韓国キャリアの一風変わった「家族割」

日本でも携帯電話の料金体系の一つである「家族割」のCMが一日に何度も流れているが、韓国でも家族で一緒に加入すると料金が安くなる家族割りで勝負する料金競争が始まっている。

 LGテレコムは家族でなくても料金納付者を指定して、その人の下に加入するのであれば他人であっても7人まで「家族愛割引プログラム」という家族割り引きが適用される。この料金制度は家族間通話料が50%引き、家族間メンバーシップ(毎月の平均料金に応じて1年に約3300円~1万1000円ほどのポイントがもらえ、加盟店でその金額分割引してもらえる制度)も共有できる。


 驚きは1年ごとに2カ月分の基本料と平均音声通話を全額差し引いてくれることだろう。例えば一人当たり7000円/月の電話代を払う5人家族だと月に3万5000円。ここから2回分に相当する7万円を差し引いてくれるということだ。太っ腹な割引だな~と感心してしまった。だって家族じゃなくてもサークル仲間や仲良しグループで申請しても家族割りになるのだ。キャリア3社の中で最も加入者が少なく、新規加入を確保するため料金で勝負するようなところを見せているのは日本の事情と変わらない。


 韓国で最大手キャリアのSKテレコムも家族割りを始めて反響をよんだ。LGテレコムと異なり、戸籍上の家族5人だけが対象だが、家族登録するだけで通話料が50%引きになる。また、面白いのは基本料の割引制度。家族の加入年数を合計して、10年未満なら10%、10年以上は20%、20年以上は30%が基本料から割り引かれて、30年以上だと基本料が半額になる。


 さらに家族を登録した新規顧客の中から抽選で1000人に8万円以上する最新の携帯電話を贈呈するイベントまでやっている。基本料を安くしようとSKテレコムの加入期間が長い父に急接近する子供たちが増えているから、親孝行効果もあって一石二鳥だなんて言われている。家族割りは今年の4月1日に登場してからたったの10日間で25万人を突破した。2008年末までに400万人以上が家族割りを利用すると見込まれている。


 家族ではなくても、毎月約300円を追加すればSKテレコム加入者同士の通話料が毎月5時間無料になる。これは800円分ほどの割引効果があるということで、この料金制に加入する人は4月時点で全加入者の10%に当たる230万人を超えている。月額基本料には無料通話分が含まれていないので、家族割分を含めると5人家族で年間最大約6万2000円ほども節約できるという。SKテレコムの加入者は 2237万人で、全加入者の50.5%を占めている。LGテレコムやKTFよりもSKテレコムに加入している家族の方が多く、みんな家族割りのために多数決でSKテレコムへ移行したという人も結構みかける。家族全員の加入期間が長ければ長いほど基本料が安くなるから、どんどんSKテレコムに加入させようとするわけだ。

加入者間の無料通話は最後の最後の砦と言われてきたけど、新しく就任したイ・ミョンバク大統領の公約の一つが通信費を20%値下げして家計の負担を軽くすることなので、2007年秋からさまざまな家族割りが登場している。SKテレコムの資料を見ると、2008年1月から3月の加入者の平均通話時間は変わらないのに、ARPU(加入者一人あたりの月間売上高)は前期の約4600円から約4300円に落ちている。家計の負担は少しずつ減っている。


 家族割りでなくてもLGテレコムは月に1700円ほどの追加料金で加入者間の通話が20時間無料に、月に110円プラスすれば加入者間の通話料が50%割引に、4300円/月ほどを支払えば加入者間の通話が20時間無料+その他キャリアや固定電話への通話が5時間分無料になる。KTFも月に300円ほどを追加すれば加入者間の通話料が50%割り引かれる。加入者間の通話が増えるとKTの固定電話から携帯電話へかける頻度は当然に減るので、売り上げは前年同期比約11.6%も減っているという。家庭用インターネット電話も普及していることからKTの固定電話通話料の売り上げは前年比3.2%減っている。


 固定電話の売り上げが減る一方のKTも、負けじと通話料割引を始めた。韓国に住む外国人を対象にした「国際LOVE料金」。パケット定額制のように月額で約1100円~約3100円の定額料金を払えば家の固定電話と携帯電話合わせて60分から最大500分まで国際電話がかけ放題となる。


 以前は携帯電話の料金なんて標準料金、エコノミー料金(基本料が安くて通話料は高め)、300分通話放題料金(基本料が高くなる代わりに時間に関係なく月額300分の無料通話時間が付く)など、料金制度のタイトルと意味がその通りでとても分かりやすかったのに、家族割りやらパケット割引が登場してからは計算のややこしいこと! 料金案内のページに入ると、30種類以上の料金制度がどばっと出てくるからますます混乱してしまう。無料通話分や割り引き方が微妙に違うので、最も節約できる料金を選択するためにネットの知識検索に相談することもしばしば。知識検索とはユーザー同士でQ&Aするものなのだが、人の経験を教え合うので企業が提供する一括した情報サイトよりも分かりやすい。


 通信料が安くなってくれるのはありがたいが、もう少し整理してほしいものだ。


(趙 章恩=ITジャーナリスト)

日経パソコン
2008年5月21日 

-Original column
http://pc.nikkeibp.co.jp/article/column/20080521/1002692/