コンパニオンもアピール! 韓国最大のIT展示会、3Dとスマートフォンが目白押し

2010年5月25日から28日にかけて、韓国最大規模のIT展示会であるWorld IT Show2010がソウルで開催された。18万人が訪れた今年のテーマは「Feel IT SEE the Next」。サムスン、LG、KT、SKテレコムなど、韓国の主な情報通信企業が一堂に集まり、新製品やサービスを紹介した。

 今年はなんといっても3Dとスマートフォンが主役で、どのブースに行っても3Dテレビとスマートフォン、それに合わせたコンテンツとサービスが展示されていたほどである。


 普通の絵本に見えるのに、スマートフォンのカメラをかざすと3Dのキャラクターが登場して絵本の一場面を演じるものや、3Dで臨場感あふれるオンラインゲームとノートパソコンを展示したコーナーは人だかりで近寄れないほどだった。



3Dテレビのタワーがぐるぐる回っていたサムスンのブース


 サムスンは3Dキューブといって、55インチの3Dテレビを9台ずつ四角いタワーのように積み上げ、360度ぐるぐる回転させていた。4つの面からはそれぞれ違う3D映像を流していた。専用のメガネをかけて口をぽかんと開けて3Dテレビに夢中になっている観覧客を見るのも面白かった。会場にはメガネなしでも楽しめる3Dテレビもあった。これからはテレビに限らず、パソコンやスマートフォン、携帯電話も3Dコンテンツで勝負することになりそうだ。Googleテレビに負けない機能てんこ盛りのスマートテレビも展示していた。IPTV、3DTV、スマートフォン、すべてのデバイスから利用できるようにするというアプリケーションストア「サムスンAPPS」にも力を入れている様子。


 韓国の3Dテレビ技術は世界最強と言われているそうで、グーグルがテレビのエンジニア探しにWIS2010にやってきたことも話題になった。


 サムスンが独自に開発したOS「BADA」を搭載したスマートフォン「WAVE」や、日本でもNTTドコモから発売される予定の「ギャラクシーS」も展示され、大変なにぎわいを見せていた。サムスンもLGも「打倒iPhone!」とばかりに強烈なパワーで次々にスマートフォンを発売しているが、訪れた客の多くは「やっぱりiPhoneの方が使いやすいかも」という微妙な反応を見せていた。


韓国の3大IT輸出品目は半導体、ディスプレイ、携帯電話端末である。ところが、韓国の経済産業省にあたる知識経済部の「2010年5月輸出入動向」によると、iPhoneが発売されてから韓国産端末の輸出は前年同期比で29.2%減り、iPhoneをはじめ海外メーカーの端末輸入が128%増と大きく伸びている。韓国産の携帯電話はまだフィーチャーフォンが中心なので、世界の動向からしてこれからスマートフォンの割合を伸ばさないと収益は落ちるしかない。そのためどのメーカーもスマートフォン一色、必死になっているのだ。


 最大キャリアのSKテレコムはAndroidを搭載したスマートフォンを前面に出し、KTのiPhoneと競争。緑色をした巨大なアンドロイドのキャラクター人形に真っ赤なワールドカップのTシャツを着せてアピールしていたものの、インパクトがありすぎてちょっと不気味だった。SKテレコムは「アルファライジング」といって、キャリアでありながらも通信以外の分野で収益を上げるとしており、アプリケーションやスマートフォンを利用したモバイルオフィスなどB2Bにも力を入れている。


 KTはあえてiPhoneよりも、モバイルインターネットを使った多様なサービスを宣伝する展示にしていた。ICカードを利用する子供向け小型教育ロボットも注目を浴びた。ICチップが内蔵された絵本を目の前にかざすと読みあげてくれる。お母さんと書かれたICカードをロボットにかざすと、登録されたお母さんの携帯電話につながりロボットを利用してテレビ電話を利用できる。ロボットは防犯カメラ機能もあり、携帯電話から遠隔操作もできるので、共働きの親が一人で家にいる子供の様子を見守ることもできる。最近力を入れている電子ブックやIPTV、地域連動生活情報サービス、Wibroを無線LANの信号に変えてくれるEggも展示された。でもやっぱり一番人が集まったのはiPhoneを使って演奏するバンドが登場した時だったのを見ると、まだまだ「iPhoneショック」は続いているようだ。


 2010年はワールドカップが開催される年だけに、公式サポーターである「赤い悪魔」のTシャツを着た企業のキャラクターやイベントコンパニオンのお姉さん達が目立っていた。日本では展示会のイベントコンパニオンといえば女性というイメージが強く、展示会に出品された製品ではなく彼女たちの写真を撮りまくっている男性をよく見かける。一方、ここWIS2010ではモデルのようなイケメンが新機種のスマートフォンやノートパソコンを説明してくれるブースも登場した。


 IT展示会といっても市内の繁華街で開催されるのでアクセスがいい。そのせいか、高校生や大学生の団体、家族連れ、ランチタイムを利用して遊びに来た感じのOLや買い物途中の主婦など、入場者の年齢も職業も幅広い。女性客が多いだけにイケメンがやさしく使い方を教えてくれる新製品の宣伝は効果的だったかも。


 展示会は来年も5月に開催される予定なので、世界が注目する最先端のIT製品はもちろん、市場のように活気あふれる韓国ならではのWIS2011を見学してみるのはいかがでしょうか。


(趙 章恩=ITジャーナリスト)

日経パソコン
2010年6月3日

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http://pc.nikkeibp.co.jp/article/column/20100603/1025288/

黒船を防げ! 大手集結で電子書籍が本格幕開け、政府支援も

2010年4月20日、韓国通信最大手のKTが電子書籍のオープンマーケット「Qook Book Cafe」オープンを発表した。アップルのAPP Storeと同じように、個人が書いたものでもKTの承認を得れば有料の電子書籍として販売できるようになる。電子書籍の料金回収手数料は30%で、本によって違う割合が適用される。読者は、一度購入した電子書籍をスマートフォン、電子書籍リーダー、IPTVから利用できる(今後韓国でiPadが発売されれば対応する方針)。電子書籍の値段はほかの販売サイト同様、紙本定価の6割程度となっている。

