韓国公正取引委員会にブロードコムが白旗、サムスンとの確執も影響か

2025年2月9日、韓国公正取引委員会は米Broadcom(ブロードコム)が韓国で130億ウォン(1ウォン=0.1円換算で約13億円)規模の基金を設立し、韓国のシステム半導体産業を支援することを提案したと発表した。これは韓国公正取引委員会の制裁を避けるための「自主是正」方策の一環である。ブロードコムは半導体の設計・製造からソフトウエアまでを手掛け、韓国では「第2のNVIDIA(エヌビディア)」とも呼ばれるほどの大手である。

韓国公正取引委員会は、「ブロードコムが韓国のセットトップボックス製造会社に対し、自社の部品を購入するよう強要した」との疑いで調査を行っていた。韓国公正取引委員会の調査結果の発表前に、ブロードコムは「自主是正」として「韓国のセットトップボックス製造会社が必要とするシステム半導体部品の過半数をブロードコムから購入するよう強要しない」「過半数の購入を断ってもシステム半導体部品の販売・配送を中断または遅延したり、提供していた技術支援を撤回・修正したりする不利益を与えない」とした。 

さらに、次のようなことも約束した。年に一度社内で公正取引法に関する教育を実施するとともに、公正取引法を順守していることを毎年韓国公正取引委員会に報告する。韓国のシステム半導体産業のコンサルティングや海外進出を支援し、半導体専門家養成のため教育センターの設立と運営も行う。中小企業やスタートアップと共生するために130億ウォン規模の基金を設立する。公正取引法違反が確定して制裁を受ける前に自主是正を提案したと見られる。韓国メディアは「ブロードコムが公正取引委員会に白旗をあげた」と報じた。

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趙 章恩=(ITジャーナリスト) 

(NIKKEI TECH) 

2025. 2. 

-Original https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/01231/00125/

일본 애니메이션 산업 동향

일본 애니메이션 산업 동향

2025년 03호

심층 이슈


Ⅰ . 일본 애니메이션 산업 동향

1.2023년도 일본 애니메이션 산업 동향

2.2023년도 일본 애니메이션 매체별 동향

Ⅱ. 일본 애니메이션 업계의 변화 및 트렌드

Ⅲ. 애니메이션 관련 전시회

Ⅳ. 향후 전망

1.생성 AI

배포 : 2025.05.19
작성 : 한국콘텐츠진흥원 도쿄비즈니스센터

집필자: 조장은

관련 보고서 원문 링크

韓国放送局のAI活用 グローバルファンを満足させ、制作費を節減し、広告収入を増やす、一石三鳥の戦略

Kコンテンツの国際展開と地上波放送局の変化

韓国の放送コンテンツは「Kコンテンツ」と呼ばれ、NetflixやDisney+などグローバルOTTが世界で配信し、ヒットを続けている。2024年はテレビドラマ『ソンジェ背負って走れ』がOTTで配信され、視聴者数のランキング(毎週公開)が世界133カ国で1位となり、その後もランキング上位をキープした。同じくテレビドラマ『私の夫と結婚して』はAmazon Prime Videoで配信され57カ国で1位になり27週間連続でグローバルトップ10に入った。テレビドラマではないが、Netflixオリジナル『イカゲームシーズン2』は2024年12月に公開され非英語TVショー部門年間1位になった。

韓国のテレビ番組はアジアを中心とした韓流ブームから、米国・ヨーロッパ・アフリカでももっとも視聴されたコンテンツになるほど影響力を増している。韓国は日本以上にテレビ離れしていて、10代から60代まで生活に欠かせない必需品はスマートフォンと答え、10~40代はテレビよりスマートフォンでYouTubeとNetflixを観る時間の方が長い。多チャンネル時代・OTT時代に合わせ、韓国の放送局はテレビ編成番組、YouTube向け番組、OTT向け番組など、番組を幅広く流通させるようになった。Kコンテンツの人気を背景にグローバルOTTからオリジナルコンテンツの制作依頼も後を絶たない状況である。

Netflixは韓国でオリジナルシリーズを制作するため、2021~2022年に5,000億ウォン(約500億円)、2023年~2025年に3兆3,000億ウォン(約3,300億円)を投資したと発表した。Netflixは英語、スペイン語の次に韓国語のコンテンツに投資している。Netflixに占めるKコンテンツの割合は2020年2%から2024年6.8%に増加、2030年には15%に達するという分析もあった。

