリットがあるのか。メディア市場の縦割りがなくなれば本当に雇用が増えるのか、まともな番組が増えるのか。イミョンバク大統領は、「企業への規制をなくしてビジネスフレンドリーな市場を作る」というが、国民不在のビジネスはありえない。



– 趙 章恩  

NIKKEI NET  
インターネット:連載・コラム  
[2009年7月30日]
Original Source (NIKKEI NET)
http://it.nikkei.co.jp/internet/column/korea.aspx?n=MMIT13000029072009

サムスン電子、今度はアプリストアで世界のモバイルコンテンツ市場に挑戦

「ハードウエアばかりではなく、サムスンらしいソフトウエアとアプリケーションも提供していきたい」。2009年7月、サムスン電子は世界市場向けに携帯電話向けのアプリケーション販売サイト(アプリストア)を充実させていく方針を発表した。

 2009年3月には携帯電話、MP3プレーヤー、ノートパソコンなど自社のモバイル端末サイトを「Samsung Mobile.com」として一つにまとめ、ショッピングモールやコンテンツダウンロードメニューを充実させた。いずれはコンテンツを1件ダウンロードすれば携帯電話、ノートパソコン、MP3プレーヤーで使えるようにして、他のコンテンツサイトと差別化を図りたいとしている(現在は携帯電話向け、ノートパソコン向けなどに分かれているコンテンツを一つのサイトに集めてダウンロード販売しているだけ)。




サムソン電子が展開するコンテンツ販売サイト「Samsung Mobile.com」

いつの時代にも言われ続けているが、携帯電話もハードウエア以上にソフトウエアが求められている。NOKIAやMotorolaのように携帯電話端末の製造技術だけでは収益を伸ばせないと言われている。Black BerryのRIMや、iPhoneのAppleの場合、端末販売の台数シェアが低くても、利益率ではサムスン電子やLG電子を勝っている。不況の中でも、AppleやGoogleのようにパソコンと変わらない使い方ができる携帯電話端末とソフトを熟知している会社は、このメリットを前面に打ち出してスマートフォン市場で成長し続けている。


 コンテンツの流通も大きく変化した。iPhoneが登場してから、ユーザーはキャリアよりも端末のメーカーと仲良くなり、コンテンツ流通もキャリア主導からメーカー主導のプラットフォームが勢力を拡大させている。これからのモバイル端末は、どんなコンテンツをどれだけ便利に利用させられるかで勝負がつくだろう。NOKIAやMotorola、サムスン電子がGoogleをパートナーにアンドロイド端末に積極的なのがその現れの一つ。端末そのものより端末からどんなコンテンツを利用できるのかを重視するユーザーを満足させるには、Googleを味方にするのがもっとも手っ取り早いからだ。


 韓国でモバイルコンテンツといえば、キャリアのプラットフォームを通じた公式サービスだけで、勝手サイトというものがない。iPhoneのような無線LAN機能を搭載したスマートフォンは、キャリアがデータ通信売上やコンテンツ販売に悪影響を与えるとして、嫌がられる。韓国メーカーが海外で発売している、どんなファイル形式の動画も自動変換して再生してくれる大画面携帯や大容量メモリーが使える携帯といった最新端末は、韓国国内ではスペックダウンして発売される。キャリアは長期割引、家族割引などの料金割引競争だけでも大変なのに、コンテンツ市場まで奪われてはたまらないのだろう。

サムスン電子のアプリストアも、まずはヨーロッパ向けのテストサービスとして始まった。2009年2月、まずはイギリス向けに「Samsung Applications Store」をオープンした。2009年8月末には正式サービスとする予定だが、対象地域はヨーロッパに限定される。アプリ開発者向けサイト「Samsung Mobile Innovator」と連携して、開発者個人が直にアプリを販売できるようにしている。


 サムスンのブランド認知度を利用して世界進出を狙う日本や韓国のコンテンツ会社の参加も続いている。サムスン電子の携帯電話端末の販売台数を考えると、iPhoneに負けない効果をあげられるかもしれない。それに携帯電話に限らず、サムスン電子の各種モバイル端末のユーザーにも販売できるので、マーケットは相当な規模になる。サムスンのアプリストアは韓国ではキャリアとの正面衝突を避け、今まで通り3月にオープンした「Samsung Mobile.com」にコンテンツを集める。韓国最大キャリアであるSKテレコムは2009年末APPLEのようなアプリストアをオープンする。キャリアの売上の8割が音声通話の現状からコンテンツや手数料売上を伸ばしていかないと、経営が成り立たないのだ。


