<OVERSEAS REPORT>海外レポート 大盛況!韓国最大のソフトウェア展示会

OVERSEAS REPORT>海外レポト 大盛況!韓最大のソフトウェア展示


 


 


ウェアラブルパソコンの体に人だかり


Web2.0時代のソフトやSaaSに注目集まる


 


 


 ソフトウェアとデジタルコンテンツ産業最大のイベントである「ソフトエキスポ&デジタルコンテンツフェア 2007」と韓唯一の門展示である「2007 次世代コンピュタ産業展示」が昨年11月29日から12月1日までの3日間、ソウルで同時開催された。その模をレポトする。(趙章恩(チョウチャンウン=ITジャナリスト)●取材/文)



450余りのブ
スが集結 作業環境を再現するソフトも添付画像


 


 韓情報通信部が主催、韓ソフトウェア振興院が主管する「ソフトエキスポ & デジタルコンテンツフェア2007」は07年で11回を迎え、海外バイヤの姿も目立っていた。展示館には384社450余りのブスが出展し、「ITサビスモデル館」「公募展特別展示館」「組みみソフトウェア館」「2007 次世代コンピュタ産業展示館」など6つのコで構成された。


 


 「ITサビスモデル館」では、公共部門の特許、選管理、郵政近代化、港物流システムなどITサビスを中心に海外で利用されている韓ITサビスモデルが紹介された。「公募展特別展示館」はオプンソスソフトウェア(OSS)、パッケジソフトウェア、コンテンツに分類、07年に行われた5回の公募展の受賞作70点を展示した。


 


 LG電子はホムネットワク展示館をバスの中に設し、バスごと場に持ちんだ。「ソフトウェア産業協力館」では、米T-Mobileにして500万ドルの輸出を記したイントロモバイルの「IntroPAD」など最新ソフト技術が適用された製品とETRI(韓電子添付画像通信究院)の究成果が展示された。同館で特に注目を集めたのは、政府主導で究された船舶塗装育用シミュレションや「YouFree」という移動型パソナルソフトウェア基盤だ。「YouFree」はUSBを差しむだけでどのパソコンでもオフィスで使っていた作業環境を再現してくれる。ちなみに、作業環境とは「おに入り」やデスクトップのアイコンの並べ方を同じにしてくれたり、頻繁に使うソフトや文書をみやすいようにしてくれる機能をいう。「YouFree」は今後、OSSにして誰でも開加できるようにするそうだ。


 


■次世代コンピュタに人沸騰 健康態を測るバイオシャツなど


 


 最も注目されたのはKT、レインコムなど話題の企業45社、120ブス規模で構成された「2007 次世代コンピュタ産業展示館」だった。業界人よりは子供や一般客向けの展示だったため、特に目新しい展示はなかった。しかし情報通信部が先導基盤技術開事業とし添付画像て推進してきた究開の結果としてウェアラブルコンピュタ、着るだけで健康態をチェックしてくれるバイオシャツ、手首にくとジェスチャを認識して家電を操作したりお互いに情報のやり取りができるジェスチャ認識機のようなものが登場した。


 


 UM(ウルトラモバイル)PC、PDA、MP3などの情報機器とゴグルの形をしたディスプレイ(Head Mounted Display)など、韓の技術で開された次世代コンピュタ機器が展示された。


 


 展示館に用意された体館では次世代コンピュタ機器を利用したシミュレ感装置(haptics)を利用した映館体システムが一般客に人を集めていた。


 


■業界人を魅惑した著名門家の講演 商談には結びつかず


 


 IT業界の人が集まったのは「ソフトウェアインサイトカンファレンス 2007」である。「電子政府協力」「OSSとSaaS」「組みみソフトウェア」「デジタルコンテンツ産業」「ソフトウェア工」「次世代コンピュタ技術」など12分野について、海外の著名なIT門家を招待し、2日間にわたって講演を開いた。添付画像


 


 世界的なコンポネントモデリングの門家であるOMG(Object Management Group)のRichard Soley長とデジタルコンテンツマルチプラットフォムサビス分野を切り開いたPioneer OnlineのGideon Summerfield理事、AdSenseの開を導いたDAVE NetworksのRex Wang代表などの有名人が集まり、各分野別の海外の最新動向とこれからの展望について情報を提供した。


 


 なかでもSaaSは注目のテマで、このカンファレンスの日後、韓SaaS協議足するほどの影響力を示した。


 


 日本香港東南アジアなどから招待した40かの海外バイヤとの輸出商談、アメリカ日本など8かのベンチャキャピタルとの商談、政府省注者との間では公共ソフトウェアの商談も開催され、中小ITベンチャを支援するコも設けられた。年、政府の予算でバイヤを招待しているが、輸出契約が結ばれることはあまりないのが情で、バイヤ招待費用を他の支援策の予算に回したほうがいいのではないかという批判もある。


 


 Web2.0の主なサビスの一つとして、これから成長が予想されるマッシュアップ(複の異なる提供元の技術やコンテンツを複合させて新しいサビスを形作ること)の底大し、優秀なIT人材を育成するため、ポタルサイトのNAVERとDAUMが主催した「2008 大韓民MASHUP大」には大生や若手ベンチャ人が集まっていた。オプンAPI(プラットフォム向けのソフトを開する際に使用できる命令や関数の集合)を利用してサビスを組み合わせ、また新しいサビスを生み出すマッシュアップに興味を持ってもらえるよう、オプンAPI開者らが大加した募者にマッシュアップの技術についてマンー・マンのコンサルティングを提供した。


 


 情報通信部は、年年末に開催される「ソフトエキスポ&デジタルコンテンツフェア」を通じて、グロバル市場に韓製ソフトウェアとデジタルコンテンツ次世代コンピュタ業界の展を報し、有望中小企業のグロバルマケティングと海外進出のきっかけとなる商談、活な技術交流を通じて連産業の技術力を一層引き上げることを目的としている。


 


 展示加企業やレベルが年落ちているという不も一部では聞かれるが、IT連産業を育成するという政府の意志を、業界に確認させることもこの展示の目的のひとつかもしれない


 



BCN This Week 2008年1月28日 vol.1220 載] Link


 


 

