12日セミナーに来てくださった皆様ありがとうございます。
久しぶりに人前で話しができたのでストレス解消になりました。^-^
いや~これってセミナー体質?
続きはKRIセミナーで、と勝手に考えてます。
セミナーの後でメールもたくさんいただきました。返事書いてます。
しかし、資料をファイルでくれ、というリクエストにはお応えできないのです。。。。
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久しぶりに人前で話しができたのでストレス解消になりました。^-^
いや~これってセミナー体質?
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セミナーの後でメールもたくさんいただきました。返事書いてます。
しかし、資料をファイルでくれ、というリクエストにはお応えできないのです。。。。
今、韓国ではバンクーバーオリンピックに出場中の女子フィギュアの金妍児(キム・ヨナ)選手の華麗な滑りに釘付けだ。多くの家庭で、たくさんの人たちがテレビにかじりついていることだろう。そのテレビについて話をする。
韓国のケーブルテレビ加入率は全世帯の約85%に達する。なぜこんなに高いのかというと、韓国は難視聴地域が多く、ケーブルテレビに加入しないと地上波テレビが観られないという特殊な事情があるからだ。日本のように、テレビの線を壁にある穴に差し込むだけで鮮明に地上波テレビが楽しめる環境がうらやましい。
そういう事情で、ほとんどのマンションが管理費にケーブルテレビ視聴料を上乗せする。電気代にはKBS(NHKのような公営放送)の視聴料が含まれる。「うちはテレビ観ませんから払いません」なんてことが通用しないのだ。
ケーブルテレビは地域別独占事業であり、地上波放送受信という役目から安定した市場を維持できると思われていた。しかし、2008年11月、地上波放送のリアルタイム再送信(リアルタイム放映とも。地上波テレビで流れる画面をそのままIPTVでも観られる。韓国ではOnairといって、地上波放送局のWEBサイトからもテレビで流れている画面をCMまでそのままネットで視聴できる。もちろん無料)を含むIPTV(インターネットに接続したテレビで多チャンネル放送やビデオ・オン・デマンド配信を受信する)がケーブルテレビに取って代わりはじめた。
地上波テレビを観るためにケーブルテレビを申し込んでいた人たちが、同じ料金だったらデジタル放送が観られて、ネットと連動する検索や生活情報、ビデオ・オン・デマンド(VOD)で最新映画まで視聴できるIPTVの方がお得であるとして、今、通信事業者が提供するIPTVサービスにどんどん移行している。
韓国のケーブルテレビ会社ももちろんブロードバンド、インターネット電話とトリプルサービスを提供している。通信会社より料金は安いが、速度が安定しないのでケーブルテレビのインターネットサービス利用者はだんだん減っている。その点、通信事業者が提供するブロードバンドにIPTVを利用する方がインターネットの速度も安定するし、加えて同じ会社の複数のサービスを利用することになるのでバンドル割引として料金を割引してもらえる。
地上波放送のリアルタイム再送信を含むIPTVが登場する前までは、放送と通信の融合によって通信事業者と地上波放送局が競合相手になると思われたが、蓋を開けたら実際は、「地上波放送+α」という似たようなサービスを提供する通信事業者とケーブルテレビ会社が熾烈な競争を繰り広げているわけだ。
ケーブルテレビ会社もデジタル化を急ぎ、IPTVと変わらないサービスを提供するよう努力しているが、通信事業者の大々的なマーケティング、家族割り、長期加入割引、インターネット+無線LAN+携帯電話+インターネット電話といった通信サービスのバンドル割引で基本料が最大50%まで安くなるキャンペーンには勝てず、ケーブルテレビ加入世帯は減少するばかり。放送関連シンクタンクであるメディア未来研究所は、IPTV契約数は2009年の280万件から2014年末493万9000件へ増加、ケーブルテレビは逆に1185万8000件から2014年末には987万6000人へ減少すると予測した。その代わり、IPTVと同じようなサービスを提供できるデジタルケーブルテレビへとサービスが順調に移行すれば、デジタルケーブルテレビの契約数は2009年末の324万件から2014年末571万1000件へと伸びて、IPTVより人気を集めるとも見ている。ケーブルテレビとIPTVのコンテンツ競争により、有料放送市場自体は成長を続け、2009年末の2051万件から2014年の2341万1000件へと伸び続けるとも予測する。
韓国の地上波アナログ放送終了は2012年12月31日(日本は2011年7月24日)。IPTVかケーブルテレビに加入していれば、アナログ放送終了後もテレビを買い換えることなく地上波デジタルテレビを受信できる。地上波デジタル放送が始まれば、IPTVやケーブルテレビどちらでもネット連動コンテンツやVODサービスを利用できるようになる。そうなると利用者にとっては(1)ケーブルテレビまたはIPTVを契約し続けて有料放送として地上波デジタル放送を見るか、(2)地上波デジタル放送を無料で観る代わりデジタルテレビに買い換える、あるいはデジタルコンバーター(アナログをデジタルに変換してくれる装置)を買うか、の選択になる(図1)。韓国政府はデジタルテレビ購入補助金や無料でコンバーター配布、普及することも検討しているため、ケーブルテレビとIPTVにとっては、加入者を奪われないために、独自のコンテンツを育てられるかどうかが何よりも重要である。
