OpenAIのデータセンター、サムスン・SKがグループを挙げて協力

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米OpenAI (オープンAI)CEO(最高経営責任者)のSam Altman(サム・アルトマン)氏は2025年10月1日韓国を訪問し、Samsung Electronics(サムスン電子)、SK hynix(SKハイニックス)の両社とグローバルAI(人工知能)インフラ構築のため相互協力する意向書(LoI:Letter of Intent)を締結した。オープンAIは2025年9月に韓国法人を設立し、韓国の半導体メーカーや通信キャリアと協力を深めてきた。

 オープンAIは米Oracle(オラクル)、ソフトバンクグループと共に2025年1月、合弁会社Stargate(スターゲート)を設立し、2029年まで5000億米ドルを投資して10GW規模のAIデータセンターを建設するStargate Project(スターゲート・プロジェクト)を進めている。

 サムスン電子とSKハイニックスはスターゲート・プロジェクトのAIデータセンターにメモリー半導体を供給する。オープンAIは両社にそれぞれウエハー基準で月最大90万枚の高性能低消費電力メモリー半導体を要請したという。世界のDRAM生産量はウエハー換算で月約150万枚なので、90万枚は莫大な規模であり、サムスン電子とSKハイニックスの利益も大幅に改善すると韓国では期待されている。

 サムスングループによると、同日にサムスン電子、Samsung SDS(サムスンSDS)、Samsung C&T(サムスン物産)、Samsung Heavy Industries(サムスン重工業)の4社とオープンAIがLoIを締結した。4社はオープンAIの戦略的パートナーとして各社が得意とする半導体・データセンター・クラウド・海洋技術の分野で協力するという。サムスン電子は総合半導体会社として圧倒的な生産能力を持っていることから、オープンAIがメモリー半導体不足で苦労することがないようサポートする。サムスンSDSはオープンAIとAIデータセンターの設計・構築・運営に関して協力し、オープンAIのChatGPT Enterpriseサービスの販売窓口にもなる。サムスン物産とサムスン重工業はオープンAIとフローティングデータセンターや浮体式発電設備関連で共同開発を推進する。フローティングデータセンターは海の上に建設する最先端のデータセンターであり、陸地より空間の制約がなく冷却費用を節約し、二酸化炭素排出量も減らせるメリットがある。サムスン電子、サムスンSDS、サムスン物産、サムスン重工業の4社はオープンAIとの協力を皮切りに、韓国がグローバルトップ3のAI強国に躍り出る目標を達成するため中心的な役割を果たすとした。

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趙 章恩=(ITジャーナリスト) 
(NIKKEI TECH)
 2025. 10. 
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https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/01231/00142

次世代広帯域メモリーで市場奪回目指すサムスン、第6世代HBMに総力戦

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 米国のトランプ大統領は2025年8月、米国外から輸入する半導体にかける関税について、「場合によっては200%か300%になるかもしれない」と発言した。同10月初旬時点でまだ正式な発表はないが、最近になって米国で半導体を生産した分だけを米国外から輸入できるという「1対1説」も登場し、半導体業界に混乱を招いている。

 韓国Counterpoint Research(カウンターポイントリサーチ)によると、AI(人工知能)処理に欠かせないメモリー半導体であるHBM(High Bandwidth Memory、広帯域メモリー)の2025年4~6月における市場シェアは、韓国SK hynix(SKハイニックス)が62%、米Micron Technology(マイクロン・テクノロジー)が21%、韓国Samsung Electronics(サムスン電子)が17%と、韓国勢が全体の79%を占めている。米中半導体競争の中で、韓国は米国にとって重要な位置を占めるようになった。

 2025年9月22日には、サムスン電子が開発に苦労していた第5世代HBMである「HBM3E 12段」の米NVIDIA(エヌビディア)向け品質テストに合格したと報じられた。既に2024年2月に製品の開発には成功していたが、発熱と電力効率の課題があるとされ、NVIDIAに納品したというニュースが流れてこなかった製品である。その間にSKハイニックスは、NVIDIAにHBMを納品し続け、ついにサムスン電子を追い越して、メモリーの世界市場でトップ企業となった。

 サムスン電子はHBM3E 12段の主な部品を再設計したことでNVIDIAの基準を満たし、ついに納品できるようになったという。これで第6世代のHBM「HBM4」をNVIDIAに納品できる可能性も高くなった。

 NVIDIAは2026年に、「Blackwell」の後継GPU アーキテクチャーである「Rubin」を発売する予定だ。RubinにHBM4の12段などを搭載することで、市場のトレンドがHBM3EからHBM4へ移行するとみられている。HBM市場では、SKハイニックスやマイクロン・テクノロジーに後れを取っているサムスン電子がHBM4で巻き返せるかが注目されている。

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趙 章恩=(ITジャーナリスト) 
(NIKKEI TECH)
 2025. 10. 
-Original column

https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/01231/00141

サムスン電子が9回目のAIフォーラムを開催、半導体特化のAIエージェントを業務活用へ

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本記事はロボットとAI技術の専門誌『日経Robotics』のデジタル版です

韓国Samsung Electronics(サムスン電子)は2025年9月15~16日、韓国龍仁市で「Samsung AI Forum 2025」を開催した。今年で9回目となる同フォーラムには毎年、産学のAI専門家が集まり、最新の研究成果を共有したり、今後の研究や技術開発の方向性を模索したりする交流の場となっている。

 サムスン電子のDevice Solution Division(半導体事業部門)でVice Chairman & CEOを務めるYoung Hyun Jun氏は、開会の挨拶として「サムスン電子は様々な業務領域にAIを導入し、いつでもどこでも素早くAIを活用できる基盤技術を開発している」と発言し、フォーラムがより良い世の中のために知恵を分かち合う時間になるとした。

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趙 章恩=(ITジャーナリスト)  

《日経Robo》 2025. 10.  