Netflixの熱心な投資により、地上波放送局には大きな変化があった。公共放送のKBSは2023年11月から2024年3月まで放映した大河ドラマ『高麗契丹戦争』で初めてAIを利用した特殊効果を採用し、初めてNetflixで同時放映したところ、10~30代がNetflixで観て面白いとSNSで口コミし、年配向けのドラマから家族みんなで視聴するドラマになった。

民放のSBSは2024年末にNetflixと戦略的パートナーシップを締結し、2025~2030年の6年間、SBSの過去作を全てNetflixでサービスし、ドラマとバラエティー番組を新たに制作してNetflixに提供することにした。SBSはテレビCM収入が減り2021年1,400億ウォン(約140億円)を超えた営業利益が2023年は346億ウォン(約35億円)にまで落ち込んだ。しかし、Netflixの放映権収入により、今以上にCM収入が減っても放映権とNetflix向けオリジナルシリーズの制作で営業利益が改善する見込みである。証券業界ではSBSがすでにDisney+とも契約していることから、国内向け地上波放送からグローバル放送局になり営業利益年間1,000億ウォン(約100億円)は達成できると展望した。

コンテンツ戦略とAI活用

Kコンテンツがグローバルで成功し制作依頼が増えたことで、韓国の地上波放送局3社はドラマやバラエティーの番組制作部門を「スタジオ」として分社、スタジオが番組を企画して制作し、もっとも売れそうな放送チャンネルやOTTに販売する戦略を取り始めた。スタジオはより高品質の番組をより早く費用を節減しながら制作するため、番組の企画と制作にAIを積極的に活用するようになった。

企画段階からAIでグローバルファンを満足させる要素を探し、制作段階では特殊効果やバーチャルスタジオでAIを使用することで制作費を節減する、その結果作品がヒットして海外版権やOTTの放映料だけでなく広くIP展開して広告収入も増える、一石三鳥を狙っている。

韓国科学技術情報通信部(「部」は日本の「省」に当たる)の「2024放送産業AI・デジタル技術活用アンケート」調査によると、2023年に放送された全テレビ番組の11.1%は企画段階で、9.4%は制作段階で、6.9%はサービス段階でAIを活用していた。制作段階で使うAIは、AIによる自動撮影・編集、AIによる特殊効果、AIヒューマン(AIアナウンサーやAI記者などの実在する人物のアバター映像をAIで生成する技術)、AIによるBGM編曲などがあり、サービス段階はAIによる字幕・吹き替え、放送モニタリングなどがある。地上波放送局は制作段階とサービス段階でもっともAIを使っていた。

半公営半民間のMBCは2024年、生成AIがプロデューサーになり番組企画から出演者選び、番組進行、出演料の精算まで行ったバラエティー番組『プロデューサーが消えた』を放送して話題になった。SBSは2018年からAIが制作した番組のハイライト場面集をYouTubeで公開している。公共放送のKBSは毎週金曜日に放送しているK-POP歌番組『ミュージックバンク』でAI自動編集を導入し、情報番組では生成AIでバーチャルスタジオのアセット(バーチャルスタジオのLEDに映す背景映像)を制作した。有料放送チャンネルのtvNも生成AIでバーチャルスタジオのアセットを制作して海外ロケを行わずドラマを撮影したり、ドラマの編集段階で撮影時にはなかった特定の商品を生成AIでより自然に画面に登場させたりしている。

自社開発のAI編集システムをCES2025に展示

公共放送のKBSは『ミュージックバンク』で使用している自社開発のAI編集「VVERTIGO」を2025年1月、米ラスベガスで開催された世界最大規模のテクノロジー見本市CES 2025で展示した。

AI編集「VVERTIGO」は単純作業に時間を取られず効率よく番組を制作するため、2018年に開発された。特に人気のK-POPアイドルが出演する『ミュージックバンク』は世界的に知名度が高く、クリップ動画を公開しているYouTubeチャンネル@KBS K-POP(外部サイトに遷移します)はチャンネル登録者数946万人、5万3,906本の動画が掲載され、再生数は102億回を超える。KBSはK-POPファンを喜ばせるため、アイドルが歌う様子を4Kと8K画質でYouTubeでも提供し、アイドルメンバー全員の動画だけでなくメンバー一人ひとりを個別に追い続けるチッケム動画(推しカメラ)を提供していた。チッケムのためにスタジオ内にカメラを複数台設置し人の手で編集していたが、スタジオが混雑し、編集も単純作業でありながらも時間がかかった。そこでKBS社内で必要に迫られて開発したのがVVERTIGOである。今は8Kカメラでアイドルメンバー全員のパフォーマンスを撮影すると、VVERTIGOが顔認識でメンバー一人ずつチッケムを制作する。VVERTIGOは現在、KBSのほぼ全ての歌番組、リアリティー番組、バラエティー番組などの出演者が多い番組のマルチカム編集で広く使われるようになった。激しく踊るアイドルの顔を認識して追いかけ動画を編集することは簡単なことではなく、KBSのノウハウが詰まっている。