サムスン電子の新端末、女性専用機能といわれても

サムスン電子がグローバル市場に向けて力を入れている「SOULフォン」シリーズに女性向け端末が新登場した。タッチパネル、500万画素カメラに地上波DMB(ワンセグ)受信、電子辞書やMP3など端末本来の機能がてんこ盛りで、カラーはメタリックなピンク色。その名も「SOULピンクエディション」と名づけられた。

 「SOULフォン」シリーズはタッチパネル携帯の中でも人気が高く7万円は下らない代物。しかしこの新しい端末の女性専用機能というのがネットで論争を巻き起こしている。


 例えばSOSサイレン機能。ボリュームボタンと上下方向キーを同時に押すとサイレンが鳴るという機能。夜道を一人で歩いていて危ない時にSOSを求められるというが、サイレンを鳴らすだけで、警察や家族に自動通報できる機能はない。強盗にあってサイレンを鳴らしたのはいいものの、誰も助けに来てくれず強盗を刺激するだけだったらどうする?もっと大きな事件になってしまう可能性だってある。


 しかもこのSOULフォン、2008年6潤オ8月に販売された約20万台は、112(韓国の110)に電話をかけると消防防災庁につながるという欠陥が発見された。犯罪の被害に遭い緊急通報したものの、電話がつながった消防防災庁ではなんでここに電話するんだといって切ってしまったということが何度もあったという。消防防災庁もひどい。そんな時は代わりに通報してくれたっていいじゃないか。


 被害者らが製造会社であるサムスン電子に苦情をいうとキャリアの問題だといい、キャリアはサムスン電子の問題だから責任は負えないと言っているようで、まだリコールには至っていないようだ。サイレンを鳴らして犯人を躊躇させてから警察に通報したくても警察につながらない。危ない状態は消費者不在のまま、まだ続きそうだ。


 もう一つは女性専用というよりSOULフォンの特徴であるが、電話がかかってきたようなふりができるという機能だ。これは自分に電話をかけられるようになっている機能で、タイマーのように予約もできる。退屈な会議から抜け出したいとき、タクシーの中で運転手さんに話しかけられたくない時に使うと便利だというが、ネットでは会社員が会議をさぼっていいのか、これは倫理的に問題がある、これのどこが女性専用機能だと論争になっている。


 確かに話しを早く切り上げたい時には電話がきたふりをするのも手であるが、これって新しい機能として大々的に宣伝するほどすごい機能なのだろうか?ネットでは、こんな機能を追加するより端末の値段を下げるか、欠陥のない端末を作ってほしいという書き込みが後を絶たないが、私も同感である。


 同じ端末モデルでも女性向け、男性向けに分けたり、細かい機能で分けたり、折りたたみかバータイプかで分けたり、ターゲットをはっきりさせるのが最近の傾向だ。ターゲットにしているユーザー層に喜ばれる機能を追加していくというサムスン電子の心配りは嬉しいけど、もうちょっと深く考えてほしい。そもそも、ピンク色を好まない女性だっているわけだし。女=ピンクということ自体、時代遅れじゃないか?どうも感性がずれている。ひょっとしたらこの女性専用機能、開発したのは男の人ではないだろうか。


 ただ、機能はどうであれ、SOULフォンの製品サイトはとてもよくできている。みなさんもぜひアクセスしてみてください。


(趙 章恩=ITジャーナリスト)

日経パソコン
2008年9月17日 

-Original column
http://pc.nikkeibp.co.jp/article/column/20080917/1007971/

「韓国」のSaaSはいま 3年余で利用企業は3倍に膨張

BCN REPORT>「韓」のSaaSはいま 3年余で利用企業は3倍に膨張


 


 


中小企業、きめ細かな支援を展開


政府が運する無料体サイトも


 


 


 ソフトウェアをサビスとして使うSaaSは、韓でも大きなテマとなっている。WEBを通じて多なソフトウェアを利用することができ、料金体系も月額で支う形なのでパッケジソフトに比べて初期投資の負担が少なくてすむ。このような特性から、資金力に乏しい中小企業が情報化を進めるうえで有力な手段となっている。韓政府もそのメリットに着目し、中小企業へのSaaS導入を積極的に支援する姿勢をみせている。最近の動向をレポトする。(趙章恩●取材/文)


 


 韓におけるSaaSは、いわゆる中小企業よりもさらに規模の小さい企業の情報化という側面から政府主導でがっているようにみえる。中小企業労働組合中央のデタによると、2005年末時点での韓の事業体は常時勤務者300人以上の大手企業が4160社、300人未の中小企業が300万1893社と全体の99.9%が中小企業と分されている。企業の情報化では、業員250人以上の企業すべてが全社員にパソコンを支給している。しかし、初期費用の負担や投資果が疑問であるとして、インタネットとeメルといった基礎的な用途以外での情報化については消極的な姿勢をみせる企業が多いのが情だ。今後、SaaSを利用してより多くのソフトウェアを少ない費用で利用できるようになれば、少額投資で中小企業の情報化が進められることになる。添付画像


 


■費用援助やコンサルの支援


 


 韓政府は00年から「中小企業情報化促進政策」に力を入れてきた。中小企業は生産や経営管理の情報化とその手段としてのASP導入を積極的に支援している。つまり、SaaSの前身であるASPの時代から、政府の支援体制が組まれてきたわけである。


 


 支援策の容を紹介しよう。


 


 生産現場のネットワクシステムを構築して生産情報をリアルタイムに把握し率化をるための費用を50%支援するという「生産情報化事業(e─Manufacturing)」がその一例だ。さらには、何から手をつければいいのかわからない中小企業のために門家を現場に派遣して、情報化の方向性と課題を分析しオメイド型の情報システムを構築できるようにコンサルティングする「ITコディネタ派遣」もある。また、政府の支援で情報化をった企業を象に経営改善と率化を促進できるようシステムを有に活用しているかどうかを情報化計活用・経営コンサルティングの3段階に分けて認証審査し、情報化を他の分野に大できるように支援する「情報化経営体制認証(IMS=Information Management System)」制度も設けられている。そのほか、社のネットワクを構成し業種別の同業組合とネットワクをつなげることで電子商取引の基盤を活性化させ技術情報も共有できるように支援する「情報化革新クラスタ」や「情報化のための訪問育」、中小企業が保有している基盤技術の流出を防止するための策と連ソリュションを支援する「不法技術流出防止事業」などに年間約30億円ほどの予算を投じて支援してきた。添付画像