 サムスン電子は「APPLEとは比べものにならないほど端末ラインアップが充実しているだけに、コンテンツを確保すればAPPLE以上に成功できるだろう」と胸を膨らませている。しかし、「コンテンツの確保」は携帯電話にインターネットがつながった10年前から言われ続けてきたこと。利用料が安くて、使い方が便利で、どんどん使ってみたくなるコンテンツを確保するのが端末製造より難しいからこそ、iPhoneの成功がニュースになるのではないだろうか。


 アプリストアを充実させたとしても、キャリアが無線LAN機能の搭載を断ったり、安いデータ通信定額制を始めてくれないと、モバイルコンテンツ市場の成長は難しい。もちろん、韓国の場合、Wibro(モバイルWiMAX)を使ったモバイルVoIP開始が予定されているため、キャリア抜きの携帯電話サービスが可能となる。しかし、ここでメーカー主導プラットフォームなのかキャリア主導なのかを争ってしまうと、コンテンツ流通の手数料の奪い合いになるだけで市場は育たない。「メーカーもキャリアも個人も共生できる『エコシステム』を作るためにアプリストアを始める」と語った初心を忘れないでほしいものだ。

(趙 章恩=ITジャーナリスト)

日経パソコン
2009年7月22日

-Original column
http://pc.nikkeibp.co.jp/article/column/20090722/1017148/

サイバーテロへの対応策、目には目をハッカーにはハッカーで?

2009年7月7日から9日にかけて、韓国の政府サイト、銀行、インターネットショッピングモール、ポータルサイトのブログやメール、保守政党と新聞サイトをターゲットにしたDDOS攻撃が発生した。

 犯人が誰なのかを把握するにはまだ時間がかかるが、世界19カ国のパソコンを感染させ攻撃に使っていたことは発表された。当たり前のことだが、パソコンを利用する人々が怪しいメールは開かない、パスワードは随時変更する、セキュリティ対策ソフトをいつも最新の状態にアップデートして、チェックも頻繁にする、という基本的なことさえ守っていれば、ゾンビーPCになることもなくDDOS攻撃に悪用されることもない。


 恥ずかしい話ではあるが、韓国情報保護振興院の2008年度調査によると、全世界のDDOS攻撃に悪用されたボット感染パソコンの8.1%が韓国に存在した。セキュリティ対策ソフトをインストールしただけで満足し、アップデートもしなければ定期的にチェックもしない無責任な使い方が問題とされている。おかげで韓国は毎日のようにあちこちのサイトがDDOS攻撃を受けている。放送通信委員会に届け出られた民間サイトをターゲットにした大規模なDDOS攻撃だけでも2007年で47件、2008年は53件に及ぶ。





アクセスできなくなった韓国最大のインターネットショッピングモール「auction」

韓国のオンラインゲーム、オンラインショッピングモール、インターネットバンキング、ポータルサイトといったインターネットサービス会社には、DDOS攻撃をされたくなかったら金を払えという脅迫電話がかかってくるという。中国のIPを経由したDOS攻撃や会員情報を盗み出そうとするハッキングは日常茶飯事なのだとか。

この6月にはオンラインゲームアイテム取引サイトへ中国から2年に渡りDDOS攻撃を繰り返して、金銭を要求していた韓国人男性が中国公安に逮捕された。アイテム取引サイトは会員が集まりネット上でゲームで使うアイテムを取引できるよう仲介し手数料をもらうので、インターネットオークションサイトと変わらない。ユーザーがサイトにアクセスできなくなるというのはお店の営業が全くできないよう妨害するのと同じ。犯人のDDOS攻撃による被害額は100億円近いという。




NAVERのメールサービスに遅延が発生していることを知らせる告知

3月にはゲームの年齢制限審査をするゲーム等級委員会のサイトが5日間続けてDDOS攻撃を受けホームページの運営を中断したことがある。ポータルサイトもDDOS攻撃によって突然数時間ほどメールやチャットを利用できなくなることがある。高校生が面白半分でDDOS攻撃プログラムをネットで購入しポータルサイトに攻撃をしかけたこともあった。DDOS攻撃は攻撃できるプログラムをネットで簡単に手に入れられるほど簡単で単純なものだけに防ぐのは難しい。

