サムスン電子の究極の青田刈り [2006年11月21日]

2007年から韓国の私立大学2校に携帯電話学科が新設される。サムスン電子は96年からサムスンが財団になっている「成均館(ソンギュングァン)大学」と提携し、2007年1学期から水源(スウォン)キャンパスで携帯電話学科大学院を設立運営することにした。毎年修士課程40人、博士課程12 人を募集する。7~11月行われた選考では1次12人募集に99人、2次28人募集に266人が志願し、9.1の倍率となった。他の学科に比べ5倍近い競争率となった。

合格すれば授業料免除、生活補助、卒業後の就職も保証


 ものすごい競争率の秘密はサムスン電子の破格な優遇にある。合格さえすれば授業料全額免除、毎月100万ウォン以上の生活補助費が支給され、卒業すればあの憧れのサムスン電子情報通信総括に入社、携帯電話関連研究開発(R&D)の業務を任されることになる。サムスン電子は大卒新規採用の給料が高いことでも有名で、キャリアのSKテレコムと並び、最も入社したい企業の1、2位を争っている。サムスン電子の携帯電話は「Anycall」というブランドで販売されている。8月には世界で初めて4Gを発表するなど、技術開発力を強化している。韓国国内では、高品質高価格路線が成功し、他の携帯より2倍はする値段にもかかわらずシェア1位をキープしている。中国でもAnycall携帯が富裕層のステータスのようになっていて、コピー携帯もかなり出回っているそうだ。


 これだけの待遇だからやはり入学試験はサムスン入社試験よりも難しかったらしい。書類審査、教授面接、サムスン職務能力試験(SSAT)、サムスン電子面接の 4つの関門を突破しなくてはならないが、特に面接とSSATは新入社員面接と同じレベルで、大学での成績がオールAで、TOEICで満点を取った人も落ちたほどだ。


 携帯電話学科は、Human Interface、Connectivity、Embedded Software、Mobile Platform、Mobile Healthの5つの研究グループで構成される。チェ・ヒョンジン携帯電話学科長は「部品の製造方法ではなく、どのような組み合わせで最高の携帯電話を作れるのかというシステム技術を研究する大学院。研究だけに没頭できるようサムスンも学校も支援を惜しまないつもりなので、その分携帯電話狂いともいえるレベルの高い学生が集まってほしい」と述べた。サムスン電子のシニア研究員や役員も各研究グループ別共同指導教授として参加し、選考から論文選定、審査、進学、就業指導を担当する。カリキュラムの詳細な運営などすべてをサムスン電子と大学側が協議して決めることになる。また学生らは在学中からサムスン電子のプロジェクトを遂行することからも、現場と大学教育の距離を幾分縮められるのではないかと期待されている。


 韓国でも学科名から「携帯電話学科」と名前がついたのはこれが初めて。去年246億ドルの輸出を記録した携帯電話は韓国全輸出の8.6%、IT関連輸出の22%以上を占める主力産業だが、今まで専門の人材を育成する大学はなく、電気・電子、電算、機械、コンピューター専攻など多様な分野から採用してから時間と費用をかけて再教育しなければならなかった。


会社の機密資料も教材に


 サムスン電子と成均館大はサムスンが財団になった96年、半導体システム工学科を新設している。博士クラスの研究員が講義に参加し、即戦力のある人材養成に力を入れ、画期的な産学協同カリキュラムと評価されてきた。会社の機密資料が教材として利用され、3年生からは現場実習もする。卒業後はサムスン電子入社が保証され、授業料、教材費全額と生活費が支援された優遇策は韓国では初めて。その魅力に引かれて、全国から秀才が集まり、合学者一人一人がマスコミに紹介されたほどだった。成均館大は「企業に牛耳られるみっともないサムスン大学」と嫌がらせをうけたこともあったが、今ではサムスンの惜しみのない支援のおかげで全国から成績上位3%以内の優秀な学生が集まる名門大学へ成長できた。


 サムスン電子は成均館大のほか、全国の名門大学14校と情報通信トラック(Track)を組み、授業料全額支援で優秀な人材を優先的に確保している。さらに、工学部を対象に3年生までにサムスン電子が要求する教養科目と、4年生の1年間はコンピューター通信ネットワーク、コンピューター通信システムといった「情報通信トラック科目」の中から2科目以上単位を取った学生を採用で優先する。これは、年間1000人以上の学生が対象となっている。


 一方で、サムスン電子は各大学に教科課程開発費2億ウォン、機材費2億ウォンに、毎年追加で4千万ウォンずつ5年間で2億ウォン、機材交換費1億ウォン、合計5年間7億ウォン(約9000万円)を支援する。大学別成績優秀者20名には1年間1000万ウォンの奨学金を支給し、入社が保証する。サムスン電子情報通信総括は年間2000人を採用しているが、2007年からは情報通信トラックの卒業生から60%ほどを採用する計画だ。これだけの労力をかけることで、サムスン電子としては自社のニーズにぴったりあった人材を大学からオーダーメイドのように供給をうけるわけだ。


