韓国ベンチャーのPMP(2007年1月29日 掲載)

2007CESで最高革新賞受賞


 


  


【ソウル】アメリカに本社を置く韓ベンチャ、ニュメディアライフ社が開した無線インタネット対応PMP(portable multimedia player)が米ラスベガスで開催された世界最大のデジタル機器合展示2007CES」で最高革新賞を受賞した。昨年のCESでは「TAVI 020」が革新賞だったので、それに2度目の受賞だ。



 「TAVI020」の後
機種「TAVI030」は、製品企段階から機能はもちろん、デザインとユインタフェスに重点をおいて開された。デザインは日本からスカウトしたデザイナが担した。3.5インチタッチスクリLCD、20GB HDD、ハイビジョン質で再生するポタブル端末で、eBOOKとラジオ、音声録音、電子書、カナビ、地上波DMBなどマルチメディア機能を持っている。また、どんなファイル形式でも再生可能だ。動再生は最大7時間、音だけだと最大10時間まで再生できる。


 


 「TAVI020」との大きな違いは、無線LANでパソコンやネットにアクセスし動をダウンロドできる点だ。クレドルを利用してリアルタイムで動を受信しながらPC、その他AV器機とつなげることができるため、ポタブルIPTVとも呼ばれている。


 


 ニュメディアライフは、CESでブスを訪問したディズニからその場で2月の最高経営議に招待され、幼IPTV市場進出案を協議する予定だ。同社の代表、デビッドジョン氏は「TAVIは最初からiPodを狙って開したもの。無線でネットにアクセスしてリアルタイム動TVが見られる携ムシアタだ」と、自信をみせている。


趙章恩(チョウチャンウン=ITジャナリスト)


 


BCN This Week 2007年1月29日 vol.1172 載]  Link 


 


 


韓国 KT 新硬貨発行で公衆電話も更新(2007年1月22日 掲載)

2010年まで1万台ずつ


 


 


 


【ソウル12月18日新しい10ウォン玉の行をきっかけに新しい公衆電話が普及することになった。新規行された10ウォン玉は18mmと現在のものより4.86mm小さく、重さも4.06gから1.2gとくなった。新10ウォン玉の行で硬貨の製造費用も年間40億ウォン(約5億円)を節減できる。



 KTは新しいコインが使えない公衆電話を
年から2010年まで1年間に1万台ずつ、や公共機など利用客が多い地域から順次設置する予定であると表した。新型公衆電話は音通話だけでなく、携電話にSMSも送信できるようになる。また、テレホンカドの代わりにプリペイドの交通カドも利用できるようになっている。


 


 存公衆電話のコイン投入口をえる程度ではなく、全く新しい公衆電話の普及に踏み切ったのは、部品開だけで40億ウォン以上の予算が必要で、慢性赤字の公衆電話事業がさらに化する可能性が予想されるからだ。


 


 KTは新型公衆電話の普及に伴い公衆電話ブスも地方自治体や門家の意見を反映して、環境にマッチするデザインを開普及する一方、ますます化している公衆電話事業を正常化するために利用量にじて電話機を再配置していく計だ。


趙章恩(チョウチャンウン=ITジャナリスト)


  


 BCN This Week 2007年1月22日 vol.1171 載] Link


 


 


 

韓国大手企業の2006年成績表・サムスンとLGの極端な差はどうして? [2006年12月26日]

12月が年度末の韓国ではちょうど今頃、企業の推定実績発表と人事異動がマスコミを賑わす。朝鮮日報の報道によると、韓国企業ランキング100位までの大手企業の2006年度実績は、売上高が前年比7.07%増加した547兆576億ウォン(注)だが、営業利益と純利益はそれぞれ1.45%減、5.94%減の48兆3757億ウォンと43兆6523億ウォンだった。

 円安の影響から、海外市場でノートパソコンやHDTVなどの家電や自動車は、日本製の方が韓国製より安いという現象が発生した。韓国製品は価格競争力が落ち、輸出への依存度が高い企業は売れるけど儲からないという問題を抱えている。


韓国でも貧富の差は開く


 韓国を代表する自動車メーカーといえば現代自動車だが、不正資金工作・横領問題で会長が逮捕されたことに加えて、組合のリストラ、円・ドル安ウォン高と内外から締め付けられ純利益は32%も減りそうだ。日本市場には、ヨン様をモデルに起用し、韓国の国民車として愛される「ソナタ」を投入したが販売は苦戦し、ネットでは「日本の主婦向けにセダンを売り込むのは日韓の差を認識せずヨン様だけに頼った戦略の間違い」と指摘されてもいた。