 今回のDDOS攻撃では、米政府サイトも同時に攻撃されていることや、大統領官邸や与党など政府の主なサイトが含まれているため国際的なサイバーテロとみなされている。その背後に北朝鮮のハッカーがいるのではないかともいわれた。北朝鮮の祖国平和統一委員会人は米のサイバー戦争訓練である「サイバーストーム」に韓国も参加することを北侵野望の挑発行為であると非難したことがあるからだ。

国家情報院の発表などを見ると、北朝鮮には技術偵察局といって、1998年からハッキングとサイバー戦争専門部隊があるそうだ。ハッキングの教育を受けた部隊員は2001年から中国にいながらハッキング用ソフトウエアの開発、韓国やアメリカの軍事・政府サイトにアクセスして機密資料を盗み出したり、ウイルスに感染させる任務を負かさられたり、していたのだとか。コンピューター技術大学や工科大学の卒業生の中でも優秀な人が選ばれハッカーになるという。

 北朝鮮はミサイルだけでなく、サイバー戦争の準備もしていると考えると恐ろしくなる。今ではパソコンに限らず、インターネット電話、携帯電話、IPTV、ホームネットワークなんでもハッキングの対象になる。ハッキングによる政府施設や都市機能麻痺を予防するためにもハッキングの手口を常に研究し知っておかないといけない。行政、軍事、ビジネスなど、すべてがネットワークにつながっている中、サイバー戦争ほど経済的で破壊力が大きい攻撃もない。中国、アメリカもサイバー戦争の備えるための司令部を設置している。韓国もこのような同時多発攻撃に対応できる司令部があれば、慌てずもっとスマートに対応できたかもしれない。


 韓国国防部は今回のDDOS攻撃が発生する前から、各軍から専門家を集めて2009年1月「サイバー司令部」を設立し、2012年までに完全な体制にする計画を立てていたが、一歩遅かった。軍の発表によると、ハッキング用のウイルスが仕込まれたメールを送信したり、直接的にハッキングを試したりと、韓国軍に対して毎日平均9万5000件もの攻撃が感知されているという。


 攻撃を防げそうにないなら逃げるのも方法の一つ。韓国はもちろん、世界各国で通信、交通、金融、電力など重要な社会システムを守るために、インターネットとは別の高度なセキュリティを保ったネットワーク開発が進められている。悲観的すぎるかもしれないが、インターネットとは区別された安心できるネットワークがあるといいけど、使い方が今のままじゃ汚染されるのは時間の問題じゃないかな。自然環境をきれいに保つエコがブームになっているように、インターネットを使う環境もきれいにするブームが起きてくれるといいのだが。

(趙 章恩=ITジャーナリスト)

日経パソコン
2009年7月15日

-Original column
http://pc.nikkeibp.co.jp/article/column/20090715/1016980/

サイバー攻撃で死角突かれた韓国政府 本物の攻撃はこれからか

7月7日から9日にかけて、韓国の大統領府や大手銀行などの主要サイトが襲われた「DDoS(分散サービス妨害)」攻撃事件。韓国では情報セキュリティー体制やサイバーテロ対策を年々強化していたが、この事件でそのもろさが図らずも露呈するかたちになった。(趙章恩)

 今回の事件では、国防部や国会、国家情報院、電子政府などの政府機関のほか、インターネットオークションなどの有名サイトも攻撃を受けた。ウイルスで乗っ取られた「ゾンビパソコン」は世界19カ国にまたがり、韓国と米国の複数サイトが同時多発的に狙われた。これだけの規模のDDoS攻撃は例がなく、犯人の姿はいまだに見えない。危機が去ったわけではない。




メールサービスの障害による緊急点検を告知するポータルサイト「NAVER」の画面

もっとも大半のネットユーザーは、ニュースで知るまでDDoS攻撃があったことにも気付かなかった。オークションサイトやポータルサイトのメールサービスなどを使っていて、「つながるのが遅いな」という程度の影響だったからだ。

 政府サイトも内部システムに影響はなく、攻撃を受けたのが午後6時以降だったこともあり、大きな問題は起きていない。企業はサブアドレスに迂回させる方法でサイトにアクセスできなくなる事態を防いだ。ソンビになったパソコン1300台ほどはハードディスクが自動破壊される被害を受けたが、データ流出などのトラブルはなかった。


