iPhone 5が出る前に先制を狙う韓国スマホ

.サムスン電子が2012年1~3月期の売り上げを4月27日に発表した。発表によると、同社の業績は絶好調。売り上げは45兆2700億ウォン(約3兆2000億円)にのぼり、営業利益は5兆8500億ウォン(約4130億円)となった。

 中でもスマートフォンの売り上げがすごいことになった。スマホや携帯電話の売り上げは18兆9000億ウォン(約1兆3300億円)、営業利益3兆4500億ウォン(約2430億円)で、最高の実績を記録。全体の営業利益の半分以上をスマホが占めることになる。「Galaxy S2」の販売台数は世界で2000万台を突破し、5.3型の大画面が売りの「GalaxyNote」も世界で500万台以上売れた。家電部門の売り上げは減ったものの、スマートTVの人気から、利益率は良くなった。一方、半導体は悩みの種で、メモリー価格下落により、売り上げも利益も減り続けている。


 同時期のスマホ世界市場販売台数ではサムスンがアップルを上回った。サムスンのGalaxy S販売台数は前期(2011年10~12月)の3650万台より伸ばして4000万台に乗った。一方、iPhoneは同3510万台を記録した。しかし純利益では、サムスンのスマホと携帯電話部門よりアップルが3倍ほど多く、サムスンも驚いている様子だった。


 純利益をさらに増加させる策として、サムスンはついに「Galaxy S3」を5月3日、ロンドンで世界初公開する。6月から世界市場で販売する。iPhone 5より一歩先に新機種を発売して市場先制効果を狙う。Galaxy S3はクアッドコアCPU搭載、4.8型画面、セラミック素材でキズに強いのが特徴である。


 サムスンが世界市場でアップルと張り合う中、中堅メーカーのパンテックは韓国市場でのシェアをぐんぐん広げている。ロンドンでのGalaxy S3公開が報道されてから、同社はスマホ新機種「Vega Racer 2」を同じ日の5月3日にソウルで公開すると発表した。時差があるので、パンテックの方がサムスンより先にマスコミに登場することになる。発売は5月10日。


 パンテックはサムスンやLGより規模が小さいだけに、いつもは発売時期をサムスンが新機種を発売しない時期にずらしていた。サムスンに真っ向からぶつかる同日公開を行うのはこれが初めてである。それだけ自信満々ということなのだろう。








パンテックの新しいスマホ「Vega Racer 2」。データ処理が速くバッテリーも長持ちするのが特徴。Galaxy S3とどちらがいいか、それともiPhone 5を待つべきか、韓国のネット掲示板は盛り上がっている




 Vega Racer 2の特徴は、通信チップとアプリケーションプロセッサーを一つにした、米クアルコムのモバイル機器向けプロセッサーSnapdragon S4を搭載した点である。ワンチップを搭載するのは、韓国産スマホの中でパンテックが初めて。ワンチップになったことで、スピーディーにデータ処理を行い、電池消耗も少ない。端末自体もよりスリムになった。OSと画面のサイズはGalaxy S3と同じである。OSはAndroid 4.0(開発コード名「Ice Cream Sandwich」)。4.8型液晶はシャープから輸入している。


 LG電子も、クアッドコアを搭載した「Optimus4XHD」とSnapdragonを搭載するLTEスマホ「DIL」を5月中に発売するとしている。バッテリーが長持ちするようハードウエアを改善し、ユーザーからイマイチ馴染めないと不評だったインタフェースも全面的に改良した新機種である。さらに、DILは韓国産スマホの中では初めてモバイル充電技術を搭載するというので楽しみだ。


 2012年3月時点で全人口の45%がスマホユーザーになった韓国だけに、スマホに対する関心度は世界のどの国よりも高い。「両親の日」である5月8日に向けて、新しい携帯電話やスマホを買って使い方を教えてあげることで両親と会話も弾み親孝行になる……とうたい、キャリアとメーカーの商戦がたけなわだ。


 ネットの掲示板ではGalaxy S3とVega Racer 2のどちらを買うべきか、悩むスマホユーザーの書き込みが後を絶たない。ストレスなくアプリもネットもキビキビと使いたいならVega Racer 2だが、端末そのもののデザインやカメラ、ブランドを考えるとやっぱりGalaxy S3がいいかな、どうしよう~という内容が毎日のように書き込まれ、パンテック派とサムスン派、あるいはどっちもいやでとにかくiPhone 5を待つ派の間で、スマホ談義が盛り上がっている。


 5月の連休にソウルを訪問するならば、ぜひいろいろなスマホを体験してもらいたい。ソウルの街を歩けば、2~3分おきに携帯電話代理店に行きあたる。誰でも自由に端末を使えるようにしている大型店舗もたくさんあり、デモ端末はネットにつながっていて、アプリを試したりネットで検索したりを無料でできる。携帯電話代理店に入れば、新機種も体験できて天気や交通情報もチェックできる一石二鳥。ぜひお試しを!




趙 章恩=ITジャーナリスト)

日経パソコン
 [2012年5月1日]

-Original column
http://pc.nikkeibp.co.jp/article/column/20120501/1047882/