 韓国ではPC通信時代、ユーザー投稿型連載小説が大ブームになった。日本のケータイ小説のような感覚で、会話のように書き込むのが特徴。ここから小説、ドラマ、映画になった作品もたくさんある(日本でも公開された映画「猟奇的な彼女」が代表と言える)。個人の書いたものが電子書籍として流通できれば、第二の小説投稿ブームが起きるかもと期待されている。


 KTよりも一足早く電子書籍流通をリードしているのは、韓国最大の書店である「教保文庫」。サムスンと提携して電子書籍リーダー開発や端末の流通にも参加している。サムスンがこの4月に発売する初のAndroid端末「Galaxy A」には、教保文庫の電子書籍アプリケーションが搭載される。3.7型アクティブマトリクス有機EL(AMOLED)で野外でも鮮明な視認性で読めるだけでなく、8GBの外付けメモリーが使える。教保文庫で購入した電子書籍はサムスンの電子書籍リーダーとスマートフォンの両方から利用できる。


 教保文庫は10年も前から電子書籍販売のために著作権を確保してきた。2010年4月時点で6万8000冊を流通させていて、毎月1000冊の電子書籍がアップデートされている。KTも4万冊ほど公開しているが、教保文庫がベストセラーや有名作家の書き下ろしをかなり確保しているのに対し、KTは古典に近い古い書籍や雑誌がまだ多いので、これといって読みたい電子書籍がないことがネックになっている。個人が書いたものを電子書籍として流通させることで、コンテンツを増やすのがKTの狙いというわけだ。KTは電子書籍で収益を上げるというより、新しい価値を続々提供することで既存顧客の離脱を防止するとしている。


 電子書籍リーダーの価格競争も進み、1万円台で買える端末が発売された(既存の端末は3万円台)。目が疲れないよう配慮した専用端末が安くなったことで、電子書籍が買いやすくなったのも、大手企業参入のきっかけとなっている。教保文庫は8000円台の電子ペーパー端末を発売し、毎月4冊ほどの電子書籍を購入するユーザー向けに販売するとしている。さらに電子書籍販売拡大に向け、オーディオブック端末や動画ブック端末も提供する計画だという。

出版最大手のウンジン、MP3プレーヤーで有名なiRiverも電子書籍リーダー発売に合わせ電子書籍サイトをオープンした。電子書籍の流通や収益採算はまだ曖昧なため、この慣行を変えるためにも出版社自ら電子書籍流通に乗り出すべき(ウンジン)としていた。出版社58社の連合体が運営する電子書籍サイトもオープンし、通信事業者、ベンダー、出版社、それぞれが流通の覇権をめぐり本格的に競争に入ったと言える。iPadが韓国で発売される前に市場を先制し、アップルに対抗するという意味もある。


 韓国の電子書籍市場規模は2009年の1323億ウォン(約106億円。1ウォン=0.08円で換算)から2011年には2891億ウォン(約231億円)に成長、政府の支援により2014年には7000億ウォン(約560億円)に成長すると見込まれている。


 政府は2010年4月、電子出版産業育成のため、2014年まで600億ウォン(約48億円)を支援し、毎年1万冊以上の電子書籍制作を支援する。著作権の保護期間が終わった古典を電子書籍にして無料で提供することも計画に含まれている。電子出版流通の標準化、先進化、技術イノベーション、自費出版もできる電子書籍共同制作センター設立も支援する方針である。デジタル新人作家賞を新設し、電子書籍向け人気著者の育成、1000人に上る電子出版専門人材の養成、電子書籍関連SOHO支援といった項目も含まれている。


 韓国では衛生のため、大手総合病院では入院患者向けの図書館運営を電子書籍に切り替えるところも出始めている。鉄道・空港の待合室でも電子書籍レンタルを予定する。現在小学校を対象に実証実験が行われているデジタル教科書が全面的に開始されれば、電子書籍市場はもっと拡大されることは間違いないだろう。


 国内コンテンツ流通を揺るがしたスマートフォンに続いて、今度は電子書籍がコンテンツ流通を変えようとしている。世界のコンテンツを手中に収めようとするグーグルやアマゾン、アップルに飲み込まれまいと、韓国勢は手を結びがんばっている。


 韓国では国内企業のオンライン書店がシェアをがっちり握っているせいか、アマゾンは進出していない。KindleやiPadの発売計画も今のところない。それでも米企業に市場を取られまいと先行投資が活発だ。


 日本でも携帯電話から利用できる電子書籍が増え、KindleもありさらにiPadの発売もある。世界でも指折りの出版市場を持つだけに、米企業のターゲットになっているように見える。興味を持って見続けたい。



(趙 章恩=ITジャーナリスト)

日経パソコン
2010年5月27日

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http://pc.nikkeibp.co.jp/article/column/20100430/1024639/

第1回 :4億人が利用する中国のインターネット事情

主要先進国の景気回復が遅れるなか、アジア各国の成長は止まりません。中国や韓国、インドなど、まだまだ元気な国が多いのが実情です。知っているようで知らないアジアのコンテンツビジネス事情はどうなっているのでしょうか。第1回は中国のインターネット市場について紹介します。


さらに爆発的な成長が見込まれる中国のインターネット市場


政府の検閲を理由にGoogleが撤退したことで世界の注目を集めた中国のインターネットサービスですが、インターネット利用やネットでの書き込み、ソーシャルネットワークサービス(SNS)などの利用は萎縮することなく増え続けています。検閲なんてずっと前からあったことなので、何を今さら、という感じすらします。


Googleは世界の検索サイトとしてシェアを高めていますが、中国では国民性を反映した自国企業のポータルサイトが人気を集めています。Yahoo!やGoogleといった海外サイトの中国語版のシェアは実は低いのです。


規制の多い中国だけにインターネットの利用も遅れているだろうと思ったら大間違い。インターネットが普及したのは意外と早く、1990年には「com.cn」という中国のドメインが登録され、93年から国家情報化事業が始まりました。96年にはネット接続サービスが始まりネットカフェも登場しています。