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https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/mag/rob/18/00006/00182

現代自動車が米国にロボットの量産工場、2029年までに260億米ドルを投資

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2025年8月25日(米国時間)、韓国の李在明(イ・ジェミョン)大統領がトランプ米大統領との会談に挑んだ。訪米にはSamsung(サムスン)、LG、SK、Hyundai Motor(現代自動車)など韓国の主な財閥の総帥(会長)とCEO合わせて16人が同行し、韓米首脳会談に続いてワシントンDCのホテルで開催された「Korea-U.S Business Roundtable」に参加した(図1)。ここで韓国企業は1500億米ドル規模の対米投資計画を表明している。

図1 2025年8月に開催された「Korea-U.S Business Roundtable」

Samsung(サムスン)、LG、SK、Hyundai Motor(現代自動車)など韓国の主な財閥の経営者が李在明(イ・ジェミョン)韓国大統領に同行して訪米。1500億米ドル規模の対米投資計画などを発表した。(写真:韓国大統領室)

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趙 章恩=(ITジャーナリスト)  

《日経Robo》 2025. 9.  

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LGグループ、製品開発でのAI活用を拡大 LLM「EXAONE」のB2Bビジネスも強化

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韓国LG Electronics(LG電子)は2025年7月に開催した社員向けのイベント「AXトークコンサート」の中で、CEOのCho Joo-wan氏がAIを急速に普及させる「Chief Diffusion Officer」に就任すると発表した(図1)。Cho Joo-wan氏は、AIで業務を絶えず進化させる必要があるとして、LG電子が取り組んだAX(AI Transformation)の事例を紹介した。

図1 LG Electronicsが開催した「AXトークコンサート」

LG Electronics CEOのCho Joo-wan氏(写真中央)が「Chief Diffusion Officer」に就任。同社が取り組むAX(AI Transformation)の事例について説明した。(写真:LG Electronics)

 「CHATDA」(CHAT based Data Analytics)はLG電子の社内データを学習した研究開発業務向けの対話型生成AIシステムである。CHATDA(チャッダ)は韓国語で「探す」という意味がある。例えば、特定地域向け家電の開発に必要なデータの検索に従来は3~5日ほどかかっていたが、CHATDAを使うことでおよそ30分に短縮できる。

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趙 章恩=(ITジャーナリスト)  

《日経Robo》 2025. 8.  

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LGグループ、製品開発でのAI活用を拡大 LLM「EXAONE」のB2Bビジネスも強化 | 日経Robotics(日経ロボティクス)

韓国新政府、官民で独自AI基盤モデル開発 SKやLGはグループでAIデータセンター注力

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2025年6月、韓国では李在明(イ・ジェミョン)大統領が新たに就任した。李大統領は国会で行われた就任宣言式で、「AIや半導体など先端技術産業に対する大々的な投資と支援で未来をリードする産業強国に跳躍する」と述べた。実用主義、経済成長、国益の最優先という観点から規制を緩和し、民間企業が投資しやすい環境を作る方針だ。韓国新政府はAIデータセンターを「国家戦略技術事業化施設」に指定し、半導体と同じく投資額の一定割合を税制控除する方針だ。

 李大統領は大統領選挙においてAI関連の公約を数多く示していた。具体的には、「米国・中国に続くAI強国になる」「AI関連で民間投資を100兆ウォンにする」「AIデータセンターの建設とGPUの5万枚確保でAIハイウエイを構築する」「誰でも使えるみんなのAIプロジェクトを推進する」「AI兵役特例の拡大(徴兵の義務で軍に行く代わりにAI関連企業に勤めるようにする人材育成)」などである。

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趙 章恩=(ITジャーナリスト)  

《日経Robo》 2025. 7.  

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韓国新政府、官民で独自AI基盤モデル開発 SKやLGはグループでAIデータセンター注力 | 日経Robotics(日経ロボティクス)

韓国のテレビ番組制作で進むAI活用、高い即時性と省人化を両立させる

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2025年5月20~23日、「第33回韓国国際放送、メディア、音響&照明ショー」(Korea International Broadcasting, Media, Audio & Lighting Show、以下KOBA)がソウル市のCOEX展示場で開催された(図1)。今回は「AI-Enhanced Creativity:The Next Wave of Media Innovation」をテーマに、AIがメディアに与える影響やAIを活用したテレビ番組の制作事例に焦点を当てた。

図1 ソウル市で2025年5月に開催された放送関連の展示会

「第33回韓国国際放送、メディア、音響&照明ショー」では、AIを活用したテレビ番組制作の効率化に注目した展示が多かった。(写真:趙 章恩)

 KOBAは、韓国のテレビ局などに所属する技術担当者らが発足した韓国放送技術人連合会と、韓国Korea E&EXが共催する。当初は放送と通信の融合をテーマにした展示会として始まり、最近はテレビや映画、OTT(Over The Top)など映像制作全般のAIやイノベーション事例を共有するイベントになっている。

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趙 章恩=(ITジャーナリスト)  

《日経Robo》 2025. 6.  