 


 このように、中小企業は現場とかけ離れた理論的なことを押し付けるようなことをせず、中小企業の立場で情報化のステップを一つ一つ踏みながら進展できるよう指導してきたのだ。


 


制上の優遇措置も


 


 興味深いのは、情報化のためにASPを導入した中小企業を優遇する具体的な措置もある点だ。生産性向上のための情報化としてERP(統合基幹業務システム)、SCM(サプライチェンマネジメント)、EC(電子商取引)、CRM(顧客情報管理)などをASPで利用する場合、09年末まで利用料金の7%を所得または法人から控除してくれるというのだ。一定の件をたした企業が優遇象となるが、ERPの導入でお金の出入りが透明になりすぎることを恐れる中小企業があるかもしれないという配慮からだそうだ。


 


 ASPからSaaSに進化した場合の支援も継続的に施されている。韓政府はASPとSaaSを包括するものとして「Rent IT」という用語を使っている。Rent ITとは何で、どんなサビスがあるのかといった明資料と利用方法の動講義などを載したASP/SaaS導入支援ポタルサイト「IT DOUMI(ITお手いさん)」(http://www.itdoumi.or.kr)も運している。通話無料の電話相談窓口もあり、困ったことや疑問があれば気軽に質問できる。


 


 今年解体されてしまったが、韓IT政策を担していた中央省である情報通信部は04年、「ITレンタル方式で100万中小企業の情報化達成宣言」を表明した。ASPを利用した中小企業の情報化支援、中小企業向けASP開支援などが骨子となっている。マスコミを通じての大的な報も果があったのか、韓情報社振興院の白書によるとASP/SaaSを利用している中小企業の04年8月時点で28万2000社だったのが07年10月には90万社へと3年2か月で3倍以上も加している。


 


 市場規模も05年末には1891億ウォン(約210億円)だったのが06年には2366億ウォン、07年には2961億ウォン、08年3308億ウォン(推定)と着えている。ITレンタル産業協議の調査によると、07年3月時点でASP/SaaSで利用できるサビスは308項目、サビスを提供する企業のは同じく07年3月時点で161社となっている。


 


 ソフトをコピされることなく安定的な入が見めるSaaSを事業化しようという、ソフトウェア業者の立場からキャンペンの一つとして「Online Software Service」(http://www.onss4u.net)も運している。ここでは誰でも無料でSaaSを体できるようなっている。OSをWindows用とLinux用に分け、Office(文書作成)、マルチメディア、翻ソフトなど60項目を員登するだけで利用できる。


 


SaaSは一般ユにも浸透


 


 中小企業のために政府の支援で構築され、08年末まで無料で利用できるCRMのSaaSサイト(http://www.esaleskorea.co.kr)もある。09年以降は1社たりのユー数じて費のみ請求される。このeセルスからは顧客管理、製品ビスの問い合わせ、修理受付、携電話SMS(ショトメッセジサビス)やeメルを利用したキャンペン機能も利用できる。


 


 昨年12月には政府機とソフトウェア企業30社余りが加する「SaaS Koreaフォラム」が足した。さらに今年からはSaaS活性化のために10億ウォン、民間が5億ウォンを投資してWEB基盤ソフトウェアの開を支援する。ポタルサイトも文書作成ツルや保存スペスを無料で提供している。


 


 企業だけでなく、一般ユの間でもOfficeソフトウェアを購入しないで、SaaSによって利用する動きがみられる。このように、SaaSは韓に着に浸透してきている子がうかがえる。


 


 


 BCN This Week 2008年3月31日 vol.1229 載]Link


 

韓国 ベトナム市場を狙うIT企業 – 教育センターで人材育成も

 ベトナム市場を狙うIT企業 – 育センタで人材育成も




 


【ソウル】韓最大手の移動通信キャリアのSKテレコムは2007年12月20日、ベトナムのホチミン市に「SKテレコムベトナム情報技術育センタ」をオプンした。



 ホ
チミン市が「ベトナムのシリコンバレ」として育成している「クァンツンソフトウェア地」に建設した情報技術育センタは地上7階、敷地面積3734㎡、延床面積8300㎡で、1階はベトナムの若者向け育センタとして使われ、2階から上は韓ベンチャ企業向けに低家賃で貸し出される。SKテレコムはホチミン市との間で、土地を年間2033ドルで50年間借りる契約を結んだ。「クァンツンソフトウェア地」は、空港から車で20分ほどという便利な立地で、ブロドバンド施設も整っている。ホチミン市は上海のような大都市になると期待が高まっていて、土地の値段が急騰しているため、破格な件ともいえる。


 


 ベトナムの情報化は、韓や日本でIT革命がおきた90年代後半のように急ピッチで進み、パソコンユとインタネット加入者がものすごいスピドで加している。マイクロソフト、ヒュレットパッカド、インテル、IBM、三星電子などIT連ベンダやソフトウェア企業などが、急速に成長しているベトナム情報技術市場に食いもうと先をってベトナムに集まり始めている。


 


 育センタの講師はSKグルプのSIerであるSKC&Cの門家らが派遣される。育課程は、1日8時間で6か月間。Javaでホムペジを構築したり、携電話端末のプログラムを設計できる技術をぶ。基礎育を終えればプロジェクトにして実践を体することになり、英語と韓語の講習も行われる。育費は1人たり1万ドルもかかるが、すべて無料で行う。08年までは6か月ごとに40人を選し、09年からは2倍の80名を募集する。



趙章恩(チョウ
チャンウン=ITジャナリスト)



BCN This Week 2008年1月28日 vol.1220 載]Link 


 


 


 

濡れ手で粟の弁護士たち

日本でも報じられたように、韓国の最大競売サイトauction.co.krが不正侵入され、1800万人の会員のほとんどの個人情報が漏れた。氏名、住所、電話、メールアドレス、住民登録番号といった基本情報に加え、100万人分の口座番号も盗まれた。

 韓国の全国民が持っている住民登録番号は、前の6桁が生まれた年度と生年月日、後ろの7桁は性別と戸籍地、生まれた地域などのデータで構成される。氏名と住民登録番がそろえば、証明書を偽造して携帯電話に加入することもできるし、加入保険の種類や不動産所有の有無といったことまで簡単に調べられる。金融機関や警察、行政機関のデータベースは、氏名と住民登録番号で管理されているのだから。


