賞金2億円のオンラインゲーム世界大会、スマホ時代でも人気を保つPCゲーム「LOL」 [2013年10月25日]

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韓国で人気のオンラインゲーム。スマートフォンが普及してから、ゲームもすっかりモバイルが主流になったと思ったら、まだまだ根強い人気を誇るパソコン用オンラインゲームがあった。「League of Legends」、略してLOL(ロール)と呼ばれるゲームである。


League of Legends(LOL)」のゲームサイト

 米ゲーム会社Riot Games社が2009年に開発したLOLは、世界145カ国の7000万人以上のユーザーが利用している。ゲームサーバーにアクセスする人は1日平均1200万人、同時接続者数は300万人超という数を誇る。ユーザーのゲーム時間を足すと、月1億時間を超えるというからこれまたすごい。

 LOLのやり方は、簡単にいうと3対3または5対5で、相手の「Nexus」という本部を先に破壊できるかどうかを競うネットワーク対戦型ゲームである。それぞれ使える技が違う100以上あるチャンピオン(キャラクター)から選択し、知らない人と一緒にチームになって対戦する。

各国の選抜を勝ち抜いた「プロゲーム団」が競う

 LOLは韓国でも大人気だ。自分でプレイするのはもちろん、観戦して楽しむオンラインゲームとしても人気がある。「プロゲーマー」が参加する世界大会まである。Riot Gamesが主催する「League of Legends Championship Series」の世界王者を決めるワールドチャンピオンシップの賞金総額はなんと200万ドル、2億円近い。優勝すると100万ドル、2位は25万ドル、3位は15万ドルと上位14チームまで賞金がもらえる。

 Riot Gamesによると、2013年9月から10月かけて開催されたワールドチャンピオンシップは、ケーブルテレビ中継とネット中継合わせて全世界1000万人以上が視聴したほど人気だという。米ロサンゼルスにあるStaples Centerで行われた決勝戦には1万1000人の観客が集まった。Staples CenterといえばプロバスケットボールNBAの試合やグラミー賞の授賞式が行われる有名な大型室内体育館である。

 チャンピオンシップに参加したのは、各国の選抜大会を勝ち抜いた代表たち。決勝では韓国と中国のプロゲーマーが戦い、韓国のチーム「T1」が優勝した。

韓国大手キャリアが支援する「T1」

 LOLチャンピオンシップで優勝した「T1」は、韓国の大手通信事業者(キャリア)であるSKテレコムがサポートする「プロゲーム団」である。世界1000万人が視聴するワールドチャンピオンシップで優勝したことで、SKテレコムが得た広告効果は相当なものである。

LOLワールドチャンピオンシップで優勝した韓国SKテレコムのプロゲーム団「T1

 T1に所属するプロゲーマーたちは1994~1996年生まれで、ゲーマーを養成するコーチも1984年生まれという、とても若いチームである。SKテレコムは「トレンディー」「若い」「楽しい」というブランドイメージを高めるために、プロゲーム団をサポートしているという。

 韓国では大手IT企業の多くがプロ野球の球団、バスケットボールの球団を運営するように、プロゲーム団のスポンサーになっている。League of Legendsの場合、キャリアのSKテレコムとKT、サムスン電子、航空会社のJINAir、大手メディアのCJ、建物管理業者のナジン産業がそれぞれLOLのプロゲーム団を抱えている。

 韓国や台湾などアジアで人気のオンラインゲーム対戦は、「eスポーツ」として世界に広がり、スポーツ競技種目の1種ととらえられるほどになった。「シーズン3」ワールドチャンピオンシップではT1が優勝、ナジンが3位、サムスンが9位に入賞し、韓国チームが合計119万5000ドルの賞金を獲得した。韓国のプロゲーマーは元祖eスポーツともいえる、スタークラフトのリーグ戦でも毎回優勝しているが、LOLでも頭角を現している。

米国でも普及する「eスポーツ」

 米政府はLOLのチャンピオンシップに参加するプロゲーマーをスポーツ選手として認めている。米国のLOLプロチームに所属することになった韓国人プロゲーマー5人は、スポーツ選手用の「P1-Aビザ」を与えられている。

 ここまでLOL市場が大きくなると、プロゲーマーのスポンサーになる企業も増える。米コカ・コーラはLOLワールドチャンピオンシップのスポンサーになった。日本企業では日産自動車が北米のチーム「Curse Gaming」のスポンサーになっている。

 LOLは2013年からサムスンがメインスポンサーを務める「World Cyber Games(WCG)」の競技種目になった。WCGとは、2000年から開催されているオンラインゲームプロゲーマーの世界王者を決める「eスポーツ大会」である。2013年10月に世界各国で代表選抜予選が行われ、11月28日に中国・上海に近い江蘇省崑山でWCG2013 Grand Finalが開催される予定だ。WCGには日本代表も参加することになっている。

趙 章恩=(ITジャーナリスト)

