2010年、韓国の年末商戦キラーアイテムはやっぱりこれ

国民の半分以上がキリスト教の韓国ではクリスマスは祝日である。韓国にもサンタさんは存在して、クリスマスイブの夜にプレゼントを枕元に置いてくれる。クリスマス当日の午前は教会や聖堂に行き、それから家族または恋人同士で遊ぶ、というのが典型的なパターンではあるが、「今年もクリスマスはホーム・アローンの再放送と一緒に部屋でゴロゴロ…」という人も少なくない。それでもクリスマスは街のイルミネーションを見たりキャロルを聞いたりするだけで心が躍るもの。

 今年は11月から雪が降り始め、足首まで積もるほど。旧正月にするお歳暮とは別に、クリスマスにも家族や知人にプレゼントをする。寒さが早くやってきたせいか例年より早く10月末ぐらいからもうクリスマス商戦が始まった。


 この年末は去年に比べかなりゴージャスになったような気がする。景気回復なのか、まずイルミネーションが派手になり、ホテルのクリスマスパッケージも去年に比べ豪華になった。ヨーロッパ王族のようなクリスマスパーティー、ニューヨーク本場のクリスマスパーティーのプランなどを売り出した。アイドルが歌うクリスマスキャロルのデジタルシングルやコンサートの話がネットをにぎわせているのをみると、やっぱりこのクリスマスは景気がよくなったのかな? と思わずにいられない。


 韓国でも広告代理店やマスコミ、研究所などが「2010年のヒット商品」というタイトルでランキングを発表する。ここでヒット商品として挙げられた商品のほとんどがクリスマスや年末年始のプレゼントとしてまた売れる。


 2010年のヒット商品はなんといってもスマートフォン! 誰も文句がつけられないほど売れまくった。

韓国の年間携帯電話端末出荷台数は2500万台前後である。一方、スマートフォンはこの1年間に700万台近く売れた。これは2009年に予想していた200万台の3.5倍の数字である。2011年は1500万台以上と見込まれているので、新しく携帯電話端末を購入する人の6割がスマートフォンを選択するということになる。


 ヒット商品ランキングでもほぼすべてのランキングで1位がスマートフォンだった。売れた商品も欲しい商品もスマートフォンというほどの盛り上がりだ。サムスンのGALAXY SとアップルのiPhone 4が人気を二分していて、媒体のヒット商品としてはGALAXY Sがよく紹介されており、「2010年クリスマスに欲しいのは?」といったユーザーアンケートではiPhone 4が1位、iPadが2位だった。


 販売台数では11月末時点でGALAXY Sが約180万台、iPhone 4が約72万台、iPhone 3GSが約90万台なのでGALAXY Sがもっとも売れていると言える。前者2つは未だに予約しないと手に入らないほどの人気だ。いつもアイデアで勝負する携帯電話端末ベンダーのパンテックは、ここ数年これといった人気端末がなかったが、スマートフォンでは次々に新機種を発売し、出す機種すべてヒットを飛ばしている。海外ベンダーのスマートフォンもどんどん発売されるようになった。ベンダーが増えることで競争も激しくなるので、ユーザーにとってはありがたい。






2010年ヒット商品第1位はスマートフォン、そして年末商戦でじわじわ台数を伸ばしているのがタブレットPCである。写真はキム・ヨナ選手が1日中GALAXY Tabを手放さず生活するという内容の話題のCM

ブログを運営する人は相変わらず多く、1000万画素以上の小型デジカメ、一眼デジカメもよく売れている。毎年行われるインターネット利用実態調査によると、韓国のネットユーザーの約半分は自分のブログまたはSNSサイトを運営しているという。韓国のブログを見ていると写真や動画をネットに載せるのが好きで、自分撮りするのはもっと好きな人をよく見かける。クリスマスのイルミネーションがきれいだからと、あの重たい一眼を片手にぶるぶる震える手で自分撮りしている女性を結構見かけた。手ぶれ防止機能が付いているから大丈夫なのかな?人に撮ってもらうときれいに写らないから嫌なのだとか。


