韓国大手企業の2006年成績表・サムスンとLGの極端な差はどうして?

12月が年度末の韓国ではちょうど今頃、企業の推定実績発表と人事異動がマスコミを賑わす。朝鮮日報の報道によると、韓国企業ランキング100位までの大手企業の2006年度実績は、売上高が前年比7.07%増加した547兆576億ウォン(注)だが、営業利益と純利益はそれぞれ1.45%減、5.94%減の48兆3757億ウォンと43兆6523億ウォンだった。

 円安の影響から、海外市場でノートパソコンやHDTVなどの家電や自動車は、日本製の方が韓国製より安いという現象が発生した。韓国製品は価格競争力が落ち、輸出への依存度が高い企業は売れるけど儲からないという問題を抱えている。


韓国でも貧富の差は開く


 韓国を代表する自動車メーカーといえば現代自動車だが、不正資金工作・横領問題で会長が逮捕されたことに加えて、組合のリストラ、円・ドル安ウォン高と内外から締め付けられ純利益は32%も減りそうだ。日本市場には、ヨン様をモデルに起用し、韓国の国民車として愛される「ソナタ」を投入したが販売は苦戦し、ネットでは「日本の主婦向けにセダンを売り込むのは日韓の差を認識せずヨン様だけに頼った戦略の間違い」と指摘されてもいた。


 一方で、輸入車を扱う現代自動車の子会社はウォン高から外車の値下げ効果があり、売上高、純利益とも40%ほど成長した。景気が悪いといっても韓国国内での貧富の差は広がっている。実際には余裕資金の多い個人は増えていて高級外車と輸入食材、輸入赤ちゃん用品は飛ぶように売れている。今年のファッションはあまり寒くもないのに毛皮がトレンドだそうで、通勤の満員電車に毛皮で乗り込むOLが増えていて、私としてはくしゃみが止まらなくなるから困るくらいだ。


 大手企業の動向の中でも特に注目されているのは韓国の2大財閥系企業、サムスンとLG。2社の2006年の実績は極端な差が出た。時価総額韓国国内1位のサムスンはまずまずの実績を達成したのに比べ、LGは悪夢の1年というほど実績が落ち、グループ内の中核会社であるLG電子のCEO交代まで断行したほどだ。


 LGは今年グループ全社が大幅の純利益減少となった。主力事業の家電は純利益が54.5%減少した。LG電子製の携帯電話の人気が落ち、前々回紹介した「チョコレート」携帯が唯一の救いとなった。2005年純利益5170億ウォンでお祭り騒ぎだったLGフィリップスはLCDの価格急落で8000億ウォンの赤字、通信キャリアのLGテレコムも純利益11.74%減少、化粧品や洗剤などのLG生活健康は12%減少、LG化学は24.03%減少、持ち株会社のLGも26.49%減少した。


 LGは責任を追及するかたちで大規模な人事異動を断行し、グループ内の代表理事(日本でいうところの代表取締役)8人が新しく入れ替わった。今まで「和」を重視した人事から一変して、徹底した成果主義と未来志向的、グローバル経営強化の3つの原則に沿って行ったと発表した。LG電子の代表理事にはナム・ヨン前LGテレコムの社長が抜擢された。30年間LGに勤めた戦略通と呼ばれる人物で、攻撃的マーケティングでLGテレコムの加入者を増やし雨後の竹の子ように成長させたのが高く評価された。オーナーである会長の秘書室長でもあった人物だ。


 サムスンは営業利益は減ったものの純利益は4.44%増えた8兆ウォンと予想されている。サムスン物産や子会社の純利益も100%以上の成長が見込まれていることから「やっぱりサムスンは危機に強い、賢い企業」と評価されている。毎年年末になるとサムスン電子やキャリアのSKテレコム、LGテレコムは基本給の700~1000%がインセンティブで支給されると報道され、サラリーマン達を憂鬱にさせていたが、今年はどこも大規模なインセンティブは支給されない様子。でもサムスンは会社別の実績に応じて基本給の150%以内で支給し、1月には事業部別の目標を超過した利益を年俸として支給する制度があるため、事業部によっては年俸の50%近い金額をボーナスでもらえる人もいるということだ。

(趙 章恩=ITジャーナリスト)

日経パソコン
2006年12月26日

-Original column
http://pc.nikkeibp.co.jp/article/NPC/20061226/257737/

韓国の携帯電話はスリム化競争も激化

サムスン電子はマジックシルバーのほかにも、自慢の薄さ6.9mmで200万画素カメラ付き携帯ウルトラエディッション6.9(SPH-V9900)、1000万画素携帯(SCH-B600)、8GBハードディスク携帯(SCH-B570)を発表。世界をあっと驚かせる新技術の携帯を続々登場させる。サムスンとLG電子は「年間発売する新機種の数を減らし、その分じっくり開発したプレミアム携帯を披露したい」と話している。