 韓国ではこの事件をきっかけに、会員情報を不正侵入によって盗まれたあるポータルサイトが侵入者にお金を渡して情報を買い戻していたとか、実は韓国の大統領官邸である青瓦台の職員のパソコンがウイルスに感染していて資料が第三国へ流出していたとかいうようなニュースが後を絶たない。


 こうした状況から、国も国民も企業もセキュリティ意識がなさ過ぎるのではないかと言われ出し、パスワードは他人が推測できない組み合わせにしてこまめに変えたり、パソコンを使うたびにウイルスをチェックしたりというセキュリティのイロハをきちんと守るようにと喧伝されている。ウイルス対策ソフトを常時稼動させるとパソコンの速度が落ちるので、ついついインストールはしておいても使わないことが多かったが、自分のパソコンが不正侵入の経由地に使われることを防ぐために、しっかりと使わなければと思うようになった。


 ただ、私はセキュリティの問題というより、そもそも無料のWebメールを使うのにさえも住民登録番号の登録を要求する国民総背番号制をどうにかしないと、今回のような不正侵入事件(や個人情報売買事件)は限りなく続くのではないかと思う。


 韓国には、会員登録しないと何もできないようにしているサイトが多い。しかも会員登録の際には住民登録番号とか住所、電話番号といった大事な個人情報を過剰に要求する。無料のWebメールやBlogを使ったり、ちょっと何かを検索したりするだけでも、住民登録番号と氏名を要求され、本人確認が行われた上で会員登録されないと使えない。ついでを言うと、実名制度まであるから、表現の自由もありゃしない。こうした状況を改善しようと、政府は、ネット上での個人識別だけを目的とするi-PIN番号(Internet Personal Identification Number)の導入を検討しているが、これがなかなか決まらない。早く決めてほしいものだ。


 さて、一連のハッキング騒動の中で、侵入者よりもウキウキしているようにみえる人がいる。それは弁護士たちだ。


 国内のコミュニティサイトには既に40近い「オークションハッキング被害者の集い」というコミュニティができている。そのほとんどは弁護士たちが自ら立ち上げたコミュニティ。一人当たり3万ウォンの手数料と成功報酬として30%を払えば200万ウォンの損害賠償集団訴訟に参加させてあげると、営業しているのだ。1万ウォンの手数料と成功報酬を20%に値下げする弁護士もいて、営業競争は激化している。


 某企業のリクルートサイトが不正侵入されて履歴書情報を盗まれた被害者が集団訴訟を起こしたところ、一人当たり70万ウォンの損害賠償金を勝ち取ったという先例があることから、弁護士たちは「被害者が集まれば集まるほど訴訟に勝つ可能性は高まる」として集団訴訟をあおっている。


 弁護士にとってみれば原告が増えれば増えるほど、手数料収入が増え、訴訟で勝てば成功報酬も増えるので、裁判で勝とうが負けようが訴訟してしまえ!ということなのだろうかと勘繰りたくなる。韓国は司法試験制度が変更されたことで、2001年からは毎年1000人ほどの弁護士が量産されている。弁護士だって自分から営業して回らないと食べていけなくなったからかもしれない。集団訴訟には2000人ほどが参加して訴訟を提議しているが、このままいくと1万人ほどの規模に拡大するのではないかと予想されている。ちなみに、集団訴訟に参加するという名目で氏名や住民登録番号を要求するコミュニティも多いが、こういうところにメールやメッセンジャーを使ってぽんぽん個人情報を渡すことに注意はしたいところだ。実は弁護士ではなく振り込み詐欺だった……なんていうことも十分可能性としてはあるわけで。


 不正侵入で儲かるのは侵入者より弁護士だなんておかしなことになってきた。

(趙 章恩=ITジャーナリスト)

日経パソコン
2008年4月24日 

-Original column
http://pc.nikkeibp.co.jp/article/column/20080424/1001386/

デパートより売り上げの多いネットショッピング。そのワケは?

韓国インターネットショッピングの市場規模は2008年が20兆ウォン(約2兆円)を超えると展望されている。サムスン経済研究所の調査によると、2007年の市場規模は15兆8000億ウォン(約1兆5800億円)で、今の成長度合いから予測すると、年内には20兆ウォンを突破し、デパートの売り上げを追い越すに違いないというのだ。

 韓国ではすでにインターネットショッピングが大型ディスカウントショップ、デパートに続く3大流通チャンネルの一つになっている。国内全体の小売流通の中でインターネットショッピングが占める割合も7.4%とアメリカの2.8%や日本の2.9%と比べると2.5倍ほど高い。


 とりあえずパソコンからネットで検索という習慣が身に付いているので、ネットで物を買う機会が増えている。何か買おうと思ったときにもまずはネットで価格を検索して最安値の店を探す。そうすると大抵、実店舗を持たないインターネットショッピングモールやオープンマーケット(オークションのように業者でも個人でも自由に売ったり買ったりできるショッピングモール)の方が安いので、そのまま購入へと自然につながる。


 とはいえ、安さだけがネットショッピングの売り上げ増加を支えているわけではない。秘訣は口コミ情報にあるようだ。


 何の予備知識もないままに買うよりも、商品の評価を確認してから買う方が良いに決まっているのだが、このごろは友達のアドバイスよりもネットのショッピングサイトに投稿されている商品の評価を信頼する傾向が高まっているというから驚いた。

ネットに書いてある商品評価なんていくらでも嘘が書き込めるではないか!とか、そんなの日本のショッピングサイトだってやっていることではないか!と思ったのだが、韓国ではちょっと事情が違う。情報の共有に積極的なユーザーが増えていて、テキストで「買ってよかったです」、「配送が早かったです」とか一行程度の文章を書き込むレベルではなく、写真や動画付きで積極的に自分が買った商品の良し悪しを評価して投稿するユーザーが多いのだ。


 ネット販売が難しいとされていたファッショングッズやアクセサリー、靴なども、ユーザーが実際に着用した写真を投稿して「ここのスカートはどこどこのブランドよりもサイズが一回り小さいので参考にするように」「モニターで見るよりかなり生地が薄くて、透け透けなので着られるもんじゃない」など正直な評価をまるで自分のブログやSNSサイトに投稿するかのようにショッピングサイトに残していることだ。