図1 韓国ケーブルテレビ(CATV)会社と通信事業者のサービス状況と利用者の選択肢
ケーブルテレビはIPTVの豊富なVODに負けない面白い番組を増やそうと、地上波放送の再放送ばかりだった編成から、独自制作の番組を増やしている。一時は、視聴率稼ぎのために水着姿の女性と男性が合コンするという番組を作ったり、彼氏の浮気現場に女性が乗り込むという番組を作ったり、騒ぎを起こしてでも注目を集めようとしていた。
こういった番組の制作業者が、放送通信委員会の審議で何度も処分されたのと、それほど視聴率が稼げないことが判明してからは、地域ニュース、生活情報番組といった健全な番組をはじめ、ドラマにリアリティ番組、お笑いなど、家族向け番組を制作するようになった。
中でも絶大な人気を誇るのが、ケーブル会社の一つであるTVNの「男女生活探求」。同じシチュエーションで、男女の考え方や行動がどのように違うのかをコミカルに演じたドラマ仕立ての番組。誰が見ても共感度100%、これって私の話? とびっくりしてしまう内容ばかりである。しかも地上波放送では禁じられているパロディやスラングもケーブルテレビでは大目にみてもらえるので、さらに面白く仕上がっている。最近は「親子生活探求」、「サラリーマン生活探求」も登場した。ネットの動画投稿サイトにはこれを真似た「00生活探求」という動画があふれている。地上波放送の番組やCMでもこのフォーマットを真似るほど有名になった。
もう一つのケーブルテレビ会社、MNETの「スーパースターKを探せ」も2009年韓国をにぎわせた。文字通りスーパースターを探すオーディション番組で、米人気番組「アメリカン・アイドル」の韓国版。有名歌手やプロデューサーが審査員となって、時には参加者の歌に感動して涙を流し、時には辛らつに批判するのもアメリカン・アイドルと同じだった。全国から71万3500人が参加し、オーディション期間だけで7カ月、最終的に一人が選ばれた。
最後は視聴者投票によって脱落者が決まる仕組みを採用した。勝者一人だけでなく、脱落者の中から歌手デビューを果たした人が何人もいる。韓国の小学生の将来なりたい職業1位は「芸能人」だけあって、オーディション番組の注目度は地上波放送に負けないほど。連日オーディションの状況が新聞にフィーチャーされたほどである。ケーブルテレビ専用番組の視聴率は1%を超えれば大ヒットと言われているが、「スーパースターKを探せ」は8.2%という驚異的な数字をたたき出した。
ケーブルテレビやIPTVのコンテンツ競争は視聴者にとってうれしいことである。ネット時代といってもやっぱり面白いのは手間ひまかけて作ったテレビ番組。これからは3Dテレビやモバイルテレビの時代が来るというだけに、どんなテレビ番組が登場するのか楽しみである。
(趙 章恩=ITジャーナリスト)
日経パソコン
2010年2月25日
-Original column
http://pc.nikkeibp.co.jp/article/column/20100224/1023185/
講演時間が1時間と短いので、話したい内容を削るのが大変です。。。
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米AT&Tは2009年10月、iPhoneから3Gネットワークを経由したインターネット電話利用を許可する方針を発表した。iPhoneから無線LAN経由でSkypeなどを使いインターネット電話を利用できるだけでなく、移動通信事業者の3Gネットワーク経由でも使えるようになったことで、AT&T加入者は携帯電話・スマートフォンから自由に料金の安い音声通話を利用できるようになったのだ。
移動通信事業者が提供するサービスに限らず、どんなサービスにもつながるようにしないといけないというFCC(米連邦通信委員会)が標榜する「ネットワーク中立性」に従うものである。このニュースは日本でも話題になった。
この動きが意味するところは大きい。無線LANが使えない地域はあっても、携帯電話のデータ通信が使えない地域はほとんどないので、移動通信事業者のネットワークが開放されれば、移動しながらどこでもインターネット電話が使えるようになる。インターネット電話は加入者間の無料通話が目玉でもあるので、iPhone加入者どうしの無料通話はもちろん、家庭のインターネット電話との無料通話もできるようになる。国際電話も断然安くなるし、国際ローミングもいらなくなる。国際ローミングは、電話をかける方も受け取る方も電話代を払わなくてはならないので、負担が大きかった。
移動通信事業者からすれば、モバイルインターネット電話を使わせることにより、重要な収益源である音声通話収入が大きく減るのは明らかだ。今後の見込みにしろ、モバイル端末と無線LANによる4Gネットワークが結びつくことで、どんな端末からもモバイルインターネット電話が使えるようになり、音声からの収益がますます減ることは間違いない。逆にネットワークを開放しても基本料は取れるので、市場先行効果を狙い加入者をたくさん確保した方が安定した成長ができるかもしれない。
韓国で大人気のiPhoneからモバイルインターネット電話はできるのか? 3Gネットワークを使う通話で言えば「ノー」である。日本のiPhoneは無線LAN経由ではインターネット電話(Skypeなど)が使えても3Gネットワークからは禁止されている。同様に、韓国のiPhoneを提供するKTも、無線LANを経由したインターネット電話は利用できても3Gネットワークからは利用できないようにしている。
