[日本と韓国の交差点] 参院選受け、韓国のマスコミは「日本右傾化加速」で一色に

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韓国のマスコミは日本の参議院選挙の結果について大々的に報道している。22日の朝刊には、以下の見出しが躍った。
「日本、自民党が予想通り圧勝」
「与野党、日本自民党圧勝に警戒」
「安倍総理は平和憲法改定に意欲的、日本右傾化加速」

 自民党と公明党の連立与党が圧勝したことで日本は右傾化するだろう――というのが韓国マスコミの全体的な論調だ。加えて、米国と中国のメディアも、韓国と同様の見方をしていることを強調した――「米国も『自民党の勝利により、日本政府と韓国、中国との葛藤が深刻になるだろう』と見ている」。


 23日の昼現在、大統領官邸や外交部(部は省)は、日本の選挙結果に関する論評を公表していない。一方、与党のセヌリ党と野党の民主統合党は22日午前に論評を発表した。


8月15日の靖国参拝に注目


 セヌリ党は、以下のように論評した。




 今回の選挙結果によって安倍総理の政治的立場は強くなる。だが、日本の近隣国はこれから日本の外交政策がどうなるかについて懸念している。安倍政権は歴史認識を歪曲し、侵略的領土欲を露骨にして近隣国との関係を悪化させた。その結果、韓国と中国は日本と首脳会談を躊躇している。


 このような結果をもたらしたことに関して日本は自省する必要がある。近隣国に対して行った過去の過ちを心から反省し、日本が侵略の歴史を繰り返さないと信じられるようにしてほしい。


 その第一歩は、8月15日に安倍総理が靖国神社を参拝するかどうかだ。侵略の歴史を擁護するなら、日本は近隣国との関係を回復できない。セヌリ党は安倍政権が近隣国の傷に配慮し、国際社会の常識あるリーダーとして戻ってくるかどうかを見守る。国際社会の憂慮と期待に応えてほしい。


 セヌリ党のナム・キョンピル議員らは日本の選挙結果に関して次のようにコメントとしている。「日本は戦犯を英雄視し、侵略行為を否定している。韓国政府は安倍政権の憲法改定には冷静に対応しなければならない。自分たちが行った侵略行為を否定する国家と安保協調を続けていいものか? 韓国、米国、中国の安保パラダイムを考え直すため議論が必要な時期になった」と主張している。


 民主統合党は、以下のように論評した。




 日本は歴史的間違いを否定する発言と行動を続けている。これからでも間に合うので、東アジアの一員として、平和と共生に協力してほしい。そのためには侵略行為を謝罪し、軍国主義時代に行ったのと同じような挑発をしようとする無駄な妄想はやめるべきだ。


 右傾化を心配する日本国内の良心ある勢力と、全世界の人々の要求に応え、国際社会と発展的な関係を作れるようになってほしい。韓国政府も低姿勢外交を捨てて、堂々と日本の変化に対応してほしい。



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By 趙 章恩

2013年7月24




-Original column
http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20130724/251468/

[日本と韓国の交差点] Twitterを選ぶか、カカオトークを選ぶか、それが問題だった

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韓国は、日本初のネット選挙運動に注目している。

 韓国のマスコミを、こんな記事が賑わしている。
 「日本の政治家はTwitterとFacebookよりもLineを選挙運動ツールとして選択した。理由は2つ。誹謗中傷が少ないこと、日本だけでも4500万人のユーザーがいることだ」
 「日本の政党はLineやSNSを、支持者との関係をより強くするための選挙運動ツールとして使っている。選挙に関心のない人やこれまで支持者でなかった人に情報を提供することよりも、従来の支持者との関係強化を重視している」。


 韓国は2012年12月の大統領選挙で、日本より一足先にSNSを使った選挙運動を経験した。その結果、反省すべき点にきづいた。2014年には次の地方選挙(自治体の首長と議員を選ぶ選挙)が控えている。日本のSNS選挙運動から学ぶことはないかと気にしている。



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By 趙 章恩

2013年7月19




-Original column
http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20130718/251252/

避暑地として人気の釜山・海雲台、「ビッグデータ」で現実的な観光政策を立案 [2013年7月12日]

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海水浴場沿いに高級ホテルが並ぶ釜山の海雲台(ヘウンデ)は、韓国で人気がある避暑地の1つである。夏になると、長さ1.5km、幅30mの海雲台海水浴場に1日70万人以上の人々が集まり、足の踏み場もなくなる。海水浴場が開場する6月から9月までは韓国じゅうで最も人が集まる場所なので、ビールや食品、家電、化粧品、オンラインゲームなど各種メーカーのイベントも、夏場はソウルよりも海雲台で開催することが多いほどだ。

 海雲台は「スマートシティー」あるいは「スマートビーチ」としても有名だ。海水浴場の入り口にはデジタルサイネージの観光案内スクリーンがある。タッチ式でメニューを選んで観光情報やグルメ情報などを検索できる。もちろん、日本語でも利用できる。


 デジタルサイネージにはカメラが付いていて、海を背景に記念写真や動画を撮影して、自分のメールアドレスにも送信できる。海水浴場周辺のお店ではスマートフォンの電子マネー決済(NFC決済)が使えるので、スマートフォンさえあれば現金はいらない。迷子防止用の位置情報確認腕輪も無料で利用できる。保護者のスマートフォンから子供の位置を確認できるのだ。