 このように手が込んだ商品評価を残してくれる顧客には、ショッピングサイトがポイントを提供し、商品をより安く買えるようにしている。その特典を狙って一生懸命に商品評価を登録する顧客がいるという側面があるのは確かにあるが、価格以外の部分でショッピングに関連するコンテンツが豊富になってきたということが、インターネットショッピングを牽引する大きな役割を果たしていると言えるだろう。


 大手ショッピングモールは、自社のサイトにはもちろん、個人のブログにも商品評価を残した顧客を対象にしたアフィリエイトを始めた。自分が購入した商品の評価をショッピングサイトと自分のブログの両方に残し、「同じものを買いたいならここをクリック!」という形式のリンクを貼り、そこからの売り上げの1~2%をポイントとして還元している。そのポイントを使えば次回以降のショッピングで割り引きしてもらえるというわけである。


 一部のオンライン書店では商品評価をブログに残してリンクを貼ると、売上の2~3%分のポイントが与えられ、一定金額を超えると書籍購入に利用できるというアフィリエイトを実施していたのだが、売り上げ向上にほとんど貢献していなかった。女性顧客がメインになるファッショングッズや化粧品などを扱う大手ショッピングモールサイトでは、商品評価という口コミ情報が、売り上げの向上につながる何よりも効果的なコンテンツだというわけである。ちなみに、日本では幅広く利用されているアフィリエイトだが、実は韓国ではブログでお金を稼げるといったら今までGoogle Adsenseぐらいしかなくて、アフィリエイト的なサービスは導入されていなかった。


 インターネットショッピングの広がりとともに、インターネットショッピングをキーワードに顧客を増やそうという動きもある。


インターネットショッピング市場より大きくなるという見込みからか、銀行も関連サービスを提供し始めた。インターネットで物を買うときに口座振替で決済すると、その口座に決済金額の0.5%(最大750ウォンまで)がキャッシュバッグされるというのだ。しかも決済金額が口座から引き出されると同時に銀行からキャッシュバック分が振り込まれるというからなんともスピーディーなキャッシュバッグ! クレジットカードを使うと割引やキャッシュバッグの特典があるというのはかなり前から実施されているが、口座振替に特典が付くのは初めて。一回5000ウォン(約500円)以上の取引に適用されるという制限はあるが、キャッシュバック回数は無制限だ。


 韓国の民放放送局SBSは、ラジオ放送をネット経由で聴ける専用アプリ「ゴリラ」を使って、ラジオを聴くたびにポイントが貯まり、それをオンラインショッピングサイトである「オークション」の商品を割り引いてもらえるポイントとして使える「ポイント交換イベント」を実施している。この頃は車の運転中ぐらいしかラジオは聴かなくなったし、夜もインターネットばかりを眺めることが多くて青春=深夜ラジオいうこと図式はなくなってきているし、ラジオ番組のお便りも携帯電話からSMSを送信するかインスタントメッセンジャーで送信できるので、はがきを書くこともなくなった。インターネットでラジオを聴きながらショッピングを楽しんでほしいという計らいなのか。


 ただ、韓国でインターネットショッピングの市場規模が成長しているからといって、全てのサイトが大成功しているわけではない。


 大手企業が投資したのにいつの間にかネットから消えてしまったサイトもたくさんある。去年の秋にサイト閉鎖を決定し、大騒ぎになったある大手ショッピングモールも値段を安くし、口コミ情報もたくさん集めた。なのに、なぜ失敗したのだろうか。それは売り手が集まらなかったという理由だった。クーポンとか激安セールとか、買い手向けの特典は多いのに、売り手のメリットはほとんど考えられていなかった。成功している多くのショッピングサイトは値段が安く、写真や動画付きの商品評価がたくさん登録されている。それに加えて、売り手が楽にビジネスできる工夫もたくさんしてある。きちんとこの3つのポイントを押さえている。


 こうやって立派なことをいうのは簡単だけど、いざ実践するとなると公式通りにいかないのがインターネットビジネスというもの。ショッピングサイト運営者のみなさん、がんばってください。ちなみに個人的な希望になるけど、海外への発送サービスも増やしてください!

(趙 章恩=ITジャーナリスト)

日経パソコン
2008年4月16日 

-Original column
http://pc.nikkeibp.co.jp/article/column/20080416/1001025/

韓国版モバイルWiMax、ユーザー急増の理由はやっぱりあれ

 この5月に韓国を訪問する人にぜひ利用してほしい無料サービスがある。韓国KTが5月1日から韓国仁川国際空港より入国する外国人を対象に無料で貸し出しているWibro(モバイルWiMax)が使えるUSBモデムだ。


 ノートパソコンに差し込んで使う外付けモデムで、ノートパソコンを持参していけばソウル市内ほぼ全域でブロードバンドをタダで利用できる。USBモデムのレンタル料はもちろん、通信料も込みで全て5月の1カ月間は無料だ。仁川空港の1階KTブースで貸し出し中。保証金として50ドル預かるが、端末を返却すると保証金は全額返してもらえる。6月からは有料化される予定で外国人観光客向けに1日5000ウォン(約500円)で貸し出すというが、それでもモデムはもちろんノートパソコンまで含めて貸し出した上にブロードバンドも使い放題でこの値段はお得だろう。旅行中でもインターネットが使えると色々検索できるし何かと便利なのは間違いない。


 Wibroは2006年6月に世界で初めて韓国が商用化したモバイルWiMaxのサービスである。2008年4月末時点ではまだソウルと首都圏の一部でしか利用できないため通信エリアは狭いが、地下鉄の中やバスで移動しながらも途切れることなくすいすいインターネットが利用できるのが特徴だ。実測で平均下り3Mbps、上り1.2Mbpsなので携帯電話からアクセスするよりも断然速い。


 モバイルWiMaxはこれから日本やアメリカでもサービスが始まるため、世界中から注目されているサービスである。韓国でも順調に伸びていたわけではない。商用化したのはいいが、加入者が伸びるわけでもなくサービスエリアが拡大されるわけでもなく、なんとなくほったらかし状態だったのだが、2007年6月頃から急激に加入者が増加している。2007年4月より通信エリアがソウル全域に広がったことも影響してはいるが、何よりもKTが太っ腹のプロモーション料金を打ち出したことにあるとみえる。