 ウルトラエディッション6.9は海外で先に発売されたモデルで月100万台販売というすごい勢いで売れている。6.9のほかにマジックシルバー同様マグネシューム素材の9.9(SCH-V900)、300万画素カメラ付き、地上波DMBに対応した12.9(SCH-B630)も世界市場に続いてこの秋から韓国で発売された。12.9は地上波DMB番組時間アラーム、録画、キャプチャーなどモバイル放送を最大限楽しめる機能がついている。サムスンは薄さ5.0 mmまで既に開発したと発表しているので、紙切れのような携帯が出るかも、と期待してしまう。






サムスン電子のウルトラエディッション6.9



 ナンバーポータビリティーの影響から特定のキャリアでしか加入できない携帯も増えている。特に韓国のNTTドコモともいわれる最大手SKテレコムは「Tスタイル」というシリーズでSKテレコム加入者だけが購入できるデザイン携帯を発売している。モトローラの衛星DMB携帯モトビュー(MS800)とウルトラエディッション9.9(SCH-V900)の2種類が対象となり、ほかのキャリアからは販売されない。ウルトラエディッション6.9はKTF専用で(品番SCHはSKT、SPHはKTF)、SKテレコムからは衛星DMBが追加され8.4mmになったSCH-B510が発売された。


2007年は3.5G携帯が続々と登場する


 2007年の韓国携帯電話市場は依然とスリム競争が続き、3.5GのHSDPAやWCDMA、モバイルWiMAXであるWibro搭載で高速インターネットが使える端末が続々発売されそうだ。特にWCDMA専用携帯は20種類ほど発売される予定なので、今のWCDMA/CDMAデュアル方式に比べぐっと端末の値段が安くなりそう。


 HSDPA携帯は既にサムスンから世界初の2006年5月に発売されているが、加入者は11万人程度に過ぎない。値段の高さもあるが、携帯電話から高速インターネットを使わなくても街中にただで使えるパソコンが転がっていることも影響している。韓国では全国郵便局、市役所、区役所、地下鉄駅構内、ファーストフード店などに無料でネットが使えるパソコンがあり、誰でも自由に使える。そのため、携帯電話から高い料金を出してまでネットを使いたいと思う需要がまだ少ない。しかし、HSDPAの全国カバレッジが完了すれば、利用形態も変わるかもしれない。


 HSDPAはデジカメにも搭載されるらしく、来年からはデジカメで撮った高画質写真や動画をSNSや電子額縁に直送信、なんてこともできそう。電子額縁はSKテレコムやKTが提供しているサービスで、写真を電子額縁のアドレスに転送すると、部屋の中にある額縁に写真が登場するというものである。


 というわけで、来年の携帯電話はスリム、デザイン、DMBに速度の競争も加わることになりそうだ。値段の安さを競争してくれるといいんだけどな~


※写真の出典はサムスン電子のホームページ

(趙 章恩=ITジャーナリスト)

日経パソコン
2006年12月19日

-Original column
http://pc.nikkeibp.co.jp/article/NPC/20061211/256605/

この冬、韓国携帯電話は愛称と素材で勝負

「チョコレートはいかがですか?」「それよりは光り物でシャインがいいかな」…

 これはデパ地下ではなく、韓国携帯ショップでの会話。日本だと「903i出ました!」とかW43、W44など品番で紹介するのが当たり前だが、韓国の携帯は愛称で呼ばれるのが人気の証といわれている。


 去年までは広告モデルの名前をとって「ジョンジヒョンフォン」、「クォンサンウフォン」などとユーザーの間で自然に覚えやすい愛称がつけられたが、今年の春モトローラの「レイザーフォン」が大当たりしてからは、メーカー側が発売段階から「チョコレート」「マジックシルバー」「ウルトラエディッション」「シャイン」など端末の特徴をとった愛称を打ち出している。もちろんそれぞれ品番もあり、サムスン電子のマジックシルバーはSCH-B500、LG電子のチョコレートはKV-5900だが、誰も「KV-5900ください」とは言わない。


 業界では「愛称がある携帯ほどよく売れる」という説があり、何とか記憶に残る名前をつけなくてはと悩んでいる。それもそのはず。日本と違い韓国は年俸制が定着し、ボーナスという存在は記憶の彼方へ消えてしまったため、時期に関係なく年中新規端末が発売される。代理店で埃をかぶったまま消えていく端末も少なくない。


LGの携帯は「チョコレート」でブレイク


 愛称マーケティングで最も成功したのはLG電子の「チョコレートフォン」。板チョコのように薄くてかわいい、プレゼントしたい携帯と女性社員らが話しているのを偶然聞いた担当者がこのような名前をつけたそうだ。チョコといってもこげ茶色ではなく、ブラック、ショッキングピンク、ホワイト、ワインなど豊富なカラーバリエーション、アメリカ市場向けにグリーンやチェリーなどのカラーも発売している。キーパットの文字が赤なのがおしゃれ。チョコレートフォンは世界70ヶ国で販売されていて、海外でもマスコミが大絶賛、今年600万台販売を達成した。サムスン電子に押され気味だったLGの携帯は黒字転換、一気に世界の高級ブランドとして認知されるようになった。






