携帯電話キャリアの新領域、進化したテレマティクスはビジネス

 携帯電話端末の輸出では世界トップを争う位置にあっても、モバイルコンテンツやサービスでは遅れをとっている韓国。そのため韓国政府は「モバイルインターネット活性化計画」まで発表し、キャリアとコンテンツプロバイダー(CP)との公正な収益分配ガイドライン作成、勝手サイトやPC向けサイトにもアクセスできるようネットワーク開放、データ通信料金見直しといった、自由なモバイルインターネット利用を促進できる環境作りに励んでいる。


 モバイルインターネットに関しては日本がお手本になる。1999年という同じ時期に日本ではi-mode、韓国ではNateというモバイルコンテンツサービスが始まったのに、日本は世界でも稀なほどのケータイ大国となった一方で、韓国は有線インターネットばかりが大きく成長してしまった。


 そうなると問題はキャリアの収益。音声通話とSMSばかり利用されては収益は生まれない。何か新しい収益源になるビジネスはないだろうか。そこで注目されているのが、今更という感じもあるが、実はかなり進化したテレマティクスである。


 自動車間の高速無線通信による事故防止機能も開発され、現代・KIA自動車とマイクロソフト、政府の情報通信研究振興院が設立した「車両IT革新センター」も2009年1月から稼働し、自動車とIT、自動車とデジタルコンテンツ、自動車と無線などをキーワードにした研究が進んでいる。自動車インタフェースやナビゲーション関連の中小企業も参加し、2010年下半期から現代・KIA自動車に適用できる技術を開発する。MSはここで開発された技術がグローバル市場へ進出できるよう支援する役割をする。

キャリアも単純なナビゲーションから脱皮し、本格的にテレマティクスへ力を入れている。韓国最大手キャリアであるSKテレコムは、4月中国上海で開催されたモーターショーで、携帯電話で自動車を制御できる「モバイルテレマティクスサービス(Mobile in Vehicle)」を公開した。今までの携帯電話を利用したテレマティクスは位置情報やナビゲーション、車のドアを開ける、エンジンをかけるぐらいの単純なものだった。SKテレコムの新サービスは、携帯電話で自動車を遠隔診断もできるところに特長があるという。

 自動車遠隔診断の内容はエンジン・ブレイクの異常判断、ガソリンタンク・ドア・トランク・ライトなどの各種部品を監視・制御、車の盗難追跡、リアルタイム交通情報を受信するナビゲーションなどの機能で、移動通信・プラットフォーム・コンテンツを全て提供するパッケージ方式のテレマティクスサービスである。スマートフォンからも利用できるため、世界中のどんな車とも互換できるのが売りだ。


 SKテレコムは移動通信による自動車遠隔制御・監視サービスを2年以上かけて開発し、2008年6月に「Java基盤モバイルテレマティクス技術」をJava技術協会(JCP)より世界標準として承認された。SKテレコム側は世界初のサービスと説明している。


 キャリアがテレマティクス分野に直接挑戦するのはとても難しいとされている。保守的な自動車業界が、開発に必要な情報を公開してくれないためである。SKテレコムは自動車メーカーのルノーサムスンと協力関係を結ぶことで、最初から世界市場をターゲットにした。今後は世界の自動車メーカーと提携し、出荷前に搭載される技術にするのが目標。そのため、同じ時期に開催された韓国のモーターショーではなく、中国上海のモーターショーに出展したといわれている。


 日本のテレマティクス業界が目指しているのとあまり変わらないが、運転者の習慣と身体条件を把握して最適な運転環境にしてくれる個人化サービス、駆動装置の効率的な運営で燃費を向上させるエコドライビングシステムも開発している。


 SKテレコムは音声通話やコンテンツではなく、モバイルバンキングやテレビショッピング、映画配給など他の産業と融合して新たな収益を生み出すのを目指している。キャリアとして海外に進出するのではなく、すでに世界に進出している韓国企業はハードウエアには強くてもソリューションには弱いという現状を逆手に取り、移動通信+αのソリューションで世界進出を狙う。


 自社だけが儲けるのではなく、産業間融合技術開発のために今後5年間で3兆ウォン以上を投資して韓国ICT産業の競争力をアップグレードさせる!というすごい計画も持っている。今までモバイルコンテンツ料金回収代行の手数料を30~40%も取ったり、自社の公式サイト以外にはアクセスできないようにしたり、好き放題やって自分だけ儲かっているという批判を意識したのかな?産業間の融合で新たな収益を、という前に、収益も融合して、1社独占ではなく少しでもみんなが儲かる仕組みにしてもらいたいものだ。


(趙 章恩=ITジャーナリスト)

日経パソコン
2009年4月22日

-Original column

http://pc.nikkeibp.co.jp/article/column/20090422/1014528/

韓国 携帯電話キャリア(2007年10月15日 掲載)

通話料値下げ競に走る


代わりに基本料大幅値上げ


 


 


【ソウル】携電話における奨励金支給が解禁され、新規加入者向けの激安端末販が繰りげられている韓で、今度は加入者間通話料割引競が始まろうとしている。



 韓
の最大手キャリアSKテレコムは10月1日から、基本料を値上げする代わりに加入者間通話料を50%安くする料金制を導入することにした。これにKTFとLGテレコムも同じような料金制度を準備している。加入者間通話料割引は同じキャリアに加入している電話同士の通話料を割り引くもので、日本のソフトバンクの料金制度「ホワイトプラン」をモデルにしている。


 


 SKテレコムは月2500ウォン(約300円)を追加すると加入者間通話料が50%安くなる。KTFは月2000ウォンを追加すると加入者間通話料を60-70%安くする制度を2008年1月から導入することを討している。KTFの役員は「SKテレコムとの料金差別化のために加入者通話料割引幅を大きくし、通話料そのものを引き下げる案を討している」と話し、携電話加入者らがSKテレコムの加入者間通話料割引にどんな反をみせるかを把握しながら決めたいとしている。LGテレコムは月2000-3000ウォンを追加すれば加入者間通話料を無料にすることを討している。同社の係者は「SKテレコムの移動電話料金調整に対応し、基本料を値上げする代わりに加入者間通話料を無料にするなど、多な料金体系を討している」と語る。


 


 通話料が安くなれば加入者にとっても有利なのではないかと思われるが、基本料金を大幅に値上げすることで結局のところキャリアの益がえるだけだと市体は反している。ソウルYMCAは「移動通信キャリア3社を料金談合疑惑で公正取引委員に告する計だ」とじた。


 


 SKテレコムは、加入者2146万人のうち過半1160万人が加入者間通話料金制度に加入すると予想している。だが問題は、消費者が感する割引果がさほど大きくないということだ。YMCAがさまざまな況を勘案して分析してみた結果、質料金引き下げ果は2.66%前後で、最大5%にもならないと推定されている。


 


 加入者間通話料割引は98年からあった制度だが、移動通信サビス市場がSKテレコムに偏りすぎているため規制しなくてはならないとして、情報通信部が02年に全面的に禁止させていた。これをまたSKテレコムの要求で解禁するのは情報通信部の中立性も問われるところだ。



趙章恩(チョウ
チャンウン=ITジャナリスト)


 


BCN This Week 2007年10月15日 vol.1207 載]  Link