5.3型「Galaxy Note」初公開、最多展示で注目集めたサムスン

2011年9月2日から7日までドイツのベルリンでIFA2011(Internationale Funkausstellung)が開催された。世界最大規模の電子・家電・マルチメディア展示会だけに、韓国からもサムスン、LG、KTをはじめ、50社ほどの中堅企業が参加した。

 IFAに参加した韓国勢のテーマは「スマートライフ」と「3D」。サムスンとLGはタブレットPC、スマートフォン、3DスマートTV、3Dウォール、スマートグリッドシステム、情報家電を中心に多彩な新製品を展示して注目を浴びた。韓国でもサムスンがIFAでどんな新製品を展示したのか、使ってみるとどうだったのかがTwitterやブログに多数投稿された。展示会前日に行われたプレスカンファレンスはネットで生中継され、32万人が視聴したほど人気を集めた。






IFA2011で最多品目を展示したサムスンのブース。独自のOS「BADA2」を搭載したスマートフォン「WAVE3」(真ん中)などを見せる展示会スタッフ。5.3型のスマートフォンでSペンという電子ペンがついているGalaxy Note、3DスマートTV、2000万画素のデジタルカメラ、スマート冷蔵庫など、「スマートライフ」をテーマに約2200坪ものスペースを使って新製品を展示した

サムスンはアップルとの特許訴訟問題で、タブレットPCでは初めてAMOLEDを搭載し、タブレットPCの高画質競争を巻き起こすと期待された「GalaxyTab7.7(7.7型)」の展示を2日目から取りやめるというハプニングもあったが、2012年発売予定の5.3型スマートフォンGalaxy Noteだけでも観客の視線を集めるには十分だった。

 Galaxy Noteは、Sペンという電子ペンが内蔵されていて、これを使って手書きメモをそのまま保存できるのはもちろん繊細な絵まで描けてしまうという。Sペンは既存の電子ペンとは違い、自然な筆記感を持っているというので、メールや写真の上に書き込むなどいろいろな用途で使えそうだ。


 Galaxy NoteはGalaxy S2(4.5型)よりは大きく、Galaxy Tab(7型)よりは小さい。重さは178gで380gのGalaxyTabの半分ほどである。Android2.3、LTEネットワーク対応、800万画素カメラ、フルHD動画の録画などスマートフォンの中でも最高レベルの仕様となっている。画面はWXGA(1280×800ドット)のスーパーAMOLEDを搭載しているだけあって、観客らのブログで紹介された内容を見ると、自然の色彩をほぼ100%再現できていると評価されていた。サムスンはSペンを利用したアプリを増やすため、APIを公開するとしている。


 スマートフォンは、サムスンが開発したOS「BADA2.0」を搭載した4型のスーパーAMOLEDディスプレイの「WAVE3」が公開された。BADAは2010年5月に発売した端末「WAVE」に初めて搭載されてから、「WAVE2」、「WAVE525」、「WAVE575」など7つのモデルが発売されている。


 グーグルのモトローラ・モビリティー買収後、Androidに依存せず独自のOSとソフトウエア開発に力を入れているとしきりに強調してきたサムスンだけに、BADA2.0はHTML5対応、音声認識、マルチタスキング、ソーシャルハブ(複数のソーシャルネットワークサイトをまとめて管理できるメニュー)、メッセンジャーなどの機能が追加された。


 2011年10月には韓国でBADA2.0が搭載されたスマートフォン「WAVE M」と「WAVE Y」が発売される予定である。「WAVE M」は3.65型で320×480ドットのHVGA TFTディスプレイに500万画素のカメラ、女性が持ちやすいよう曲線的なデザインになっている。「WAVE Y」は初めてスマートフォンを使うユーザー向けで、シンプルなUIで使いやすさを追求した。3.2型HVGA TFTディスプレイに200万画素のカメラが搭載されている。


 ノートパソコンの性能とタブレットPCの携帯性を持ち合わせたサムスンのWindows搭載「SLATE PC」は、タブレットPCでは物足りず、ノートパソコンよりはさくさく使える端末をほしがるビジネスマン向けに企画されたもので、「これは便利!」と観客をうならせた。11.6型で厚さ12.9mm、重さ860g、15秒でWindowsが立ち上がり、スリープモードからは2秒でWindowsを再開できる。ディスプレイはタッチ方式で、仮想キーボードにも対応している。しかし問題はタブレットPCにしては高い値段。約15万円もする。この値段ならハイスペックノートパソコンを買いたいという人の方がまだ多いかもしれない。


 性能とデザインが改善されたレンズ交換式のミラーレスカメラ「NX200」もサムスン自慢の新製品である。2000万画素APS-C サイズのCMOS、1秒7連写、フルHD動画も撮影できる。デジカメの「MV800」には、サムスンデジカメ初の3DPhoto機能が搭載された。


 サムスンの情報家電は、既存の洗濯機より最大70%電気代を節約し、細かい泡をたくさん作ってよりきれいに洗濯してくれる「Eco Bubble」洗濯機、米国で販売を開始したスマート冷蔵庫、遠隔制御できる掃除機などが展示された。スマート冷蔵庫はWi-Fiと8型のLCDを搭載して、多様なアプリケーションを利用できるようにした冷蔵庫である。ショッピングアプリケーションを利用すれば、冷蔵庫から食材を注文して決済までできるという。


 また、サムスンが力を入れているスマートグリッド関連システムも展示され、エネルギー消費を効率的に管理するためのホームエネルギーシステム、太陽光発電を利用した洗濯機、地熱システムによる暖房を体験できるスマートホームが公開された。


 IFA2011を報道する新聞記事に寄せられた読者のコメントを見ると、サムスンも面白い新製品がたくさんあって興味深いが、東日本大震災にもかかわらず新製品を多数公開したソニー、東芝、シャープといったメーカーもすごいという反応が多数書き込まれていた。3DTVとタブレットPCは日本メーカーのものは個性があるので使ってみたくなるというコメントも多かった。


 次回はLGと中堅メーカーの展示内容を紹介する。



趙 章恩=ITジャーナリスト)

日経パソコン
  [2011年9月9日]

-Original column
http://pc.nikkeibp.co.jp/article/column/20110909/1036727/