あなたの恋人は今、どこ?人気集める携帯電話位置追跡サービス [2007年2月20日]

韓国では人前でベトベトいちゃいちゃするカップルを「ダクサル」という。ダクサルは鳥肌という意味で、日本と同じくぞっとして鳥肌が立つ、というか見たくないという心情をこめて使う。韓国では初めて出会った日から100日目、200日目、300日目、1年目、1000日目、バレンタイン、クリスマス、誕生日、その他にも「何々をしてから何日目」を祝ったりする。ダクサルカップルほど派手なイベント好きでお互いを拘束することこそが愛情と思うから携帯電話位置情報を教えあうサービスにもよく加入する。

一度同意がとれていればいつでも居場所をチェック可能


 韓国の移動通信キャリアも色んな種類の位置追跡サービスを始めている。LGテレコムは「恋人安心サービス」という名前からしてダクサルなサービスを提供している。恋人の携帯電話番号を登録すると、1時間、2時間、3時間単位で毎15分ごとにショートメッセージサービス(SMS)で相手の位置を知らせてくれる。また自分の位置を相手に知らせたい時も、相手の番号を登録すれば、15分ごとに登録した相手にSMSで自分の位置を送信できる。


 このサービスを利用するためにはまず位置追跡したい相手に位置追跡同意要請メッセージを送信し、相手が同意してから番号を登録できる。一度登録されれば、次からは同意がなくても登録リストからユーザーを選択して自動で位置を把握できる。登録人数の制限はない。


 SKテレコムの「安心お知らせサービス」を利用すれば、家族、恋人、友達に自分の現在位置、目的地、交通手段などを一定時間送信し、無事目的地までたどり着けたのかを教えてくれる。登録されたユーザーが登録された地域から離脱した場合も知らせてくれる。KTFの「安心帰宅サービス」は恋人向けというよりも学校に通う子供がいる家庭向け。位置追跡1件当たり50ウォン(約7円)とお手頃な料金で利用できるサービスで、子供が登校または下校する時間帯に今どこを移動しているのか位置をSMSで親に知らせてくれる。


 いずれも、このような位置追跡サービスは韓国では家族向けを中心に人気が高いサービスだが、問題は追跡される側のプライバシーだ。


追跡される側への告知方法を巡り当局が乗り出す


 現行の「位置情報の保護及び利用などに関する法律」では、位置追跡をする度に当事者にその事実を即知らせるようにしている。だが今まで移動通信キャリアは位置追跡するユーザーに利用料を取ることに夢中で、追跡される人に「あなたの位置が追跡されている」ということを正確に伝えていなかった。


 韓国ではキャリアに関係なくSMSを送受信できるため、携帯メールはあまり使われない。にも関わらず、キャリアは携帯メールでその事実を知らせていたため、メールを確認しない限り自分が位置追跡されているのかさえ分からなかったのだ。更にメールの確認だけで情報利用料がかかるようになっているため、位置追跡されている側も費用を負担しなくてはならない構造になっていた。しかも、追跡されていることを知らせるメールのタイトルは「メールが届きました」。当然のことながら、スパムメールと思ってメールを開かなかったユーザーも多かった。自分が最初に追跡されることに同意したといってもいつどこで追跡されているのかを知る権利はあるはずだ。


 キャリアは当然守るべき義務にもかかわらず、その費用を追跡されるユーザーに転嫁していた点を問題とし、情報通信部は、この携帯メール確認料金だけで230億ウォン、日本円で30億円近くに上る金額をユーザーに返還するよう命令した。だがキャリアはメールだろうがSMSだろうが知らせる義務は果たしていたとして、政府の命令に従わない方針を示した。その代わり、6月からは位置追跡されているという事実を無料で受信できるSMSで送信するようにした。位置追跡に同意した場合でも、毎回追跡を要求した人の名前、提供時間、目的をSMSで通報するようになる。


 恋人同士の愛、家族の愛を優先し追跡できることに意味があると思われていた位置追跡サービスは、やっと追跡される人のプライバシーを考慮したサービスになっていこうとしている。親が子供の位置を追跡したがる気持ちは分かるけど、彼氏・彼女が今どこにいるのかはそんなに重要だろうか。いや、ヒットコンテンツはこういう予想外のフィールドで生まれるものなのかもしれないけど・・・。

(趙 章恩=ITジャーナリスト)

日経パソコン

-Original column
http://pc.nikkeibp.co.jp/article/NPC/20070219/262418/