LG電子のチョコレートフォン「KV-5900」



 1000台限定発売されたチョコレートフォン2限定版は14金で縁取られ、LCDの下にも14金のストライプがある豪華なモデルで話題になった。LGは後続モデルとして「シャイン」を発売し、サムスン電子のマジックシルバー、モトローラのクレイザーに対抗している。






LG電子のチョコレートフォンII「LG-SV600」


(趙 章恩=ITジャーナリスト)

日経パソコン
2006年12月12日

-Original column
http://pc.nikkeibp.co.jp/article/NPC/20061211/256604/

ITUテレコムワールド2006、ITでも韓流を狙う

「情報通信技術分野のオリンピック」とも呼ばれる「ITU(国際電機通信連合)テレコムワールド2006」が12月4日から8日まで、香港アジアワールドエキスポで開催されている。アジア初のテレコムワールドだけあって、韓国のIT関連新製品が一堂に会するほか、大手企業のCEOやIT業界の大物もみんな香港に集結する盛り上がりをみせている。

 韓国国内の報道では、ITUに初参加加するチャイナモバイル、チャイナネットコムなど中国勢に注目すべしと騒いでいるし、中国通信業界の世界進出のきっかけになるだろうという指摘もなされている。一般ユーザーからすると「テレコムワールドってそんなすごい展示会なの?」としか思えないが、「へ~」と驚くべき便利な最新モバイル技術がどっと披露されるという点は注目すべきではないだろうか。


中国の韓流は衰え知らず、その波及効果はIT機器にも


 最近、日本の韓流(韓国ブーム)は一時に比べると下火になったようだが、中華圏での韓流はまだまだ勢いが衰えていない。ドラマに登場するサムスンのPCや携帯電話、LGのTVや家電までもすごい勢いで販売が伸びているという。


 11月にあった俳優ソン・スンホンの除隊では日本や中国、台湾、シンガポールなどから5000人以上のファンが詰め掛けたそうだし、済州道であった韓流エキスポ開幕式ではヨン様が30分登場するだけで日本からの参加者が軽く3500人を超したそうだ。驚いたのは遠い砂漠の国、中近東でも韓国のドラマが人気で、韓国製の黄金TVやプラチナ携帯といった韓国や日本では見たこともないようなすごい製品が売れているそうだ。


 韓流ファンたちは韓国人にとってありがたい存在だ。自国の文化を尊重してくれて、ドラマや映画を観ながら一緒に感動してくれる仲間だからだ。この勢いに乗って、ITでも韓流が続いてくれればという思いもあるが、一方でサムスンとLGの独走ゆえに、韓国にはこの二つの会社しかないのかと思われるのは悲しい気もする。


 冒頭に紹介したITUテレコムワールド2006に参加するのは世界40カ国、700以上の企業だ。韓国からは日本のNTTのような電話・通信企業であるKT、携帯電話会社のSKテレコムとKTF、加入者100万人を目前した衛星DMB(日本の衛星をシェアしている衛星モバイル放送)のTUメディア、端末関連ではサムスン電子とLG電子といった韓国を代表する大手IT企業が参加する。


 韓国勢の展示の目玉は、今年から商用化された3.5GのHSDPA、Wibro(モバイルWimax)といった新しい通信サービスと端末。IT強国と自負しているだけあって、世界に向けあっと驚くような最新技術を紹介するべきという義務感を感じているようだ。KTとKTFは「ユビキタスライフパートナー」というテーマで公園(U-Park)、商店街(U-Mall)、駅(U-Station)、地下鉄(U-Metro)、家(U-Home)など、生活の中の具体的なシーンを挙げた展示コーナーを設けた。


 SKテレコムは「Innovation & Inspiration」がテーマで、日本でも提供されている携帯電話での決済、いわゆるおサイフケータイ機能のほかに韓国が発信地となったマルチメディアサービスを展示する。1回の決済で再課金なく、PC、MP3プレーヤー、携帯電話など、いろいろな端末から音楽を再生できる「Melon」、携帯電話が人の動きに反応してゲームの操作が簡単にできる「GXG」、世界4カ国でサービスされているメガヒットSNS「モバイルサイワールド」などを展示する。


 日本ではなかなか定着しないモバイル衛星放送も韓国ではポピュラーな存在だ。韓国では有料サービスにもかかわらず高速鉄道や地下鉄の中を含め全国95%に至るカバレッジの広さとチャンネルの多さから人気を集めていて、映像15、オーディオ19チャンネルを提供している。利用できる端末も54種類と選択の幅が広く、加入者数100万人まであともう少し。ITUでもそのノウハウに注目が集まっている。

(趙 章恩=ITジャーナリスト)