ところが、いわゆる「脱獄(jailbreak)」として、3Gネットワークを無線LANとして誤認識させるアプリをダウンロードし、インターネット電話を使うユーザーが増えている。
韓国KTのiPhone料金は2年約定の基本料に応じて無料通話150~800分、データ通信100MB~3GB、SMS200~300件+無線LANの利用が無料となっている。首都圏ではどこでもKTの無線LANを利用できるので、データ通信を利用しなくても済んでしまう。結果、毎月の無料データ通信分を全部消費しきれない。そのため「脱獄」して3Gネットワークからインターネット電話を使うことでデータ通信を消費するのが裏技として広がっている。そのほかに、3Gネットワーク経由でインスタントメッセンジャーの音声チャット機能を使った通話もできたが、これは2010年2月時点で3Gネットワーク経由でのアクセスが禁じられている。
ユーザーらは「料金に含まれている3Gネットワークを利用しているだけなのになぜ禁止するのか」と早速反発している。3Gを無線LANに誤認識させるとはいっても、基本料内で使っているのでKTに損害を与えたわけではなく、これは違法ではないという主張だ。KTは「脱獄」できないようにするというが、この手のアプリは続々登場しているので、いたちごっこになる可能性が高いのではないだろうか。これではユーザーの反感を買うだけだ。AT&Tがネットワークを開放しているだけに、なぜいまさら閉鎖的な運営をしようとしているのかと非難も多い。
日本の移動通信事業者のARPU(1契約当たりの平均収入)は平均的に音声6・データ通信4ぐらいであるが、韓国は音声8・データ通信2、音声通信の収入が圧倒的に多い。日本では定額料金制などで一時期ARPUが減ったものの、最近はデータ通信分が伸びたことでARPUも伸びている。しかし韓国では長年“勝手サイト”にアクセスできないようネットワークを閉鎖的に運営した結果、音声通話だけ伸びてデータ通信分が停滞または減少するという、世界の流れに逆行する現象が起きた。音声への要求は依然高いのだ。
KTは無線LAN、3G、Wibro(モバイルWiMAX)の3つのモバイル高速ネットワークを使える端末を発売している。モバイルインターネット移動通信最大手のSKテレコムは2Gでも無線LANを使えるようにすると発表した。無線LANとWibroのスポットも今の5倍ほどに拡大する予定だ。
KTもSKテレコムも、FMC(有無線融合サービス)として、端末1台で携帯電話としてもインターネット電話としても使えることをしきりに宣伝している。自社のインターネット電話サービスがあるので、自前のネットワークを使って外部のインターネット電話を利用されては困るということなのだろうか。
しかし3Gネットワークからのインターネット電話利用を禁止するとしても、携帯電話からインターネット電話を利用する時代に変わっていくことは間違いないだろう。締め付けを厳しくしてユーザーの反感を買うよりは、自由にして加入者確保と同時にモバイルインターネット電話の使い勝手向上を各事業者に工夫してもらいたいのだが、今のところ、目先の利益を優先したいようだ。
2010年2月10日、KTのiPhoneに対抗してSKテレコムからモトローラのAndroid搭載端末が発売された。この端末からはGoogle Voice(米Googleが提供する音声通信管理サービス)を利用できるので、インターネット電話をどうするか、議論はまだ続きそうだ。
韓国政府は「緑色成長」をキャッチフレーズに、2009年より、二酸化炭素排出節減、省エネ製品販売、生態系回復のための街並み整備といったエコな国策事業を打ち出している。中でも注目を浴びているのが「自転車」政策である。
日本に来る韓国人が驚く光景の一つが、駅前にびっしり停められた自転車。歩行者は自動車よりも自転車に気をつけないといけないほど、どこに行っても自転車に乗っている人が多いことに驚く。自転車の前と後ろに子供を乗せる親子の3人乗りを見かけると、記念写真を撮ってブログに載せるほどめずらしがる。
韓国でも自転車に乗る人は多いが、休日の運動やレジャーとして川沿いを走るか、または配達や仕事のために乗るのがほとんど。バスが1時間に1台しか来ない、なんていう田舎でもない限り、日常的に自転車を利用する人はあまり見かけない。見かけたとしても、プロのサイクリング選手のような服装に立派な自転車に乗った同好会の人ぐらいだろう。ソウルの都心で通学や通勤のために自転車を利用する人は珍しく、テレビや新聞に「自転車で通勤する○○さん」のような見出しでインタビューが掲載されるほどである。
韓国の道路は車優先で、地下道や陸橋も多く、自転車で移動するのは難しい。歩道もでこぼこしているので危ない。私も駅まで自転車を利用しようとチャレンジしたが、2分で歩道のブロックとブロックの間に挟まり自転車ごと転倒してからギブアップ、その後すぐ盗難にあったので、ソウルで自転車に乗れたのはたった2分しかない。
それが、政府の「緑色成長」政策により、歩行者優先で横断歩道が造られ、「自転車用」と呼べる道路がやっと整備されるようになった。
韓国政府は2018年まで1兆2456億ウォン(約1000億円)をかけて3114キロの自転車道路ネットワークを構築するとしている。そうなればソウルの北側から釜山まで自転車で全国を一周できるようになる。有名観光地に自転車レンタルショップを置いて、車での移動を減らす計画も併せて実施されている。新羅時代の首都であり街中に遺跡が点在する慶州では、自転車で観光地を一周できるよう、自転車道路と自転車レンタルが充実してきている。レンタカーのように、駅前で自転車を借りて、好きな場所で返せるのでとても楽だ。チェジュでもレンタカーより自転車・徒歩観光が脚光を浴びている。