 一方で、輸入車を扱う現代自動車の子会社はウォン高から外車の値下げ効果があり、売上高、純利益とも40%ほど成長した。景気が悪いといっても韓国国内での貧富の差は広がっている。実際には余裕資金の多い個人は増えていて高級外車と輸入食材、輸入赤ちゃん用品は飛ぶように売れている。今年のファッションはあまり寒くもないのに毛皮がトレンドだそうで、通勤の満員電車に毛皮で乗り込むOLが増えていて、私としてはくしゃみが止まらなくなるから困るくらいだ。


 大手企業の動向の中でも特に注目されているのは韓国の2大財閥系企業、サムスンとLG。2社の2006年の実績は極端な差が出た。時価総額韓国国内1位のサムスンはまずまずの実績を達成したのに比べ、LGは悪夢の1年というほど実績が落ち、グループ内の中核会社であるLG電子のCEO交代まで断行したほどだ。


 LGは今年グループ全社が大幅の純利益減少となった。主力事業の家電は純利益が54.5%減少した。LG電子製の携帯電話の人気が落ち、前々回紹介した「チョコレート」携帯が唯一の救いとなった。2005年純利益5170億ウォンでお祭り騒ぎだったLGフィリップスはLCDの価格急落で8000億ウォンの赤字、通信キャリアのLGテレコムも純利益11.74%減少、化粧品や洗剤などのLG生活健康は12%減少、LG化学は24.03%減少、持ち株会社のLGも26.49%減少した。


 LGは責任を追及するかたちで大規模な人事異動を断行し、グループ内の代表理事(日本でいうところの代表取締役)8人が新しく入れ替わった。今まで「和」を重視した人事から一変して、徹底した成果主義と未来志向的、グローバル経営強化の3つの原則に沿って行ったと発表した。LG電子の代表理事にはナム・ヨン前LGテレコムの社長が抜擢された。30年間LGに勤めた戦略通と呼ばれる人物で、攻撃的マーケティングでLGテレコムの加入者を増やし雨後の竹の子ように成長させたのが高く評価された。オーナーである会長の秘書室長でもあった人物だ。


 サムスンは営業利益は減ったものの純利益は4.44%増えた8兆ウォンと予想されている。サムスン物産や子会社の純利益も100%以上の成長が見込まれていることから「やっぱりサムスンは危機に強い、賢い企業」と評価されている。毎年年末になるとサムスン電子やキャリアのSKテレコム、LGテレコムは基本給の700~1000%がインセンティブで支給されると報道され、サラリーマン達を憂鬱にさせていたが、今年はどこも大規模なインセンティブは支給されない様子。でもサムスンは会社別の実績に応じて基本給の150%以内で支給し、1月には事業部別の目標を超過した利益を年俸として支給する制度があるため、事業部によっては年俸の50%近い金額をボーナスでもらえる人もいるということだ。


サムスンとLG、社風はこう違う


 筆者の知人でLGからサムスンに転職した人によると、「LGはのほほんとして目立たず、物静かで、会社の外のことはあまり関心がない人が多かった。よくみんなで飲みに行ったけど安いお店で割り勘がいつものパターン。サムスンは野心家でエリート意識も強く、自信満々の人が多い。正直言ってついていくのが大変。業務方式もルールがありすぎて怖いくらい。頭の回転が速く、株や不動産で大儲けする社員もいるし、元々お金持ちのお坊ちゃまやお嬢様が多いせいか、みんなブランド物を身につけてるし、給料は飲み代だからと気前よく奢ってくれたり、LGとは全然違う雰囲気」だそうだ。LGの人事異動は実績の改善と社内の雰囲気を盛り上げるリーダーが必要とされる時期だから、と説明されているが、サムスンとの雰囲気の差が実績の差にも影響を与えているのかもしれない。


 なお、IT業界では景気のいい話もある。ポータルのNAVERが検索広告の売上急増で純利益が91億ウォンから1491億ウォンに増えた。NAVERは、韓国内では天下のgoogleでさえ足元にも及ばないほどのパワーで韓国検索市場シェア70%を占めている。記者会見では、2007年は、もう一度日本に進出するほか、中近東やヨーロッパにも検索ポータルで進出し、世界のNAVERを目指すという話も出た。当面はこのまま順調に成長していけるだろう。


 日本のNTTと同様の電話通信事業者のKTは純利益が13.3%増え、1兆1300億ウォンに達しそうだ。モバイルWIMAXであるWibro対応携帯電話の発売計画も発表され、携帯電話へSMS(ショート・メッセージ・サービス)を送信できる新しい公衆電話事業も始まることから2007年も実績好調が続くとみられる。