日経パソコン
2006年12月5日

-Original column
http://pc.nikkeibp.co.jp/article/NPC/20061205/256061/

サムスンが人材確保に躍起になるワケ

サムスン電子(サムスン電子)は10月、日本の慶応義塾大学とよく比べられる私立の名門、延世(ヨンセ)大と大学院に携帯電話専攻設立協約を結び、2007年から毎年、修士課程20人、博士課程8人を携帯電話の専門家として養成することにした。これを皮切りに、サムスンは韓国の主な大学と携帯電話専攻提携を広げていく計画だ。

専門家育成カリキュラムを専門大学で実施


 さらに韓国で初めて4校の専門大学とも提携し、サムスンが要求する半導体設計専門家、設備エンジニアを育成するカリキュラムを組んでいる。2007年2学期から大学ごとに30人を選抜し、半導体部門の「設計専門家」と「設備エンジニア」を養成するため「半導体技術教育プログラム(STEP : Semiconductor Technical Education Program)」を実施し、サムスンの就職に向けた教育プログラムを行う。こちらも同じように奨学金を支援する。サムスンの系列会社もそれぞれ大学と協力し、LCD、LED、セラミック、イメージセンサーモジュール、無線技術、部品の国産化、新素材開発を支援している。


 人材育成にここまで力を入れているのはサムスンくらいのもの。他の大手企業も奨学金制度こそあるが、サムスンほど大きな金額ではない。LG電子では大学生のグループを対象に、海外に出向いて調査を行い、その調査結果で優勝した学生はLGに入社できるという制度を運営しているが、規模は年々縮小している。


 サムスン電子の関係者は「大学での教育は現場のIT技術の早さに追いついていけない。毎年6000人以上の理工学部の新卒を採用し、800億ウォン以上を投資して再教育している。やっと会社の人間として使えるようになるまでには平均2年半もかかる。大学と提携してオーダーメイド式に人材を養成し、採用後すぐ実力を発揮してくれる高級人材を確保できるならば、授業料全額や生活費支援なんて安いもの。韓国の携帯電話産業を世界一にするためにも産学連携は絶対に必要だ」と話している。


国を代表するエリート


 サムスン電子は創意的、挑戦的、専門的なグローバル人材を自社の人材像としてよく話している。そして、同社の人材採用での選別は徹底していることから、韓国国内ではサムスン出身者=エリートという認識は強い。同社社員たちもその自負はあるだろう。


 ただ、優秀な学生を選び支援して会社に必要な人材として育てるのはいいけど、自由な発想を育てる期間であるはずの大学時代に、ここまでサムスン、サムスン、といわれてしまうと創意もなければ挑戦もないんじゃないかという気もしてくる。就職教育ばかりで学生時代の楽しさがなくなるというもの、学生にとっては不幸だ。


 就職難からか、この頃の韓国の大学生たちはサークル活動もせず、ノートの貸し借りもせず、とにかく優秀な成績を残すために必死になりすぎている。10年前まではレポートや試験前になれば図書館に集まってアドバイス(もちろん無料)してくれていた先輩たちが、今ではレポートや試験でいい点数を取るためのノウハウをネットで売買をしている。人間味がなくなったというか、競争のしすぎというか。もちろん遊ぶ人もいるだろうけど、今では、それは一部の姿となりつつある。


 企業側が、ここまで徹底して大学で人材を育成したいという気持ちもわかる。特に韓国は徴兵制が残っているから男性は大学を卒業するのが日本より3年遅い。大卒新入社員が既に24~25歳を超えているので、そこからまた再教育となれば社員として一人前になるのは27歳を超えてからとなってしまう。二浪、三浪していると、本格的なスタートは30歳を超えてしまう場合だってある。これは確かに企業の負担も大きい。楽しい大学時代を保証しつつ、専門人材としての養成を受けられる、この両方は選べないものか。


(趙 章恩=ITジャーナリスト)

日経パソコン
2006年11月28日

-Original column
http://pc.nikkeibp.co.jp/article/NPC/20061121/254360/

サムスン電子の究極の青田刈り

2007年から韓国の私立大学2校に携帯電話学科が新設される。サムスン電子は96年からサムスンが財団になっている「成均館(ソンギュングァン)大学」と提携し、2007年1学期から水源(スウォン)キャンパスで携帯電話学科大学院を設立運営することにした。毎年修士課程40人、博士課程12 人を募集する。7~11月行われた選考では1次12人募集に99人、2次28人募集に266人が志願し、9.1の倍率となった。他の学科に比べ5倍近い競争率となった。

合格すれば授業料免除、生活補助、卒業後の就職も保証


 ものすごい競争率の秘密はサムスン電子の破格な優遇にある。合格さえすれば授業料全額免除、毎月100万ウォン以上の生活補助費が支給され、卒業すればあの憧れのサムスン電子情報通信総括に入社、携帯電話関連研究開発(R&D)の業務を任されることになる。サムスン電子は大卒新規採用の給料が高いことでも有名で、キャリアのSKテレコムと並び、最も入社したい企業の1、2位を争っている。サムスン電子の携帯電話は「Anycall」というブランドで販売されている。8月には世界で初めて4Gを発表するなど、技術開発力を強化している。韓国国内では、高品質高価格路線が成功し、他の携帯より2倍はする値段にもかかわらずシェア1位をキープしている。中国でもAnycall携帯が富裕層のステータスのようになっていて、コピー携帯もかなり出回っているそうだ。