VVERTIGO画像1.jpg

<追いかけ動画の制作を自動で行える「VVERTIGO」>

KBSはCES 2025で「VVERTIGO Vision」も公開した。8Kカメラで正面だけ撮影した映像をVRコンテンツに変えるAI編集で、AIが舞台セットを学習して、カメラには映っていない部分を生成し、ヘッドマウントディスプレイで観るとVRコンテンツのように180度視野が広がる。

進むAIの活用と課題

CES 2025ではKBSのほかにも韓国からコンテンツ制作向けAIスタートアップが多数展示に参加し、革新的な商品や製品に贈られるイノベーションアワードを受賞した。受賞の事例、展示された主な事例は下表のとおり。

修正版受賞例などの表.jpg

CES 2025ではサムスン電子とLG電子の「超個人化」テレビも、テレビ離れ時代の新しいテレビとして注目された。テレビに話かけて他の家電を操作したり、ドラマを見ながらリモコンをクリックすると出演者や画面に映っている商品を検索したり、テレビに旅行の計画や料理レシピについて相談するとぴったりの映像を検索して見せながら情報を提供したり、字幕がない海外ドラマの映像をテレビのAIがリアルタイムで翻訳して字幕を付けてくれたり、音が聞こえないとテレビに話かけると俳優の声だけクリアに聞こえるよう調整してくれたり、テレビを見ない時間はデジタル額縁として名画を鑑賞できるようにしてくれたり、テレビにAI機能がどんどん追加されていた。LG電子もテレビが家族の声を聞き分けて、テレビに「今日の試合どうなった?」と話しかけると、声の持ち主が応援しているチームの結果を教えるという面白い機能を追加していた。またサムスン電子とLG電子は無料ストリーミングサービスであるFASTにも力を入れていた。

韓国の放送・映像コンテンツ業界ではもうAI活用は当たり前になった。しかし課題もある。2025年1月、韓国放送局3社(KBS、MBC、SBS)はポータルサイトNAVERを相手に、NAVERが生成AI学習のために放送3社のニュースを無断学習したとして著作権侵害および不正競争防止法違反による損害賠償を求め訴訟を起こした。AIを活用するためにはAIに学習させなければならないが、学習用のデータを誰がより多く確保するのかでAIの結果が違う。放送局のデータという資産を守りながらAIを活用することが求められている。また学習結果によってAIの生成結果が特定の作家の作風にそっくりなものが出来上がることもある。AIを使うと完全に放送局オリジナルとはいえなくなるので、放送局側もAIを使う過程で常に著作権を侵害していないか、確認しなければいけない。

2025/03

ITジャーナリスト/KDDI総合研究所特別研究員

趙 章恩(チョウ・チャンウン)

民放online

-Original column

韓国放送局のAI活用 グローバルファンを満足させ、制作費を節減し、広告収入を増やす、一石三鳥の戦略 | 民放online

非常戒厳令と韓国のジャーナリズム 党派を超えて守った言論の自由

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非常戒厳令と韓国のジャーナリズム 党派を超えて守った言論の自由

2024年12月3日の夜10時過ぎ、韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は「北韓(北朝鮮)共産勢力の脅威から自由大韓民国を守護」「破廉恥な従北反国家勢力を一挙に剔抉(てっけつ)」「自由憲法秩序を守る」などの理由を挙げ非常戒厳を宣言した。

ドキュメント 非常戒厳宣言から解除まで

韓国で最後に非常戒厳令が宣言されたのは1979年朴正煕(パク・ジョンヒ)元大統領の暗殺事件から1981年まで。非常戒厳の下で1980年5月、5・18光州民主化運動が起きた。その当時、戒厳軍が何をしたのかを知っている人たちは黙っていられなかった。

12月3日夜、非常戒厳令宣言からすぐ国会議員らは非常戒厳令を解除するため、市民らは国会議員を守るため、戒厳軍は国会の出入りを封じるため、国会に集まった。国会議員の半数以上が賛成すれば大統領は戒厳令を解除しなければならない。市民らは戒厳軍の装甲車の前に座り込んで足を止め、銃を持った戒厳軍が国会に入ろうとするのを体当たりで止めた。国会議員らは戒厳軍を避けて塀を越えて国会に入り、議員秘書らはスクラムを組んで国会本会場前を守った。