 大事な日は旧暦で数える韓国なので(年配の方は誕生日も旧暦を使うので毎年日付が変わりカレンダーにちゃんと表示しておかないと大変だ)、本当の正月は2月19日。そのため、休日は元日だけ。むしろ、同じく休日であるクリスマスの方が盛り上がっている。ちなみに、宗教には敏感なので韓国ではお釈迦様の誕生日(4月8日)も休日だ。


 日本のみなさん、一足先に「セヘボッマニバドゥセヨ!」来年は嬉しいニュースばかり続くといいですね。筆者の私は年末最後の厄払いで災難続きですが、みなさんはお元気で!これからも韓国に注目してください。来年もお楽しみに~。


注:100ウォン=約13円


(趙 章恩=ITジャーナリスト)

日経パソコン

-Original column
http://pc.nikkeibp.co.jp/article/NPC/20061226/257737/

韓国のITベンダー業界 Windows Vista発売で業界踊る(2007年2月12日 掲載)

LCDモニタ格競が激化


ベンダ各社は大面化に走る


 


 


【ソウルWindows Vistaの発売が影響を及ぼし、三星電子、LG電子など主なメの大型LCDモニタ格が下落している。マイクロソフトが「Vistaは22インチ以上のLCDモニタに最適化されている」と表したことから、メはワイドモニタ市場が成長するだろうと見み、大型モニタ製造にシフトする企業もえている。2006年のモニタ市場は20インチ以上のシェアは11%ほどだったが07年は25%に大すると予想され、すでに50種類ほどのモニタ製品のうち29種類の製品が20インチ以上となっている。


 


 一連のVista発売に伴うモニタ大型化競の影響からか、存の20インチ以上モデルの格が前年比で半額近くまで下落している。22インチ、24インチの大型モニタも同じように大幅の値下げが行われた。20インチは20万ウォン(約2万4000円)台、22インチは40万ウォン(約5万円)台にまで落ちた。一部中小メVista認定を急ぐ一方、20インチモニタ19インチモニタよりも安く販しているほどだ。


 


 三星電子は202224インチ大型LCDモニタの新モデルを12月と1月、立てけに発売し、性能はもちろんデザインも優秀なプレミアム製品であることを調し、Vista環境では三星電子製モニタが最も適しているとアピルしている。


 


 LG電子も19202224インチLCDモニタの新モデルを一発売し、3000:1明暗比、答速度2msと高性能をアピルしている。タッチスクリンや回できるモニタも注目されている。


 


 オンラインゲムやVOD鑑賞に利用することが多いPCモニタの買い替えは早速始まっていて、ユ19インチから22インチへのシフトを急いでいる。ソウルの秋葉原といわれる山(ヨンサン)では一度に50-60台にも及ぶ22インチLCDモニタ大量注文が日全からき、家電販店のほとんどが月1000台以上販するほど活に溢れている。


 


 モニタに限らずLCDTVの大面競もすごいことになってきた。82インチフルHD LCDTVも登場する。LCDTVパネルの生産量が20%ほどえていることから今年はさらに格競が激しくなる見みだ。40インチTVは前年比40%、32インチは30%ほど安くなっている。50インチの値段も下がり始めている。一方で、市場で人の高い40インチが42インチより値段が高くなる現象も起きている。


趙章恩(チョウチャンウン=ITジャナリスト)


 


BCN This Week 2007年2月12日 vol.1174 載] Link 


 


 

韓国版ワンセグ 全国放送と交通情報で収益改善狙う(2007年1月29日 掲載)

 


【ソウル】首都限定の放送のため入が伸びみ、苦中の地上波DMB(ワンセグ)にテコ入れ策が講じられた。全放送に踏み切り、中間告(韓では番組の前後にだけ告が可能で、番組の間に入る告は禁じられている)の許容、有料デタ放送として交通情報(TPEG)がスタト、いよいよ本格的に活性化する動きをみせている。端末や受信機さえ購入すれば無料で視できる地上波DMBは、これといった益モデルがないのがみだった。



 情報通信部は地上波DMB13社を
象にを開き、60日ほどかかる放送局許可申請を30日以に短縮し、投資費節減のため送信所と主調整室の共同使用も許可すると表した。これにより、地方に共同で放送局を設立できるようになった。


 


 5-6月に予定されている全放送が始まれば、放送格差解消はもちろん、告受注、デタ放送、交通情報などの有料付加サビスで益が生し、地上波DMB事業者も安定的な放送サビスを提供できるようになる。


 


 2006年末現在、地上波DMB端末は282万6000台、衛星DMB端末は101万8000台に達した。07年には地上波衛星を合わせて1000万人以上がDMBを視する見みだ。