China Internet Network Information Centerのデータによると、2009年末中国のネット人口は3億8400万人、なんと前年比50%も増加しています。2010年3月にはついに4億人を突破しました。それでもまだ人口普及率では28%ほどに過ぎないというから恐ろしい勢いです。ネットユーザーの平均年齢は25歳と、世界平均42歳に比べ大変若いのが特徴です。これから爆発的な成長が見込まれているとても魅力的な市場なのです。



10倍に膨らむネット広告市場


2008年より携帯電話の3Gサービスが始まったことから、データ通信の利用者も2億3300万人に至っています。特に青少年の75%は携帯電話からネットにアクセスしていて、パソコン(69.7%)より多くなっています。検索サービスやソーシャルネットワークサイトのほとんどは、携帯電話やスマートフォン向けにも提供されています。


60の大都市市民を対象にした調査では、ネットユーザーの約7割が、暇な時にやることとして「インターネット」と答えています。インターネットにさえつながれば、音楽を聴いたり動画を見たり、ゲームをしたり、いろんな人とチャットをしたり、ショッピングをしたり、何でもできてしまいます。高速ブロードバンドも都市部では日本と変わらないほど普及しているのです。


北京、上海といった大都会だけでなく、小さな農村にもネットカフェが必ずあるほどインターネットは広く利用されています。(中国はネットカフェも人海戦術。パソコンが1000台ほどワンフロアに並べられたネットカフェもありました)。もちろん、所得の差によるデジタルデバイドは深刻ですが、情報源としてネットの役割はとても大きいのです。


インターネット広告市場もここ5年間で10倍に膨れ上がり、2009年には日本円にして約3000億円に達しました。2010年は上海万博の影響でネット広告が増加するものと見られ、2013年には約1兆7000億円規模になるのではないかと予測されています。Googleが撤退したおかげでネット広告がほかの中国勢ポータルサイトに回り、アクセス数1位のポータル「百度(baidu.com)」の2010年1~3月の純利益は昨年同期比2倍以上増加しました。広告単価も値上げされ、市場独占が懸念されるほどです。


第2回は、中国のインターネットではどんなコンテンツが人気なのか、SNSやオンラインゲームなどを紹介します。

By- 趙 章恩(チョウ チャンウン)

@nifty
ビジネス

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http://business.nifty.com/articles/asia/100601/index.htm

隣人同士で手を携え発展させたい「ヘルスケア産業」

日本でも総務省が積極的に取り組んでいる遠隔診療やICT技術を使ったヘルスケア分野。韓国ではついに国をあげての大規模なプロジェクトが幕を開けた。

 IT、BT(バイオテクノロジー)、NT(ナノテクノロジー)など最先端技術の集大成とも言われる「スマートヘルスケアサービス」を国民に提供し、その関連産業を、韓国経済をリードする新産業として支援するという政府戦略も発表された。


 スマートヘルスケアは慢性疾患の患者を対象に遠隔診療から健康管理まで行う医療サービスのことで、患者の負担となっている医療関連出費をできるだけ安くおさえ、病院に直接行くより早く的確なサービスを受けられることを狙う。


 このプロジェクトの音頭を取るのは日本の経済産業省にあたる知識経済部。最大キャリアであるSKテレコムとサムスン、LG電子とLGテレコムが代表となった2つのコンソーシアムと4つの自治体、100以上の総合・個人病院が参加する。実証実験に参加するのは、慢性疾患患者1万2000人で、実験費用だけでも政府が125億ウォン(10億円、1ウォン=0.08円で換算)、民間から264億ウォン(約21億円)、自治体が132億ウォン(約10.5億円)、合計521億ウォン(約42億円)が投入される。


 実証実験の内容は、生活空間のあちこちに付けられたセンサーと携帯電話を使って患者の健康状態を医療機関に転送する。患者も気づかないわずかな状態の変化、慢性疾患の悪化などを把握し、合併症を防ぐための治療を受けさせるもの。


 知識経済部の話だと、1万2000人を対象に臨床実験をするスマートヘルスケアはこれが世界初、ほかの国では数百人単位で行われる規模だとか。


 韓国政府は慢性疾患の治療と合併症を起こさないための管理(u-Medical)・高齢者の介護(u-Silver)・一般人の健康管理(u-Wellness)の3つの方向から支援を行うとしている。この3つを合わせてu-Health産業と呼ぶ(uはユビキタス)。u-Health産業は毎年12%以上の成長が見込まれており、これを活性化させることによって、個人病院や医院の収益改善、雇用創出効果もあるという。知識経済部の予測だと、実証実験が成功してこのままu-Health産業がうまくいけば、市場規模は2010年の約1400億円から2014年には約3000億円に成長するという。


 実証実験は2012年までの予定で、それまでにスマートヘルスケアの効果と安全性を検証し、サービスモデルを開発する。このサービスモデルは韓国内だけにとどまらず、政府がセールスマンになって電子政府システムを途上国に販売しているように、世界各国に輸出することも念頭に置かれている。


 またスマートヘルスケアのための法律や制度改定も行う。

韓国では今までに何度も遠隔診療やICT技術を使ったヘルスケアサービスに失敗してきた。その理由は技術ではなく法律に問題があった。糖尿病患者のために、携帯電話を使って血糖値を簡単に測定できる端末も2004年ぐらいに開発されたが、「これは医療機器であって携帯電話ではないのでキャリアの代理店で販売してはならない」という法律解釈のせいで、泣く泣く販売をあきらめたこともあった。

 また遠隔診療のためのシステムや通信設備はそろっているのに、医療法や薬事法などにより医師と患者が直接対面しない遠隔診療はできず、医薬品のオンライン販売や配送も禁止されていることから、ヘルスケアは「開店休業状態」と言われ続けてきた。


 韓国の離島や医師のいない農魚村では、保健所に看護士が常駐し、看護士が都市部の医師にテレビ電話をして患者の状態を説明して法律を違反しない程度で処置をして、都市の病院に送ることしかできないでいる。慢性疾患の患者は定期的に都市の病院に通わないといけないので、交通費もかかるし、行ったり来たりする時間を取られ余計疲れて症状が悪化することもありうる。