日経パソコン
 

-Original column
http://pc.nikkeibp.co.jp/article/column/20131025/1109963/

[日本と韓国の交差点] 日本メディアの“征韓論”に韓国は激怒した…か

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韓国のメディアが11月15日、週刊文春が「韓国の『急所』を突く!」「安倍総理が『中国はとんでもない国だが、まだ理性的に外交ゲームができる。一方、韓国はただの愚かな国だ』と発言した」という内容の記事を載せたと報道した。同日午前、韓国の外交通商部(部は省)は、「日本の外務省から『週刊文春の報道は間違いである、安倍総理はそのような発言をしたことがない』との連絡があった」と発表。週刊誌の報道に敏感に反応することはないという態度を示した。

 それでも韓国政界は安倍総理が暴言を吐いたと非難した。与党・セヌリ党のホン・ムンジョン事務局長は同日、「安倍総理とその側近が韓国を卑下する発言を続ける限り、韓国と日本の関係は難しくなる」「安倍総理は首脳会談しようというが、このような状況で首脳会談を開いても両国の関係発展に関して議論できるだろうか」と発言した。

 民主党のチョン・ビョンホン院内代表は、「政府は報道内容を確認して断固として対応すべき」と主張した。

 週刊文春の記事は内容も残念だが、タイミングも残念だった。11月14日には、韓国の国会議員7人と財界人9人が日韓協力委員会総会のため東京を訪問していた。日韓協力委員会は日韓の友好関係を強めるための政財界の集まりである。日本側の初代会長は岸信介元総理、現在は麻生太郎副総理が会長を務めている。

 5月に一度中止になった総会を、11月になって改めて開催することにしたという。両国の硬直した関係を少しでも改善するためだ。15日には安倍総理が同総会に出席し、祝辞を述べた。週刊文春の記事がなかったら、日韓関係が改善に向かう一歩になっていたかもしれない。

 11月13日には、ソウル市長を務めるパク・ウォンスン氏が、海外メディアとの懇談会で次のように述べ、日本と仲良くしたいとアピールしていた。

「日韓の中央政府は国家的利害関係のために難しい関係になることもある。しかし、都市と都市、民間と民間の関係は政府に関係なく平和、共生のための強い基盤を作れる」
「日韓関係はローカルとローカル、人と人の関係を強化すべき」

ユニクロを着て、アサヒビールを飲みながら反日

 さらに10月末あたりから、韓国内でも反日=愛国といった扇動に疲れたとして、現状に疑問を抱く世論が少しずつ広がっていた――日本とうまく交流する方法はないのか。国際社会の中で韓国政府の反日は妥当なものと見られているのか。保守派といわれる朝鮮日報も、進歩派といわれるインターネット新聞も「日本と対立し続けるのはよくない。北朝鮮問題がある限り、日本との軍事協力は重要だ。歴史問題には線を引く必要があるが、感情的になり過ぎてはいけない」と主張。朴槿恵大統領に変化を求めていたところだった。

 朝鮮日報は11月16日、「週刊文春の『日本の金融機関が支援しなければ、サムスンだとしても1日で滅びる』といった内容の報道についてサムスンに聞いてみた」として、サムスン電子の意見を取材した記事を掲載した。朝鮮日報のインタビューに答えたサムスン電子の関係者によると、「サムスン電子は借り入れがほとんどなく、日本の資金には全く依存していない」そうだ。

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[日本と韓国の交差点] 振替休日があると生産性が下がる?

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韓国安全行政部(日本の総務省に相当する省庁)は10月29日、2014年から振替休日制度を導入すると発表した。お正月(旧暦)、お盆(旧暦)、子供の日(5月5日)が土・日曜または他の公休日と重なる場合、その翌平日を公休日にする。「官公署の公休日に関する規定」の改定案を国務会議が可決した。

 「官公署の公休日に関する規定」は文字通り官公署の公休日を定める規定だが、大手企業もこの規定に沿って公休日を決めている。この改訂により、1年に1~2日公休日が増えることになる。2014年の場合、9月7~9日の旧暦お盆連休のうち7日が日曜日と重なるので、9月10日を振替休日にする。連休が3日間から4日間に増える。

大企業の反対を説得

 振替休日の導入に関する議論は国会で2008年から始まった。与野党は当初、すべての公休日を対象とすることで合意した。これに対して、日本の経団連に相当する韓国経営者総協会が猛反対した。「韓国の公休日は年15日。外国に比べて休日が少ないわけではない。振替休日を導入すると、企業の生産性が落ちる」との理由だ。

 与野党は以下のように韓国経営者総協会を説得し、お正月・お盆・子供の日だけ振替休日を適用することにした。

 「有給休暇は1年に10日。勤務年数が10年以上になると年15日休める。しかし、有給消化率は34%にすぎない」
 「韓国人の労働時間は週平均40.2時間(2011年時点)。OECD加盟国の平均32.8時間、日本の33.9時間、米国の34.0時間に比べて長い。長時間労働による過労死など、労災が増えているのは問題である」
 「公休日を増やすことで観光レジャーといった民間消費が増える。サービス産業の活性化につながる」

それでも中小企業は休めない

 ところが、中小企業は振替休日を導入しない模様だ。今回の振替休日制度を定めたのは、公務員を対象にした大統領令「官公署の公休日に関する規定」。すべての労働者を対象とする「勤労基準法」ではない。

 野党の民主統合党は、「中小企業が振替休日を導入しない場合、振替休日で休めるのは勤労者の17%にとどまる。職業によって休日まで差別を受けることになってしまう」と問題視。すべての勤労者が平等に休めるよう勤労基準法も改訂すべきだと安全行政部に要求している。