趙章恩(チョウチャンウン=ITジャナリスト)


 


BCN This Week 2007年1月29日 vol.1172 載] Link 


 


 

アイデア勝負のKT固定電話事業、これからどうなる [2007年1月16日]

日本でも韓国でも、どこにでもありそうでいざとなれば見当たらないもの、それは公衆電話ではないだろうか。韓国でも携帯電話の普及から公衆電話を再編が問題になっている。12月18日新しい10ウォン玉の発行をきっかけに、ついに公衆電話が全面的に見直されることになった。今年から全く新しい公衆電話が登場する。

苦境の公衆電話事業、損失補填額は2年で倍以上に


 KT(旧韓国通信)の公衆電話の売上は2001年の3606億ウォンから2006年は854億ウォンにまで落ち、今年は550億ウォンにまで下がる見通しだ。2001年238億ウォンだった損失補填金は2006年507億ウォンと2倍を超える規模に膨れ上がっている。


 新規発行された10ウォン玉は18mmと現在の10ウォンより4.86mm小さく、重さも4.06gから1.2gととても軽くなった。赤みのあるアルミニュームなのでゲームコインのようでまだなじめない。


 10ウォン玉は物価の上昇とクレジットカード使用の普及から、一般的な生活ではほぼ使われなくなり、公衆電話ぐらいでしか必要とされない。公衆電話の市内通話は3分70ウォンなので10ウォン玉か50ウォン玉が必要だが、10ウォン玉の流通が少ないのでみんな100ウォン玉を使い30ウォンは次の人に譲る。


 日本では公衆電話で100円玉を入れるとおつりは出ない。韓国もおつりは返してもらえないが、残高30ウォンが表示され、受話器を切らず電話の上に置いておくと、次の人は40ウォン追加するだけで電話が使えるという人情ある機能がついている。おつり30ウォンと表示された公衆電話に70ウォンを入れると100ウォン玉が戻ってくるという裏技もある。


 でもKTによると公衆電話ですら10ウォン玉を使う人の割合は2.2%にすぎないので、今すぐ新しい10ウォン玉に対応した公衆電話に変える必要はないという。その代わりKTはコイン認識部分を取り替える程度ではなく、公衆電話そのものを取り替える方針を発表した。


プリペイド式交通カードも使える公衆電話投入へ


 KTの新しい公衆電話は今年から2010年まで1年に1万台ずつ駅、公共機関など利用客が多い地域から順次に設置される予定だ。新型公衆電話は音声通話だけでなく、携帯電話にSMSも送信できるようになる。またテレホンカードの代わりにプリペイド式の交通カードも利用できる。交通カードは地下鉄・バス・タクシーなど乗り物や自動販売機、コンビ二、書店、インターネットショッピングなどで使え、首都圏共通なのでとても便利なカードだ。


 だが問題は、韓国公衆電話の76%を占めるレストランや住宅街にある個人が設置運営する自給制公衆電話(日本のピンク電話)だ。韓国の公衆電話約27万台のうちコイン専用が18万5千台あまり、この内KTが直接運営する電話機は4万千台あまりにすぎない。コイン式の電話14万台、76%もの公衆電話が今回の計画と全く縁がないということ。


 KTは自給制電話については業者がKTの回線をレンタルしているだけで電話機は業者の財産なので関係がないため、コイン認識部品を変える事もSMSや交通カードが使える新しい電話機にする計画も一切ないと発表した。100ウォンで通話し、おつり30ウォンをあきらめるか、設置者に旧10ウォン玉に変えてもらうしかない。


 韓国の公衆電話は「コレクトコール」用に使われることが多い。緑の緊急電話ボタンを押すと信号音が聞こえる。その状態で「1541」+電話番号で市内・外、携帯電話へコレクトコールがかけられる。このサービスの主なユーザーは携帯電話を持たない小学生と徴兵制で軍に入った兵士達。徴兵制で軍の中にいる間は携帯電話は使えないので、コレクトコールで家族や彼女に電話をかける。コレクトコールで、携帯電話にかけたときは90秒250ウォンと通常の2倍近い料金になってしまい、軍にいながら毎晩電話をかける彼氏のせいで破産しそうだと嘆く女子大生もいたりする。


 KTは新型公衆電話の普及に伴い公衆電話ブースも地方自治体及び専門家の意見を反映して、環境親和的なデザインを開発・普及する一方、悪化している公衆電話事業を正常化するために利用量に応じて電話機を再配置して行く予定だ。ただしKTは、公衆電話は全国民が緊急時に利用できる普遍的サービスであるという点を考慮し、数を急激に減らすことはなく適正水準を維持するとしている。