 その内容は、1万6000円相当のUSBモデムを無料贈呈、加入料免除、利用料は1~3カ月無料というもの。しかも無料お試し期間が終わった後も交渉次第で無料期間を延長してくれたというBlogの書き込みが絶えず、無料のうちに加入してしまえという雰囲気になってきた。5月末までに加入した人には、インターネット使い放題の月1万9800ウォン(約2000円)のコースを申し込むと、KTの無線LANをおまけにつけてくれるので、Wibroが使えない地域では無線LANでアクセスできる。1カ月に1000MBまで利用できる従量制のコースは月1万ウォン(約1050円)で、超過分はMB当たり25ウォンだ。


 商用化から2年近く経った2008年3月末時点での加入者はまだ14万5千人に過ぎないが、2008年の加入者目標は40万人だ。その後はもっと加入者数が増えて、これからは携帯電話のパケット通信や3Gより値段も安くて速度も速いWibroがインターネットの中心になるだろうといわれている。サービスエリアが広がれば、家の中にいても外にいてもWibro一つで途切れずインターネットが使えるので、家ではxDSL、外では無線LANに携帯電話と通信費を何重に払わなくても済む。それにWibroを利用してモバイルVoIPを利用できるとなれば、携帯電話もいらなくなる。モバイルVoIPについては携帯電話キャリアの反発も大きく、国としても認可する予定は当分ないのだが、技術的には今すぐにだってできてしまう。


 KTは2008年にWibroに約120億円を追加投資する計画だという。速度を2倍速くしたWibro Wave2も開発は終わり現場テスト段階なので、首都圏全域をフルカバーできるようサービスエリアの拡大に集中する。日本やアメリカでも始まるモバイルWiMaxサービスを韓国で一足先に体験できるチャンスを逃すのは惜しい。季節的にも5月はイベントも多く清々しい気候から観光しやすい時期でもあるのでぜひ韓国ソウルを訪問してもらいたい。

(趙 章恩=ITジャーナリスト)

日経パソコン
2008年5月14日 

-Original column
http://pc.nikkeibp.co.jp/article/column/20080507/1001984/

話題の携帯電話、hapticって何だ?

このごろ韓国では携帯電話の面白いCMが登場した。「チョン・ジヒョンより彼女が好きな理由は触れるから」というちょっと刺激的な広告コピーの携帯電話「haptic」。日本でもシャンプーのCMに出演したり、日曜ドラマの「猟奇的な彼女」の原作映画で主演を演じたチョン・ジヒョンが登場して、お茶目な姿を見せてくれるサムスン電子の携帯電話CMだが、「触れる」ということでタッチパネル端末であることをとても上手く伝えている。

 iPhoneが登場して以来、世界的にタッチパネルの携帯電話が流行っている中、サムスン電子はさらに進化したタッチパネル端末として「haptic」を発売した。LG電子のタッチスクリーン端末であるPRADA携帯に対抗するもので、韓国標準協会が選定した第9回大韓民国新技術ウトゥム(一等)賞を受賞した話題の製品でもある。端末価格が8万円もするのに発売から20日間で7万台、3カ月間で20万台が売れ、今ではどの代理店に行っても売り切れ状態という幻の携帯だ。ネットでは端末に2万円ほどのプレミアが付いて取り引きされている。


 hapticは触覚という意味を持つ単語で、文字通りタッチパネルの携帯電話であるが、ただ液晶をタッチして機能させるだけの端末ではない。ちょっとアナログ感覚というか。電話をかけるときは昔のダイアル式の電話のような効果音が流れ、写真アルバムを見るときは紙のアルバムをめくるような音がする。写真の上に手書きで文字やイラストを残して、それを送信することもできる。液晶画面のアイコンを指でクリックすると振動し、端末を傾けることでファイルを検索したり写真を見たりということができる。22種類の振動機能が搭載され、クリックするたびに端末が違うように反応する。例えば家族や友人の誕生日を入力しておくと電話がかかってきたときにその人のバイオリズムに合わせた振動が感じられるので、毎回違う感触を体験できる。Widgetを利用して初期画面を自由自在に作れる。


 16対9比率の3.2インチの液晶画面に軽くほどよいグリップ感があってタッチしやすく、地上波DMB(韓国版ワンセグ)にも対応しているので携帯電話にしては大きな画面でテレビが見られるのもいい。メモリーは130MBと余裕があるが、サムスンの携帯電話といえば700万画素、1000万画素の高画質カメラ付き携帯が有名なのにhapticはカメラが200万画素しかないのはちょっと残念だ。でもhapticはタッチパネルにしてはかなり使い心地がよく、当初ボタンが一つもないタッチパネル式で開発されたが、ユーザーテストでタッチパネルだけでは逆に不便と指摘されたことで設計を修正、一般ユーザーの意見を最大限反映したのも特徴としている。


 サムスン電子は、これは単純なタッチパネルではなく携帯電話がユーザーに合わせて反応する、触感と感性を刺激する新しいジャンルのケータイであると説明しているが、端末の機能よりもCMがよかったので買ってみたいとする人が多いような気がしないでもない。


 サムスン電子がタッチパネル携帯電話に重点を置くようになったのはiPhoneの影響もあるがLG電子のPRADA携帯が予想以上にヒットしたことも影響しているようだ。1年ほど前、LG電子は有名ブランドPRADAと提携し、タッチパネルの端末をヨーロッパで先に発売し、のちに韓国で歴代最高価格の88万ウォン、約9万円で売り出した。それでもこんなにスタイリッシュな端末は見たことがないと爆発的な売り上げを記録し、特に専門職の男性に人気を集めた。


 hapticよりさらに上をいくタッチパネル端末としてサムスンはヨーロッパ市場向けに500万画素カメラ付きの「SOUL」を発売した。「the Spirit Of Ultra」の略字でUX (User eXperience)に対応している。既存の端末は内蔵された一つのUXしか利用できなかったが、ユーザーが自分に合ったUXをデザインできるという点が違うそうで、ユーザーがカラーや明るさなどをいくつか設定すると携帯電話がユーザーに合ったUXテーマを作ってくれるという。音楽を聴いている間はキーパッドも音楽再生にあったものを、メールを書くときにキーボードに早変わりするDaCP (Dynamic Adaptive Control Pad)技術のマジカルタッチキーボードもつけたとのこと。