 振替休日に関するニュースのコメント欄には、韓国経営者総協会と振替休日を導入しようとしない中小企業経営者を非難する書き込みが1000件以上書き込まれている。

 「振替休日は勤労者の当然の権利なのに、経営者は『与える』ものであるかのように考える。今まで振替休日制度がなく働いた分を返してもらいたいぐらいだ」
 「最高営業利益を毎年更新している財閥企業が、せいぜい年に1~2日の振替休日を導入するぐらいで生産性云々とは。社員を部品としてしか見ていない証拠だ」
 「中小企業では土曜日も出勤しなければならない会社が多い。公休日に休んでも有給休暇を使ったとみなされる。結局有給で休めるのは年に1~2日だったりする。振替休日なんて夢のような話。中小企業は求人難だというが、それには理由がある」
 「振替休日制度を法律にして、守らない企業から罰金を徴収してはどうか。勤労者すべてが平等に休めるようにしてほしい」

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[日本と韓国の交差点] ユネスコの人類無形遺産に韓国のキムチ作り

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韓国の文化財庁は10月23日、ユネスコの人類無形遺産を審査する機関が、日本の和食、中国のそろばん計算知識と並んで韓国のキムジャン(Kimjang: Making and Sharing Kimchi)を登録するよう勧告したと発表した。12月に行われる第8回ユネスコ無形遺産委員会が是非を決める。

 ユネスコが注目したキムジャンは、キムチを大量に漬けて親戚や近所の人たちと分け合う慣習である。白菜がおいしい11月に、春まで食べる分のキムチを大量に漬ける。買い出しから漬ける作業まで3日以上かかる大変な作業なので、キムジャンをする家を順番で決め、親戚や近所の人が集まって手伝う。手伝ってくれた人にはキムチをおすそ分けする。順番でない時には、自分も手伝いに行く。

 キムジャンは企業にとっても、社会貢献のための一大イベントである。社員総出で漬けたキムチを、低所得層に配る。自治体も福祉予算と住民からの寄付金を元手にしてキムジャンをし、一人暮らしのお年寄りや両親を亡くした子供たちに分ける。キムチとお米があれば最低限の食事ができるからだ。

 ユネスコの審査機関は、「韓国が代々受け継いできたキムジャンは、韓国人に分け合いの精神を根付かせた。一緒にキムジャンをし、苦労を共にすることで、連帯感を高める効果もある」と評価した。

キムジャンキムチなら安全・安心

 キムチは韓国人の食生活には欠かせない食べ物だ。どの家の冷蔵庫にも必ず入っている。昔は冬になると野菜が手に入らないので、保存が可能なキムチを秋に大量に漬けた。今はスーパーに行けば、1年中いつでも、白菜や唐辛子、にんにくが手に入るのでわざわざキムジャンをする必要はない。常に7~8種類以上のキムチも売っている――白菜キムチ、カクトゥギ(四角く切っただいこんキムチ)、きゅうりキムチ、ごまの葉キムチ、ねぎキムチ、アルタリキムチ(楕円形の小さいだいこんのキムチ)、水キムチ(とうがらしを使わず白菜、大根を入れて発酵させ透明な汁を飲むキムチ)、ガッキムチ(ガッという名前の葉っぱ野菜のほんのり苦いキムチ)。自分好みの味のキムチを注文して、定期的に宅配してもらうこともできる。

 それでも秋になるとキムジャンをする家が多い。家ごとに伝統の味があるからだ。日本でいう「おふくろの味」が、韓国人にはキムジャンキムチにある。

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[日本と韓国の交差点] サムスン入社を目指し塾通いする大学生

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10月13日、サムスングループは新卒者採用試験SSAT(SamSung Aptitude Test)を韓国5大都市と米国のロサンゼルス、ニューヨーク、カナダのトロントで実施した。サムスングループの2013年下半期の新卒採用は5500人の予定。これに史上最多の10万3000人が応募した。このニュースは日本でも話題になった。応募者の中から条件をクリアした9万3000人が受験、サムスングループの社員1万人が試験監督として参加した。

 サムスングループの2013年上半期の新卒採用には8万人が応募した。よって、2013年だけで18万人、インターン希望者2万人を含めると合計20万人がサムスングループの採用試験に応募したことになる。

 応募した18万人は「とりあえず応募してみた」という人たちではない。TOEICで高スコアをマークし、大学の成績はB以上(ほとんどの科目で優、たまに良があるぐらい)という最低限の条件をクリアした新卒者である。サムスングループは英語の試験と大学の成績で応募者をふるいにかけ、条件をクリアした人にSSATを受験するチャンスを与える。

 SSATは1995年から始まったサムスングループ独自の採用試験である。SSATで高得点を取った入社2~3年目の社員が出題する。SSATの問題は大きく言語、数理、推理、時事常識、職務能力の項目に分かれている。130分間で185問を解く。SSATが終わるとその場で3000字の自己紹介書を書く。

 13日にSSATが終わると、韓国のメディアは一斉にSSATで出題された問題とその解説、試験会場の様子を大きく取り上げた。試験会場の外で合格を祈る母親の姿もあり、大学入試と変わらない熱気だった。