「緑色成長」事業は川の復元や道路整備など建設分野に偏りすぎていることが、今まで、何度も指摘されてはいる。自転車道路にしても、自動車の代わりに自転車を利用してエコな生活をしましょうという目標のはずが、新しい自転車道路は川沿いや海沿いに造られ“観光用道路”造りになってしまった。都心の自転車道路は長期的な都市計画より、とにかく1日でも早く「自転車道路」と書かれた“結果物”を残すことに執着したため安全への配慮が欠けている。自動車道路の幅を通常より狭くして、両端に石でブロックを立て自転車道路にしているので、自動車も自転車もはらはら。地下鉄駅前には駐輪場もたくさんできたが、韓国は自転車の登録管理が行われていないため盗難が多く(名義登録がないので、盗んだ自転車はいくらでも転売できる)、ちゃんと預かってくれる保管所を求める声が大きい。
それでも自転車人口は増えるばかり。クレジットカード会社2社の最近の調べでは、2009年自転車購入件数は前年比で30%以上増加した。ディスカウントショップやネットショッピングでも自転車販売が2倍近く増加し、政府政策に合わせて自転車で買い物に来ると50ウォン(約4円)ずつグリーンマイレージをためてくれる大型スーパーも登場した。2009年夏には韓国で初めて、個人向け自転車保険も登場した。自転車によって発生した事故や怪我の被害に対応している。
今の日本がランニングブームだとすると、韓国は自転車ブームという感じで、関連用品やサービスが続々登場している。中でも人気を集めているのが自転車ナビゲーション。自転車に取り付けられる専用のナビゲーション端末も発売されているが、手軽にスマートフォンとGPSを利用したナビゲーションアプリの利用する人をよく見かける。
スマートフォンを使って音楽を聴きながら交通状況を確認、自転車道路を利用して走る。経路案内、位置確認、周辺情報案内、カロリー消費量はもちろん、自転車で移動した経路を記録し、写真と走った感想を書き込んで、ほかのユーザーと共有できる。自転車を媒介にしたSNSといった感じで、「一緒に自転車で走りませんか」という地域ごとの友達募集書き込みも増えてきた。自転車ナビゲーションアプリの利用は無料で、App Storeのダウンロードランキング上位をキープしている。自転車だけでなく徒歩ナビ、自動車ナビにも切り替えられるので、ナビゲーションを購入せずスマートフォンで済ませられる。スマートフォンの画面サイズはどんどん大きくなっているので、画面が見苦しいということもなく、使い勝手がよくなりつつある。
ポータルサイトもモバイルマップサービスや、出先で利用したくなる位置情報基盤サービス、地域情報検索サービスを強化しているため、政府政策と並んで自転車ナビ市場は今後どんどん大きくなると見込まれる。
(趙 章恩=ITジャーナリスト)
日経パソコン
2010年2月12日
-Original column
http://pc.nikkeibp.co.jp/article/column/20100212/1022836/
韓国の移動通信事業者であるKTとSKテレコムは第3世代(3G)に限らず、第2世代(2G)対応スマートフォンからも無線LANを利用して自由にインターネットにアクセスできるようにすると発表した。
SKテレコムは、米グーグルが開発した携帯電話向けOS「Android」を搭載するモトローラのスマートフォンを2G向けにも発売するとしている。中国で2008年12月に発売されたXT800と同じモデルで、3.7型WVGAタッチスクリーン、Android 2.0、GPS、500万画素カメラ、LEDフラッシュ、Wi-Fi機能を搭載する。これに地上波DMB(韓国のワンセグ)が追加される予定。KTも3G対応スマートフォン10種のほかに、無線LANを利用できる2Gスマートフォンを15種発売するとしている。
データ通信サービスを利用する3Gは「高仕様」、音声通話中心の2Gは「低仕様」、という区別はなくなってきている。2Gでもタッチスクリーン、大画面、高画素カメラを搭載する“プレミアム携帯電話”としてスマートフォンが人気だ。代表的な機種はサムスンのHapticシリーズである。
韓国では3Gに機種変更すると電話番号を変えないといけない理由から(局番は011、017、016、018、019から010へ、3桁+4桁の電話番号が4桁+4桁になる)、2Gに固執するユーザーが根強くいる。2G対応の高仕様・高価格端末は3Gに比べ奨励金が少ないので端末価格は高くなってしまうが、それでも番号を変えたくないユーザーに受け入れられている。
3Gのスマートフォンに限らず、2G端末からも無線LANが利用できるようになったことで、通信事業者の間では端末やコンテンツ競争以上に、「無線LANサービスエリア競争」が始まっている。
韓国の通信事業者は家庭向け有線ブロードバンドとW-CDMAにばかり集中していたため、屋外の無線LANのアクセスポイントは増えるどころか減少していた。2004年まで首都圏のどこでもKTの無線LAN電波が届いたが、加入者の伸び悩みを理由にだんだんとアクセスポイントが減り、2008年ころになるとすっかり自宅でしか使えない無線LANサービスになってしまった。そのため、街中でノートパソコンやiPodからインターネットにアクセスしたい場合は、パスワードを設定していない誰かの無線LANモデムに接続するしかなかった。