 しかし、韓国はインターネット先進国を自負し、今はIT関連輸出の好調に支えられている。その国のイメージに傷をつけられたことがなににも勝る損失といえるだろう。




■あわてふためいた韓国政府


 韓国にとって今回の事件が衝撃的だったのは、DDoS攻撃やサイバーテロの危険そのものではない。問題は政府の対応にあった。既に米国で4日からDDoS攻撃の動きがあったにもかかわらず、7日午後6時に総攻撃が始まってからようやく注意報を発令し、あわててワクチンを配布するなど大騒ぎになった。


 李明博大統領は2008年2月、それまでIT政策を担当していた情報通信部を解散させた。IT産業そのものを育てる時代は終わり、ITと全産業が融合する時代になったという判断からだ。


 情報セキュリティー対策についても、政策全般は放送通信委員会と韓国情報保護振興院、政府機関のセキュリティーは行政安全部と国家情報院、セキュリティー産業支援は知識経済部、セキュリティー犯罪は軍と警察というように、省庁ごとに分けられた。その結果、今回のように政府や民間のサイトが同時攻撃を受けた場合に司令塔となる組織が不在となり、発表内容もばらばら、対策も右往左往という事態を招いた。


 さらに、国家情報院ははっきりした証拠を示すこともなく「DDoS攻撃の背後には北朝鮮のハッカー部隊がいる」などと発言した。北朝鮮との関係が悪化するばかりであり、とても危険な対応としか言いようがない。





国防部のサイトはアクセスできない状態が続いた


■6月に大規模な訓練をしたばかり


 韓国では03年1月に、DDoS攻撃により全国でインターネットが40分近く使えなくなる事件が起きた。当時はインターネット・サービス・プロバイダー(ISP)がWindowsサーバーのアップデートやセキュリティーチェックを疎かにしていたために発生した問題だった。これは「インターネット大乱」とも呼ばれたが、初歩的な攻撃手段であるDDoSぐらいでダウンするほど無防備な体制を反省し、官民が一体でセキュリティー強化を図るきっかけになった。


 その取り組みは今も続いている。08年10月にはハンナラ党が「国家サイバー危機管理法案」を国会に提出した。これは公共機関、地方自治体やセキュリティー関連研究所をサイバー危機責任機関に指定して、サイバー攻撃対応体制を整えることを義務付ける内容である。


 DDoS攻撃についても年々発生件数が増えていることから、09年4月に官民40機関からなる「DDoS対応協議会」を発足したばかりだった。事業者間の情報共有によりDDoS攻撃対応能力を向上させ、政府へ意見を提出できる窓口を作るための協議会である。


 今年5月には全国16都市で「サイバー侵害対応センター」が稼働した。6月には国家情報院、国防部、放送通信委員会が参加する「2009サイバー危機対応統合訓練」が5日間の日程で行われたばかり。国防部は「国防改革2020」の一環として国家的サイバー攻撃に対応するために、400~500人規模の「情報保護(サイバー)司令部」の創設を準備していた。




■「予行演習か」専門家が警告


 08年末から現在にかけてだけでも、これだけセキュリティー強化の取り組みを進めている。DDoS攻撃の犯人は、まるで韓国政府の対応を試すかのように攻撃をしかけた。そのため、セキュリティー専門家らは、「本格攻撃のための予行演習ではないか」「DDoSはおとりで、他の重要なデータがハッキングされているのではないか」など、攻撃が止んだあとも警戒すべきと指摘している。


 行政安全部の調査によると、省庁や政府機関605カ所のうち67.5%ではセキュリティー担当者が1人もいないという。そのため、情報セキュリティー関係の政府予算引き上げを求める声も上がっている。


 今回の事件をきっかけに、韓国政府は「国家サイバー危機管理法案」の修正やサイバーテロに一元的に対応するコントロールタワーの設置に動き始めた。省庁ごとにばらばらの対応で混乱を招いたことを反面教師とし、省庁ごとの機能をコーディネートする司令部をつくるという。DDoS攻撃を感知できる装備の購入のため特別予算200億ウォンを使うことも決めた。


 しかしDDoS攻撃を完全に防ぐことはできない。官民が一致団結して瞬時に対応するためのマニュアルを整備し、それを実行できるよう訓練を重ねるほかない。一般個人も自分のパソコンがゾンビ化されないようセキュリティー意識をさらに高める必要がある。これが何より一番難しいのだが……。





 