韓国内では、深夜にもかかわらず市民を国会に集めたのは、2024年10月にアジア女性として初めてノーベル文学賞を受賞したハン・ガンの小説『少年が来る』がベストセラーになり、2023年に映画『ソウルの春』(日本では24年に公開)が興行1位だったことも影響したという分析があった。『少年が来る』は5・18光州民主化運動、『ソウルの春』は1979年の全斗煥(チョン・ドゥファン)元大統領の軍事クーデターという実話を題材にした作品で、あの独裁時代に戻ってはならないと非常戒厳に反対する声が大きくなったという分析だった。

夜11時過ぎ、戒厳司令部が布告令第1号を発表した。布告令第1号は6項目から成っており、▶国会と地方議会、政党の活動と政治的結社、集会、デモなど一切の政治活動を禁じる、▶自由民主主義体制を否定したり、転覆を企てる一切の行為を禁じ、フェイクニュース、世論操作、虚偽扇動を禁じる、▶すべての言論と出版は戒厳司令部が統制する、などとしている。そして、この布告令違反者に対しては「戒厳法第9条により令状なしに逮捕・拘禁・押収捜索ができ、戒厳法第14条により処断する――など、言論の自由がなくなるという内容だった。

12月4日午前0時45分過ぎ、戒厳軍は窓ガラスを割って国会に入り、戒厳令解除を決議する国会本会議場前まで迫っていた。同0時48分、国会本会議場では非常戒厳解除要求決議案の本会議が始まり、在席した議員190人全員が賛成、午前1時過ぎに可決した。放送局や新聞社の記者は国会に集まり、この一部始終を報じた。YouTuberたちも国会周辺で何が起きているのかライブ配信を行った。午前4時過ぎ、尹大統領は国務会議を開き非常戒厳解除案を議決した。

非常戒厳下でメディアは

非常戒厳宣言から解除までの間、ジャーナリストたちは布告令第1号違反で「処断」される可能性があることを知りながらも取材を続け速報を出し続けた。光州地域の新聞社は、5・18光州民主化運動の時は戒厳軍によって真実を報道できなかったが、今度こそは言論の自由を守りたいと非常戒厳宣言後すぐ社内のすべてのドアを施錠し号外を制作したという。5・18光州民主化運動の記録の一つに、戒厳司令部が赤ペンで削除するところを記入した印刷前の新聞編集版が残っている。

12月4日未明、韓国言論団体は尹大統領の下野を求める共同声明を発表した。「非常戒厳宣言は国民が血で書いた民主主義と言論自由の半世紀の歴史的成果と憲法を否定する暴挙」「時代錯誤で反憲法の内容ばかりである布告令により、尹政権は正常軌道から外れた独裁政権であることを自ら明かした」「われわれ言論人は大韓民国の民主主義と言論の自由を守るため尹政権の暴挙に立ち向かい国民とともに最後まで抵抗する」とした。

12月4日朝刊は、どの新聞も尹大統領の非常戒厳宣言を批判する社説を掲載した。韓国はメディアが野党支持の進歩派と与党支持の保守派に分かれ、同じ案件に対して全く違う分析をすることが年々増えてきた。進歩派メディアは与党を批判し、保守派メディアは野党を批判する。対立していた進歩派と保守派のメディアが、言論の自由、表現の自由を失いかけた非常戒厳宣言に対してはあってはならないことだと同じ立場を示したのだ。

12月5日には国境なき記者団も声明を発表した。
●戒厳令が直ちに解除されていなかったら、尹大統領はメディアを検閲し、メディアが発信する情報を統制する権限を持てただろう。尹大統領は就任以来、自分を批判する者に対する敵意を露にしてきたことを考えると、戒厳令は特に憂慮すべきことである。
●尹大統領は政権に批判的なメディアを繰り返し攻撃し、その報道をフェイクニュースだと退けてきた。与党「国民の力」は、進歩派の番組があったラジオ放送局TBS(交通放送)が政治的に偏向しているとして、同局への補助金を打ち切るなど、特定メディアに対する懲罰的措置を支持してきた。
●韓国政府によるジャーナリストに対する名誉毀損訴訟も前例のないレベルにまで増えた。韓国では名誉毀損は最長7年の懲役刑に処せられるため、多くのジャーナリストは法的紛争を避けるために自己検閲を迫られている。
●われわれはすべての機関および政治指導者に対し、この機会を利用して報道の自由へのコミットメントを再確認し、国境なき記者団が近年観察してきた言論の自由の悪化と戦うことを誓う。