 3DTV、スマートTVもヒット商品に選ばれていた。一度アプリケーションを購入すれば、スマートフォン、タブレットPC、スマートTVからコンテンツを利用できるようにつながるのはとても便利である。韓国ではデバイス普及のためにはまずコンテンツから、という政府の支援戦略により、自治体や公共機関が開催するアプリケーションコンテストをよく目にする。スマートTV向けアプリケーション公募もあったので、スマートTVはこれから盛り上がるだろう。楽しみである。


 韓国では芸能人の影響力が絶大で、ドラマに登場したブランドや人気芸能人が身に着けたという商品は飛ぶように売れる。2010年は米国の音楽プロデューサー、Dr. Dreのヘッドホンがそうだった。地下鉄や街中でDr. Dreのヘッドホンを首にかけたり耳にかけていたりする人をやたらと見かける。元々有名ブランドではあるが、3万5000円くらいする高価なものだけにそう簡単に買えるものではないはずだが、スマートフォンユーザーが増えて移動しながら音楽を聴いたり動画を見たりすることが増えたせいかもしれない。韓国では10~20代だとイヤホンよりヘッドホンを使う人が多い。季節的に耳をカバーして温めるという効果もあるし、ファッションの一部だからだ。Dr. Dreは芸能人のプライベート写真によく登場するせいもあり、音質を追求するというよりファッションとして真似て買う人の方が多いかもしれない。ネットショッピングでも売れ筋商品としてよく紹介される。



世界的に「エコ」がブームなだけに、韓国でも省エネエアコンや省エネ冷蔵庫といったエコ家電が売れた。韓国人の生活に欠かせないマストアイテム!「キムチ冷蔵庫」も省エネ+多機能になっているので、毎年のように買い換えたくなる。キムチが発酵しすぎないようにちょうどいい温度で新鮮に保ってくれる上水分を逃がさないので、野菜も長持ちするという機能が人気で売れ始めたキムチ冷蔵庫は、年間100種類以上の新製品が発売されているほど熱い市場だ。


 冷蔵庫とは思えないほど派手なデザインにワインセラー付き、飲み物を取り出しやすくしたホームバー付き、化粧品冷蔵庫付きなど、キムチだけを保存する冷蔵庫ではなくなりつつある。キムチ冷蔵庫はキムチを大量に漬ける秋によく売れるが、お母さんへの年末年始用プレゼントとしても喜ばれている。







母へのプレゼント、主婦の自分へのご褒美としても人気の高いキムチ冷蔵庫。一家に1台はある韓国人のマストアイテム


IT製品以外の売れ筋を見てみると、寒いだけに発熱素材の下着もヒットしている。日本では「食べるラー油」が流行ったと聞くが、韓国では「生マッコリ」が大ヒットした。冷蔵流通で新鮮に、収穫されて1年経っていないお米だけで作るという高級化を図ったのが生マッコリ。既存のマッコリとは違って、牛乳が置いてある冷蔵コーナーで販売される。このほかにも健康食品やオーガニック系のものが売れている。高くても健康にいいものを選ぶようになった人が多いのをみるとやっぱり景気回復なのかも…


 韓国では2011年にはスマートフォンとタブレットPCの競争がさらに激化すると予測されている。この調子だと2011年の年末商戦でもスマートフォンが1位になる可能性が高い。「スマート」をキーワードにしたアプリケーション競争も熱い。今年のヒット商品ランキングにアプリケーションはなかったが、2011年はもっとも売れた商品の一つとして特定のアプリケーションが紹介されるかもしれない。



趙 章恩=ITジャーナリスト)

日経パソコン
2010年12月29日

-Original column
http://pc.nikkeibp.co.jp/article/column/20101227/1029360/