 さらに、サムスン電子は人材確保先を広げようとしている。これは次回、ご紹介しよう。

(趙 章恩=ITジャーナリスト)

日経パソコン

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http://pc.nikkeibp.co.jp/article/NPC/20061121/254329/

プロゲーマーは芸能人より人気? [2006年11月14日]

前回はプロゲーマーの徴兵問題を取り上げた。今回は、韓国におけるプロゲーマーの存在感の大きさを改めてご紹介したい。韓国のプロゲーマーは80年代に人気を集めた日本のファミコン名人とは全く違う存在だと思っていい。NYタイムズは2006年10月7日、オンラインゲームに熱狂する韓国の様子を紹介しながら、「イム・ヨファンのような有名プロゲーマーはニューヨークヤンキースのデリック・ジータのような人気者」、「韓国でStarCraftを知らないのはアメリカでプロフットボールチームのダラスカウボーイを知らないのと同じ」と報道した。(韓国ではデリック・ジータって誰?って反応だけど)

大手企業がプロゲームチームを運営


 9月現在韓国Eスポーツ協会に登録されているプロゲーマーは260人を超えている。大手企業がスポンサーとなっているプロゲームチームは11もある。三星電子は「カーン」、キャリアのSKテレコムは「T1」、KTFは「MagicNs」といったプロゲームチームを運営している。リーグ戦での優勝は企業の売上とイメージに直結する。このうち、プロチーム所属している選手は180人程度で、平均年齢23歳、年俸2億ウォン(約2500万円)は下らない。


 プロゲーマー企業の役員向けミーティングや大学で行われる特別講演の講師としても、その情熱と勝負に対する執念をテーマに話してほしいと引っ張りだこだ。デパートのチャリティーバザーでも芸能人よりプロゲーマーが特別招待されることが多く、小学生の間では医者と弁護士を追い越し、憧れの職業1位にまでなった。彼らは一日10時間以上も練習を重ね、ゲームを徹底的に研究し、パソコン用ゲームの開発にも参加している。


 プロゲーマーの人気を自治体の活気につなげようとするところも少なくない。釜山市は2004年世界大会であるStarCraft決勝戦を誘致し、 10万人の観客動員に成功した。オンラインゲーム都市というイメージも獲得できた。オンラインゲーム対戦専用競技場を設立しようとする自治体も多く、ソウル市は先月、韓国における秋葉原のような場所である竜山(ヨンサン)にオンラインゲーム競技場をオープンし、前回紹介した、プロゲーマー、イム・ヨファン選手の入隊前、最後のファンミーティング会場として公開した。


 プロゲーマー第一世代として歴史に残る人物となったイム選手は「プロゲーマーという夢を与えてくれた選手」として評価されている。「ゲーム狂いの引きこもり」、「オタク」、「社会的落伍者」といった偏見を跳ね返し、プロゲーマーの重要性を韓国のみならずアメリカ、ヨーロッパ、中国、台湾など世界に向けてアピールし、スターになった。彼の影響で所属チームのスポンサーであるSKテレコムは年間200億円(約25億円)の広告・マーケティング効果を達成しているとの分析もある。ファンクラブやキャラクター商品、出版物を入れると規模は更に倍増する。


次なるスター発掘へ


 7年間、韓国初、世界初の記録を更新し続けたイム選手は、「健康な体で軍に行ける私は幸せ者。軍を除隊して30代になってもプロゲーマーとして現役であり続けたい。大学院で勉強を続けプロチームの監督もやってみたいし、国産ゲームの開発にも携わってみたい」、「プロゲーマーほど競争が激しく自己管理が厳しい世界もない。私はゲームのために彼女と付き合うことも、大学生としての生活も諦めるしかなかった。これぞ自分が進むべき道と思った以上すべてをかけないと夢は叶えられない」とファンにメッセージを残した。


 オンラインゲーム業界では早速イム選手に次ぐスター発掘に取り掛かっているが、まだこれといった選手の名前は出て来ない。だが260人もいるプロゲーマーの中から新しいスターが誕生するのは時間の問題かもしれない。


 またStarCraft中心だったオンラインゲームのリーグ戦も韓国産ゲームであるNEXON社の「カートライダー」というレーシングゲームに広がっている。「カートライダー」はかわいいキャラクターのせいか小学生に人気のオンライン対戦ゲームなので、大会では小学校低学年の参加も目立っている。小学生がプロゲーマーなんて日も遠くないみたい。それなら徴兵問題もなく、長く選手としていられるからかえっていいかもしれない。