といった内容だった。国境なき記者団が毎年公開する世界報道の自由度指数をみると、韓国は2022年の43位から2024年は62位に下がった。

12月14日、国会では尹大統領の弾劾が議決された(冒頭写真は2024年12月14日韓国国会議事堂前、尹大統領の弾劾を求める集会:筆者撮影)。検察当局は2025年1月26日、尹大統領を内乱を首謀した罪で起訴した。大統領には不訴追特権があるが、内乱罪は例外である。内乱を首謀した者の法定刑は死刑や無期懲役、無期禁錮である。内乱罪の刑事裁判は2月20日に始まる。

その前に憲法裁判所では尹大統領の弾劾審判の公開弁論が行われた。ここでは非常戒厳令宣言の前後で何があったのか軍や国家情報院などの証人らが証言している。検察の起訴状も公開されたが、起訴状の内容で驚いたのは、尹大統領が当時の行政安全部(「部」は日本の「省」に当たる)李祥敏(イ・サンミン)長官に放送局2社、新聞社2社、世論調査会社1社を封鎖し、断電と断水を指示したという点である。韓国内では消防関係の証言から、この放送局と新聞は与党に批判的な進歩派といわれる地上波放送局のMBC、総合編成チャンネル(有料放送向けチャンネル)JTBC、京郷新聞とハンギョレ新聞といわれている。MBCは断電と断水で言論の機能を麻痺させようとしたのは憲法が定めた言論・出版の自由を否定することだと指摘した。

非常戒厳令下の報道の課題 障害者、一般市民は……

一方、非常戒厳令宣言の報道をめぐっては緊迫した状況だからこそ障害者に配慮した報道をすべきだったという課題が残った。12月3日に尹大統領が非常戒厳令宣言した際、手話放送を行ったのは公共放送のKBSのみだった。

1980年の光州民主化運動当時、戒厳軍によって犠牲になった2番目の被害者は聴覚障害のある男性だった。人々が戒厳軍から逃げ回る中、親戚をバス停まで見送った帰り道、男性は何が起きたのかわからず戒厳軍に捕まり、耳が聞こえないと訴えたが、言うことを聞かないと暴行され亡くなったという。2024年12月3日、テレビの生放送に大統領が登場し非常戒厳という字幕があるのに内容がわからず、聴覚障害のある人たちはとても怖かったという。ニュース画面の下にある非常戒厳令宣布という字幕をみて北朝鮮が攻めてきたのかとびっくりしてインターネットを検索したという聴覚障害者もいた。韓国にはAI手話通訳アプリもあるが、日常的によく使う文章にのみ対応しているため戒厳という非常事態には使えなかった。テレビに流れる音声をAIが自動で字幕にする機能があるテレビも販売されているが、まだ一般的に普及していなかった。

KBS以外のチャンネルがニュースの手話放送を始めたのは戒厳令が解除された後だった。韓国では手話放送は全編成時間の5%以上であればよいことになっている。

6時間で解除した非常戒厳令だが、一般市民の生活にも大きな影響を残した。12月はクリスマスや忘年会などで消費が増える時期にもかかわらず、統計庁によると2024年12月の宿泊・飲食業の消費は前月比3.1%減少、小売り販売額は同0.6%減少した。社会的不安から忘年会をキャンセルした企業が多く、非常戒厳令宣言により韓国は危険だとして海外観光客の訪問が減少、芸術やスポーツ分野も消費が減少した。また年末年始は各種キャンペーンでテレビや新聞などメディアの広告収入が増える時期であるが、非常戒厳令により広告市場も凍りつき、テレビ局と新聞社の経営も厳しくなるとみられている。

韓国言論団体は2月17日、非常戒厳令を迅速に解除し言論の自由を守ったとして禹元植(ウ・ウォンシク)国会議長に感謝の牌を贈呈した。韓国では尹大統領の弾劾審判に続き内乱罪の刑事裁判も始まった。政治混乱は続くが言論の自由を守ろうとする声は日に日に大きくなっている。

2025/02/25

ITジャーナリスト/KDDI総合研究所特別研究員

趙 章恩(チョウ・チャンウン)

民放online

-Original column

https://minpo.online/article/post-524.html

CESに大量出展し過去最多のアワード受賞、存在感高める韓国スタートアップ

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米ラスベガスで開催された世界最大級のテクノロジー見本市「CES 2025」(2025年1月7~10日)で印象的だったことの1つが、スタートアップのブースを集めた展示会場のEureka Parkが、韓国Samsung Electronics(サムスン電子)や韓国LG Electronics(LG電子)、ソニー、パナソニックなどエレクトロニクス大手が集まる展示会場と比較して混雑度に差がないほど人が集まっていたことだ(図1)。