 これだけの待遇だからやはり入学試験はサムスン入社試験よりも難しかったらしい。書類審査、教授面接、サムスン職務能力試験(SSAT)、サムスン電子面接の 4つの関門を突破しなくてはならないが、特に面接とSSATは新入社員面接と同じレベルで、大学での成績がオールAで、TOEICで満点を取った人も落ちたほどだ。


 携帯電話学科は、Human Interface、Connectivity、Embedded Software、Mobile Platform、Mobile Healthの5つの研究グループで構成される。チェ・ヒョンジン携帯電話学科長は「部品の製造方法ではなく、どのような組み合わせで最高の携帯電話を作れるのかというシステム技術を研究する大学院。研究だけに没頭できるようサムスンも学校も支援を惜しまないつもりなので、その分携帯電話狂いともいえるレベルの高い学生が集まってほしい」と述べた。サムスン電子のシニア研究員や役員も各研究グループ別共同指導教授として参加し、選考から論文選定、審査、進学、就業指導を担当する。カリキュラムの詳細な運営などすべてをサムスン電子と大学側が協議して決めることになる。また学生らは在学中からサムスン電子のプロジェクトを遂行することからも、現場と大学教育の距離を幾分縮められるのではないかと期待されている。


 韓国でも学科名から「携帯電話学科」と名前がついたのはこれが初めて。去年246億ドルの輸出を記録した携帯電話は韓国全輸出の8.6%、IT関連輸出の22%以上を占める主力産業だが、今まで専門の人材を育成する大学はなく、電気・電子、電算、機械、コンピューター専攻など多様な分野から採用してから時間と費用をかけて再教育しなければならなかった。


会社の機密資料も教材に


 サムスン電子と成均館大はサムスンが財団になった96年、半導体システム工学科を新設している。博士クラスの研究員が講義に参加し、即戦力のある人材養成に力を入れ、画期的な産学協同カリキュラムと評価されてきた。会社の機密資料が教材として利用され、3年生からは現場実習もする。卒業後はサムスン電子入社が保証され、授業料、教材費全額と生活費が支援された優遇策は韓国では初めて。その魅力に引かれて、全国から秀才が集まり、合学者一人一人がマスコミに紹介されたほどだった。成均館大は「企業に牛耳られるみっともないサムスン大学」と嫌がらせをうけたこともあったが、今ではサムスンの惜しみのない支援のおかげで全国から成績上位3%以内の優秀な学生が集まる名門大学へ成長できた。


 サムスン電子は成均館大のほか、全国の名門大学14校と情報通信トラック(Track)を組み、授業料全額支援で優秀な人材を優先的に確保している。さらに、工学部を対象に3年生までにサムスン電子が要求する教養科目と、4年生の1年間はコンピューター通信ネットワーク、コンピューター通信システムといった「情報通信トラック科目」の中から2科目以上単位を取った学生を採用で優先する。これは、年間1000人以上の学生が対象となっている。


 一方で、サムスン電子は各大学に教科課程開発費2億ウォン、機材費2億ウォンに、毎年追加で4千万ウォンずつ5年間で2億ウォン、機材交換費1億ウォン、合計5年間7億ウォン(約9000万円)を支援する。大学別成績優秀者20名には1年間1000万ウォンの奨学金を支給し、入社が保証する。サムスン電子情報通信総括は年間2000人を採用しているが、2007年からは情報通信トラックの卒業生から60%ほどを採用する計画だ。これだけの労力をかけることで、サムスン電子としては自社のニーズにぴったりあった人材を大学からオーダーメイドのように供給をうけるわけだ。


 さらに、サムスン電子は人材確保先を広げようとしている。これは次回、ご紹介しよう。


(趙 章恩=ITジャーナリスト)

日経パソコン
2006年11月21日

-Original column
http://pc.nikkeibp.co.jp/article/NPC/20061121/254329/

プロゲーマーは芸能人より人気?