 知識経済部は今後「産業融合促進法」を制定する計画だ。いろんな技術が融合することによって既存産業のイノベーションが進み、国民の生活がより便利になると分かっていても、縦割りの法律のせいで頓挫してしまうことを防ぐとしている。


 何でもやると決めたら後は速いこの国のことだ。新しいもの好きな人が多いので、遠隔診療や携帯電話などを使ったスマートヘルスケアも、世界のテストベットとしてさまざまな最先端技術を試せるだろう。面白いことに、ヘルスケアに関しては、日本とほぼ同じ時期に同じような内容の戦略が発表されている。改善すべき法律制度も非常に似ている。日韓が良き競争相手となって、世界の医療サービスを変えていくことを願っている。

(趙 章恩=ITジャーナリスト)

日経パソコン
2010年5月20日

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http://pc.nikkeibp.co.jp/article/column/20100520/1025013/

「無料Wi-Fi設置」が選挙公約にまで! スマートフォン競争第2幕

日本でもNTTドコモやKDDIからスマートフォンが発売(KDDIは6月上旬以降)され、アプリ長者という言葉もちらほら登場するようになり、スマートフォン競争の幕開けといった雰囲気を感じる。しかし、なんでも「パリパリ」(早く早くという意味の韓国語)の韓国では、スマートフォン競争も既に第2幕に突入している。

 発売から100日で40万台が売れたiPhoneは2010年4月末で60万台を超え、サムスンやLGなどの端末を含めると、韓国のスマートフォン加入者は180万人を超えている。携帯電話全加入者の3%程度ではあるが、今年だけでもキャリア3社から20種類以上のスマートフォン発売計画が発表されているだけに、普及は加速すると予想される。


 2009年秋の「iPhoneショック」に端を発し、以降、端末ラインアップ競争、アプリケーション競争と続き、5月からはWi-Fi(無線LAN)スポット確保競争へと突入した。


 これからスマートフォンやiPadのようなタブレットPCがさらに普及すると、何よりも高速で利用料の安いモバイルブロードバンドの需要が出てくる。4Gが普及すれば固定では1Gbps、移動しながらも100Mbpsが使えるという。3.9GとしてLTE(Long Term Evolution、2010年の商用化を目指し進められている移動体通信仕様。携帯電話でも大容量データ送受信が可能になると期待される)、Wibro(韓国が世界標準を持つモバイルWiMAXサービス)に力を入れているキャリアだが、今のところはそれよりも無料で誰でも利用できるWi-Fiスポットを確保することが競争キーワードになっている。キャリアの3Gネットワークでインターネットを利用することもできるものの、料金制に応じて利用できるデータ容量の上限がある。上限を超えた分のデータ通信利用料はとても高く負担が大きいため、ユーザーは無料で制約のないWi-Fiを利用したがる。


 Wi-Fiスポットが最も多いのは1万3000カ所を構築したKT。iPhoneをはじめKTのスマートフォンユーザーだけが無料で利用できる。韓国最大キャリアのSKテレコムは、年末までにどのキャリアの加入者も無料で使えるWi-Fiスポットを1万カ所に構築することを発表した。Wi-Fiスポットが少ないことがネックとなっていたSKテレコムは、オープンなネットワーク環境を構築するという太っ腹戦略で「スマートフォン=KT」の雰囲気から「スマートフォン=SKテレコム」へと反転を狙っているようだ。


 一定の場所でしか使えず、移動しながら利用できないというWi-Fiの問題を解決するため、Wibroネットワークをバックホールに使い、移動しながらも最大7つのデバイスを途切れることなくインターネットに接続できるようにするという。移動中に固定ブロードバンド並みの高速でインターネットが利用できるWibroは、既に首都圏と大都市にネットワークが構築されていて、KTからはWibroをWi-Fiの信号に変えるコンバーターも発売されている。このコンバーターがあれば、Wibroモデムが搭載されていないiPodやスマートフォンからも利用できるようになる。


 SKテレコムの無料Wi-Fiは、映画館、ショッピングモール、駅、空港、主な繁華街(街角)、レジャー施設、ファミリーレストラン、カフェ、ファストフード、美容院など、10~30代がよく集まる場所を中心に構築される予定だ。

一方、KTも負けじと年末まで1万4000カ所を追加して全国2万7000のWi-Fiスポットを構築するとしている。Wi-Fiの海外ローミングも始めた。しかし同社はWi-Fiスポット構築には当然お金がかかるので、他キャリア加入者にまで開放することはできないとする。Wi-Fiを無料で利用できるスマートフォン料金制もかなり高額で、もっとも安いプランであっても月4000円程度は払わないといけない。SKテレコムの「誰でも無料」発表に触発されてKTもWi-Fiを全面開放するかどうか、期待が高まっている。

 SKテレコムには、KTの高い料金制度に縛られている加入者に自社のWi-Fiを使わせることでKTの収益を落とすという戦略もあるようだ。ただ、これでは共食いになり、勝者のいない競争になってしまうのではないか心配だ。無料ということでセキュリティーが疎かになったり、メンテナンスも適当にやってしまったり、そんなことがないといいのだが。


 激化するこのWi-Fi競争はキャリアだけでなく、選挙にも影響を与えている。6月の地方選挙を前に、「地元に無料Wi-Fiを!」という公約まで飛び交っているほどだ。スマートフォンやノートパソコンさえあれば、どこでもシームレスにモバイルインターネットが使えるよう、自治体が無料で利用できるWi-Fiスポットを構築するという公約も打ち出しているのだ。


 既にソウル市の江南区は、江南駅周辺に建てられたデジタルサイネージをWi-Fiスポットにしている。自治体の住民サービスの一つとして建てられたデジタルサイネージなので、江南駅周辺ではスマートフォンやノートパソコンがあれば誰でもネットに不自由することはない。


 IT政策を担当する省庁の放送通信委員会には、無料でWi-Fiが使える地域を表示したマップを配布するという計画まである。国民が望むのであれば、より安く便利にインターネットを利用できるように支援するのが政府の役割ということである。


