韓国 三星とLGが対立から連合へ(2007年6月4日 掲載)

ディスプレイ産業協会を設立


知財共有や下請け共同活用も



 


【ソウル発】三星とLGグループに分かれ、海外から輸入してもお互いのパネルは購入しないなど対立関係にあった両社が、世界シェア1位を守リ抜くための競争ではなく、「相生(共生)経営」で連合することに合意した。三星電子、LGフィリップスLCD、LG電子、三星SDIなど韓国ディスプレイ市場をリードする企業は5月14日、ソウルで200人余りが参加して「韓国ディスプレイ産業協会設立」の記念式典を開催した。


 


 韓国ディスプレイ産業協会の初代会長にはイ・サンワン三星電子LCD総括社長が就任した。会長の座を巡り、三星とLGが水面下で熾烈な主導権争いを続けたが、三星が3年任期の2年だけを務め、次の会長はLGにバトンをわたすことで合意した。


 


 総会では会員各社が協会を中心に液晶(LCD)とプラズマ(PDP)、有機発光ダイオード(OLED)など主なディスプレイ産業分野で協力体制を築き、国産化の割合が低い材料の共同研究開発、知的財産権の共有、韓国企業製品の相互購入、下請け会社の共同活用などを推進することにした。


 


 韓国ディスプレイ産業は2004年に日本を追い越して、06年にはLCD36.3%、PDP52.7%、OLED39.9%のシェアを獲得。ディスプレイ分野で世界シェア1位の座を維持しているが、日本と台湾、中国などの追撃により危機を感じている。07年1─3月も三星電子のLCD部門だけが小幅な黒字を記録しただけで、LG電子のディスプレイ部門、LGフィリップスLCD、三星SDIは赤字を避けられなかった。


 


 韓国が恐れているのは技術競争力を持った日本と生産能力を持つ台湾が戦略的提携を通じて韓国に対抗している点だ。実際、LCD部門では台湾と韓国のシェアは0.1%の差にすぎず、売り上げ額でなく出荷量を基準にすると、すでに韓国が台湾に遅れている。


 


 韓国企業同士で消耗戦をしていては共倒れになってしまうことから、業界大手の三星とLGは、迅速な技術戦略の共有などを理由にすべての部品下請け会社を系列化させた。例えば三星と取引する会社はLGとは取り引きできないよう事実上遮断され、そのため新技術開発の重複投資、装備材料業界の縮小などの問題点が指摘されてきた。


 


 韓国のディスプレイ業界は三星とLGが手をつなぐことで過当競争による無駄を削減、競争力を高められるのではないかとみている。


趙章恩(チョウ・チャンウン=ITジャーナリスト)


 


 [BCN This Week 2007年6月4日 vol.1189 掲載]Link

韓国携帯電話市場 三星がシェア50%割り込む(2007年7月2日 掲載)

韓国携帯電話市場 三星がシェア50%割り込む



 


打開策で「ミニスカート携帯」




 


【ソウル発】三星電子の調べによると韓国の5月の携帯電話販売台数は207万台、4月に比べて17.6%増加した。しかし、三星の韓国内でのシェアは46%とはじめて半数を割り込んだ。



 三星が精彩を欠くようになったのは、パンテックの躍進が見逃せない。無線インタ
ーネットプラットホームを搭載していない激安3G端末を販売し、市場で絶大な人気を博しているためだ。


 


 SKTの子会社だったSKテレテックを買収し「SKY」のブランドで端末を販売しているパンテックは、三星とモトローラのシェアを奪い、5月は24万台を販売して13%のシェアを獲得した。3-4月には、資金難で部品の入手に支障が出る事態に陥ったが、キーパッドのカラーが変わるマジックキーパッド携帯をはじめ、3GTV電話携帯、メタルスリム携帯、インターネット機能を省いた激安携帯など戦略端末の販売が好調だ。


 


 一方、三星は3G戦略端末「ミニスカート携帯」に力を入れ、奨励金を増やすなどしてシェア回復を目指す。無駄のないデザインがミニスカートを着た女性に似ているのでこのような名前をつけたと三星では説明する。ミニスカート携帯は、海外で先に販売したスライド型モデルで薄さ10.9mmの「ウルトラエディション10.9」の国内向けとなる。端末のどこにもデコボコした部分がないためすっきりしたデザインで、グリップ感を改善した。


 


 2Gと3Gのハンドオフ、Bluetooth、200万画素カメラ、MP3・動画再生、GPS搭載で携帯電話をそのままカーナビとしても活用でき、価格は55万ウォン台(約7万円)。番号移動制度または新規加入だと奨励金がもらえるので3万円ほどで入手できる。


 


 三星は「3G戦略端末を6月1日に発売しただけに、6月はシェア50%台を奪還できるだろう」と楽観視している。加入者1位のキャリア、SKテレコムを抜いて3G市場では圧倒的に加入者純増率が高いKTFの関係者は「今年の三星はこれといった製品がなく3G市場でのシェアは低かったが、6月には再度躍進を遂げるだろう」と展望した。



趙章恩(チョウ
・チャンウン=ITジャーナリスト)



[BCN This Week 2007年7月2日 vol.1193 掲載] Link 


 


 


 

韓国のデジタル製品動向 三星テックウィン 2010年デジカメで世界1位狙う

三星グループの総合力生かす


 




【ソウル発】三星テックウィンはデジタルカメラ事業で世界1位に到達するための戦略を本格的に推進すると発表した。カメラ事業部の社員約500人は11月、三星電子の水原(スウォン)電子団地に建てられた7934平方メートル規模の「デジタルカメラ棟(仮称)」に入居を終えた。これにより三星電子との協力関係を強化し、デジタルカメラ事業の一流ブランド化を早期に達成するために総力戦を繰り広げるとしている。


