<ケーススタディ“韓流”IT TRY&ERROR>20.今回のテーマ■グリーンIT(下)

花開くCO2削減アイデア


国民レベルの取り組みで


 


 


 製品を製造し、あるいは消費しながら、私たちは大量のCO2を排出する。そのCO2の量を「炭素の足跡(Carbon Footprint)」と呼ぶそうだ。IEA(国際エネルギー機関)が発表した主要国家別CO2排出量を見ると、2005年の韓国は4億4891万トンで世界8位。毎年、国民一人あたり4000本の樹木を植えない限り「炭素の足跡」を消せないほど深刻な問題になってきたとして、政府が率先してCO2排出を削減できるアイデアをあれこれ発表してきた。



 そのなかで面白いのは「炭素キャッシュバック制度」である。家電製品や携
帯電話、パソコン、プリンタなどIT製品を購入する際に省エネ認定製品を購入すると、購入金額の数%がマイレージとして貯まり、交通機関や大手スーパーで使えるようにするキャッシュバック制度である。08年11月中に開始される予定で、政府機関のエネルギー管理公団とSKマーケティングカンパニーの提携で運営する。添付画像


 


 自治体も「炭素キャッシュバック制度」を導入していて、主婦たちが活発に参加している。ソウル市から南へ4時間ほどの距離にある光州市では、5月に「二酸化炭素銀行」が登場した。月々の電気使用量を銀行に登録すると、前月比で節約した分をポイントに換算して積み立て、現金と同じように地元スーパーなどで使える。こうした特典が人気となって団地を中心に加入世帯が増え、08年9月時点で約2万世帯が登録した。ソウル市江南区も「地元炭素ポイント制度」を運営している。241kwhを節約すると1000ウォン(約80円)が貯まり、区役所が運営する教育プログラムや施設利用料として使えるようにしている。


 


 09年からは大型スーパーなどで、製品を製造するために排出されたCO2排出量をパッケージに表示する「炭素成績表示制度」も始まる。消費者が興味を抱けば、メーカーもCO2排出量がより少ない製品を開発するだろうという狙いだ。まずコカ・コーラ、アモーレパシフィック(化粧品)、リバート(家具)、LG電子など大手企業10社を対象にテストサービスを開始し、08年末までに排出量認証基準を確定する計画である。


 


 炭素キャッシュバック制度導入で「エコ買い替え」も増えるかどうか、韓国が世界のテストケースになりそうだ。

(趙
章恩●取材/文)


 


[BCN This Week 2008年11月24日 vol.1261 掲載]  Link


 


 


 


 

<ケーススタディ“韓流”IT TRY&ERROR>19.今回のテーマ■グリーンIT(中)

グリーン成長の具体案


九つの分野に集中投資


 


 


 韓国政府は、グリーン成長を具現化するために「グリーンエネルギー産業発展戦略」を樹立した。これは韓国初のグリーンエネルギー開発と産業化に関する基本戦略である。


 具体的には、環境に関連のある全省庁を網羅して九つの分野を選択し、5年間で3兆ウォンを集中投資することが決定した。


 


 グリーンエネルギー産業の成長動力として選択された九つの重点育成分野は以下の通り。世界市場が急成長して韓国内でも関連産業が発展している「太陽光」「風力」「LED」「電力IT」の4分野は早期成長動力グループとして産業化を集中的に支援する。世界市場における潜在力が大きく技術的優位確保を急ぐべき「水素燃料電池」「ガス・石炭液化」「石炭ガス化複合発展」「二酸化炭素包集貯蔵」「エネルギー保存」の5分野は、次世代動力グループとして研究開発と実証実験に関する投資を集中的に行う。


 


 これら成長動力を支援することで、2030年までにエネルギー効率を46%改善し、化学エネルギーの割合を83%から61%に縮小、原子力は14.9%から27.8%へ、新再生エネルギー割合は2.4%から11%へ4.6倍増やすのが目標だ。


 


 ただ支援するだけでは意味がないとして、韓国政府は市場指向型技術開発によりグローバル技術力を確保することにした。具体的には9分野に対して政府資金1兆7000億ウォン、民間資金1兆3000億ウォン、5年間で総額3兆ウォン(約2400億円)を投資して2012年までには世界有数の技術力を確保すると意気込みを見せている。添付画像


 


 新再生エネルギー全体の研究開発には111兆5000億ウォン(約9兆円)が投資される。2012年まで太陽光は発電量を400MW、風力は約1GWに拡大する。2009年末には世界最大の発電所竣工(254MW)と520MW規模の発電所を早期着工するなど、豊富な海洋エネルギー資源を活用する計画だ。


 


 韓国は先進国に比べ新再生エネルギー政策の取り組みが遅れていたが、大統領の「グリーン成長」の一言で尻に火がついたように急いで各種政策を発表しているという印象すら受ける。きっかけはどうであれ、トップダウン式で瞬時に事を進める韓国の長所がグリーンエネルギーにも活かされようとしているのは間違いないだろう。

(趙
章恩●取材/文)


 


 [BCN This Week 2008年11月17日 vol.1260 掲載] Link

<ケーススタディ“韓流”IT TRY&ERROR>18.今回のテーマ■グリーンIT(上)

韓国政府の「グリーン成長宣言」


家電業界のエコ対策は


 


 


 2008年8月15日、大韓民国建国60周年の祝辞で、イ・ミョンバク大統領は、新しい国家ビジョンとして「低炭素・グリーン成長」を強調した。省エネと二酸化炭素の排出を抑え、環境にやさしい成長をしようという発展戦略である。



 08年10月にソウル市で開催された韓
国電子産業展示会、親環境商品展示会では家電メーカーのエコ対策が注目された。39回目を迎えた電子産業展示会は「The future of electronics technology」をテーマに、世界25か国570社が参加する家電とIT製品、電子部品が一堂に会した。


 


 サムスン電子とLG電子は、画質はより鮮明で消費電力は最大60%まで抑えた省エネテレビを紹介した。サムスンはLEDバックライトを採用した液晶52インチテレビ、LGは視聴環境を4096パターンに分析して最適な省エネ状態にしてくれる「eyeQ Green」機能を搭載したフルHD120Hz液晶テレビを展示した。両社は機能の優秀性でなく環境も考えた製品であることをしきりに強調していた。添付画像


 


 今年で4回目の「2008親環境商品展示会」でも家電業界の展示参加が目立っていた。今年は政府の「低炭素・グリーン成長」戦略を国民に説明するという目的も兼ねているせいか、生産から流通、廃棄に至るまで全過程で環境を意識していることをアピールする企業が多かった。


 


 サムスン電子は、とうもろこし澱粉素材を発酵させて作ったバイオプラスチックを使った携帯電話端末「エコフォン」のほか、泡を発生させて洗うことで1回の消費電力22%減、消費する水量32%減を実現した「バブル洗濯機」、環境ホルモンに効果のある空気清浄機など、実際に販売されているエコ家電を展示した。


 


 サムスン電子は「最高の品質とサービスを提供するだけでなく、多様な新環境製品を通じて環境と消費者を優先する企業を目指している」と述べ、LG電子も「環境にやさしい製品を開発し、製品のライフサイクル全過程において二酸化炭素を減少させ、環境経営を強化していく」としている。

(趙
章恩●取材/文)


 


 


 [BCN This Week 2008年11月10日 vol.1259 掲載] Link