 サムスングループは、SSATで上位となった30%ほどを対象に面接を行う。面接のやり方はグループ会社の業種別、職群別に違う。1泊2日の合宿面接をしたり、専門知識を問う追加試験を行ったり、色々なパターンがある。SSATは3回まで受験できる。

2万人の募集に40万人が応募

 10月は大手企業の下半期新卒採用が集中する時期である。サムスングループの他にも5日はLGグループ、6日は現代自動車グループ、12日はKTが独自の採用試験を行った。その他の大手企業もほとんどが10月、書類審査合格者を対象に独自の採用試験を行う。去年まで系列社ごとに採用試験を行っていた大手企業も、2013年からはサムスングループのようにグループ全体で1つの採用試験を行い、本人の希望と適正に合わせて系列会社に配置する方式に変えた。

 韓国の大手企業は、中途採用の場合は、欧米のように空きが出ると採用する。求職者はこれに備えて、履歴書と経歴書を事前に登録しておく。しかし新卒の場合は「公正な採用」であることを強調するため、年2回の公開採用制度を維持している。韓国では学閥、地縁、血縁で決まるコネ入社がとても多かったからだ。

 現代車の2013年下半期の新卒採用は、1200人の定員に10万人が応募した。履歴書と自己紹介書、資格証など書類審査をパスした1万人を対象に、独自の採用試験HMAT(Hyundai Motor group Aptitude Test)を行った。HMATは2013年下半期に初めて行われたもので、現代車グループの社員に求められる協力性、挑戦精神を測定する。

 通信キャリアのKTは300人の募集に対して4万5000人が応募し、倍率は150倍に達した。書類審査で3000人ほどを選び採用試験を行った。

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>>次ページ学習塾が就職塾に転身

By 趙 章恩

2013年10月21日

-Original column
http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20131021/254808/

韓国で「黄金周波数」巡る騒動、コードレスフォン子機を使うだけで罰金18万円? [2013年10月18日]

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今週、韓国のTwitter上では「コードレスフォンの子機で電話を受信するだけで18万円の過怠料」というニュースが話題になった。デマではないかと疑ったが、テレビのニュースにも登場した。

 「2014年1月1日から、900MHzの周波数帯を使うアナログコードレスフォンの子機で電話をかけたり、電話に出たりすると、周波数不法使用に当たり電波法違反で行政処分の対象になる」「過怠料として200万ウォン(約18万円)を支払わないといけない」という内容だった。

 その理由は、韓国政府の通信政策を担当する未来創造科学部が2011年に900MHz帯を大手通信事業者(キャリア)のKTに割り当て、LTEサービスのために使うようにしたことにある。KTは、900MHz帯は電波干渉が多いとしてサービスを始められずにいた。900MHz帯の電波を使うアナログコードレスフォンを使用すると、同じく900MHzを使うKTのLTEサービスの電波と干渉し、信号が途切れたり、速度が遅くなることもあるという。

 KTは2013年8月、LTE-Advancedのために1.8GHzの周波数帯を「落札」した。1.8GHz帯と900MHz帯を使い、基地局の負荷を分散してより通信速度を早くする「キャリアアグリゲーション」でLTE-Advancedサービスを始めるとしている。そのためにも未来創造科学部に「電波干渉問題を何とか解決してほしい」と要請していた。

韓国・仁川広域市にあるKTのLTE基地局で施設点検している様子

周波数帯使用期限が迫るまで、政府は周知せず

 未来創造科学部は、900MHz帯を使うアナログコードレスフォンは2003年から2006年にかけて販売されたもので、まだ10万人近くが使っていると説明した。2007年からは1.7GHz帯や2.4GHz帯の周波数を使うデジタルコードレスフォンだけ販売しているので、最近購入したコードレスフォンは問題ないという。ところが、インターネットショッピングモールでは、今も900MHzのアナログコードレスフォンが販売されている。

 未来創造科学部は、2006年10月の時点で「コードレスフォンの900MHz帯周波数使用期間は2013年12月31日まで」と決定したとしている。しかし未来創造科学部はあと2カ月半で10万人以上の人が過怠料を払うことになるかもしれない重要な事項を、Webサイトに告知文を掲載しただけで、何も宣伝活動をしていなかった。
 

世論の非難を浴び、韓国政府は“方針転換”

 Twitterやテレビニュースなどでこのことが知れ渡ってから、「政府はKTのために国民を犯罪者にする気か」「Twitterをしていなかったら何も知らず毎日18万円ずつ過怠料取られるところだった。怖い」と未来創造科学部を非難する意見が広がった。人気アイドルや著名人らも、Twitterで「今回のコードレスフォン過怠料はひどすぎる。電話に出るだけで18万円の過怠料なんてあり得ない。政府は企業の肩ばかり持つな」と政府・未来創造科学部を非難する書き込みをした。

 2013年10月12日、未来創造科学部は「2014年1月1日から900MHzのアナログコードレスフォンを使うのは電波法違反になるが、個人を対象にした取り締まりや過怠料徴収はしないことにする」と発表した。900MHzコードレスフォンの販売を中止し、時間をかけてデジタルコードレスフォンへと移行することになった。

