Apple「M4」がAI半導体競争を加速、TSMC追うSamsungはIntelと協力

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 米Apple(アップル)が2024年5月7日(現地時間)に発表した「iPad Pro」は2022年10月以来となる新型タブレット端末である。目玉はAI(人工知能)に特化した独自設計の最新プロセッサー「M4」。狙いはAIアプリケーションを効率よく利用することにある。

新型iPad Pro搭載SoC「M4」

新型iPad Pro搭載SoC「M4」

(出所:Apple)

 M4は台湾積体電路製造(TSMC)の第2世代3nm(ナノメートル)製造プロセスを採用したSoC(System on Chip)だ。M3に比べて電力効率は最大2倍、総合的な性能は4倍に向上し、端末は薄くなった。アップルはM4が同社史上最速のニューラルエンジンを搭載して、最大で毎秒38兆回の演算処理を可能にする点を大きくアピールしている。そのM4を搭載するiPad ProはAIのためのパワフルなデバイスになったとした。

 韓国ではいよいよアップルがAIで攻めに出たと大々的に報じられている。AIに関しては出遅れているという声があるアップルだが、M4から反撃体制を整える。2024年6月開催予定の開発者会議「WWDC(Worldwide Developers Conference)」において生成AIの新戦略を公表するもようだ。データセンターのサーバー向けAI半導体を発表するとされている。AIの学習用ではなく推論に特化した半導体をアップルが設計し、TSMCが生産するとみられる。学習用のAI半導体は米NVIDIA(エヌビディア)が市場を席巻している。アップルはエヌビディアの影響が及んでいない推論用に注力するようだ。

 そしてアップルはiPhoneによるハイブリッドAIサービスを目指しているとされる。ここでいうハイブリッドAIサービスとは、インターネットに接続しなくても使えるオンデバイスAIとインターネットに接続してサーバーを経由して利用するAIサービスを組み合わせたもの。先駆けは韓国Samsung Electronics(サムスン電子)の最新スマートフォン「Galaxy S24」である。同社は「AIフォン」と称する。

 アップルとサムスン電子のAI半導体戦略も注目を集めている。アップルが開発しているという推論用のAI半導体に対して、サムスン電子もAIアクセラレーター「MACH-1 Inference Chip」を開発しているからだ。

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趙 章恩=(ITジャーナリスト) 

(NIKKEI TECH) 

2024. 5. 

-Original column 

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