[日本と韓国の交差点] 韓国は国を挙げて再生エネルギーにまい進

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政府も企業も個人も、エコで安全な電力環境を目指す


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韓国貿易投資振興公社(KOTRA)が5月26日に発表した「2011グローバル消費トレンド」によると、今年注目すべき分野は、海外オンラインショッピング(海外のショッピングサイトに直接注文して海外配送してもらうサービス)、節電・節水関連商品、低価格商品、WELL-BEING食品(オーガニックや希少価値のある健康食材)、お祭り・イベント、ペットのファッション用品、キャリアウーマン向け商品、オーダーメイド販売だという。

 中でも、「エコ」と「安全」に焦点を当てた製品が2011年のトレンドであると分析している。CO2排出量規制が厳しくなっていることと、東日本大震災をきっかけにエネルギー政策が変化していることが背景にある。


 KOTRAは、できるだけ節電・節水商品を買おうとする世界の動きも紹介している。例えば、日本ではLED電球に買い替える家庭が急激に増えていることを伝えている。値段が高くても、緊急時に懐中電灯として使えるからだ。オーストラリアや南アフリカでは、太陽光を利用してお湯を温める温水システムの需要が大幅に伸びているとのこと。


 韓国でも同じように、LED電球や省エネコンセントなどの節電商品が注目されている。特に2011年は電気代の値上がりが予想されているだけに、日本と同じ節電ムードになっている。エアコンの代わりに扇風機を使う。冷蔵庫にビニールシートを張って熱が入るのを防止する。こうした工夫があちこちで目に入る。



韓国政府は再生エネルギー産業の育成にまっしぐら



 韓国政府は数年前から、再生エネルギーやスマートグリッドの実証実験を始めている。だが、太陽光パネルがどうとか、電気自動車がどうとか、街の灯りを風力発電に変えようとか、そういう話を大人から子供までが自然にするようになったのは、ここ最近のことである。やはり東日本大震災の影響が大きい。原発に頼りすぎないエネルギー政策の必要性を切実に感じるようになった。


 子供向けの「グリーンエネルギー体験展」「エコ生活体験展」といった催しも4月あたりから頻繁に開催されるようになった。ソーラー発電や風力発電、スマートグリッドの仕組みを説明する企画だ。節電やエコな生活というのは「習慣」の問題なので、子供のころから慣れさせるのがいちばんという考えからだ。これらの催しは、サーカスのように地域を転々としながら、幼稚園などを訪問して回っている。


 韓国の李明博大統領は、就任当時から「低炭素緑色成長」をキャッチフレーズに、再生エネルギー分野に力を入れてきた。2010年10月には「世界5大新再生エネルギー強国跳躍方案」――ソーラー発電と風力発電を第2の半導体事業にするために2015年までに40兆ウォンを投資する――も発表した。


 エネルギー関連産業の支援を管轄している知識経済部によると、2008~2010年の間に、韓国の再生エネルギー産業は大きく成長した。関連企業数(製造業)は2.2倍(2010年末時点で215社)に増え、雇用者数は3.6倍(同1万3380人)に達した。売上高は6.5倍(同8兆1282億ウォン)、輸出高は5.9倍(同45億8000万ドル)、民間投資額は5倍(同3兆5580億ウォン)に増加した。中でも大きく伸びたのは、太陽光発電と風力発電産業だ。韓国内の薄膜ソーラー電池の特許出願件数は、2005年には12件だったものが2010年には122件に増えている。


 知識経済部は、「2015年には、再生エネルギー関連の輸出を400億ドルに拡大する」という目標を間違いなく達成できると見込んでいる。目標達成のためエネルギー管理公団は、以下の支援措置を講じている――太陽光と風力発電関連海外市場の調査、プロジェクトの発掘、事業妥当性の分析、海外設備認証の獲得、輸出金融・海外投資諮問。


 韓国の企業は、中国を警戒している。国を挙げてソーラー発電と風力発電に大々的な投資をしているからだ。中国のエネルギー産業の成長は、世界市場における韓国企業のプレゼンスを低めかねない。そんな事態を防ぐべく、政府は、輸出支援に力を入れている。


 韓国政府は2011年から、テストベッドを増やしている。海外に向けて、韓国の再生エネルギーの技術力を宣伝するためだ。例えば韓国政府は2009年からチェジュの島半分を使ったスマートグリッド実証実験を行っている。サムスンとLGが「太陽電池を新規事業として集中的に育成する」との方針を2010年に発表したことを受けて、韓国政府はチェジュ以外の地域も指定して実証実験の規模を拡大する方針だ。


 知識経済部は2011年5月、太陽光と風力発電、燃料電池のテストベッドとして、全国6つの自治体コンソーシアムを新たに発表した。自治体と大学、研究機関、企業がコンソーシアムを組んでテストベッド事業に応募した。地方都市の産学官連携クラスター構築を通じて、中小企業の新製品事業化と輸出を支援し、競争力を高めることを目標としている。その他にも、大手企業と中小企業の協力拡大、雇用拡大、地元へ新規企業誘致などを狙っている。



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By 趙 章恩

2011年6月16


-Original column
http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20110614/220779/