前回はプロゲーマーの徴兵問題を取り上げた。今回は、韓国におけるプロゲーマーの存在感の大きさを改めてご紹介したい。韓国のプロゲーマーは80年代に人気を集めた日本のファミコン名人とは全く違う存在だと思っていい。NYタイムズは2006年10月7日、オンラインゲームに熱狂する韓国の様子を紹介しながら、「イム・ヨファンのような有名プロゲーマーはニューヨークヤンキースのデリック・ジータのような人気者」、「韓国でStarCraftを知らないのはアメリカでプロフットボールチームのダラスカウボーイを知らないのと同じ」と報道した。(韓国ではデリック・ジータって誰?って反応だけど)

大手企業がプロゲームチームを運営


 9月現在韓国Eスポーツ協会に登録されているプロゲーマーは260人を超えている。大手企業がスポンサーとなっているプロゲームチームは11もある。三星電子は「カーン」、キャリアのSKテレコムは「T1」、KTFは「MagicNs」といったプロゲームチームを運営している。リーグ戦での優勝は企業の売上とイメージに直結する。このうち、プロチーム所属している選手は180人程度で、平均年齢23歳、年俸2億ウォン(約2500万円)は下らない。


 プロゲーマー企業の役員向けミーティングや大学で行われる特別講演の講師としても、その情熱と勝負に対する執念をテーマに話してほしいと引っ張りだこだ。デパートのチャリティーバザーでも芸能人よりプロゲーマーが特別招待されることが多く、小学生の間では医者と弁護士を追い越し、憧れの職業1位にまでなった。彼らは一日10時間以上も練習を重ね、ゲームを徹底的に研究し、パソコン用ゲームの開発にも参加している。


 プロゲーマーの人気を自治体の活気につなげようとするところも少なくない。釜山市は2004年世界大会であるStarCraft決勝戦を誘致し、 10万人の観客動員に成功した。オンラインゲーム都市というイメージも獲得できた。オンラインゲーム対戦専用競技場を設立しようとする自治体も多く、ソウル市は先月、韓国における秋葉原のような場所である竜山(ヨンサン)にオンラインゲーム競技場をオープンし、前回紹介した、プロゲーマー、イム・ヨファン選手の入隊前、最後のファンミーティング会場として公開した。


 プロゲーマー第一世代として歴史に残る人物となったイム選手は「プロゲーマーという夢を与えてくれた選手」として評価されている。「ゲーム狂いの引きこもり」、「オタク」、「社会的落伍者」といった偏見を跳ね返し、プロゲーマーの重要性を韓国のみならずアメリカ、ヨーロッパ、中国、台湾など世界に向けてアピールし、スターになった。彼の影響で所属チームのスポンサーであるSKテレコムは年間200億円(約25億円)の広告・マーケティング効果を達成しているとの分析もある。ファンクラブやキャラクター商品、出版物を入れると規模は更に倍増する。


次なるスター発掘へ


 7年間、韓国初、世界初の記録を更新し続けたイム選手は、「健康な体で軍に行ける私は幸せ者。軍を除隊して30代になってもプロゲーマーとして現役であり続けたい。大学院で勉強を続けプロチームの監督もやってみたいし、国産ゲームの開発にも携わってみたい」、「プロゲーマーほど競争が激しく自己管理が厳しい世界もない。私はゲームのために彼女と付き合うことも、大学生としての生活も諦めるしかなかった。これぞ自分が進むべき道と思った以上すべてをかけないと夢は叶えられない」とファンにメッセージを残した。


 オンラインゲーム業界では早速イム選手に次ぐスター発掘に取り掛かっているが、まだこれといった選手の名前は出て来ない。だが260人もいるプロゲーマーの中から新しいスターが誕生するのは時間の問題かもしれない。


 またStarCraft中心だったオンラインゲームのリーグ戦も韓国産ゲームであるNEXON社の「カートライダー」というレーシングゲームに広がっている。「カートライダー」はかわいいキャラクターのせいか小学生に人気のオンライン対戦ゲームなので、大会では小学校低学年の参加も目立っている。小学生がプロゲーマーなんて日も遠くないみたい。それなら徴兵問題もなく、長く選手としていられるからかえっていいかもしれない。




(趙 章恩=ITジャーナリスト)

日経パソコン
2006年11月7日

-Original column
http://pc.nikkeibp.co.jp/article/NPC/20061114/253553/

[Face] ジャパンインターネットビジネスコミュニティ ●会長 趙 章恩 (2001年10月22日 掲載)

BCN This Week 20011022 vol.913 掲載
 


 




章恩 Cho Chang Eun


ジャパンインタネットビジネスコミュニティ●会長  章恩


http://www.kjibc.org/



 ●チョウ
チャンウン。●1974、ソウルまれ。●3から高校卒業するまで東京滞在。●98梨花大学英文科卒業同年、サムスン物産入社。●00、クラブワウ入社同年、ホンイク(弘益入社●012、『日本インタネットの収益モデルをがせ!』(ドナン出版)、017、『インタネットの!』(アスキ)をそれぞれ出版


 



 


ネットビジネスのIT事情のプロをめざす


 「日本のインタネットはとてもれていて、使っているもあまりいない」


 


 そんな国人先入一石じたのが、今年出版した『日本インタネットの収益モデルをがせ!』だ。題名内容刺激的なこのいたのは、当時無名のウェブ制作会社いていた、さんだ。今年には、日本語で『インタネットのめ!』を出版した。ブロドバンド回線普及が1000万世するともわれるいをいた。学卒業後一度大手企業就職するが、勃興してきたネットビジネスのせられるように退職した。