(趙 章恩=ITジャーナリスト)

日経パソコン

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http://pc.nikkeibp.co.jp/article/NPC/20061114/253553/

オンラインゲームではなくeスポーツ!盛り上がるのはスポーツよりゲーム観戦

添付画像G★2008をはじめ、韓のゲム展示に欠かせないイベントはやはりプロゲマの試合観戦である。オンラインゲムの対戦は、「eスポツ」として1年を通してリが行われているほどの盛り上がりようだ。


 


プロゲというと、日本ではどうしても一昔前の「高●名人」を思い出す方が多いようだが、韓のプロゲは全く趣きが違う。



違いの一つとしてまず
げられるのが、年が若いこと。10代後半から~20代前半という若さに、何故かジャニズのアイドルを連想させるようなイケメン揃い。賞金やイベントCM出演等による年俸は、弁護士に負けない億位(日本円で年1500万円ほど)、F1レのような格好いいユニフォムに身を包み、追っかけファンを抱えたまさにアイドル集なのだ。
 


 G★2008最後の日、ゲ達を熱狂させたイベントが行われた。韓で唯一の女性プロ添付画像「ソジス」と一般客が戦争シミュレションネットワクゲム「スタクラフト」で対戦できるという夢のようなイベントがそれ。彼女が行くところならどんなに遠いところでも援にけつけてくれる追っかけファンを始め、子供や女性も彼女のプレイに興味津な目を向けて観戦した。


 


対戦はガラス張りのブで行われ、周はすごいの人!人!人! 彼女を一目見ようと押すな押すなの大行列が出るほど。棋倒しが危ぶまれるまでの人だかりは、にいた客が一に集まったことによるものだ。 



 
ジスは、2002年にプロになり、STX SouLに所。グラビアアイドルのようなかわいい添付画像顔とすらっと伸びた手足で、男性ゲを虜にするプロゲである。何があってもめげずに努力するキャラとして、女性ゲにとっても憧れの存在となっている。女性の部での優勝経験はあるものの、全体のリでの優勝経験はまだなく、2軍生活も余儀なくされていた。しかしその情熱とチャレンジ精神は高く評され、2008年10月に韓女性新聞が選定した「2030女性希望リ20人」の一人にも選ばれたほど。


 


「女だから」という考えに捉われず、新しい分野を切り開いたソジスは、ミニスカトのユニフォムを着せられ、ゲというよりもかわいい女の子としてチヤホヤされることを悲しいと感じているようだ。「女性プロゲではなくプロゲと呼ばれるまでがんばる」のが面の目標だという。


 


ジスはスタクラフト部門では唯一の女性プロゲであるが、その他のゲムには女性だけのプロゲも登場している。プロゲ同士で結婚に至るケスもあるほどだ。 



添付画像 
のオンラインゲ対戦は、10月からリが始まり、5ラウンド行われる。1ラウンド を5~7週にかけて12のゲ総当たりが行われるため、選手の体力管理も重要な鍵となっている。



8月には釜山で決勝が行われる。釜山のグァンアンリ海水浴場には野外特設舞台が設けられ、2万人を超える
客が集まる。韓の高校生の間ではサッカと並ぶ人スポツとして「eスポツ」があげられるほどだ。



2007年からは「大統領杯アマチュアeスポ
ツ大」も開催されており、ここで優勝したゲは、プロゲやゲム業界にスカウトされることが多い。


 


プロリグが開催されているゲムタイトルはであるが、なかでも最も人なのはやはり「スタクラフト」。個性的な特を持つ3つの部族とえ切れないほど豊富なマップの組み合わせにより、予測がつかない術で次に敵を倒していくプロゲ達の熱いいぶりは、見ていてとても持ちよい。手の動きが見えないほど素早くマウスとキドを使って兵力をコントロルするところは、まさに神業としか思えず、一見の値ありといえるだろう。


 


そして、イベントを盛り上げてくれるのが、ゲムの況を中する解者とアナウンサの絶妙なコンビネション。これが、笑いあり驚きありの手に汗を握る観戦を視者にもたらしてくれる



特の言い回しと伝説的な名言をしている解も生まれるほどで、サッカや野球、格技を見るのとあまりわらない感だ。


 


には、24時間、オンラインゲ対戦の中門とするケブルTVチャンネルがあり、地上波放送局でも金曜日の夜はオンラインゲ対戦の名場面を紹介したり、プロゲのインタビュを放映する番組があるほど。オンラインゲムもスポツの一つとして、「eスポツ」という確固たるジャンルを構築しているのだ。


 


 


次回は知れば知るほど面白い韓のプロゲム集とプロゲ態をご紹介します!