 ネットでは「公衆電話を利用する人が減っているのは確かだけど、3分70ウォンを2分50ウォン、4分100ウォンにすれば10ウォン問題はなくなるはず。KTは利益だけを考えず国民の利便性も考えろ」と熱い議論が繰り広げられている。


前門の携帯電話、後門のIP電話


 KTはPCのメッセンジャーと固定電話をつなげた「U2」、170万台が売れ1300億ウォンのヒットを記録した携帯電話のようなデザインと機能を持つ固定電話「Ann」、固定電話用のメロディコールや着うた、公衆電話から利用できる市内・外・携帯電話へのコレクトコールで、固定電話事業の収益をぎりぎりに保っているが、商用サービスが始まったインターネット電話と料金が安くなっている携帯電話の動向次第ではその収益の確保も厳しくなるかもしれない。薄氷を履(ふ)むような状況を、あの手この手のアイデアで乗り切っているのが現状だ。


注:100ウォンは約13円


(趙 章恩=ITジャーナリスト)

日経パソコン

-Original column
http://pc.nikkeibp.co.jp/article/NPC/20070116/258744/

貯金から融資まで。金融業界も大注目のサイバーマネーマーケティング [2007年1月9日]

会員数1900万人、韓国では前例のないネットベンチャー成功神話として日常生活の一部になっているCyworld。日本では苦戦しているようだが、韓国では10~30代の中でCyworldに加入していない人を見つける方が大変なほど根付いている。このCyworldの中でBGMやアバタ、背景画面などを購入する際に使われるサイバーマネー「ドトリ」(どんぐり)。1個100ウォンで一日平均2億5千万個売れているそうだ。すごすぎる!

利用額に応じて電子マネーを発行するクレジットカードも登場


 CyworldでかっこよくSNSサイトを作るためには最低50~100個のドトリが必要だ。これぐらい投資しないと、下着のままがらんとした部屋で私を待っているミニミー(アバタ)がかわいそうでたまらなくなってしまうのだ。またドトリはCyworld内のショッピングモールでも使えるし、映画や海外ドラマVOD、電子ブック、オンライン音楽などのデジタルコンテンツ購入にも使える。ドトリを寄付して東南アジアの貧しい国に学校を建てたり、養護施設を援助したりもできる。


 ドトリはB2Bモデルも成功している。特定商品や映画、ドラマなどの宣伝用Cyworldにアクセスしてイルチョン(一寸、親と子の関係、 Cyworldでは友達より濃いネット上で縁組みした仲という意味で使われる)になるとドトリがもらえるイベントがよく開催されている。企業は顧客を集められるので満足、顧客はドトリがもらえるので満足、というわけだ。そのため韓国でサイバーマネーといえばドトリなしでは話にならない。


 リアルの札束にしか興味がないはずの金融業界も、このドトリに目をつけマーケティング競争を始めた。それぞれ銀行とまだあまり縁がない10代を早期に顧客として確保することに加えて、ネットでの口コミ効果を狙っている。


 大手クレジットカード会社であるLGカードと現代カードは「ドトリカード」を発行している。新規に加入するとカード発行記念としてドトリが100 個、毎月20個ずつもらえる。カードの利用額に応じて0.3~3%のマイレージの代わり、ドトリが貯まる。ドトリは自分のお金で買うのはもったいないけど、あればあるほど嬉しいものなので、20代女性を中心に契約が増えている。


 今まではガソリンスタンド、デパート、大手スーパーなどが主な提携カード発行元だったが、インターネットが生活に溶け込んでいる韓国ではサイバーマネーやポータルサイト、デジタルコンテンツと提携したカードが続々と登場している。カード会社にとっては初めてクレジットカードを申請する20代をターゲットにした新しい収益モデルなわけなので、加入者がそれほど多くなくても損はしない。


外換銀行はドトリの融資も実施


 仁川空港にも入店している外換銀行は2006年10月、金融業界では初めてネットでしか運営されないCyworld支店をオープンし、話題になった。


 Cyworldのサイバーマネーである「ドトリ」を貯金すると訪問者数に応じてドトリで20~100%の利息が付き、ドトリの融資もしている。融資は抽選で選ばれた40人にドトリ500個を貸出、外換銀行のニュースや広告を自分のSNSサイトに掲載したりコミュニティ活動で返済する方式だ。サイトそのものは身近なドトリを利用して金融商品を分りやすく説明するのが目的だが、予想以上の反響があったため、今後SNSサイトの利用頻度や人気度に応じて利息率が違うドトリ貯金も発売するそう。企業銀行では冬休みの間、500ドル以上両替した顧客を対象に毎日先着30人にドトリ30個をプレゼントしている。