 スマートフォン競争はさらに第3幕へと進んでいる。KTはついに2G(CDMA)サービス中断を発表した。周波数再編という理由のほか、加入者の約16%が利用している2Gサービス向けCDMAネットワーク維持費用が年間100億円近くかかるため、2011年下半期から2Gサービスを中断。W-CDMAと3.9G、4Gへと移行し、端末もスマートフォン中心にするというのだ。もちろん、ユーザーは大反発しているが、お構いなし! ばっさり切り捨ててしまうところが韓国らしいというか、選択と集中、果敢な決断力を持っているというか。これも「パリパリ」精神か。


 スマートフォンに触発された韓国通信界の激変はまだ当分続きそうだ。

(趙 章恩=ITジャーナリスト)

日経パソコン
2010年5月13日

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http://pc.nikkeibp.co.jp/article/column/20100513/1024865/

Twitterや検索キーワードを悪用、あの手この手の選挙運動

韓国では6月2日、地方選挙が行われる。韓国の選挙法では選挙120日前から本人による対面名刺配布・電子メール・選挙管理委員会の承認を得た印刷物の郵送による選挙運動ができるが、他人による選挙運動は事前選挙運動として取り締まりの対象になる。

 Twitterやブログ、インターネットコミュニティー、動画投稿サイトなど、韓国人が日常的に使う情報源となるサイトを利用してはならないという、IT大国らしくない規定がある。しかし、選挙法にひっかからないよう、あの手この手を使ったインターネット選挙運動が問題になっている。


 先日は、自分の名前が検索キーワードランキング上位になるよう、有名ポータルサイトから繰り返し検索させる知識検索(Yahoo!知恵袋のようなユーザー同士の質問と答え)に自分に関する質問と人柄を褒める答えを繰り返し書き込む方法を取った選挙候補が「事前選挙運動」違反で逮捕された。「○○区選挙候補」と検索すると、自分の名前が検索結果上位になるようにしたわけだ。


 この候補はオンライン広告代理店にお金を渡して選挙運動を依頼し、代理店がアルバイトを雇ってこのようなことをしていた。さらに、代理店が100人以上もの個人情報を盗みIDを作って、ポータルサイトに特定候補を褒め称える質問と答えを書いていたことから、実名制度の穴ともいえる個人情報管理実態が問題になっている。こんなに簡単に盗まれて悪用されてしまうようでは実名制度(参考記事はこちら)の意味がないからだ。


 検察は地方選挙を前に、Twitterをはじめインターネットに特定候補に有利な印象を与えるよう宣伝の書き込みをすることを「選挙犯罪」として取り締まっている。してもいない世論調査をでっちあげて、「○○候補が支持率1位」と何十回も書き込んだ50代の男性も逮捕された。市長のメールをハッキングして選挙動向を探りライバル候補に渡した公務員もいたというから、選挙は怖い。

選挙まで約40日残した時点で、616人が立件、23人が拘束されている。数字だけ見れば2006年の選挙に比べると減っているとは言え、選挙候補だけで約1万5000人。これに関連する選挙運動組織まで含めると、監視対象はきりがない。


 選挙管理委員会は8000人規模の「選挙不正監視団」を運営している。インターネットについては250人体制で24時間モニタリングし、選挙法違反をチェックしている。このほかに警察からサイバー捜査員945人、一般市民から募集したサイバー名誉警察「ヌリカップス」1181人が動員され、インターネット選挙運動監視を担当する。


 政府の調査によると、インターネットを悪用した選挙法違反が選挙法全違反件数に占める割合は、2004年の9.2%から2010年現時点において14%にまで大きく増加している。人々のコミュニケーションが対面や郵便・電話から、インターネット、ソーシャルネットワーキングサービスへ移行しているからだろう。


 さかのぼれば2002年、「インターネットの力で大統領が誕生した」と言われたものだが、その後選挙法が厳しくなったことで、ネットの世論に押されて政権が変わるといったことはなさそうだ。それでも、韓国ではネットが世論の中心であることは間違いない。2002年当時でも紙の新聞より信頼されていたネット上の新聞であったが、2010年、Twitterが特ダネの発生地になりニュース源として、より信頼されるようになっている。選挙運動にTwitterを利用できないのは、今度の選挙が最後かもしれない。


 選挙では使えないTwitter、一方で企業では積極的に利用されている。CEOが自分の日常をTwitterでつぶやいて親近感を与えることで企業イメージアップを狙うのは当たり前。韓国の大手企業は部署別にTwitterを運営しているほどだ。最近は病院が患者とのコミュニケーションのためにつぶやいていることが話題になっている。


 韓国のへぇ~なTwitter事情もまた今度詳しくお伝えしましょう。

(趙 章恩=ITジャーナリスト)

日経パソコン
2010年4月28日

-Original column
http://pc.nikkeibp.co.jp/article/column/20100428/1024636/

就職難で英語に命がけの韓国人、もうかるのは教育産業だけ?

韓国の就職難は昨日今日の話ではない。大学新卒で正社員にすぐ採用されるなんて「針の穴を通るようなもの」と言われるほどである。インターン採用ばかりで、3~6カ月の試用期間を経てから採用が決まる。

 最近の大学は“小学校”に戻ったとも言われる。学部は4年のはずだが、4年で卒業する学生はあまり見かけない。卒業して無職になるのが怖いからわざと単位を落としたり休学したりして5年生、6年生になる。男性は徴兵もあるから、ただでさえ大学卒業まで6~7年はかかるというのに! 就職が決まるまで卒業せずねばると、30代になって新卒ということにもなりかねない。就職難から新卒の年齢制限を廃止したこともあり、さらに大学生の「いいところに就職するまで卒業しない」主義が強まったのかも知れない。大学は授業料を長い期間取れるからもうかるだろうが、家計の負担は相当なものになる。