図1  Eureka Parkの入り口

図1  Eureka Parkの入り口

Eureka Parkには世界各国からスタートアップが集結した。そのうち、かなりの面積を韓国勢が占めた(写真:趙章恩)

 そしてCES 2025のスタートアップ展示は、かなりの面積を韓国勢が占めた。Eureka Parkには韓国産業通商資源部(部は省に当たる)が支援するスタートアップの展示をまとめたKoreaパビリオン、中小ベンチャー企業部が支援するK-Startupパビリオン、ソウル市が支援するSeoulパビリオンの他に、自治体別、大学別展示ブース、さらにサムスン電子・LGグループ・Hyundai(現代)グループが支援するスタートアップのブースなどがあった(図2)。

図2 ソウル市が支援するSeoulパビリオン

図2 ソウル市が支援するSeoulパビリオン

Eureka Parkにはこのほか、Koreaパビリオン、K-Startupパビリオンなど韓国のスタートアップが大挙して出展した(写真:趙章恩)

 K-Startupパビリオンの開館式にはネバダ州のStavros Anthony副知事が出席した。「米国の同盟国である韓国と、スタートアップのエコシステムにおいて持続的に協力関係を続けたい」と話し、ネバダ州が表彰することを伝えた。韓国がCESで熱心にスタートアップを展示したことで他の国も刺激され、Eureka Parkへの出展数が増えていること、韓国のスタートアップがCESをきっかけに米国へ進出して活発にビジネスを展開していること、などが評価されたようだ。

 他国のパビリオンが一般参加者向けのイベントを開催して人を集めようとする中、Koreaパビリオン、K-Startupパビリオン、Seoulパビリオンは事前に投資家をCES 2025に招待してスタートアップとマッチングしたり、米Microsoft(マイクロソフト)や米Apple(アップル)などビッグテックの役員をブースに招待して説明したりしていた。CESを製品や技術の展示だけでなく、投資や輸出契約の場として活用していた。

 韓国内では、「毎年過去最多を更新しながら、なぜ韓国政府や自治体がスタートアップのCES出展を支援するのか」「税金の無駄使いではないか」という疑問の声も出ていた。しかし、中小ベンチャー企業部の説明によると、CESはスタートアップにとってグローバル投資家に出会う重要なチャンスだという。「Best of Innovation Award」を受賞すると技術力が認められた証拠になり、米国で営業しやすくなるだけでなく韓国内でも売り上げが一気に増える。スタートアップの利益が増えることは国の経済にとってもプラスであるため、支援を続けるという。

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趙 章恩=(ITジャーナリスト) 

(NIKKEI TECH) 

2025. 1. 

-Original column

CESに大量出展し過去最多のアワード受賞、存在感高める韓国スタートアップ | 日経クロステック(xTECH)

サムスンとLGがCESで「ホームAI」競演、新ハードは鳴りを潜める

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世界最大級のテクノロジー見本市「CES 2025」(2025年1月7~10日、米ラスベガス)において、韓国企業はスタートアップを含め1031社が出展した。韓国の出展企業数は2022年には502社だったが、その後過去最多を更新し2025年の今回には1000社を突破した。

 技術・デザイン性・革新性などの観点から優れたデジタル技術やテクノロジー製品を表彰する「CES イノベーションアワード 2025」には、世界中の約3400社が応募し345社が受賞したが、このうち韓国企業は156社だった。しかも、最優秀賞であるベスト・オブ・イノベーションアワードでは19社の製品のうち、7社が韓国企業だった。AI、ヘルスケア、スマートシティー、セキュリティーなど多様な分野で受賞した。

 CESを主催している米国よりもCESに熱心なのではないかというほど、韓国は企業の出展数も参加者も多い。CESは韓国で誰もが知るイベントであり国内イベントのような感覚である。財閥系大手企業の最高経営責任者(CEO)がCESで一堂に会し、自治体の首長も数多く参加していた。CES 2025には動画・写真共有サイトで活動する韓国のYouTuber(ユーチューバー)、Instagrammer(インスタグラマー)らなどインフルエンサーもメディアとして参加し、展示やキーノートをくまなく紹介して盛り上げた。CES 2025のメイン展示場といえる、ラスベガスコンベンションセンターのセントラル中央ロビーにはクリエイタースペースが設けられ、インフルエンサーが出展企業にインタビューしたり、休憩したりできるようなっていた。韓国地上波放送局の複数のバラエティー番組がタレントを連れてCES 2025に参加、韓国Samsung Electronics(サムスン電子)や韓国LG Electronics(LG電子)のブースを体験したり、塩分を制限して調理しても塩味を強く感じられるというキリンホールディングスが開発した「エレキソルト スプーン」で料理の味見をしたりする場面を撮影していた。

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趙 章恩=(ITジャーナリスト) 

(NIKKEI TECH) 

2025. 1. 