– 趙 章恩  

NIKKEI NET  
インターネット:連載・コラム  
[2009年7月15日]
Original Source (NIKKEI NET)

http://it.nikkei.co.jp/internet/column/korea.aspx?n=MMIT13000015072009

モバイルWiMAX、日本ならではのキラーサービスに期待

高速無線データ通信「モバイルWiMAX」の商用サービスが日本でも7月1日に始まった。一足早く商用化した韓国と同様、「速くて低料金」がうたい文句のようだが、それだけでユーザーを振り向かせることができるのだろうか。

 WiMAXは時速120キロメートル以上で移動しながら、下り最大40Mbps以上の高速データ通信が可能なモバイルブロードバンドの新規格だ。日本では、KDDI系のUQコミュニケーションズがサービスを開始し、パソコンメーカー各社が対応端末を準備している。



■WiMAXならではの役割は?


 しかし、日本は世界のケータイ先進国であり、いまではパソコンより携帯電話からインターネットにアクセスするユーザーの方が多いほど、モバイルインターネットが普及している。携帯電話のパケット定額料金も安く、全国どこでも使えるほどカバー率も高い。これほどモバイル環境の整った国でわざわざWiMAXにまで加入するどれだけの理由があるのだろうか。


 モバイルでネットを使う目的は、せいぜいメールやちょっとした検索、それに漫画や動画を見るぐらいというユーザーが大半だろう。WiMAXだけで用が足りるならともかく、パケット定額や有線ブロードバンドも使うとなれば料金もかさむ。結局、WiMAXならではの役割は何なのか、という疑問に行き着いてしまう。


 韓国版モバイルWiMAXである「Wibro」の普及が遅れているのも、そこを間違えたからかもしれない。サービス開始の際、「インターネットが使える」というところにフォーカスを当てすぎ、逆にWibroの価値が埋もれてしまった。



■なぜ韓国で普及しないのか


 韓国では、通信大手のKTが2006年にWibroを商用化した。しかし、加入者は08年末時点でまだ20万件。予測よりも普及ペースが上がらなかったことで設備投資が滞り、カバー率が低いからユーザーが増えないというジレンマに陥っている。加入者が伸びなかったのは、Wibroがなくてもだれもそれほど困らなかったからだ。


 韓国は1998年からxDSLが一気に普及し、パソコン中心のインターネット環境が定着した。携帯ではeメールではなくショートメッセージ(SMS)を使うのが一般的で、ウェブメールのチェックやちょっとした検索なら、全国の郵便局や市役所、区役所、地下鉄駅構内にある無料パソコンを利用する。携帯電話キャリアの売上高を見ても、音声通話とSMSが85~95%を占めるほどで、モバイルインターネットの文化が育たなかった。


 当時の韓国のモバイルインターネットは、「高速道路を走る人力車」などと表現されたものだ。インフラは整っているのに、使う人はいない。使えるコンテンツやサービスもあまりなかったからだ。それを解消するために登場したのがWibroのはずだった。


 価格も安く設定され、当初のキャンペーン料金は日本円で月1000円程度。09年7月現在は月額約2300円で、さらにKTのバンドル割引を利用すれば、毎月約3500円で有線ブロードバンド(VDSL)、Wibro、無線LANの3つのネットワークが使い放題になる。Wibroは家族3人まで同時に使える。


 しかし、普及は思うようにいかなかった。そもそもモバイルインターネットを利用しなくても何の不便もない韓国のユーザーにとっては、パケット定額すら無駄な出費だった。「速くて安い」だけのWibroでは受け入れられず、KTはWibro専用のコンテンツやサービスを提供したり、動画投稿型オーディションを開催したりと、試行錯誤を繰り返した。





WCDMAとWibroのデータ通信を利用できるデュアル端末


■百聞は一見に如かず


 ようやくWibroにスポットが当ったのは、08年5月に米牛肉の輸入反対運動が反政府デモへと広がったときだった。インターネット新聞の市民記者やブロガー記者らは、集会の現場を生中継したり、街中の様子を動画で撮って次々と配信したりした。


 彼らが使っていたのがWibroだった。ソウルで取材をする記者は3~4年ほど前から、経費節約のため1人で取材から写真、動画までをこなしており、現場からできるだけ早く送信するためにWibroを活用している。それをみたネットユーザーが、「Wibroはこんなことができるんだ!」と驚いた。いままではいくら「高速で移動しながらブロードバンドが使えます」と宣伝してもピンとこなかったネットユーザーだが、百聞は一見に如かずということだろうか。