“地の利”生かし「ビッグデータ」分析


 釜山市海雲台区役所は、海水浴場や周辺のホテル、レストランを利用する観光客の利便性を高めるために、「ビッグデータ分析チーム」を設置した。韓国の地方自治体の中では初めてチームを設置し、政策立案に役立てている。


 海雲台区役所は2012年夏に、SNSでつぶやかれた海雲台関連の口コミを分析した。その結果、区役所や市が実施していた観光キャンペーンと、実際に観光客が欲しがっていた情報に食い違いがあることを発見した。


 例えば、市や区役所は釜山の名物であるパジョンや豚のクッパといった伝統食を観光客向けに宣伝していた。ところが、つぶやかれた口コミを分析したところ、観光客が釜山で食べたがっていたのは、全国どこにでもある刺身、チゲ、寿司だった。立派なレストランよりは屋台で食事をしたい、夜はクラブに行って踊りたいといった意見が多いという事実も発見した。このようにビッグデータ分析をうまく活用すれば、観光客が関心を持たない情報についてPRするような観光Webサイトに無駄な予算を使わなくて済む。


 宿泊に関しては、市や区役所はホテルやモーテルを観光客向けに紹介していたが、それよりも「ゲストハウス」の方が人気だった。ゲストハウスは2段ベッドに共用のバスルームとキッチンがある格安の宿泊施設である。海雲台に関する英語のつぶやきは、夏よりも釜山国際映画祭が行われる10月の方が多い、ということも分かった。釜山国際映画祭のレッドカーペットにK-POPアイドル誰が来るのかといったことが話題になっていた。



一部の声しか反映しない「卓上行政」から脱却


 初歩的なビッグデータ分析ではあるが、SNSのつぶやき分析結果を基に、2013年の夏は海鮮チゲや刺身のおいしい食堂を観光客向けに紹介できるよう準備している。従来の観光政策は、何人かのモニターを集めてグループインタビューをしたり、Web調査を実施したりする程度だったので、実際に海雲台を訪問した観光客の意見を広く反映した政策とは言えなかった。何をしても「卓上行政」だと批判する声もあった。


 ビッグデータ分析を導入し、膨大なデータから現場の意見をくみ取ることで施設を改善し、的確な情報を提供によって観光客を増やすのが海雲台区役所の狙いである。データを基に政策を立案すれば、観光客だけではなく、施設で働く地元の人々の満足度も上がるというわけだ。


防犯カメラの映像を分析し交通改善


 海雲台区役所は観光政策以外の分野でも、20代向け雇用増加や、防災といった目的でビッグデータを駆使している。交通の改善にもビッグデータを活用。区内にある防犯カメラの映像を分析して、駐車違反や違法駐車が多い地域と時間帯を割り出し、駐車場を増やすか交通システムを見直す計画だ。区役所は、防犯カメラを取り締まり目的で使うよりも、住民・観光客にとって不便にならないようにするためのツールとして使う方針を掲げる。そのためにもビッグデータ分析が必要だと見ている。


 海雲台区役所は、釜山市にあるビッグデータ処理プラットフォーム研究センターと協力して分析を行っている。まず区役所の職員らが政府機関のデータ、区が実施したアンケート調査結果、過去の政策、区のWebサイトに寄せられた苦情や意見、SNS上のデータなどを集める。研究センターが分析ツールを作成し、これらのデータを解析する。区役所によると、個人を識別できないようにしてデータを分析するなど、個人情報保護には配慮しているという。


中央政府もビッグデータ政策推進へ


 韓国では地方自治体だけではなく、中央政府もビッグデータ分析に熱心である。データを分析することでいち早く国家的課題を見つけて解決するために、「国家未来戦略センター」という名前のビッグデータ分析センターを設立する予定だ。


 データを活用した新産業活性化のため、まずは政府の公共データを、極秘事項を除いては基本的に誰でも利用できるように開放。民間のデータ流通も促進できるよう制度を改善する。データ分析に長けた「データサイエンティスト」を育成し、分析を体験できる「ビッグデータ分析・活用センター」も年内にオープンする予定である。



趙 章恩=(ITジャーナリスト)

日経パソコン
 

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http://pc.nikkeibp.co.jp/article/column/20130712/1097503/

モバイルゲームを売るにはSNSが必須? 開発者は韓国でKakao、日本でLINEと組む [2013年7月5日]

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韓国では、2012年下半期に中高年までを“ゲーム地獄”に引きずり込んだ国民的人気モバイルゲーム「Anipang」(
関連記事)が成功してから、SNG(Social Network Game)ではない単独ゲーム、つまりSNSとつながっていないモバイルゲームは売れなくなってしまった。アプリストアの人気上位は全てKakaoTalk(カカオトーク)とつながっているモバイルゲームで、大手ゲーム会社のアプリよりもアイデアで勝負するベンチャー会社のゲームアプリが躍進している。2013年6月時点で170を超えるゲームが「ooo(ゲーム名) for Kakao」の名前でアプリストアに登録されている。

 韓国では、単独のモバイルゲームや、「モバゲー」のような(SNSよりもゲームを中心とした)ポータルサイトが提供するゲームよりも、SNGが圧倒的に人気を集めている。それは、SNSが今までゲームに全く興味がなかった人までも顧客にできるプラットフォームだからである。