 


 今回の三星テックウィンのデジカメ世界1位奪取戦略は、三星電子との協業シナジーが土台となっている。三星グループが作るデジカメであるというブランド力やマーケティング力をうまく活用しながら「デジカメの文化を創り出してリードする企業」となることを目標にしている。三星グループは、支援策のひとつとして三星電子デジタルメディア総括社長を三星テックウィンのカメラ事業部門長に選任するなど異例の人事異動も断行している。三星テックウィンはデジカメ市場の持続的な拡大と高級化志向に対応して2008年上半期に第2世代プレミアム製品であるNV2シリーズとDSLR(デジタル一眼レフカメラ)など合計14機種の製品を発売する。こうした施策により、08年には売上高2兆2000億ウォン・販売台数1750万台、2010年には売上高3兆5000億ウォン・販売台数2800万台を達成してキヤノン、ソニーなどを抜いて世界1位になるという計画を発表した。


 


 三星テックウィンの06年の実績は売上高1兆1640億ウォン・販売台数は840万台、07年は売上高1兆3000億ウォン・販売台数1110台と推定されている。三星テックウィンの関係者は「三星電子の既存製品などとデジカメの連携を強化し、三星電子製品とのシナジー効果を追求する」としながら「08年のデジタルカメラ事業の売上目標は2兆2000億ウォン、多少攻撃的に捉えている」と語っている。


 


 また、三星電子とより緊密な関係を築くことでグローバル市場での地位も高めたいとしている。07年8月から三星電子と提携し、三星電子が持つ約150か所にのぼるグローバル営業拠点を活用して流通を強化する。デジタルカメラには三星電子のデジタル製品と同じネットワーク規格を搭載し、AV機器、ホームシアターなどの連携や統合制御機能を強化することで、三星グループ製品間のシナジー効果を一層高めるとしている。



趙章恩(チョウ
・チャンウン=ITジャーナリスト)



 


 [BCN This Week 2007年11月26日 vol.1213 掲載] Link


 

韓国家電業界の動き 三星コーニング ブラウン管用ガラスの生産中止

三星コーニング精密ガラスに吸収合併


液晶とプラズマに資源を集中


 


 


【ソウル発】LCD(液晶)TV用ガラス基板を製造している三星コーニング精密ガラスは、ブラウン管用ガラスを製造している三星コーニングを2007年末までに吸収合併すると発表した。これにより三星はブラウン管ガラスの生産を中断する。


 


 三星コーニングは73年、米国のコーニング社と三星電子の合弁で発足した会社で、三星コーニング精密ガラスはLCDTV用のガラス基板を専門的に生産するため95年に設立された。両社が合併を決めたのは、世界規模でのブラウン管TV市場の衰退による実績悪化を打開するための策としてである。


 


 三星コーニングの事業を一部整理し、関連事業を三星コーニング精密ガラスに統合することで中長期的な競争力を確保するための戦略と分析されている。


 


 三星コーニング精密ガラスはLCDパネル用基板ガラスを主力事業としながら三星コーニングのPDP(プラズマディスプレイパネル)TV用フィルターなど部品事業部門を吸収し、ブラウン管用ガラス事業は中国とマレーシア法人を中心に「ビッグスリム」といった市場競争力のある製品の生産力を引き上げることで、グローバルの競争力を高めることにした。


 


 三星コーニングはすでに07年7月、ブラウン管TVとモニター用ガラス基盤を製造しているドイツのチェルニチ工場の稼働中止を決定している。この工場の年間売上高は三星コーニングのブラウン管とガラス基板売上高の7-8%を占めていた。現地の労使協議を経て最終決定を下すと説明しているが、TV市場がPDPとLCDに再編されながらカラーブラウン管(CRT)ガラスの需要は急減しているのが実態で、06年にはソウル郊外の京畿道(キョンギド)、水原(スウォン)にあったブラウン管用ガラス基盤ライン2か所も製造を中断している。


 


 三星コーニングは06年に続き07年も経営悪化の可能性を念頭において総額2090億ウォンの減損処理を実施していた。事業部門別にはガラスを生産するディスプレイ事業部門が1290億ウォン、LCDTV用バックライトユニットを生産するBLU事業部門が720億ウォン、PDPTV内フィルターなどを生産するDIM事業部門が80億ウォンだった。


 


 減損処理の内訳では三星コーニングの売上高の60%を占めているガラス部門だったことから、三星グループの全体の成長のためにもブラウン管ガラス事業からは手を引くしかない。


 


 三星コーニングは、04年には987億ウォンの営業利益をあげていたが、05年、創業以来32年ぶりに111億ウォンの営業赤字に転換、06年も66億ウォンの営業損失を記録し、低迷から抜け出せずにいる。


 


 三星電子が2社の合併を決めたことに関して、業界では「ブラウン管TV事業の本格的なリストラが始まった」と囁かれている。事業の業績悪化で連続赤字を計上している三星SDIも救済策として本社土地約14万平方メートルと建物10万平方メートルを三星電子に売却すると発表したことも、この噂を裏づけている。


 


 三星SDIは、今回の売却でブラウン管関連施設をすべて手放したことになる。釜山のブラウン管生産ラインも運営中断の決定が下された。


 


 三星コーニング精密ガラスの関係者は「リストラにより人員削減の問題は残っているが、今回の合併でLCD用ガラス事業だけだった事業分野をITO(酸化インジウムスズ)のターゲット材やPDPTV用フィルターなど平板ディスプレイ部品および素材事業を多角化できるようになった。専門企業としての競争力をより一層強化できるチャンス」と述べている。



趙章恩(チョウ
・チャンウン=ITジャーナリスト)


 


 


 [BCN This Week 2008年1月7日 vol.1217 掲載]  Link