 もちろん、それだけでユーザーが急に増えることにはなっていないが、Wibroへの注目度は再び高まろうとしている。韓国政府は今年に入り、Wibroをデータ通信の補助手段ではなく第4世代携帯(4G)として位置づけ、Wibroを使ったモバイルVoIPを導入する方針を打ち出した。


 Wibroが使える携帯端末に電話番号を与えて音声通話をできるようにするというもので、09年末か10年初めにはKTがWibroのモバイルVoIP端末を発売する見通しだ。Wibro端末から電話、インターネット、IPTVなどあらゆるインターネットサービスを利用できて、バンドル割引で費用も安くなる。モバイルVoIPは携帯電話の音声通話の3分の1ほどの料金を目安にしている。





■課題はインフラ投資


 韓国の携帯電話市場はキャリア3社でシェアが固定しており、韓国政府にはWibro音声通話という「第4のキャリア」で競争を活性化させようという狙いもある。さらにモバイル電子政府や大都市を中心にしたユビキタス都市設計のインフラとしてWibroを活用する計画も動き出した。


 ただ、こうした計画の実現には当然、膨大なインフラ投資が必要になる。KTは08年までにWibroの基地局整備のために約2000億円以上を投資したが、売上高はとてもそれに追いつかない。全国をカバーするためにはまだ約1700億円以上の投資が必要とされ、つい先ごろは政府に対してインフラ投資の肩代わりを求める提案をしたほどだ。


 KTやSKテレコムは次世代携帯としてWibroとの競合が予想されるLTEの導入を発表している。どちらの技術が主流になっても大丈夫なように保険をかける狙いではあるが、1社が2つの次世代ネットワークを全国でサービスするなど、とても投資が続かないだろう。


 Wibroは韓国が国際規格の策定で主導的役割を果たした「韓国産世界標準」である。できれば、Wibro普及を一刻も早く実現して世界のベンチマークとなりたいところだが、まだその道筋ははっきり見えてこない。


 だからこそなおさら、日本がWiMAXでどのような市場をつくろうとしているのか、WiMAXの何に期待しているのかが気になる。期待がなければ普及はしない。モバイル先進国の日本らしいアイデアで、WiMAXへの期待をもっと高めてくれるといいのだが。


– 趙 章恩  

NIKKEI NET  
インターネット:連載・コラム  
[2009年7月14日]
Original Source (NIKKEI NET)
http://it.nikkei.co.jp/internet/column/korea.aspx?n=MMIT13000013072009

ついに韓国でもiPhoneが発売に、モバイル市場を変える起爆剤となるか

韓国でもついに「iPhone」が発売されることになった。iPhone 3GSは市場シェア2位のキャリアKTが8月に発売を予定している(2009年6月にKTとKTFが合併して新生KTになった)。当初は7月に旧モデルのiPhoneを発売して、9月から3GSを発売するという話もあったが、3GSの8月発売にほぼ決まったようだ。端末価格は99米ドルを基準に決める模様。人気の高いサムスン電子スマートフォンの韓国内発売価格に比べてたったの8分の1程度なので、画期的な安さといえる。

 日本ではシェア3位のソフトバンクモバイルが発売しているiPhone。韓国ではキャリアとしては2位だけど、ブロードバンドや固定電話を含めると圧倒的1位である元国営のKTから発売される。KTはiPhoneを独占発売するため、長期にわたりAppleと交渉を続けてきた。


 しかし、APPLE側は韓国シェア1位(50.5%)のキャリアSKテレコムからも発売したいとして独占販売を拒否したという。もちろん、iPhone 3Gからは1国家1キャリアではなく、世界で複数のキャリアと契約しているので、韓国でも同じように複数のキャリアから出したいところだろう。


 iPhoneが狙っているシェア1位のSKテレコムは、既に自社のモバイルアプリケーション販売サイトの計画を発表している。グーグルのアンドロイド携帯と提携してアプリ販売サイトを育てるという戦略であるため、iPhoneそのものに興味があるけど、iPhoneユーザーが増えて自社のサイトではなくAPPLEのApp Storeを利用されてしまっては困る、というのが本音のようだ。SKテレコムは「KTがiPhoneを発売するならうちも発売するが、無理したくはない」と余裕の反応を示している。