NHNハンゲームも韓国ではKakaoと組む


 実は、韓国のKakaoTalkでヒットしたモバイルゲームは、日本ではKakaoTalkではなくLINE(ライン)に乗り換えてリリースされることが多い。同じゲームを韓国語バージョンはKakao向けに、日本語バージョンはLINE向けに提供していることがよくある。韓国でSNSといえばKakaoTalkの存在感が大きいが、日本ではLINEを超えるSNSはないからだ。


 KakaoTalkとLINEはSNS事業では全世界で激しく競り合っている(関連記事)。ところが、LINEの親会社である韓国NHNは、韓国内ではKakao向けゲーム「チームナイン for Kakao」を提供するなど、ゲームの供給先としてKakaoを活用している。










NHNハンゲームがKakaoTalk向けに新しく始めた野球ゲーム「チームナイン for Kakao」


 KakaoTalk(KAKAO)とLINE(NHN)は共に韓国資本の企業が開発したSNSだが、海外利用者数が多いことから、韓国モバイルゲームの海外進出プラットフォームになるのではないかと期待されている。現時点でKakaoTalkのユーザーは全世界で約1億人、LINEは1億8000万人に上る。


中高年がソーシャルゲームを楽しむように


 韓国インターネット振興院が発表した「2012年スマートフォン利用実態調査」によると、スマートフォンユーザーの79.7%はKakaoTalkやLINEといったソーシャルネットワークサイトを経由したSNGを利用したことがあると答えた。SNGの利用経験者は10~30歳代は90%以上、40歳代77.2%、50歳代で54.3%と中年層の間でも着実にユーザーを獲得しているのが特徴だ。


 SNS上の友達から「面白いゲームがあるからやってみて」とメッセージをもらいゲームをダウンロードするのが最初のきっかけになっている。広告よりも、友達に勧められる方がダウンロードしてみようという気持ちになるからだ。また、「主にダウンロードするアプリ」についても79.7%がゲームと答えているほど、モバイルゲームは韓国のアプリストアで圧倒的な人気を集めている。


若年層よりも30歳代以上が有料アイテム購入多い


 2013年7月3日ソウルで開催されたゲームテクノロジーセミナーでは、KakaoTalkやSNG開発会社によるモバイルゲームの展望に関する発表が人気を集めた。スマートフォンのゲームアプリの主なユーザーは10~20歳代と思われがちだった。だが韓国で人気のSNGは、ダウンロード数は20歳代の方が多くても、有料アイテムを購入するユーザーはほとんど30歳代以上だという。


 2013年上半期の売上高を比較すると、いち早くKakaoTalk向けにゲームアプリを提供したベンチャーが既存の大手モバイルゲーム会社を追い越した。ゲーム会社が次々にKakaoTalkと手を結んだことで、SNGの種類も豊富になった。


 現状では、まだ「Anipang」「ウィンドランナー」「アイラブコーヒー」のように、中高年層のゲームになじみの薄い人でもすぐに遊び方を理解できるカジュアルゲームの方がユーザー数は多い。だが、この夏からはロールプレイングやシューティングなど本格的なゲームが多数登場している。パソコン用ゲームと比べても遜色ないほどグラフィックも高品質になっている。さらに、数人が同時にアクセスしてチームを作って敵を倒すゲームになっているので、SNS上の友達と一緒に遊ぶのにぴったりである。


大画面スマホや高速回線普及も追い風に


 最近のスマートフォンは画面が5インチぐらいあり、高性能プロセッサーを搭載して、バッテリーもかなり長持ちするようになった。しかも7月から韓国のキャリアはLTEより2倍、3Gより10倍速い150Mbpsの「LTE-Advanced」を商用化する。「ネットワークが遅いためにスマホでゲームを楽しめない」ということも少なくなりそうだ。


 韓国コンテンツ振興院によると、韓国のスマートフォン向けゲーム市場規模は2012年約820億円で前年比28%ほど成長している。2013年も20%以上成長する見込みである。




趙 章恩=(ITジャーナリスト)

日経パソコン
 

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http://pc.nikkeibp.co.jp/article/column/20130705/1096656/

スマート教育はロボットを活用する時代へ、韓国2大キャリアが子供向けロボットで競う [2013年6月28日]

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韓国は、教育分野でのIT活用、スマート教育に熱心な国だ(
関連記事)。2013年6月18日~20日、韓国・ソウル市にある展示場COEXで、スマート技術と教育の融合をテーマにした「スマートラーニングコリア」展示会が行われた。一般向けではなく、ビジネス・バイヤー向けの展示会ではあったが、スマート教育を実践している小中学校の教師が参加するセミナーや模擬授業もあり、教師と企業が一緒になって教育の未来を考える展示会だった。

 展示ブースの中で目立ったのは、大手通信事業者(キャリア)であるSKテレコムとKTの2社が、幼児向け教育ロボットを目玉にしたことである。


 SKテレコムは「アルバート」という名前のロボットにスマートフォンを装着して使う方式である。ロボットとスマートフォンの他に、専用のお店ごっこゲームボード、英単語カード、英語絵本などを展示した。









ソウル市の展示会でSKテレコムが展示した幼児向け教育ロボット「アルバート」



 英語絵本は電子ペンでなぞると英語を読み上げる。ペン先に付いているカメラで自分の顔を撮影してアプリに連動させると、ロボットの画面には絵本の主人公が自分の顔になって登場。子供が楽しく英語を勉強できるようにしている。英語絵本は600種類を販売。英単語カードをロボットにかざすと読み上げ、韓国語で意味を教えてくれる。