 


 「大企業のなかで、帰国子女ということがコネ入社みたいにわれ、づらかったのも。そこで窮屈いをするより、しい領域んだほうが意義がある」『め!』を執筆中は、ソテックのウェブを制作するため、めていた会社仲間たちと横浜んでいた。「りを見渡しても、日本とITにしい国人ないことを実感した」くてである。「将来韓国IT事情第一人者になりたい。『まずさんにいてみよう』とわれるようになりたい。そのためにはもっともっとしなきゃ」来年から修士課程する。


 


安藤章司取材・文Report&Text by Shoji Ando


清水丈司写真photo by Takeshi Shimizu


 
BCN This Week 20011022 vol.913 掲載]  Link

[Announcement] 新潟県IT&ITS推進協議会 ブロードバンド普及セミナーを開催

新潟県ITITS推進協議 ブロドバンド普及セミナ開催


本紙コラム執筆者 章恩さんが講演


 


 新潟県ITITS推進協議はこのほど、「IT先進・韓国ぶ~BB(ブロドバンド)事情うらおもて~」とするITフォラムを開催4まで本紙コラム「ソウルの街角から」をした趙章恩JIBC(ジャパンインタネットビジネスコミュニティ)会長(=写真)が基調講演最新IT事情などを紹介した。新潟県200311月末現在で、ADSLおよびCATV(ケブルテレビ)によるブロドバンド帯普及率19%にとどまっている。学官構成する同推進協議主宰する新潟県は、今年1に「新潟県ブロドバンドネットワ構想」をまとめ、05のブロドバンド普及率50%にめることを目指している。


 


 今回、そうした推進活動一環としてJIBC会長いて最新ブロドバンド状況について講演とパネルディスカッションをいた。基調講演JIBC会長は、「オンラインゲムで普及したブロドバンドネットワクは、えるまでになった」とし、4国総選挙では「個人のホムペジを候補者80%が当選した」など、インタネットが国政左右するまでになっているとった。また、のテレビがドラマの有料ネット配信収益げている実情や、新聞社有料紙面PDFファイル配信無料のニュ配信わせている事例えながら、では「自己顕示欲いので、ブログやHOMPY急速普及している」ことや、インタネットマンションの建設増加していることを紹介


 


 「では、ブロドバンドを使って『まず、やってみよう』というのが普通」と日常にブロドバンドが浸透しており、「ちゃんがまれるとわるかわらないうちにマウスをらせる。インタネットなしではらせない」などとユモアをえながら状況紹介した。パネルディスカッションでは、張鉉洙・新潟県国際交流員が、「新潟県てみて、ADSLんだが開通まで2週間かかっていた。ならば1利用できるようになる」と指摘した。


 


 また、李欣洙セコム上信越先任研究員はインタネットセキュリティのから、「インタネットの普及でネット犯罪増加している。プロバイダはユるだけでなく、ユ教育められている」と、普及とともに教育重視必要性えた。また、飯塚留美・国際通信経済研究所上級研究員は、でブロドバンドのコンテンツ配信普及している状況について、「テレビ発言力く、著作する意識う」などと文化いについて言及した。


 
BCN This Week 200467 vol.1042 掲載]  Link

「皇帝」イム・ヨファン入隊で浮上した「プロ」ゲーマー徴兵問題

韓国オンラインゲーム業界の生き証人、プロゲーマー「イム・ヨファン」選手が遂に空軍へ入隊した。イム・ヨファン選手は韓国では知らない人のいない超有名人、数々の広告に出演し、年俸は契約金だけで3年間8億ウォン(約1億円)、百科事典にまでその名前が掲載されている。

 1980年生まれでまだ26歳なのにすでにプロゲーマー暦7年、現在移動通信キャリア最大手であるSKテレコムのプロチーム「T1」に所属している。一時期スランプはあったものの、長い時間トップも守り続けた。身長180Cm、体重70Kgとほっそりした美少年が、表情一つ変えず一心不乱にマウスを動かし敵をとことん攻める勝負根性の強いゲームスタイルから男性ファンはもちろんのこと、サッカー選手や芸能人以上に女性ファンを抱える大物スターだ。ファンサイト会員数はそこらへんのアイドルより多い70万人、プロゲーマー初の2億ウォン年俸(約2500万円)、史上初StarCraft(対戦型戦争ゲーム)リーグ戦決勝進出10回といった華々しい記録の持ち主でもある。


徴兵免除を求め署名運動も


 入隊前の最後の試合となった第1回スーパーファイターズ大会には1万人の観客が殺到し、ネットとCATVのオンラインゲーム中継専用チャンネル3社から中継され、800万人以上が観戦している。オンラインゲーム中継は地上波の民放でも金曜日の夜よく放映される人気番組で、アナウンサー、解説者がまるでサッカーやプロレス、K1の中継のように、選手のマウスの動き一つ一つを中継し、各選手の特徴や戦略を解説する。解説者が解説の途中に立ち上がったり、怒り狂ったり、選手より自分が燃え尽きて最後には声が出なくなるという珍事も日常茶飯事だ。