 韓国にはサイバーマネーを商品券や携帯電話料金決済、保険料納付などオフラインで使えるようにしてくれる仲介サイトがある。ドトリやオンラインゲームでのサイバーマネーがいっぱい貯まれば仲介サイトを利用して映画チケット、図書券に交換する人も少なくない。ちょっとしたプレゼントや誕生日プレゼント、お年玉もサイバーマネーで済ませることが多く、筆者も去年に続いて今年もお年玉はドトリやゲームマネーが買える図書券にするつもりだ(韓国のお正月は旧暦)。この頃はネット利用人口の裾が広がっていることから、Eラーニングやドラマ再放送VODのためサイバーマネーを購入する50~60代も増えている。上司がドトリをチーム員達にプレゼントしたとか、遠くに住む友達にちょっとしたプレゼントがしたくてドトリを買ってあげたという話もよく聞く。


 韓国信用回復委員会が高校生810人を対象に調査した結果、63.7%がサイバーマネーを定期的に購入していると答えた。韓国のサイバーマネー流通額は年間1兆ウォンを遥かに超えるものと推定されている。


 サイバーマネーは単にゲームのため、自分のSNSをかわいくするためのサイバー上の貨幣というより、オフラインからオンラインへ移行している 10~20代の交友活動にはなくてはならない存在となってきた。サイバーマネーとリアルマネーの区分がなくなる日ももうすぐなのかも知れない。

(趙 章恩=ITジャーナリスト)

日経パソコン

-Original column
http://pc.nikkeibp.co.jp/article/NPC/20070109/258227/

イベントどころじゃない、Vista発売で大混乱の韓国 [2007年1月30日]


1月31日から発売となる韓国版「Windows Vista」。日本では29日の夜から深夜販売を実施したり、発売記念イベントを実施したりと盛りだくさんのようだが、韓国では全く違う雰囲気だ。新しい OSへの期待より「今Vistaに更新すると危ない!」と大騒ぎになっている。お役所の情報通信部まで3月まではVistaに更新するなと待ったをかける状態。一体何が問題なのか。

Webサービス「ActiveX」依存の因果応報


 答えは「ActiveX」。セキュリティが強化されたVistaのシステムで、韓国のほとんどのサイトが利用しているActiveXが不具合を生じ、インターネットバンキングやオンラインゲームが利用できない、映像・音声の登録・再生にエラーが発生するためサイトが正常に表示されないといった問題が起きている。


 ブラウザー上で手軽にアプリケーションをインストールさせたり、機能させたりできるActiveXコントロールは便利なツールだが、相手のPCをいじくり回すハッキング用に悪用される場合もある。Windows XPのService Pack 2でもActiveXのインストールやダウンロードをブロックする機能がついていた。


 サイト側はActiveXを正常に作動させるためVista向けにソースコードを書き換えなければならないが、いまだに対応しきれていない。あれだけ世界中がVista、Vistaと騒いでいたのに何をやっていたのかというのが率直な感想だ。今になって3月までVistaを使うなというのはいくらなんでも勝手な言い分だろう。


 そもそもActiveXはWindowsとIEの組み合わせ以外では作動しないため、韓国国内では、LinuxやFirefoxといったオープンソースベースのソフトを使っているユーザーはインターネットバンキングやサイトを利用するのに苦労していた。IE以外のブラウザーを利用するユーザーのことも考慮にいれていたらActiveXに頼りすぎることにもならなかったろうし、新OS登場に伴う今回のような騒動も起こらなかったはず。


 例を挙げれば、韓国のインターネットバンキングにアクセスすると4~5つのActiveXが立て続けに登場し、この中で1つでもインストールしないと利用できないようになっている。どういうプログラムがインストールされるのかよく分らないが、とにかくインストールしないとインターネットバンキングにログインすらできなくなっているので従うしかない。ActiveXはサイト側が手抜きできるから好んで利用しているようなものだ。


Vistaの価格、なぜか韓国語版は割高


 この問題以上に韓国語版Vistaの価格が他の国より高い点も論争になっている。「Windows Vista Home basic」の場合、通常版はプロモーション価格27万4000ウォン(約3万6000円)、アップグレード版は同じくプロモーション価格で14万2000ウォン(約1万9000円)。対して、日本語版の参考価格はそれぞれ2万7090円と1万4490円だから通常版は9000円も高い。さらに、アメリカで販売されている英語版と比べると円換算で1万5000円も高い。