せっかくの「黄金周波数」が台無しに

 未来創造科学部はKTの900MHzの周波数帯域を移動してコードレスフォンとの電波干渉を避けるとしている。そうなると、今度は800MHzを使う別のキャリア・LGテレコム(LG U+)の電波と干渉することになる。LG U+利用者とKTのLTE利用者が4m以内に近づくと電波干渉が起こるという。

 電波干渉を早期に解消するためには、900MHzのコードレスフォンを回収して他の物に交換するのが一番いいのではないだろうか。過怠料を徴収しないとしても、900MHzをKT以外が使うのは電波法違反になることには変わりない。

 800MHz帯、900MHz帯の電波は携帯電話サービスに向く特性があり、日本では「プラチナバンド」と呼ばれることがある(関連記事)。韓国でもやはり、キャリアが「『黄金周波数』でつながりやすい!」と宣伝し、周波数を前面に出すCMを流している。周波数をめぐる競争や思わぬ問題は今後さらに起こりそうだ。

趙 章恩=(ITジャーナリスト)

日経パソコン
 

-Original column
http://pc.nikkeibp.co.jp/article/column/20131018/1109063/

サムスンが世界初の曲面ディスプレイスマホ「GALAXY ROUND」発売、高価な“瓦”との酷評も [2013年10月11日]

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ついに韓国でも、米アップルの新型スマートフォン
「iPhone 5s」「iPhone 5c」が発売されることになった。2013年10月9日、アップルは10月25日から韓国など51カ国でiPhone5s/5cを発売すると発表した。日米などに続く第2弾の発売である。

 同じ10月9日に、サムスン電子は世界初という曲がったディスプレイのスマホ「GALAXY ROUND」を発表した(関連記事)。


韓国サムスン電子の曲面ディスプレイ搭載スマートフォン「GALAXY ROUND」

 さらにサムスンは従来機の「GALAXY S3」と「GALAXY Note 2」を“実質無料”で販売すると発表した。「MNP(番号乗り換え制度)で12カ月以上の契約で、月額約3000円以上の料金プランに加入する」という条件付きではあるが、このタイミングでの値下げは、iPhone5s/5cの発売に合わせたのではないかと疑いたくなる。主力スマホの「GALAXY S4」も大手量販店で8割引の1万5000円ほどで販売を始めた。

手元にすっぽり収まる形状

 新たに発売されるGALAXY ROUNDは曲がったディスプレイを搭載した世界初の「カーブド(curved)スマートフォン」である。曲がったディスプレイというので、掛け軸のように丸められるディスプレイのことかと思ったが、そこまで曲がるわけではなく、少し曲がったままのディスプレイだった。形が似ているとして、SNSでは早速“瓦”というニックネームが付いた。

GALAXY ROUNDの“瓦”のような外観

 5.7型のFull HD Super AMOLEDディスプレイの左右曲率が400mmなので、若干左右が丸くなっている感じだ。手に持つと、手のひらのカーブに沿ってすっぽり収まるのでグリップ感はとても良い。通話する際にも耳の周りにくっつく感じなので、イヤホンをしてスマホのマイクを口の前に近づけなくても大丈夫だ。


GALAXY ROUNDを上部から見たところ。カーブは手のひらになじみやすい

 CPUは2.3GHzクアッドコア、メモリーは3GB RAM、カメラは1300万画素と仕様は「GALAXY Note 3」(関連記事詳細レビュー)とほぼ同じ。だが、曲がったディスプレイはガラスではなくプラスチック素材なので、GALAXY Note 3よりも薄く(7.9mm)、より軽く(154g)なった。

GALAXY ROUNDの価格は約10万円と高め

 GALAXY ROUNDは韓国の大手通信事業者(キャリア)のSKテレコムが独占販売することになっていて、価格も10万円ほどする。まだ世界市場で発売する計画はないようで、「サムスンはこんなものまで作れる」という技術力をアピールするための端末なのかもしれない。

 GALAXY ROUNDの発売に韓国のSNSは大いに盛り上がっている。「すごいスマートフォンが登場した」と期待する声が多いが、「こんな高い“瓦”、誰が買うの?」「曲がったスマホではなく、曲がるスマホが欲しかった」「世界初を狙う挑戦はすごいが、販売できるような代物ではないだろう」「韓国のユーザーは自腹でサムスンのテスターをさせられるわけか」といった辛口コメントもある。iPhoneファンとGALAXYファンが互いに“自分側”の先進性を主張し合って、SNSでけんかする事態まで起きている。

「曲がるバッテリー」は製品化できる?