-Original column

サムスンとLGがCESで「ホームAI」競演、新ハードは鳴りを潜める | 日経クロステック(xTECH)

大統領弾劾騒動の影響、世界最大規模目指す半導体クラスターはどうなる?

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非常戒厳令に続く大統領弾劾の訴追案可決で、韓国は半導体をはじめ各種産業支援法の議論がストップした状態が続いている。2025年1月20日には、半導体・電気自動車(EV)などに対する支援策を廃止するとの観測も出ている、米国の第2期トランプ政権がスタートする。こうしたなか、韓国企業の多くが非常経営事態だとしてリスクを最小限にするための対応戦略に悩んでいる。

 Samsung Electronics(サムスン電子)は2024年12月17日から19日まで、海外支社も含め役員約300人が集まって新しい目標を立てるグローバル戦略会議を開催した。LG Electronics(LG電子)も海外支社の役員を呼んで会議を行うようだ。

 韓国企業はドル高による財務リスク点検、資金調達計画の再検討、非常戒厳令と大統領弾劾による政治不安で韓国内の生産工場が止まってしまうのではないかと懸念した海外取引先に対する企業イメージ回復など、様々な対応に追われている。

 財界団体は国会議長に対し、半導体と人工知能(AI)産業を支援する法律の制定を急ぐよう求めた。財界団体は2016年に起きた大統領弾劾はちょうど半導体のスーパーサイクル(需要急拡大期)が始まった時期であったために経済的打撃はなかったが、今回は韓国の経済成長率が下落する中で発生しただけに、国会は産業支援策の議論を止めてはならないと強調した。経済協力開発機構(OECD)は韓国の経済成長率を2024年9月に2.5%と予想したが、同12月には2.3%に下落した。2025年の見通しも2.2%から2.1%へ下方修正した。

 韓国メディアは連日、政治不安に半導体業界が足を引っ張られていると報じている。例えば、「日本政府はラピダスに9200億円の補助金を出し2025年度に新たに2000億円を出資する計画であり、米国政府は米半導体大手のMicron Technology(マイクロン・テクノロジー)に61億6500万ドル(約9400億円)の補助金支給を決定した」と報道する一方、「韓国政府はサムスン電子とSK Hynix(SKハイニックス)に対し、補助金を提供する法的根拠がないとして何もしていない。国会でようやく議論が始まったが、弾劾の影響でどうなるか不透明だ」と批判している。

 韓国半導体産業協会(Korea Semiconductor Industry Association、KSIA)は「国会での議論が止まり、法制化が遅れると企業は何もできない。その分、韓国企業の競争力は落ちてしまう」として、国会に対して早期に半導体関連法の議論を再開するよう求めた。

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趙 章恩=(ITジャーナリスト) 

(NIKKEI TECH) 

2024. 12. 

-Original column

https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/01231/00122

– 회장 소개 –

조장은(趙章恩)

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IT 평론가·Web 프로듀서

한국 서울 출생. 일본에서 초중고등학교를 졸업, 귀국해 이화여대 졸업. 도쿄 대학 대학원 학제 정보학 학부 석사. 동대학 박사 수료. KDDI 총연구소 특별연구원, NPO 아시아 IT 비즈니스 연구회 고문. 한·일 정부기관의 위탁조사(디지털 콘텐츠 동향·전자 정부 동향·IT 정책 동향) 및 한일 IT 시찰 기획 전문의 ‘J&J NETWORK’의 공동 대표. 2000년 4월 창립된 한일 인터넷 비즈니스 실무자 단체 ‘KJIBC(Korea Japan Internet Business Community)’ 회장. CES 이노베이션 어워즈 2026 심사위원. 한일 IT 정보 전문가로서, 강연이나 세미나, 포럼에 강사로 참가. 「NIKKEI NET(닛케이 신문)」나 「닛케이 PC(닛케이 BP)」, 「닛케이 일렉트로닉스」, 「BCN」, 「석간 후지」, 「서일본 신문」, 「일본 디지털 콘텐츠 백서」, 한국의 「중앙일보」, 「한국 콘텐츠 진흥원」, 「한국 정보 통신 기획 평가원」, 월간지 「Media Future」등 일간지나 잡지에 다수 기고.