 企業でも家庭でも使えるUltimate通常版に至っては、円に換算して7万4000円近く、日本(4万8800円)やアメリカ(399ドル)の約1.5倍になる。当然、韓国のWindowsユーザーの間では不満の声が上がり、Vistaへアップグレードする意欲もなくなっている。現に、韓国の価格比較サイトDANAWAが会員4144人を対象に調査した結果、87%がアップグレード計画がないか、もしくは数カ月ほど様子を見てからアップグレードすると答えている。


 韓国OS市場でのWindowsシェアは95%とアメリカより10%ほど高い。その点から考えるとマイクロソフトは値段を高くしてもみんな買うしかないとたかをくくっているのではないかと勘ぐりたくもなる。こういった指摘に対し、マイクロソフトは「独占でもなく値段を調整しているわけでもない。韓国ではOSが搭載されたPCを購入する人がほとんどでパッケージを別途購入する比率は0.1%にもならない。OEMのOS価格は全世界共通なので韓国だけ割高ではない」と主張している。


 もちろん、Vistaは悪者というわけではない。ファイルの中身まで先に見せてくれるプレビューや検索機能は充実しているし、子供をネット中毒から保護してくれる機能もある。1日の利用時間制限、子供がアクセスしたサイトのリスト、特定サイトにはアクセスできなくする制限機能もある。半透明の3Dで表示される背景画面やサイドバー、タスクバーにマウスをおくと今開いているファイルのサムネールを見せてくれるのも面白いし、便利になりそうだ。もう一つ個人的に気に入ったのはフォント。Vistaの中で使われる「マイピクチャ」、「マイドキュメント」などのメニューを表示する文字のフォントが少しだけ角ばってとてもかわいくなったことは大歓迎している。だからこそ、韓国でももろもろの問題が早く解決して他国のように5年ぶりの新しいOSで大いに盛り上がってもらいたいと思うのだ。


(趙 章恩=ITジャーナリスト)

日経パソコン

-Original column
http://pc.nikkeibp.co.jp/article/NPC/20070130/259995/

韓国ドラマにCMへのつなぎ画面がない理由 [2007年1月23日]

 2005年12月から始まった 韓国のワンセグ「地上波DMB」。2006年はDMBの年といえるほど、DMB受信に対応した携帯電話がよく売れた。2006年末現在、地上波DMB端末の出荷台数は282万6000台、衛星DMB端末(日本のモバイル放送)の出荷台数も101万8000台を突破し、2007年には1000万人以上がDMBを視聴する見込みだ。


テレビ広告は公社が大枠を決定


 首都圏限定だった地上波DMBは2007年3月からは公営放送のKBSが、6月からは民放やその他事業者が全国放送を始める。これまで、地上波DMBはTVと同じく端末や受信機さえ購入すれば無料で見られる放送だというほかに、移動しながら利用したくなるこれといった目玉コンテンツもないまま、収益性で苦戦していた。それが、全国放送をきっかけに有料データ放送開始、中間広告導入に向けて政府情報通信部と放送委員会(放送事業に関する規制を管理する事業者団体)での話し合いが本格化している。


 日本のTV広告は広告代理店の影響が強いが、韓国のTV広告は韓国放送広告公社という政府機関が審議をし、広告の種類や単価、流せる時間もきっちり決めているので代理店のパワーはそれほど強くない。地上波DMBの広告単価は端末500万台普及を基準にTV広告の10分の1に当たる15秒当たり24万ウォンが基本だが、現在はその半分しか普及していないので12万ウォン、15秒約16,000円とかなり安い。事業者側はまだまだ投資が必要なだけに中間広告を開始して収益を上げたがっている。


 中間広告とは番組の合間に15分ごとに流れる広告のこと。韓国では1974年から放送法で広告は番組の前後にだけ許され番組の間に入るのは禁じられている。


 2000年3月改定された放送法では、TVの広告時間は全放送時間の10%以内、60~90分未満の番組は1回、90~120分未満の番組は2回、120分以上の番組は3回以内、1回当たり1分以内4件の広告までとなっている。ドラマの途中に広告が入らないので集中して見られるし、ネットで有料VOD再放送販売する際にも広告をカットするかどうかの問題はなく、ネット専用の広告をVODが始まる前に入れるだけで済むというメリットはあるがTV局の収益には問題がある。


広告に頼れないテレビ局のあの手この手


 中間広告を禁止した理由は「視聴者の見る権利を侵害する」、「広告が始まるとどうせチャンネルを変えるから意味がない」など。でも広告収入がすべてのTV局にとっては厳しい規制だ。その影響で制作費にお金をかけられなくなったTV局は製作会社に費用を転嫁し、製作会社は PPL(Product Placement、間接広告)広告としてスポンサー企業の商品をそれとなく映したり、番組の最後に「制作協賛000社」と字幕を入れたりしている。PPLのため主人公の名前をスポンサー企業名にすることもあった。