 サムスンやLG電子が展示会で公表した「曲がるディスプレイ(フレキシブルディスプレイ)を使ったスマホ」を作るには、もちろん曲がるバッテリーが必要である。バッテリーは発熱して爆発する可能性もあり、物理的に安定していることが重要だ。曲がるバッテリーの開発に成功したとしても、安全性を考慮すればそう簡単には製品化できないだろう。

 LG電子製スマホのバッテリーを製造しているLG化学は、「大きいバッテリーの上に小さいバッテリーを積み上げられる階段式バッテリー」に続いて、ウエアラブルデバイス向けの巻きつけても大丈夫な曲がるバッテリーを開発し、量産を始めると10月8日に発表した。LG化学によると、これら新しいバッテリーは「スマホのバッテリーは四角」という固定概念から脱皮し、スマホのデザインに合わせて作れるという。端末内部の無駄なスペースを減らして、ぴったりのバッテリーを組み込める。内部スペースをフル活用できる分バッテリー容量も増やせるので、より長時間動作するという。

 iPhone 5s/5cへの対抗のために、韓国ではサムスン、LG電子、パンテックの新機種発売や、サムスンの大幅値下げなどの動きが相次いだ。それでもiPhone 5s/5cが売れるのか、サムスンが市場を守り抜くのか、楽しみである。

趙 章恩=(ITジャーナリスト)

日経パソコン
 

-Original column
http://pc.nikkeibp.co.jp/article/column/20131010/1108103/

韓国スマホメーカーが「スマートカバー」に注力、従来のケースに機能性と遊び心を付加 [2013年10月4日]

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韓国サムスン電子のスマートフォン「GALAXYシリーズ」のユーザーは日本でも多い。韓国旅行のお土産に「スマートカバー」を買って行く日本からの旅行者をよく見かける。カラフルな本革カバー、鏡のようになる透明パネル付きカバー、高級なスワロフスキーのクリスタルを使ったハンドメイドカバーなど、大人かわいいカバーを日本より安く買えるからだろうか。

 韓国では最近、「スマートフォンケース」ではなく「スマートカバー」を使う人が増えている。スマホを守ったり、カラーや柄などおしゃれを楽しんだりするだけではなく、スマホを使いやすくする機能性を強調したのがスマートカバーである。

サムスンが「Sビューカバー」で先陣

 スマートカバーの先駆に当たるのが、サムスンの「GALAXY S4」の専用カバー「Sビューカバー」だろう。

 韓国人が大好きなおサイフ兼用(クレジットカードを差し込んで日本の「おサイフケータイ」っぽく使う)フリップ式ケースは、便利だが、液晶を覆ってしまうので時計を確認するためにはいちいちフリップをめくる面倒がある。Sビューカバーはフリップに透明窓を付けて、カバーを開けなくても時計を確認したり通話したりできるようにした。

 ディスプレイの中でもフリップの透明窓から見える部分だけ電力を消費する仕組みなので、バッテリーがすぐ消耗することもない。バッテリーカバーを外して代わりにカバーを付けるようにすることで、カバー付きの状態でも厚ぼったくならず端末を保護できるようにした。

 サムスンは2013年9月25日に世界同時発売した5.7型ディスプレイのスマホ「GALAXY Note 3」(日本ではauなどが発売予定=関連記事)にも専用のSビューカバーがある。GALAXY S4のSビューカバーより透明窓が大きくなり、よりスリムになった。端末を保護透明窓からは時計の確認に加えて、ショートメッセージや発信者番号、天気の確認、カメラとミュージックプレイヤーのコントロール、「Sヘルス」アプリの万歩計機能を利用できる。

サムスン電子のGALAXY Note 3専用「Sビューカバー」。

透明窓の上からメモまでできる

 何よりも便利なのは、カバーを開けずに透明窓の上から「Sペン」で手書きメモができることだ。通話中にメモしたくなった時、通話しながらSペンで書き込めるので助かる。カバーを開けてSペンでメモをすると、手書きの文字をテキストに自動変換して、その文字をアドレス帳、マップ、メール、検索など、どのアプリで使うのかというリンク先を選べる機能もある。

 GALAXY Note 3のSビューカバーは遊び心もある。カバーのカラーに合わせて、透明窓から見える液晶のカラーを変える機能が特徴。カバーの透明窓から見える液晶部分を、グリーン、パープル、ブルーなど、カバーのカラーに合わせて見やすいよう自分で設定できるのだ。

GALAXY Note 3専用Sビューカバーは7色のカラーバリエーションがある。

LGは「クイックビューケース」で対抗

 LG電子は、9月27日に発売した5.2型スマホ「LG Vu3」に専用カバー「クイックビューケース」を用意した。GALAXYのカバーとは全く違う不透明カバーで、これもまたユニークだ。


LG電子のスマートカバー「クイックビューケース」。

 カバーを開けることなく、ぴかぴか光るキャラクターや動物のアイコンで、通話受信、ショートメッセージ受信、不在電話メッセージ、時間、アラーム、充電状態などを確認できる。スペースインベーダーに登場するキャラクター風のネオンサインのようなアイコンが動いて、着信やメール受信を知らせてくれる。どのデザインのアイコンにするかはユーザーが選択できる。サムスンのSビューカバーを意識しているのか、LG電子はスマホ新機種と同じぐらいクイックビューケースを大々的に宣伝している。

中小企業を圧迫しているという批判も

 韓国スマホメーカーのパンテックも、最新の「VEGA LTE-A」を購入すると、専用カバー「スマートフリップ」を無料提供している。フリップケースに透明窓の代わりにぽっかり穴が開いている。そこからスマホの液晶をタッチして、カバーを開けずにショートメッセージの確認、スケジュールのアラームなどさまざまな機能を利用できる。