 毎年秋になれば日本のテレビでも話題になる韓国の大学入試風景。熾烈(しれつ)な競争を突破して名門大学に入った後は、サークル活動より、就職準備のためスタディーグループに入る。大手企業、マスコミ、公務員など志願する分野ごとにグループを作り情報を共有するのだ。このグループに入るためにはメンバーの面接があって、そのメンバーよりレベルの低い人は入れない。ここから既に就職難は始まっているようなものだ。

韓国人の英語に対する悲壮なまでの取り組みに話を移す。最近は英語でしゃべる能力まで測定するという「TOEIC Speaking」が登場し、人々を悲しませている。TOEIC Speakingは2009年12月時点で約200企業が社員評価のために導入している。


 新卒に求められるのは大手企業の場合、大学での平均B以上の成績、TOEIC800点前後、TOEIC Speakingレベルは理工系学部5、文系6以上である(TOEICのレベル別の目安はこちら)。さらに海外語学研修経験やボランティア活動証明書(何時間ボランティアしたという証明様式がある)、日本語テストや中国語テストの公認成績表を要求する会社もある。これが書類審査を通る最低条件というわけだ。


 韓国では中小企業でもTOEICの成績表は必ず要求される。そのため、90年代後半まで年間30~40万人だったTOEIC受験者数が、2009年には年間200万人に増えた。高い点数を取るために毎月テストを受ける人もいるので(私もかつてそうだった)、人数は減らない。


 ネットでは「TOEICを4、11月に受けると難易度が低くて点数が上がる」、「2月は難易度が高くて点数を取りづらい」といった口コミまで広がっている(韓国TOEIC委員会はそんなことありえないと否定している)。少しでも高い点数を取ってなんとか就職したい! と願う人達にとってこれは貴重な情報だ。一時は日本や海外でTOEICを受けるとより高い点数が取れるという噂が流れたが、ほとんどの企業が海外で発行されたTOEIC点数は認めないそうだ。政府機関に就職するためにはTOEICとは別に、韓国で開発されたTEPSという英語テストを受けなければならず、テスト受験費だけでもばかにならない。


 就職のためだけでなく、就職後も定期的にTOEICテストを実施して人事に反映する会社もあるので、油断できない。日本でも韓国のTOEIC関連本が翻訳出版されており、これが結構人気だそうだ。英語ができなくてもTOEICの点数だけは高く取るという珍現象を追体験できるかも。

日本でよく、「韓国人は英語が話せる人が多いですよね」と言われるが、それはやっぱり人それぞれ。大手商社や研究所に勤める人は流暢だけど、海外と縁のない事務職の人は英語で話しかけられるとガチガチに緊張して知っている言葉も出てこない、なんてこともよくある。


 日本語と同様、韓国語は英語と語順が逆なので、韓国人にとって英語は本当に難しい。Pagodaという大手英語教育機関の調査によると、これだけ勉強しているのに、韓国人のTOEIC平均点数は意外にも低くて600点台前半。受験者の目標とする850点とは200点以上も差がある。TOEIC900点なのに書類審査で落ちた、なんていう話を頻繁に聞いたのでもっと平均点が高いかと思っていた。この理想と現実の差を埋めるため、どんな不況でも英語関連産業はもうかる一方だろう。Pagodaの調査では外国語勉強時間は1日平均で1時間30分、外国語取得のために使う費用は月平均14万ウォン(約1万2000円)だった。


 TOEIC対策の英語スクールやEラーニングサイトはいつも大繁盛で、iPhoneのApp Storeの人気アプリも英語辞書や英会話、TOEIC関連のものが多かった。日本ではあまり見かけない動画再生機PMP(portable multimedia player)が普及しているのも、英語のため、Eラーニング動画を見たり電子辞書を楽に使ったりするためである。


 英語ができるとその分いろんなコンテンツを楽しめるし、情報の量も広がる。ネット検索でもこれは使える、と思う情報は英語が多い。しかし今の韓国は英語に重みを置きすぎているように感じる。人々にものすごいストレスを与えているからだ。


 韓国では、学校の成績とTOEIC点数を重視する採用方式はそろそろやめるべき、という声も出ている。少子化で生産人口は減っているはずなのに、就職難は増すばかりである。大学生らが大手企業ばかり目指し、中小企業には就職したがらないからと政府は言うが、それは当然だ。給料の格差が大きすぎる。就職や勉強のために使った費用を回収するためにも、急騰する物価のためにも、若者は大手企業を目指すしかない。


 企業は人材を養成する場ではなく雇う場、即戦力のある人しか採用しない、といった恐ろしいほどの競争社会はいつまで続くことやら。何事もほどほどにしないと、跳ね返りも大きいからね。


(趙 章恩=ITジャーナリスト)

日経パソコン
2010年4月22日

-Original column
http://pc.nikkeibp.co.jp/article/column/20100421/1024435/

もう待てない! iPad発売未定の韓国、購入代行サイトに注文殺到

新しい製品やサービスが大好きで誰よりも早く使いたがる、いわゆる「アーリーアダプター」と呼ばれる人が多い韓国。米で売り切れ続出というiPadへの関心も非常に高い。iPhoneによるモバイル革命が起きたということもあってか、進化した電子書籍リーダーというよりは、何でも使える、ライフスタイルに大きな影響を与える携帯型情報機器としてiPadを期待しているようにみえる。

 Appleによると韓国での発売予定はまだ決まっていないということだが、TwitterやブログにはiPad体験記が書き込まれ、海外購入代行サイトを利用した注文が殺到しているという。iPhoneも「来月には出る」として2年近く発売が遅れたため、海外で購入したiPhoneをキャリアの代理店に持ち込み契約して(携帯電話として使うためには別途端末認証などの手続きが必要だった)使う人もいたほどだった。いつになるか分からない正式販売まで待てないのである。


 海外購入代行サイトは文字通り、海外でしか手に入らない商品の購入をネットで依頼し、韓国へ郵送してもらう代行サービスのこと。海外発送に対応していないオークションサイトやアウトレットの商品を購入するためによく使われている。iPad(16GB)が米で499ドルのところ、郵送料や手数料込みで約84万ウォン(7万円前後)はする。韓国で未発売のiPadが既に1000台以上は輸入されたという推定値があるほどだ。大手海外購入代行サイトはどこもiPad特設コーナーを設けている。共同購入で人を集め大量注文することで手数料を安く抑えようと、Twitterやブログを通じて購入者を集める人も出てきた。


 中には「iPad買った!」という書き込みに対して、どんな機能があるのか、一体どんなものなのか、あまりにも質問が相次いだため、自分のiPadを触って体験できるよう体験会を開催した人もいるから面白い。発売予定はまだないというのに、iPadを展示する大型書店もある。ここでもiPadを体験するため長蛇の列!