Bluetoothサイコロでお店ごっこ


 「お店ごっこゲームボード」はロボットがお客、子供が店員になる。Bluetooth付きサイコロを投げると、サイコロの数字をロボットが認識して、その数だけボード上のマスを進められる。


 マスには魚、野菜、文房具、セール会場といった文字が書いてある。ロボットは該当マスに書いてあるカテゴリーの中から商品を選んで「○○をください」と子供に示す。子供は商品が書いてあるカードをロボットにかざす。ロボットはBluetoothでカードの情報を認識し、ロボットの画面(スマートフォンの部分)にカードに書いてある商品が登場する。


 さらに、画面にはロボットがお金を差し出す場面が登場し、ロボットは「おつりください」と言う。子供は専用の紙幣をロボットにかざし、おつりを渡す。ちゃんと計算しておつりを渡すことで算数の勉強につながり、遊びながら学習効果もあるということだ。


 スマートフォンにゲームコントローラーをダウンロードすることもできる。スマートフォンをリモコンにしてロボットを動かしてボールを入れるサッカーゲームで遊ぶ、といった使い方になる。今までロボットというと大きくて銀色に光る巨体をイメージさせたが、SKテレコムの教育ロボットは手のひらサイズでとても小さく簡素なものだった。


 スマートフォンが画面になるので、ロボットとゲームボード、絵本や電子ペンまで一式全てをそろえても2万円もかからないお手頃価格である。スマートフォンを取り付けて使う仕組みなので、ロボット自体を買い替えなくてもスマートフォンにアプリをインストールするだけで幅広い機能を使える。



KTは歌って踊れるロボットを展示


 もう一方のKTは、2012年から発売している水色のロボット「Kibot2」を展示した。7インチの画面が付き、30cmぐらいの高さで、頭の後ろに投影のための“ビーム”が付いている。ロボットにアプリをダウンロードしたら、ビームを使って壁一面にアプリ画面を映し出し、親と子供が一緒に歌ったり踊ったり絵本を読んだりできる。英語や韓国語の文字を指でなぞりながら筆順を練習するアプリもある。筆順通りに書かないと次に進まない。









KTが展示した教育ロボット「Kibot2」



 ロボットの頭や足をなでると画面が笑顔になり、放置すると眠そうな顔になる。専用のカードをロボットにかざすだけで親の携帯電話につながる仕組みもあるので、防犯カメラとしても使える。Kibot2は一括払いだと7万円、KTのインターネットユーザーの場合は2年契約で月1500円ぐらいの利用料をネット料金に上乗せする。KTは、Kibot2用学習アプリ開発者を育成するための教育プログラムも運営している。


キャリアは音声通話収入を補う狙い


 スマートフォンが登場してから減り続ける音声通話収入を補う狙いもあって、SKテレコムとKTは「スマート教育」に力を入れている。2015年からは韓国全土の学校で「デジタル教科書」を使えるようになる。このため、親は子供が小学校に入る前にデジタル教科書に備えたいとして、タブレットを購入して学習アプリを利用させるケースが増えている。


 KTが無料提供している「オーレ幼稚園」「オーレ小学校」は算数・国語・社会などの学習効果があるクイズとゲームを提供するアプリ。初めてスマートフォンやタブレットを使う子供向けのアプリになっている。学習レベルを分析して、それに合わせてより難易度の高い学習アプリを勧めてくれる。「子供に学習アプリを使わせてみたいけど何から始めたらいいのか分からない」という親に好評だ。


 対するSKテレコムは有名予備校と提携し、中高生向けの本格的な受験勉強アプリを有料サービスとして提供している。大人向けの英語学習アプリにも力を入れる。展示会で紹介していたのが「Tムービーイングリッシュ」。最新映画を観ながら英会話を学習できるというものだ。スマートフォンで映画を再生すると、右側の透明なスクリーン上に英語字幕と韓国語字幕が登場する。もう一度見たい場面を繰り返したり、分からない単語をクリックすると詳細な意味が出てきたり、字幕を消して映画だけ見たりできる機能もある。映画ごとに覚えておくといい英語表現をまとめて解説する機能も学習の助けになりそうだ。


 SKテレコムは、現行の「アルバート」よりさらにかわいくて使い勝手が良いという新たな子供向けロボット開発も進めているという。2012年下期には「キッズタブレット」と呼ぶ幼児向け7インチタブレットの広告が目立ったが、今年の展示会ではロボットを前面に打ち出している。


国策として「スマート教育」推進


 今回のスマートラーニングコリア展示会の内容は盛りだくさんだった。英語・算数といった科目別学習アプリ、スマート教室内で3D映像やAR(拡張現実)を使う模擬授業、紙の教材を手軽にアプリに変換できるツール、デジタル教科書を教師がカスタマイズして使えるようにするツール、学習履歴管理・学習レベル分析といったソリューションに至るまで、びっしりとブースに並んでいた。


 韓国新政権のICT(情報通信技術)政策はソフトウェア・コンテンツ産業育成、クリエイティブな人材養成、ベンチャー投資活性化に重点を置いており、スマート教育関連ベンチャー投資も積極的に行うとしている。政府が営業担当者になりスマート教育関連端末とシステムを輸出することも盛んに推進する方針だ。次回のスマート教育関連展示会は9月にソウル市で開催される。