 ユーザーにとってはスマートカバーの登場で、スマホ端末を保護しながらスマホの機能を便利に使えるメリットがある。普通のケースではなくスマートカバーを選ぶ人が増えるだろう。だが、中小企業の市場だったスマホケース製造販売にサムスンやLGといったメーカーが直接参入しているので、「大手が中小企業を潰している」という批判もある。

 それでもサムスンやとLGはスマートカバーに力を入れており、競争がこれから本格化しそうだ。スマホメーカーが本体からカバーまでを一通り製造販売する動きはしばらく続きそうだ。

趙 章恩=(ITジャーナリスト)

日経パソコン
 

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http://pc.nikkeibp.co.jp/article/column/20131004/1107366/

韓国のトレンドリーダー「C世代」は大の動画好き、YouTubeでも強い参加意識 [2013年9月27日]

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2013年9月25日、米Googleのアジア太平洋マーケティング担当者らが韓国を訪問し、動画投稿サイト「YouTube」をマーケティングツールとして利用するためのヒントを紹介した。

 この日テーマになったのは「C世代」。最近の若い世代は何よりも映像コンテンツが大好きで、「創造(Creation)」「つなげる(Connection)」「コミュニティ(Community)」「情報を選別・編集する(Curation)」が好き。こうした「C世代」の若者たちはデジタルネイティブで、SNSで人とつながることで情報を取得するだけでなく、情報の生産にも関わり、情報を共有・拡散したがる傾向が強いという。

 例えば、YouTubeで人気歌手の音楽動画を視聴するだけで終わらず、気に入った動画のリンクをSNSで友達に教えたり、コメントを残したりする。さらに「歌ってみた」「踊ってみた」という動画を投稿するのが、C世代の特徴である。

参加型プラットフォームがマーケティングの主戦場

 韓国ではこのC世代が現在のトレンドリーダーであり、コンテンツ市場の主な消費者である。「これからはC世代がよく利用する参加型プラットフォームのYouTubeを使ってマーケティング活動をすべきだ」というのがGoogleの主張だった。

 CMを見るだけでは満足せず、CMの中に飛び込みがる、企業側とコミュニケーションを取りたがるのがC世代。というわけで、韓国ではYouTube上で動画が始まる前に見せる短いCMではなく、映画のような動画や「ドッキリ動画」を制作して載せる企業が増えている。

 例えば韓国通信事業者(キャリア)のLGU+(LGテレコム)は、スマートフォンから利用するナビゲーション「U+NaviLTE」の機能を宣伝するため、ホラー映画のようなCMを制作した。地図データのリアルタイムアップデート機能がないナビゲーションのせいで、旅行中に道に迷ってしまった2人の女子大生が、不思議な老人に出会う。こんな場面から始まる10分程度の動画をYouTubeで流している。

結末が7つある参加型動画で口コミ拡大

 しかもユーザーは、女子大生がどのように行動すべきかを選択できる。ユーザーの選択によって結末は7つに分かれる。LGU+のU+NaviLTEは、高速モバイル通信のLTEを使って地図データをリアルタイムアップデートできるため、道に迷うことがないというのがアピールポイント。そのためのCM動画だが、ユーザーが参加できることで、見るだけのCMより印象に残る。ゲームのように楽しめるので、「ユーザーが自ら検索してまで見たがるCM」として大きな話題になった。SNSでも動画のリンクが広がり、口コミで広がった。

 LGU+側は、「映像コンテンツ消費が非常に増えているため、オンライン広告も画像やテキストだけではなく、映像で制作するようになった。ユーザーが楽しめる映像をもっと制作していきたい」と説明した。

LG電子は「ドッキリ動画」

 LG電子のチリ法人が制作した「ドッキリ動画」は、欧米で先に話題になった。面接の時に、面接官の後ろにある窓から見えるビルの外に隕石が落ち、面接を受けている人がそれを見てびっくりして慌てる。しかし窓だと思っていたのは実はLG電子の84インチスーパーハイビジョンテレビ(Ultra HD TV)。画質が良すぎて窓の外を見ていると勘違いするほどだと訴求するためのドッキリだった。

 LG電子のチリ法人は、同じくスーパーハイビジョンテレビを使ってエレベーターの底が抜けて落下するかのように見せかけた「ドッキリ動画」も制作した。ネット上で大ヒットした面白動画は欧米メディアで取り上げられ、低予算でテレビCM以上の効果を上げたという。

 韓国のアモーレパシフィックという化粧品メーカーは、高周波オーディオフィンガープリント技術(音声認識)を使ったアプリを提供している。YouTubeに掲載した同社のCM動画の音楽に合わせてスマホを振るとポイントが貯まり、割引クーポンがもらえるというアプリだ。

 同社は、ダンスアイドルグループ少女時代(Girls’ Generation)のメンバー・ユナが出演するCMに、ユーザーが自分の動画を組み合わせて、2人で一緒にCMを撮影したかのように見せられるアプリも提供する。こうして自分で制作したCM動画をYouTubeやFacebookに投稿できるようにした。企業が一方的にCM動画を制作して動画サイトに載せるのではなく、ユーザーが面白がって自分なりのCM動画を作って友達に共有するという新たな形の動画マーケティングを生み出したのだ。