By.趙章恩



Original report (@niftyゲム)
http://game.nifty.com/cs/column/detail/090105118805/1.htm

韓国プリンタ市場 家庭用LBPでヒットを連発(2007年1月15日 掲載)

三星が最下位からトップシェアに躍進


 




【ソウル】韓では、フォトプリントとわらない格で、コピFAX、スキャナとしても使える小型複合機が人を集めている。これまでシェアが最も低かった三星電子は、家庭用カラプリンタ(LBP)複合機でヒットを連2006年ではシェア1位にまで登りつめた。



 昨年9月に三星が
り出した「CLP-300」は、1か月で4000台以上がれた家庭用複合機。39×34.4×26.5㎝、重さ13.6 ㎏の小型で「机の上において使える、音も少なく使い方もトナ交換も超簡」と宣している。本体には電源ボタンしかなく、すべてPCにインストルしたプログラムを利用して操作するようになっている。フォトプリント機能も充していて、1枚の紙に複写真を小さく集めてプリントしたり、1枚の写真を複の紙にプリントして大きなポスタにできる機能が評されている。消耗品であるトナ1000枚ほどをプリントアウトできる量で、1色あたり4万ウォン。インクジェットに比べ、それほど高くない点を調している。


 


 三星はHPが世界最小型を発売してから2週間後、さらに小型サイズの「CLX-3160FN」を投入するほど「最小型」にこだわる。今後は、企業用プリンタ市場にも集中する計で、12月にり出した企業用A4サイズ「SCX-6345N」の印刷速度は1分43枚、面プリントも1分42枚と超高速。初心者向けのタッチパネルをつけて、最初の1枚が出力される時間を8秒から5秒に短縮した。


 


 韓IDCの調査によると、06年韓市場における小型LBP複合機の市場規模は約2500台、前年比54%の成長だ。07年は4000台、2010年には約1万台にまで急成長する見みで、三星電子のほかにEPSON、HP、キヤノンコリアの競が過熱している。韓HPは大手企業には統合出力管理サビスを展開、SOHOや中小企業には安い管理費用で対応する略で、市場大を狙っている。


趙章恩(チョウチャンウン=ITジャナリスト)



BCN This Week 2007年1月15日 vol.1170 載]  Link 


 


 


 

韓国 衛星モバイル放送「TUメディア」(2007年1月15日 掲載)

加入者100万人突破でも赤字にあえぐ


 




【ソウル2003年の設立から現在まで赤字がいている衛星DMB(衛星モバイル放送)「TUメディア」が、700億ウォン(約90億円)規模の有償資を決定した。TUメディアは3期だけでも上高172億4000万ウォンにして純損失208億7000万ウォンを記06年12月25日に、加入者100万人を達成したにもかかわらず、大規模な赤字にあえいでいる。


 


 TUメディアは、新規投資金と運資金づくりのため昨年12月27日、「大株主を含み第3者割方式の記名式普通株有償資を推進中」「具体的な新株割当内訳額、行時期など詳細件はまだ決まっていない」ことを明らかにした。資には米の衛星放送社も加すると報じられている。


 


 TUメディアの親社で29.6%の株を持つ最大株主のSKテレコムは、衛星DMB事業活性化のため325億ウォンを出資する計だ。TUメディアへの出資金額は、2509億ウォンにのぼることになる。TUメディアの株はSKテレコムを除いて三星電子が6.9%、MBCo(日本)が6.0%を保有している。


 


 SKテレコムは現在、TUメディアの大株主だが、放送法により最大株主の持分は33%までと決まっている。第3の企業が資に加しないとなると、追加投資額が決まらない況だ。大企業の持分制限は07年4月から49%へとえるので、今後資も予想される。


 


 韓で市場シェア50%を超える移動通信キャリアのSKテレコムは、放送と通信の融合時代を迎え、IPTV事業にも積極的に推進している。TUメディアのほかにアルバム製作社の「ソウル音盤」も買し、コンテンツ事業を化している。


 


 しかし、SKテレコムは、KTやHanaroなど競合する通信社が新たな成長源とするIPTV事業への進出に苦している。同社は、KTと情報通信部、放送委員が共同で推進するIPTVテストサビスに加したいとコンソシアムに名を連ねているが、本業であるネットワク事業者としてではなく、コンテンツ事業者として加できたことに足しなければならなかった。


 


 TUメディアの社長を含むSKテレコムの役員らがIPTVを提供するHanaroを訪問し、システムとインコディングに多大な心を示したとのニュスが報道されてから、SKテレコムがTUメディアを前面に出してIPTVに進出しようとしている、と通信業界では大ぎになった。


 


 衛星モバイル放送に限らず、現在世界で最も注目されている放送プラットホムであるIPTVを確保しないとSKテレコムのコンテンツ投資も持できないため、SKテレコムがIPTVのためにHanaroを買するのではないか、とも測されている。