無線LANスポットが少ない分、無線LAN対応の良しあしがスマートフォンの選択条件の大きな一つ。KTが独占販売するiPhoneに加入すればKTの無線LANを利用できる(無料)。一方、SKテレコムのOMNIA2(サムスンのスマートフォン)に加入すると利用できる無線LANスポットがKTより少ない。スマートフォンは移動通信事業者3社から発売されているため、無線LANのスポットが多く使えるスマートフォンが当然便利である。
KTは現在1万3000ある無線LANスポットを2010年内に2万7000に増やす計画だ。SKテレコムはカフェやレストランなどを中心にフリースポットを増やす方針である。同社は無線LANスポットを持っていないため、提携先の無線LANモデムをフリースポットにしてもらうことで、スマートフォンやノートパソコンを使う人は誰でも無料でインターネットにアクセスできるようにするという。
一方、ほかの通信事業者より早くインターネット電話サービスを始めたLGテレコム。約200万世帯がLG系列のブロードバンドと無線LANを使ったインターネット電話サービスを利用している。加入者宅にある無線LANモデムにパスワードを設定しない方法でフリースポットとして利用できるのではないかという話もあったが、個人が利用料を支払う無線LANを、スマートフォンへのサービスのために通信事業者がフリースポットにしてしまっていいのか、議論がある。接続速度が落ちるだけでなく、同じネットワーク上に知らない人がつながることでデータハッキングの可能性もある。
KTの無線LANに加入するカフェやレストランが、モデムにパスワードを設定しないことでフリースポットとして無線LANを使えるようにすると、当然、KTの無線LAN加入者数は伸びていかない。自社の投資にSKテレコムやLGテレコムが便乗することになるため、KTは、「ただ乗りするなんて許せない」、「セキュリティのためにも家庭や企業の無線LANモデムにパスワードを設定してほしい」と訴える。
スマートフォンのほかにも無線LANを利用できる電子ブックリーダーが次々に発売され、iPadのようなタブレット、無線LANを利用するモバイルVoIPも続々登場している。韓国通信事業者による、無線LANのアクセススポット数増加やサービス向上競争の激化は免れず、4G商用化まで続くとみられる。
韓国政府機関の一つであるインターネット振興院が、インターネットのことなら何でも相談できるコールセンター「118」を2010年1月に開設した。局番なしで「118」に電話すれば、スパムメールやウイルス、個人情報盗用、ハッキングなどの被害相談はもちろん、パソコンの電源の入れ方、ウェブサイトにアクセスする方法、会員登録方法といった基本的な利用方法から実名制度の仕組みとは何か、という情報に関することまで、何でも相談できる。通話料のみで利用料はない。
スパムメールやウイルス・ハッキングなどによる被害を警察に届けるべきなのか、判断するための相談窓口にもなる。
韓国のインターネット利用者は人口の8割を超えており、乳児と超高齢者以外の国民のほとんどが利用している計算だ。インターネットは韓国人にとって最も身近で重要なメディアであり、コミュニケーションツールでもある。そのためインターネットを介したトラブルが増え、実名制度による本人確認もややこしくなっている。トラブルや被害にあったとき、まずどこへ相談すればいいのか、ぱっと思い浮かぶ相談窓口はこれまでなかった。
今まではインターネット利用に関する相談窓口は、犯罪ならサイバー捜査隊、セキュリティなら韓国情報保護振興院、利用方法なら各サイト、ネットワークのことは通信会社、パソコンのことは製造会社と、ばらばらだった。118はこれらすべての窓口を統合。365日24時間対応で、国民の利便性向上を図る。
韓国インターネット振興院によると、118のようなコールセンターは世界初という。火事は119、犯罪は112(韓国の110番は行政苦情窓口)といったように、「インターネットは118」と覚えてもらいたいと話す。特に子供やお年寄りの利用を見込み、118を覚えてもらうためのキャンペーンも実施している。
118に期待されているのは、インターネット利用者のセキュリティ意識向上である。インターネットを始めたばかりの子供やお年寄りに利用方法を説明すると同時に、このような初心者がセキュリティ対策の重要性を認識し、ウイルス退治プログラムを使ったり、個人情報をしっかり管理したりするよう啓蒙する役を担う。
韓国ではセキュリティ対策をしていないパソコンが多く、それを踏み台にしたDDoS攻撃(複数のコンピューターから大量のパケットを送りつけるなどして、特定のコンピューターを利用不可能な状態に追い込むこと)も頻繁に起きている。スパムメールや偽ウイルス退治ソフトによって感染し、ゾンビーパソコンとなって、ユーザーは知らないうちに攻撃に加担することになる。
韓国では2003年1月と2009年7月、全国でインターネットが利用できなくなるほどのDDoS攻撃を受けた。DDoS攻撃による企業のシステム・ネットワーク復旧費用、サイトへのアクセス不能に起因したサービス提供停止による被害額は、年間約300億円前後と言われている。
2009年にはメッセンジャーをハッキングした振り込み詐欺が多発した。ある端末から送付されるメッセンジャーをハッキングして、その端末所有者が登録する友人らに「お金を貸してほしい」と本人になりすましてメッセージを送り、振り込ませる手法だった。オンラインゲームやSNSでも、ハッキングによるサイバーマネー盗難が増えている。このような被害があったときに、警察よりも早く実情を把握して、適切な対処を促すのが118である。
