ソウルでWorld IT Show 2009開幕、韓国メーカーの携帯電話に期待!

2009年6月17日から20日まで、ソウル市内のCOEXで「World IT Show 2009」(WIS2009)が開催されている。韓国最大規模のIT展示会で政府機関である知識経済部、放送通信委員会、文化体育館後部が主催し、「グリーンITのための新融合技術」をテーマに17カ国の501社が1243ものブースを設けて参加している。









コンパニオンと携帯電話の新機種で華やかなLG電子ブース


 今年、特に注目されているのはサムスン電子とLG電子が展示する携帯電話の新機種である。サムスン電子はCMモデルとして大ブレークしているフィギュアスケートのキム・ヨナ選手をイメージキャラクターに起用したタッチフォン新機種「ヨナのHaptic」を中心に、太陽光充填携帯、ウルトラHapticなどを展示し、LGはとうもろこし澱粉で作られたバイオプラスチック携帯や透明ケースの新機種携帯を展示した。









サムスン電子はフィギュアスケートのキム・ヨナ選手をCMモデルとして起用



 韓国最大キャリアのSKテレコムは「移動通信25年の歴史」をテーマに歴代携帯電話を展示し、KTは携帯電話を使ったユビキタス社会を体験できるコーナーを作りモバイル展示を盛り上げた。


 キム・ヨナはサムスン電子のエアコンCMモデルでもあるが、話題の面でも売上の面でもあまりにも反応がよかったため、スポーツ選手では初めて携帯電話のCMモデルに抜擢された。「ヨナのHaptic」は、スリムなデザインと、写真を撮ってBlogように編集できる便利な日記機能が特徴となっている。






キム選手はスポーツ選手として初めて携帯電話のCMモデルに抜擢

サムスンがインドで発売した太陽光充電の携帯「クレストソーラー」も注目度が高かった。端末の後ろに太陽光パネルがついていて、1時間太陽に向ければ10分ほど通話できるという。1.52型のディスプレイ、FMラジオ、MP3プレーヤー、800mAhバッテリーがついて 59ドル。インドは日照量が多い一方で、電力供給がうまく行き届かないため、太陽光充電のニーズが高いと先行販売し、東南アジアや中近東、アフリカといった新興国で太陽光携帯のマーケティングを強化する。サムスン電子は太陽光が電気に代わるほど完璧な充電はできないけど、補助手段としては活用価値が高いと見ている。2009年2月スペインで公開した太陽光充電携帯「ブルーアース」も年末発売を予定している。

 韓国向け新機種「ウルトラHaptic」も公開された。海外向け端末に搭載されていたGPSの代わりに地上波DMB(ワンセグ)を搭載し、タッチパネル+スライドキーパッド、800万画素カメラ、2.8型AMOLEDが特徴。サムスンやLGの戦略端末は海外で「世界初○○機能」を冠にして先に発売され、半年ほどしてから機能の一部を手直しして韓国で発売するのがいつものパターンである。


 「ウルトラHaptic」もヨーロッパで先行発売して1カ月で50万台売れ、イギリスの携帯電話ヒットリスト2位に選ばれた。カラーはブラック&レッドのダークレッドとゴールドとベージュの輝きがゴージャスなゴールデンベージュの2色。カバーをスライドさせると、カメラのレンズがある内側がメタルレッドでとてもかっこいい。端末の価格は7万円ほどだが、MNPを利用すれば補助金があるので半額ぐらいで購入できる。


 一方、第2世代タッチフォンとして発売される端末については、発売当日まで秘密にするという。3.5型AMOLED搭載、スリムタイプ、その他はグローバル市場向け新機種「Jet」と同じで3Dキューブインターフェースを採用したとだけ伝えている。これは3Dキューブの6面を転がしながらメニューを登場させるというもの。


 「JET」とはWIS2009開催直前の15日、ロンドンとシンガポール、ドバイの3都市で公開されたグローバル市場向け戦略端末で、「SAMSUNG JET」と名づけられた端末。サムスンがタッチスクリーンを発売するようになってからの2年間、蓄積された技術やノウハウを凝縮させた全く新しい概念のフルタッチスクリーンで、画質(Screen)、性能(Specification)、速度(Speed)の面で優れていると宣伝した。既存のワイドQVGA AMOLEDより4倍以上鮮明な超高画質3.1型のワイドVGA(800×480ドット)を搭載する。


 DNSe(Digital Natural Sound engine)& SRS(Sound Retrieval System)で5.1チャンネルの立体サラウンドを再現しているので、携帯電話で動画を見ながら画質はもちろん、より深みのあるサウンドを楽しめるようになった。マイクロソフトのExchange ActiveSyncを利用できるのでスマートフォンと同じく業務用としても使えるし、Dolphinブラウザーで最大5つの画面を同時に開いて作業できる。今まではせいぜい音楽を聴きながらメールを書くというぐあいに2、3の機能しか同時に動かせなかったが、携帯電話に内蔵された機能を同時に20まで実行できるマルチタスク機能もある。状態を認識する機能もアップグレードされ、端末を傾けてページをめくる機能に加えて、端末を左右にふったり、2回叩いたりといったことで音楽再生やカメラ機能を使えるようにした。サムスン電子は「Jet」を「Smarter than a Smartphone」と宣伝している。

LG電子は「AMOLEDを搭載すると値段が高くなってしまう」として、ユーザーインターフェース(UI)を工夫して勝負するという姿勢を見せている。スマートフォンやタッチフォンは使い方が難しいというユーザーの声を反映し、誰でも直感的に使えるUIを目指している。

 LGがWIS2009に展示した戦略端末「アレーナ」は3型ワイドVGA液晶、500万画素カメラ、韓国メーカーでは初めてのDolbyモバイル2.0、各種動画を再生できるプレーヤーを搭載しており、パソコンから携帯に動画をコピーするだけで、ファイルを自動的に変換して携帯で動画が見られるようにしてくれる。タッチパネルの感度も高めiPhoneのようなマルチタッチもできるようになった。ケースが透明な端末や800万画素で最適な撮影モードに設定してくれるビューティースマートフォンも展示された。


 今回のWIS2009では、海外の展示会で先に公開された新製品が多かったので、「これがうわさのあの製品なのか」と確認できる程度に過ぎなかったが、どのメーカーも、ジャンルに関係なく「省エネ」「エコ素材使用」「リサイクル」「製造過程における環境保護」を意識していることはにじみ出ていた。製品の展示だけでなく、複数メーカーの製品と通信、コンテンツを組み合わせて、近い未来社会は家庭、オフィス、街中がこうなるといったストーリー仕立ての展示は面白かった。


 またLG電子ブースには日本でも注目度の高いデジタルサイネージの展示コーナーもあった。これはまた次回紹介する。


(趙 章恩=ITジャーナリスト)

日経パソコン
2009年6月18日

-Original column
http://pc.nikkeibp.co.jp/article/column/20090617/1016104/