저서

『일본 인터넷 수익모델을 벗겨라』(한국、더난출판, 2001/02/28)

『韓国インターネットの技を盗め』(일본、아스키 출판,2001/07/01)

『디지털컨텐츠백서 2006 ~ 』 (일본、재단법인 디지털컨텐츠협회 발행)해외동향(한국)집필

『メディア・ローカリズム―地域ニュース・地域情報をどう支えるのか』(일본、중앙경제사,2019/10/12) 脇浜 紀子 (저, 편집), 菅谷 実 (저, 편집)

– 第2部 海外における地域メディアの現状と課題

– 韓国:有料放送市場とケーブルテレビ地域情報の価値 집필

『情報通信産業の構造変容: 次世代移動ネットワークがもたらすイノベーション』(일본、白桃書房 , 2022/9/30) 菅谷 実 (편집), 山田 徳彦 (편집)

– 第2部 5Gモバイルのもたらすデジタル社会

– 韓国の5G政策と社会 집필

연재중 칼럼 및 기사

韓国ハイテク最新動向, 일본, 니케이 XTECH

ワールドウオッチ, 일본, 주간 이코노미스트

趙章恩のKoreaメディアWatch, 일본, 월간 뉴미디어

Global Watch, 일본, 니케이 Robotics

日本と韓国の交差点 , 일본, 니케이 BP

趙 章恩「Korea on the Web」 , 일본, 니케이 BP

일본 콘텐츠 산업 동향, 한국, 콘텐츠진흥원

OECD의 인공지능권고안 주도를 위한 일본의 전략, 한국, 정보통신기획평가원

Fair Contribution in Korea: Netflix vs SK Broadband(ISP), IGF(Internet Governance Forum), United Nations

메일 주소<kjibcmail@gmail.com>


6時間で解除された韓国の非常戒厳、ウォン安や議会混乱が半導体産業直撃

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韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は2024年12月3日の22時25分ごろ、1979年以来となる「非常戒厳」を宣言した。尹大統領は「北朝鮮共産勢力の脅威から自由大韓民国を守護し、韓国国民の自由と幸福を略奪している破廉恥な従北反国家勢力を一挙に排除、自由憲政秩序を守るために非常戒厳を宣布する」とした。大統領が非常戒厳を宣言すると政治活動や報道、出版など、民主主義国家では当たり前の活動の多くが制限される。

 非常戒厳宣言のニュースが報じられてからすぐ、戒厳軍が国会に進入しようとするのを防ぐため数千人の市民らが国会議事堂に集まった。誰かが動員したわけではなく、独裁政権と軍事政権で戒厳を経験した世代や教科書で歴史を学んだ世代が国会議事堂に集まった。国会議員らは塀を超えて国会議事堂に入り、国会議事堂の中では夜勤中だった議員の秘書らが国会本会場前でスクラムを組み、窓ガラスを割って国会に進入した戒厳軍と対峙した。

 韓国の憲法第77条1項には「大統領は、戦時・事変またはこれに準ずる国家非常事態において、兵力をもって軍事上の必要に応じる、または公共の安寧秩序を維持する必要がある場合、法律の定めるところにより戒厳を宣布できる」としている。同5項は、「国会が在籍議員過半数の賛成で戒厳の解除を要求した場合、大統領はこれを解除しなければならない」としている。戒厳軍が国会を封鎖しようとする中、12月4日午前1時ごろ300人の国会議員のうち190人が国会に集まり全員賛成で非常戒厳解除決議案が可決した。同日午前4時20分ごろ、尹大統領は「国会の要求を受け入れ戒厳を解除する」と発表した。

 わずか約6時間でしかも深夜のうちに非常戒厳は解除されたために、一般市民の生活に大きな変化はなかった。非常戒厳宣言を知らず朝ニュースを見てびっくりしたという人も多かった。学校はいつも通り授業を行い、証券取引所もいつも通り開場し、年末のコンサートやイベントも予定通り行われた。国際信用評価会社スタンダード&プアーズ(S&P)は、非常戒厳が迅速に解除されたことから韓国の国家信用等級に実質的影響がないと評価した。

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趙 章恩=(ITジャーナリスト) 

(NIKKEI TECH) 

2024. 12. 

-Original column 

6時間で解除された韓国の非常戒厳、ウォン安や議会混乱が半導体産業直撃 | 日経クロステック(xTECH)