iPhoneをきっかけにスマートフォンの利用が急増していることから、2010年、118にはスマートフォンからインターネット利用の問い合わせが増えることが予想される。
スマートフォンから主に利用する無線LANの場合、面倒という理由でモデムにパスワードを設定しない家庭が多い。誰でも自由に電波を拾って使えるのでハッキングの危険性が指摘されているが、街中ではフリースポットがなくても、こうした無線LAN電波をいくらでも拾える状態だ。スマートフォンからこのようなパスワード設定なしの無線LANを利用した場合、ハッキングされる可能性もある。スマートフォンや携帯電話を狙ったウイルスの中には、有料サイトに勝手にアクセスして料金を発生するように動作するものがあるので、注意が必要だ。
スマートフォン向けのウイルス退治ソフトの開発は活発で、すでに、スマートフォンからのインターネットバンキングに対応したセキュリティソフトを銀行が提供し始めている。ただ、こういう情報を利用者が知らなければソフトは当然使われず、開発する意味もなくなる。
インターネット何でも相談窓口「118」は、韓国のインターネット利用をより便利にし、人々のセキュリティ意識を高められるだろうか。「世界初のサービスとして、他の国からも注目されるようになる」(インターネット振興院)か、今後の活動が注目される。
(趙 章恩=ITジャーナリスト)
日経パソコン
2010年1月28日
-Original column
http://pc.nikkeibp.co.jp/article/column/20100128/1022529/
韓国では、ソウルが観測開始以来の大雪や寒波を記録するほどの異常気象で、外出を控えオンラインゲームやデジタルコンテンツを利用する人が増えている。「Hangame」「NCSoft」「Nexon」「Netmarble」「Pmang」といったオンラインゲームの1月のユーザー平均滞在時間は前年同月比で3割も増加しているという。証券会社は2010年の株価展望で、不況ほど利用者が増えるオンラインゲーム株をさかんに推奨している。
寒波以上にオンラインゲーム業界で話題になっているのがNCSoftの多人数参加型オンライン・ロールプレイング・ゲーム(MMORPG)「リネージュ」内で使われる仮想のゲームマネー「アーデン」の現金売買を巡る最高裁判断である。
■「ユーザーが努力して得た労働の対価」
事件の始まりは08年12月、ゲームマネー売買を専門に行う個人2人が「ゲーム振興法32条1項7号違反」の容疑で起訴された。同法はゲームマネーの現金売買を禁じており、2人はゲームマネー2億3400万ウォン(約1900万円)相当を安く手に入れ、2000人に転売し2000万ウォンの利益を上げたとされた。
地方裁判所は2人に罰金200万~400万ウォンの判決を下したが、2審ではリネージュのようなMMORPGのゲームマネーは同法の規制対象にならないと判断。検察が上告したが、最高裁判所は09年12月24日に2審判決を支持し、上告を棄却した。
最高裁は、法律で現金売買を禁止されているゲームマネーは「一定の金額を賭けてゲームの結果によって配当が決まるもの、または偶然手に入れたもの」であるとし、2人が転売したリネージュのゲームマネーは「偶然ではなく利用者の行為によって得られたものである」と認定した。さらに「リネージュのゲームマネーはすでに現金売買が活発に行われており、転売して利益を得たことは同法違反に当たらない」との判断を示した。
ゲーム会社は、オンラインゲームのゲームマネーやアイテムはプログラムで所有権は開発者にあり、ユーザーや仲介サイトで現金売買をしてはならないという約款を設けている。しかし、今回の最高裁判断はゲームユーザーの間では、「リネージュのようなゲームの仮想通貨はユーザーが努力して得た労働の対価であり、約款に関係なく売買することができる」と解釈されている。
■ゲームマネーの売買市場は約1200億円
今回の判断が出る以前から、ゲームマネーやアイテムの売買を仲介するサイトは多数存在していた。もともとはユーザー同士がゲーム内のチャットや掲示板に売りたいアイテム、買いたいアイテムを書き込み、「PCバン」と呼ばれるネットカフェなどでアイテムと現金を直接受け渡していたが、詐欺などのトラブルが増え、01年ごろから仲介サイトが登場し始めた。
仲介サイトは、決済代行手数料として販売金額の4~5%を徴収する。仲介サイトの登場で、本格的にゲームマネーやアイテム売買を職業とする人も現れた。韓国コンテンツ振興院や文化体育観光部によると、ゲームマネー売買の仲介サイトは10社以上あり、会員数800万人、年間換金(現金売買)規模は1兆5000億ウォン(約1200億円)にものぼるという。
同時に数十万人がアクセスしてRPGを楽しむリネージュのようなゲームは、ゲーム内にもう1つの人間世界が繰り広げられているようなもので、ゲームマネーは必須となる。ゲーム会社側は、加入者を長期間足止めできるよう、キャラクターの育成や獲得できるアイテムを調整している。一方、ユーザーにしてみれば、ゲーム料金を数カ月分払うのと現金でゲームマネーを購入してアイテムに変えるのとでは金額的には大きな差がない。山の1合目から登り始めるか、それとも5合目から登り始めるかといった差だろうか。
■IDの詐取が増える? トラブル増加の懸念も
今回のゲームマネー現金売買を合法とした最高裁判断に対しては、ゲーム市場の活性化につながるとの見方が多い。ただ、ゲーム業界内にも賛否両論はある。