趙章恩(チョウチャンウン=ITジャナリスト)


 


BCN This Week 2007年1月15日 vol.1170 載]  Link 


 


 

<ケーススタディ“韓流”IT TRY&ERROR>26.最終回 今回のテーマ■大不況乗り切り

危機にい韓


トライ精神でり切る


 


 


 世界金融不安に端をした不況が韓でも深刻な事態を招いている。1997年末に韓国経済を崩寸前にまで追いんだアジア通貨危機の頃よりも、庶民の生活はしくなっている。



 韓
政府は景気対策として、輸出保や海外マケティング支援規模を大幅に大する計表した。また雇用維持のため、製造社が社員を職務育として大手企業へ一定期間派遣し、政府が賃金と訓練費の一部を補助する制度も始められる。需創出のため政府が大規模な投資をする「ITSWニュディル」も計されている。省エネ設備導入、RFIDの利用促進、LED照明の普及、新再生エネルギ究開などの事業を推進し、約1600億円を投資する。


 


 イミョンバク大統領は新年の政演で、「2009年はグリITやエネルギ率的な活用、先端融合産業、高付加値サビス産業の3大分野を新しい成長エンジンとして稼させる」と表した。かつて果敢にブロドバンドに投資したことでアジア通貨危機を克服できた経験をもとに、今度はグリITの推進や放送と通信の融合、モバイルと療の融合といった先導事業に投資を集中し、外からの投資を誘致して景回復につなげたいとしている。添付画像


 


 09年には携電話端末に義務づけられていた韓産ミドルウェアWIPIの搭載が止され、海外メの端末も韓で自由に販できるようになる。料金割引制度の自由化、携電話周波再分配など、競を促進するための大きな規制緩和も予定されている。


 


 経済政策を担している企財政部の長官は、「アメリカ中心の一極体制が弱まり、新興が浮上するという史的な力の移動が始まっている。かつて世界7位ぐらいだったSamsung Electronicsが、アジア通貨危機以降は世界トップの電子メになった例もある。者が生きるのではなく、生きった者が者になる不確な時代なので、私たちの努力次第で一流家に跳躍できるチャンスをつかめる」と、高らかに宣言した。


 


 韓ではIT強国として成長していくためには、不況こそがチャンスといわれている。09年も韓が得意とする「なせばなる」とか「まずはやってみよう」というトライ精神を生かし、危機をり越えようとしているのだ。(おわり)

(趙
章恩●取材/文)



BCN This Week 2009年1月12日 vol.1267 載]  Link 


 


 


 

ITUテレコムワールド2006、ITでも韓流を狙う [2006年12月5日]

「情報通信技術分野のオリンピック」とも呼ばれる「ITU(国際電機通信連合)テレコムワールド2006」が12月4日から8日まで、香港アジアワールドエキスポで開催されている。アジア初のテレコムワールドだけあって、韓国のIT関連新製品が一堂に会するほか、大手企業のCEOやIT業界の大物もみんな香港に集結する盛り上がりをみせている。

 韓国国内の報道では、ITUに初参加加するチャイナモバイル、チャイナネットコムなど中国勢に注目すべしと騒いでいるし、中国通信業界の世界進出のきっかけになるだろうという指摘もなされている。一般ユーザーからすると「テレコムワールドってそんなすごい展示会なの?」としか思えないが、「へ~」と驚くべき便利な最新モバイル技術がどっと披露されるという点は注目すべきではないだろうか。


中国の韓流は衰え知らず、その波及効果はIT機器にも


 最近、日本の韓流(韓国ブーム)は一時に比べると下火になったようだが、中華圏での韓流はまだまだ勢いが衰えていない。ドラマに登場するサムスンのPCや携帯電話、LGのTVや家電までもすごい勢いで販売が伸びているという。


 11月にあった俳優ソン・スンホンの除隊では日本や中国、台湾、シンガポールなどから5000人以上のファンが詰め掛けたそうだし、済州道であった韓流エキスポ開幕式ではヨン様が30分登場するだけで日本からの参加者が軽く3500人を超したそうだ。驚いたのは遠い砂漠の国、中近東でも韓国のドラマが人気で、韓国製の黄金TVやプラチナ携帯といった韓国や日本では見たこともないようなすごい製品が売れているそうだ。


 韓流ファンたちは韓国人にとってありがたい存在だ。自国の文化を尊重してくれて、ドラマや映画を観ながら一緒に感動してくれる仲間だからだ。この勢いに乗って、ITでも韓流が続いてくれればという思いもあるが、一方でサムスンとLGの独走ゆえに、韓国にはこの二つの会社しかないのかと思われるのは悲しい気もする。