 例えば建設会社のテヨンがスポンサーだからと主人公の名前をテヨンにしたドラマもあった。ドラマの70%以上を撮影する条件でロケ地となった地域の自治体から数億ウォンの制作費を出してもらうこともある。韓流の影響でドラマのロケ地観光で収益を上げられるから、自治体はどこもロケ地に選んでもらおうと必死になっている。


 でも韓国ではドラマや番組の中に特定商品のラベルが映るのも禁じられている。ほとんどのドラマが無謀なまでのPPLのせいでプロデューサーが謹慎処分になったり、謝罪放送を余儀なくされたりしている。まだ一度も適用された事例はないが、放送委員会はTV局に営業停止や課徴金を付加することもできる。


韓国版ワンセグが番組中間広告解禁の糸口に?


 政府は2006年12月「サービス産業の競争力強化総合対策」を発表し、TV広告規制合理化方案として地上派DMBでは中間広告を許容するべきと提案した。全体の広告時間は規制しても広告をどの時間にどれぐらい流すのかはTV局の自由に任すべきという広告業界の要求を受け入れそうな雰囲気だ。


 でもケーブルTVは「今でも地上波TVにばかり広告が集中しているのに、規制を緩和するとTVには広告があふれケーブルTVは広告の受注がますます難しくなる」と猛反発している。また、韓国の地上波DMBでは、サイマルでTVの画像がそのまま流れている。今後、中間広告を地上波放送では禁止し、DMBでだけ許すとなると、どうやって番組の時間編成を調整するのかという問題もある。いや、ひょっとしたらこの先、地上波への中間広告規制撤廃もありうるかもしれない。


 日本では当たり前の中間広告。安定的なサービスを実現するためには中間広告が必要という業界側の意見は理解できるが、視聴者の立場からすると広告が増えるのはあまり嬉しくない。


(趙 章恩=ITジャーナリスト)

日経パソコン

-Original column
http://pc.nikkeibp.co.jp/article/NPC/20070122/259270/

<ケーススタディ“韓流”IT TRY&ERROR>25.今回のテーマ■アナログ停波(下)

地デジが抱える大問題


放送局が危ない!?


 


 


 2012年末をもって、韓ではアナログ放送から地上デジタル放送に切り替わるという日程が組まれている。だが、地デジをよく知らない民が多く、大混が起きる恐れがあることを前で報じた。



 しかし問題は視
者よりも放送局なのだというもある。放送局側の地デジ対応が予算の問題で予定通り進んでいないからだ。


 


 韓政府は地デジの環境に合わせたデジタル放送コンテンツの制作と流通を振興するための「デジタル放送コンテンツ振興法」制定の準備を急いでいる。放送コンテンツ振興委員を結成し、財源は放送展基金、情報化促進基金、政府予算などでまかなう計だ。


 


 放送通信委員の調査によると、放送局4社のデジタル換費用は1兆7000億ウォン(約1160億円)と見まれている。放送局はインタネットに視者を奪われ、入が減っていることからすでに赤字経営っているため、地デジへの投資まで手が回らないと主張している。公放送であるKBSは、アナログの難視問題すらまだ解決できていない。添付画像


 


 なんとか特別法の勢いで地デジブムをき起こしたい放送通信委員は、KBSの受信料を値上げする一方、政府がコントロルしていたテレビCMを全面的に自由化して、CM業や流せる時間などの規制を緩和することで地デジ連予算を確保できるようにする方針である。とはいえ、不況でテレビCMが減ったというのは、視者の生活に余裕がなくなってきたということでもある。地デジのためとはいえ、視料値上げなど反されるに決まっている。た方策は、CMの規制緩和だろうか。


 


 アナログ放送が中される2012年は韓の大統領選の年、そしてロンドンオリンピック開催の年でもある。オリンピック特需も考えられるが、2008年秋から世界を襲っている金融不安や不況がどれほどくかも影響するだろう。韓は放送の史が長く、韓より1年半ほど前にアナログ放送を中する日本に注目している。日本を手本にして、よりスムズに地デジへ換したいと思っているのだが、聞こえてくるのは「地デジ詐欺」。困ったものだ。韓には「紙一枚も二人で持てばなおい」ということわざがある。日韓で一に知を絞ればうまくいくかもしれない。

(趙
章恩●取材/文)


 


 BCN This Week 2009年1月5日 vol.1266 載] Link