趙 章恩=(ITジャーナリスト)

日経パソコン
 

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http://pc.nikkeibp.co.jp/article/column/20130627/1096136/

Microsoft、Googleに続いてFacebook首脳が韓国訪問、ザッカーバーグCEOとサムスン電子の7時間に及ぶ会議の内容は? [2013年6月24日]

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2013年6月17日の夜、米Facebookのマーク・ザッカーバーグCEOが韓国を訪問した。ソウルの金浦空港には、あのザッカーバーグCEOを一目見ようと一般人も集まり、K-POPアイドルの出待ちのような状態になった。


 韓国でのザッカーバーグCEOに対するイメージは、「プログラミングの天才」「ハーバード大学中退でFacebookを設立した秀才CEO」「Facebookを大手企業に売らなかったプライドの高いCEO」「最年少大富豪」といったもので、憧れの存在である。


 ザッカーバーグCEOは18日の午前、朴槿恵(パク・クネ)大統領と面談し、午後にはサムスン電子本社で7時間に及ぶ会議をしてから帰国した。大統領官邸によると、朴大統領とザッカーバーグCEOは、Facebookをプラットフォームにして新しいビジネスができるようにし、韓国政府が力を入れているベンチャー起業促進と、ベンチャーのグローバル進出をサポートする、といった話を交わしたという。


スマホ分野でのサムスンとの関係強化が狙いか?


 サムスン本社を訪問した時には、最新型スマートフォンの「GALAXY S4」(関連記事)を握りしめてやってきた。サムスンのイ・ジェヨン副会長、携帯電話事業部門シン・ジョンギュン社長、イ・ドンジュ副社長など、モバイルビジネス関連の役員とミーティングし、社内レストランで食事もともにした。サムスン会長の長男であるイ・ジェヨン副会長はFacebookに会員登録していないそうで、ザッカーバーグ氏に会ってみてどうだったかと質問する記者らに「FacebookのID持ってないのかってザッカーバーグに怒られた」なんていうエピソードを披露した。


 今回の訪問にはザッカーバーグCEOの他にFacebookのダン・ローズ副社長、スマートフォン向け「Facebook Home」を担当するプロダクトマネージメントディレクターのアダム・モセリ氏、モバイルパートナシップ部門副社長のボーン・スミス氏、同部門ディレクターのアロン・バースタイン氏も一緒だった。このことから、サムスンのスマートフォンにFacebook Homeを搭載して、両社がモバイル広告事業で手を結ぶぼうとしているのではないかと見られた。


 Facebookは台湾HTCと、いわゆるFacebook Phoneの「HTC First」を発売したことがある。あまり売れなかったどころか、発売中止になるかもしれないという噂が流れるほど、失敗作だと酷評された。Facebookはサムスンと手を結んで、Facebook Phoneを復活させたがっているのか。




 


サムスンはFacebook Phoneには慎重姿勢


 サムスン側は、「Facebook側とIT産業について多様な意見を交換し、パートナーシップについて話し合いをした」とコメントしながらも、Facebook Phoneについては「また今度話しましょう」というだけだった。


 2013年に入ってから、米Google共同創業者のラリー・ペイジCEO、米Microsoft創業者のビル・ゲイツ氏も韓国を訪問した。ザッカーバーグ氏と同じように朴大統領と面談し、サムスンの役員らともミーティングしている。


 この2人は朴大統領と、大統領のキャッチフレーズである「創造経済」(クリエイティブな発想が国家競争力につながるとしてソフトウエア産業とベンチャー活性化に重点を置く政策)について語った。サムスンとはスマートフォンのOSについて協議している。


 韓国マスコミは、GoogleやMicrosoft、Facebookは「サムスンが世界最大のスマートフォンメーカーであるために、仲が良いことをアピールするため韓国に来たのではないか」と分析した。


AndroidとTizen、Windowsを巡る思惑が交錯


 サムスンはGoogleのAndroid OSを搭載したスマートフォン「GALAXY Sシリーズ」を世界中でヒットさせた。一方で、米Intelや日本のNTTドコモと共同で「Tizen(タイゼン)」というLinuxベースのOS開発を支援していることから、「サムスンにとっての脱・Androidの日が近づいた」と騒がれている。


 一方のMicrosoftとサムスンのパートナーシップも揺らいでいる。サムスンが販売しているパソコンは全てMicrosoftのWindowsベースのものだが、Windows 8搭載ノートパソコンの売れ行きはぱっとしない。「Windows大好き」の韓国人でさえ、自宅用にはおしゃれで高画質の米Apple製のMacを購入する人が増えている。


 サムスンはGALAXY Sシリーズの前に、「Omnia(オムニア)」というWindowsベースのスマートフォンを販売したことがある。世界的にパソコンからタブレットへ重点を移すパソコンメーカーが増えている中で、Microsoftもまだサムスンとは仲良しパートナーであり、Windowsベースのスマートフォンに注力する可能性もある、ということをアピールしたかったのではないかと見られている。


 サムスンは最近、ソフトウエア人材の確保に乗り出していて、ハードウエアの製造だけではなく、「中身」も作れる企業になろうとしている。韓国ではサムスンとグローバルIT企業との提携だけでなく、サムスン自身がこれからどのように変身するかも注目されている。




趙 章恩=(ITジャーナリスト)

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http://pc.nikkeibp.co.jp/article/column/20130624/1095602/