ゲーム振興法では、ゲームマネーを売買して利益を得るために他人の個人情報を盗んだり、ハッキングプログラムを使ってキャラクターのレベルを上げたりすることを禁止している。こうした違法行為を行うグループの拠点は「作業場」と呼ばれ、主に人件費の安い中国や地方都市にある。作業場では、数百台のパソコンを24時間フル稼働させ、ゲームマネーやアイテムを獲得しては仲介サイトに売り出して現金化しているとされる。
大量のゲームマネーやアイテムを獲得するには、その分大量の会員IDが必要となる。作業場の人たちは電子商取引サイトやウェブメールサービスなどをハッキングして韓国人の住民登録番号を手に入れ、その個人情報を使いオンラインゲームサイトに会員登録する。韓国人の個人情報のハッキング事件が絶えないのは、このようにお金になるからである。
今回の最高裁判断はこうした行為まで合法としたわけではないが、ユーザーがそれを区別するのは難しい。 ゲームマネー売買を悪用した不正資金問題や課税問題、ゲームマネーと企業ポイントや電子マネーとの連携にかかわる問題が起きる可能性もある。
■世界に輸出 海外対応も必要に
ゲーム内のアイテムがお金で簡単に手に入るものになれば、ユーザーにとっての希少性は低下する。ゲーム会社はユーザーを引きつけるため、絶えず次に獲得したくなるような強い武器、強力な魔法アイテムといった新規アイテムを開発していかなければならなくなる。
しかし、アイテムを開発するにはゲームのストーリー変更やキャラクター設定なども必要だ。これらはそう簡単に継ぎ足せるものではなく開発負担は少なくない。そもそもゲーム中毒やゲーム過労死が社会的問題になっているなか、アイテムを増やして売買規模を大きくすることには批判もあるだろう。
ゲームマネーやアイテムの現金売買は韓国だけの問題ではない。韓国のオンラインゲームは世界60カ国以上に輸出され、その輸出規模は08年10億ドル、09年15億ドルと推定されている。世界のユーザーが韓国のオンラインゲームマネーを売買することで換金レートや取引方法などでトラブルが発生した場合、矛先はゲーム会社に向けられる可能性が高い。
今回の判断により、職のない人たちがゲームマネーで生活費をかせごうとオンラインゲームに集まることでゲーム市場が成長するという予測もあるが、それでは悲しすぎるだろう。アイテム売買よりも、ゲームをきっかけにアニメ、映画、漫画といった文化コンテンツのすそ野を広げて市場を共有することの方が経済活性化につながるのではないだろうか。ゲームはゲームとして楽しめるよう、文化として育ててほしいものだ。
日本ではメールアドレスを変更しなくてはならないので面倒、手数料が高いといったことから利用はあまりないと言われているモバイルナンバーポータビリティ(MNP)だが、韓国では加入者の85%が経験しているというデータが発表された。
韓国通信事業者連合会によると、2009年12月時点で韓国のMNP利用者は約4020万人。
2004年1月に韓国でMNPが始まってから6年間で、携帯電話加入者の85%が1度は移動通信キャリアを変更したことになる。
韓国ではMNPでないと奨励金がもらえない、キャリアに関係なくショートメッセージを送受信できるので携帯電話からメールを使うことがなくメールアドレスの変更による負担がないことが理由としてあげられる。
MNPは移動通信キャリアを変更する心理的負担を軽くすることで競争を促進するのが目的であったが、韓国では奨励金競争と重なり、加入者を奪い、そして奪い返す争奪戦になってしまった。家族割りや学生割りといった加入者間通話の無料競争が始まると、ネットワークの外部性によりシェア1位のSK Telecomに加入者が集まり始め、移動通信キャリア3社の市場シェアは10年近く5対3対2のままである。
韓国の移動通信キャリアの平均解約率は3.5~4%。1%前後である日本に比べるとかなり高い。加入者の移動が激しいため奨励金が増えるのか、奨励金があるから加入者の移動が増えるのか。当然、移動通信キャリアの売上は伸びても利益率は急落している。2008年の場合、SK Telecomは営業利益2兆599億ウォンに対してマーケティング費用は3兆635億ウォンと、1兆36億ウォンも超過支出している。
2009年11月にiPhoneが発売されてからは、MNPによって加入者が流れていくのを防止するため、3社の奨励金に加えて端末ベンダーからの奨励金まで上乗せされている。単価90万ウォンほどのスマートフォンが移動通信キャリアとベンダーの奨励金により20万ウォンほどで買えるようになった。スマートフォンの値段は奨励金競争によって毎日最安値が更新されている。2~3日の間に40万ウォン近くした端末が、奨励金の増加で半額の20万ウォンにまで安くなり、その恩恵を受けられなかった加入者の反発で差額を返金する騒動まであった。
MNPで奨励金をもらうと、最低1年以上契約が拘束される約定加入となるが、代理店によっては「(その)違約金を代わりに払います」という張り紙まで出している。
移動通信キャリアが研究開発に使う費用より、マーケティング費用の方が多いことから移動通信サービスの質低下を招くのではないかという指摘があり、2008年3月に解禁された奨励金をまた規制すべきという意見も出始めた。
国会では奨励金の差等支給が問題になった。キャリアごとにA社からMNPした20代の場合は20万ウォン、B社からの移動でスマートフォンに加入した場合は55万ウォン、C社からのMNPは10万ウォン、という具合に、年齢や加入していたキャリアに応じて支給額を変えていたことが判明した。