 携帯電話の待ち受け画面なんて1年以上そのままだし、メールを書くときにタッチパネルなんてじれったくて使えないと思ってしまう私にはこれってそんなにすごいの?とあまりピーンとこないが、かなりすごいことらしい。タッチパネルだと画面も大きくてインターネット検索も楽々、手書きもできるから使いやすいといえば使いやすいが、モバイルコンテンツや写真を編集する機能などほとんど使わずに電話とメールだけという人には逆にボタンがないので不便かもしれない。


 韓国では2009年にはタッチパネル式の携帯電話が全体の3~4割を占めると予想されているほどで、市場調査会社のガートナーの資料によると、2007年に世界市場で1500万台規模だったタッチパネル式の携帯電話は2008年には2倍以上の3500万台規模になる見込みだという。今からタッチパネルに慣れておく必要があるのかもしれない。

(趙 章恩=ITジャーナリスト)

日経パソコン
2008年4月30日 

-Original column
http://pc.nikkeibp.co.jp/article/column/20080430/1001648/

韓国キャリアの一風変わった「家族割」

日本でも携帯電話の料金体系の一つである「家族割」のCMが一日に何度も流れているが、韓国でも家族で一緒に加入すると料金が安くなる家族割りで勝負する料金競争が始まっている。

 LGテレコムは家族でなくても料金納付者を指定して、その人の下に加入するのであれば他人であっても7人まで「家族愛割引プログラム」という家族割り引きが適用される。この料金制度は家族間通話料が50%引き、家族間メンバーシップ(毎月の平均料金に応じて1年に約3300円~1万1000円ほどのポイントがもらえ、加盟店でその金額分割引してもらえる制度)も共有できる。


 驚きは1年ごとに2カ月分の基本料と平均音声通話を全額差し引いてくれることだろう。例えば一人当たり7000円/月の電話代を払う5人家族だと月に3万5000円。ここから2回分に相当する7万円を差し引いてくれるということだ。太っ腹な割引だな~と感心してしまった。だって家族じゃなくてもサークル仲間や仲良しグループで申請しても家族割りになるのだ。キャリア3社の中で最も加入者が少なく、新規加入を確保するため料金で勝負するようなところを見せているのは日本の事情と変わらない。


 韓国で最大手キャリアのSKテレコムも家族割りを始めて反響をよんだ。LGテレコムと異なり、戸籍上の家族5人だけが対象だが、家族登録するだけで通話料が50%引きになる。また、面白いのは基本料の割引制度。家族の加入年数を合計して、10年未満なら10%、10年以上は20%、20年以上は30%が基本料から割り引かれて、30年以上だと基本料が半額になる。


 さらに家族を登録した新規顧客の中から抽選で1000人に8万円以上する最新の携帯電話を贈呈するイベントまでやっている。基本料を安くしようとSKテレコムの加入期間が長い父に急接近する子供たちが増えているから、親孝行効果もあって一石二鳥だなんて言われている。家族割りは今年の4月1日に登場してからたったの10日間で25万人を突破した。2008年末までに400万人以上が家族割りを利用すると見込まれている。


 家族ではなくても、毎月約300円を追加すればSKテレコム加入者同士の通話料が毎月5時間無料になる。これは800円分ほどの割引効果があるということで、この料金制に加入する人は4月時点で全加入者の10%に当たる230万人を超えている。月額基本料には無料通話分が含まれていないので、家族割分を含めると5人家族で年間最大約6万2000円ほども節約できるという。SKテレコムの加入者は 2237万人で、全加入者の50.5%を占めている。LGテレコムやKTFよりもSKテレコムに加入している家族の方が多く、みんな家族割りのために多数決でSKテレコムへ移行したという人も結構みかける。家族全員の加入期間が長ければ長いほど基本料が安くなるから、どんどんSKテレコムに加入させようとするわけだ。

加入者間の無料通話は最後の最後の砦と言われてきたけど、新しく就任したイ・ミョンバク大統領の公約の一つが通信費を20%値下げして家計の負担を軽くすることなので、2007年秋からさまざまな家族割りが登場している。SKテレコムの資料を見ると、2008年1月から3月の加入者の平均通話時間は変わらないのに、ARPU(加入者一人あたりの月間売上高)は前期の約4600円から約4300円に落ちている。家計の負担は少しずつ減っている。


 家族割りでなくてもLGテレコムは月に1700円ほどの追加料金で加入者間の通話が20時間無料に、月に110円プラスすれば加入者間の通話料が50%割引に、4300円/月ほどを支払えば加入者間の通話が20時間無料+その他キャリアや固定電話への通話が5時間分無料になる。KTFも月に300円ほどを追加すれば加入者間の通話料が50%割り引かれる。加入者間の通話が増えるとKTの固定電話から携帯電話へかける頻度は当然に減るので、売り上げは前年同期比約11.6%も減っているという。家庭用インターネット電話も普及していることからKTの固定電話通話料の売り上げは前年比3.2%減っている。


 固定電話の売り上げが減る一方のKTも、負けじと通話料割引を始めた。韓国に住む外国人を対象にした「国際LOVE料金」。パケット定額制のように月額で約1100円~約3100円の定額料金を払えば家の固定電話と携帯電話合わせて60分から最大500分まで国際電話がかけ放題となる。


 以前は携帯電話の料金なんて標準料金、エコノミー料金(基本料が安くて通話料は高め)、300分通話放題料金(基本料が高くなる代わりに時間に関係なく月額300分の無料通話時間が付く)など、料金制度のタイトルと意味がその通りでとても分かりやすかったのに、家族割りやらパケット割引が登場してからは計算のややこしいこと! 料金案内のページに入ると、30種類以上の料金制度がどばっと出てくるからますます混乱してしまう。無料通話分や割り引き方が微妙に違うので、最も節約できる料金を選択するためにネットの知識検索に相談することもしばしば。知識検索とはユーザー同士でQ&Aするものなのだが、人の経験を教え合うので企業が提供する一括した情報サイトよりも分かりやすい。


 通信料が安くなってくれるのはありがたいが、もう少し整理してほしいものだ。


(趙 章恩=ITジャーナリスト)