韓国でスマホがないと不安で何もできない子供が続出、3歳から「スマホ中毒」予防教育義務化へ [2013年6月14日]

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韓国で「スマホ中毒(スマホ依存症)」が社会問題になっている。IT政策を担当する未来創造科学部と韓国インターネット振興院が2013年6月、10~49歳のスマートフォンユーザー1万683人を対象に調査したところ、10代の18.4%が「中毒」状態であるという結果になった。20~49歳の中毒率9.1%を大きく上回る。

 スマートフォンが手元にないと不安で、日常生活ができなくなる状態を「中毒」と判断する。2012年調査では11.1%だったのが、1年の間に7ポイントも増えている。スマートフォンユーザーの1日の平均使用時間は4時間、中毒と判定された人は1日7.3時間以上使っている。中毒者は1回当たり19分ほど、1日23回以上スマートフォンをチェックしていた。


 また別の調査では、未就学~小学生の7.3%が1日3時間以上インターネットを利用する「ネット中毒」(パソコン利用)という結果も出ている。小学生はネット中毒、中高生はスマートフォン中毒が問題である。


スマホ中毒とSNS中毒の“合併症”も


 一般的なスマートフォンユーザーは主にニュースや検索、メール、スケジュール管理といったことにスマートフォンを使う。一方で、片時も手から離せなくなる中毒状態の人は、SNSとゲームに使う時間が圧倒的に多かった。


 一般的なユーザーはスマートフォン使用時間4時間のうち3時間をSNSに使うが、中毒者は7.3時間のうち5.4時間をSNSに使っている。青少年のスマートフォン中毒は「SNS中毒」と言われるほどである。青少年のスマートフォン中毒者は1年に平均7.9回ほど、SNSで嘘を書き込まれたり、仲間外れにされたりする「ネットいじめ」を経験したことがある。




「ネットゲーム中毒」は解消に向かったが


 韓国インターネット振興院の『2012年インターネット利用実態調査』によると、6~19歳のスマートフォン保有率は64.5%で、2011年21.4%に比べ3倍も増えている。小学生から当たり前のように自分用のスマートフォンを持つ韓国では、デバイスの普及と共に小学校でも個人情報保護やネチケット(ネットで書き込みする際のエチケット)などを教えている。


 韓国では15年ほど前から、青少年の「ネットゲーム中毒」が社会問題になった。ネットカフェで寝泊まりしながらゲームのしすぎで“過労死”した事件、ゲームを止める家族に暴力を振るった事件、現実とゲームの世界を区別できなくなり殺人や自殺をする事件、などが何度も起きている。


 学校と政府機関、警察、病院が協力してネットゲーム中毒予防教室と治療教室を続けたことで、今ではネットゲーム中毒そのものが問題になることは少なくなった。ところが、それで一件落着とはならず、時代がパソコンからスマートフォンに移行した途端に、今度はスマートフォン中毒が問題化しているのである。


「中毒予防計画」もスマホ版に改定


 韓国政府は2013年6月13日、ネット中毒予防教育、ネットゲーム中毒予防教育など、別々に行っていた各種ネット中毒の予防教育を1つにまとめ、3歳から義務的に教育する総合計画を発表した。国家情報化基本法により2010年に成立した「インターネット中毒予防と解消総合計画」を改定し、幼児から大人まで、生涯にわたってネット中毒・スマートフォン中毒を予防し、治療・事後管理するという内容である。中毒予防・治療に関する韓国の経験や治療事例を海外に伝える国際協力も活発にする。


 総合計画では具体的に以下のような施策を掲げている。2015年までに幼稚園から高校まで予防教育の義務化、医学・科学的スマートフォン中毒治療モデルの開発、スマートフォン中毒予測指数の開発、「スマートフォン中毒対応センター」を11カ所から18カ所に増設、治療を終えた「回復者の集い」を結成、などである。幼児の場合は親に対する教育活動をして、子供がスマートフォン中毒にならないよう見守れるようにする。



政府が保護者向け「アプリ制限アプリ」を提供


 さらに、スマートフォン中毒・ネット中毒を細分化する。スマートフォン中毒の中でもSNS中毒なのかゲーム中毒なのか、ギャンブル中毒なのか、といった中毒の類型を細かく分けて、それに合わせて予防・治療をするのだ。この計画には、教育部、未来創造科学部、保健福祉部、女性家族部、文化体育観光部、放送通信委員会といったネットと教育に関わる省庁がすべて参加する。


 韓国政府は「子供のスマートフォン中毒を予防するためのアプリ」も開発している。親が決めたサイトとアプリしか利用できないようにしたり、ネットに接続する時間を制限できるアプリである。スマートフォンの使用時間と何に使っているのかを自動記録し、「やり過ぎ」と判断した場合、親と担任教師に連絡するアプリも登場した。


 スマートフォンの普及が速かった分、中毒という悪い面が出てしまった韓国。3歳からのスマートフォン中毒予防教育は効果を発揮するのか、中毒の原因と言われるSNS会社がどう対処するのかも気になるところだ。


趙 章恩=(ITジャーナリスト)

日経パソコン
 

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http://pc.nikkeibp.co.jp/article/column/20130614/1094523/

米ITC、アップルがサムスン電子の3G関連特許を侵害したと判定 韓国内では「裁判所マーケティング」との声も [2013年6月7日]