 韓国は2008年3月から補助金制度が解禁となり、新規加入の場合は端末を半額以下で購入できるようになった。0ウォン端末も競争的に売り出されている。ナンバーポータビリティ(MNP)の利用も活発で、毎月携帯電話加入者の3~4%にあたる115万~120万人ほどがMNPを利用しているほど、新規加入を繰り返して次々に最新端末を安い値段でゲットするユーザーが増えている。

MNP競争で生き残るためには、端末のラインアップを充実させる必要がある。サービスや料金はどんなにアピールしても似たり寄ったりなので差別化が難しい。キャリアを変更したくなるほど、魅力的な端末は重要である。SKテレコムはシェア1位らしく、もっとも人気のあるサムスン電子の最新端末を優先的に発売している。さらにソニーエリクソンやHTC、ブッラクベリーのスマートフォンも独占販売している。それに比べKTはブロードバンドやIPTVと一緒に加入すると料金を割引をするという競争はしているものの、キャリアのシェアの差は縮まらない。KTとしてはなんとしても他のキャリアからユーザーを奪いたいので、iPhoneの独占販売は譲れない。


 韓国では2009年3月まで、国策で開発したモバイルインターネットのミドルウェア「WIPI」を搭載していない携帯電話端末は販売できなくしていた。iPhoneをはじめ海外メーカーにとっては、仕様を変えないといけない負担があるため端末販売をためらっていた。WIPIは韓国の携帯電話端末市場を自然に鎖国状態にしていた。


 2009年4月からソニーエリクソンをはじめ海外メーカーの端末がどんどん発売されるようにはなったが、端末に不具合があったりして、やはりスマートフォンよりは普通の韓国製携帯電話が使いやすい状況だった。端末のラインアップは増えたものの、ユーザーの立場からすればほしいと思う端末はない。しかしiPhoneとなれば話は別だ。無料で使えるアプリが豊富で、使って楽しい携帯というイメージがあるからだ。


 iPhoneがついに発売されると報道されてから、待っていましたとばかりに、ソフトウエア会社やモバイルコンテンツ会社が次々にApp Store向け戦略を発表している。モバイルコンテンツ業界も活気が出そうだ。


 KTは無線LANやWibro(モバイルWiMAX)といったモバイル用のインフラが充実しているだけに、iPhoneからパケット定額より安く、移動しながら高速インターネットが使えるようにもできる。韓国でもパソコンより携帯電話からネットにアクセスする人の方が増えるかもしれない。



(趙 章恩=ITジャーナリスト)

日経パソコン
2009年7月8日

-Original column
http://pc.nikkeibp.co.jp/article/column/20090708/1016769/

韓国の秋葉原「竜山」華麗な変身 「楽しめる最先端デジタル街」へ(2004年11月1日 掲載)

【ソウル日本秋葉原でも街並みを変貌させる大型工事いているが、一足先代表する気街竜山」がまれわった。


 高速鉄道KTX開通わせた38のリニュアル工事え、108国鉄竜山駅には「スペ9」という271600平方トルのショッピングモルが誕生し、総合ディスカウントショップ、家電、ゲム、ファッション、レストラン、画館まで一通駅構内えられた。


 


 「スペ9」は、200212にオプンした画館PS2三星電子のショム、バンダイショップのある電化製品ショッピングモル「電子ランド」とび、竜山薄暗しげな気街から「って、て、べて、べる」へと変身させた。


 


 京都福岡のキャナルシティをモデルにした「スペ9」には、3から8まで1800家電、パソコン、モバイル関係売店入居し、ネットショッピングにわれた気街のプライドをそうと気込んでいる。


 


 既存電気街だけで4000えるため、しくなるのは当然だが、主婦いジャスコのような総合ディスカウントショップ「EMART(イト)」がソウル中心部めて大型店えたのと、KTX利用すれば地方からも12時間交通要所であるため、流動人口々増えることはか。米軍ゴルフでセントラルパクをイメジした市民公園もオプンし、家族竜山れるえている。


 


 竜山にはまだ70万平方トルほど発地されているため、これがてではない。てパソコンや不法コピCD旅行客んだ日本製家電売買のイメジを払拭し、竜山はアジア最高の「しめる最先端デジタル」を目指している。趙章恩


 


 BCN This Week 2004111 vol.1062 掲載Link


 


 


 


 

韓国IT最新事情 個人情報漏えいが深刻化(2004年11月1日 掲載)

過度住民登録番号利用一因


 


 


 