 冒頭に紹介したITUテレコムワールド2006に参加するのは世界40カ国、700以上の企業だ。韓国からは日本のNTTのような電話・通信企業であるKT、携帯電話会社のSKテレコムとKTF、加入者100万人を目前した衛星DMB(日本の衛星をシェアしている衛星モバイル放送)のTUメディア、端末関連ではサムスン電子とLG電子といった韓国を代表する大手IT企業が参加する。


 韓国勢の展示の目玉は、今年から商用化された3.5GのHSDPA、Wibro(モバイルWimax)といった新しい通信サービスと端末。IT強国と自負しているだけあって、世界に向けあっと驚くような最新技術を紹介するべきという義務感を感じているようだ。KTとKTFは「ユビキタスライフパートナー」というテーマで公園(U-Park)、商店街(U-Mall)、駅(U-Station)、地下鉄(U-Metro)、家(U-Home)など、生活の中の具体的なシーンを挙げた展示コーナーを設けた。


 SKテレコムは「Innovation & Inspiration」がテーマで、日本でも提供されている携帯電話での決済、いわゆるおサイフケータイ機能のほかに韓国が発信地となったマルチメディアサービスを展示する。1回の決済で再課金なく、PC、MP3プレーヤー、携帯電話など、いろいろな端末から音楽を再生できる「Melon」、携帯電話が人の動きに反応してゲームの操作が簡単にできる「GXG」、世界4カ国でサービスされているメガヒットSNS「モバイルサイワールド」などを展示する。


 日本ではなかなか定着しないモバイル衛星放送も韓国ではポピュラーな存在だ。韓国では有料サービスにもかかわらず高速鉄道や地下鉄の中を含め全国95%に至るカバレッジの広さとチャンネルの多さから人気を集めていて、映像15、オーディオ19チャンネルを提供している。利用できる端末も54種類と選択の幅が広く、加入者数100万人まであともう少し。ITUでもそのノウハウに注目が集まっている。



 モバイル衛星放送を独占的に提供しているSKテレコムの子会社TUメディアのソ・ヨンギル社長は4日「世界初有料モバイルTV商用化開始」という発表を通じて、その成功の鍵を「TVやCATVでは見られない世界のスポーツ中継、独自番組にも力を入れ、携帯からTVを見やすい端末を製造するためベンダーと協力してアイデアを出し合う。割引料金制度で負担を軽くすることも重要」と述べた。


Webアプリ対応の多機能型携帯電話が続々


 サムスンは「ウルトラエディション」、LGは「チョコレートフォン」、「シャインフォン」といった一押しの端末を展示する。どれも小さく薄く、液晶面はスライド式。もちろんモバイルTVにも対応している。サムスンの「ウルトラエディション」は「ウルトラミュージック」、「ウルトラビデオ」、「ウルトラメッセージング」の3つの新機種で、9.4mm~11.8mmのスリム携帯なのにエンターテインメント機能を取り揃えているのが売りだ。


 ウルトラミュージックとビデオは携帯電話のキーパッドを後ろに配置したデュアルフェイスで、MP3プレーヤーやPMP(動画再生機)と見分けがつかないほど変わったデザインなのも話題になっている。ウルトラメッセージングはHSDPAスマートフォンで、Windows Mobile 5.0とパソコンと同じキー配列である QWERTYキーパッドを採用した。ポッドキャスティング、RSSリーダー、Googleトークなど多様なウェブアプリケーションにも対応している。これらは2007年からヨーロッパで先に発売される。


 LGはHSDPAモデム内蔵ノートパソコンや携帯を展示したほか、ドラマ「天国の階段」の悪役キム・テヒが登場する携帯電話広告を香港中に貼り付けるなど、展示場の外でも韓流マーケティングを積極的に展開している。


 実は、韓国の携帯電話は品番よりも、広告に登場するモデルの名前や愛称が付けられることが多い。普通に「ジョンジヒョン携帯」、「クォンサンウ携帯」などと呼ばれているわけだ。これもまた興味深い点が多いので、次回くわしくご紹介したい。


 韓国の人口は4800万人。日本や中国に比べて内需が本当に小さいだけに、世界に向けて羽ばたきたいという意識がとても強い。2007年にはついに待望のヨン様主演ドラマ「太王四神記」が世界90カ国で公開されるそうだし、これからも韓流が芸能界のみならず、IT分野でも続いてくれることは業界挙げての願いといえそうだ。なお、韓国のIT製品は日本でもどんどん発売されているので、皆さんぜひお店でみかけたらお手にとってご覧ください。


参考:テレコムワールド2006のニュースはITproでも配信しています。ご活用ください。

(趙 章恩=ITジャーナリスト)

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サムスンが人材確保に躍起になるワケ [2006年11月28日]