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米国際貿易委員会(ITC)は2013年6月4日、米アップルが韓国サムスン電子の標準核心特許(Standard Essential Patents)である通信方式CDMAの「インコーディング」「ディコーディング」関連特許を侵害したと判定した。

 これは(LTEではなく)3Gモバイルネットワーク関連特許である。この特許を巡ってはオランダの裁判所でもアップルが侵害したとしてサムスンが勝訴したことがある。ITCは、サムスンがアップルにこの特許に関して告知したにもかかわらず侵害した点に着目した。


iPhone4以前のスマホが“特許侵害”と判定


 ITCは特許を侵害した製品であるとして、アップルのスマートフォンiPhone3、iPhone3GS、iPhone4、iPad、iPad2を米国内に輸入してはならないという「輸入中断」まで宣告した。米国外で生産したアップル製品を米国内に輸入して販売してはならないということだ。同じアップル製品でも、米クアルコム製のチップを使っているiPhone4Sの場合は、クアルコムがサムスンに特許使用料を払っているから問題ないという判定になった。


 アップルは、サムスンの標準核心特許はFRAND(Fair, Reasonable And Non-Discriminatory)といって、誰でも特許が使えるようにしないといけないので訴訟の対象にはならないと主張した。だが、ITCは受け入れなかった。


判定勝ちのサムスンだが、新製品は無関係


 今回のITCの判定は2011年6月サムスンがITCに審査要求したもので、再審に再審を重ね、2年の歳月を経てやっと最終判定が降りたものである。サムスンとアップルはお互いに自社の特許を侵害されたとして、ITCに特許を侵害した製品を米で売ってはならないと主張。サムスンはアップル製品を、アップルはサムスン製品の輸入禁止を求めていた。ITCは「関税法」に基づき、特許を侵害した製品を米に輸入できないようにする。


 実は今回の判定は、サムスンにとっては、とても“大勝利”と言えるようなものではない。新製品は輸入禁止の対象にならなかったのでアップルの金銭的な損害はそれほど大きくない。今回はたまたまサムスン有利な判定が先に出たが、「サムスンがアップルの特許4件を侵害したのかどうか」に関するITC判定が8月に行われる予定。8月になったらアップルはサムスンの特許を1件侵害、サムスンはアップルの特許を4件侵害した、という判定で“逆転”される可能性もある。サムスンとしてはITCの判定に満足していられない状況だ。


米国政府vsアップルの対立も背景か


 とはいえ、ITCの判定は韓国で大々的に報道された。世界各国でサムスンとアップルの特許侵害訴訟合戦が続いている中、ITCの判定は今後の判決に影響を与える可能性があるからだ。


 今回のITCによる判定(アップルがサムスンの3Gネットワーク関連特許を無断で使用したという判定)は、現在両者の訴訟の中でも最も注目されている米カルフォルニア北部連邦裁判所の判決とも食い違いを見せる内容だった。ITCが認めれば、米国内の他の裁判所でも同じようにアップルがサムスンの特許を侵害したと判定する可能性が高い。


 一方で、別の角度からの見方もある。アップルは米国を代表する企業ではあるが、納税や雇用を巡っては米国政府と対立している。アップルに米国経済のためのアクションを促す意図で、ITCや米国政府が判定を“政治的”に利用したのではないか、というのだ。



裁判をマーケティングに活用?


 サムスンとアップルは2011年から、世界中の裁判所で30件を超える特許訴訟中である。通常、判決までに2~3年以上かかる。スマートフォンやIT機器の分野は製品サイクルが短く、判決が出る頃には、訴訟対象になった製品は古くなっている。販売差し止め訴訟の結果が出る前に、もう市場から消えているのだ。


 例えば、アップルが訴訟を起こした対象製品は2011年当時の最新機種「GALAXY S2」だが、販売差し止めをするまでもなく、今では“自然に”販売終了している。韓国ないのスマートフォンユーザーたちの反応は冷めている。「両社は無駄な消耗戦をやめて和解し、訴訟に使う時間と金を新製品開発に使えば?」というのがよくある意見だ。


 韓国のマスコミも、アップルがサムスンを訴えたおかげで、サムスン電子の知名度が上がり、ブランド価値も高くなったという、冷めた見方をしている。「裁判所マーケティング」という名称まで付けた。訴訟に使った資金の元は十分に取れたということだ。アップルとの訴訟が始まった2011年夏以降、サムスンのスマートフォンがどんどん人気を集めた。今や、アップルより売れるようになり、世界シェアではサムスンが優位に立った。


 裁判所マーケティングをあまり長々と続けていては、世界中のスマートフォンユーザーが白けてしまうだろう。ITCの判定をきっかけに、再審に再審を重ねていた訴訟もいよいよ決着がつきそうだ。




趙 章恩=(ITジャーナリスト)

日経パソコン
 

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違約金なしで1年ごとに機種変更できる新プランがユーザーから不評、「ホゲン様になりたくない」 [2013年5月31日]

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韓国最大手通信事業者(キャリア)のKTは、2013年5月末からサムスン電子のAndroidスマートフォン「
GALAXY S4」を購入した先着1000人に対し、1年後に端末代金残高や「違約金」(24カ月契約とするいわゆる“2年縛り”の代わりに利用料金を割引してもらった分を違約金として支払い、自分割りとか家族割りなど割引してもらった分も返す)、その他手数料一切なしで新規スマートフォンに機種変更できる「チェンジアップ」プランを始めた。条件は月々5500円(直近の為替レートで日本円に換算した場合、以下同様)以上のLTE料金プランに加入すること、それから、1年後に機種変更をする際には端末を返納することである。