 韓国ではやはりiPadの大きな画面が魅力とされている。瞬時に起動し、写真もきれいに映る解像度に期待は高い。電子ブックだけでなくネット検索、ゲーム、動画再生、デジタル額縁、GPSナビゲーションとしても利用できるので、遊びにも仕事にも使える。有料アプリケーションを購入すれば、韓国語入力もできる。


 iPadを取り寄せた人の中には、アプリケーション開発者や出版業界の人が多いようだ。個人がiPhone向けアプリケーションを開発して一晩で数百万円稼いだという実話が何度も報道されてから、アプリケーション開発は“宝の山”として注目を浴びているのだ。


iPadをきっかけに離陸する韓国電子書籍ビジネス



 韓国でも2009年から電子ブックリーダーが次々に発売され、人気作家の連載が電子書籍限定で配信されたり、新聞社が有料配信を始めたり、「電子書籍」がようやくビジネスモデルとして動き始めたことも影響している。韓国の電子書籍サービスは1999年に登場したものの、10年も眠ったままの市場だったが、電子書籍にぴったりの使いやすい機器が登場したことでやっと活気が出始めた。出版業界もデジタルコンテンツ業界も、iPadのように誰でも楽に使える機器が出たからには、パソコン向けサービスとはまた違うコンテンツサービスができると胸を躍らせている。銀行やポータルサイトもiPadからサービスを利用できるよう準備しているという。


 電子書籍リーダーを発売したばかりのハードウエア業界にとってiPadは嫌な存在ではある。しかし、iPadの影響でパソコンや電子書籍、デジタルコンテンツ産業が生まれ変わるきっかけになることは間違いないだろう。iPhoneをきっかけに韓国モバイル産業が大きく変わったように。世界市場で活躍する韓国メーカーらは当然iPadを超える機器作りを目指すだろうから、これをきっかけに韓国産タブレットPCや電子書籍リーダーの技術発展も望める。


 韓国では一家に1台、テレビはなくてもデスクトップパソコンはあるほどで、「大画面+ネット」依存が強い。テレビの番組もテレビ局のサイトからリアルタイムで高画質映像を観られ(Onairサービスといって、CMも含めテレビに流れる画面がそのまま無料でネットから視聴できる)、音楽や動画、ゲーム、雑誌などパソコンから利用できる無料コンテンツも豊富にそろっている。


 iPhoneのようなスマートフォンの利用が急増しているのも、携帯電話より画面が大きいのでストレスがない、無線LANを使えるから料金を気にすることなくネットが使え、よりたくさんのコンテンツを利用できるという点が挙げられる。「大画面+ネット」への要求の高さからすると、無線LANに対応した9.7インチのiPadは、韓国人にとって欲しくてたまらないものなのだ。


(趙 章恩=ITジャーナリスト)

日経パソコン
2010年4月14日

-Original column
http://pc.nikkeibp.co.jp/article/column/20100414/1024306/

韓国ICT展示会・スマートフォンで激変した韓国モバイル事情セミナー(講師: 趙章恩氏)


  • 2010 Korea ICT PLAZA JAPAN (韓国ICT展示会)
  • ・開催日 : 5月10,11日
  • ・場 所 : ホテルニューオータニ(千代田区紀尾井町)




お申込みは、こちらから ※ 参加ご希望のイベントも、必ずお知らせ下さい。
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 韓国IT企業の精鋭50社が参加、最大級の韓国IT展示会とセミナー
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モバイル、AR(拡張現実)、グリーンIT、情報漏えい防止など、韓国IT企業の
精鋭50社を集め、製品をご覧になっていただく、2010 KOREA ICT PLAZA JAPAN
を、下記のとおり開催いたします。セミナーとKorea IT Cafeも同時開催します。
これだけの製品が一か所に集まる機会は、めったにありません。是非、今回の
イベントにご参加いただき、ビジネスチャンスを拡げて下さい。情報収集大歓
迎です。お気軽にご参加下さい。

日時:
 展示会:5月10,11日 10:00~17:30
 セミナー: 5月10日 14:00~15:00 5月11日 10:00~11:00(日本語)
 第19回 Korea IT Cafe: 5月11日 13:30~15:30(日本語)

場所:ホテルニューオータニ 芙蓉の間 (千代田区紀尾井町)
    館内案内
主催:大韓貿易投資振興公社(KOTRA)
参加費:無料(要登録)

【セミナー】
 5月10日 14:00~15:00 定員100名
 テーマ: スマートフォンで激変した韓国のコンテンツビジネス
 講師: ITジャーナリスト 趙章恩氏
  ○ 韓国の携帯電話・モバイルの現況(WiBro含む)
  ○ 韓国のスマートフォンの現況
    – 普及率、料金などの一般的情報
    – iPhoneの登場による市場の変化
    – 端末の動向
    – Wi-Fiの利用状況
    – コンテンツ(ソフトウェアも含む)ビジネスの変化
  ○ スマートフォンの韓国市場の展望
  ○ モバイルビジネスへの政府の政策
    – 2009-13モバイルインターネット活性化推進計画
  ○ スマートフォンの企業・政府の国際戦略

  【連載中のコラム】
  連載日経オンライン IT先進国韓国の素顔
  http://it.nikkei.co.jp/internet/column/korea.aspx
  日経PCオンライン Korea On The Web
  http://pc.nikkeibp.co.jp/pc/column/cho/index.html