日経パソコン
2008年5月21日 

-Original column
http://pc.nikkeibp.co.jp/article/column/20080521/1002692/

国民総背番号制の罠、個人情報流出は止められない

韓国最大オークションで発生した1000万人規模の個人情報漏えい事件のほとぼりも冷めないのに、テレホンマーケティング業者と大手スーパーと医者が絡んだ3万件の医療保険情報流出や、薬局職員の絡んだ72万件の医療保険情報流出など毎日のように個人情報が盗まれる事件が後を絶たない。

 3万件の流出事件にかかわった犯人たちの手口はこうだ。まず、不正に手を貸した医者の公認人証書を使って国民健康保険公団のサイトにアクセスする。次に、大手スーパーが流出させた懸賞イベントの応募用紙に書かれていた氏名と住民登録番号を入力して、国民健康保険公団の医者用のページから患者の受診内容を確認するふりをして医療保険の加入状況を確認し、医療保険に書いてある職場や所得情報を探り出す。調べた情報をテレホンマーケティング業者は、懸賞用の個人情報を流出させた大手スーパーの提携クレジットカードの勧誘に使う。こうして、医者はテレホンマーケティング会社から報酬を、テレホンマーケティング業者はカード加入1枚につき約3000~4000円ほどの報酬をこの大手スーパーから受け取ったというものである。しかし情報を流出さえたスーパーからは罰金を取るぐらいがせいぜいで、それ以上処罰できる根拠がないという。


※公証人証書:インターネットバンキングや政府サイトにアクセスする際に必要な個人認証手段で、銀行または郵便局で身分証明書を提示して発行されたIDに、インターネット経由でパスワードを設定して使う。本人が一度は必ず身分証明書をもって金融機関を訪問しなければならないので、現在のところ最も有効な個人認証手段になっている。


 薬局職員による流出事件はもっとひどい。借金取り立て業者から受け取った72万件の住民登録番号と氏名を元に、国民健康保険公団のサイトを検索して、医療保険に書いてある職場情報を教えたというのだ。この犯人は、自分が勤めている薬局の薬師が持っている公認人証書を勝手に使い、借金の取り立て業者に個人情報を売り渡したという。取り立て業者はこの情報を使って職場に押し寄せた。


 犯罪とは言えないまでも、テレマーケティング業者に会員情報を提供する通信会社やポータルサイトも少なくない。こういう会社のほとんどは、会員登録するときに「テレマーケティング業者に個人情報を渡しても良い」という項目に同意しないと会員になれないようにしているからタチが悪い。断っても断ってもインターネット電話に加入しろとかクレジットカードに加入しろと電話がかかってくるのは、本人が同意をしたのだから仕方ないということになる。


 私なんて同じ通信会社のテレマーケティング業者からインターネットテレビとインターネット電話をセットで申し込むと今なら3カ月間無料お試しができますという電話を一日6回ももらったことがある。さっき断ったのに何でまた電話をするのかと聞くと、全国のテレマーケティング業者が同じ個人情報を元に勧誘しているからだとのこと。全国にいる何千万人のもテレマーケッターの手元に私の個人情報が出回っていると思うと怖くなってしまった。断るときも慎重にやわらかくしないと個人情報をばらまかれるかもしれないではないか。韓国のテレマーケティング業者の中には30秒以上の通話に成功すると報酬がもらえるところもあるらしく、一方的にマシンガントークで商品の宣伝をはじめて、電話を切れないようにする人もいたな。

現在、韓国には公共機関の個人情報保護に関する法律はあっても民間企業の個人情報保護に関する法律は「情報通信網利用促進及び情報保護などに関する法律」という大きな法律の中の一部でしかなく、処罰も甘い。このため、民間企業は住民登録番号を収集できないようにするとか、いっそのこと番号制度を止めるべきではないだろうかという議論も出ている。弁護士団体も住民登録番号制度を改善した個人情報保護法を制定するべきと声明を発表した。


 政府は2008年9月までには新しい法律を制定するとしているが、これは既に2004年から繰り返されている古い議論に過ぎない。個人情報を売買したり盗んだりする人は懲役10年ぐらいのきつい処罰規定がない限り、危機意識を持たないかもしれない。一部大手通信社では住民登録番号を書いた申請書をデータベースに入力した後、本人に書類を持って帰ってもらうようにしている。紙で個人情報が残された場合、不意に誰かに見られたりする可能性もあるからだ。でもこうした個人情報流出をふさぐために努力しているところはまだ少ない。


 住民登録番号は出生届けを出すと発行されて、一生同じ番号で広範囲な個人情報を管理される。情報流出の被害に遭った人たちが番号の再発行を申し込んでも変えてくれない。携帯電話への加入、パスポートの発行、学校の入学や会社の入社にも住民登録番号を提出しないといけない。金融、医療、税金、自動車、不動産はもちろん、その人がやることすべてに住民登録番号は関わっている。


 とても大事な番号なのだが、何をするにも住民登録番号を書かされるようになるとセキュリティ意識も甘くなるものなのだろうか。スーパーの懸賞応募用紙に住民登録番号を書けと言われても抵抗を感じる人は少ないようだ。インターネット実名制度が導入されてから、ますます過度な個人情報を要求するWebサイトが増えている。無料のWebメールサービスを使うのにも大事な住民登録番号を登録しないといけない。それが嫌だからといって、罪悪感もなく他人の番号を書き込む人もいる。これは法律で禁じられるようになったが、まだまだネットでは住民登録番号が検索されている。


 このようにさまざまな問題を抱えているが、全国民を番号で管理するのはとっても楽なことである。携帯電話にしても電話番号と住民登録番号がつながっているから、他の国に比べると追跡も容易である。不正侵入や個人情報売買といった事件が続いても、その犯人を追跡する手段にIPアドレスとプロバイダー加入情報と住民登録番号が使われるので、問題点があることを認識していながらも手っ取り早く国民を監視・管理できる住民登録番号制度はやめられない。全国民がおでこに個人情報を張って歩いているようなものだと批判する人もいたが、韓国で生きていくためには住民登録番号なしでは何もできなくなってしまった。


 そんな韓国の国民総背番号制について、「韓国では住民登録番号があるからいいよね~。楽だよね~。」なんて言えないということだけは日本のみなさんに伝えておきたい。


(趙 章恩=ITジャーナリスト)

日経パソコン
2008年5月16日 

-Original column
http://pc.nikkeibp.co.jp/article/column/20080513/1002389/