 韓国国籍を持つ男性なら避けて通れないのが徴兵制。有名人だからといって例外はない。だが、イム・ヨファン選手の入隊はファンはもちろん、オンラインゲーム業界を巻き込んでの議論となった。


 サッカー選手はワールドカップベスト4、野球選手は金メダル、囲碁棋士は世界大会で優勝すれば徴兵が免除になるのに、韓国オンラインゲーム産業を支えるプロゲーマーたちは世界大会で何度も優勝しているのに、どうして徴兵を免除してもらえないのか、とファンを中心に署名運動が始まり、プロゲーマーを管理している韓国Eスポーツ協会も動き出した。一部では「戦争ゲームに強いんだから軍のスペシャリストとして活用すべきだ」、どいった「?」な意見まで登場し、オンラインゲームに詳しくない年配者までも「プロゲーマーとはそんなにすごい人たちだったのか」と関心を持つようになった。


 そこで妥協案として国防部が出した意見が、プロゲーマーを一般兵士ではなく「空軍電算特別技術兵士」として選抜するという案だった。「空軍電算特別技術兵士」になれば基礎軍事訓練後、空軍本部中央電算所に配置され、軍事用シミュレーションゲーム開発テスターとして活躍することになる。さらには、兵士たちのEスポーツ関連同好会に参加し、兵士達を楽しませやる気を沸き起こすとても重要な(!)役割を果たすことも期待されるというわけだ。


 プロゲーマーもスポーツ選手以上の人気と地位を獲得しているため免除対象にするべきという意見と、プロゲーマーまで軍免除の対象になるなら「サラリーマンだってインターネット検索は上手いぞ!プロゲーマーぐらいの電算技術は持っているはずだ!」と主張する意見が対立し、大騒ぎとなった。


 が、結局、イム・ヨファン選手は免除にならず空軍電算特別技術兵士として10月9日入隊した。


Starcraftがなぜ国民的人気を集めたか


 ここで韓国の徴兵制について簡単に説明すると、韓国男子は18歳~30歳の間に身体検査を経て、現役といわれる陸軍兵隊または区役所の雑務や地下鉄駅構内で酔っ払いを運び出し、満員電車の中に乗客をぎゅうぎゅう押し込む役割をする公益要員のどちらかで2年3カ月間軍人として生活することになる。産業特例要員といって工学関係の資格証を持つ人を対象にベンチャーや研究施設で3年間働かせる特別処置もある。もちろん健康でない人は軍を免除される。


 でも青春の2年3カ月を軍で過ごした恨みは想像以上で、学閥以上にどの部隊出身なのかは男性同士の重要な話題になっている。もちろん、履歴書にもちゃんと書かなくてはならないし、軍を除隊したか免除された人だけが採用対象になる。軍を免除された人は「神の息子」と憎まれ、仲間はずれにされるのがおち。自分が軍でどれだけ活躍したかホラを吹く男性は後を絶たず、軍の話になると自動的に「はいはい、あんたも海軍の特攻隊でタンクを自ら運転して北朝鮮を攻めたんでしょう」とうんざりする女性も多い。


 この国民のほぼ半数が持つ軍隊経験は他の国ではあり得ない事例を生み出した。StarCraftというアメリカBlizzard社の戦争ゲームの爆発的人気とStarCraft対戦のためにブロードバンドに加入し、ADSL大国になったことだ。


 StarCraftはそれぞれ武器や能力に特徴がある3つの種族「テラン」、「ジョグ」、「プロトス」から種族を選び対戦することになる。対戦相手はPCではなく、ユーザー同士となるため、勝負の進み方に決まったパターンがない。また戦争のためのマップを素早く把握し、敵がどこにいてどのような戦術で攻めてくるかを先回りしてキャッチした方が勝ちだ。グループでの戦いなので参加者同士のチームワークが当然、重要。


 つまり、同じチームを組んだメンバーにてきぱき指示を出し、ゲームを勝利に導ける、軍隊経験を自慢できるとっておきのゲームというわけ。 StarCraftの人気のお陰で子供の遊びとして扱われたオンラインゲームは韓国を代表する産業に成長し、まったく新しい職業である「プロゲーマー」を登場させた。


 ちなみにイム・ヨファン選手のニックネーム「皇帝」もStarCraftに由来する。彼がプロゲーマーの中では初めて、StarCaftの種族の中でもくせものである「テラン」を自由に操り勝利したことがきっかけだ。これを機に「テランの皇帝」と呼ばれるようになり、何度も優勝していることからそのまま「皇帝」がニックネームとなった。そんな彼は、ゲームの世界から軍隊の世界へとこれから2年3か月を費やすことになる。



(趙 章恩=ITジャーナリスト)

日経パソコン
2006年11月7日

-Original column
http://pc.nikkeibp.co.jp/article/NPC/20061107/252718/