どこの事業者のiPhone使おう? SK Telecom、2社目のiPhone通信事業者に

韓国人の生活を激変させたiPhoneが、ついにKTだけでなく携帯電話加入者シェア1位のSK Telecomからも発売されることになった。早ければ3月末にでもiPhone 4がSK Telecomから発売される。iPad 2、iPhone 5も続々と導入する計画だという。

 韓国初の携帯電話事業者であり、市場シェア50%以上、長期加入している人が多いSK Telecomであるが、長期割引や家族割引をあきらめてまでKTのiPhoneに乗り換える人が後を絶たず、頭を痛めていた。流出するユーザーを引き止め、iPhoneに対抗するためのマーケティング費が3000億ウォン(約220億円)を超えたことから、いっそiPhoneを発売してはどうかということで話がまとまったようだ。


 国中にモバイルインターネット革命を巻き起こしたiPhone 3GSとiPhone 4のユーザーはKTだけで220万件、携帯電話加入件数の約5%を占めている。SK TelesomはサムスンのGalaxy Sをはじめ、Android端末の宣伝に必死になっていた。SK TelecomはGalaxy Sだけでも240万件以上の加入者を確保し、スマートフォンユーザーはKTより多い(2010年末時点でKTが245万、SK Telecomは390万人)。


 韓国人がiPhone大好きな理由はやはりアプリケーション。これは日本のユーザーも同じだと思うが、世界で話題になっているアプリをリアルタイムで自分も使ってみたい、トレンドに敏感な人になりたいという意欲は、韓国の方がものすごくあるように感じる。


 KTが独占していたiPhoneがほかの通信事業者からも発売されることから、端末の売れ行きや通信事業者を選択する理由にも差が出そうだ。今までははっきりとKT(iPhone)対SK Telecom(Galaxy S)の攻防戦があり、KTはあまり好きじゃないけどiPhone使いたいから仕方なくKTにしたという人も少なくなかった。


 iPhoneを発売したことで一時期サムスンとKTの仲が悪くなったといううわさがあった。いつもならSK TelecomとKTがほぼ同時にサムスンの新機種を発売したのに、Galaxy SだけはKTからの発売がとても遅かったからだ。それが今度はサムスンとSK Telecomの仲が悪くなったといううわさが広がっている。サムスンの新機種をKTとLGU+にも同時提供するという。長年SK Telecomに端末を独占供給していたモトローラもKTと手を組むことになったので、ユーザーにとっては、端末で通信事業者を選ばないといけない時代はもう終わったようだ。








KTはソウル市内のカフェと提携し、店内でiPhone 4やiPadを体験できるようにしている


これからはiPhoneなのか、そうでないのかで通信事業者の選択を迫られることはなくなった。どっちの事業者の料金が安いか、Wi-Fiスポットが多いか、親切でアフターサービスも万全にしてくれるのか、サービス競争になるだろう。同じiPhoneで、同じく毎月9万5000ウォン(約7000円)のスマートフォン定額料金制でも、KTは800分無料通話・1000件無料SMSなのに対してSK Telecomは1000分無料通話・1000件無料SMS、SK Telecomは家族全員の加入年数に応じて割引幅が違う家族割り引き、KTは1年ごとに基本料が10%ずつ値下げされる自分割り、といった具合にサービス内容が違う。

 事業者の競争はユーザーにとってはうれしい話である。韓国ではスマートフォンを買うと専用料金制に加入しないといけない。通常の携帯電話料金の2倍以上あるので家計の通信費負担は年々増えるばかりである。iPhoneに対抗するために莫大な広告費を使うより、その予算で通信費を安くしてくれるとか、端末を安くしてくれるとか、そういう競争に火がついてほしい。


 韓国では2008年から約定加入が導入され、2~3年の間、同一の事業者に縛られていたユーザー1500万人が2011年に開放される。1500万人の多くは違約金が怖くてスマートフォンに乗り換えできなかった人とみられているので、SK TelecomはKTにこれ以上ユーザーを取られないためにもアップルと手をつなぐ必要があった。


 サムスンの端末を全面に売り出していたSK TelecomがiPhoneを発売したことで、Galaxy Sの人気はかげるだろうか。2011年2月韓国内の携帯電話端末シェアはまだまだサムスンが50.5%を占めている。売れた端末の内訳としてスマートフォンの割合は68%となっている。サムスンは普及型スマートフォンとしてGalaxy Sより安い端末も出し、Galaxy S2も十分話題になっている。とまれ、携帯電話加入シェア1位のSK TelecomからiPhoneが出るとなれば、韓国のモバイルインターネット事情はまた大きく変わるだろう。





趙 章恩=ITジャーナリスト)

日経パソコン
2011年3月3日

-Original column
http://pc.nikkeibp.co.jp/article/column/20110303/1030583/

韓国SK Telecomのモバイル金融サービス概況

韓国の最大キャリアであるSK Telecomは、通話料の割引き競争や加入者の囲い込みによるマーケティング費用の増加で利益が減少している。2008年3月より端末補助金支給が解禁されたことで、新規加入の端末補助金を狙った解約が急増、解約率は-2%台から-3%台に増加した。2008年末時点で携帯電話の普及率が93.8%を超える中、新規加入の見込みは少なく、加入者の囲い込みが経営維持の重要な要素となっている。加入者を囲い込む手段として、SK TelecomはWCDMAのUSIMカード基盤モバイル金融サー . . .


全て読む >>





1089607215.pdf