 5月11日 10:00~11:00 定員100名
 テーマ: スマートフォンで激変した韓国のコンテンツビジネス ※5/10と同一内容です。

【第19回 Korea IT Cafe】 5月11日 13:30~15:30 定員100名
 第1部テーマ: 韓国の最新ネットワークセキュリティ Web攻撃からの防御
 発表者: 株式会社アンラボ、ペンタセキュリティシステムズ株式会社

 第2部テーマ: なぜ、韓国では文書統合管理システムの導入が進んだのか
 発表者:株式会社ユニオンエヌイーシー

 ※ Korea IT Cafeは、日韓ITビジネスの最前線で活躍している韓国企業の方を
 ゲストに、韓国ITビジネスについてお話いただき、お客様と共に、情報交換する
 イベントですが、今回はご参加者が多いため、セミナー形式になります。
 ※ 事情によりテーマが変更になる場合もございますが、ご了承下さい。


【展示予定企業】 ※ 各ブースに日韓通訳がつきます。

A. モバイルソリューション
 ★ 2D・3D GUI/ Flash plug-in 4億台の携帯に搭載/デジタルアリア
 ★ Mobile Vector Graphics、サムスンが採用 /ヒュワン
 ★ モバイル拡張現実(AR)エンジン /ゼニターム
 ★ クロスプラットフォーム(携帯・PC・TV)で利用できるWidget /ミニゲート
 ★ 3DアニメーションMMS /EveryShow
 ★ モバイルCRM・企業用広告Ring Back Tone /ユーアンジェル
 ★ リアルタイム位置情報システム(RTLS) /ナインティシステムズ
 ★ 業務用PDA/モバイルRFリーダー /D.O.TEL
 ★ 携帯電話用カメラモジュール / DVR ビデオドアフォン /エムシーネックス

B. セキュリティソリューション
 ★ 情報漏えい防止 /Waterwall,Nadsoft,ブレインズスクエア,Cometrue Tech.
 ★ IPアドレス・MAC管理製品 /スコップ情報通信
 ★ 虹彩認証製品 /イリディス
 ★ 指紋認証製品 /G.I.
 ★ 監視カメラ / DVR /ソンミョン電子通信、ヒュンダイ通信
 ★ 車両用ドライブレコーダー /ジオクロス

C. ネットワークソリューション
 ★ デジタルサイネージ /デジタルゾーン, エリヴィジョン
 ★ 画像会議システム /セハソフト
 ★ STB (セットトップボックス) /インフォイキュー
 ★ 光ケーブルトータルソリューション /フォステク
 ★ シングルサイト並列共有ファイルシステム /ピースペース
 ★ パソコン自動節電システム /インカソリューション

D. ソフトウェア
 ★ 統合文書管理ソリューション、サムスン生命が採用 /ユニオンエヌイーシー
 ★ AR eラーニングパッケージ /ミンズトリ
 ★ 音声認識・認証製品 /パワーボイス
 ★ ビデオ変換・編集ソフト /オネステック
 ★ 動画変換・アップロード・Wi-Fiとサーバ転送機能付SDカード /ENJsoft
 ★ 特許情報検索・分析・競合社分析、新ビジネス発掘に利用 /ウィズドメイン
 ★ パンデミック対策、遠隔サポート /RSUPPORT
 ★ ナレッジマネジメント /OntheIT

E. ハードウェア
 ★ LED照明 /コリアLED照明, MKライティング, ルミネイチャー
 ★ SSD・SSD Controller /インディリングス
 ★ USBメモリ・外付けHDD /メモレ、シー・エヌ・エス
 ★ ワイヤレスUSB VGAアダプタ /メモド
 ★ ブルートゥース送受信器 /ユーニーズコマース
 ★ 高音質イヤフォン /アイフィールユー
 ★ 電子黒板・電子ペンタブレット /ペンアンドフリー
 ★ プレゼン用デバイス /イ・ディテール
 ★ iPod補助バッテリ・iPod用 FMトランスミッター /ネオメトロカン
 ★ インクジェットプリンター・デジタル角度測定器 /トリアシステム
 ★ 視覚障害者用センシング杖・インドアゲートボールシステム /プリンポ
 ★ ロボット用航法センサ・リモコン動作認識入力装置 /マイクロインフィニティ
 ★ 位置認識・超音波センサー /ハギソニック
 ★ 薄型テレビ用電動壁掛け・テーブルスタンド /ロボメックス
 ★ 掃除ロボット /ユジンロボット

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Google中国撤退、韓国からは撤退しないのね

Googleの中国撤退は、自由を守るために撤退したとも見れるのか?


韓国におけるGoogleのシェアは2009年11月時点でまだ3%と、検索市場8割を占めるNAVERには全然勝てない。
しかし韓国は今、ADSLが初めて商用化された時のようなスマートフォンブーム!


アンドロイドフォンも韓国で発売され、スマートフォンではGoogleが韓国で結構なシェアを占めるのではないかと思われる。


検索だけでなくマップやドキュメントや翻訳などなど、ついつい利用してしまうサービスがいろいろあるので、スマートフォンから利用しやすい。韓国でもGoogle Blogが始まったし。


韓国のポータルや検索サイトは、まだ十分にモバイル対策をしていないので、今のうちに!と思っているかも。


韓国は人口も少ないし、世界市場からみれば広告規模も小さく、韓国の検索サイトは日本を狙っている。
韓国のインターネットサービス企業が一番力を入れているのも日本市場である。


韓国の検索サイトやインターネットサービス会社が日本進出を目指すもう一つの理由は、韓国よりは自由だから、というのもあると聞く。


日本のマスコミで韓国企業が世界市場で強い理由は何だ~と騒いでますが、基本は韓国市場だけでは食べていけない、韓国ではビジネスがし辛い、といった理由もある。


Googleも韓国で実名制度に反対し、YOUTUBEアップロードを中止した。
表現の自由を守るため、だそう。


アンドロイドマーケットはゲーム事前審査制度によってサービスが禁止される危機もあった。


韓国は実名制度、ゲーム事前審議制度、コンテンツ規制が厳しく、ガラパゴス規制なんてよくいう。


自由=混沌、混乱、炎上ではないと思うのだが。。。


– BY  趙章恩

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http://www.kddi-ri.jp/blog/cho/?p=222