【ソウル】すべてをなインタネット中心にしようとしすぎてしまい、ではネットでの個人情報漏えいが深刻状況っている。ウイルスやシステムの問題ではなく、ウェブ管理者個人情報ろうとする意識がほとんどないというところが問題だ。


 


 個人情報いについて、民間企業はまだそれなりにをつけているだが、公社公共機場合社員名簿入社試験合格者氏名から住民登録番号住所帯番号学歴写真までサイトの掲示板保護措置もなく掲載したり、ウェブサにファイルを放置したまま検索エンジンにひっかかってもづかなかったり、個人情報慎重わないところがい。


 


 国情報保護振興院する個人情報侵害届出センタ1336」に電話しても、サイトの当者削除するよう警告するだけで、それによる被害についてはどこも相談ってくれないというのがだ。個人識別番である住民登録番号盗用され被害にあったとしても、その掲示板原因であったと証明するのはしい。


 


 ではネットの会員登録金融帯電話など、どんなきにも住民登録番号対必要である。これを盗用され、「かが勝手ったクレジットカドと帯電話10万円請求書かした」というをよくく。犯人まるまで、会社側金融タベスから住民登録番号本人住所し、請求てをめないので、盗用された個人経済的心理的負担深刻なものである。


 


 個人情報保護関連法律は、「公共機個人情報保護する法律」(行政自治部)、(民間の)「情報通信網利用促進及情報保護などにする法律」(情報通信省)、「信用情報利用及保護する法律」(金融監督院)の3つにかれ、管轄なる。


 


 これを改善しようと、独立した個人情報監督機構設立による行政自治部情報通信部業務分担関連機関再編中心にした個人情報保護基本法制定推進されている。しかし、1つの監督機構責任ってれるようにするべきとの意見く、基本法がスムズに制定されるかどうかは未知である。


 


 また、市民団体個人情報流出による団訴訟制度導入40年以上放置されたままの住民登録法にでも住民登録番号要求すること自体改善すべきであると主張している。


 


 「国民総背番号制」により、利用料帯電話料金合算請求する「小額決」が活性化され、コンテンツの有料化成功したともわれているが、依存しすぎる国民管理個人情報大切さをらない公務員意識改善されないり、ネットの個人情報漏れはくだろう。これはだけの問題ではないはずだ。(趙章恩(チョウチャンウン=ITジャナリスト))


 


BCN This Week 2004111 vol.1062 掲載Link 


 

韓国型ニューディール計画発表 IT分野に10兆ウォン規模の投資(2004年11月15日 掲載)

【ソウル内需低迷くなか、では統計史上初めてサビス業種もマイナス成長となった。なしの不況対策たなくてはならないと、国政府気活性化会間接資本SOC)とIT分野10ウォン(1兆円規模投資事業する「総合投資計画」を来年下半期から本格施行すると発表した。


 これは「国型ニュディル」といわれ、12にも具体的移行計まるが、核心部門としてまずIT集中投資する。財政政府予算早期執行基金公企業・民間企業国資本など最大限財源活用する。


 


 陳大濟・情報通信部長官は、「総合投資計画」とはに、①国家災難管理システムの高度化2007まで2万人雇用創出8000ウォンの生産誘発效果)、②テレマティックス活性化全自動車60%普及09まで7万人雇用創出)、国家DB拡充及びネットワ、④疎外階層学校などにパソコン普及疎外階層100万台5万台普及小中高校いパソコン10万台え)、デジタルマルチメディア放送DMB)サビス拡大──などを骨子とする2ウォン規模の「ITニュディ」を発表した。



 


 このにも産業資源部は、部品素材産業育成特許紛争解消のための特許支援センター設立中小企業技術開サポト、新再生エネルギー事業拍車をかけるため、71859ウォンを投資する法案発表した。


 


 一方学技術部は、理工学部有名研究中心集中育成させ、世界超一流発展させるというっている。三星電子やベンチャー企業など業界では、「公共事業をベスに2IT可能性い」と期待せない。


 


 陳長官は、「IT分野需要創出気回復産業活性化はもちろんIMF経済危機克服きくしたベンチャムをもう一度こしてみせる」と強調した。


 


総合投資計画」により、まで庁別推進されてきたIT産業育成法案政府次元推進され、庁間利害葛藤規制によりれていた企業都市建設衛星DMB事業放送通信融合などIT業界懸案解決されるみである。


趙章恩(チョウチャンウン=ITジャナリスト)


 


 BCN This Week 20041115 vol.1064 掲載]  Link