サムスン電子(サムスン電子)は10月、日本の慶応義塾大学とよく比べられる私立の名門、延世(ヨンセ)大と大学院に携帯電話専攻設立協約を結び、2007年から毎年、修士課程20人、博士課程8人を携帯電話の専門家として養成することにした。これを皮切りに、サムスンは韓国の主な大学と携帯電話専攻提携を広げていく計画だ。

専門家育成カリキュラムを専門大学で実施


 さらに韓国で初めて4校の専門大学とも提携し、サムスンが要求する半導体設計専門家、設備エンジニアを育成するカリキュラムを組んでいる。2007年2学期から大学ごとに30人を選抜し、半導体部門の「設計専門家」と「設備エンジニア」を養成するため「半導体技術教育プログラム(STEP : Semiconductor Technical Education Program)」を実施し、サムスンの就職に向けた教育プログラムを行う。こちらも同じように奨学金を支援する。サムスンの系列会社もそれぞれ大学と協力し、LCD、LED、セラミック、イメージセンサーモジュール、無線技術、部品の国産化、新素材開発を支援している。


 人材育成にここまで力を入れているのはサムスンくらいのもの。他の大手企業も奨学金制度こそあるが、サムスンほど大きな金額ではない。LG電子では大学生のグループを対象に、海外に出向いて調査を行い、その調査結果で優勝した学生はLGに入社できるという制度を運営しているが、規模は年々縮小している。


 サムスン電子の関係者は「大学での教育は現場のIT技術の早さに追いついていけない。毎年6000人以上の理工学部の新卒を採用し、800億ウォン以上を投資して再教育している。やっと会社の人間として使えるようになるまでには平均2年半もかかる。大学と提携してオーダーメイド式に人材を養成し、採用後すぐ実力を発揮してくれる高級人材を確保できるならば、授業料全額や生活費支援なんて安いもの。韓国の携帯電話産業を世界一にするためにも産学連携は絶対に必要だ」と話している。


国を代表するエリート


 サムスン電子は創意的、挑戦的、専門的なグローバル人材を自社の人材像としてよく話している。そして、同社の人材採用での選別は徹底していることから、韓国国内ではサムスン出身者=エリートという認識は強い。同社社員たちもその自負はあるだろう。


 ただ、優秀な学生を選び支援して会社に必要な人材として育てるのはいいけど、自由な発想を育てる期間であるはずの大学時代に、ここまでサムスン、サムスン、といわれてしまうと創意もなければ挑戦もないんじゃないかという気もしてくる。就職教育ばかりで学生時代の楽しさがなくなるというもの、学生にとっては不幸だ。


 就職難からか、この頃の韓国の大学生たちはサークル活動もせず、ノートの貸し借りもせず、とにかく優秀な成績を残すために必死になりすぎている。10年前まではレポートや試験前になれば図書館に集まってアドバイス(もちろん無料)してくれていた先輩たちが、今ではレポートや試験でいい点数を取るためのノウハウをネットで売買をしている。人間味がなくなったというか、競争のしすぎというか。もちろん遊ぶ人もいるだろうけど、今では、それは一部の姿となりつつある。


 企業側が、ここまで徹底して大学で人材を育成したいという気持ちもわかる。特に韓国は徴兵制が残っているから男性は大学を卒業するのが日本より3年遅い。大卒新入社員が既に24~25歳を超えているので、そこからまた再教育となれば社員として一人前になるのは27歳を超えてからとなってしまう。二浪、三浪していると、本格的なスタートは30歳を超えてしまう場合だってある。これは確かに企業の負担も大きい。楽しい大学時代を保証しつつ、専門人材としての養成を受けられる、この両方は選べないものか。

(趙 章恩=ITジャーナリスト)

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http://pc.nikkeibp.co.jp/article/NPC/20061121/254360/

2009年は外付けHDD新製品発売競争に注目

2009年の新製品として外付けHDDが注目されている。サムスン電子やLG電子も、新事業として外付けHDD市場に飛び込んでいるほどだ。情報爆発と言われるように、個人が扱うデジタル情報量は急増している。韓国の場合、一人が1年間で取り扱うデジタル情報量は2007年の92GBから2011年には571GBに達すると展望されている。その影響からか、より多くのデータをより安全に持ち運ぶため、またネットブックには保存しきれない動画や写真を保存するため、外付けHDDの需要が高まっているというわけだ。

 IDCの調査では、世界での外付けHDDの販売数は、2007年4400万台から2008年は6200万台、2009年には8400万台に増え、2010年には1億700万台、2013年には1億5600万台に急成長すると展望されている。