YouTube利用目的トップは「情報を探すため」

 韓国ではスマホが普及する前までは、国内企業が運営する動画投稿サイトが人気だった。だが、スマホが登場してからは、モバイルで利用しやすいYouTubeが最も人気を得ている。Googleが韓国の16歳から60歳代までのインターネット利用者2000人に調査したところ、57%が「動画を観たい時はまずYouTubeにアクセスする」と答えた。

 YouTubeを利用する目的は、1位が「情報を探すため」、2位が「音楽鑑賞」だった。文字や写真よりも動画で情報を仕入れようとする人が増えているのだ。また、全体の44%は気に入った動画があるとSNSで友達に教え、50%は動画に表示されたURLリンクをクリックすると答えた。

 韓国ではテレビCMをそのままネットに流しても宣伝効果がなく、ネットならではの動画マーケティングが必要だと言われる。動画を観るだけで終わらず、積極的に共有し参加するC世代を対象にした動画マーケティング。さまざまな工夫を凝らした競争がより一層激しくなりそうだ。

趙 章恩=(ITジャーナリスト)

日経パソコン
 

-Original column
http://pc.nikkeibp.co.jp/article/column/20130927/1106403/

韓国ユーザーはiOS 7に興味津々、サムスンはTizen(タイゼン)で対抗できるか? [2013年9月20日]

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 2013年9月20日、日本では米アップルの新型スマートフォン
「iPhone 5s」「iPhone 5c」が発売された。前回書いた通り、韓国での発売は少し先になる。

 にもかかわらず、韓国ポータルサイトで最も読まれたIT記事ランキングを見たら、日本のiPhone 5s/5cに関する状況をリポートする記事がランクインしていた。「日本ではキャリア(通信事業者)3社がiPhone 5s/5cを巡って競争している」「iPhone 5sの実質負担額は16GBモデルが新規と乗り換え(MNP)で0円」といった内容の記事だ。

最新人気機種で「実質負担額0ウォン」はあり得ない

 コメント欄には「うらやましい~」の書き込みが200件ほどずらりと並んでいた。NTTドコモがiPhone 5s/5cを販売することで、ドコモが販促に力を入れていた韓国サムスン電子の「GALAXY S4」の販売動向を気にするコメントもあった。

 韓国でもキャリア同士の競争によりスマホを安く販売するケースはある。だが在庫処分かよほど売れない機種でない限り「実質負担額0ウォン」はない。最近だと旧機種の「iPhone 5」を0ウォンで販売する代理店が増えているものの、最新機種はせいぜい1万円ほどの割引しかない。スマホの端末価格を安く抑えるには、たいてい一番高い料金プランで契約しなければならない。端末価格をとるか、適正な料金プランをとるか、よく考える必要がある。

 韓国では、やはりサムスンのGALAXYシリーズのユーザーが圧倒的に多い。2013年9月時点でiPhoneユーザーは携帯電話加入者の5%に当たる約290万人にすぎない。2012年まではiPhoneユーザーの割合が10%を超えていたが、その後、サムスンとLG電子が巻き返した。iPhoneよりサムスン・LGのスマホの方が端末割引特典が大きかったことや、サムスンの「大画面化戦略」が奏功した。iPhoneユーザーは漸減しているのが実情だ。

 2013年9月20日、日本では米アップルの新型スマートフォン「iPhone 5s」「iPhone 5c」が発売された。前回書いた通り、韓国での発売は少し先になる。

 にもかかわらず、韓国ポータルサイトで最も読まれたIT記事ランキングを見たら、日本のiPhone 5s/5cに関する状況をリポートする記事がランクインしていた。「日本ではキャリア(通信事業者)3社がiPhone 5s/5cを巡って競争している」「iPhone 5sの実質負担額は16GBモデルが新規と乗り換え(MNP)で0円」といった内容の記事だ。

最新人気機種で「実質負担額0ウォン」はあり得ない

 コメント欄には「うらやましい~」の書き込みが200件ほどずらりと並んでいた。NTTドコモがiPhone 5s/5cを販売することで、ドコモが販促に力を入れていた韓国サムスン電子の「GALAXY S4」の販売動向を気にするコメントもあった。

 韓国でもキャリア同士の競争によりスマホを安く販売するケースはある。だが在庫処分かよほど売れない機種でない限り「実質負担額0ウォン」はない。最近だと旧機種の「iPhone 5」を0ウォンで販売する代理店が増えているものの、最新機種はせいぜい1万円ほどの割引しかない。スマホの端末価格を安く抑えるには、たいてい一番高い料金プランで契約しなければならない。端末価格をとるか、適正な料金プランをとるか、よく考える必要がある。

 韓国では、やはりサムスンのGALAXYシリーズのユーザーが圧倒的に多い。2013年9月時点でiPhoneユーザーは携帯電話加入者の5%に当たる約290万人にすぎない。2012年まではiPhoneユーザーの割合が10%を超えていたが、その後、サムスンとLG電子が巻き返した。iPhoneよりサムスン・LGのスマホの方が端末割引特典が大きかったことや、サムスンの「大画面化戦略」が奏功した。iPhoneユーザーは漸減しているのが実情だ。

趙 章恩=(ITジャーナリスト)

日経パソコン
 

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http://pc.nikkeibp.co.jp/article/column/20130920/1105707/