通信政策を担当する放送通信委員会では、奨励金を支給するならば平等に、全加入者にそのメリットが行き渡るようにとガイドラインを制定した。併せて差等支給をなくすため、奨励金がどれぐらいもらえるのか、加入者にはっきりと情報を公開することも求められている。通信キャリアが放送通信委員会に提出する営業報告書の会計基準を変え、マーケティング費用の明細を販売営業と顧客サービスに分けて細かく出費の内訳を明記するようにした。
移動通信キャリアもMNPと奨励金による過剰な競争に負担を感じている。それでも市場シェアを守るためには仕方ないとしている。奨励金競争は結局端末買い替えを促進する競争でしかない。キャリアのARPUは日本ほど減っていないからだ。
5~6年前までも韓国のキャリアは、毎月のように「世界初」のモバイル放送や、モバイルホームネットワーク、モバイルヘルスケア、モバイルペイメントなどを登場させていた。それが今ではスマートフォンの話題ぐらいしかない。奨励金競争よりも、移動通信ならではの面白いサービスで顧客をつかまえて離さない競争をしてほしい。
(趙 章恩=ITジャーナリスト)
日経パソコン
2010年1月21日
-Original column
http://pc.nikkeibp.co.jp/article/column/20100113/1022154/
iPhoneによって触発された韓国のスマートフォン競争により、直近2カ月間でスマートフォンが46万台近く売れた。
これは携帯電話加入者の1%が動いたことになる。KTのiPhone契約数は1カ月ちょっとで24万件、サムスン電子のT-OMNIA2は2カ月ちょっとで22万件を超えたという。韓国で20万台以上売れたスマートフォンはiPhoneとT-OMNIA2が初めてある。既に移動通信キャリアには30万台を納品しているので、1月中に30万台販売突破可能性も高い。
スマートフォンはモバイルインターネットを頻繁に使う会社員や若い学生向けと思われていたが、韓国ではファッションの一部として裕福層の主婦の間でも人気が高いことから、予想を上回る売れ行きとなっている。もちろん奨励金競争により端末価格が安くなったことも影響している。
サムスン電子はiPhoneがここまで売れるとは思わなかったという反応を見せている。韓国のマスコミは、米国での展示会「CES 2010」の記者懇談会での発言を引用し、「サムスン電子はiPhoneが韓国で爆発的な人気を得ていることを衝撃的なこととして受け止めている」「iPhoneはサムスン電子の競争力をテストした製品」といった記事を大々的に報道している。
韓国の携帯電話端末市場の約50%、世界市場でもシェア2位のサムスン電子であるが、世界市場のスマートフォンシェアはノキアやアップルのiPhone、リサーチ・イン・モーションのBlackBerry、HTCが上位を占めている。サムスン電子やLG電子は2009年秋ごろからスマートフォンのラインアップ強化をしきりに発表している。サムスンはアプリ配信サイト「Samsung Apps(APP Store)」に続いて「BADA」というモバイルOSも発表している。
韓国勢は携帯電話やスマートフォンだけの競争では勝ち目がないと見たのか、家電でも世界市場の上位にある点をいかしてスマートフォン、パソコン、MID(モバイルインターネットデバイス、スマートフォンとネットブックの間にある携帯型端末)、テレビ、プリンター、DVDプレーヤー、デジタルカメラなどで共通して使えるアプリ配信サイトに力を入れている。一度コンテンツを購入すれば、スマートフォンからもテレビからでも利用可能になる。スマートフォンにインストールした天気情報、交通案内、ゲームなどがテレビと連動してリモコンで使えるようになる。コンテンツを確保するため、オンライン映画レンタル事業者やオンラインゲーム、動画投稿サイトとの提携も強化している。
CES 2010では3Dやブロードバンド対応のテレビ、スマートフォンなどが続々と展示されたが、端末機能そのものは大きな差がなくなりつつある。いつものことだが、デザイン、ユーザーインターフェース、アプリケーションといったユーザー向け利便性の勝負になるしかない。
CES 2010の基調演説でも、モバイルインターネットが各種端末に搭載され、端末間の連結性や機能の融合がより一層強まることがテーマであった。このような現象は人々の生活に影響を与え、エンターテインメント分野のビジネスチャンスを広げると期待されている。
韓国では民放のSBSが、自社番組の宣伝部隊として、ドラマごとに動画投稿をしてくれるユーザーを募集している。ユーザーがドラマの映像を編集し、動画投稿サイトやBlogに掲載してドラマの話題性を高めることが、視聴率を高め本編VODの有料販売も増加させたことから、公式に宣伝部隊を募集するようになった。
このように作られた動画がパソコンだけでなくスマートフォンや家電からも利用されることで、より高い宣伝効果を得られると見込んでいる。他の放送局もユーザーが自由に編集していい動画を特別に公開するようになった。
どんなデバイスからも利用できるアプリ配信サイトの登場は、コンテンツホルダーの著作権管理の変化によって相乗効果を発揮できるものと見られる。2010年もスマートフォン関連のニュースで盛り上がりそうだ。
(趙 章恩=ITジャーナリスト)
日経パソコン
2010年1月14日
-Original column
http://pc.nikkeibp.co.jp/article/column/20100113/1022182/