 つまり、通常の24カ月契約で加入し、利用料と端末代金を分割で支払う。12カ月過ぎた時点でKTの公式Webサイトから機種変更すれば、GALAXY S4の端末代の残金や24カ月契約を満たなさなったことに対する違約金はなかったことになる。新機種を選んでまた新しく24カ月契約で加入できる。










韓国キャリアKTのWebサイト。GALAXYS4を購入した先着1000人を対象に、1年後最新機種に機種変更できる特別プランを始めた。



頻繁に機種変更したい人には朗報のはずが…


 キャリアを乗り換える場合、契約期間が残っていても、「違約金相当を割引するからうちのキャリアに変えませんか」と代理店が勧誘することは、これまでにもよくあった。しかしキャリアが自ら違約金無しにして1年で機種変更できるようにしたのは、韓国ではこれが初めてである。


 スマートフォンの新機種は1~2カ月ごとに発売されている。「24カ月も同じ端末を使うのは嫌だ」というユーザーも多かったはずなので、チェンジアッププランは喜ばれるだろう…というのはキャリアの思い込みだったようだ。


 なぜなら、GALAXY S4の端末価格が7万円ほどと高めだ。端末代金の24回分割払い分を上乗せすると、最も安い料金体制を選んでも月々8500円程度を払う必要がある。1年後に解約すれば、チェンジアッププランに加入しない場合、端末の月賦残りと違約金で5万円ほど払わないといけないが、チェンジアッププランならこれが無料になる。しかし、ネット上では「KTの新プランはユーザーをバカにしている」という不評が絶えない。







趙 章恩=(ITジャーナリスト)

日経パソコン
 

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http://pc.nikkeibp.co.jp/article/column/20130531/1092485/

[日本と韓国の交差点] 韓国の深刻な懸念~2050年には人口が2割減少

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7月11日は世界人口の日(World Population Day)である。1987年7月11日に世界の人口が50億人を突破した。これをきっかけに、世界人口の急速な増加が引き起こす食糧不足問題などに関心を持ってもらうため、国連人口基金(UNFPA)がこの日を制定した。

 韓国でも、この日を「人口の日」と定めている。ただし、その位置づけは国連とは逆だ。出産率の低下と高齢化による将来の人口不足問題に関心をもってもらうため、この日を定めた。全国各地で結婚と出産を奨励するイベントも行う。2013年の人口の日を記念し、あるお坊さんが国務総理賞を受賞した。2005年からお見合いを積極的に開催して、これまでに1200組を結婚させたことを評価した。

 ソウル市はこの日、市役所の前でダドゥンイカードを所持した家族向けのイベントを開催する。このカードは、ソウル市が取り組む出産奨励政策である。子供が2人以上いて、末っ子の年齢が13歳未満の家族だけが持てる。このカードで決済すると、ファミリーレストラン、スターバックス、美容院、映画館、子供用品、ガソリンスタンド、塾、eラーニング、書店、博物館などで5~20%の割引が得られる。テーマパーク入場料には50%割引といった特典がある。バスや地下鉄などの運賃も割引してもらえる。子供の数が多いほど割引率が高くなる。

 同様の特典を持つクレジットカードを、全国の自治体が地元の銀行と提携して発行している。全国共通の特典もある。子供が3人以上の場合、大型自動車取得税免除、電気料金20%割引、銀行で金利優遇、新築マンションを優先的に分譲してもらうこともできる。

2050年までに人口が2割減る

 統計庁のデータを見ると、韓国女性1人の平均出産率は2011年に1.24人(ソウル市1.01人)、2012年に1.30人(ソウル市1.06人)を記録した。OECD加盟国の中でも最も値が低いグループに入っている。それでも出産率1.30は2000年以降で最も高い値である。2005年に1.08人という最低値を記録した後、少し上向いている。

 2012年に出産率が伸びたのは、35歳以上の高齢出産が増えたことが影響している。2012年に出産した女性の年齢を見ると、20代より30代以上の方が多かった。この年の初出産の平均年齢は30.48歳。2011年の30.25歳よりも0.23歳上がった。2012年生まれた新生児の母親の68.0%は30歳以上で、前年比3%ポイント高くなった。2012年、30~44歳女性の出産率(女性1000人当たり出産した子供の数)は前年比で11人ほど伸びた。これに対して20~29歳女性の出産率は逆に1.5人ほど減っている。

 出産率が2.1人を超えないと人口は減少するという。統計庁の人口シミュレーションでは、このままだと現在5000万人超の韓国の人口は2040年には4500万人に減る。同庁は2050年には4000万人にまで減る可能性が高いと見ている。

産児制限が人口減のきっかけ

 韓国の出産率は1970年には4.53人だったものが、1980年には2.63人、1990年には1.60人と急激に減少している。その理由は70年代に始めた産児制限政策にある。韓国が先進国になるためには人口を減らさないといけないとして、政府は子供を3人以上産むなと制限した。当時は「子供が多いと、食べることだけで精いっぱいになり、他の消費ができないので貧乏になる」「国民の数が減れば国民1人当たり所得が高くなる(統計上)」と信じられていた。世界銀行がお金を貸す条件として途上国に産児制限を要求していた、とう事情もあった。