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50の団体・企業が「K‐ヒューマノイド連合」、2030年までに官民で1兆ウォンを投資

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韓国の憲法裁判所が2025年4月4日、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の罷免を決定し、6月3日に大統領選挙が行われることになった。すでに大統領選挙運動が始まり、各候補が公約を発表している中、最も火花を散らしている公約がAIである。

 与野党ともに政治改革や国民生活などではなく、真っ先にAIに関する公約から発表している。当選の可能性が高いとされている野党候補は公約の第1号として「AIのグローバル競争力を確保するため政府が主導してAI育成に100兆ウォン投資する」と発表すると、与党候補は「AIに200兆ウォン投資する」と発表した。

 AI産業界は、大統領選挙の候補者らが「AI産業の育成が何よりも重要だ」と考えていることを歓迎しながらも、具体的な計画ではなく数字ばかりが先走りしていると懸念している。AI産業界は短期的な成果ではなく、長期的な学習データの供給やインフラの確保、主な産業のAIトランスフォーメーション促進のために政府は何をするのかを知りたいと思っており、「AI発展と信頼基盤造成等に関する基本法」(AI基本法)制定はどうなるのかにも触れてほしいという意見もある。「規制ばかりでAIの発展につながらない」と批判する声も多い。

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趙 章恩=(ITジャーナリスト)  

《日経Robo》 2025. 5.  

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2兆ウォンで1EFLOPSのAIインフラ構築、韓国独自の大規模言語モデルも開発へ

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韓国科学技術情報通信部(部は省に当たる、Ministry of Science and ICT)は2025年3月25日、ソウル市内で「AI Global Conference」を開催した(図1)。カンファレンスでは科学技術情報通信部の長官と担当者が韓国政府の国家AI政策である「AIコンピューティングインフラ拡充を通じた国家AI力量強化方案」について説明し、米Open AIや米AMD、米NVIDIAなどが韓国のAI産業発展のために進むべき道について意見を述べた。

図1 2025年3月にソウル市で開催された「AI Global Conference」

AIインフラの拡充や独自の大規模言語モデルなど、韓国の国家AI政策について説明した。また、米Open AIや米AMD、米NVIDIAなどが韓国AI産業についての意見を述べた。(写真:韓国科学技術情報通信部)

 科学技術情報通信部のYoo Sang-im長官はカンファレンスの冒頭、「AIコンピューティングインフラはAIの骨と筋肉であり、AIモデルは頭脳である。強力なAIコンピューティングインフラと高度化されたAIモデルが有機的に結合した時にAI性能が極大化され、真のイノベーションが起こる」、「AIコンピューティングインフラの迅速な拡充、グローバルトップレベルのAIモデルを開発できるよう集中支援することで、韓国がAIの3大強国に跳躍できるようにする」と強調した。

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趙 章恩=(ITジャーナリスト)  

《日経Robo》 2025. 4.  

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HyundaiとSamsungの戦略的同盟が広がる、ロボット専用の高性能バッテリを共同開発

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韓国のHyundai Motor(現代自動車)グループとSamsung(サムスン)グループが、ヒューマノイド(人型ロボット)に搭載する高性能バッテリやスマートファクトリに向けたローカル5G RedCap(Reduced Capability)などにおける協業を相次いで発表した。Hyundai Motorの電気自動車にSamsung SDIのバッテリを搭載すると2023年に発表して以降、両グループの協力関係が広がってきた。韓国内では、米国や日本、中国に対抗するための戦略的同盟とみられている。

 2025年2月24日にはHyundai Motorと韓国Kia、Samsung SDIがロボット専用バッテリを共同開発すると発表した(図1)。Hyundai Motorなどによると、現在はロボット専用のバッテリがないため、工具用か小型電気自動車(Light Electric Vehicle)用のバッテリを搭載するロボットが多い。しかしロボットの形状は多種多様で、取り付けるスペースも限られているためバッテリが小さくなりがちで、出力容量も減少してしまう。

図1 ロボット用バッテリの共同開発に関する提携の調印式

Hyundai MotorとKia、Samsung SDIの3社がロボット用の高性能バッテリを共同で開発する。写真はHyundai MotorとKiaでVice President兼Head of Robotics LABを務めるDong Jin Hyun氏と、Samsung SDIでExecutive Vice President兼Head of Strategic Marketing Teamを務めるHans Cho氏。(写真:Hyundai Motor)

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趙 章恩=(ITジャーナリスト)  

《日経Robo》 2025. 3.  

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