 韓国では今までファイル保存や持ち運びに使われていたUSBでは容量が足りないという話をよく聞く。デジタル一眼カメラの普及や動画投稿が日常になってから、学生がプライベート用に高画質のデータをやりとりするようになり、USBでは物足りなくなったといわれている。USBは小さくて持ち運びには便利だが、エラー率が高い。筆者もUSBをかばんに適当に入れて持ち歩いていたせいか、USBをパソコンに差し込んでも認識されなくなり、保存しておいたデータを開けることができなかったことがある。大事なデータをより安全に、手軽に持ち運びたいというニーズからもポータブルタイプの外付けHDDが選ばれる側面もありそうだ。
外付けHDDはUSBよりデータ単価は安い。1GB当たりの値段を比べてみると、USBの場合、韓国で400~500円ほどするが、外付けHDDは50円ぐらいでその差は10分の1。昔はHDDは分厚くずっしり重たかったが、最近では技術の発展により小さく軽くなって持ち運びに困ることもない。


 韓国でも低価格ミニノート(ネットブック)は人気。デスクトップパソコンを買わず、ネットブックやミニノートパソコンを使いながらデータは外付けHDDに保存する使い方も増えてきた。


 さらにこの不況下、パソコン買い替え需要の低迷も影響している。今まではデスクトップパソコンがデータ保存倉庫のような役割もしていたが、性能がアップグレードされたパソコンを買うより、動画や写真、プログラムなどを保存できるHDDの容量だけ増やして何年も買い換えず使うユーザーが増えている。


 そんなこんなで、大手も外付けHDD市場に参入を始めたというわけだ。

サムスン電子の外付けHDDはユニーク。年末年始の新製品として発表した「Sシリーズ」は、スマートフォンのようなデザインを採用している。1.8インチの「S1 mini」は120GB、160GBの2種類、2.5インチの「S2 portable」は160GB、250GB、320GB、500GBの4種類。特にS1 miniは縦87mm×横62mm×厚さ15mmとクレジットカードほどの大きさだ(ちなみにS2 portableは縦111mm×横82mm×厚さ17.5mm)。光沢のある素材にピアノブラック、スノウホワイト、ワインレッド、チョコレートブラウンの4つのカラーバリエーションがある。インタフェースはUSB。USBインタフェースを装備するためのコントローラーをHDD自体に一体化してサイズを小さくできるようにした。12月には体験モニターを募集し、ブログを中心にプロモーションを行うことで、専門化向け、オフィス向けだった外付けHDDを一般ユーザーに浸透させようとしている。








Sシリーズはカラーバリエーションが4つ



 LG電子は2008年12月、容量は1テラバイト、大きさは3.5インチの外付けHDDを発売した。アルミニウム素材のケースで衝撃にも強く安心してデータを保存できる。1TBで約1万4千円。


 組み立てパソコン向けHDDを生産している中小企業らも、革ケース付きや女性向けイラスト入りを発売するなど、2009年も引き続き外付けHDDの新製品発売競争が激しくなりそうだ。



(趙 章恩=ITジャーナリスト)

日経パソコン
2009年1月9日

-Original column

http://pc.nikkeibp.co.jp/article/column/20090109/1011178/

韓国インターネット事情 情報通信部が制度改革に着手(2007年1月22日 掲載)

公正競と利用者を保護を促進




 


【ソウル】情報通信部は2006年末、インタネットサビス社と消費者体の代表などが加する懇談を開き、超高速インタネット市場の公正競と利用者保護化のため制度改善案をまとめた。



 情報通信部の改善案は、高費用マ
ケティング略で新規加入者を募集し、量的成長を追求する現在の競方式では通信社にも利用者にもメリットがないと判。通信網品質の改善および利用者値の向上などサビス品質を高めるのを狙いに、(1)加入契約書交付の制度化(2)利用者利益化のため利用約款の改善(3)市場管理などの制度改善方案をまとめ、07年1月から施することにした。


 


 超高速インタネット社は、代理店由によるテレマケティングで利用者を誘致した場合でも加入契約書を必ず交付しなくてはならなくなった。


 


 「口頭契約した記念品や景品がもらえなかった」「加入したインタネットサビスの商品名や速度が分からない」「勝手に3年契約になり他の社のサビスに加入しようとしたら違約金を要求された」「問い合わせ先が分からない」「第3者に個人情報を漏らしテレマケティングに使われた」など、利用者の不があがっていた。こうした問題を解決するため、今まで省略されていた加入契約書を必ず交付するよう制度化することにした。


 


 情報通信部は超高速インタネットサビスにする約款上の品質基準の遵守および利用者足度の調査を定期的に施し、その結果を公表する。持的に利用者のサビス選基準情報を提供し、サビス品質の競へと市場を誘導して行く計だ。


趙章恩(チョウチャンウン=ITジャナリスト)


 


BCN This Week 2007年1月22日 vol.1171 載]  Link